ポスターセッション

ポスターセッション
P-01 幼児特発性肺ヘモジデローシスの一例
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 放射線科
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 小児科
武藤 絢子、山田 隆之、熊野 玲子、立澤 夏紀、村上 健司、昆 祐理
山下 敦己、栗原 八千代、瀧 正志
P-02 十二指腸潰瘍により穿通した肝嚢胞の一例
聖マリアンナ医科大学 放射線科 千早 啓介、野津 和仁、荒井 保典、森本 毅、宮川 国久、中島 康雄
P-03 多発骨髄炎と皮膚潰瘍を来した全身播種性非結核性抗酸菌症の1例
聖マリアンナ医科大学病院放射線医学講座 和田 慎司、丸山 泰貴、松下 彰一郎、藤川 あつ子、栗原 泰之、中島 康雄
聖マリアンナ医科大学病院総合診療内科学講座 山崎 行敬、根本 隆章、中谷 信一、松田 隆秀
聖マリアンナ医科大学病院病理学講座 遠藤 陽、干川 晶弘、高木 正之
P-04 ヨード造影剤投与後副作用不確定例のその後の経過
三井記念病院 放射線診断科 阿部 彰子、衣袋 健司、福田 穂積、竹口 隆也、戸邉 公子
P-05 右肝円索を有する肝臓9例における脈管解剖:肝臓の左右対称性について
三井記念病院 放射線診断科 衣袋 健司、竹口 隆也、福田 穂積、阿部 彰子、戸辺 公子
P-06 乳腺Pseudoangiomatous Stromal Hyperplasia(PASH)の1例
防衛医科大学校病院 放射線科 江戸 博美、新本 弘、田村 千春、中森 貴俊、山田 謙太郎、渡邉 定弘、岡村 哲平、
川内 利夫、曽我 茂義、林 克己、喜多 保、小須田 茂、加地 辰美
防衛医科大学校病院 乳腺外科 守屋 智之
防衛医科大学校病院 病理 岩屋 啓一 P-07 縦隔に発生した炎症性偽腫瘍の1切除例
横須賀共済病院 放射線科
月永 晶人、小山 新吾、辻 厳吾、小林 愛、池田 新、青木 利夫、能谷 雅文、吉儀 淳
横須賀共済病院 呼吸器外科 諸星 隆夫
横須賀共済病院 病理科
津浦 幸夫
P-08 MDCTにて診断された左肺底区動脈大動脈起始症の3例
横須賀共済病院 放射線科 守山 英則、池田 新、辻 厳吾、小林 愛、小山 新吾、青木 利夫、能谷 雅文、吉儀 淳
横須賀共済病院 呼吸器外科 諸星 隆夫 P-09 CTにて肝転移の診断が困難であった肺小細胞癌の一例
独立行政法人 国立国際医療研究センター 放射線科
独立行政法人 国立国際医療研究センター 呼吸器内科
要 博子、蓮尾 金博、増田 敏文、岡藤 孝史、中山 智博、江上 順子、
和田 達矢、石松 慶裕、渡口 真史、坂井 鈴子、山崎 宙士
飯倉 元保 P-10 穿孔を来した小腸原発悪性リンパ腫の2例
独立行政法人国立病院機構 横浜医療センター 放射線科 椎名 丈城
P-11 術前腹部3D-CTA撮影における逐次近似処理を用いた被曝低減の試み
日本医科大学付属病院 放射線科 會田 久美子、町田 幹、箱崎 謙太、日高 史貴、杉﨑 健一、高木 亮、林 宏光、汲田 伸一郎
P-12 骨盤内に発生した腸管外GISTの一例
日本医科大学付属病院 放射線科 青島 雅人、箱崎 謙太 、會田 久美子、織田 絵里香、町田 幹、村上 隆介、汲田 伸一郎 P-13 転移性肝腫瘍・脾腫瘍との鑑別に苦慮したMTX関連リンパ増殖症の一例
埼玉医科大学総合医療センター 放射線科 渡部 渉、長田 久人、岡田 武倫、大野 仁司、柳田 ひさみ、河辺 哲哉、本田 憲業
埼玉医科大学総合医療センター 病理部
東 守洋、田丸 淳一 P-14 皮下脂肪吸引後の腹部CTの一例
都立墨東病院 診療放射線科 松岡 勇二郎、高橋 正道、安武 毅、小山 和行
都立墨東病院 感染症科
鷲野 巧弥、大西 健児 P-15 健診にて発見された胸部弓部大動脈瘤を契機に診断に至ったPHACES症候群疑診の1例
東海大学医学部画像診断学
東海大学医学部心臓血管外科学
東海大学医学部病理診断学
森 なお子、市川 珠紀、柳町 徳春、丹羽 徹、今井 裕
志村 信一郎、田中 千陽
熊木 伸枝
P-16 妊娠・授乳中に増大した乳房デスモイド腫瘍の一例
日本赤十字社医療センター 放射線科 土井下 怜、扇 和之、堀田 昌利、原田 明典、山下 晶祥、横手 宏之、
佃 俊二、小堀 賢一、山田 哲久
日本赤十字社医療センター 乳腺外科 増田 亮
P-17 出血性壊死を伴った中葉捻転の診断にCTが有用であった1例
茅ヶ崎市立病院 放射線科 上出 浩之、駒形 高信、野村 幸一郎、芹沢 信一郎 P-18 画像診断で経時的変化を追えた肝の結節性再生性過形成の一症例
順天堂大学練馬病院 放射線科
順天堂大学練馬病院 総合外科
順天堂大学練馬病院 消化器内科
順天堂大学練馬病院 病理診断科
順天堂大医学部放射線診断学講座
朝比奈 泰斗、尾﨑 裕、玉井 光邦、天野 真紀、菅野 直美、平井 祟久、伊藤 佳菜
藤澤 稔、児島 邦明
大久保 裕直
松本 俊治
桑鶴 良平、青木 茂樹 P-19 PET-CTにて胸椎病変にのみ集積を示したSAPHO症候群の一例
自治医科大学附属さいたま医療センター 放射線科 小野澤 裕昌、大河内 知久、濱本 耕平、田中 修
自治医科大学附属さいたま医療センター アレルギーリュウマチ科 矢部 寛樹、寺井 千尋
P-20 化膿性脊椎炎が疑われた悪性リンパ腫の一例
東京大学医学部附属病院 放射線科 三瀬 葉子、桂 正樹、佐藤 次郎、佐々木 弘喜、佐藤 香菜子、早川 弥生、
五ノ井 渉、雨宮 史織、高尾 英正、森 墾、國松 聡、大友 邦
P-21 脾臓Sclerosing angiomatoid nodular transformation(SANT)の一例
東京医科大学病院 放射線科
鈴木 邦仁、吉村 宜高、齋藤 和博、赤田 壮市、徳植 公一
東京医科大学病院 外科学第三講座 鈴木 芳明、土田 明彦
東京医科大学病院 病理診断部
