造血細胞移植における Mycophenolate Mofetil (MMF)使用実態の全国調査 研究計画書 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 研究背景と目的 調査対象と調査データ 調査方法 参加者への説明・同意について 収集されたデータ管理について 調査参加施設 調査および結果の公表 研究組織 参考文献 名古屋大学医学部造血細胞移植情報管理学 〒461-0047 名古屋市東区大幸南 1-1-20 大幸医療センター内 1. 研究背景と目的 近年わが国における白血病をはじめとした造血器悪性腫瘍症例に対する造血幹細胞移植 は年を追うごとに件数が増加し、治療成績も向上してきている。しかし一方で種々の治療 関連合併症が生じ、これまでの治療薬では十分にコントロールできないことも多い。中で も特に GVHD については、近年症例数の増加している非血縁 BMT ではリスクが高く治療 関連死亡原因の上位を占めている。こうした症例に対し、海外では現在日本で造血細胞移 植分野に適応のない薬剤が使用され効果をあげていると報告されており、日本でも一部の 症例に使用されていることが知られている。MMF は本邦では、腎移植後の拒絶予防にのみ 承認されているが、海外では GVHD 予防薬および GVHD 治療薬として一定の実績がある。 今回 GVHD に対する MMF の使用実態調査を行い、わが国での使用実績を明らかにするこ とを計画した。 2. 調査対象と調査データ 調査対象医療施設は、本邦で造血細胞移植を実施している施設とする。調査対象となる データは移植に関する既存の臨床データと予後に関するデータであり、検体収集や新たな 測定は行わない。 3. 調査方法 各施設に対し郵送でアンケートを行う。アンケートは 2 回方式で行い、初回アンケート は、現在まで行われた同種移植に対し MMF を使用した経験の有無と症例数。 「使用歴有り」 の症例については日本造血細胞移植学会(JSHCT)の移植登録一元管理プログラム (TRUMP)に登録のデータを用い、移植情報の詳細は TRUMP から抽出される。TRUMP に既に MMF 投与歴が記録されている例は、自動的に 2 回目のアンケートに含められる。 2 回目のアンケートは MMF 使用歴のある症例に対してのみ行われ、以下に示す使用の詳 細を調査する。以下に調査項目を示す。 予防投与か治療的投与か、治療投与の場合対象は急性 GVHD か慢性 GVHD か 投与量(1 回量、一日量) 投与期間 併用治療(CyA、FK506、Steroid、その他) 有害事象の有無とその内容(特に血球減少、消化管毒性に関して) 投与量変更の有無(有害事象による・よらない) 治療効果(GVHD の改善や併用薬減量) MMF 治療を中止したときはその理由 MMF 治療後の原病の再発の有無 MMF 治療後の生存・死亡 あれば Parmacokinetics のデータ 4. 参加者への説明同意について 本研究は「文部科学省・厚生労働省 疫学研究に関する倫理指針」の第 3-7-(2)-②; 人体から採取された資料を用いない場合に位置づけられるため、研究対象者からインフォ ームドコンセント(IC)を受けることを必ずしも要さないとされている。 ①本研究が対象者に危険を及ぼす可能性がないこと、②調査には匿名化されている既存の 資料を用い、アンケート調査でもその番号で調査されるため個人情報が漏洩する可能性は ないこと、③後方視的臨床研究であるため個別的な IC の取得が現実的には困難であること、 ④新たな検査や薬剤の使用を行わないことなどから今回の調査研究には説明・同意文書は 必要ないと考えられる。 ただし、研究を実施していることが一般に周知されるよう、造血細胞移植学会のホーム ページで本研究の実施を開示する。 5. 収集されたデータ管理について 収集されたデータには個人情報が含まれないが、万一の場合に備えデータを保存したコ ンピューターや記憶媒体に対しては厳重な施錠管理を行う。 6. 調査参加施設 今回の調査参加に際して、参加各施設内での倫理委員会での審議は必須としないが、施 設長の承認を要す。 7. 調査および結果の公表 研究結果については、集計結果を論文として公表する。 8. 研究組織 研究責任者: 名古屋大学医学部 造血細胞移植情報管理学(日本造血細胞移植学会)寄附講座 准教授 鈴木律朗 事務局:名古屋大学医学部造血細胞移植情報管理学(日本造血細胞移植学会)寄附講座 〒461‐0047 名古屋市東区大幸南 1-1-20 研究分担者:名古屋大学医学部 名古屋大学大幸医療センター内。 造血細胞移植情報管理学 助教 吉見礼美、熱田由子 電話:052-719-1973 共同研究者:国立がんセンター中央病院・医長・福田隆浩 本研究は、厚生労働省がん臨床研究事業「治療関連合併症を減少させて同種造血幹細胞移 植後の生存率の向上を目指す標準的治療法の開発研究」(代表者 福田隆浩 国立がんセ ンター中央病院)の分担研究として行う。 9. 参考文献 1)日本造血細胞移植学会 平成 18 年 3 月 1 日 造血細胞移植医療の全国調査 研究計画書 改訂第 2 版修正版 2)Atsuta Y, Suzuki R, Yoshimi A, Gondo H, Tanaka J, Hiraoka A, Kato K, Tabuchi K, Tsuchida M, Morishima Y, Mitamura M, Kawa K, Kato S, Nagamura T, Takanashi M, Kodera Y: Unification of hematopoietic stem cell transplant registries in Japan and establishment of the TRUMP system. Int J Hematol 2007 (in press) 3)Takami A, Mochizuki K, Okumura H, Ito S, Suga Y, Yamazaki H, Yamazaki M, Kondo Y, Asakura H, Nakao S. Mycophenolate Mofetil is effective and well tolerated in the treatment of refractory acute and chronic graft-versus-host disease. Int J Hematol. 2006;83:80-85 4)Krejci M, Doubek M, BUchler T, Brychtova Y, Vorlicek J, Mayer J. Mycophenolate mofetil for the treatment of acute and chronic steroid-refractory graft-versus-host disease. Ann Hematol 2005;84:681-685 5)Bolwell B, Sobecks R, Pohlman B, Andresen S, Rybicki L, Kuczkowski E, Kalaycio M. A prospective randomized trial comparing cyclosporine and short course methotrexate with cyclosporine and mycophenolate mofetil for GVHD prophylaxis in myeloablative allogeneic bone marrow transplantation. Bone Marrow Transplantation 2004;34:621-625 6)Neumann F, Graef T, Tapprich C, Vaupel M, Steidl U, Germing U, Fenk R, Hinke A, Haas R, Kobbe G. Cyclosporine A and Mycophenolate Mofetil vs Cyclosporine A and Methotrexate for graft-versus-host disease prophylaxis after stem cell transplantation from HLA-identical siblings. Bone Marrow Transplantation 2005;35:1089-1093 7)Pohlreich D, Vitek A, Maalouf J, Cetkovsky P. Decreased risk of acute gastrointestinal toxicity when substituting methotrexate with mycophenolate mofetil in the prevention of graft-versus-host disease in stem cell transplantation following myeloablative conditioning regimens. Bone Marrow Transplantation 2006;37:235-236
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