急性移植片対宿主病(GVHD)予防薬ミコフェノール酸モフェチル(MMF

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患者さんへ
「急性移植片対宿主病(GVHD)予防薬ミコフェノール酸モフェチ
ル(MMF)を用いた同種造血幹細胞移植治療成績の後方視的解析」
の研究について
神戸大学医学部附属病院腫瘍・血液内科では、現在、入院患者さんのうち当院で 2010 年
1 月 1 日から神戸大学大学院医学研究科長承認年月日までの期間に急性移植片対宿主病
(graft-versus-host disease: GVHD)予防薬ミコフェノール酸モフェチル(MMF)を用い
て同種造血幹細胞移植が行われた患者さんを対象に研究を実施しております。内容につい
ては下記のとおりとなっております。
尚、この研究についてご質問等ございましたら、最後に記載しております[問い合わせ窓
口]までご連絡ください。
[研究概要および利用目的]
神戸大学医学部附属病院腫瘍・血液内科では、急性 GVHD 予防薬 MMF を用いた同種造
血幹細胞移植を入院患者さんを対象として行っています。
免疫抑制剤である MMF は、近年国内外において普及しつつある急性 GVHD 予防薬の一
つです。従来移植後にカルシニューリン阻害薬と併用されているメトトレキサート
(Methotrexate: MTX)の短期投与と比較し、GVHD 予防効果は同等ながら粘膜障害の副
作用が少なく、また生着不全を抑制し移植片生着までの期間を短縮させることが報告され
おり、当院でも積極的に移植後急性 GVHD 予防薬として MMF の投与を行っています。こ
れまで当院で行われた複数の臨床試験の結果からも、MMF の安全性及び有効性については
明らかとなっています。
一方、同種造血幹細胞移植は難治性造血器疾患に対して根治が望める治療法として確立
されているものの、未だ治療成績や安全性において改善の余地が残されています。原疾患
の再発以外に、移植成績を大きく引き下げる要因として、生着不全および GVHD、感染症
などの移植後合併症(非再発死亡)が挙げられます。近年、非再発死亡は減少し、移植成
績が向上しているとの報告もあるが、いまだ不十分で有り、これらの課題を克服すること
が急務です。
そこで、これまでの治療成績や、それに影響を与えたと考えられる背景因子について詳
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細な解析を行うことは、MMF の安全性及び有用性について再検証されるのみならず、多施
設共同臨床試験の結果と併せて、今後 MTX に替わり MMF が標準的急性 GVHD 予防薬と
して位置づけられることにも役立つと期待されます。
【研究期間】
この研究は、神戸大学大学院医学研究科長承認年月日(2016 年 2 月 16 日)から 2020 年
3 月 31 日まで行う予定です。
[取り扱うデータ]
・患者背景:年齢、性別、原疾患名、移植時の病期、移植ドナー種類および細胞数(末梢
血・骨髄・臍帯血)、移植ドナーとの関係(血縁・非血縁)
、HLA 一致度、GVHD 予防
法、移植後 G-CSF の投与量・投与期間、併用薬の種類および量
・MMF を用いた同種造血幹細胞移植術の安全性と有効性の解析:移植片生着の有無、生
着までの日数、二次生着不全の有無、急性 GVHD 発症の有無と重症度、慢性 GVHD
発症の有無と重症度、治療に伴う有害事象の有無と重症度、生存割合、移植後再発の
有無(移植時寛解期の症例については、無病生存率を求める)
、最終転帰(生死、死因、
最終確認日)
、感染症(細菌感染、真菌感染、ウイルス感染(特に CMV・EBV))の頻
度、各種検査結果(血液、画像等)
、その他
[個人情報保護の方法]
個人情報、検査結果などの記録、保管は第三者が直接患者さんを識別できないよう登録
時に定めた登録番号を用いて行います。また得られた記録は、インターネットに接続して
いない外部記憶装置に記録し、神戸大学大学院医学研究科腫瘍・血液内科学研究室の鍵の
かかる保管庫に保管します。
[研究へのデータ提供による利益・不利益]
利益・・・・本研究にデータをご提供いただいた患者さん個人には特に利益と考えられ
るようなことはございませんが、本研究結果が、今後実施される MMF を
用いた同種造血幹細胞移植術の治療成績向上に役立つことが期待されます。
不利益・・・カルテからのデータ収集のみであるため、特にありません。
[研究終了後のデータの取り扱いについて]
今回の研究に使われるデータが医学の発展に伴って、他の病気の診断や治療に新たな重
要な情報をもたらす可能性があります。このため、データ等を研究終了後も保存させてい
ただき、新たな研究等に使用させていただきたいと思っています。その場合にも、上記の
ように全ての患者さんの情報を匿名化してデータを扱い、厳重に保管いたします。(保存期
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間は最長で 5 年間です。)ただし、本研究終了後にデータを廃棄することを望まれていらっ
しゃる場合には、下記 [問い合わせ窓口]までご連絡ください。この場合には、個人を特定
できない状態で速やかに廃棄させていただきます。
なお、保存させていただいたデータを用いて新たな研究を実施する際には、その研究につ
いて、医学倫理委員会で再度、審査を受けることとなっております。
[研究成果の公表について]
研究成果が学術目的のために論文や学会で公表されることがありますが、その場合も、
患者さんの個人情報の秘密は厳重に守られますので、第三者に患者さんの個人情報が明ら
かになることはありません。
[研究へのデータ使用の取り止めについて]
いつでも可能です。データを本研究に用いられたくない場合には、下記[問い合わせ窓口]
までご連絡ください。取り止めの希望を受けた場合、それ以降、患者さんのデータを本研
究に用いることはありません。しかしながら、同意を取り消した時、すでに研究成果が論
文などで公表されていた場合のように、結果を廃棄できない場合もあります。
【利益相反について】
臨床試験における、利益相反(COI(シーオーアイ):Conflict of Interest)とは「主に経
済的な利害関係によって公正かつ適正な判断が歪められてしまうこと、または、歪められ
ているのではないかと疑われかねない事態」のことを指します。具体的には、製薬企業や
医療機器メーカーから研究者へ提供される謝金や研究費、株式、サービス、知的所有権等
がこれに当たります。このような経済的活動が、臨床試験の結果を特定の企業や個人にと
って有利な方向に歪曲させる可能性を判断する必要があり、そのために利害関係を管理す
ることが定められています。
神戸大学大学院医学研究科腫瘍・血液内科学分野は「中外製薬株式会社」 から、臨床研
究及び基礎研究のため資金提供を受けておりますが、本研究の研究方法、結果および解析
において当該製薬会社から介入を受けることや便宜を図る事はありません。このため、企
業からの資金提供を受けることによって、被験者の利益と研究者の利益が相反する(利益
相反)ことはありません。
神戸大学大学院医学研究科における利益相反(COI)の管理は神戸大学医学部総務課職員
係が行っておりますので、詳細をお知りになりたい場合は、担当医までお問い合わせくだ
さい。
[問い合わせ窓口]
この研究についてのご質問だけでなく、ご自身のデータが本研究に用いられているかど
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うかをお知りになりたい場合や、あるいはご自身のデータの使用を望まれない場合など、
この研究プロジェクトに関することは、どうぞ下記の窓口までお問い合わせ下さい。
神戸大学
腫瘍・血液内科
連絡先:078-382-5820
講師
藥師神公和