『ルーヴル–DNP ミュージアムラボ』 第 6 回展 「1800 年前、エジプトに

2009 年 7 月 16 日
大日本印刷株式会社
ルーヴル美術館
『ルーヴル–DNP ミュージアムラボ』 第 6 回展
「1800 年前、エジプトに生きた女性たちの肖像」を開催
2009 年 7 月 18 日~2009 年 12 月 19 日
ルーヴル美術館と大日本印刷(DNP)は、美術作品の新しい鑑賞方法を提案する共同プロジェクト「ルー
ヴル-DNP ミュージアムラボ」に 2006 年から取り組んでいます。第 6 回展となる今回は、これまでの 3 年間
のミュージアムラボプロジェクト第 1 期の締めくくりとして、紀元 2 世紀にローマ占領下のエジプトで描かれ
た女性の肖像画 3 点を取り上げます。
来館者は、実物の肖像画に加え、映像や IT 技術を活用した鑑賞システムによって、作品の特徴や紀元 2
世紀のエジプトにおける 3 つの古代文明の交わり、巧みな肖像表現について学びながら、展示作品への
理解をより深めることができます。
■展示作品について
今回展示する作品は、「ファイユームの肖像画」と呼ばれ、
紀元 2 世紀ローマ帝国占領下の古代エジプトで板に描か
れた肖像画です。肖像画のモデルの生前に描かれ、没後
ミイラに取り付けて埋葬されていました。エジプトの乾燥し
た気候と、副葬品として地下に埋められていたことにより、
木に描かれた蝋画技法( *1) の肖像画としては最も古い作
品群といわれ、これまでに 1000 点ほどの作品が発見され
ています。古代エジプトの埋葬習慣、古代ギリシアの蝋画
技法、古代ローマの伝統的な写実表現を特徴とするこれ
らの作品によって、当時のエジプトにおける 3 つの古代文
明の混交の様子をうかがい知ることができます。今回展示
する 3 作品の一つ、通称《ヨーロッパの女性》は、卓越した
表現と美しさからルーヴル美術館のコレクションの代表作
となっています。
(*1)
蝋画:ギリシア起源の、蜜蝋を主成分とする絵の具で描く絵画技法
です。
女性の肖像 通称《ヨーロッパの女性》
紀元 2 世紀前半
ヒマラヤスギ(Cedrus sp., Pinaceae)、蝋画、一
部に金箔、縦 42.5cm、横( 下部)24cm、横
(上部)17.4cm、厚み 1.2‐1.6cm
おそらくアンティノポリス出土
パリ、ルーヴル美術館、MND 2047
© 2008 Musée du Louvre / Georges Poncet
■観覧方法と鑑賞システムについて
<登録カウンター>
来館者は受付で、ガイダンス端末を受け取り、希望の言語(日仏英の 3 ヶ国語から選択)による音声ガイド
の案内に従って、7つの鑑賞システムを操作しながら観覧します。
本展より、すべてのガイダンス端末に AR( *2)技術を利用した、観覧の手助けとなる機能を搭載しました。
来館者が、各鑑賞システムの操作位置の近くに印刷された絵文字(ピクトグラム)を、ガイダンス端末のカ
メラで撮影すると、実写映像に CG アニメーションを重ね合わせた映像によって、各鑑賞システムの操作
方法を紹介します。
(*2)
AR(オーグメンテッドリアリティ:拡張現実感):実写像や映像といった現実情報と、CG などの仮想情報を組み合わせた、
新たな表現効果技術です。
<展示室>
展示室には、3 点の肖像画が展示されており、その隣の
スペースに設置された鑑賞システムの【他の肖像画を発
見する】によって、選りすぐりの「ファイユームの肖像画」の
数々を実物大で映し出します。それぞれの映像に近づく
と、肖像画がわずかに拡大して表示され、来館者の「作
品群を概観したい」、あるいは「気になる作品をよく見て
みたい」といった関心に従って、描かれ方の特徴などを
見ていくことができます。
<シアター>
超高精彩映像番組【画家の手法を鑑賞する】で、「ファイユームの肖像画」の表現手法の特徴、特に蝋画
ならではの技法の表現効果について、展示作品 3 点を例として画家たちの巧みな手法を比較しながら見
ることができます。
<情報スペース・ホワイエ>
情報スペース・ホワイエでは、映像や IT 技術を活用した 5
種類の鑑賞システムを設置し、作品の特徴や時代背景、
技法など展示作品への理解をより深めることができます。
鑑賞システム① 【細部を観察する】
ディスプレイ上に実物大で表示された展示作品の画像を、
指でなぞることで、その部分を拡大して細部まで観察する
ことができます。画家が用いた特別な手法やモデルの身
につけている衣服・宝飾品など、観覧を通じて学んだ情報
を、確かめることができます。
