子育て情報 12月号

平成 27 年 12 月
子育て情報 12月号
椙山女学園大学附属幼稚園
サンタクロースを信じますか?
園長
横 尾 尚 子
日頃は、園だよりをお読みいただき、ありがとうございます。読後のご感想をお聞きする機会も多く、
その度毎に励まされています。中には、お子さんと一緒にお読みいただいているご家庭もあるそうです。
とってもうれしく感謝しておりますが、どうか今回だけはお子さんにはナイショでお読みください。
子どもはしばしば、ファンタジー(空想)の世界に生きていると言われます。確かに、2 歳頃から始まる
“ごっこ遊び”を観察していると、その想像力の素晴らしさ、豊かな感情表現やまねっこの巧みさに、
すっかり魅了されてしまいます。このように子どもは、ファンタジーの世界を十全に楽しみながら、し
かしその一方で、幼児期の終わり頃までには、ファンタジーと現実とを対比し区別できるようになるこ
とが明らかにされています。
ところが、サンタクロースのように、私達の日常生活に文化的・歴史的に広く深く浸透している空想
上の存在は、5~6 歳に達してもなお、
“ファンタジー”ではなく“現実”の存在として信じられている
ようです。ある調査によると、サンタクロースを“実在の人物”と信じている 4 歳児は 97%、6 歳児 94%、
8 歳児 59%で、幼児期では圧倒的多数を占めていることがわかります。ファンタジーと現実とを区別で
きるのに、なぜサンタクロースを信じるのか?…その鍵を握っているのは、私達大人です。クリスマス
が近づくと、ツリーや装飾で屋内外を飾り立て、子どもと一緒にサンタクロースの訪問を心待ちにする、
そのような大人達が演出する環境と子どもの夢を大切にしたいという願いが、サンタクロースを実在化
させているのです。本園にも、毎年サンタクロースがやって来ます。プレゼントが詰まった大きな袋を
抱えて、子ども達のファンタジーを、夢を、大切に大切に育てたいとやって来てくれます。待ち遠しい
ですね。
さて、わが家のサンタクロースは私です。サンタ歴 22 年の中には苦労話もありました。2 つ紹介しま
す。
下の娘が 3 歳児の頃、サンタさんにお願いしたプレゼントは、当時大人気だった“おジャ魔女どれみ”
シリーズの登場人物のお人形。しかも、
“おんぷちゃん”という脇役の子でした。ところが、どこの玩具
屋を訪ねても見つかりません。探し始めが遅かったせいもあって、とうとう入手できないままイブの夜
がやってきました。仕方がないので、サンタさんからのお詫びの手紙に「ちょっと待ってねプレゼント(千
代紙の小箱)」を添えて、枕元に置きました。翌朝目を覚ました下の娘の顔は、大喜びから大泣きへ。何
とかなるかなと楽観していたサンタママは途方に暮れ、翌日からまた“おんぷちゃん”人形を探し続け
ました。
もう 1 つは、やはり下の娘が小学校 5 年生のクリスマス。その前年あたりから、サンタさんにお願い
したプレゼントの中身をなかなか教えてくれなくなった娘から、やっと聞き出したのは大塚愛の CD で
した。でも、どのアルバムでしょう?…お買い物のついでを装って探りを入れました。そして迎えた 12
月 25 日の朝。娘の第一声は「あ~ぁ、やっぱりサンタはママだった」でした。トボケる私に娘が突き
付けた証拠は、
「サンタさんにお願いしたのは、この CD じゃありません」の一言でした。小学校ではず
いぶん前から、サンタクロースは親だというウワサが飛び交っていたそうです。そこで半信半疑の娘が
試みたのが、この CD 作戦でした。まんまと引っ掛かった私に、
「でも、これからもサンタさん信じるよ。
その方が今まで通りサンタさんとママからと、プレゼント 2 つもらえて得だもん」と娘。まんまとして
やられました。