佐藤 永一 P-22 胃・十二指腸・小腸へ穿破したIPMNの一例
自治医大 放射線科
歌野 健一、木島 茂喜、河合 陽、藤田 晃史、杉本 英治
自治医大 消化器外科 佐久間 和也
自治医大 臨床腫瘍科 藤井 博文
P-23 巨大な腸間膜リンパ節転移を来たした直腸カルチノイドの1例
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
慶應義塾大学医学部 病理診断部
慶應義塾大学医学部 外科
荒井
谷本
三上
石井
学、田村 謙太郎、陣崎 雅弘、秋田 大宇、杉浦 弘明、奥田 茂男、
伸弘、栗林 幸夫
修治
良幸、長谷川 博俊、北川 雄光
ポスターセッション
P-01
P-02
幼児特発性肺ヘモジデローシスの一例
十二指腸潰瘍により穿通した肝嚢胞の一例
武藤 絢子1、山田 隆之1、熊野 玲子1、立澤 夏紀1、
村上 健司1、昆 祐理1、山下 敦己2、栗原 八千代2、
瀧 正志2
千早 啓介、野津 和仁、荒井 保典、森本 毅、宮川 国久、
中島 康雄
聖マリアンナ医科大学 放射線科
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 放射線科
2聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 小児科
症例は2才4ヶ月の女児。1ヶ月前から感冒症状にて、
近医で内服加療されていた。微熱と咳嗽が継続し、一
度血痰を認めたが、経過観察していた。2週間前から顔
色不良が出現、1週間前から発熱を認めたため、再度
症例は82歳女性。2012年5月上旬から心窩部痛と嘔
気が出現したため近医で内服加療されていたが、
その
後症状が増悪したため6月18日当院紹介となった。腹部
CTでは肝左葉外側区にair-fluid levelを形成する虚
近医受診。血液検査にてHb 4.1g/dlと高度貧血を認
めたため、
当院小児科に紹介、入院となった。来院時の
胸部単純X線写真にて、両側肺野にびまん性のすりガ
ラス陰影、浸潤影を認めた。胸部CTにて、
中枢側優位
に広がる斑状浸潤影、
すりガラス陰影を認め、左下葉に
浸潤影および無気肺を認めた。血痰があり、小球性低
色素性貧血であることも含め、肺胞出血を疑った。他、
貧血の原因として消化管および頭蓋内出血は否定され
た。肺胞出血の原因として、結核、血管炎、膠原病、血
管奇形や牛乳アレルギー
(Heiner症候群)
は否定され、
胃液細胞診よりヘモジデリン貪食マクロファージが同定
されたことから、特発性肺ヘモジデローシス
(idiopathic
pulmonary hemosiderosis: IPH)
と診断された。IPH
は大量喀血による呼吸不全や繰り返す出血による進行
性の肺繊維化など、
予後不良例もあり、
早期診断が望ま
れる。本症例では、高度貧血かつ血痰を認めたことから
画像上肺胞出血の可能性を指摘し、臨床的に比較的
早期に診断に至ることができた。患児は退院後1年半外
来通院されており、
再出血なく良好に経過している。
過去
の報告では、
高度貧血であったが、
血痰などの症状に乏
しく、
診断に難渋した例もみられた。
びまん性肺野病変に
おける画像上の鑑別は多岐にわたるが、小児の高度貧
血例においては、
肺胞出血を鑑別に挙げることでIPHな
ど稀な疾患でも早期診断に繋がると考えられた。
脱した嚢胞構造が認められた。十二指腸と接する部位
で腸管との連続性が疑われ周囲の脂肪織濃度上昇を
伴っていた。以前のCTでは同部に径75mm大の緊満し
た肝嚢胞が認められており、十二指腸と肝嚢胞間の穿
通が疑われた。同日施行された上部消化管内視鏡では
十二指腸球部の潰瘍が確認され、
入院後は抗酸剤と抗
生剤による保存的加療で症状は軽快した。十二指腸潰
瘍による肝嚢胞穿通は比較的まれな病態であり、
その一
例を経験したため報告する。
ポスターセッション
P-03
P-04
多発骨髄炎と皮膚潰瘍を来した
全身播種性非結核性抗酸菌症の1例
ヨード造影剤投与後副作用不確定例の
その後の経過
和田
栗原
中谷
高木
阿部 彰子、衣袋 健司、福田 穂積、竹口 隆也、
戸邉 公子
慎司1、丸山 泰貴1、松下 彰一郎1、藤川 あつ子1、
泰之1、中島 康雄1、山崎 行敬2、根本 隆章2、
信一2、松田 隆秀2、遠藤 陽3、干川 晶弘3、
正之3
三井記念病院 放射線診断科
1聖マリアンナ医科大学病院放射線医学講座
2聖マリアンナ医科大学病院総合診療内科学講座
3聖マリアンナ医科大学病院病理学講座
症例:60歳代女性。多発皮膚潰瘍と腰痛を主訴に来院。
来院3年前より頭頸部に潰瘍が度々出現し、近医で精
査されたが診断には至らずステロイド治療(プレドニン
10mg/日)が開始されていた。来院4ヶ月前から四肢を
ヨード造影剤の適正使用は、放射線科医の重要な役
割の一つである。副作用が起きた場合の、患者への説
明、
記録とともに、
施設全体の副作用発生率などの調査
も必須である。
しかし、診療の現場では、副作用である
中心に潰瘍が悪化、腰痛も出現し歩行困難となったた
め当院へ入院となった。高血圧症に対し降圧薬、HBV
感染症に対しエンテカビルを内服中であった。
経過:入院直後に撮像された胸腹部単純CTで脊椎に
多発する骨破壊像や骨硬化像を認めた。
また、気管・
気管支周囲に分布する軟部像および中葉の無気肺病
変を認めた。骨髄病変についてはMRIでびまん性の不
均一な信号異常を呈していた。
また全身骨シンチグラ
フィ
(Tc-99m)
ではCTで確認された骨病変と一致する
集積増加が確認された。血清学的検査ではHb低値と
CRP上昇、HBV-DNA高値であること以外は異常を認
めず、
各種腫瘍マーカーや膠原病を疑わせるような自己
抗体は陰性であった。
またHIV抗体、HTLV-1抗体も陰
性であった。精査のため病変が確認されている部位か
らそれぞれ生検を行った。TBLB検体からは肉芽腫を