鑑賞システム② 【作品が作られた背景を理解する】
古代エジプト、古代ギリシア、古代ローマという 3 つの文明が、いつ、どのように出会い、影響しあってこれ
らの肖像画が生まれたのか、3 つの文明の地理的・時間的な変遷を「政治情勢」「神々」「人体表現」に焦
点をあてた映像番組で紹介します。
鑑賞システム③ 【肖像画が付けられたミイラを調べる】
肖像画が取り付けられたまま保存されているルーヴル美術館所有のミイラ「エウダイモニス」を例に、肖像
画の表現、技法、埋葬方法など 6 つのテーマから、この作品が 3 つの文明の混交の証といわれるゆえん
を紐解いていきます。投影した映像をタッチパネル方式で操作しながら情報を引き出すことができる鑑賞
システムで、ルーヴル美術館に導入される予定です。今回、パリ公開に先駆けて体験することができま
す。
鑑賞システム④ 【一層ずつ分解・再構築する】
蝋画の画材見本をおさめた箱の上に置かれたディスプレ
イを、自分の手で前後に動かすと、絵の具の層を一層ず
つ、蝋画の各制作工程をデジタル復元した画像でたどる
ことができます。肉眼ではわからない制作のプロセスを見
ることで、「蝋画」技法の塗り重ねのテクニックを理解する
ことができます。
鑑賞システム⑤ 【これらの人物から何を感じますか?】
展示作品と紹介されたすべての肖像画から気になるものを選び、作品からうける印象をキーワードの中か
ら選択していきます。展示作品 3 点は、自分が選択したキーワードとともに画像をその場でプリントアウトし
て持ち帰ることができます。
■開催概要
「1800 年前、エジプトに生きた女性たちの肖像」
主催
ルーヴル美術館、大日本印刷
協力
日本航空、metaio
学芸担当者
ルーヴル美術館古代エジプト部門研究員、ロベルタ・コルトパッシ
会場
ルーヴル‐DNP ミュージアムラボ
東京都品川区西五反田 3-5-20 DNP 五反田ビル 1F
会期
2009 年 7 月 18 日(土)~2009 年 12 月 19 日(土)
開館時間
月・火・木:17:00~19:30、水・金:17:00~20:30、土:11:00~17:30
休館日
日曜・祝日 / 2009 年 8 月 9 日(日)~2009 年 8 月 16 日(日)
申込・問い合わせ
観覧には予約が必要です(観覧は無料)
<Web サイト> http://museumlab.jp
<お電話>
ルーヴル‐DNP ミュージアムラボ カスタマーセンター
03-5435-0880
<受付時間>
平日 9:00~21:00/土曜 9:00~18:00
(日・祝祭日・年末年始は休み)
【ルーヴル-DNP ミュージアムラボについて】
ルーヴル-DNP ミュージアムラボは、ルーヴル美術館と DNP による美術作品の新しい鑑賞方法を提案す
る共同プロジェクトです。 各展示のために特別に開発した鑑賞システムを活用することによって、美術館
の来館者と美術作品とをつなぐアプローチの革新を試みることを目的に、2006 年 10 月に活動を開始しま
した。ミュージアムラボの展示は、DNP 五反田ビルにおいて、ルーヴル美術館のコレクションから選ばれる
展示作品を中心に、ルーヴル美術館が培った研究成果と文化財普及のノウハウから発想し、DNP の情報
加工技術と開発力によって具体化しています。さらに会場での体験はプロ ジェクトのウェブ サイト
( museumlab.jp )に連動し、来館後も継続した体験を提供しています。また、各回の展示に関連した講
演会やワークショップ、映画上映などの活動も行っています。
本プロジェクトは第 6 回展をもって第 1 期、3 年間の期間を満了しますが、ルーヴル美術館との合意を得
て、第 2 期プロジェクト契約を締結し、2010 年 9 月に第 7 回展を開催する予定です。プロジェクト第 2 期
は、五反田での開発内容をルーヴル美術館のパリ本館に導入することが計画されているほか、同館に関
連するその他のプロジェクトへの展開にも取り組んでいく予定です。また、これまでのミュージアムラボの
成果を他の美術館・博物館へ展開していくことも視野にいれ、映像や IT 技術を活用した新しい美術鑑賞
の普及を推進していきます。プロジェクト第 2 期は 3 年間にわたり 4 回の展示を行う予定です。
【報道関係者問い合わせ先】
大日本印刷 広報室
Tel: 03-5225-8220 Fax: 03-5225-8239
ルーヴル美術館 広報部
Aggy Lerolle : [email protected]
David Madec : [email protected]