馬場智一 (ババ トモカズ) 助教 学位等 博士(学術)・一橋大学・ 2008 年 博士(哲学)・ パ リ -ソ ル ボ ン ヌ 大学・2013 年 所 属 多文化コミュニケーション学科・国際地域文化専攻 研究室 ヨーロッパ研究 担当科目 ヨーロッパ研究、人間と文化、思想と人間、フランス語 I、フランス語 II、共 通教養演習、卒業研究(ヨーロッパ研究) 所属学会 日本哲学会、日本フランス語フランス文学会、日本倫理学会、社会思想史学会、 実存思想協会、日本現象学会、京都ユダヤ思想学会、一橋哲学・社会思想学会 【1】 研究活動 専門 哲学、倫理学、思想史、混成語論 中心的な問題関心 日本も含む世界の近代化を押し進めたヨーロッパ思想の功罪を、今日どのように評価すればよ いのか、こうした問題関心から、種々の要素の異種混交のプロセスとしてヨーロッパ思想の歴 史を捉え直す研究をしています。 これまではとりわけ 20 世紀における哲学史解釈に着目し、リトアニア出身でフランスに帰化 したユダヤ人哲学者エマニュエル・レヴィナスとドイツの哲学者マルティン・ハイデガーの関 係を中心に研究してきました。 この問題関心を中心にして発表してきた研究成果には、次の 5 つの焦点があります。また、現 代哲学や思想の重要な文献を日本語に翻訳紹介しています。 研究の 5 つの焦点 1. 異 教 概念 に関 す る研 究 :「 ヨー ロッ パ」 とそ の他 者と いう 区分 を成 立さ せる 概念 の一 つと しての「異教」に着目し、その成り立ちと翻訳史、ヨーロッパ思想上の変遷とレヴィナス におけるその役割について研究しました。 2. 西洋哲学の異種混交性と同質性: 19 世紀〜20 世紀のユダヤ系哲学者の研究を中心としつ つ、西洋哲学が含む異種性(ユダヤ教思想、キリスト教思想、ギリシア哲学、近代哲学) について研究してきました。 3. 比較思想に関する研究:ユダヤ思想も含めたヨーロッパ思想と東洋思想との対話を通じた、 あらたな「普遍」概念の構築を目指した研究。 4. 身体、他者、自然の経験に関する哲学・倫理学的研究:以上の思想史的作業を基盤に、現 代 哲学 に関 する 研究を進 め、 自我 を中 心とする 哲学 がこ れま で軽視し てき た身 体的 経験 、 他者との共同性、自然(風景)の経験 に ついて の 哲 学 的 ・ 倫 理 学的研 究 を 進 め て い ま す。 5. 現代社会が抱える問題の哲学的考察:3.11 以降むき出しになった現代社会の抱える矛盾を、 哲学的に考えています。 研究成果 1. 異教概念に関する研究 1)「根源への思考としての『住むこと』とパガニスム批判―レヴィナスとハイデガー」,『一 橋論叢』132 巻 2 号, 日本評論新社, 2004 年 9 月号, pp.121-137, 2004 年 .(論文・単著・査読 有) 2)「レヴィナスにおける存在者の文明論的諸様態―ユダヤ、キリスト教西欧、異教」,『レヴ ィナスと実存思想』, 理想社, 実存思想論集 XXII, pp.111-127, 2007 年 6 月.(論文・単著・ 査読有) 3) « Du mode d’existence païenne selon Levinas », Cristian Ciocan (eds.), Philosophical Concepts and Religious Metaphors: New Perspectives on Phenomenology and Theology , special issue Studia Phaenomenologica 2009, Zeta Books, 2009 年, pp. 195-222.(論文・単著・査読有) 4)『倫理の他者—レヴィナスにおける異教概念』勁草 書房, 2012 年 3 月, 494 頁.(書籍・単著) 5) 「「ヨーロッパ」への抵抗 ―リオタールにおける「異教」」, Philosophy in the Age of Globalization, vol. 5 : 「ヨーロッパ」とその他者, CPAG, 2015 年, pp. 57- 70. 2. 