「08 年新入社員意識調査」より 入社動機は、「企業イメージがよい」が急増 今年も多くの新入社員が、社会人として新たな一歩を踏み出した。当社では、毎年3月から4月 にかけて、県内企業の新入社員を対象にアンケート調査を実施している。今年の調査結果(有効 回答数 545 名、うち男性 289 名、女性 256 名)から、新入社員の仕事に対する意識をみてみたい。 入社の動機として「企業イメージがよい」が増加 「入社を決定した主な動機」を尋ねたところ、 「自分の資格や能力が発揮できそう」が 38.9% で最も多く、次いで、 「企業イメージがよい」 (27.2%)、 「これから発展しそう」 (18.7%)となっ た(図1)。 昨年、一昨年の回答と比べると、 「自分の資格や能力が発揮できそう」は減少しており(44.4% →40.8%→38.9%)、一方で、「企業イメージがよい」との回答は、2年前と比べて 7.7 ポイント も増加している(19.5%→20.5%→27.2%)。 さまざまな業界で不祥事が相次ぐ中、保有資格や能力が生かせることに加え、 「企業イメージが よい」ことが入社を決定する大きな動機となっているようだ。 (%) 図1 入社を決定した主な動機(複数回答) 50 40 2007年 27.2 20.8 18.7 20.5 19.5 16.5 17.6 17.8 13.6 15.2 15.2 16.0 17.4 15.0 14.1 13.8 11.4 10.8 10.5 9.1 10.6 10 6.4 6.3 7.1 7.2 5.1 6.2 6.4 5.9 5.3 4.3 4.6 4.4 4.4 3.4 4.0 4.1 4.2 3.6 2.6 2.1 2.2 0.6 0.70.0 3.0 2.4 1.9 不明 そ の他 幹 部 への 道 が 開 か れ て いる 残 業 が少 な い 転 勤 がな い 社 員 教 育 に熱 心 休 日 が多 い 1 給 料 、ボ ー ナ ス が よい 福 利 制 度 ・厚 生 施 設 が 充 実 し て いる 親 戚 、知 人 な ど の 紹 介 先 生 に勧 め ら れ た 会 社 のあ る 場 所 がよ い 通 勤 の都 合 業績 が し っか り し て いる これ か ら 発 展 し そ う 企 業 イ メー ジ が よ い 自 分 の資 格 や 能 力 が発 揮 で き そ う 0 2008年 44.4 40.8 38.9 30 20 2006年 同じ設問を男女別でみると、男女とも「自分の資格や能力が発揮できそう」が最も多く(男性 33.2%、女性 45.3%)、次いで、 「企業イメージがよい」となった(男性 27.0%、女性 27.3%) (図 2)。 続いて、男性は「これから発展しそう」(23.2%)、「業績がしっかりしている」(17.0%)とな り、企業の将来性も視野にいれて入社する会社を決める傾向にある。一方、女性は「通勤の都合」 (17.2%)、 「会社のある場所がよい」 (15.6%)と続き、入社後の通勤時間なども考えているよう だ。 図2 入社を決定した主な動機(複数回答) 0 5 10 15 20 25 30 33.2 自分の資格や能力が 発揮できそう 企業イメージがよい これから発展しそう 13.1 通勤の都合 業績がしっかりしている 12.8 会社のある場所がよい 親戚、知人などの紹介 福利制度・厚生施設が 充実している 給料、ボーナスがよい 3.5 休日が多い 社員教育に熱心 2.7 転勤がない 3.5 2.1 3.1 残業が少ない 17.2 13.3 17.0 15.6 6.9 5.5 5.5 6.3 4.8 5.9 5.9 5.9 4.8 0.0 0.0 10.4 11.3 その他 不明 23.2 13.7 10.7 12.1 先生に勧められた 幹部への道が 開かれている 男 35 0.8 3.8 2 27.0 27.3 女 40 (%) 45 50 45.3 「意欲・やる気」を持ち、「集中力」や「柔軟性」に自信あり 次に、「社会人として必要なもののうち、あなたが自信を持てるもの」については、「意欲・や る気」が最も多く(24.6%)、「協調性」(24.4%)、「責任感」 (21.7%)と続いた(図3)。 