問題 次の文章を読んであなたが考えたことを、句読点とも800字以上1000字以内で述べ なさい。 近所付き合いしやすい賃貸 共有スペースや交流イベント アパートなどの賃貸住宅で、入居者が近所付き合いをしやすくなるように工夫した物件 が注目されている。 「コミュニティー賃貸」と呼ばれ、入居者同士だけでなく地域住民との 交流に取り組む例もある。 東京都足立区の賃貸アパート(11戸)では、町内会への加入を入居者に勧め、納得して もらっている。昨年2月の入居開始以来、隣接する公園の清掃のほか、防火訓練、餅つき大 会など、地域活動に積極的に参加する。 入居者の主婦(31)は「地域の人たちに子どもを見守ってもらえ、いざという時に安心。 子ども自身の体験も豊かになる」と、夫を説得して入居した。6月に子どもが生まれたばか りで、7月には盆踊りに参加した。 「ぜひ運営にも関わりたい」と話す。 オーナーの男性(51)は町内会の役員も務める。「地域は高齢化が進んでいる。若い世 代に長く入居してもらい活気を取り戻したい」と話す。 総務省の統計によると、全世帯の3分の1が賃貸住宅だ。一般的には近所付き合いが薄い と言われるが、コミュニティー賃貸は共用スペースを設けたりイベントを開いたりするこ とで、入居者らが交流しやすくしている。一人暮らしの若者が共同生活をするシェアハウス が注目を浴びたのを契機に、コミュニティーの良さが再評価されるようになったことが背 景にある。 オーナー側には空室対策という面もある。相続税の評価額が下がる賃貸住宅の新築が続 き、入居者の獲得競争が激しくなっている。住宅サイト「SUUMO(スーモ) 」編集長、 池本洋一さんは「コミュニティー賃貸は人と人とのつながりが強いので、愛着もわきやす い。入居者に長く住んでもらえることにもつながる」と話す。 敷地や施設を地域住民に開放し、街づくりに貢献しようとする物件もある。 埼玉県越谷市の賃貸アパート(19戸)には、カフェスペースが設けられ、有志の4世帯 が日替わりで運営。地域住民が気軽に足を運び、食事や会話を楽しむ場になっている。有料 のレンタルスタジオは、地域住民らのフラダンスや絵画の教室に使われ、親子連れなどが訪 れる。 中庭に面した住戸はアトリエ付き。同アパートのオーナーの男性(56)は「グラフィッ クデザイナーの入居者が地域イベントに協力するなど、交流も生まれている」と話す。 昨年3月から入居が始まった神奈川県座間市の賃貸集合住宅は、小田急電鉄が自社の社 宅を改修して出来た。建物や敷地内に子育て支援施設や貸農園を設け、地域に開放してい る。 ただ、こうした物件の情報は、まだ見つけにくい。千葉大学教授の小林秀樹さん(住環境 計画)は「オーナー自らホームページでPRする例が多いが、住宅情報サイトが情報をまと めて紹介するといった取り組みが望まれる」と指摘する。 入居する際の注意も必要だ。住宅ジャーナリストの山本久美子さんは「人によって求める 近所付き合いの濃さは異なる。場合によっては負担に感じてしまう。入居を決める前に自分 に合っているか十分検討してほしい」と助言する。 (読売新聞 2016年8月23日 朝刊)
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