情報公開用文書(附属市民総合医療センターで実施する研究) 西暦 2016 年 11 月 9 日作成 同種造血幹細胞移植前の鉄負荷が移植後早期の感染症および移植成績に 研究課題名 及ぼす影響に関する前方視的臨床研究(F-STUDY)の追加調査 関東造血細胞共同研究グループ(KSGCT)において F-STUDY に登録した 研究の対象 患者のうち、移植後 100 日目の血清フェリチン値が測定されている 173 例。そのうち当院での対象症例は 9 例。 移植後の合併症および輸血量と移植後 100 日目の血清フェリチン値との 研究の目的 関連を調べることにより、適切な除鉄療法と治療成績の向上に資すると期 待されることを目的とする。 急性白血病における同種造血幹細胞移植後の死亡原因は、原病再発と移 植関連合併症に分けられる。移植前処置による臓器障害、感染症、移植片 対宿主病(GVHD)などが移植関連死亡の主たる要因であり、これらの合 併症に対する適切な診断と早期治療が移植患者の予後を改善させるため には必須である。移植関連合併症を予測するための臨床研究は多数行われ ているが、近年、赤血球輸血や鉄利用障害による鉄過剰症と移植患者の予 後に関連がみられることが報告され、血清フェリチンの測定が移植関連死 亡の予測に有用であることが示唆された。移植前の鉄過剰症と移植関連合 併症との病因論的機序は明らかにされていないが、鉄沈着症による肝臓な どの臓器障害や鉄過剰状態における好中球機能の障害などの影響が考え られている。 様々な移植関連合併症の中で、造血機能の回復前後にみられる感染症は致 研究の概要 死的になる場合も多く、重要な臨床的課題の一つである。移植前の鉄負荷 と予後との関連においては、移植前血清フェリチンが高値を示した患者群 では移植後早期の感染症の合併頻度が高く、移植関連死亡に関与している 可能性が示唆されている。しかしながら、これらの報告はいずれも単施設 での研究あるいは後方視的研究であり、対象疾患も様々である。そこで関 東造血細胞共同研究グループ(KSGCT)において対象疾患を急性白血病お よび骨髄異形成症候群に限定し、移植前の鉄負荷が移植後早期の感染症合 併に影響するか否か、多施設での前向き観察研究(F-STUDY)によって検 証し、移植前の血清フェリチン値が 1000 以上の症例は慢性 GVHD の発 症頻度が高く、生存率が不良であることが示された。また、F-STUDY で は移植後 100 日目の血清フェリチン値も測定しており、これも 1000 以上 の症例は生存率が不良であった(未発表データ)。移植後の合併症および 輸血量と移植後 100 日目の血清フェリチン値との関連を調べることによ り、適切な除鉄療法と治療成績の向上に資すると期待される 上記対象症例について既存の診療録より、移植後の合併症および輸血量 研究の方法 と移植後 100 日目の血清フェリチン値との関連を調べる。 情報公開用文書(附属市民総合医療センターで実施する研究) 研究期間 個人情報保護 に関する配慮 許可日 ~ 西暦 2017 年 5月 31 日 連結可能とする情報の管理場所と方法は、血液内科医局の鍵がかかる棚と し、匿名化番号と個人を特定するデータを保存する 本研究のために、患者さんにあらたな負担や危険が生じることはありません。患者 さんもしくはご家族の方等がこの研究へのご参加を希望されない場合は、以下の連絡 先までご連絡いただけましたら、その方の診療録から集められた検査データや輸血の 記録は本研究に利用しないようにいたします。本研究への参加をお断りになられたと しても、不利益になることは一切ございません。 問合せ先および研究への利用を拒否する場合の連絡先: 〒232-0024 横浜市南区浦舟町 4-57 横浜市立大学附属市民総合医療センター 血液内科 電話番号:045-261-5656(代表) FAX:045-241-2812 本橋賢治
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