和歌山工業高等専門学校 平成二七年度卒業証書・修了証書・学位記

和歌山工業高等専門学校
平成二七年度卒業証書・修了証書・学位記授与式式辞
(平成28年3月19日)
本日、ここにご来賓の皆さま、保護者の皆さまの列席をいただき、和歌山工業高等専門学校平成二七年度卒
業証書・修了証書・学位記授与式を挙行できますのは、誠に喜ばしいことです。本日ご列席の皆様から平素よ
り賜っておりますご指導、特に昨年秋の学校正門の拡張改修まで、二年近くにわたって続いた学校の創立五〇
周年記念事業に賜ったご支援に改めて御礼申し上げます。
一五〇名の卒業生の皆さん、卒業おめでとう。五年制一貫教育の長い階段を一段一段着実にのぼり、今日の
よき日を迎えられました。五年前の皆さんの入学式は、東日本大震災からわずか3週間後で、国立高専、全国
五一校の中には、大震災により授業ができない高専もあり、我が校でも一部海外留学生の来日が遅れるという
厳しい状況でのスタートでした。私のその日の式辞は、東北・関東の高専の仲間たちのおかれた環境が復興し、
高専の各種コンテストや大会で、腕や技を競い合える日が遠からずくることを念じながら結んでいます。
あの入学式から、皆さんの多くは、親元を離れて柑紀寮に入り、高専生活に入り、今日の卒業式まで、学生
一人ひとりが強い意志をもって、勉学をやり遂げました。その努力は立派です。皆さんの人生において記念す
べきこの時に私は本校の教職員を代表して、心から皆さんにお祝いを申し上げます。また、専攻科でさらに二
年間の専門性の高い教育研究を続けられた一七名の修了生の皆さん、本科と合わせて七年間の勉学の修了おめ
でとう。さらに、今年度から課程の認定審査を経た専攻科修了生として、工学の学士という学位記も授与され
たことに重ねてお祝いを申し上げます。本校の五〇年の区切りの時期をこの学舎で過ごした今日の卒業生の皆
さんは、数々の記念行事において、高学年生として学生中心の活動を引っ張り、先輩達の築いてきた伝統をさ
らに発展させる力となってくれました。また、今日の式ではマレーシア、中国、カンボジアからの留学生も卒
業します。大震災の時に多くの国から日本に支援の手が伸ばされ、世界が一つに繋がっていると感じたそんな
時期に、アジアの国々から和歌山まで海を越えて来た留学生と机を並べて学んだ思い出を大切にしてくださ
い。
和歌山高専は、和歌山県内だけでなく、大阪府などの県外、さらに海外からの留学生を含めて、広い地域か
ら精鋭が集まった国立の高等教育機関です。知能機械工学、電気情報工学、物質工学、環境都市工学の四つの
分野の濃密なカリキュラムでの学習や研究、先生方の厳しい指導、クラブ活動や寮での生活を通じて、様々な
友人・恩師と交わり、日々切磋琢磨を続けて、きょうの卒業式を迎えました。今年も二二名が五年間の皆勤を
成し遂げたことも、心身共に健康な高専生の素晴らしさを証明するものです。
皆さんは、National Institute of Technology, Wakayama College からの卒業証書という夢に向かう切符
を、今日手にして、夢の実現への第一歩を今踏み出します。五年間の勉学の上にこれから自分自身で努力と勤
勉を積み上げ、幸福を追求して行ってください。夢に向かって進むこと、これは、国を問わず共通した人間の
権利であり、同時に若者にとっては義務であると思います。夢へ前進を続け、次の時代の新たな技術課題をし
なやかに乗り越える頼りがいのある技術者に成長してほしい。小さな夢で終わらせず、高専で身に付けた技術
への自信を基に、大きな夢をもち続ければ、きっとどこか叶って来るものです。校長の私自身、三八年前に教
育学部の卒業研究で「過疎過密と地方教育行政の課題」に取り組んだ後、教育行政畑の仕事に入りました。人
口の減る地域でこそ、学校が大事な役割を果たすんだ、という卒業研究で見た私の夢に向かう仕事を、この素
晴らしい学生・教職員に囲まれた和歌山高専で日々実践し、この卒業式を最後の仕事に月末に定年退職します。
御坊の町で夢と生き甲斐を感じて務めた七年間でしたが、いつも明るい挨拶を交わし、共に歩んでくれた一六
七名の学生の皆さん、ありがとう。
我が校の先輩の方々が、卒業後も社会人として、技術者として、たゆみない努力を続けられた結果、五〇年
を超える歴史を経て和歌山高専の高い評価と信用が築かれています。きょう和歌山高専を巣立っていく皆さん
の進む道が、希望と発展の光輝く道となることを祈り、校長の式辞といたします。
平成二八年三月一九日
独立行政法人国立高等専門学校機構
和歌山工業高等専門学校長
堀江振一郎