認め、皮膚潰瘍および腸骨から採取した検体培養から
Mycobacterium kansasii を検出した。鑑別に悪性腫
瘍、膠原病などが挙がり検索したが証明されず、以上よ
り全身播種型非結核性抗酸菌症と診断した。抗結核薬
にて治療を開始し、皮膚潰瘍と貧血は改善を認め退院
となった。
考案:皮膚潰瘍、
多発骨髄炎と気管・気管支周囲に浸潤
を来した播種性非結核抗酸菌症を経験した。非定型抗
酸菌症の多くは呼吸器疾患であり、他部位での感染は
少ない。後天性免疫不全症候群患者においては全身
播種型感染症が多く認められている。本症例はステロイ
ド内服中、HBVの治療中であり、易感染性があったと考
えられる。今回多少の文献的考察を加え、
報告する。
のかどうかの判断が困難なことが時にあるのも事実であ
る。今回我々は、
ヨード造影剤投与後何らかの症状を呈
したが副作用と診断しなかった不確定例のその後の経
過を調べ、
報告する。
2011.4から2012.9までの部内の副作用記録のうち、
不確
定例72例のその後の経過について診療記録を調べた。
不確定例のうち、
症状が重症化した例はなかった。17
例に再びヨード造影剤が投与され、
うち8例で再び副作用
と疑わしい症状を呈した。
8例全例で、
一度目の症状と2度
目以降の症状とは類似しており重症度も軽症であった。
検査後の症状が軽微な場合、
副作用であると判断で
きないことがよくあるが、高頻度で再び同様な症状を呈
することがわかった。次回の正しい判断のためには、軽
微な症状であっても少なくとも記録を残す必要がある。
こ
れらの患者は、
抗ヒスタミン薬やステロイドを投与されるこ
となく、
再度ヨード造影剤投与を行った例であり、
抗ヒスタ
ミン薬やステロイドの予防的投与例や造影剤変更例と
の比較対照群となり、
貴重なデータである。
ポスターセッション
P-05
右肝円索を有する肝臓9例における脈管解剖:
肝臓の左右対称性について
衣袋 健司、竹口 隆也、福田 穂積、阿部 彰子、
戸辺 公子 三井記念病院 放射線診断科
P-06
乳腺Pseudoangiomatous Stromal Hyperplasia
(PASH)
の1例
江戸 博美1、新本 弘1、田村 千春1、中森 貴俊1、
山田 謙太郎1、渡邉 定弘1、岡村 哲平1、川内 利夫1、
曽我 茂義1、林 克己1、喜多 保1、小須田 茂1、
加地 辰美1、守屋 智之2、岩屋 啓一3
1防衛医科大学校病院 放射線科
2防衛医科大学校病院 乳腺外科
3防衛医科大学校病院 病理
目的:右肝円索を有する9例を経験したので造影CT画
像から得た脈管解剖所見を報告し、
右肝円索は右傍正
中門脈枝(右葉前区域枝)
の背腹分岐部に位置すると
いう説を検証する。
症例:年齢は40歳から86歳で男性7名・女性2名である。
このうち多脾症が3名(内蔵完全逆位が2名、腹部のみ
逆位が1名)。
いずれも造影CTが行われている。以下、
左右の混乱を避けるために内臓逆位例についてはいず
れも左右反転させた状態での記載とする。
結果:
(1)門脈分岐形式:通常(左右分岐)型4例、後区
域先行分岐型3例、
その他2例(2)PV4がはっきりと分
離している:6例、PV4がやや不明瞭:3例(3)中肝静脈
主幹は肝円索の左側に位置している
(全例)
(4)AFV
(anterior fissure vein)
と考えられる静脈の存在:全
例(中肝静脈の近位部から右側に分岐)(5)動脈:右
葉前区域枝が右肝円索で左右に2分すると考えられる:
2例、不明7例 (6)胆嚢の位置:右肝円索の尾側:5例、
肝円索の左側:4例 (7)右前区域門脈枝の背側・腹側
の境界に右肝円索が存在すると考えた場合、
前区域背
側に比して腹側はその体積が全例で小さい(8)多脾
症6例を含む内臓逆位(腹部のみ逆位2例)
が見られた
13例のうち右肝円索は5例
(全例多脾症)
で認められた。
(造影CTが撮影されていない2例は上記の検討からは
除外している)
結論:右肝円索を有する肝臓の門脈と肝静脈の位置関
係は正常と同じである。AFVとの位置関係から右肝円
索は右傍正中門脈枝(右葉前区域枝)
の背腹分岐部に
位置すると考えられる。
また内臓逆位や多脾症は右肝
円索の高リスクグループである。
症例は19歳女性。2年前より乳房の左右差を自覚し、
近医を受診したが、大きさ3cm程度の脂肪腫疑いで経
過観察となっていた。増大傾向を認めたため、
当院形成
および乳腺外科に紹介された。右乳腺は左側よりも大き
く、
境界不明瞭で、
自発痛や圧痛は認めなかった。
超音波では10cm程度の腫瘤で、内部はほぼ均一な
等エコーで、一部に高エコー域を認めた。MRIでは右
乳房内に右乳腺の大部分を占める8×10×7cm大の境
界明瞭な腫瘤性病変を認め、T2強調像では内部に網
目状の高信号域を認めた。Dynamic studyでは、腫瘤
は網目状に漸増性の造影増強効果を認めた。正常乳
腺は右乳房内側上方にのみ存在していた。画像からは
若年性線維腺腫、葉状腫瘍などが疑われた。治療方
針決定のため、生検が実施され、Pseudoangiomatous
stromal hyperplasia(PASH)
と診断された。
乳腺のPASHは乳腺間質の著明な過形成を呈する
良性疾患であるが、腫瘤形成を示すことは比較的稀で
あり、
若干の文献的考察を加えて報告する。
ポスターセッション
P-07
P-08
縦隔に発生した炎症性偽腫瘍の1切除例
MDCTにて診断された左肺底区動脈大動脈
起始症の3例
月永 晶人1、小山 新吾1、辻 厳吾1、小林 愛1、
池田 新1、青木 利夫1、能谷 雅文1、吉儀 淳1、
諸星 隆夫2、津浦 幸夫3 守山 英則1、池田 新1、辻 厳吾1、小林 愛1、小山 新吾1、
青木 利夫1、能谷 雅文1、諸星 隆夫2、吉儀 淳1
1横須賀共済病院 放射線科
2横須賀共済病院 呼吸器外科
3横須賀共済病院 病理科
症例は50歳代の男性。健診の胸部単純写真で心陰
