海 上 保 安 庁 灯 台 部 電波標識課信号施設室 A I S( 船 舶 自 動 識 別 シ ス テ ム ) Universal ship-borne Automatic Identification System 1. AISの目的 AISは、当初VTSのためにという目的で開発されたが、その後、船舶間の衝突回 避を主目的としたシステムが提案され、そのシステムを2002年に全世界的に導入す べくIMO、ITUで準備が進められている。 I M O で は 、「 A I S の 目 的 を 船 舶の 効 率 的 な 航 行 を 支 援 す る こ と に よ る 航 行 の 安 全 、 環 境 保 全 そ し て 船 舶 通 航 業 務( V T S ) の 運 用 の 改 善 」 と 、 述 べ て い る 。 2. 経緯 2.1 第 1 世 代 ( V H F − D S C 方 式 A I S 、 V T S へ の 船 舶 の 自 動 船 位 通 報 ) AISの開発は、当初VTSを含む航路標識を運用する各国の主官庁の集まりで あ る 国 際 航 路 標 識 協 会 ( I A L A : International Association of Marine Aids to Navigation and Lighthouse Authorities) が V T S へ の 船 舶 の 船 位 通 報 の 自 動 化 と船舶運航者及びVTS職員の労力軽減、併せて通信のふくそうを防ごうとする目 的で、VTS管轄海域内に進入する船舶に関する情報を自動的に得るシステムの調 査研究から開始された。 IALAが、国際船長協会連合会(IFSMA)等の海事機関と共同で、国際海 事 機 関 ( I M O ) や 国 際 電 気 通 信 連 合( I T U ) に 働 き か け 、 1 9 9 2 年 「 D S C ( Digital Selective Calling ) 技 術 を 用 い た ト ラ ン ス ポ ン ダ ー ・ シ ス テ ム 」 が 、 CCIR(現ITU−R)勧告M.825という形で初めて国際的な基準として決 定された。 2.2 第 2 世 代 ( 放 送 方 式 A I S 、 船 舶 間 の 衝 突 防 止 ) そ の 後 , い ろ い ろ な 国 で A I S に 関 す る 研 究・ 開 発 が 進 み 、 A I S の 持 つ 機 能 と して、ふくそう海域では船舶間においても情報の交換が可能なものが要求されるよ う に な り 、 第 4 0 回 N A V ( 1994.7I M O 航 行 安 全 小 委 員 会 ) で G M D S S の V H F70chを使用するVHF/DSCトランスポンダ方式AISの提案をイギリス が 、 一 方 、 第 4 1 回 N A V ( 1995.7) に お い て ス ウ ェ ー デ ン と フ ィ ン ラ ン ド が デ ジ タ ル 選 択 呼 出 し 技 法 を 取 り 入 れ た GP+C(Global Posiitioning & Communication)A ISシステムを提案した。 AISを装備することにより、航行船舶の識別符号、位置、進路及び速度等の状 況を明確に把握することが可能となることから、船舶間においては衝突回避などに 役立てることができ、またVTSにおいては危険回避などの航行支援情報の提供を -1- E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc990324 より確実に行えるようになるということで、IMOの委員会、小委員会で提案され た 2 つ の 方 式( V H F / D S C ト ラ ン ス ポ ン ダ 方 式 と 放 送 方 式 ) に つ い て の 検 討 が 重ねられた。 それら2方式は、IALAからIMOへの文書によると、 ・VHF/DSCトランスポンダ方式:応答司令信号を受けると、基本的な船舶 識別の要目、位置、針路及び速度データを、陸上及び他の船舶の受信局に提供 する。 ・放送方式(当時の呼称はGP+Cトランスポンダ) : 基本的な船舶識別の要 目、位置、針路及び速度データに加え、全ての船舶データ項目及び短いメッセ ージを、高いデータ率及び反復率で放送することが出来る。 