あの日 あの時

第2号
平成25年10月28日発行
ログさんち♥子育て 情報 こんにちは!ログさんちです。
おおくらの森がとても美しく彩られる季節に
なりました。今 回の「にじのこ」第2号では、
ママたちの座談会の様子を特集しています。心
温まる内容となりました。ほっと一息つきなが
らご覧ください。
ログさんち
あの日あの時
わたし流子
育て
自閉症のよしくんと
下地 安都子 (1児の母)
5歳になる我が家のよしくんは、1歳7カ月の時自閉症
の診断がつきました。自閉症とは、先天性の脳の機能障
害で、コミュニケーションをとるのが苦手だったり、強い
こだわりがあったり、慣れない場所に行くとパニックを
起こしたり、言葉が話せなかったり、多動でじっとしてい
有意語が全く出なかったよしくんですが、4歳半の時、
ることができなかったり…様々な生きにくさを抱えてい
もう諦めかけていた「ママ」という言葉が初めてでまし
ます。本人も生きにくいのですが、育児にも、また大変な
た。嬉しくて涙がでました。が、よく見るとよしくんの目
困難が伴いました。乳児期は起きている間はほぼ泣い
にもじんわりと涙がにじんでいたのです。じーっと私を
ていて、抱くとかえって大泣き。やっと寝たかと思えばま
見つめて、涙ぐむよしくんの表情は、一生忘れられない
たすぐ起きて泣き叫ぶ。毎日途方に暮れていました。歩
と思います。その時、初めて気づきました。私が「ママ」
くようになれば、常に動きまわって目が離せず、雨の日
と呼んでほしいと思っていた以上に、よしくんが「ママ」
も外にでては暴れ、傘もさせずに親子でぬれながら泣い
と呼びたかったんだ、と。言語療法の先生の「まだまだ
ていました。夜は夜で睡眠障害により3時から起こされ
これからしゃべれるようになりますよ」との言葉を信じ
る日々で、心身ともに限界でした。
て毎日繰り返し訓練して、言葉が少しずつ増えるにつ
そんな大変な子育てでしたが、たくさんの支援者に恵
れ、彼のストレスも少しずつ減り、家族の笑顔は増えて
まれていたのが本当に救いでした。主治医、リハビリや
きました。カタコトだけど一生懸命なよしくんの言葉
療育、園の先生、ログさんちで出会った先生やママた
は、周りのみんなをほんわか幸せな気分にしてくれます。
ち、そしてよしくんと私を大事にしてくれる主人。私がな
障害と闘うのはもうやめようと思います。これからは
んとかここまでやってこれたのは、ほかにもたくさんの
障害という豊かな個性を持って生まれてきてくれたよし
人の支えがあったからでした。私たちに関わってくれる
くんと、肩の力を抜いて歩んでいきたいと思います。
全ての人に、感謝の気持ちでいっぱいです。
ゆっくりゆっくり、楽しみながら。
の
マ
マ
子育て 会
特集
座談
我が子に 伝えたい大切なこと
毎日子育てを頑張っているお母さん方に、「我が子に伝えたい大切に思うこと」をテーマに話を伺いました。
お茶を飲みながら、楽しいおしゃべりも交えながらの座談会。笑いあり涙ありの感動の2時間でした。
(司会:ログさんち主幹 塚本)
人間の命ってだいじだよね
4人目が
できたとき、正 直「生 んで いいのかな」
髙嵜
と悩みましたが、子どもたちは喜んでくれました。私は長
男に、「早くして∼」と昔からきつく当たっていた。(この夏
休みに)長男は祖母に「一人っ子になりたい」と言ったと
生まれて来てくれてありがとう
いう。長 男 に ストレ ートに 聞 くと、「赤 ちゃん みた い に
伝えたい事があり過ぎます。が、究極、すごくシ
耘野
中原 智佳子 さん
ファーとしてほしい」と。4人目の赤ちゃんに皆の注目が集
ンプルで、「ここに生まれて来てくれてありがとう」です。
長女 年中組(幼)
ちがあることに衝撃を受けた。確かに長男と一人っ子のよ
長男 1歳
うにゆっくり話す時間がなかったなー、抱きしめてもいな