影に重なる異常影を指摘され、精査目的に当院呼吸器
内科紹介受診、
手術目的で呼吸器外科受診となった。
胸部CTでは、前縦隔左側の心膜から連続する脂肪
性腫瘤を認めた。奇形腫や炎症性腫瘤などの良性病
変を疑ったが、
5ヶ月前の胸部単純写真では異常影が見
られなかったこと、縦隔腫瘤近傍の左肺舌区には2つの
小結節が認められたこともあり、
胸腔鏡下前縦隔腫瘍切
除、
左肺上葉・心膜部分合併切除術を施行した。
腫瘍は心膜脂肪織に連続し、弾性硬で左肺上葉に
強固に癒着していた。
病理では、脂肪壊死や線維化、慢性炎症細胞浸潤、
組織球の集簇を認め、炎症性偽腫瘍の診断であった。
なお左肺舌区の結節は肺内リンパ装置と診断された。
炎症性偽腫瘍は比較的稀な疾患であり、
縦隔に発生
した報告は多くない。
若干の文献的考察を加えて報告する。
1横須賀共済病院 放射線科
2横須賀共済病院 呼吸器外科
肺動脈大動脈起始症は大動脈から肺動脈が分枝す
る稀な先天性疾患である。我々の経験した3例につき文
献的考察を交え報告する。
<症例1>
56歳女性。健診異常影を指摘され受診。無症状でも
あり、
経過観察希望され、
10年経過し無症状で経過して
いる。
<症例2>
20歳女性。血痰を主訴に受診。胸腔鏡下左下葉切除
施行。4年経過しているが問題なく経過。
<症例3>
51歳男性。健診異常影を指摘され受診。経過観察を
希望したが経過中に喀血を認めたため、左下葉切除施
行。経過良好でフォロー終了している。
肺動脈大動脈起始症は稀な先天性疾患で、本邦で
は40例程度の報告があり、多くは左下葉(特に肺底区)
で、男女比認めない。無症状例も多いが血痰等の肺高
血圧症状もみられる。長期間を経て左→左シャントによる
心不全を来たすこともある。診断確定は血管造影や気
管支鏡、肺血流シンチ、CTなどで行う。症状や年齢、PS
を考慮し、
経過観察ないし手術加療を選択する。我々の
経験した3例では全例左肺底区で、MDCTで明瞭に診
断可能であった。
ポスターセッション
P-09
P-10
CTにて肝転移の診断が困難であった
肺小細胞癌の一例
穿孔を来した小腸原発悪性リンパ腫の2例
要 博子1、蓮尾 金博1、増田 敏文1、岡藤 孝史1、
中山 智博1、江上 順子1、和田 達矢1、石松 慶裕1、
渡口 真史1、坂井 鈴子1、山崎 宙士1、飯倉 元保2 椎名 丈城
独立行政法人国立病院機構 横浜医療センター 放射線科
1独立行政法人 国立国際医療研究センター 放射線科
2独立行政法人 国立国際医療研究センター 呼吸器内科
【緒言】急性肝不全の原因はウィルス性、薬剤性がほと
んで、悪性腫瘍のびまん性転移が原因となる事は少な
い。今回CTにて診断が困難であったびまん性転移によ
る急性肝不全を呈した肺小細胞癌の一例を経験したの
で報告する。
【症例】症例は60代男性。体重減少と倦怠感の持続を
主訴に他院を受診し、
精査にて右肺癌、
左腎癌、
左副腎
腫瘍、
肝障害と診断された。肝障害の増悪による黄疸や
血小板低下を認め、
当院に緊急入院となった。造影CT
にて右肺に15㎜大の結節が認められ、播種と思われる
胸膜に沿った結節、右肺門部及び縦隔リンパ節腫大、
左副腎結節を伴っていた。腫瘍マーカーと急速に進行
する臨床経過より肺癌及びその転移が疑われ、気管支
鏡下リンパ節生検にて肺小細胞癌の診断が確定した。
肝障害に関しては、
エコー、造影CTにて肝腫大を認め
るのみで、積極的に肝転移を示唆する所見はなく、薬剤
性、
アルコール性が疑われた。薬剤の中止にても急激な
肝障害の増悪が継続したため、
原因精査目的に経内頸
静脈的肝生検を施行し、病理組織学的に肺小細胞癌
のびまん性肝転移の診断を得た。
その後肝障害が急激
に進行し、
全身状態が悪化し入院13日目に死亡した。
【考察とまとめ】急性肝不全の原因として悪性腫瘍の
肝転移は稀である。本症例では肝腫大のみで転移を示
唆する所見がなく、
肝不全の原因の診断に苦慮したが、
経内頸静脈的肝生検を行うことで診断を確定すること
が出来た。急激に進行する急性肝不全において肝腫大
のみの場合にも、
ウィルス性や薬剤性が否定的な場合に
は、
びまん性肝転移の可能性も考慮して、
生検を検討す
べきだと考えられた。
小腸穿孔の原因としては外傷性と非外傷性に大別さ
れるが、非外傷性の原因としては異物、炎症性腸疾患、
絞扼性イレウス、腫瘍等多岐にわたる。今回穿孔にて緊
急手術が施行され、小腸原発悪性リンパ腫と診断され
た2例を報告する。
【症例1】70代男性。便秘、腹部膨満、下腿浮腫を主
訴に造影CTが施行された。CTでは腹水と小腸に壁肥
厚を伴う拡張部位が認められ、悪性リンパ腫も疑われ
た。3日後に大量の排ガス・排便があり、強度の腹痛が出
現した。
CTにて消化管穿孔と診断され緊急手術が施行
された。病理学的にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と
診断された。
【症例2】
自動車と壁に挟まれて救急搬送された40代
男性。右大腿骨骨幹部骨折を認め、腹部CTでは拡張
した小腸の穿孔が疑われ緊急手術となった。術中小腸
の腫瘍性病変が疑われ腸切除が施行された。病理では
腸管症関連T細胞リンパ腫(EATL)
と診断された。
小腸腫瘍による穿孔では悪性リンパ腫の頻度が高く、
その中でもEATLは穿孔の報告が多い。EATLは節外
性T細胞リンパ腫に属する疾患で、非常に希なリンパ腫
である。穿孔で発症したものも含めて治療抵抗性であ
り。予後不良な疾患である。小腸悪性リンパ腫は動脈瘤
様拡張と称される腫瘍部分の拡張が見られることがあ
り。
リンパ腫に比較的特徴的な所見とされている。
小腸穿孔の原因として悪性リンパ腫は忘れてはなら
ない疾患である。
ポスターセッション
P-11
P-12
術前腹部3D-CTA撮影における
逐次近似処理を用いた被曝低減の試み
骨盤内に発生した腸管外GISTの一例
會田 久美子、町田 幹、箱崎 謙太、日高 史貴、