と説明してある。なお、両者の性能上の大きな違いは通報リポート数にあり、前者 はアメリカ提案の改良型で240レポート/1分であるのに対し、後者は南アフリカ 提 案 で 1 , 8 0 0 レ ホ ゚ ー ト / 1 分 、 ス ウ ェ ー デ ン・ フ ィ ン ラ ン ド 提 案 で 2 , 2 5 0 レ ホ ゚ ート/1分である。 2.3 ユ ニ バ ー サ ル A I S こ の 2 方 式 の 選 択 は 最 終 的 に 、 1 9 9 7 年 の 第 4 3 回 N A V (1997.7)で 合 意 さ れ た 「 Universal ship-borne Automatic Identification System( A I S ) の 性 能 基 準 に 関 す る 勧 告 草 案( ユ ニ バ ー サ ル A I S )」に 適 合 さ え す れ ば よ い と い う こ と に な っ た 。 しかし、その性能要件に最低2,000レポート/1分の通報レイトが盛り込まれた ため、実質的には放送方式のみがユニバーサルAISの性能要件を満たすシステム となった。 3. ユニバーサルAISの搭載義務船舶 ユニバーサルAISAISの搭載義務船舶は、2002年7月1日の発効を目 処に改正作業中のSOLAS第Ⅴ章第20規則1.5.4で規定される。すべての 旅 客 船 ( Ⅰ A ,2− 1 2 人 を 越 え る 旅 客 を 運 送 す る 船 舶 ) お よ び 総 ト ン 数 3 0 0 ト ン 以 上 の 貨 物 船 ( Ⅰ A ,2− 旅 客 船 で な い 船 舶 ) に 搭 載 義 務 対 象 と な っ て い る 。 ( NAV 4 4 (1998.7)で 5 0 0 ㌧ 以 上 と い う 提 案 が 露 か ら あ り 、 NAV45 で 再 審 議 の 可 能 性 あ り) SOLAS、第Ⅴ章 第20規則船舶航行システムおよび機器の機能並びに要件 1要件 1.5すべての旅客船および総トン数300トン以上の貨物船は、1.2およ び1.4の要件に沿うとともに次の装置を有すること。 -2- E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc990324 1.5.4 適 切 な 装 備 を し た 海 岸 局 、 他 の 船 舶 及 び 航 空 機 に 、 船 舶 識 別 符 号 、 船 型、位置、進路、船速、航行状態並びにその他安全に関する情報等の 情報を自動的に与え、そしてまた、同様の装備をした船舶からこうし た情報を自動的に受信して、さらに、船舶を監視し、追跡し、そして 海岸局と情報を交換するための自動識別システム 4. ユニバーサルAISの各基準及び概要 ユニバーサルAISの性能要件はIMOで、その技術基準はITUで審議のうえ勧告 される。 4 . 1 性 能 要 件( I M O − M S C 関 係 ) ユ ニ バ ー サ ル A I S の 性 能 要 件 は 、 1 9 9 8 年 5 月 の I M O 、 M S C 6 9 で「 ユ ニ バ ー サ ル A I S の 性 能 基 準 に 関 す る 勧 告 MSC.74(69)」 と し て 採 択 し た 。 勧告は、後述するITUの技術要件とは違い抽象的な表現であり、AISの適 用範囲、運用モード、システム構成、機能、船舶の識別、情報の種類、報告間隔、 通信容量等の項目からなっている。 適用範囲:ユニバーサルAISは、「①船舶相互間モードでの衝突の回避」 「②沿岸国が船舶及びその貨物に関する情報を入手する方法」「③VTS のツールとして」の機能要件を満たし、船舶の効率的な航行を支援するこ とによる航行の安全、環境の保護および船舶通航業務(VTS)の運用を 支援することにより、航行の安全を向上させるものでなければならない。 4 . 2 技 術 要 件( I T U-R ― S G 8 関 係 ) ユニバーサルAISの技術要件は、1998年7月のITU、SG8で「海上 移 動 周 波 数 帯 で の 時 分 割 多 元 接 続 を 用 い る 船 舶 搭 載 自 動 識 別 シ ス テ ム( ユ ニ バ ー サ ル A I S ) の 技 術 基 特 性 ( 勧 告 案 ) 」 と し て 承 認 さ れ た 。 