西洋哲学の異種混交性と同質性 1)「哲 学と 法― 初期 レオ ・シ ュト ラウ スに よる マイ モニ デス 解釈 の基 礎と その 関心 」 , 『思 想』(第 1014 号), 岩波書店, 2008 年 10 月, pp. 141-155. (論文・単著・査読無) « L’actualité de Maïmonide chez Jacob Gordin : Notes de lectures pour l’étude de la genèse de la vision de l’histoire de la philosophie occidentale chez le jeune Levinas » 『人文・自然研究』第五 号, 一橋大学大学教育研究開発センター, 2011 年 3 月, pp. 380-404. (論文・単著・査読無) 2) « Les juifs et la Surnature – Jacques Maritain et Emmanuel Levinas (1921-1947) », Hitotsubashi Journal of Social Studies, vol. 43, no. 1, July 2011, pp. 31-42.(論文・単著・査読無 ) 3)「レヴィナスにおけるブランシュヴィク受容―「無神論」と「成年者の宗教」」, 『フラン ス語フランス文学研究』100 号, 日本フランス語フランス文学会 , 2012 年, pp. 255〜272.( 論 文・単著・査読有) 4)「ユダヤ 哲学か ら西 洋哲学批判 へ ―ジ ャコ ブ・ゴルダ ンと初 期レ ヴィナス」 , 『 哲学』 第 六三号, 2012 年, pp. 181〜195 頁. (論文・単著・査読有 , 2011 年度日本哲学会若手研究者奨 励賞受賞論文) 5)三崎和志・水野邦彦編『西洋哲学の軌跡 デカルトからネグリまで』晃洋書房 , 2012 年. (担 当:「マルチン・ハイデガー ―存在の歴史との対話」 , pp. 144-154 頁)(書籍・共著) 6)「二つのモナド論のあいだで―フッサールとハイデガーの聴講者レヴィナス」,『倫理学年 報』, 第 64 集, 2015 年, pp. 161- 174.(論文・単 著・査読有) 7) 「全体性の彼方へ―コーヘン、ゴルディーン、レヴィナス 」, 『京都ユダヤ思想研究』, 第 6 号, 2015 年(掲載頁未定)(論文・単著・査読有) 8)「「 ユ ダ ヤ 哲 学 」 の 核心 と し て の 無 限 判 断 ―ゴ ル デ ィ ー ン 『 無 限 判断 の 理 論 へ の 探 求 』に おけるその根拠と問題」 『人文・自然研究』第 7 号, 一橋大学大学教育研究開発センタ ー, 2014 年 4 月, pp. 206-222. (論文・単著・査読無) 3. 比較思想に関する研究 1)中島 隆博 ・馬 場智 一( 編)『グ ロー バル 化時代 にお ける 現代 思想 vol.1 香 港 会 議』 , 東 京 大学東洋文化研究所グローバル化時代における現代思想, 2014 年 1 月, 全 178 頁. (科研費 報告書・共編) 2) NAKAJIMA Takahiro and BABA Tomokazu (eds.), Contemporary Philosophy in the Age of Globalization vol. 3 Hawai‘i Conference, Contemporary Philosophy in the Age of Globalization, Institute for Advanced Studies on Asia, March 2014, 119 p. (科研費報告書・共編) 3) NAKAJIMA Takahiro, LAM Wing-keung and BABA Tomokazu (eds.), Contemporary Philosophy in the Age of Globalization vol. 4 ANU Workshop : After New Confucianism, Whit her Modern Chinese Philosophy ?, Contemporary Philosophy in the Age of Globalization, Institute for Advanced Studies on Asia, March 2014, 137 p. (科研費報告書・共編) 4)「儒教、ユダヤ教、哲学 ―一九五七年ティウムリリンヌ会議における今道友信とエマニュ エル・レヴィナス」『現代思想 いまなぜ儒教か』, 青土社, 2014 年 3 月, vol.42-4, pp. 192-205. (論文・単著・査読無) 5) “The Paths to the Universal: Imamichi and Levinas in 1957 at Tioumliline”, ISHII Tsuyoshi (ed.), Humanizing Asia: Rethinking Literature and Arts under the Situations of the Cold War , ICCT Series 2, UTCP Uehiro Booklet 6, UTCP / ICCT, 2014, pp. 11-30(論文・単著・査読無) 4. 