平成23年度 学校運営のための法制問答集 (案) 茨城県学校長会「学校長必携第29集」 茨城県小中学校教頭会「法制研修会記録」 平成23年12月 茨 城 県 学 校 長 会 茨 城 県 小 中 学 校 教 頭 会 平成23年度 茨城県学校長会 「学校長必携第29集」 1 「勤務時間の管理」に関する問題 1 2 「不妊治療のための特別休暇」に関する問題 4 3 「災害発生時の対応」に関する問題 5 4 「旅費制度の改正」に関する問題 10 5 「学校運営必携 13 資料 ○ 九訂版」の訂正について 平成22年度における規則等の改正 平成23年度 編集者一覧 15 16 1「勤務時間の管理」に関する問題 問 1か月の勤務時間が100時間を超える職員に対して,健康管理上どのような指導を すべきか。 (1) 時間外勤務時間が多い教職員に対する健康管理上の指導 ア その背景について 労働安全衛生法の改正(平成18年4月1日)により,すべての事業者(常時50人未満の労 働者を使用する事業場は平成20年4月より適用)は長時間にわたる労働で疲労の蓄積した労 働者に対し,教職員の申し出を受け,医師による面接指導を実施することが義務づけられた。 ①面接指導等の実施の通知 教職員 ●月100時間超の時間外・休日労働を行い, 所属長 ⑤事後措置の実施 疲労の蓄積が認められ,かつ申し出た者 ○月80時間超の時間外・休日労働を行い, ■就業場所の変更,作業の転換 疲労の蓄積等が認められ,かつ申し出た者 ■労働時間の短縮 ■衛生委員会等への報告 ○事業場で定める基準に該当する者 等 ②面接指導等 ④実施報告 ■勤務状況・疲労の蓄積状況等の把握 ■メンタルヘルス面でのチェック ③医師の意見聴取 ■把握結果に基づく必要な指導 産 業 医 等 ※ ⑥報告 指導に準ずる措置の実施(努力義務) 教 イ ○印のものについては面接指導又は面接 育 委 員 会 健康管理上の指導 労働安全衛生法及び労働安全衛生規則では,1か月あたりの勤務時間外労働時間が100 時間を超え,かつ,疲労の蓄積が認められる者に対して医師の面接指導を行うものとされて いる。また,面接指導は教職員の申し出を受けて実施される。申し出がない場合であっても, 疲労の蓄積が認められた場合は,申し出を促し,面接指導を実施すべきである。 面接指導により教職員のメンタルヘルス不調が把握された場合は,面接指導を行った医師, 産業医等の助言を得ながら必要に応じ精神科医等と連携を図りつつ対応することになる。面 接指導の結果が教職員に対して不利益な取扱いにしないことを留意すべきである。 疲労の蓄積が認められない場合であっても,労働時間の適正な把握に努めるとともに,労 働時間の短縮や健康管理の取組をすべきである。 -1 - <参考>面接指導に準ずる措置の例(平成22年2月「長時間労働者への医師による面接指導制度 について」厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署) 例1) 労働者に対し保健師等による保健指導を行う。 例2) 労働者の疲労蓄積度チェックリストで疲労蓄積度を把握し,必要な労働者に対 し面接指導を行う。 例3) (2) 事業者が産業医等から事業場の健康管理について助言指導を受ける。 労働時間の適正な把握について 労働時間の適正な把握については,平成13年4月6日付基発 339 号厚生労働省労働基準局長 通知「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」におい て具体的な方法等が示されているが,今後とも,各学校等における勤務時間の適正な把握に 努めるよう平成18年4月3日付18ス学健第 1 号文部科学省初等中等局初等中等教育企画課長等 通知「労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行について」に具体的な方法が示されて いる。 基準として示されている主な内容は,以下のとおりである。 (1)使用者は,労働時間を適正に管理するため,労働者の労働日ごとの始業・終業時刻 を確認し,これを記録すること。 (2)使用者が始業・終業時刻を確認し,記録する方法としては,原則として次のいずれ かの方法によること。 