第175回(平成26年7月13日施行) 2級 第1問 本問は,基本的な取引の仕訳を問うものである。 1.売上代金の一部について荷為替を取り組んだときは,振り出した為替手形を銀行で割 り引くので,手形の売却として受取手形勘定の貸方に記入し,割引料を手形売却損勘 定,手取額を当座預金勘定の借方に記入する。 2.法人税の中間申告を行ったときには,仮払法人税等勘定で処理する。 3.提携店の商品券で商品を売り上げたときは,資産の勘定である他店商品券勘定で処理 する。 4.支店が純損失を計上したとき,支店では損益勘定から資本金勘定に相当する本店勘定 の借方に振り替える。 5.商品の仕入代金として自己宛為替手形を振り出したときには,支払手形勘定で処理す る。商品代金の内金は前払金勘定で処理し,引取運賃は原価に算入する。 6.修繕引当金が設定されている固定資産の修繕を行ったときには,前期末決算で費用計 上ずみの修繕引当金と修繕代金との差額を,当期の修繕費として計上する。 7.株式の発行に伴う払込金額のうち,資本金に計上しないこととした額は,資本準備金 勘定で処理する。なお,会社設立に要した諸費用を繰延資産として計上する場合,創 立費勘定に記入する。 第2問 本問は,諸勘定が簿記の諸要素のいずれに属するのかについての判断に基づいて, 以下の簿記の基本等式についての理解を問うものである。 貸借対照表 ・資産=期末負債+期末純資産 ・期末純資産-(期首純資産-引出高+追加元入高)=当期純利益(△純損失) ↳期末元入純資産 損益計算書 ・収益総額-費用総額=当期純利益(△純損失) ・純売上高-売上原価=売上総利益 純売上高=総売上高-売上返品・値引高 売上原価=期首商品棚卸高+(総仕入高-仕入返品・値引高)-期末商品棚卸高 ↳純仕入高 第3問 本問は,仕訳の分業,転記の合理化を行う複合仕訳帳制(分割仕訳帳制)につい ての理解を問うものである。 仕訳については,現金の収納取引は現金収納帳に貸方の相手勘定科目のみを記入し,売 上取引(返品・値引)は売上帳に借方(貸方)の相手勘定科目のみを記入する。 転記については,得意先元帳には債権管理のため個別転記を行い,総勘定元帳には特別 欄が設けられた売掛金勘定には合計転記,諸口欄の勘定には個別転記を行う。ただし,他 の仕訳帳に取引または取引の一部が記入され,二重仕訳となっているものについては,二 重転記とならないようにする必要がある。したがって,得意先元帳への転記がない記入に ついては,チェック・マークを付けなければならない。 第4問 本問は五伝票制における伝票の記入方法および仕訳集計表の作成方法を問うもの である。 入金伝票には借方が現金,出金伝票には貸方が現金,売上伝票には貸方が売上,仕入伝 票には借方が仕入(赤字記入の場合は貸方が仕入) ,となる取引が,相手勘定科目のみを記 入し起票される。仕入伝票・売上伝票は,すべて掛け取引として商店名のみが記入され, 掛け取引以外の売買については,掛で取引した直後に,掛け代金を決済したとみなして他 の伝票に起票する。 第5問 本問は,付記事項と決算整理事項に基づいて記録の修正を行った上で,損益計算 書と貸借対照表を精算表上で作成する方法を問うものである。 ①付記事項と決算整理事項を,期中に記録がある勘定は金額のみ,記録がない勘定は勘定 科目を記入した上で整理記入欄に貸借記入する。 ②収益・費用の勘定に,整理記入欄の修正額を加減し,損益計算書欄に書き移す。 ③資産・負債・資本の勘定に,整理記入欄の修正額を加減し,貸借対照表欄に書き移す。 ④損益計算書欄の合計額を計算し,貸方の収益合計が大きい場合は当期純利益であるから 借方に記入し,合計額で計算結果を照合する。当期純利益は資本の増加であるから貸借対 照表欄の貸方に書き移し,貸借対照表欄の合計額の一致によって当期純利益を検証する。
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