Q1) ハードな仕事だと思いますが、女性にも活躍してほしいと思います

Q1)
ハードな仕事だと思いますが、女性にも活躍してほしいと思います。清掃の仕
事の内容から、性別によるハンディはあると思いますか?
A1) 清掃業はとてもハードな仕事ですが、性別によるハンディは特にないと思いま
す。業務内容が、男性はポリッシャーなど重い資機材を使用したりする業務にも
取り組みます。女性は、男性では入れないトイレ等の清掃での需要が高いです。
特別支援学校からの就労の様子をみると、女子生徒の方が需要が大きいと感じて
います。
Q2)
小学部のうちから取り組んでおけると良い活動(習慣として身に付けておくと
良い)などがあれば知りたいです。
A2)
高等部段階から修正するのがなかなか大変なのは、やはりタオルの絞り方では
ないでしょうか。正しい絞り方(竹刀絞り)を早い段階から練習しておいていた
だけるとありがたいと思います。
それから、雑巾がけをするときに「すべり拭き」をされている学校も多いと思
います。高等部の作業学習の中では、「床の水拭きのあとは踏まないように」と
いう約束事が生じてきますので、すべり拭きではなく、膝をついてあとずさりし
ていくような拭き方を指導されると良いのではないかと考えます。
また、講習会の中でもお話ししましたが、小さいときに、たくさん誉められた
り感謝される経験を積んで、
「働くことは楽しい!」
「お掃除することは楽しい!」
という気持ちを育てていただくこと、これが一番なのではないかなぁと考えます。
働くことが大好きな児童・生徒の育成をしていただけると、大変ありがたいと思
います。
Q3) 作業前の目標設定と振り返りの実際について知りたい。
A3) 私が担当している2・3年生の清掃班のことしかお伝えできませんがご了承く
ださい。
目標設定は、①学期の目標(各自3つ)と、②当日の目標(毎日2つ)の2種
類を設定しています。①学期の目標については、本人が分かりやすいのは本人の
言葉で表現した目標だと考えておりますので、まず本人の言葉で考えてもらいま
す。考えたものを、私や清掃班の教員と検討します。半期に一度、作業中の技能
や態度に関するアセスメントをとっていますので、その結果も踏まえながら、目
標を微調整していきます。担任とも目標の確認をして、学期の目標を決定してい
きます。この目標については、作業学習のまとめの時間に作業日誌上で自己評価
し、教員からの評価を受けて、良くできてたら◎(青いシール)、まあまあだった
ら○(黄色いシール)、かなりの努力が必要な場合には△(赤いシール) となり、シ
ールは一覧表に貼って励みにしています。なお、目標にしても良いのは態度やマ
ナーに関することのみで、「1級がとりたい」というような技術的に目標は受け
つけておりません。
②当日の目標は、その日の作業内容や場所によって特に必要なマナーや意欲な
どを書き出して、朝のミーティング前に各自が日誌に書き写します。そして、ま
とめのミーティングのときに、自己評価をして教員からの評価も受けます。
この他に、私たち教員は、授業中に常にバインダーとピンクと水色の付箋を携
行しています。授業中、生徒たちをよく観察し、良くできていたことは水色の付
箋に記録し、改善すべき点はピンクの付箋に記録します。そして、まとめのミー
ティングの時にその付箋を日誌に全て貼りつけます。この、貼りつけられたピン
クと水色の付箋の割合を円グラフにして、その日一日は頑張れたのかどうかを視
覚的に伝えます。これは、一度注意を受けたとしても、その分奮起して評価され
るような活躍をたくさんすれば、ピンクの付箋の割合は減っていくということを
示し、気持ちの切り替えを促したり、打たれ強さを身に付けてもらいたいという
狙いで取り組んでいます。また、担任の先生や保護者の方も、日誌に貼られた付
箋を見れば、何が良くて何が良くなかったのかが一目瞭然なので、指導や助言が
しやすいというメリットもあります。
このような形で、目標を立て、その目標をクリアできるように1日働き、まと
めのミーティングで評価するという流れで学習を展開しています。しかし、その
日の業務内容によっては、まとめのミーティングの時間がまともにとれないこと
もしばしばで、時間の使い方が大きな課題です。
Q4) 研修会当日にお配りした資料に「テーブル拭きの『なぜ?』」
「自在ぼうきの『な
ぜ?』
」という資料の「答え」がほしい。
A4) ご要望いただいた資料については、テキストに書いてあることをそのまま鵜呑
みにするのではなく、先生も生徒も、一度は「なぜそうする必要があるのだろう
か?」と考える習慣をつけてほしいという思いで作成したものです。ですので、
ここでまたその回答を1つ1つ述べてしまうと、今度はこの回答を鵜呑みにして
しまうのではないかと考えます。よって、ここでは以下の3点のみ、模範解答と
いう形で掲載させていただきます。この模範解答についても、「本当にそうだろ
うか?」と考えを深めていただくことは非常に重要なことだと思いますし、そう
やって考えた上で自分なりの理論を構築していくことは、生徒への指導の幅の広
がりにもつながっていくと思います。
①なぜ、雑巾ではなくタオルを使用するの?
→一般的な雑巾は、広げたタオルを4つ折りにした大きさで縫い合わせてあり
ます。作業で使用するときは手のひらサイズが使いやすいですが、そうする
と雑巾の場合、2つ折りがちょうど良い大きさとなります。いろいろなとこ
ろを拭き上げていくと、雑巾は汚れていきます。汚れた面でいくら拭いても
きれいにはなりませんから、折り返したりひっくり返したりして、まだ汚れ
ていない面を出して拭き掃除を進めていきます。この方法で清掃を進めてい
くときに、雑巾だときれいな面を4面しか出すことができませんが、タオル
ですと16面のきれいな部分を出すことができます。一度ゆすいだタオルで
できるだけきれいな面を出し続けながら拭き上げていくことを考えると、た
くさんの面を使うことのできるタオルの方が雑巾よりも効率よく作業を進
めることができます。このことから、雑巾ではなくタオルを使用するのです。
②なぜ、タオルは体につけずに指先でたたむの?