ア 使用者が,自ら現認することにより,確認し,記録すること。 イ タイムカード,ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し,記録すること。 (3)労働時間の記録に関する書類について,労働基準法第109条に基づき,3年間保存 すること。 (4)事業場において労務管理を行う部署の責任者は,当該事業場内における労働時間の 適正な把握等労働時間管理の適正化に関する事項を管理し,労働時間管理上の問題点 の把握及びその解消を図ること。 (3) 公立学校教職員のメンタルヘルスの保持等について 平成23年1月25日付文部科学省初等中等局初等中等教育企画課長通知「平成21年度 教職 員に係る懲戒処分等の状況,服務規律の確保及び教育職員のメンタルヘルスの保持等につい て」において,公立学校においても以下の方策などにより,所属の教職員のメンタルヘルス の保持等について取り組むことが示されている。(抜粋) (1)各学校の管理職は,学校における会議や行事の見直し等による校務の効率化を図ると とともに,一部の教育職員に過重な負担がかからないよう適正な校務分掌を整えること。 (2)職場内の人間関係の希薄化が指摘されており,日頃から,教育職員が気軽に周囲に相 談したり,情報交換をしたりすることができる職場環境を作るよう,特段の配慮を行う こと。特に各学校の管理職は,心の健康の重要性を十分認識し,自ら親身になって教育 職員の相談を受けるほか,配慮が必要な教育職員を把握した場合には,例えば,中心と なって相談を受ける職員を指名するなど具体的な対応を行うこと。なお,人事異動等に -2 - より職場環境に変化があった教育職員には十分配慮すること。 (3)各学校の管理職は,心の不健康状態に陥った教育職員の早期発見・早期治療に努める こと。例えば、各学校の管理職は精神性疾患が疑われる教育職員に気付いた場合,必要 に応じて教育委員会と連携しながら,早めに医療機関への受診を促すなどの適切な対応 をとること。 (4)病気休職者が学校に復帰する場合には,各学校の管理職は,当該教育職員への理解と 協力が得られるような環境を整備するとともに,復帰後しばらくの間は経過を観察する こと。 (4) 面接経費の負担について ア 産業医の指定されている市町村教育委員会の場合は,法令に則った面接指導を受ける費 用は,原則として市町村教育委員会負担となる。 イ 産業医の指定されていない市町村教育委員会の場合は,校長が校医等による健康相談を, 本人に促し受けさせることは問題がないと考える。経費が発生した場合は,自己負担とな る。 (5) 関係法令 ○ 労働安全衛生法 ○ 労働安全衛生規則 第66条の8(面接指導等) 第52条の2(面接指導の対象となる労働者の要件等) 第52条の3(面接指導の実施方法等) ○ 過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置 「過重労働による健康障害防止のための総合対策」 (平成18年3月17日 基発第0317008号 ○ 労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行について (平成18年4月3日 ○ 別添) 18ス学健第1号)文部科学省初等中等局初等中等教育企画課長等通知 公立学校等における労働安全衛生管理体制の整備促進について (平成21年4月20日 21ス学健第4号)文部科学省初等中等局初等中等教育企画課長等通知 「公立学校等における労働安全衛生管理体制状況」 「学校における労働安全衛生管理体制整備の際の留意点」 ※ 校務改善に向けた取組については,「校務改善資料」(平成22年3月義務教育課)を参照 すること。 -3 - 2 問 「不妊治療のための特別休暇」に関する問題 特別休暇に不妊治療に関する規定が新たに加えられたが,この特別休暇を付与する場合 の留意点にはどのようなものがあるか。 (1) 規則の改正について 県は,「職員の休日及び休暇に関する規則」(昭和29年茨城県人事委員会規則第13号)を平成 23年 3 月31日に 改正 した (4 月1 日施 行)。 