3年間で比較すると、 「協調性」は減少しているが(29.1%→28.4%→24.4%)、一方、 「柔軟性」 や「集中力」 は増加傾向にあるといえる(それぞれ 8.9%→10.7%→13.6%、9.9%→9.2%→12.5%)。 図3 あなたが自信を持てるもの(複数回答) 0 5 10 2006年 15 2007年 20 協調性 23.2 責任感 21.7 22.2 19.7 忍耐力 社交性 14.8 体力 8.9 柔軟性 14.3 10.7 継続力 9.2 集中力 根性 創造力 3.2 知識・技能・資格 その他 不明 ( %) 30 25.3 23.8 24.6 意欲・やる気 主体性 2008年 25 1.6 2.1 2.2 1.0 0.3 0.4 4.4 7.6 7.5 7.3 9.9 16.6 17.0 17.6 16.3 13.6 13.2 13.7 13.4 12.5 11.7 16.0 11.2 4.8 3.2 2.3 2.9 3 21.5 24.4 24.9 29.1 28.4 35 社会人として、 1つの分野の専門職になりたい が増加 また、「社会人としてどのような道に進みたいか」と尋ねると、「いろいろな仕事を経験したい が、管理職にはこだわらない」が 35.4%で最も多いものの、昨年と比べると、1.7 ポイント減少 した(図4) 。 次いで、 「1つの分野を勉強し、その道の専門職になりたい」となり、昨年より 5.8 ポイント増 加した(24.8%→30.6%)。今年の新入社員は、1つの分野にこだわりを持ってスキルを磨き、そ の道のプロになりたいと考えているようだ。 図4 社会人としてどのような道を進みたいか いろいろな仕事を経験し、部下を持つような管理職になりたい いろいろな仕事を経験したいが、管理職にはこだわらない 1つの分野を勉強し、その道の専門職になりたい 管理職にも専門職にもならず、一般社員でよい 特に考えていない その他 不明 1.4 0.3 21.2 2007年 37.1 18.9 2008年 24.8 35.4 5.3 30.6 3.1 9.9 9.5 1.5 0.9 0% 20% 40% 60% 4 80% 100% 働きがい について、女性は精神面も重視 また、 「どのような時に働きがいを感じると思うか」の問いには、約7割(70.3%)が「仕事が おもしろいと感じる時」 、次いで、約4割(39.3%)が「職場の雰囲気が良いと感じる時」と答え た(図5)。 「職場の雰囲気が良いと感じる時」という回答については、女性の方が男性よりも 15.1 ポイン トも高くなっている(男性 32.2%、女性 47.3%) 。さらに、 「自分を理解してくれる上司がいる時」 についても、女性が 4.7 ポイント高くなっている(男性 18.0%、女性 22.7%)。女性は仕事に対 する充実感とともに、精神的な面も重視していることがわかる。 男性は、 「給料・ボーナスをもらう時」との回答が、女性より 7.1 ポイント高く(男性 27.0%、 女性 19.9%) 、実際にもらえる報酬が働きがいにつながると考えているようだ。 図5 どのような時に働きがいを感じると思うか(複数回答) 0 10 20 30 40 50 39.3 職場の雰囲気が 良いと感じる時 32.2 20.2 18.0 22.7 自分を理解してくれる 上司がいる時 23.7 給料・ボーナスを もらう時 19.9 27.0 2.2 3.1 1.2 7.5 昇進昇格する時 6.3 8.7 19.8 社会に貢献している と感じる時 21.1 18.4 その他 不明 60 男 女 70 70.3 69.9 70.7 仕事が面白いと 感じる時 同僚と競争している時 合計 3.3 3.5 3.1 1.1 0.7 1.6 5 47.3 (%) 80 初めての給料は「家族などにプレゼントする」がトップ 「初めての給料でしたいこと」は、 「家族などにプレゼントする」が最も多く(60.6%)、 「貯蓄 する」(53.0%)、「自分の身の回り品を買う」(39.6%)と続いた(図6)。 