今後 、 郵 便 投 票 ( 9 8 年 1 1 月 2 日 期 限 ) に よ る 採 択 後 を 経 て 、 I T U − R 勧 告 ( ITU-RM[8CX/A] ) と し て効力を発する。 勧告は、IMOの性能要件をより具体的に表現してある。 目的:ユニバーサルAISは、「①船舶相互間、船舶通報及びVTSの用途 での効率的運用を支援して航海の安全に寄与し」「②船舶乗組員の関与を 極力小さくして、運用者が複数船舶からの情報を自動的に取得し、高度の 利 便 性 を 有 し 」 「 ③ S A R ( Search And Rescue) 運 用 で の 船 舶 対 航 空 機 通 信にも使用できること。」 4.3 ユニバーサルAIS概要 ユニバーサルAISの性能・技術要件の概要を、纏めると次のようになる。 1) シ ス テ ム 構 成 -3E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc990324 AIS本体 ① T D M A 送 受 信 機( TX1、RX2 信 号 符 字 及 び 船 名 )、D S C 受 信 機 、 長距離通信(例えばインマルサットC)装置 ②処理装置 ・電子測位システム(1/10,000 分 の 分 解 能 を 有 し 、 か つ 、WGS-84 データム を 使 用 )か ら の デ ー タ 処 理 機 能 を 持 ち ・動的情報センサー( 対 地 進 路 、 対 地 速 度 、 船 首 方 位 等 ) テ ゙ ー タ の 自 動 入 力機能を持ち ・データの手動入力かつ検索機能を持ち ・送受信データのエラーチェック機能を持つ ③ テ ス ト 装 置( 内 臓 ) AIS TDMA 送 受 信 機 Rx1 Rx2 DSC 受信機 Tx ch70 位 置 (GNSS 等 ) 処理装置 時 間 同 期 (UTC) IEC1162 インターフェィス インターフェィス 長距離通信装置 ROT,HDG ECDIS Other 2) 船 舶 識 別 MMSI(海上移動業務識別)符号 3) 情 報 ① 静 的 情 報 …・ IMO 番 号 (6 分 毎 ) ・ 信 号 符 字 及 び 船 名 ・船舶の長さと幅 ・船舶の種類 ・船舶上の測位システムアンテナ位置(船首又は船尾,中心 線の左舷又は右舷) -4E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc990324 ② 動 的 情 報… ・ 精 度 表 示 と 完 全 性 の 状 態 を 付 与 し た 船 舶 の 位 置 (数 秒 毎 ・U T C (Universal Time Coordinated)時 刻 表 1 ) ・ 対 地 進 路 ・対地速力 ・船首方位 ・回頭率 ・ 随 意 項 目 : 傾 き 角( 基 本 通 信 文 に は 用 意 さ れ な い 指 定 域 ) ・ 随 意 項 目 : ピ ッ チ と ロ ー ル( 基 本 通 信 文 に は 用 意 さ れ な い 指定域) ・ 航 海 状 況 ( 例 え ば NUC, 錨 泊 中 等 , 手 入 力 ) ・追加情報を供給している外部センサーからの入力への対応 ③ 航 海 関 係 …・ 船 舶 の 喫 水 (6 分 毎 ・ 危 険 な 積 載 物 ( 種 類 : 当 局 の 必 要 に 応 じ ) 要 請 時 ) ・ 仕 向 港 と ETA( 船 長 の 判 断 ) ・随意項目:航海計画(航過点:基本通信文に用意されない指定域) ④短い安全関係通信文 (必 要 時 ) 安 全 関 連 通 信 文 は 、 重 要 な 航 海 又 は 重 要 な 気 象 警 報 を 含 ん だ通信文である。 