併せ て,「職 員の 休日 及び 休暇 に関 する 規則 の 運 用 に つい て」(平 成20年3 月 27日 付茨 人委 第414号人 事委 員会 委員 長通 知) が改 正さ れた 。 こ の規則に沿って新たに「職員の休日及び休暇に関する規則」中別表第1の特別休暇第20項に不 妊治療に関する規定,その規定に関しての休暇事由,承認期間が加えられた。不妊治療に関す る特別休暇の付与については,「職員の休日及び休暇に関する規則等の一部改正について」(平 成23年4月1日付教総第48号通知)で,茨城県教育委員会より周知されている。 (2) 休暇事由の要件 休暇の事由は次の要件を満たしていることが必要である。 ア 「不妊治療」とは,医師が行う妊娠のために必要な治療行為等(医師の指示に基づいて行 うものを含む。)をいうものであること。 イ 「勤務しないことが相当である」とは,不妊治療を受けるに当たって,勤務時間以外にこ れを受けることができない場合をいうものであること。 (3) 承認を与える期間 一の年において5日を超えない範囲内で必要と認める日又は時間 ア 「一の年」とは,1暦年をいう。 イ 日又は時間を単位として承認する。分割して時間単位で承認する場合は,最大40時間まで 認められる。 (4) 不妊治療を受けることの確認 不妊治療を受けることの確認については,特段,医師の診断書等の提出を義務づけることは せず,基本的には個別に判断する。しかし,必要に応じて医師診断書等の提出を求めることが できる。 (5) 配慮事項等 ア 県費負担教職員及び臨時的任用教職員に付与される。 イ 1月∼12月の途中で,育児休業,療養休暇等から職場復帰した場合も5日を超えない範囲 内で日又は時間で取得できる。 ウ 当該休暇の事由の確認や休暇カードへの記載にあたっては,職員のプライバシーの保護に 十分留意する。 <参考>不妊治療の例 ①不妊検査 不妊の原因特定のための検査 ② タ イ ミ ン グ 検 査 排卵日を正確に予測するための卵胞の超音波モニターや尿中LH検出等 排卵機能等を高めるための排卵誘発剤の投与 ③ホルモン療法 ④人工授精 ⑤体外受精 ⑥顕微授精 精子の量が少ない・運動が弱い場合などに,人為的に精液を直接子宮内に注 入 卵管癒着や奇形による不妊の場合などに,体外で受精・培養 体外受精でも受精率が低い場合などに,人為的に精子を卵子の中に直接注入 -4 - 3 問1 「災害発生時の対応」に関する問題 災害発生時において,児童生徒の保護者への引渡しを行う場合,配慮すべきことは 何か。 東日本大震災のような大きな災害の場合には,通信網及び交通網が遮断された状況で保護者と の連絡がとれず,児童生徒の安全な下校,引渡しが困難になる場合が予想される。そこで,児童 生徒の保護者への引渡しについては,下記のようなことに留意し,日頃から十分な備えをしてお く事が必要である。 (1) 引渡しの体制づくり ア 引渡しカードの作成 ・引取り者の事前登録を明確にしておく。 ・引渡しのルール(本人確認やサインの記録等,各学校で作成した「引渡しの手引き」) を周知しておく。 イ 学校の緊急時対応体制の周知 ・『学校災害発生時の緊急対応について』の周知 ・災害発生時における保護者へのすみやかな連絡手段(例:携帯電話によるメール配信 システム)の整備 ・学校ホームページへの緊急時対応体制の常時掲載 ウ 災害時の帰宅方法についてのルールづくりとその周知 <例> (2) ・ 震度6以上・・・・・・保護者引取りによる帰宅 ・ 震度5 ・ 震度4以下・・・・・・通常授業・通常下校 ・・・・・・教職員の引率のもとでの地区別集団下校 引渡し 保護者に引渡すことが適切であると判断される場合に引渡しを行う。 ア 安全な避難場所に児童生徒を整列させ,一人一人の様態を含め,全員を学級担任が掌 握する。 イ 学級の児童生徒を掌握している学級担任等が「引渡しカード」を持ち,保護者へ引渡 した児童生徒を確実にチェックする。その際,引渡しのすれ違いや帰宅途中の事故の責 任を考慮して,登録者以外には引渡しはしない。 ウ 学校に児童生徒が待機する場合には,健康に支障をきたすことがないよう,市町村の 防災計画に基づいて備えてある衣料・食料・医療品を与え,職員が寄り添うことにより 心身のケアにあたる。 エ (3) 市町村教育委員会へ引渡しで下校させることや引渡しの完了等を報告する。 