地域医療連携室便り 第5号 2006年11月8日 朝夕は一段と冷え込む日が続いております。 前回に引き続き各科の紹介です。 今回は4月から小児外科専門として赴任してきました福里先生 をご紹介いたします。 【自己紹介】 平成18年の4月より、中部病院に小児外科医として着任している福里吉充です。 1987年に琉球大学を一期生として卒業し、すぐに中部病院で研修生活を開始しました。 最初の1年間はインターンとして全科をローテーションし、2年目以降は外科研修を3年間受け ました。 その後、6年間の宮古病院外科勤務と2年間の中部病院外科勤務を経て、1999年4月 より2006年3月までの7年間、 神奈川県立こども医療センター(以下KCMC)で小児外科医と して小児医療に関わってきました。 KCMCは、小児専門の内科系各科、外科系各科が充実し た、小児の集学的治療を行うための専門施設で、周産期母子医療センター、 重症心身障害児施 設、肢体不自由児施設などから構成されています。 KCMCでは、最初の2年間はシニアレジデ ントとして、残りの5年間はスタッフとして、小児外科を専従してきました。 この7年間であり とあらゆる小児の外科的疾患に遭遇し治療を行ってきました。 外鼠径ヘルニア、臍ヘルニアな どよくみかける疾患から、高度先進医療である生体肝移植まで幅広く経験を積むことができ、 2003年には小児外科専門医を取得しました。また同時に自分のグループを持ち、グループ長と して診療および研修医の指導を行ってきました。 このたび、中部病院に小児外科専門医が必要 だという平安山院長からのお誘いもあり、 私を育ててくれた中部病院並びに沖縄県の皆様への 恩返しのつもりで帰ってきました。 小児専門病院での7年間の経験は、私に、小児のどんな外 科的疾患にも対応できるような知識と技術を身につけさせてくれたと自負しております。 ご存 じの通り、これまで、中部病院は、沖縄県の医療において中心的な役割を果たしてきました。 現在でも、もっとも活発な病院の一つであり、これからもそうであると思います。 南部医療セ ンター・こども医療センターが開設されましたが、小児医療においても、中部病院がこれから 果たすべき役割は大きいものと考え、 これこそが私が中部病院にいる理由だと思います。 中部 病院での私の小児外科医としての実績はまだありませんが、これから、私の小児外科医として 能力を最大限に発揮することで、 築き上げていこうと思っています。皆様に、質の高い医療を 提供するために努力していきます。 【小児外科医とは】 小児外科医とは、簡単に言うと、小児の外科的疾患を専門的に扱っている外科医のことです。 成人同様、小児の場合でも、脳外科、心臓血管外科、泌尿器科、整形外科、形成外科等の専門 科は確立されていますが、成人の外科と違って、 胸部外科、消化器外科、乳腺外科などの細分 化はまだありませんので、小児のあらゆる部位、あらゆる臓器、あらゆる疾患に対して、 小児 外科医が関わっていくことになります。 診断検査のような初期の段階から患児を見ていきま す。 そして、手術を含めた治療はもちろんのこと、治療が終わった後も、長期にわたって(具 体的には成人に達するまで)フォローしていきます。 患児を長期にわたってみて行くに際して は、一般外科医としての知識技術のみでなく、小児科医的なものも要求されます。 日本小児外 科学会では専門医制度を採用しており、小児外科認定施設での一定の研修業績を必要条件とし て、小児外科専門医を認定しています。 小児外科専門医でなければ、小児の外科的疾患を治療 できないということではありませんが、より質の高い医療を提供していこうという意味で、 小 児外科専門医がいるのだと思います。 【小児外科で扱う疾患】 小児外科では、新生児、乳児、幼児、学童期、思春期など、すべての小児期年齢層が治療の対 象となります。 胎児期より治療が始まることもあります。 小児外科で扱う疾患は幅広く、例として部位別に挙 げると、以下のものがあります。 頚部:先天性の嚢胞、瘻孔、甲状腺疾患、リンパ管腫など、 胸部:食道閉鎖狭窄、横隔膜ヘルニア、肺疾患、縦隔疾患、気管気管支病変など、 腹部:肥厚 性幽門狭窄症、胃食道逆流症(GERD)、先天性腸閉鎖・狭窄症、腸回転異常症、壊死性腸炎 (NEC)、腸重積症、メッケル憩室、 ヒルシュスプルング病、直腸肛門奇形(鎖肛など)、胆 道閉鎖症、胆道拡張症(総胆管嚢腫)、門脈圧亢進症、胆石症、膵疾患、 脾腫を来す疾患(遺 伝性球状赤血球症、ITPなど)、卵巣疾患、外鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、先天性腹壁異常(臍 帯ヘルニア、腹壁破裂)などです。 【皆様へのお願い】 小児の患者様をご紹介ください。 中部病院には、小児期の外科的疾患の診療を専門的に扱って いる小児外科専門医がいるということを、ご理解ください。 外来診療では、鼠径ヘルニア、臍 ヘルニア、嘔吐精査、腹痛精査、便秘精査、肛門疾患など小児によく見られる疾患から、 小児 期に手術を受けた患児の術後フォローを行っています。 外科的疾患はもちろん、外科的か小児 科的か迷うような症例でも、ご紹介ください。 私の小児外科外来日は毎週月曜日になっていま す。 電話での相談も可能ですので、是非ご連絡をください。 ※左下の写真について【左:研修医 中央:小児外科福里 右:看護師】 「地域医療連携室便り」一覧へ このページの上へ 「第6号へ進む」
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