表 1 情報通報更新率 船の種類 錨泊船 0∼14 ノ ッ ト の 船 舶 0∼14 ノ ッ ト の 船 舶 で 針 路 変 更 中 14∼ 23 ノ ッ ト の 船 舶 14∼ 23 ノ ッ ト の 船 舶 で 針 路 変 更 中 23 ノ ッ ト 以 上 の 船 舶 23 ノ ッ ト 以 上 の 船 舶 で 針 路 変 更 中 報告間隔 3分 12 秒 4秒 6秒 2秒 3秒 2秒 4) 船 舶 が 報 告 す る 容 量 2,000通報/分 5) 技 術 的 特 性 1( O S I モ デ ル 物 理 層 ) 項 目 伝送媒体 占有帯域幅 送受信機特性 変調方式 データ伝送ビットレート 送信機定常化時間 送信機電力 技術特性 156− 174MHz の V H F 帯 主務官庁に指定されない限り AIS1− 161.975MHz( CH87B)、AIS2− 162.025MHz(CH88B) 25kHz ( 領 海 で 、 当 局 の 規 定 で 12.5 kHz も 可 ) 認定済みの国際規格に準拠して動作のこと。 適合帯域幅周波数変調ガウシアン最小変移キーイング FM/GMSK 9600bits/sec±50ppm 1.0ms (送 信 機 電 力 が 最 終 値 の 20%以 内 ,周 波 数 安 定 度 ±1.0kHz 以 内 2 5 Watt( 用 途 に よ り 2W、 1 2 . 5 W も 準 備 ) -5- E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc990324 6) 技 術 的 特 性 2( O S I モ デ ル リ ン ク 層 ) 項 目 同 期 (時 刻 基 準) スロット識別 パケットの書式 (1スロット) 調教 シーケンス 技術特性 UTC 指 標 0-2249 で 識 別 (2250スロット/1min) 256ビット CRC 調教シーケンス 32 開 始 フ デ ー タ エンドフ バッファリ 16 (立 上 8 含 む ) ラグ 8 168 ラグ 8 ング 24 起点 フラグ データ RF 電 力 終点 フラグ FCS バッファ 局 A 注記 A 100% 26.67ms 80% 1 2 3 4 5 6 7 8 19 20 21 22 23 24 25 26 時 刻 (ms) T0 T1 T2 Ts T3 T4 T5 Tx 調教シーケンス 局 1 2 3 4 5 6 7 8 B 19 20 21 22 23 24 25 26 T0 T1 時 間 ( ms) 図 伝送タイミング 注 記 A: あ る 伝 送 の 終 端 が 丁 度 次 の ス ロ ッ ト の 始 ま り で あ る と 、 ユ ニ ッ ト A の TX ダ ウ ン 期間は図示のように次のスロットに重なることになる。調教シーケンスの伝送はこれによ り妨害されることは無い。このような場合は非常に稀であり、伝搬が異常な場合にのみ起 こ る こ と で あ る 。 こ の 場 合 で も 、 AIS の 運 用 が 損 な わ れ る こ と は な い 。 7) 技 術 的 特 性 2-2( O S I モ デ ル リ ン ク 層 、 リ ン ク 管 理 ) データリンクへの接続 ① SOTDMA(Self Organized Time Division Multiple Access : 自 律 式 時 分 割 多 元 接 続 )方 式 ② ITDMA( Incremental Time Division Multiple Access: 漸 増 時 分 割 多 元 -6E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc990324 接続)方式 ③ RATDMA ( Random Access Time Division Multiple Access: ラ ン ダ ム 接 続時分割多元接続)方式 ④ FATDMA( Fixed Access Time Division Multiple Access: 固 定 接 続 時 分 割多元接続)方式 SOTDMA は , 自 律 的 な 局 か ら の 計 画 的 反 復 伝 送 に 使 用 す る 基 本 的 な 方 式 である。更新率を変更したり,反復性が無い通信文を伝送するようなと きには他接続方式を使用する。 運用モード ① 自 立 式 か つ 連 続 的 … 通 常 の 運 用 モ ー ド( 自 身 の 伝 送 計 画 表 ) で 当 局 の 必 要により他に切換 ② 指定…当局が伝送計画表(データ伝送間隔や通報スロット)を指定 ③ 呼びかけ…他の船舶や当局からの質問に応答する。 