コンピュータが子どもの発達に与える影響についての研究

東京国際大学商学部 情報システム系ゼミナール
卒業研究発表会予稿集(2007 年 2 月 10 日(土))
コンピュータが子どもの発達に与える影響についての研究
∼文献サーベイを中心にして∼
03120102 石塚 洋輔 (河村ゼミナール)
1
時
1時 間
間
半
2
時
も
っ 間
と見
る
時
々
無
回
答
い
な
3
0分
人数
20
15
10
5
0
1年生
2年生
3年生
4年生
5年生
6年生
時間
一日のテレビゲーム時間
15
10
5
時
間
2
時
間
3
時
そ 間
れ
以
上
時
々
無
回
答
1
0分
い
0
3
4. コンピュータと子どもの健康
コンピュータの影響として,目,筋肉,骨等
の負担の問題,緊張による凝りや張り,しびれ
が主な症状で,姿勢と骨格の問題,放射線の問
題,さまざまな問題が調査されていないという
のが現状である。コンピュータの普及につれて
一日のテレビ視聴時間
見
3. 学校と家庭におけるコンピュータの問題
アメリカの場合,コンピュータという新しいテ
クノロジーが,ただ導入するだけで教育が向上
するだろうという世の中の安易な認識があるよ
うである。図書館の予算や学校の予算までもが
コンピュータ導入のために削減されている。
コンピュータを使ったからといって,教師が
優れた教師になるわけではない。教師の教育方
針の違いによって,コンピュータの使い方はち
がってくるし,それによって何を教えるのかで
はなく,どのように教えるのかが重要な事では
ないかと考える。
家庭での問題としては,子どもにとってコン
ピュータがより自由に使え,身近なものとなっ
ている。コンピュータが苦手な大人ほど,子ど
もがコンピュータをやりたいと言えば,簡単に
その要求を飲んでしまう傾向があるようだ。
同じことを学習するのでも,コンピュータ相
手に黙々と学習するのと,教師や親が監督者と
なり,子どもはわからない事を質問し,積極的
に学んでいくのとでは脳の働きに大きな違いが
出ることが明らかになっている
人数
2. 研究の目的と背景
現代は、ゲーム脳の問題があったり、テレビゲーム
やコンピュータに依存し、外で遊ばないという子ども
が増えているという実態がある。そこで、子どもの成長
に『コンピュータ』のような新しいテクノロジーはどのよ
うに影響するのか興味を持った。
問題も増えてきている。
コンピュータの多くは放射線の重大な発生源
になっていることがある。
大人にとって有害なものなら、発達途上の子
どもにはもっと危険が大きいということは事実
で,注意した方がいいという事を頭に入れてお
かなければならない。
子どもがテレビゲームをやると,頭痛が起き
る,口調が荒くなる,怒りっぽくなるなどの,
何かしらの不調や感情,体調の変化が起きてい
る事は明らかである。
ホルモン分泌も影響をうけ、長期的な害があ
ることは確かである。
以下はアビリスタFCの子どもの一日のテレ
ビ視聴時間とテレビゲーム時間を調査したデー
タである。コンピュータ使用時間については使
用すると解答した子どもはごく少数であった。
我が国ではコンピュータよりもテレビ,テレビ
ゲームの普及が進んでいる。
し
な
1. はじめに
今回のテーマとして、現代の新しいテクノロジーとし
て『コンピュータ』があるが、幼いうちからコンピュータ
を利用するメリットはあるのか、そしてそのコンピュー
タが子どもの成長にどのような影響を及ぼすのか調
べてみる。
時間
5. 子どもの脳の成長
1年生
2年生
3年生
4年生
5年生
6年生
東京国際大学商学部 情報システム系ゼミナール
卒業研究発表会予稿集(2007 年 2 月 10 日(土))
コンピュータの場合は子どもがまだ使い方を
わからないためか,使用時間が長くなることは
