第3節 国外との教育研究交流 本学では、建学の三理想のうちの「東西文化の融合」、 「世界に雄飛するに耐え る人物の育成」を実現するべく、多彩な国際交流制度を設け学生を支援してい る。 本学学則に「第 17 章 国際交流」が規定されたのは平成2年であるが、その 第 57 条に「教育上有益と認められる場合には」とあるように、本学の国際化へ の対応と国際交流の推進に関する基本方針は「教育上有益かどうか」を判断基 準、基本方針とし、それは適切であると考える。平成 13 年度までは本学学生を 送り出すだけであったが、後に述べるように、同 14 年度から留学生の受入れも 始まり、留学しない本学学生にとっても国際交流の実が上がることが期待され ている。 平成 13 年度までの国際交流制度には二つのタイプがある。第 1 は 1 年間の国 外留学、第2は短期の海外研修である。 ① 国外留学制度 留学期間は原則として 1 年間で、この留学期間は本学を卒業するために必要 な在学期間に算入され、原則として4年間で卒業ができる。 留学期間中に修得 した単位は 30 単位を限度に、本学の卒業単位として認定される。 この留学にも次のような二つのタイプがある。 (ⅰ) 協定留学 本学と外国の大学との間の協定に基づく留学制度で、現在、下表に示した大 学と協定が結ばれている。協定留学生には本人の年間授業料相当額を限度に武 蔵大学学生国外留学奨学金が給付される。 大 学 名 国 名 協定締結年 ケント大学 イギリス 平成 02 年(1990) ウーロンゴン大学 オーストラリア 平成 06 年(1994) ハレ=ヴィッテンベルク大学 ドイツ 平成 11 年(1999) オハイオ大学 アメリカ 平成 12 年(2000) セント・マイケルズ大学 アメリカ 平成 13 年(2001) カリフォルニア大学リバーサイド校 平成 13 年(2001) アメリカ 募集人数はいずれの大学も若干名であるが、その実績を示すと下表のようにな る。 10 年度 11 年度 12 年度 13 年度 ハレ=ヴィッテンベルク大学 - 0 2 2 セント・マイケルズ大学 - - - 3 オハイオ大学 - - 0 1 カリフォルニア大学リバーサイド校 - - - 0 ケント大学 4 4 2 3 ウーロンゴン大学 0 0 0 0 (ⅱ) 認定留学 学生が本学の許可を得て外国の大学で、正規の授業を履修する制度である。 協定留学制度との大きな違いは、留学先大学の選択、入学手続きなど留学に関 する手続きをすべて学生本人が行う点である。 留学目的とあわせて計画書を提出し、学長の承認を得て、認定留学生に選ば れる。認定留学生には年間授業料相当額の 2 分の 1 を限度に武蔵大学学生国外 留学奨学金が給付される。募集人数は制限していない。 この制度が設けられたのは平成6年度であるが、平成 10 年度以降の実績は下 表に示すとおりである。 経済学部 ② 人文学部 社会学部 平成 10 年度 1 0 0 平成 11 年度 2 0 0 平成 12 年度 0 0 0 平成 13 年度 0 0 0 海外研修制度 これは夏期休暇等を利用して、短期間ではあるが、海外での研修によって学 生の語学力の向上や国際的視野の拡大を目的としたものである。この海外研修 には次の3種類が用意されている。 (ⅰ) 学生海外研修制度 知識の習得や国際的視野を広げることを目的とし、海外での研修を希望する 学生に対し武蔵大学学生海外研修奨学金を給付する制度である。募集人数は 25 名。奨学金は1名につき 32 万円給付されている。最近4年間の実績は下表に示 すとおりである。 経済学部 人文学部 社会学部 平成 10 年度 10 9 5 平成 11 年度 6 10 6 平成 12 年度 8 10 7 平成 13 年度 9 6 9 この制度による海外研修を希望する学生は、研修テーマと国外の研修先を選定 し、研修計画書を提出し、人物、計画の内容を基準に選考される。研修は、3 年次の夏期休暇を利用し、1 ヶ月以上 2 ヶ月以内で実施し、帰国後は、研修報 告書を提出させるとともに、その成果を発表させている。報告書は、冊子にし、 刊行物として学内外に配布している。 この海外研修は平成元年度に始まるが、同 10 年度以降の実績および同 13 年 度の研修先、研修テーマを示すと次頁の表のようになる。研修先は世界各国に またがり、多様なテーマで研修が行なわれていることが示されている。 学部 学科 研 修 先 研 修 テ ー マ 経済 デンマーク・スウェーデン 北欧デンマーク・スウェーデンの環境保護活動にみる環境意識 経 済 経済 アメリカ 次世代のワークスタイルSOHO―中小企業立国アメリカの現状を探るー 学 経営 アメリカ ニューヨークと音楽の関わり方を歴史を通して探る 経営 アメリカ ディーゼル車対策を通してー環境問題に対する意識のちがいー 経営 カナダ 食糧危機―バイオテクノロジーの先端を行くカナダと日本の比較― 経営 べトナム アジアンブームーベトナム雑貨の原価を求めてー 経営 カナダ カナダの多文化主義に対する人々の意識―外国人に対する姿勢の日加の 部 違いー 経営 アメリカ 日本企業におけるビジネスモデルの再構築―米国企業に学ぶIT戦略― 経営 ドイツ・オランダ 環境先進国の交通計画 欧米 アメリカ アメリカ文化の多様性を示すオルターナティブスクール―アメリカ教育 人 文 は今― 欧米 フランス 食の国フランス―家庭料理と地方料理を訪ねてー 欧米 フランス フランス<Paris>におけるCaféの生き方―人々の求める時間と空間― 比較 韓国・中国・香港・台湾 アジアにおける初等英語・教科書比較論―私の「ロジャー体験」からー 比較 フランス モードにおけるジャポニスム―LeJaponisme et la mode ― 比較 フランス・イギリス 美術館、あなたはどう使う? 