初期化 ① 電 源 投 入 時 , 自 局 は チ ャ ネ ル 活 動 を 測 定 す る た め 1 分 間 TDMA チ ャ ネ ル を 監 視 し , 他 の 関 係 者 の ID, 現 在 の ス ロ ッ ト 指 定 と 他 利 用 者 の 報 告 位 置 , 海岸局が存在するかを調べる。(この時間帯に,該システムで運用して いる全関係者の動的ディレクトリーが確定) ② TDMA チ ャ ネ ル 活 動 を 反 映 し た フ レ ー ム ・ マ ッ プ の 作 成 。 ③ 1分経過後、運用モードにはいり,それ自身の計画表で伝送を開始。 通 信 文 の 例( 位 置 通 報 ) パラメーター 信 号 文 ID DTE データ表示子 利 用 者 ID 航海状況 ビット数 6 1 1 30 2 回頭率 SOG 位置精度 8 10 1 経度 緯度 COG 船首方位 タイム・スタンプ 28 27 12 9 6 予備 通信の状態 全ビット数 9 18 168 説 明 こ の 通 信 文 の 識 別 子 1, 2 又 は 3. デ ー タ ・ タ ー ミ ナ ル ・ レ デ ィ ( 0= 利 用 可 , 1= 利 用 不 可 ) . 伝 送 デ ー タ 有 無 の 表 示 ( 0= 無 し , 1= 有 り ) . MMSI 番 号 . 0: 航 海 中 . 1: 錨 泊 . 2: 支 配 下 に な い . 3: 操 船 不 自 由 . ±127 度 /分 , ( − 128 は 利 用 不 可 を 示 す ) , 外 部 セ ン サ . 1/10 kt 刻 み の 対 地 速 力 ( 0-102.4 kt) . 1=高 ( < 10 m) . 0=低 ( > 10 m) . 1/10,000 分 刻 み の 経 度 ( 180 度 , 東 =正 , 西 =負 ) . 1/10,000 分 刻 み の 緯 度 ( 90 度 , 北 =正 , 南 =負 ) . 1/10 度 刻 み の 対 地 針 路 ( 0-3599) . 度 ( 0-359) ( 511 は 利 用 不 可 を 表 示 ) , 外 部 セ ン サ . 報 告 生 成 UTC 秒 ( 0∼ 59, 又 は 測 位 シ ス テ ム が 非 動 作 な ら 63) . 未使用. 同 期 状 態 、 ス ロ ッ ト・ タ イ ム ア ウ ト 、 副 通 信 文 -7E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc990324 5. AISの国際機関における勧告の動向 5.1IMO (1) NAV41(第41回航行安全小委員会、95年7月) 英 国 の 提 案 を 基 に 、 国 際 VHF7 0 c h を 使 用 し た 通 報 レ イ ト 2 0 リ ホ ゚ ー ト / 分 の VHF/DSC 方 式 ( 2S ) A I Sの 性 能 基 準 に 関 す る 総 会 決 議 案 を 作 成 。 (2) MSC66(第66回海上安全委員会、96年6月) 国 際 VHF 7 0 c h は 、 GMDSS( 海 上 に お け る 遭 難 及 び 安 全 に 関 す る 世 界 的 な制度)の体制下において遭難通報に用いられる周波数であること及び使用周 波 数 帯 の 調 整 が 未 了 で あ る こ と か ら 、 VHF/DSC 方 式 ( 2 S) A I Sの 性 能 基 準の決議案は未承認。 スウェーデン等は、極めて詳細な情報を自動かつ定時的(1秒∼12秒、停 泊中は3分)に送信しえる高通報レイト2,250リポート/分の性能を有する 4 S 方 式 ( 放 送 ) A I Sの 性 能 基 準 を 提 出 、 南 ア フ リ カ か ら も 同 様 な シ ス テ ムを提案がされた。 I T U へ A I S 用 周 波 数 割 当 て の 要 望 文 書 を 提 出 し た 。 ( ITU が WRC97 で 無 線 通 信 規 則 付 録 第 18 号 海 上 移 動 業 務 V H F の 改 定 を 予 定 し て い た た め ) (3) NAV42(96年9月) 2 つ の 方 式( 2S 方 式 、放 送 方 式)の A I S が 提 案 さ れ て い る こ と に つ い て 、 将来のAISとしては、放送方式が適当であるという合意が得られつつも、そ の 導 入 方 法 に つ い て 1 段 階 又 は 2 段 階( 2 S 方 式 → 放 送 方 式 ) の い ず れ を 採 用 するかについては先送りのまま、両方式の性能基準案がそれぞれ作成され、M SC67に送られた。 (4) MSC67(96年12月) AISの2段階導入はやめ、1段階の導入で合意された。 性 能 基 準 案 に つ い て は 、 NAV4 3 で 検 討 さ れ る こ と と な っ た 。 (5) C O M S A R 2 ( 第 2 回 通 信・ 捜 索 救 助 小 委 員 会 、 9 7 年 1 月 ) DSCを備えたGMDSS用のVHF無線電話装置は、改造すること無しに トランスポンダとして利用することはできない事を指摘したのみでAISに関 する大きな進展はなかった。 ―――――――――――― * IMO の 組 織 IMO― ― ― 委 員 会 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 小 委 員 会 M S C ( 海 上 安 全 委 員 会 ) ------N A V( 航 行 安 全 ) Maritime Safety Committee Safety of NAVigation -----C O M S A R ( 無 線 通 信 ・ 捜 索 救 助 ) radio COMmunication and Search And Rescue -8E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc990324 (6) MSC68(97年5月) 高 速 デ ー タ 伝 送 を 伴 う こ と か ら 2 5 KHz バ ン ド で 全 世 界 的 規 模 の 統 一 的 な 周波数スペクトラムの確保が必要であり、WRC−97で専用波の割当を行う こと、及び、放送方式AISの技術特性について勧告を準備するようITUに 要請することとした。システムの技術的条件についてはNAV43で詳細な検 討を行うこととなった。 (7) NAV43(97年7月) 技 術 作 業 部 会 で A I S の 性 能 基 準 に 関 す る 勧 告 案 を 作 成 し た 。 NAV43/WP.2 の ANNEX2 に A I S ( Universal ship-borne Automatic Identification System:ユニ バーサルAIS)の要件、最 低 2 , 0 0 0 リ ホ ゚ ー ト / 分 の 通 報 レ イ ト の 要 件 な ど が 盛 り込まれた。変調方式までは規定しないものの、通報レイトについて英国提案 の D S C 方 式 は IMO の 性 能 要 件 を 満 た さ な い こ と に な っ た 。( な お 、米 国 は 、 VHF・DSC方式の整備を要求していたが、その後政策変更をしたようであ る。) S O L A S V 章 の 改 正 に お い て 、 第 2 0 規 則 1.5.4 で A I S を 全 て の 旅 客 船 及 び 総 ㌧ 数 3 0 0 ㌧ 以 上 の 船 舶 へ の 搭 載 義 務 化 案 を 作 成 。( 2 0 0 2 年 発 効 予定) (8) MSC69(98年5月) NAV43で作成したユニバーサルAISの性能基準に関する勧告案を採択 (9) NAV44(98年7月) S O L A S V 章 2 0 規 則 1.5.4A I S 搭 載 義 務 船 舶 に つ い て 、 日 本 提 案 「 国 際的な条約、ルール、基準が航海情報の保護を規定する場合には、本要件は適 用 さ れ な い こ と 」 は 受 け 入 れ ら れ 、 追 加 さ れ る こ と と な っ た( NAV45 が 最 終 )。 2002年の発効を目途。 (10) MSC70(98年12月) (11) NAV45(99年9月予定) SOLAS V章20規則の最終審議 (12) MSC72(2000年1月予定?)承認予定 (13) MSC73(2000年6月予定?)