医者から処方された薬と薬局で買った薬を飲み併せて大丈夫?

演題名:一般用医薬品(市販薬)と医療用医薬品の相互作用
−銅クロロフィリン配合胃腸薬とパーキンソン病治療薬−
医者から処方された薬と薬局で買った薬を飲み併せて大丈夫?
東京理大薬
小合由起、○砂金信義、太田隆文、宇留野強
お医者さんから処方されている薬を飲んでいるとき、風邪を引いたから、ちょっと胃
の調子が悪いからといって、薬局やドラッグストアーで買った風邪薬や胃腸薬を安易に
飲んでいませんか。医者から処方された薬と薬局で買った薬でも飲み併せに問題がある
ことがあります。今回、薬局で売っている薬(一般用医薬品;市販薬)と医者から処方
される薬(医療用医薬品)との飲み併せ(相互作用)を調べました。
パーキンソン病の治療に用いられるレボドパやドロキシドパ製剤(マドパー錠やドプ
スカプセルなど)と胃腸薬のサクロンを一緒に混ぜてラットに投与して、一定時間毎に
血液中のレボドパやドロキシドパの濃度を測定してみると、
混ぜないで投与したときに
比べて低下し、測定時間内に体の中に入る薬の総量も減少しました。この原因の1つと
して、サクロンの主成分である銅クロロフィリン塩がパーキンソン病治療薬の腸からの
吸収を妨げていることが考えられます。このことはサクロンを一緒に飲むと、パーキン
ソン病治療薬の吸収が妨げられ、効果を発現するのに必要な濃度に達しなくなって、治
療効果が損なわれてしまう可能性を示しています。
医療用医薬品どうしの飲み併せについては多くの検討が行われ、
大部分かってきてお
り、問題のある組合せに注意が払われていますが、市販薬と医療用医薬品の飲み併せの
情報は少なく、あまり注意が払われていないのが現状です。薬局やドラッグストアーで
買い求めた薬が、医者から処方されている薬の効果に影響を及ぼす例はまだあるはずで
す。今後、市販薬と医療用医薬品の相互作用が大いに検討され、その情報が医療の現場
で生かされることを期待しています。また、本研究は、こんな薬の飲み併せを避けるた
めには、薬局やドラッグストアーで薬を買うときには、今、どんな薬を飲んでいるかを
薬剤師に伝えることが必要であることも示しています。