1912.古代ギリシャの叙事詩「イリアス」は怪物キマイラの姿をこう描い

1912.古代ギリシャの叙事詩「イリアス」は怪物キマイラの姿をこう描いている。「神霊のたぐい…
毎日新聞「余録」2013.6.20.
(傍線:吉田祐起引用)
古代ギリシャの叙事詩「イリアス」は怪物キマイラの姿をこう描いている。「神霊のたぐいに属して
いて、人間界のものではなく、前の方は獅子(しし)、うしろは大蛇、まんなかは牝山羊(めやぎ)の
形で、燃えさかる火の恐ろしい勢いを口から吐きだしていた 」
▲キマイラは英雄ベレロポンによって打ち殺される。しかし後世の人々には獅子と山羊と蛇を寄せ
集めた姿はあまりにもばかばかしく感じられたのだろう。英語でキメラはもっぱら現実離れした気ま
ぐれな空想、無謀なつじつまの合わない計画を意味するようになった
▲だが21世紀の人類は、このありえなかった奇想を神ならぬ身で現実にする技を手にしてしまっ
た。もしもブタなどの体内に人間の臓器をもつキメラ動物ができれば、移植医療に大きな進展をも
たらすであろう。その実現に向けた研究にゴーサインが出る見通しという
▲政府の総合科学技術会議の専門調査会は、動物の受精卵(胚(はい))に人間のiPS細胞などを
注入して人間の臓器をもつ動物を作る研究を一定の条件下で認める方針をまとめた。研究目的も
移植医療に限らず、人間の臓器の病気の解明や新薬開発など幅広く認めるという
▲当の研究者や移植医療に希望を託す患者が一刻も早い研究解禁を望むのは当然だ。 ただ人間
と動物の垣根を越えた生命操作を一部研究者に委ねるのを危ぶむ見方にも相応の理由 がある。調
査会の方針でも、人間の脳や生殖細胞の作製については研究を認めないという
▲奇想を現実に変える挑戦には思いもかけない危険が潜んでいることもあろう。神話の怪物から
逆に問われることになったわれら人間の賢慮(けんりょ)と尊厳だ。
ヨシダコメント:
「動物の受精卵(胚)に人間のiPS細胞などを注入して人間の臓器をもつ動物を作る研究 」とは物騒
な医学研究です。歴史は繰り返す、にならねばイイですが・・・。末尾の弁「神話の怪物から逆に問
われることになったわれら人間の賢慮(けんりょ)と尊厳だ。 」がそれを意味します。
ちなみに、本記事に出てくる神話の幾つかの関連資料をグーグルして下記に掲載します。
ギリシャ神話
キマイラ
英雄・ヘベロン
(最古期の古代ギリシア詩作品) (ライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つ)
(編集者の悩み:罫線をひいてご覧のようにレイアウトした後の罫線の消し方(白色化)を知りませ
ん。何方か教えてくださいませんか?グーグルしてはいるのですが・・・ )
No.1(1-300) No.2(301-400) No.3(401-500)
No.4(501-700)
No.5(701-900)
No.8(1101-1300) No.9(1301-1500) No.10(1501-1700)
リシ気
No.7(996-1100)
No.11(1701-1900)