採択予定(拡大MSC) (14) 2002年1月1日までの異議通告期間内に条約締結国の1/3以上か ら異議通告が無ければ、2002年7月1日に発効 (日本の国内法は1月1日から7月1日の間に整備) -9E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc990324 5.2ITU (1) S G 8 ( 無 線 通 信 研 究 委 員 会 8 、 9 7 年 6 月 ) V H F D S C 方 式 に 属 す る A I S 関 連 勧 告 ( ITU-R,M.825-1) を ド イ ツ と ス ウ ェ ー デ ン の 留 保 付 き で 承 認 し た 。 こ の 勧 告 の 中 身 は ANNEX1 と ANNEX2 に 別 れ 、 前 者 は 1200bpsFSK 変 調 方 式 の 英 国 提 案 、 後 者 は 変 調 方 式 、 速 度 は 同 じ であるがプロトコルを変更してソフトウェアによる高速化を図った米国提案で ある。 (2) R A 9 7 ( 無 線 通 信 総 会 、 9 7 年 1 0 月 ) I T U − R 勧 告 M.825-1 に つ い て 、 ド イ ツ と ス ウ ェ ー デ ン の 留 保 を 勘 案 し 、 概 要 の 一 部 に“ ト ラ ン ス ポ ン ダ 用 の こ の 勧 告 は 、 I M O で 検 討 中 の A I S の 要 件を満たすことを意図したものでない”を加えて承認した。従って、この勧告 に記載されているDSC方式AISは、IMO SOLASの改正により搭載 が義務化された場合の設備としては使用できないこととなり、任意設備として 局地的な使用に限定されることとなる。。 (3) W R C 9 7 ( 世 界 無 線 通 信 会 議 、 9 7 年 1 0 月 ) 全世界的規模で統一的な周波数の確保が必要であるとするIMOの要求を踏 まえ、無線通信規則付録第18号を改正する機会にAIS用に2波を割り当て た 。 ( AIS1=161.975MHz,AIS2=162.025MHz ) こ の 2 波 は E U R 提 案 に よ る も ので、各国の事情を勘案し脚注の条件付き使用となった。作業部会の審議段階 で、米国とニュージーランドはもともとVHF帯のチャンネル不足に悩んでお り 、 1 2 . 5 k Hz 間 隔 の イ ン タ ー リ ブ 化 を 推 進 し て い る こ と な ど か ら こ の 周 波数は使わせないことを主張した。また、作業部会に未参加のシンガポールが 全 体 会 合 デ ュ ー プ レ ク ス 用 CH87 と CH88 は 公 衆 通 信 に 使 用 し て い る こ と 、 2 波も現行の利用CHを潰してしまうことなどを理由に難色を示したが、欧州メ ン バ ー に 説 得 さ れ 留 保 に は 至 ら な か っ た ( 国 内 で は 、 マ リ ン VHF で 使 用 ) 。 脚注で地域ベースで他の周波数が設定されない限りとする条件付きではあるが、 世界的規模で統一された周波数がWRCで決まったことはAISの発展にとっ て大きな成果であった。なお、簡素化された無線通信規則は、1999年1月 1日を暫定的に発行日とすることで決定した。 (4) S G 8 W P 8 B ( 作 業 パ ー テ ィ 8 B 、 9 8 年 3 月 ) D S C 方 式 A I S : ITU-R 勧 告 M.825「 D S C 技 術 を 使 用 す る V T S と 船 舶 間 識 別 用 ト ラ ン ス ポ ン ダ シ ス テ ム の 特 性 」の 見 直 し を 行 っ た 。 出 力 文 書 8B/TEMP/2(Rev.2) ユ ニ バ ー サ ル A I S: I A L A が 中 心 と な っ て 纏 め 、 6 ヶ 国( カ ナ ダ 、 フ ィ ン ランド、ドイツ、スウェーデン、南アメリカ、米国)の共 - 10 E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc990324 同 提 案 し た 文 書 を 基 に 、ITU-R 勧 告 M .[ 8 C / X A ]「 海 上移動周波数帯での時分割多元接続を用いる汎用船舶搭載 自動識別システム (ユニバーサルAIS)の技術特性」を 作 成 し た 。 