→タオルは様々な作業場面で頻繁に使用します。また、使用する場所で色分け
をして使用するのが一般的です。例えば、東京都知的障害特別支援学校清掃
技能検定では、テーブルの上を拭くタオルは黄色、便器の水拭き用はピンク、
便器のから拭き用は水色、それ以外の窓や床、資機材の拭き上げ等で使用す
る場合はすべて白、という具合に分けて使用しています。このようにいろい
ろな用途のあるタオルを、いつもアゴの下で挟んでたたむようなくせをつけ
てしまったらどうでしょう?
トイレで使うタオルなのにアゴの下に挟ん
だりしたら不衛生ですよね。 いつも床に広げてたたむ習慣をつけてしまっ
たらどうでしょう? テーブルの上を拭くタオルを床に広げたら、やはり不
衛生ですし、色分けした意味がなくなってしまいます。このようにどんなタ
オルでも衛生的にたたむためには、体につけたりせず、指先だけでたためる
技術を身に付けておくことが必要になってきます。そのための訓練を日々行
っているのです。
③なぜ、自在ぼうきでは親指で柄の先端を押さえるの?
→自在ぼうきに限ったことではありませんが、柄の長い資機材(モップやダス
タークロスなど)を使用するときには、必ず柄の先端を親指でカバーします。
清掃をする場所はたいていは人の通行がある場所です。一生懸命仕事をして
いると人が近づいてきたことに気付かず、近づいてきた人に柄をぶつけてし
まうことがあるかもしれません。そのときに、直接硬い柄の先端が人にあた
るよりは柔らかい手でカバーしておいた方が怪我の程度を小さくすること
ができるでしょう。また先端をカバーしておくことによって、窓や壁、置物
などに触れたときにも傷をつけたりせずに済むと同時に、触れたことにすぐ
気づくので、ガラスを割るなどの大きな事故を未然に防ぐことができます。
以上のような理由で、柄の先端は自分の手でカバーしておく習慣をつけるの
です。
Q4) 田園調布特別支援学校の作業学習について、1 年生の作業学習と2・3年の作
業学習の学習内容のつながりの様子を知りたい。
A4) 本校は今年度から教育課程の類型化が始まり、現在の2年生から、重度重複学
級、Ⅰ類型、Ⅱ類型の3つの教育課程で授業を行っております。1年次は類型化
をせず、3年生に関しては今年度は類型化をしておらず、次年度で完成形を迎え
ます。このような事情により、作業学習についてもより良い形態を目指して試行
錯誤しているところです。現在の本校の作業学習の編成は以下の図の通りです。
2・3年次
清掃
園芸
喫茶事務
木工
陶芸
組立手芸
食品
ランドリー
※原則、2年間同じ作業班に所属。
1年次
清掃
園芸
食品
木工
陶芸
※原則、上記の6班のうち、前期後期で2つの作業班に所属。
リサイクル
ご質問の件についてはすべての作業班について述べることは難しいのですが、
清掃班に関しては現状でお答えできる部分をお伝えします。
<1年生>
基礎練習:テーブル拭き、自在ぼうき、モップ、ダスタークロス
日常清掃:食堂のテーブル拭き、廊下清掃(掃き清掃、壁の埃取り等)
各教室の自在ぼうきのけがき作業
<2・3年生>
基礎練習:テーブル拭き、自在ぼうき、モップ、ダスタークロス、スクイージー
ポリッシャー、掃除機(吸水バキューム含)
日常清掃:廊下清掃(掃き清掃、拭き上げ、窓清掃、髙窓清掃)、
体育館清掃(除塵、拭き上げ)
受注作業:教室清掃、特別教室清掃、食堂清掃、校庭清掃(落ち葉等)
定期清掃:ワックス塗り替え(剥離作業可)
清掃班では1年次にテーブル拭きと自在ぼうきの技術の定着を目指しています。
ダスタークロスやモップは、授業の進行具合に合わせて実施しないことも考えられ
ます。また、どの種目も基礎練習が終わったら「検定」を校内で行いますが、1年
生に関しては検定表の評価項目を減らしたり減点の基準を緩やかにする等の配慮
を行い、自信を付けてもらうことに重点を置いています。テーブル拭きについては
技術の定着も考え、食堂のテーブル拭きを給食前に実施しています。
2・3年生に関しては、まず1年次に練習した資機材の使い方を復習し、都の検
定と全く同じ観点で検定を実施します。基礎練習として取り組む種目も大幅に増え、
モップ、ダスタークロス、ウインドウスクイージー、ポリッシャー、掃除機にも取
り組みます。学習した資機材を使用し、校内の先生方からの注文を受けて清掃を行
う取り組みもしています。剥離やワックスの塗布も現在練習中で、来年度にはこれ
らの作業も十分対応できるようになります。役割分担や使用する資機材なども生徒
同士で話し合い、
「自ら考える」ということを大切に学習活動を進めるような展開
をしています。
以上、いただいたご質問に対する回答となります。
なお、都教委の HP へのテキスト改訂版のアップは、年度末か来年度早々となる
予定です。ビルメンテナンス協会の先生方への質問に対する回答につきましても、
しっかりしたお答えができるようにと、現在作成していただいているところです。
以上となります。回答を掲載することが遅くなってしまい、大変申し訳ありませ
んでした。