「家族などにプレゼントする」が最も多いものの、 「貯蓄する」との回答は年々増加し、今年は 5割を超えた(46.5%→49.3%→53.0%)。「自分の身の回り品を買う」が昨年より 5.1 ポイント 減少しており(44.7%→39.6%)、その分を貯蓄にまわすことを考えているようだ。 図6 初めての給料でしたいこと(複数回答) (%) 2006年 2007年 2008年 70 60 62.5 60.6 57.7 53.0 49.3 46.5 50 40 44.7 40.2 39.6 27.0 26.3 25.1 30 20 14.1 13.6 13.6 10 6.9 5.1 5.9 4.6 3.3 3.9 2.11.9 3.7 不明 そ の他 英 会 話 や資 格 取 得 な ど 、自 己 啓 発 の 費 用 に使 う 6 記 念 にな る も のを買 う スポ ー ツ や趣 味 、 旅 行 、 レ ジ ャー 等 に使 う 友 人 と の つき 合 い に使 う 自 分 の身 の 回 り品 を買 う 貯蓄 する 家族 など に プ レゼ ン ト す る 0 11.0 8.8 9.0 理想の上司は「イチロー」「和田アキ子」 「理想とする上司像を有名人に例えると」の問いには、男性の上司としては、米大リーグ・シ アトルマリナーズ外野手の「イチロー」 (男性 27 人、女性 17 人)が3年連続で1位。女性の上司 では歌手の「和田アキ子」(男性 21 人、女性7人)が1位となった(表1)。 「その有名人を選んだ理由」を尋ねると、 「イチロー」を選んだ理由として、男性は「仕事がで きそう」 (11 人)が最も多く、 「率先して手本を見せてくれそう」 (10 人)、 「頼りになりそう」 (8 人)と続いた。女性は、 「率先して手本を見せてくれそう」 「目標ややり方をはっきり示してくれ そう」(それぞれ7人)が多く、「仕事ができそう」(5人)となった。 「和田アキ子」は、男性からの支持が圧倒的に高く、選んだ理由としては、 「厳しく指導しても らえそう」(11 人)、「頼りになりそう」(10 人)、 「面倒見がよく、何でも相談できそう」(9人) と続き、女性は「厳しく指導してもらえそう」 (5人)、「部下の意見に耳を傾けてくれそう」 (3 人)、「面倒見がよく、何でも相談できそう」(2人)となった。 仕事ができ、頼りになるところの手本を見せてくれ、厳しい指導だけでなく、意見を聴いてく れたり相談できる上司を求めているようだ。 表1 理想の上司像 男性の上司 回答数(人) 順位 イチロー 44 1 和田アキ子 28 島田紳助 32 2 篠原涼子 27 星野仙一 29 3 久本雅美 23 所ジョージ 24 4 黒木瞳 22 東国原英夫 10 5 真矢みき 11 積極的な挑戦と 協調性 柔軟性 女性の上司 回答数(人) に期待 今年の新入社員には、やる気を持って積極的に挑戦し、協調性や柔軟性をフルに発揮し、そし て自らが、職場の雰囲気や企業そのもののイメージを変えていく意気込みで取り組んでもらいた いものだ。また、企業側も、新入社員のフレッシュな感覚や意見を理解し取り入れることで、さ らに意欲を引き出し、活躍できるような職場づくりとチャンスの提供が求められているといえよ う。 2008 年6月2日 しがぎん経済文化センター 堀 7 有美子
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