出 力 文 書 8B/TEMP/1 将来のデータ通信 :英国がTETRA方式、米国が無線LAN方式を提案、 暫 定 新 報 告 案 と し て 8B/TEMP/15「 船 舶 間 及 び V T S ア プ リケーションの為の汎用データ通信」に纏めた。 各 シ ス テ ム 概 要 は 、 NAVIGATION№ 137(10.9)を 参 照 の こ と 。 (5) S G 8 ( 9 8 年 6 月 ) ユ ニ バ ー サ ル A I S の 技 術 勧 告 案( Doc.8/BL/8-E,2July1998) を 、 承 認 し た 。 98年11月2日期限の郵便投票で採択し勧告の見込み。 (6) S G 8 W P 8 B ( 9 8 年 1 0 月 ) ―――――――――――――――――― * ITU の 組 織 ITU― ― ― 会 議 ・ 総 会 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 委 員 会 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 作 業 ハ ゚ ー テ ィ R A ( 無 線 通 信 総 会 ) ------------S G s( 無 線 通 信 研 究 委 員 会 ) … WP8B SG8( 移 動 、 無 線 測 位 、 ア マ チ ュ ア 及 び こ れ ら に 関 する衛星業務) WRC(無線通信会議) 5 . 3 I E C( 国 際 電 気 標 準 会 議 ) (1) D S C 方 式 A I S ( 規 格 番 号 IEC61993-1) IEC TC80(航法計器専門委員会)のWG8(GMDSS関連作業部 会)で委員会レベルの国際規格案の作成を完了した。本年8月15日を期限と し て 、 承 認 の 可 否 を 問 う 郵 便 投 票 に 掛 け ら れ る 。 日 本 の 対 応 と し て は 、 (社 財 ) 日 本 船 舶 標 準 協 会 が 関 連 団 体 に 意 見 照 会 を 実 施 、 (社 )日 本 電 子 機 会 工 業 会 の I EC TC80国内委員会が意見を集約中である。最終的には、工業技術院よ りコメント付きで回答見込み。 (2) ユ ニ バ ー サ ル A I S( 規 格 番 号 IEC61993-2) IECでは、装置製造上のITUの勧告に沿って操作及び詳細な性能要件、 試験方法及び要求される試験結果についての規格を決定する。 1998年7月の第1回U−AIS会合が開催され、委員会レベルの原案を 作成し最終国際規格案までに1年半を要する事を確認。第2回会合は1998 年10月、第3回会合は1999年1月を予定。 なお、1999年内にAIS装置の生産計画を発表しているメーカは下記の 4社がある。 - 11 E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc990324 番号 1 2 3 4 メーカ名 GP&C社 Daimler-Benz 社 Ross Engineering 社 Marine Data Systems 社 国名 スウェーデン ドイツ アメリカ 南アフリカ 備考 南アのライセンス生産 A. 第 1 回 会 合 1 9 9 8 年 7 月 ロ ン ド ン 案の文書化 日 本 EIJA: 9/2 第 3 回 TC80/GMDSS 機 器 対 応 G B. 第 2 回 会 合 1 9 9 8 年 1 0 月 ロ ン ド ン C. 第 3 回 会 合 1 9 9 9 年 1 月 米 タ ン パ 案の文書化? 1998.7.22 作 成 1998.9.30 訂 正 1999.3.1 海 上 保 安 庁 灯 台 部 電 波 標 識 課 信 号 施 設 室 高 野 氏 よ り い た だ い た 資 料 を 一 部修正 - 12 E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc990324 E:¥hasegawa-win02¥research¥AIS¥研修 AIS.doc 1 990324
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