最近、私が口やかましく言い過ぎちゃっていて、彼女が「自
分はこれじゃダメなのかな」と思っているのかな…。何か
かったなー、最近も。「あなたがだいじなんだよ」という言
私は悪いことをしているような。彼女たちには「そのまま
で、そこにいてくれるだけで母さんうれしい」と何歳になっ
ても伝えたい。私自身、自己肯定感に乏しく、特に思春期
のころは人と比較して凹んだりとか、「自分はこれでいい」
と真っ直ぐに行くことが少なかった。だから彼女達には「こ
れで、ま、いっか」と思える自分の存在感、安心感を見つ
けてもらえたらいい、つまづいたりしたときに「お父さんに
もお母さんにも皆から愛されているんだ」と思えられれば、
材料として一番強いんじゃないかと思うんです。
葉をやはり言った方がいいんだろうなと。
自分を好きになって、
思いやりのある人に
思いやりを持ってほしい。特に下の子が生まれて
中原
から、(姉には)下に優しい人、友達にも優しい人になって
次女 年中組(幼)
幼稚園や小学校に行ってくれて、普通の生活が本当に有り
長女 年少組(幼)
難いんだなということが、9月に家族が皆、病気して分かっ
次女 0歳
た。そういう出来事があって、人間の命ってだいじだ な、
というのが今、私が伝えたいことです。
自分のありのままを受け止めて
だいじにできること。自分が好き、だから相手にも優しく
できる、と最近気付き始めました。下の子が生まれてから、
地悪しているとき、お姉ちゃんの気持ちも分からずに「ど
長女 1年生(小)
廣田 香菜子 さん
4人目が産めたのも、皆元気で生まれてくれ、毎日元気で
ほしいと思います。優しさの基本になるのは自分のことを
私のお姉ちゃんへの期待が大きくなって、弟にちょっと意
耘野 美鈴 さん
まっていて、小学1年生でもかわいがってほしいという気持
うしてそんなことをするの」とずっと責め続けてきた。それ
で「どうせ私はお母さんにはだいじにされていない」とち
らほら言うようになってきた。優しくしてもらってない自分
が人に優しくできる訳がないんだなって思って、「あなたは
生きて行ってほしい
髙嵜 清香 さん
長男 1年生(小)
長女 年中組(幼)
次女 年少組(幼)
次男 0歳
伝えたいことは「生まれて来てくれてありがとう」
。
廣田
下の子が9カ月になって、上の子を中心に生活しているつも
りでしたが、何かのことで上の子を怒り、怒ったまま料理を
していたら、下の子におもちゃを持って行ってかわいがり始
めた。たぶん私から怒られて、お母さんに嫌われると思っ
たから、こうしたらお母さんが喜ぶと思ってしてるんだろう
だいじにされているんだよ」と伝えたい。そして自分を好
なーと思って、それを見たら泣けてきて…。愛情が足りてる
きになってもらいたい。自分を好きになって、周りにも優し
つもりだったけど、あんまりたぶん伝わってなくって、なに
くできるような人になってほしいな。
もこんなことしなくっても、ありのままでいいのに。だか
ら、将来、ありのままでいいし、変に気を遣ったりしなく
ていいし、自分のありのままを受け止めて生きて行ってほし
いです。
自分の特別のものを見つけてほしい
(発言は要約しています。)
当たり前のことですが、何か出来るようになってく
安田
れたらいいと思っています。何でもいい、何か自分の得意
な事、自分の特別なものを一つでもいいから、一生の間に
見つけてくれたらいい。80歳になって見つかるかも知れな
いし、もう見つかっているかも知れない。何か得意な事で
前へ進んで行ってほしい。それを一生抱えていってくれたら
安田 由香 さん
自分の糧になる。それを応援したい。何かで挫折したとき、
長男 3年生(小)
結婚したら奥さんに相談するかも知れないが、私もどこか
次男 1年生(小)
で支えになっていたいと思います。
