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産科の超音波検査
妊娠中期スクリーニングについて
基本と異常像
徳島大学病院 産婦人科
加地 剛
産科の超音波検査
・胎児・胎児付属物
・早産の予測(頸管長)
・分娩管理(経腹・経会陰)
・母体管理
超音波の施行時期と主な目的
8∼11週
CRLにより妊娠週数の確認・修正
11~13週
初期スクリーニング:NTなど
16~19週
中期スクリーニング①:(重症の)構築異常のcheck
20,21週では遅い
24∼28週 中期スクリーニング②:構築異常のcheck
最も見やすい これ以上遅くなると見えにくくなる
35~37週
胎児発育、羊水量
40週∼ 羊水量
中期スクリーニング
構築異常について
①全身を系統的に、正常所見の確認
②特徴的な異常所見から診断
双方のアプローチがうまくいくと、漏れがなく効率がよいスクリーニングができる
①全身を系統的に、正常所見の確認
確認できていない項目を記載し、次回に確認するか精査にまわす
BPD断面
視床
第3脳室
透明中隔
Midline echoを水平に描出
側脳室 後角 (atrium)
正常:10mm未満
脈絡叢
小脳
小脳半球
大槽
10mm以内
小脳虫部
顔
脊椎
皮膚
椎体
脊髄
AC断面
胃
胃が左にある
臍帯動脈
膀胱
臍帯動脈
FL
水平に描出
②特徴的な異常所見から診断へ
中期スクリーニング①で見つけたい主な疾患
無脳症
Potter症候群(両側腎機能廃絶)
脳瘤
全前脳胞症
Trisomy 13
Trisomy 18
開放性2分脊椎
16w
BPD断面が描出出来ない
眼窩より上の骨および脳がない
12w
無頭蓋症→無脳症
10w
正常
無頭蓋症
(無脳症)
頭が小さい
10w
16w
12w
無頭蓋症
↓
無脳症
2D超音波 (妊娠12週2日)
脳瘤
口唇裂
頭蓋冠はほぼ欠損し脳が脱出
羊膜索症候群
左眼窩は非常に小さく、眼間も開離
全前脳胞症
眼間狭小
脳室が左右に分かれていない
13 trisomyに伴うことも多い
19週
16mm
側脳室拡大
前頭部の凹み(レモンサイン)
30週
22mm
側脳室拡大
バナナサイン
小脳の変位・変形および大槽の消失
開放性2分脊椎(脊髄髄膜瘤)
皮膚欠損
側脳室後角の拡大、小脳の異常が診断の契機
として重要
とくに側脳室後角の拡大、小脳の異常が2分脊椎診断の契機として重要
バナナサイン
16mm
側脳室拡大
前頭部の凹み(レモンサイン)
小脳の変位・変形および大槽の消失
口唇裂
正常
口唇に裂
鼻の変形
口唇裂自体は出生後の診断で全く問題ないが、
13,18 trisomyの診断の契機として重要
横隔膜ヘルニア
腸管
左
胃
右
心臓が右に偏位
胃が心臓の横に見える
腸管が動いている
先天性嚢胞状腺腫様形成異常 (CCAM)
右
左
心臓が偏位
右肺がhigh echo,内部に嚢胞
小腸閉鎖
胃∼十二指腸∼空腸の拡張 蠕動の亢進
腎無形成 (Potter 症候群)
肺低形成(ベル状胸郭)
羊水過少(羊水無し)
多嚢胞性異形成腎
(Multicystic dysplastic kidney : MCDK )
右腎臓が多嚢胞性に腫大
膀胱や羊水量は正常
29週でIUGRで紹介
EFBW -2.1SD
AFI: 22
小脳低形成
小脳低形成・大槽拡大
小顎症・耳介低位
手関節の拘縮
下垂手
Overlappping
Overlapping fingers
fingers
内反足
Rocker bottom
foot
(揺り椅子状足底)
Rocker bottom foot
Trisomy 18
IUGR
羊水多め∼過多
IUGRで羊水が多い場合は
Trisomy 18をはじめ重症な疾
患が隠れていることが多い
小脳低形成・大槽の拡大
口唇・口蓋裂
小顎症
心奇形
横隔膜ヘルニア
食道閉鎖
四肢の異常
(overlapping fingers, 内反足, rocker bottom foot)
超音波検査を行うにあたって
•  始める前に
・リスクの評価
前児:染色体異常、奇形 母体:心奇形、糖尿病など
・目的の明確化
•  超音波の施行
・できるだけきれいに描出する
・系統的に正常所見を一つ一つ確認する
・特徴的異常所見の有無
•  検査後
・正常や異常だけでなく、確認できなかった(見えなかった)ことを
記載
・説明は慎重に (安易に病名や予後を言わない)