杉﨑 健一、高木 亮、林 宏光、汲田 伸一郎
青島 雅人、箱崎 謙太 、會田 久美子、織田 絵里香、
町田 幹、村上 隆介、汲田 伸一郎
日本医科大学付属病院 放射線科
日本医科大学付属病院 放射線科
【目的】腹部術前3D-CTにおいて、
逐次近似型ノイズ低
減処理を用いた画像再構成法を使用する事により被曝
低減が可能か検討した。
【方法】対象は、
当院で2011年3月から2012年10月まで、
腹部の術前の脈管評価目的に3D-CT撮影を行った42
症例。64列MDCT(SCENARIA、
日立メディコ)
を用
い、管電流はAECのSDモードでA群(27例)
:SD8.0で
撮影しFBP法による再構成、B群(15例)
:SD11.5で撮
影、逐次近似型ノイズ低減処理IntelliIP(Lv.4)処理に
よる画像再構成、
の2群で検査を行った。非イオン性ヨー
ド造影剤を600mgI/kg使用し5ml/secで注入、bolus
tracking法にて動脈相および70秒後に門脈相を撮影
した。得られた0.625mmの再構成画像を、
ワークステー
ション
(Advantage Windows 4.4, GE)
を用いて多時
相3D-CTを作成し、抽出能を検討した。
また、B群では
SD8.0撮影との被曝量の比較を撮影時のCTDIvolを用
いて行った。
なお、
3D-CT作成は1人の放射線診断専門
医が作成し、
画像抽出にはregion growing法を用いた。
【結果】全例において術前マッピング画像として使用出
来る3D画像が作成出来た。門脈左右分岐部の抽出能
に有意差があり、A群では門脈と同時に肝静脈全域を
抽出してしまう傾向にあった。被曝量は、CTDIvolでB
群(SD11.5)
はSD8.0設定撮影に対し低減率は50%で
あった。
【結論】3Dを作製するための高画質thin slice画像が必
要な腹部3D-CTA撮影において、
逐次近似法を使用す
ることで被爆低減が可能である。
症例は53歳男性で排便困難が出現し近医を受診、
超音波検査にて骨盤内腫瘤を指摘され、当院消化器
外科に精査加療目的にて紹介となった。CTにて骨盤
底部正中に10cmx10cmx11cmの腫瘤を認めた。MRI
にてT1/T2強調像で腫瘍周辺部は筋より軽度高信号
で,中心部にT1,T2延長域を認めた。造影にて辺縁に
造影効果を有し、内部に造影不領域を認めた。直腸は
右側に圧排され、直腸と腫瘍の境界は一部不明瞭で
あった。大腸内視鏡では直腸Rb付近に壁外性圧排が
みられたが粘膜面は保たれていた。直腸壁外発育型
gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)
または
原発不明の間葉系腫瘍を疑い、肛門鏡直視下針生検
が施行された。病理組織所見では紡錘形~卵円形の
腫瘍細胞の束状、胞巣状増殖を認め、免疫染色では
c-kit、
CD34陽性、
keratin、
S-100、
αSMA、
Desmin陰性
にてGISTと診断された。
その後イマチニブ400㎎/day
を8週間投与したものの縮小は認めず、腫瘤摘出および
直腸・腸間膜合併切除術が行われた。病理所見で腫瘤
は術前針生検と同様のGISTであった。直腸では漿膜
下組織に好中球浸潤を中心とする軽度の炎症所見が
認められたのみであった。以上より腸管外発生のGIST
と診断した。一般にGISTは消化管筋層内のカハール
細胞由来と考えられており、腸管外組織を原発とする
GISTは稀である。今回我々は、腸管外由来のGISTを
経験したので、
若干の文献的考察を加え報告する。
ポスターセッション
P-13
P-14
転移性肝腫瘍・脾腫瘍との鑑別に苦慮した
MTX関連リンパ増殖症の一例
皮下脂肪吸引後の腹部CTの一例
渡部 渉1、長田 久人1、岡田 武倫1、大野 仁司1、
柳田 ひさみ1、河辺 哲哉1、本田 憲業1、
松岡 勇二郎1、高橋 正道1、安武 毅1、小山 和行1、
鷲野 巧弥2、大西 健児2
東 守洋2、田丸 淳一2
1都立墨東病院 診療放射線科
2都立墨東病院 感染症科
1埼玉医科大学総合医療センター 放射線科
2埼玉医科大学総合医療センター 病理部
【症例】60代女性。
【主訴】下腹部痛、
発熱。
【既往歴】子宮筋腫(24年前子宮摘出術施行)、関節リ
ウマチ
【現病歴】患者は関節リウマチに対し、19年前よりMTX
を使用されていた。2週間前より下腹部痛が出現し、10
日前より発熱が生じた。受診時、体温38.c、WBC7700、
CRP 21.8であった。
【画像所見】腹部造影CTにて多発肝腫瘤と多発脾腫
瘤および多発大動脈周囲リンパ節腫大が認められた。
一部の肝腫瘤には辺縁に軽度の増強効果が認められ
た。腹部MRIでは腫瘤はいずれもT2強調画像で高信
号、
拡散強調画像で高信号を示したが、
ADC mapでは
信号低下を認めなかった。Gd-EOB-DTPA造影門脈相
では腫瘤辺縁部に軽度の濃染が認められた。
【経過】免疫抑制状態であることと薬剤投与歴から肝・
脾膿瘍、MTX関連リンパ腫の可能性が考えられたが、
悪性腫瘍の転移を否定できず、
入院10日後に腹腔鏡下
脾臓摘出術が施行された。病理組織学的所見はB-cell
lymphomaでMTX関連リンパ増殖症と判断された。
MTX投与中止1ヶ月後の腹部造影CTでは、以前認め
られた多発肝腫瘤はほぼ消失した。
【考察】MTX関連リンパ増殖症は節性と節外性の頻度
は同等とされ、節外性の場合、好発部位は皮膚、筋肉
内、消化管、唾液腺、肝など多彩でありまた臓器の重複
も多い。経験症例の画像を中心に、若干の文献的考察
を加え報告する。
腹部等の皮下脂肪組織の吸引liposuction, lipolysis,
lipoplastyが美容外科で行われていることは広く知られ
ている。今回、
我々は吸引後のCT画像を経験したので、
若干の文献的考察や類似の症例を加え、
報告する。
症例は20歳代の女性で、
日系ブラジル人。腎盂腎炎・