身体、他者、自然の経験に関する哲学・倫理学的研究 1)「匿名態と主体の豹変―エマニュエル・レヴィナスにおける『転回』問題の為の予備的考 察」、『ニヒリズムと宗教的なるもの』、理想社、実存思想論集 XVIII、pp.115-131、2003 年 9 月. (論文・単著・査読有) 2) 木 村 博編 『フィ ヒテ「 全知 識学の 基礎」 と政 治的 なもの 』創風 社 , 2010 年 , ( 担 当: 「承 認と応責―フ ィヒテと レヴィナスに おける “自 然状態におけ る闘争 ”へ の二つの批判 」、 pp. 157-185.)(書籍・共著) 3) Danielle Cohen-Levinas, Gisèle Bergman (eds.), Figures du dehors - Autour de Jean-Luc Nancy, Éditions Nouvelles Cécile Defaut, 2012 年 . ( 担 当 : « Déconstruction du paysage : Espquisse d’une problématique chez Jean-Luc Nancy », pp. 311-326)(書籍・共著) 4) « Réduction lévinassienne de la philosophie moderne à travers les vécus marginalisés » Augustin Serrano de Haro (eds.), Investigaciones fenomenológicas, vol. Monogràfico 4/II (2013) : Razón y vida, pp. 39-59. (論文・単著・査読有) 5. 現代社会が抱える問題の哲学的考察 1) « Philosophes à l’écoute dans la catastrophe continue », Phasis, n° 2, 2014, pp. 35-47 6. 現代哲学の翻訳 1) アラン・バディウ『世紀』(原著仏語), 馬場智一・松本潤一郎訳 , 長原豊監訳, 藤原書店, 2008 年 5 月, 全 392 頁, 担当部分 151-320 頁. 2) ルイ・サラ-モランス『ソドム 法哲学への銘』(原著仏語), 馬場智一・柿並良佑・渡名 喜庸哲訳, 月曜社, 2010 年, 全 395 頁, 担当部分 11-21 頁, 129-259 頁. 3) ジャック・デリダ『哲学への権利 1』 (原著仏語), 馬場智一、西山雄二、立花史人共訳、 み すず書房、2014 年, 全 309 頁, 担当部分 pp.169-265. 4)ミヒャエル・クヴァンテ『人間の尊厳と人格の自律』(原著独語), 馬場智一ほか訳, 法政 大学出版局, 2015 年, 全 350 頁 【2】地域との連携 研究・教育以外では、これまで主に通訳(フランス語、英語、希にドイツ語。文化、芸術、教 育、社会問題などの分野)を通じて社会貢献に努めてき ました(長野県に関係するも のとして は 2)。これとは別に、2013 年から一般向けの哲学対話のファシリテーションを始めました(1) (3)。 今後は、こうした活動を通じ地域との連携を強めてゆきたいと考えています。 1. 【哲学対話ファシリテーター】絵本を題材にした親子哲学対話, 東京都多摩市, 唐木田コミ ュニティーセンター, 2013 年 12 月 8 日. 2. 【 通 訳 : 日 ・ 仏 】 シ ン ポ ジ ウ ム 「 音 風 景 の 可 能 性 —音 を 通 し て 見 え て く る も の 」 長 野 県 茅 野市, 茅野市民館, 2014 年 3 月 23 日. 3. 【哲学対話ファシリテーター】絵本を題材にした親子哲学対話, 東京都多摩市, 唐木田コミ ュニティーセンター, 2015 年 3 月. 【3】その他の業績、最新の活動について 個人ホームページを参照:http://tomokazubaba.jp
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