ないようだが,テレビゲームとなるとやはり時
間が長くなってしまうようである。使用時間の
約束をしているもののつい長くなってしまい約
束もあってないようなものと記述している家庭
も多く,保護者の管理が行き届いていないのが
気になった。
コンピュータにもっと触れて欲しいかどうか
を尋ねたアンケートによると,必要なものだか
ら触れて欲しいとの意見が多かったが,やはり
我が国ではゲーム脳などの情報が行き渡ってい
るし,コンピュータについて懐疑的な意見が多
数なので,著書のような状況には至っていない。
保護者の意見として,将来働くときに必ずコ
ンピュータを使うことになるので,一通り操作
の仕方がわかるようになって欲しいとの意見が
多数あった。一方で,コンピュータを使うには
まだ早すぎる,適切な時期があると思う,今は
コンピュータよりもいろんな経験をしてバラン
スの取れた人間に育ってほしい等の結果が出た。
これ以上コンピュータ教育が低年齢化すること
6. 身体の発達と遊びの重要性
に不安を感じている保護者もいた。
幼い子どもの場合,体を使って動かすことで
傾向として,幼い子どものコンピュータ使用
脳の感覚連合分野が統合され,高次の認知能力
の基礎がつくられる。その能力をはぐくむのが, による脳の影響を心配する意見よりも,有害サ
幼児のものを使った遊びと社会的な遊びである。 イトを見てしまったり,ネット犯罪等,悪質サ
イトに簡単に繋がってしまうことへの不安を訴
FCアビリスタの子ども達の一日に外で遊ぶ
える意見が圧倒的であった。
時間を調べてみた。
5−1.コンピュータの影響
•
注意力がなくなる。
•
動機付け,意欲が落ちてやる気がなくな
る。
•
メタ認知(自己評価)ができなくなる。
•
プレッシャーに弱くなる。
•
コンピュータというのはものすごく集中
力をテレビより吸い取る。
•
暴力的な行動に走りやすくなってしまう,
自己責任を取る能力も落ちてしまう。
5−2.発達の諸段階,なぜ7歳なのか
出生時から子どもは脳の後部にある感覚野に
よって,聞く,見る,触る,動くといった基本
的な機能を努力せずに行える能力が向上してく
る。こうした機能が無意識に行えるようになっ
てくると,七歳前後にはそれらを楽に統合でき
るようになる。六歳から七歳にかけては,脳の
発達の重要な転換期である。それより下の年齢
では,貴重な時間を豊かな身体的,言語的環境
で過ごしたほうがよいとされている。
無回答
あまり外で
遊ばない
2時間以上
2時間
1時間
20
15
10
5
0
30分
人数
表6 −1 . 一日のう ち 外で 遊ぶ時間
1年生
2年生
3年生
4年生
5年生
6年生
時間
子どもの遊びは,知能,言語の発達,全体的
な健全さ,他者を理解する能力などと相関して
いる。また,遊びはストレスを減らし,創造性
と独創的思考をはぐくむ。身体運動を行なうこ
とによって,脳の成長や心の成長を促すのであ
る。
7. 子どもを持つ親の考え
子どもが有意義なコンピュータの使い方を習
得するためには,大人の注意深い監督と綿密な
教育計画が必要である。
8. あとがき
サッカークラブでの指導で子どもに接する機会
が多かったので,今回の調査は興味深い内容に
なった。今回の調査結果をもとに,子どもや保
護者に注意を喚起していけるようになれば良い
と思う。今後教育界にコンピュータがさらに導
入される場合には,子供に自由にコンピュータ
を使わせるのではなく,親や教師の監督のもと,
タイミングのよいアドバイス,声かけを行って
いけるようなスタイルが望まれる。それが,子
どもの考える力,成長を促すからである。
謝辞
本卒業研究活動において様々なご指導とご助言を
いただいた東京国際大学商学部教授の河村先生に
感謝の意を表します。
参考文献
(1) 『コンピュータが子どもの脳を変える』ジェーン・ハ
ーリー著