グローバルビジネスで求められるのは ダイバーシティーを活用した新しい

1863.グローバルビジネスで求められるのは ダイバーシティーを活用した新しい価値創造
日経 Biz アカデミー2013.6.11.セミナー体験記
(傍線:吉田祐起引用)
■ゴーン革命を支えた野口氏が語りかける
グローバル化が一層進んでいる。多くのビジネスパーソンにとって英語力習得、グローバル化へ
の対応は関心の高いテーマだろう。
カリスマ経営者、カルロス・ゴーン氏が導いた改革で復活した日産自動車はグローバル化対応の
成功企業だ。現在ではグローバルの従業員数20万人のうち6割以上を外国人が占め、海外の生
産拠点は50を超える。
野口恭平氏は日産自動車 IP(インテレクチュアル・プロパティ)プロモーション部部長。2012年から事業
構想大学院大学教授も務める。1995年から5年間、米国ロサンゼルスに駐在した経験がある。 03年か
らはグローバルマーケティング部部長を務めた。
ゴーン革命を支えた現同社 IP プロモーション部部長であり、2012年からは事業構想大学院大学
で教壇に立っている野口恭平氏によるセミナーがあると知り、初夏の某日、会場に出掛けた。
世界的な教育・出版企業である英国のピアソンと日本経済新聞社が提供するオンラインでの英
語教育教材「Global English 日経版」のサービス開始を記念したセミナーだ。会場後方には
「Global English 日経版」の体験コーナーも設けられていた。午後6時30分の開場後は、2000人
もの応募者から選ばれた150人の参加者で、会場はすぐ一杯になった。
■フランス人もグローバル化は嫌々受け入れた
「ルノーとの提携後、『シナジーを模索せよ』との社命を受け、フランスに飛んだ。驚いたのは、フ
ランス人は私より英語が下手ということ。『なぜ日産を買ったのか。おかげで英語を学ばねばなら
ず、有難迷惑だ』と彼らはぼやいていた。フランス人は自国文化に誇りを持っている。英語を話せる
のはエリートで、多くは嫌々、英語を学んでいた」。思わずフランス人に共感を覚えるこんなエピソ
ードを紹介しつつ、セミナーは始まった。
そもそも野口氏とグローバルビジネスの関わりは1995年、ロサンゼルス勤務になってから。そ
れまで英語力に自信はなかったが、「グローバルビジネスは外国人と丁々発止のやり取りをするイ
メージ。国際企業に入社したからには、グローバルにビジネスをしてみたい」と思っていたという。
■複雑系グローバル化の時代に必要な論理とは?
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しかし、その夢は破れる。「現地法人の日本人は自分たちだけで固まる、日本流を押し付ける、外
国人との議論を避ける、という状態。外国人も『日本人は ○○だ』と型通りの考えで、相互理解でき
ていなかった」。日産に限らず、1990年代の多くの日本企業の海外拠点は、こんな状況だっただろ
う。野口氏いわく「マルチナショナル(多国籍企業)だが、本社と海外支社が主従の関係」にある状
態だ。
アラン・マルコム氏はピアソン・ジャパン株式会社の Director of Sales&Marketing。
流ちょうな日本語で、かつ冗談も交えながら話した。
日産ではその後、アジア、米国、欧州・中東・アフリカという世界3極のマネジメント体制、CFT(ク
ロスファンクショナルチーム)や V-up というグローバルな問題解決手法の採用などで旧来の状態
を改め、「グローバル統合企業」へと脱皮していく。
「20世紀までは単純グローバル化の時代だった。そこを支配するのは生産の理論であり、規模
の経済が働き、標準化や合理化が志向された。21世紀は複雑系グローバル化の時代。市場創造
の論理で考える必要がある」と野口氏は強調する。
■人間力、専門性のある人材が価値創造できる
「市場創造の論理」とは何だろう。それは、多様性(ダイバーシティー)ゆえに芽がある新しい価
値の創造のこと。そのためには、多様性を適切に活用し、マネジメントして行くことが大切だ。ダイ
バーシティーというと、「女性や高齢者の活用」に目が向かいがちだが、本来的には国籍、ライフス
タイル、価値観、学歴など、様々な要素が異なる者を活用すること。彼らが持つ多様な意見や感性
をベースに、新しい価値やソリューションを生み出すことこそ、市場創造への道とな る。
これは図式化すると、「異なる者による議論→対立の発生→新しい価値の創造」となる。2つ目の
ステップは、なぜ起こるのか? この化学変化について、野口氏は「(1)相手の意見の理解、(2)自
分の意見の的確な発言、(3)共通点、相違点の整理・認識、(4)価値の創造」と、4段階があるとす
る。(3)(4)間はこれまたブラックボックスだが、「創造はクリエイティブなこと。人間力、専門性がキ
ーワードになる」と解説する。
■どんな発言でも無言より価値がある理由とは?