留意事項 ・学校外(校外学習中の被災,二次避難場所等)での引渡しにも備える。 ・引渡し担当職員と避難所対応職員等との分担をする。 -5 - ・災害発生時における児童生徒の引渡しの避難訓練を実施する。 ・保護者が昼間家にいない家庭や連絡がとれない場合の対応については,個々に確認してお く。 ・帰宅することが危険であると判断される状況のときは,保護者とともに学校に留まらせる ことも想定しておく。 <参考> ○ 東日本大震災を受けた避難経路等の緊急点検について(依頼)(平成 23 年4月5日 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課 事務連絡) ○ 同 「学校の地震・津波対策チェックリスト(例)」 ○ 学校安全参考資料「『生きる力』をはぐくむ学校での安全教育」 (文部科学省 平成 22 年3月) ○ 「学校等の防災体制の充実について 第二次報告」 (文部科学省 平成8年9月2日) ○ 「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理に関する有識者会議」中間とりまとめ (文部科学省 ○ 問2 平成23年9月) 県・市町村の防災計画 災害発生時等における緊急避難に,教職員の自家用車を用いることは可能か。 災害発生時に負傷した児童生徒を同乗させ病院に搬送する等の緊急業務を除いては,避難の 手段として教職員の自家用車を用いることは,原則としてしない。 ※ ただし,学校の立地条件等により緊急時の避難方法として教職員の自家用車を使用しなけ ればならないことが予想されるときは,事前に教育委員会と協議しておくとともに,保護者 への説明を十分行い,了解を得ておく。 災害発生時において,学校が避難場所となり,その運営業務を教職員が行う場合,ど 問3 のような法的根拠で,誰が職務を命じるのか。また,その際の勤務振替や手当はどうな るのか。 (1) 災害発生時,避難場所の運営業務を教職員が行う場合の法的根拠について 「災害対策基本法(市町村の応急措置)第62条第2項」に規定する「防災上重要な施設の 管理者」の部分は,「防災上重要な施設」は「学校」,「管理者」は「校長」が該当すると考 えられ,学校の管理者である校長は災害発生時の避難所等の運営業務に協力しなければなら ないことになる。実際には,災害対策本部から市町村の教育委員会に指示があり,市町村防 災計画に基づいて市町村教育委員会から校長に教職員動員の命令があれば,校長もそれを受 けて教職員に職務を命じることになる。 また,阪神・淡路大震災で,文部科学省が避難所における教職員の業務の遂行を学校の管 -6 - 理業務の一環として「職務」として扱う方針を示した。このことからも,学校教育法第37条 第 4 項により校長が職務命令として発することができると考えられる。 <参考>関係法規 災害対策基本法 (災害対策本部) 第二十三条 6 都道府県の災害対策本部長は当該都道府県警察又は当該都道府県の教育委員 会に対し,市町村の災害対策本部長は当該市町村の教育委員会に対し,それぞれ当該都道府 県又は市町村の地域に係る災害予防又は災害応急対策を実施するため必要な限度において, 必要な指示をすることができる。 (市町村の応急措置) 第六十二条 2 市町村の委員会又は委員,市町村の区域内の公共的団体及び防災上重要な施 設の管理者その他法令の規定により応急措置の実施の責任を有する者は,当該市町村の地域 に係る災害が発生し,又はまさに発生しようとしているときは,地域防災計画の定めるとこ ろにより市町村長の所轄の下にその所掌事務若しくは所掌業務に係る応急措置を実施し,又 は市 町村長の実施する応急措置に協力しなければならない。 ・労働基準法第33条(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働)第1項 ・給特条例 第7条2(4) 「非常災害の場合,児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を 必要とする場合その他やむを得ない場合必要な業務」 ・学校教育法第37条第4項 (2) 災害発生時,学校が避難所となり,その運営業務を教職員が行う場合の命令権者について 地教行法(服務の監督)第43条第2項 県費負担教職員は,「その職務を遂行するに当たっ て,法令,当該市町村の条例及び規則並びに当該市町村委員会の定める教育委員会規則及び 規程(前条又は次項の規定によって都道府県が制定する条例を含む。)