腎膿瘍で当院の感染症科に入院し、腹部CTが施行さ
れた。腹部から腰部にかけて、
体幹を取り巻くようにして、
索状・板状の軟部吸収域が皮下脂肪織に広がってい
た。本人に確認したところ、5ヶ月前に脂肪吸引と豊胸術
をブラジルで施行していることがわかった。
当院の読影端末より
“豊胸術”
で検索し、最近の腹部
CTを見直したところ、少なくとも2症例(両者とも30歳代、
フィリッピン人)
で、
腹部等の皮下脂肪織に広がる索状の
構造物を認め、脂肪吸引が疑われた。
ただしカルテには
脂肪吸引の有無や豊胸術の時期については記載され
ていなかった。
この2症例では、
上記の症例と比べ、
皮下
の索状物は薄く、
わかりにくかった。線維・瘢痕化等のた
めと思われた。
皮下脂肪の吸引には幾つかの方法がある。最近は第
三世代超音波と言われるベイザーVASER波を用いて、
脂肪等を乳化・軟化し、
皮下脂肪の90%の除去が可能と
されている。本症例がどのような方法だったかは不明で
ある。
吸引直後は血腫や浮腫が生じ、施行からの時期によ
り画像は異なると考えられる。広範囲ではなく、一部分の
吸引の場合、何らかの皮下病変と間違える可能性があ
る。他の手術や外傷等による変化との区別は難しく、脂
肪吸引歴が不明な場合、
判断に迷うかもしれない。
今後、
脂肪吸引が広まれば、
本例のような症例に遭遇
する機会が増えてくることが推察される。本法に伴う画
像所見等について熟知しておく必要がある。
ポスターセッション
P-15
P-16
健診にて発見された胸部弓部大動脈瘤を
契機に診断に至ったPHACES症候群疑診の1例
妊娠・授乳中に増大した
乳房デスモイド腫瘍の一例
森 なお子1、市川 珠紀1、柳町 徳春1、丹羽 徹1、
今井 裕1、志村 信一郎2、田中 千陽2、熊木 伸枝3
土井下 怜1、扇 和之1、堀田 昌利1、原田 明典1、
山下 晶祥1、横手 宏之1、佃 俊二1、小堀 賢一1、
山田 哲久1、増田 亮2
1東海大学医学部画像診断学
2東海大学医学部心臓血管外科学
3東海大学医学部病理診断学
症例は30歳代、
女性。健診にて縦隔拡大を指摘され、
当院を受診した。CTにて胸部弓部大動脈に径42mm
程の嚢状動脈瘤が認められ、手術目的に入院となった。
詳細は不明ながら左顔面血管腫の既往があり、
また術
前のCT、
MRIおよび血管造影にて左総頸動脈・内頸動
脈低形成、
左後交通動脈の瘤状の異形成など、
脳動脈
の異常を左側に複数認めた。他、胸骨の形成不全、左
腕頭静脈走行異常、
左後頭蓋窩にくも膜嚢胞を認めた。
これらの画像所見からPHACES症候群の診断基準に
基づき、本症候群の疑診症例と診断した。弓部大動脈
置換術が施行され、術後の全身状態は良好であり、現
在、
外来にて経過観察中である。
P H A C E S 症 候 群は、神 経 皮 膚 症 候 群に分 類さ
れ、1996年にFriedenらによりPosterior fossa brain
malformations、
Hemangiomas、
Arterial anomalies、
Coactation of the aorta and cardiac defects、
Eye
abnormalities、
Sternal cleftの頭文字をとって名付けら
れた。
ほとんどが女性にみられ、
頭蓋内、
頸部、
胸部に多
彩な所見を呈する稀な症候群である。若干の文献的考
察を加え、
報告する。
1日本赤十字社医療センター 放射線科
2日本赤十字社医療センター 乳腺外科
症例は40歳代女性。妊娠中に右乳房腫瘤を自覚し、
当院乳腺外科を受診。初診時の超音波検査にて径
2.6cmの腫瘤を認めたが、針生検で悪性所見なく、経過
観察となっていた。
初診より10ヶ月経過した出産6ヶ月後の授乳期に経過
観察のため再診し、
腫瘤の明らかな増大が認められた。
右乳房AC領域に10cm 大の硬い腫瘤を触知し、胸壁
固定を伴っていた。精査目的に施行された乳腺MRIで
は、
授乳期乳腺を背景として、
右AC領域にT1WIで筋と
等信号、
脂肪抑制T2WIでは全体的に高信号だが一部
に低信号域が混在する10cm大の腫瘤性病変が認めら
れた。
ダイナミック検査では早期より造影効果を示し、後
期相にかけてさらに造影効果が漸増するパターンで、
大
きさの割には比較的均一な造影効果を示した。拡散強
調画像では拡散制限に乏しかった。基本的に境界明瞭
であったが、胸筋側など一部で境界不明瞭で、大胸筋
に浸潤していた。針生検では葉状腫瘍疑いと診断され、
短期間での増大から悪性の可能性があり、
右乳房腫瘍
切除術および大胸筋合併切除術が施行された。病理組
織診断はデスモイド腫瘍であった。
一般に乳房デスモイド腫瘍の術前画像診断は難しい
とされており、本症例では授乳期乳腺を背景としたこと
が信号解釈を複雑にする一因ともなった。但し、妊娠中
というエストロゲン過剰状態での急速増大、胸筋筋膜に
沿っての発育傾向やT2WIでの低信号域の混在は、
デ
スモイド腫瘍を鑑別として考慮するべき所見であったと
考えられる。若干の文献的考察を加え報告する。
ポスターセッション
P-17
P-18
出血性壊死を伴った中葉捻転の診断に
CTが有用であった1例
画像診断で経時的変化を追えた肝の
結節性再生性過形成の一症例
上出 浩之、駒形 高信、野村 幸一郎、芹沢 信一郎
朝比奈 泰斗1、尾﨑 裕1、玉井 光邦1、天野 真紀1、
菅野 直美1、平井 祟久1、伊藤 佳菜1、藤澤 稔2、
児島 邦明2、大久保 裕直3、松本 俊治4、
茅ヶ崎市立病院 放射線科
桑鶴 良平5、青木 茂樹5 1順天堂大学練馬病院 放射線科
2順天堂大学練馬病院 総合外科
3順天堂大学練馬病院 消化器内科
4順天堂大学練馬病院 病理診断科
5順天堂大医学部放射線診断学講座
症例は62歳男性、
咳嗽を主訴に当院受診。来院時の
胸部X線写真にて右上葉無気肺を認めたため、胸部
CTを撮影したところ、
右肺上葉気管支を閉塞するような
