PDF - Vector

入学前・就職前にチェックしたい感染症って?
「麻疹(ましん,はしか)」「風疹(ふうしん,三日ばしか)」「流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん,おたふくかぜ,ムン
プス)」「水痘(すいとう,みずぼうそう)」は,小児期によくみられる急性ウイルス性疾患です。近年,成人に発症することも多く,
特に麻疹と水痘の原因ウイルスは感染力が強いため,小児より重篤に経過することが知られています。風疹は,妊娠初期に母
体が感染を受けた場合, 先天性風疹症候群を発症することがあり,流行性耳下腺炎は,睾丸炎や膵炎などの合併症を発症す
ることがあります。各疾患とも,ワクチン接種による発症予防が可能とされています。
通常,日本の学校や保育施設などにおいては,「麻疹」「風疹」「流行性耳下腺炎」「水痘」,
医療機関や介護施設は,「麻疹」「風疹」「流行性耳下腺炎」「水痘」「B型肝炎」「結核(けっかく)・・・BCG 接種やクォンティフェロ
ン TB-2G(QFT)検査,胸部X線撮影検査など」 をチェックします。
【麻疹】
前兆症状 2〜4 日(1〜7 日のこともある):発熱(38℃程度に達するがやがて下がる),咳,鼻水,結膜炎を伴うこともある。
前兆症状が始まってから 2〜4 日後:コプリック斑(第一,第二臼歯に対応する頬の内側に出現)
コプリック斑が出現してから 1〜2 日後:発熱,発疹出現
発疹の特徴:
・
まず髪の毛の生え際の,耳の前や下,首の脇に出現(その後顔や上頚部に広がり,24〜48 時間かけて体幹部や四肢へと広がる)
・
連続の赤い斑状丘疹(癒合する場合もある)
【風疹】
発疹出現前 1〜5 日:微熱,気分不快,上気道炎,リンパ節腫脹(後頭部,頚部),成人の場合関節炎
発疹の特徴:
・
最初,顔に出現(その後四肢へ)
・
かゆみを伴う
・
紅斑性発疹で,麻疹より色が薄く,癒合しない ※症状はしばしば穏やかで,感染者の 30〜50%は症状が顕著に現れない。
【流行性耳下腺炎】
初期症状:筋肉痛,食欲不振,気分不快,頭痛,寒気,微熱あるいは中等度の発熱
初期症状から 12〜24 時間後:耳下腺炎の症状
・
噛んだり飲み込んだりするときの疼痛(特に酢やレモンジュースのような酸味のある液体を飲み込むときに痛みを感じる)
・
徐々に耳下腺が腫れてくる(唾液腺の内,下顎腺や舌下腺が腫れることもある),頭痛
※ムンプスウイルスに感染しても 20〜30%の人は無症状である(不顕性感染といい,免疫はつく)。耳下腺炎の症状は 30〜40%の人に出
現する。残りの 40〜50%は,ムンプスに特徴的な症状以外の症状や呼吸器症状にとどまる。
【水痘】
発疹出現前 1〜3 日:発熱,頭痛,気分不快
発疹の特徴:
・
最初頭皮部に出現することが多い(ついで体幹部,最後に四肢)
・
発疹がわずかの場合は,体幹部上部にのみ出現する場合が多い
・
発疹は赤い斑点(→赤い丘疹→水疱へと変化)
予防接種を受けていても,抗体価が陽性でも,過去にかかったことがあっても,感染症にかかることは
あります。感染症にかかったかな?と思ったら,すぐ最寄りの医療機関で診断を受けましょう。外出す
ると接触者を増やす危険性があります。通常,学校や施設には,電話で相談・報告をします。