気になる英語力については、意外なことに「英語力は帰国後のほうが伸びた」という。5年間のロ
サンゼルス勤務から帰国してからだ。テレビ会議には世界中のカウンターパートナーが参加する。
みんなの議論に、いかに“excuse me”と割り込むか。面と向かっていないだけに、無言でいると、
後で『あれ、参加していたの?』となりかねない。度胸と瞬発力が鍛えられたというわけだ。
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アラン氏のプレゼンの様子。ミシェル・オバマ米大統領夫人の写ったミーティング風景、
会議中の居眠り風景などのスライドを映し出し、巧みな冗談で会場を沸かせた。
「実際、ルノー・日産グループは、英米人より、フランス人やアジアの国の人など非英語圏の従
業員のほうか多い。ネイティブ並みの英語力は必要ない」と野口氏は言う。その上で「かっこいい発
言をしようと気負うから、話し出せない。無言でいるぐらいなら、会議に価値をもたらさない内容でも
発言すべし。少なくとも、メンバーに自分の人柄を知らせることができる」と続ける。
■扇の要になるには専門性が必要
野口氏はさらに「自分の専門分野のほか、自国の文化、時事問題など、『活きた話題』がパーソナ
ルコミュニケーションを助ける」という。抽象的だが、自己アイデンティティー、自己ブランドが大切と
いうこと。端的に言うと専門性ということだ。
野口氏は、南アフリカのケープタウンで開かれた国際会議に出たことがある。参加者は20人で
日本人は野口氏だけ。「本社は何を考えているのだ」と厳しく責められる中、なんとか説明し、理解
してもらえたのも、当時携わっていた仕事の専門性を磨いていたから。だからこそ多様な意見をベ
ースに次なる戦略という「新しい価値」を築けたと感じている。
「結局は個人が組織を作る。グローバルに通用する組織に変革するには、グローバルに通用す
る個人を築かねばならない」と野口氏。何事もそうだが、グローバル化対応もやはり自己学習に励
むことが大切なんだと再認識した。
■言いたいことを言える自信が身に付くツール
セミナーの第2部には、ピアソン・ジャパンの Director of Sales&Marketing であるアラン・マ
ルコム氏が登壇した。同社の「Global English」はファイザー、IBM、シティバンク、シーメンスなど
2000社ものグローバル企業で社員教育ツールとして採用されている。
アラン氏は流ちょうな日本語で話し始めた。「私はニュージーランド出身で、発音がおかしいと指
摘されるが、言いたいことを言っている。発音は、自信をもって話せる程度できれば十分」とし、
「Global English」には発音トレーニング機能があることを説明した。ほかにも会話、プレゼンテー
ションの構成、e メールの英作文など、多くのトレーニング機能があるという。
「同じシステムで学んでいる仲間同士がつながるSNSも利用できる。SNS上に疑問を投げかけ
ておくと、世界中の仲間から助言をもらうことができるだろう」(アラン氏)。
■英語力がないだけで年間1億円ものロスが発生
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アラン氏の説明は続く。「ビジネス英語の力が低いと、e メールの作文に手間取るなど生産性の
ロスが1週間に2時間も生じるとされる。コストを1時間15ドル、年間の労働を45週間とすると、
1000人規模の企業では年間100万ドルものロスになる。昨日のレートだと1億1000万円。この半
分、いや10分 の1の投資で Global English を学ぶ機会を得られる」。
日本ではピアソンと日本経済新聞社が共同開発した「Global English 日経版」のサービスが4
月24日から始まっている。単に英語力だけでなく、日経新聞と英 Financial Times の最新記事を
教材化するなど、ビジネス力の強化にも重きを置いている。
セミナー後は、会場後方の体験コーナーに長い列ができた。多くの人が「Global English 日経
版」に興味を感じているようだった。
ヨシダコメント:
直前号「No.1862:私はこうして英語をマスターし、外資系企業のトップになった!日経 Biz アカ
デミー2013.6.11.浅見隆(元・レブロン代表取締役社長)」に続いて、英語力の大事さに関する
記事。ことほど左様に日本人に求められるものは英語力だと認識すべきです。
考えてみるに、ヨシダがこの年齢になってでも、此処フィリピンで生きていける理由は「ヨシダの英
語力」にあることです!語学力が何処で活かされるか、長い人生でははかり知れません。
日本人の英語学習観は独特のネギャティヴな面が否定できません。「日本語も充分でない時代か
ら英語を学ぶ必要なんてない・・・」はその最たるもの・・・。
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DIAMOND Online 2013.5.8.文・撮影/志賀和民
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