腫瘤がみられた。Malignancyが疑われ、
右上葉切除術
を施行することになった。
術直後の胸部X線写真では明らかな異常はみられな
かったが、
術後2日目の胸部X線写真で右上肺野に浸潤
影の出現がみられ、気管支鏡検査を施行したところ、
中
葉気管支はほぼ閉塞していた。胸部CTでは中葉全体
の含気が不良で、
うっ血や浮腫などと考えられる浸潤影
及びスリガラス影、血性と思われる胸水貯留などの所見
を認めた。
また、
中葉気管支に肺門部での途絶があり、
肺動静脈の描出も一部不良で、MPRの矢状断像など
では中葉全体が不自然に彎曲しているような所見もみら
れ、
画像及び臨床経過から中葉捻転が疑われた。
再開胸を施行したところ、右中葉気管支が完全に折
れ曲がりほぼ閉塞しており、
中葉には強いうっ血がみら
れ、
中葉切除が施行された。切除標本には出血性壊死
の所見がみられ、
CT画像と矛盾しないと考えられた。
出血性壊死を伴った中葉捻転の診断にCT所見が有
用であった1例を経験した。他院の1症例と併せ、画像を
再度検討し報告を行う。
症例は40歳代の女性で5年前に左乳癌に対し乳房
温存術を施行されていた。術後はホルモン療法を続けて
おり再発兆候は見られなかったが、
術後1年8か月を経過
した頃から不明熱が見られるようになったため精査目的
で入院となった。
FDG-PET検査やEOBプリモビストを用いた肝MRI
を施行し、肝門部を中心にグリソン鞘に沿って分布する
まだらなFDG集積ならびに信号異常が肝全体に見られ
た。患者は未治療で解熱し入院3か月後にはMRI上も
肝内信号異常は消失していた。
その後1年半は経過良好であったが再び不明熱が
出現したため精査したところ肝内に同様の病変の再燃
あり。肝生検を施行し結節性再生性過形成(nodular
regenerative hyperlasia; NRH)
の診断となった。再度
未治療で解熱しMRI所見も2か月後には消失していた。
NRHは1959年にSteinerらが提唱した概念で「肝細
胞の過形成ないし再生による結節性病変で、結節周囲
に線維の増生を伴わない」
ものを指す。
NRHは膠原病な
ど基礎疾患を有する症例が多く、
肝うっ血がその発生に
関与していると考えられている。
またいくつかの薬剤でも
NRHが誘発されることが報告されているが、
その成因に
も薬剤による肝うっ血が介在していると考えられている。
NRHは剖検例で偶然見つかるか門脈圧亢進症を来
してから発見されることがほとんどであるためその自然
経過は明らかになっていない。今回我々はその解明に示
唆を与える症例を経験したので報告する。
ポスターセッション
P-19
P-20
PET-CTにて胸椎病変にのみ集積を示した
SAPHO症候群の一例
化膿性脊椎炎が疑われた悪性リンパ腫の一例
小野澤 裕昌1、大河内 知久1、濱本 耕平1、田中 修1、
矢部 寛樹2、寺井 千尋2
三瀬 葉子、桂 正樹、佐藤 次郎、佐々木 弘喜、
佐藤 香菜子、早川 弥生、五ノ井 渉、雨宮 史織、
高尾 英正、森 墾、國松 聡、大友 邦
1自治医科大学附属さいたま医療センター 放射線科
2自治医科大学附属さいたま医療センター アレルギーリュウマチ科
【緒言】
SAPHO症候群はSynovitis、
Acne、
Pustulosis、
Hyperostosis、
Osteitisの頭文字をとって名付けられた
原因不明の症候群で、最近では慢性再発性多巣性骨
髄炎、胸肋鎖骨肥厚症や掌蹠膿疱症性骨関節症を包
括する概念である。
【症例】60歳台、
男性。
【現病歴】1カ月前から背部痛が出現した。近医受診し
MRIを施行し骨転移が疑われ、
当センター整形外科紹
介受診となった。
【血液生化学所見】CRP 2.95mg/dl、
TP 8.4g/dl、
Alb
3.7g/dl。
その他には特記事項なし。
【画像所見】FDG-PET/CTでTh6/7,10/11椎体右側
にSUVmax4.0,7.5の集積が見られ、
同部位に骨棘形成
が見られた。
また有意集積は見られなかったが、胸肋関
節に骨硬化と肥厚像も見られた。MRIではTh6,Th7椎
体右腹側にFDG集積と一致するように、T1WIで低信
号、T2WIで高信号が見られていた。
これらの所見より、
SAPHO症候群を強く疑った。
【経過】病歴を確認し、掌蹠膿疱症の既往を有すること
がわかり、
SAPHO症候群の診断となった。
【考察】SAPHO症候群の活動性病変に対しFDG集積
が見られることが知られている。
また骨シンチグラフィー
との併用で所見に解離を呈することで、骨転移との鑑
別に有用との報告も見られる。本症例では胸椎の活動
性病変に集積が見られ、CT上で胸鎖関節病変もあり、
SAPHO症候群との診断が可能であった。特に椎体腹
側の辺縁部骨棘への限局した集積が見られた場合に
は、SAPHO症候群を想定しなければならない。
また骨
転移との鑑別が必要の場合にも胸鎖関節病変など他の
病変の注意深い読影が必要である。
【結語】胸椎にのみにFDG集積を示したSAPHO症候
群の一例を経験したため、
若干の文献考察とともに報告
する。
東京大学医学部附属病院 放射線科
脊椎原発の悪性リンパ腫は稀であり、画像所見は多
彩で非特異的な事が多い。今回我々は化膿性脊椎炎
が疑われ、診断に苦慮した脊椎悪性リンパ腫の一例を
経験した。
症例は64歳女性。2~3ヶ月前より腰痛があり、増悪し
てきたため近医を受診した。L5周囲の膨隆も自覚してお
り、外科的生検が施行された。
白色の液体流出を認め、
化膿性脊椎炎、椎体周囲膿瘍の診断で抗生剤治療を
開始されるも症状改善せず、
当院を紹介受診した。既往
歴、家族歴に特記すべき事はなかった。来院時血液所
見では白血球17320/μl、
CRP 17.6mg/dlと著明に上昇
しており、
Hb 10.6g/dlと軽度の貧血を認めた。精査のた
め造影CT、MRIが施行された。CTではL5椎体や椎弓
