パレスチナ YWCA 支援ニュースレター

パレスチナ YWCA 支援ニュースレター
No.13
2004年 11 月
発行:日本 YWCA 国際部
~パレスチナ・オリーブ収穫プログラム報告~
パレスチナ YWCA 支援プロジェクト
東京都千代田区九段南 4-8-8
TEL:03-3264-0661 FAX:03-3264-0663
E-mail:[email protected]
オリーブ収穫プログラムに参加
10 月 23 日~11 月 2 日、パレスチナ YWCA、東エルサレム YMCA などの主催で行われたオリーブ収穫プログラ
ムに日本 YWCA より会員 2 名、職員 1 名、日本 YMCA 同盟より職員 1 名が参加しました。参加者はフランス、
イギリス、ベルギーなどからおよそ 40 人。オリーブの収穫だけでなく、イスラエル占領下のパレスチナの
人々の生活について専門家から話を聞いたり、ホームステイを通してパレスチナの人々と生活をともにする
機会もありました。このプログラムに参加した京都 YWCA の日方里砂さんの感想を紹介します。
(写真上:オリーブ収穫の様子
中:オリーブ畑のオーナー家族
下:オリーブ畑でイスラエル兵に ID をチェックされるパレスチナ人の男性)
“オリーブ収穫”と聞くと、農業─田舎─素朴─癒し、そういう
イメージを湧かせる。しかし実際はそんな穏やかに農業が行われて
いるわけではないということは以前から耳にしていた。私は現地へ
行く前に、イスラエル軍によってパレスチナ人農家にとって大事な
収入源であるオリーブの木が倒されている、イスラエル人入植者が
収穫を妨害している、壁やフェンスで自分の畑へ行けなくなってい
るなどと聞いていたが、人ごととして受け止めていた。その収穫を
“手”助けできるかもしれない、2 年越しのパレスチナへ行くとい
う夢がかなうという期待で、参加を希望した。
このプログラムではほぼ毎日オリーブの収穫をした。イスラエル
占領下にあるパレスチナでは、オリーブ収穫妨害という問題は一部
でしかないかもしれないが、この収穫プログラムに参加しただけで
もパレスチナの人々の厳しい生活を実際に目の当たりにした。皆で
収穫した翌日に,ある家族のオリーブの実がイスラエル人入植者に
盗まれたという情報が入ってきた。また、あるパレスチナ人一家は
入植地の近くに畑があり、家に動物の死体を投げ込むなどの嫌がら
せで 45 年住んでいた家から出ざるを得なくなっていた。今は近づ
けない自分の土地へ外国人である私たちと行くことができたのだ
が、その畑のオリーブの木が入植者により毒がまかれて枯れている
のを知った。それを見たパレスチナの人々の怒り悲しんでいる姿も
見た。パレスチナ人が来たのを見て、武器を持った入植者が近づい
てきて石を投げる様子や、それを止めないイスラエル兵も見た。本
を読んで知るということはもちろん大切だが、やはり肌で感じると
いうのは違った。目線が変わっただけかもしれないが、自分の中で
明らかに変化があった。
他にももちろん分離壁を見たり、難民キャンプの子どもたちに会
ったり、収穫以外の場でも多くパレスチナを知ることができた。パ
レスチナの人々とふれあうことができ、少なくとも出会った人々
は、日本に帰りたくないと思わせるほど温かく、パレスチナに対す
る思いはより強くなった。日本で自分に何ができるのか。今までに
なかった愛着が湧いて、今まで以上の強い思いを持つようになっ
た。できたら来年もパレスチナへ行きたい。
(京都 YWCA 日方里砂)
◆オリーブの木とパレスチナ
パレスチナの人々にとってオリーブの木は「平和のシンボル」です。オリーブ畑はパレスチナ(西岸・ガザ)
で農地の 40.3%を占め、現在、1200 万本のオリーブの木が植えられています。パレスチナではオリーブの木
や実で生計を立てている人も多く、オリーブの実の収穫が行われる 10 月末~11 月はパレスチナが 1 年で最
も喜びにあふれる時期なのです。しかし、イスラエル占領下で厳しい状況にあるパレスチナでは年々、オリ
ーブの実を収穫をすることが難しくなっています。違法な分離壁や入植地、バイパスなどの建設のためにオ
リーブの木々は破壊されています。2000 年の第 2 インティファーダ以降の 4 年間でおよそ 40 万本(被害総
額はおよそ 66 億円)にのぼります。移動制限やイスラエル人入植者や兵士の嫌がらせで自分の畑に近づけ
ない人もいます。オリーブの収穫を妨害するために、イスラエル人入植者や兵士は農業用器具を略奪したり
しています。この秋に行われたオリーブ収穫プログラムは、パレスチナの人々にとって大変重要なオリーブ
の実の収穫を手伝うことにより、パレスチナの人々と連帯し、ともに平和への道すじを考える貴重な体験で
した。
◆イスラエル占領下のパレスチナ――分離壁・チェックポイント・バイパス――
イスラエル占領下にあるパレスチナでは人々の移動が厳し
く制限されています。分離壁、フェンス、チェックポイント
(軍事検問所)、イスラエル人入植地、入植地をつなぐバイ
パス建設のためにパレスチナの人々の土地を奪い、畑や家々
を破壊し、また、村を分断して親戚や隣人を引き離していま
す。
パレスチナでは・・・
* 28 万人の人々が自分の土地や市や町の中心部から隔離
されている。
* 西岸地区には 120、ガザ地区には 21 のチェックポイン
トがある。
* 4 年間で 3,045 人(うち子ども 577 人)のパレスチナ人がイスラエル兵によって殺されている。
◆オリーブの木キャンペーン
右の写真はパレスチナ YWCA/東エルサレム YMCA 合同アドボ
カシーイニシアティブが進めているオリーブの木キャンペー
ンで植えられたオリーブの苗木です。この畑はセンサーや電
流の通ったフェンスのすぐ側に植えられています。日本から
の寄付者を含め、世界中からの寄付によって贈られた苗木は
この畑の持ち主である、隣接した家に住むパレスチナ人の家
族によって大切に育てられています。1 年半前に植えられた
この畑の小さな苗木もいくつかの立派な実をつけていました。
(写真:ベイト・サフールの畑にて。白いプレートにはオリーブ
の木の寄付者の名前が並ぶ。
)
オリーブの木キャンペーン
1 口 3000 円でオリーブの木 1 本を贈ることができます。
*寄付者には証明書が発行され、植樹された場所にはプレートに寄付者の名前が刻まれます。
<振込先>
(郵便振替) 日本キリスト教女子青年会 口座番号:0170-7-23723
*パレスチナ YWCA による証明書発行のため、振替用紙に氏名・住所のふりがなまたはロー
マ字表記を必ずご記入ください
オリーブの木キャンペーンの現場に行ってきた(10/23~11/2)、日本の YWCA からの3名の青年の貴重
な経験とホットなパレスチナの現状を聞くプログラムを計画してみませんか。
お問い合わせは日本 YWCA 国際部までご連絡ください。