三男 未満児組(幼)
子育てママへの
メッセージ
おおくらの森こども園
看護師
坂西 麻由
「ナース」とは古く英国で乳母・保母を意味し、
英語で「育む」を意味するnourishを語源としてい
ます。だからすべてのお母さんが子どもたちの専属
うです。でも自分を責めないでくださいね。それに気
ナースなのです。
付けば大丈夫です。
ナイチンゲールは病気とは、回復過程であり、毒
子どもと一緒の時を過ごし、5分くらい手や脚を
されたり衰えたりする過程を癒そうとする自然の努
マッサージしてやりましょう。マッサージしている間
力の現れであると記しています。ナースの役割は患
子どもがリラックスしているか緊張しているか感じ
者が回復するために自己修復過程を用いるのを援
とってください。子どもが健康で生き生きしているか
助することとも記しています。
それともめそめそして弱くなっているかも感じとって
病気とみえることは、実は身体のバランスの崩れ
ください。反対に子どもにマッサージしてもらうの
を基に戻そうとする働きです。熱はウイルスや細菌
もいいですよ。園で一人の子どもをマッサージしてあ
などのバイ菌を減らし、鼻水は粘膜を保護し外から
げると、アッという間に他の子どもたちも横並びに…。
くるバイ菌を防いだりします。一見「悪い症状」とみ
私にマッサージをすることも大すきですよ。活き活き
られるものは体を守る反応なのです。
『症状をなく
とした子どもたちの表情をみると幸せを感じます。
す=病気が治る』と薬ばかりに頼るとかえってその
つい私たち親は子どもとの関係が永遠に続きそう
修復を妨げて長引いてしまうことも…。病気は医学
な錯覚を起こして鈍感に過ごしてしまうことが少な
知識がある医師や薬が治すものと思われがちです
くありませんが、二度と味わえない瞬間を大事にし
が、子ども達自身の生命力です。その力の源は専属
て生きること…最期まで命を輝かせた子どもたちと
ナースであるお母さんであると思っています。
お母さんに教えてもらいました。
病気に罹る前の子どもたちはいつもとどこか違
お母さん今だけ子どもといる喜びを感じてくださ
います。急に泣きだしたり、怖がったり、保育士から
い。自然の美しさを、まんまるな満月を、満天の星
離れなかったり…。そんな時お母さんも無理をして
を、オレンジ色に焼ける夕日を、鳥のさえずりを、無
いたり、大変な状況にある場合が多くあります。
邪気な子どもの寝顔を。自分にそんな時間をプレゼ
子どもは目の前に現れるものにとても敏感で(特
ントしましょう。そんな幸せを味わうことによって日
にお母さん)、スポンジのように吸収してしまうよ
常がちょっと変わってきます。
編集後記
「にじのこ」を読んでいただいて、ありがとうございました。今回、
「わ
たし流子育て」に寄稿していただいた下地さんは、
「ログさんち」でいつも
バイオリンコンサートをしてくださっているお母さんです。
子どもさんが6カ月の時から3歳まで、毎日のように「ログさんち」に来
所されながら、子育てを頑張ってこられた下地さん。原稿を読ませていた
だいて、下地さんの前向きな姿勢に心から感動しました。
今年のクリスマス会には、またご主人と一緒にバイオリンを披露してくだ
さいます。みなさん、どうぞお楽しみに♥
発行元
玉名市地域子育て支援センター 森のひろば ログさんち
熊本県玉名市大倉 1503-1
電話
FAX
ろ ぐ さん ち
0968-74-6931
■ 開 所 時 間 9 : 30∼14 : 30
■ 子育て相談電話 9 : 30∼16 : 00
おおくらの森保育園 「ログさんち」のホームページに、
「ログさんち便り」や楽しい遊びの様子を載せていますので、どうぞご覧ください。
http://www.matsumoto-gakuen.ac.jp/ookura/logusanchi/