の骨破壊が認められ、周囲に軟部組織と液体貯留を認
めた。MRIではL4―S1椎体とその周囲にT1WIで筋と
等信号、T2WI高信号で、比較的均一な増強効果を伴
う境界不明瞭な病変が認められ、
L5の骨破壊とL5/S1
レベルの椎間間隙の狭小化を認めた。
また、
腰仙椎はび
まん性にT1WIで低信号を呈していた。化膿性脊椎炎
の他、
血液疾患を含めた腫瘍性病変、
放線菌症や結核
性脊椎炎等も鑑別に挙げられた。2度に渡るCTガイド下
生検、培養でも原因特定には至らず、外科的生検が施
行された。病理診断はdiffuse large B cell lymphoma
であった。
脊椎悪性リンパ腫はしばしば骨破壊を伴い、化膿性
脊椎炎との鑑別が困難な例が散見される。今回我々は
化膿性脊椎炎が疑われた悪性リンパ腫の一例を経験し
たので、
その画像所見と鑑別について若干の文献的検
索を加えて報告する。
ポスターセッション
P-21
脾臓Sclerosing angiomatoid nodular transformation
(SANT)
の一例
P-22
胃・十二指腸・小腸へ穿破したIPMNの一例
鈴木 邦仁1、吉村 宜高1、齋藤 和博1、赤田 壮市1、
鈴木 芳明2、土田 明彦2、佐藤 永一3、徳植 公一1
歌野 健一1、木島 茂喜1、河合 陽1、藤田 晃史1、
佐久間 和也2、藤井 博文3、杉本 英治1
1東京医科大学病院 放射線科
2東京医科大学病院 外科学第三講座
3東京医科大学病院 病理診断部
1自治医大 放射線科科
2自治医大 消化器外科
3自治医大 臨床腫瘍科
症例は60歳女性。健診の腹部超音波検査にて、脾
臓に60mm大の腫瘤性病変を指摘され来院した。
自覚
症状はなく、来院時の採血データに異常はなかった。
CT上、脾臓に65mm大の分葉状腫瘤が認められた。
単純CTで内部は低濃度で、dynamic studyでは漸増
性の造影効果があり、隔壁様構造が認められた。脾臓
過誤腫、内皮腫、炎症性偽腫瘍などが疑われたが悪性
病変の否定ができず、腹腔鏡下脾臓摘出術が施行さ
れ、
Sclerosing angiomatoid nodular transformation
(SANT)
と診断された。SANTは2004年にMartelらに
よって報告された稀な脾臓原発性良性病変である。通
常単発性で女性に多く、多結節性血管腫様変化と炎
症性偽腫瘍類似間質で構成される。高度の形質細胞
の出現とともにIgG4陽性細胞の割合も多いとされ、近年
IgG4関連疾患の可能性を指摘する報告もある。画像所
見を中心に文献的考察を加えて報告する。
症例は65歳男性。心窩部痛を主訴に来院した。腹部
造影CTを撮影したところ、
著明な主膵管の拡張を認め、
胃及び十二指腸との交通が疑われた。
また脾静脈は閉
塞していた。上部消化管内視鏡では、
胃穹窿部と十二
指腸弓部に漏孔が形成され、粘液の排出が認められ
た。病理学的には粘液を産生する異形細胞が認められ
た。以上のことから、
主膵管型のIPMNが胃及び十二指
腸に穿破したものと考えられた。経口の陰性造影剤を使
用したMRCPのT2WIでは、
腸管内の液体が低信号とな
り、漏孔から噴出する粘液は高信号を示し、明瞭に描出
された。MRCPでは、
胃及び十二指腸だけでなく、CTや
上部消化管内視鏡では認識が困難であった空腸への
漏孔形成が認められた。
これらの検査の結果、手術適
応はないと考えられ、全身化学療法がおこなわれた。初
診から二年半後、
腹水のコントロールが困難となり、
Best
supportive careのために、
他院へ転院となった。
主膵管型のIPMNは、頻度は高くないが隣接する臓
器との間に漏孔を形成し、治療方針決定の上で重要な
因子となりうる。経口の陰性造影剤を使用して撮影され
たMRCPは、
これらの漏孔を明瞭に描出することが可能
で、
治療方針の決定の一助に有用と考えられる。
ポスターセッション
P-23
巨大な腸間膜リンパ節転移を来たした
直腸カルチノイドの1例
荒井 学1、田村 謙太郎1、陣崎 雅弘1、秋田 大宇1、
杉浦 弘明1、奥田 茂男1、谷本 伸弘1、栗林 幸夫1、
三上 修治2、石井 良幸3、長谷川 博俊3、北川 雄光3
1慶應義塾大学医学部 放射線診断科
2慶應義塾大学医学部 病理診断部
3慶應義塾大学医学部 外科
症例は43歳男性。排便・排尿困難を自覚。近医で大
腸内視鏡検査を行い、直腸Rb(AV10cm)
に径2cm大
の粘膜下腫瘍を認めた。腫瘍は黄色調で表面陥凹を
有し、
カルチノイドが疑われた。
また、AV10-25cmにかけ
て壁外圧排を認めた。精査目的に当院紹介となり、CT・
MRI・PET-CTを施行された。CTでは下部直腸に径
2cm大の早期濃染腫瘤を認め内視鏡で指摘の原発巣
と考えられた。
また、直腸間膜内に径12cm大の辺縁平
滑、内部不均一な腫瘤を認め、
これにより直腸は左方に
圧排されていた。局在より直腸の粘膜下腫瘍が疑われ
た。MRIで腫瘤内部はT2WIで不均一な信号を呈して
おり、T1WIでも内部に高信号がみられ出血を来たして
いるものと考えられた。腫瘍辺縁には強い造影効果がみ
られたが、内部の造影効果に乏しく、変性・壊死が疑わ
れた。PET-CTでは直腸粘膜下腫瘍へのFDG集積は
明らかではなかったが、直腸間膜の腫瘍は強いFDG集
積を呈した。他臓器に異常集積は認められなかった。
以上の結果より、
下部直腸のカルチノイドおよびそのリ
ンパ節転移のほか、GIST、神経原性腫瘍の合併の可
能性も考えられた。手術は腹会陰式直腸切除術が施行
された。病理診断は直腸カルチノイド
(径2cm)
およびそ
の腸間膜リンパ節転移(径12cm)
であった。
近年、腫瘍径の小さいカルチノイドがリンパ節転移や
肝転移を来たした症例が報告されている。今回、
直腸原
発の径2cm大のカルチノイドが巨大な腸間膜リンパ節転
移を来たした症例を経験したので、若干の文献的考察
を加えて報告する。