学 部 ―都市によって異なる美術館と人の関わり方― 社会 オランダ オランダ人の寛容性―多民族国家オランダから日本の移民政策を学ぶー 社 社会 タイ 広告と文化の関係 社会 ネパール ネパールにおける女性の立場―売られる少女たちー 社会 アメリカ 日系人の作り、残した"祭り"を探る―Nisei Week Japanese Festival の 会 学 部 歴史とこれからー 社会 イギリス イギリス園芸療法を通して今後の日本の福祉を考える 社会 アメリカ 踊り続ける人々―サンビスタとブラジリアン・コミュニティからエスニ ック・アイデンティティを学ぶー 社会 イギリス イギリスのオープンプランスクールに学ぶー日本の児童教育のこれから ー 社会 ドイツ ドイツ・フライブルク市の市民活動から学ぶ「ごみ処理」問題 社会 アメリカ ニューヨークにおけるシリコンバレーとSOHOの発展 (ⅱ) 短期語学留学 夏期休暇を利用した3週間から4週間の短期間、国外の大学での外国語研修 に参加することにより、実践的な語学能力の強化を目指すことを目的とした制 度である。平成 13 年度現在の相手校は次頁の表に示すとおりである。二つの協 定大学を含め、高い評価を得ている5大学の夏季英語集中プログラムから、地 域や大学の個性にあわせ、自分にあった最適のプログラムを選択することがで きるようになっている。 また、この留学成果を3学部とも平成 11 年度から、それぞれの学部の外国語 科目の単位として認定することとした。 大 学 名 国 名 開始年 カリフォルニア大学サンディエゴ校 アメリカ 平成 04 年(1992) リヨン第2大学 フランス 平成 07 年(1995) ハレ=ヴィッテンベルク大学 ドイツ 平成 08 年(1996) セント・マイケルズ大学 アメリカ 平成 13 年(2001) オハイオ大学 アメリカ 平成 13 年(2001) 平成 10 年度以降の実績を示すと下表のようになる。 10 年度 11 年度 12 年度 13 年度 リヨン第2大学 22 0 0 29 ハレ=ヴィッテンベルク大学 30 35 28 29 セント・マイケルズ大学 - - - 16 オハイオ大学 - - - 5 31 20 21 14 カリフォルニア大学サンディエゴ校 (ⅲ) 日独国際交流セミナー ドイツのミュンヒェン大学学生と本学学生が春季休暇中に合宿を行ない、共 同生活を通して互いの言語に関する知識の確認、増強に努めながら、両国の文 化について理解を深めるものである。 このセミナーは平成2年から始まったが、同 11 年度以降はミュンヒェン大学 側の都合により、一時中止になっている。 以上のように、国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための本学の措 置は適切であると考えるが、さらに国際レベルでの教育研究交流を進めるため に、平成 13 年度には次頁の表の大学との間でほぼ同数の留学生を交換しあう協 定が結ばれた。交換留学生は授業料その他を所属大学に納入し、受け入れ大学 の授業料その他は免除されることになっている。 大学名 国 名 受入・派遣定員 開始年度 高麗大学 韓 国 5名 平成 14 年度 セント・マイケルズ大学 アメリカ 若干名 平成 15 年度 ケント大学 イギリス 若干名 平成 15 年度 平成 14 年度には高麗大学の学生4名を受け入れるとともに、本学からも2名 の学生を送りだしている。 受入れ留学生のために、本学では英語による East Asian Studies (10 科目) を平成 15 年度から開講する予定である。これらの科目については、一定水準以 上の英語力を有する本学学生にも開かれており、卒業必要単位として認定され ることになっている。 このように、本学では国際レベルでの教育研究交流がさらに緊密になること が確実なため、武蔵国際センター(Musashi International Studies Centre) を平成 14 年 4 月1日に発足させた。センターは専任教員から選出されるセンタ ー長と事務長以下の事務職員から組織され、センター長と各学部から選出され る8名の委員で構成される国際センター会議及び、14 名の委員で構成される国 際交流委員会がその運営にあたることになっている。 平成 13 年度現在の協定大学は、韓国の高麗大学を除くと全て欧米系の大学で あるので、今後、国際センターではアジア諸国の大学を含め、協定校を増やす 方向で、検討を始める予定である。
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