山口 渚

第 3 回 H/ASCA 展
入賞者香港表彰旅行(平成 27 年 3 月)を終えて
名古屋芸術大学
名古屋芸術大学 4 年 山口 渚
3 月 14 日から 17 日の間、私は香港のアートバーゼル視察旅行へと向かいました。
私はアーティスト志望で、名古屋芸大の大学院への進学が決まっていました。私は階段をモチーフとした作品を
学部の時から数多く制作してきました。だけど、自分の作風が周りの人から受け入れられなくて、親や兄弟から
は「訳が分からない、昔の、高校時代の作風に戻してほしい」と何度も言われたこと、または今はインスタレー
ションや映像作品などが海外では流行っているという情報を聞き、
油彩画をこのまま描き続けていいのだろうか
と迷っていました。しかし、実際にアートバーゼルに行ってみる
と、実際はインスタレーションや映像作品よりも絵画作品の方が
圧倒的に多いこと、そして並外れたな技術と表現力を持つ作品の
数々に圧倒されました。どの作品もいきいきとしていて、かつメ
ッセージ性がありました。自由な作風の作品達を見て、周りが何
と言おうと、今の自分の作風を極めていけばよいと、少し勇気が
湧いてきました。だけど自分には足りないものも存在しており、
今回のアートバーゼルのような世界を相手にアピールするために
は、作品を制作するための圧倒的な技術や表現力、英語やフラン
ス語などの語学力、そして自分が世界に羽ばたくために一歩踏み
出すための勇気が必要で、外の評価に怖気づかず、自分の腕と感
性を磨き続けてゆきたいと思いました。バーゼルでは現在活躍中
の村上隆氏や奈良美智氏、草間彌生氏などの日本のアート界の重
鎮の他にも、今は亡きパブロ・ピカソやマルク・シャガール、フ
ランシス・ベーコンの作品が間近で観ることができたということにとても感動いたしました。世界で認められた
現代アーティストの方々の作品や様々な時代を彩ってきた偉大な画家たちの作品を間近で、ガラスケースなども
なしで観ることができるということは日本では考えられないことで、多くの様々な人種の人達が来て、観ている
ことは日本よりかなりアートの力が強く、進んでいる、アジアのアートの中心である香港に感心してしまいまし
た。もっと観たいと思っても、全ての作品を観ることは残念ながら出来ませんでした。それほどに全ての作品の
一つひとつがすばらしく、魅入ってしまいました。
今回、この H/ASCA 展に選出されるために夏頃から作品を描き始め、選出され、このような自分にとって、勉強
となる刺激的な実りのあるすばらしい旅となり、努力してきて本当に良かったと思います。このような素晴らし
い経験をすることができたのも指導をしてくれた大学の先生方や共に支えあった仲間たちとこのような機会を
提供して下さった、堀科学芸術振興財団の皆様のおかげです。今回の経験を今後の作品制作に活かしてゆきます。