に従い,かつ,市町村 委員会その他職務上の上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」とある。 (市町村長→市町村教育委員会教育長→校長→教職員) (3) 勤務振替・手当の支給について 災害対策基本法第24条の規定に基づく非常災害対策本部または同法第28条の2の規定に基 づく緊急災害対策本部が設置される場合などの大規模な災害では,校長から時間外勤務命令 が発せられることが考えられ,勤務の振替や手当の支給の問題が生じる。 設問の場合,避難所が開設され,その運営業務に協力する場合,時間外勤務命令を発する ことにより,勤務の振替又は手当の支給が必要になる。 ア 勤務振替等について 週休日,休日又は正規の勤務時間外に勤務を命令する場合にあっては,週休日の振替, 代休日の指定又は勤務時間の割振り変更の措置を行うのが原則である(義務教育諸学校等 -7 - の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例)。 イ 手当について 教育職員が非常災害時等の緊急業務その他の特殊な業務に従事した場合において,その 業務が心身に著しい負担を与えると人事委員会が認める程度に及ぶときには,教員特殊業 務手当を支給することができる。ただし,やむを得ず振替あるいは割振り変更により休み を確保することができなかった場合にのみ支給するものである。 特殊な業務の範囲及び手当の額については, 「職員の特殊勤務手当に関する規則第17条」 に定められている。 <参考>「平成 23 年東北地方太平洋沖地震に係る教員特殊業務手当の取扱いについて」 (平成 23 年3月25日付教総第1078号) ○ 教員特殊業務手当(手当額等) 業務の区分 従事時間 (特勤規則第17条表の1の(1)) ア 非常災害時における児童若しくは生徒の 通常勤務日 保護又は緊急の防災若しくは復旧の業務 ①緊急の防災業務 週休日等 ②緊急の復旧業務 イ 学校の施設等に避難している児童生 通常勤務日 徒の救援の業務 ③児童・生徒の救援業務 週休日等 ④一般住民の救援業務 手当の額 6時間程度 6,400円 3時間程度 3,200円 8時間程度 6,400円 4時間程度 3,200円 6時間程度 12,800円 3時間程度 6,400円 8時間程度 12,800円 4時間程度 6,400円 ・アの業務に含まれる業務 ① 被災状況の把握及び報告等にかかる業務 ② 損壊した学校の施設等の復旧にかかる業務 ・イの業務に含まれる業務 (※災害対策基本法の規定に基づく非常災害対策本部又は緊 急災害対策本部が設置された災害に限る。) ③ 学校内で被災し,帰宅困難な児童・生徒を保護者が迎えに来るまで,又は自力で下 校できるようになるまでの間,学校の施設等で行う保護又は救援にかかる業務 ④ 学校の施設等に避難している被災した一般住民又は福島県からの避難住民の救援に 係る業務 ○ 管理職員特別勤務手当 臨時又は緊急の必要若しくは公務の運営の必要により,週休日又は休日に勤務した場合 に支給するものである。 ただし,週休日等については原則振替あるいは割振り変更により休みを確保することで 対応し,やむを得ず振替あるいは割振り変更により休みを確保できなかった場合にのみ支 給されるものである。(給与事務の手引き) -8 - なお,1時間にも達しない極めて短時間の勤務については,原則として支給対象となら ない。 ・対象職員…管理職手当の支給を受けている職員 管理職手当支給区分 支給額 勤務6時間を超える場合の支給額 4種及び5種の職員 8,500円 12,750円 6種の職員 7,000円 10,500円 7種及び8種の職員 6,000円 9,000円 ※ この場合「勤務6時間」は,週休日等における実働時間をいい,休憩時間は除く。 ※ 手当の支給を受ける場合は,「管理職員特別勤務実績簿・整理簿」を作成すること。 ※ 「管理職手当支給区分」については,「給与事務の手引き」の支給対象職員及び支給区 分を参照のこと。 -9 - 4 問1 「旅費制度の改正」に関する問題 「旅行雑費の支給」について,どのように対応するか。 旅費制度の改正について (1) 職員の旅費に関する条例(以下「旅費条例」)の一部改正(平成22年3月26日 条例第4号, 及び,平成22年11月18日 条例第40号)」に伴い,職員の旅費に関する規則の一部改正(平成 23年2月28日規則第2号),教職員の旅費の調整基準(以下「旅費調整基準」)の一部改正(平 成23年3月22日教育委員会訓令第4号),職員の旅費に関する条例の運用方針についての一部改 正が行われた。 その結果,高速道路料金や入場料などを旅費(旅行雑費)として支給できるようになった。 (2) 「旅行雑費」について 旅費制度の見直し後は,「日当」が「旅行雑費」と名称変更され,内国旅行の旅行雑費は, 定額の旅行雑費(定額分)と高速道路の料金等の実費に係る旅費雑費(実費分)として支給さ れることになった。 ア 定額分の支給(旅費条例第19条) ・交通機関利用による県外への旅行 1日当たり2,200円 ・上記以外の旅行 1日当たり 200円 1日当たり 100円) (同一市町村内における旅行 イ 実費分の支給(旅費調整基準第11条) 高速道路料金,駐車料金,有料道路料金については,原則として使用料で支出するものである が,公務上必要な場合で他に負担する方法がない場合においては,旅費で支給するとができる。 尚,実費分の旅行雑費を支給する場合は,領収書等の提出に基づき,定額分の旅行雑費にこ れを加算して支給する。 ただし,1日当たり2,200円(定額分)が支給される旅行においては,原則として調整を行 わない。 ウ 生徒等の引率を伴う旅行(旅費調整基準第12条) 生徒等の引率を伴う旅行において,学校が計画した社会科見学等のために施設等の入場料, 拝観料,体験学習料等,班別行動等におけるタクシー料金を要する場合,他に負担する方法 がない場合においては,この経費を旅行雑費として支給することができる。 生徒等の引率を伴う旅行において,高速道路料金,駐車場料金,有料道路料金,(以上は, 借り上げバスに係るものを想定している。)入場料等及びタクシー料金の実費分の旅行雑費 を支給する場合は,学校長の証明や領収書等に基づき,定額分の旅行雑費に,1日2,000円(同 一市町村内のときは2,100円)に旅行日数を乗じた額を限度として,これを加算して支給す る。 ただし,1日当たり2,200円が支給される旅行においては,原則として調整を行わない。 エ 入場料等の支給基準について(生徒等の引率を伴う場合にのみ適用) ・引率者の減免申請を行える場合で,この手続きを行わなかった場合は支給の対象外とな る。 ・体験学習の料金については,上記に加え,次の支給基準を設ける。 - 10 - ・体験には参加しなくとも,生徒を引率するために料金を負担することとなるときは支 給できる。(施設の入場料に,体験料が含まれているようなとき。) ・現地の指導者(インストラクター等)だけでは,生徒の安全が確保されない等,教職 員の参加に必要性が認められるときは支給できる。 ・特別支援学級や特別支援学校の生徒等を引率する場合で,教員が付き添う必要性が認 められるときは支給できる。 ・上の3つに該当する場合であっても,成果品を教職員が受け取る体験内容は,対象外 とする。(ジャム作り,陶芸体験等) ・他に,配慮すべき特別な理由があるときは支給できる。 (3) 旅行雑費が支給されない旅行について(旅費条例第6条第6項) ア 在勤公署からの路程が片道2㎞未満の旅行 イ 概ね1時間未満の定例的な業務にかかる旅行 上記イは,旅行に要する時間が,通常は概ね1時間未満であること,かつ業務内容が定例 的な業務であることの意味である。 【例】 ・託送の受け渡し(県立学校) ・市町村委員会,教育事務所での文書等の受け渡し(市町村立学校) ・郵便物の投函等 ・金融機関での常務(給与日の法定外控除や旅費の払い戻し等) ( )内にある学校種については,主として想定される学校種であり,他を対象から除くも のではない。 問2 「高速道路の利用」については,どのように対応するか。 (1) 高速道路の利用基準について 高速道路については,高速道路の利用距離が片道概ね20㎞以上ある場合や緊急を要する場合 など,これを利用することが業務効率の向上に資する場合に,旅行雑費として高速道路料金が 支給される。なお,直帰に際しての支給は不可となる。 (2) 高速道路を利用する旅行命令を発する上での留意点について ・高速道路の利用基準は「業務効率の向上」であり,高速道路を利用することで一定の時間の 短縮が見込める場合は,「概ね」の範囲として20㎞未満であっても,高速道路を利用する旅 行命令を行うことができる。 ・一般道の渋滞区間を回避するため,当該区間のみ高速道路を利用する場合など,高速道路の 利用は必ずしも最寄りのICに限定するものではない。 ・「緊急を要する場合」の例として,児童がけがをした場合,授業に間に合うように用務先か ら学校へ戻る場合,二つの用務先が離れていて,高速道路を利用しないと用務に間に合わな い場合等が考えられる。 ・旅行雑費を支給するためには,原則として支払いを証明する書類(領収書等)が必要になる - 11 - が,ETCを利用したことを証明する書類として,ETC利用明細書やクレジットカードの請求明 細書(コピー可)が考えられる。 ・家族名義のETCカードを利用した場合でも,旅行の日時や利用区間等から本人の利用である ことを確認できれば,旅費雑費として支給できる。 ・高速道路を利用して直帰する旅行命令は,「高速道路の利用基準」を満たさず,通常の業務 効率向上に資することには結びつかないので行わない。高速道路を利用しない一般道での旅 行命令を行うことが基本となる。 問3 文書提出・受理などの軽微な業務はどのような勤務態様が適切か。 職員の旅費に関する条例第2条に「出張」の意義が定められており,「職員が公務のために一 時その在勤公署を離れて旅行することをいう」とある。文書提出や受理等のたとえ軽微な業務で あっても公務に当たる。よって,出張が適切である。 概ね1時間未満の定例的な業務に係る旅行については,旅行雑費の支給対象とはならないが, 勤務態様としては,出張として車賃などの交通費は支給するものである。 【留意事項】 ① 渋滞や事故等により,通常より時間がかかった場合であっても旅行雑費は支給されない。 ② 通常はその業務を行う者以外の者が,代わりに行った場合であっても旅行雑費は支給され ない。 ③ 1つの業務では概ね1時間未満の場合であっても,1つの旅行で2つ以上を用務とするこ とで,全行程が概ね1時間以上となる場合は,旅行雑費が支給される。 - 12 - 5 「学校運営必携 九訂版」の訂正について 平成22年12月に発刊しました「学校運営必携 たので,訂正をお願い致します。 九訂版」に誤記箇所がありまし (1) 17ページ:36行目 <誤> ウ 養護教諭の職務内容は,学校保健情報の把握に関すること,保健指導や保健学習に関 すること,救急処置及び救急体制の整備に関すること,健康相談活動,健康診断及び医 師が行う健康相談に関すること,… <正> ウ 養護教諭の職務内容は,学校保健情報の把握に関すること,保健指導や保健学習に関 すること,救急処置及び救急体制の整備に関すること,健康相談,健康診断に関するこ と,… (2) 129ページ <誤> 問3 午前に30分,午後に1時間30分とるようなことも可能か。 休暇の最小単位は1時間である。したがって30分は1時間,1時間30分は2時間とな り,上記の場合は1日3時間となるので,このようなとり方はできない。 <正> 休暇の最小単位は30分であり(労基法第67条),2時間を超えない範囲内であれば,そ のつど必要と認められた時間とることができる。よって,設問の場合取得可能である。 (3) 142ページ 上段の図表「休暇報告書(例)」の右欄外 <誤> 月日については実際の日を ← 記入し,右の日・時間につい ては,1日7時間45分 で換 算し,時間も記入する。 <正> 月日については実際の日を ← 記入し,右の日・時間につい ては,1日 8 時 間 で換 算し,時間も記入する。 (4) 143ページ:2行目 <誤> 介護休暇は90日(特に必要と認める場合は180日)を越えない範囲となっている。時 間を単位としてとる場合は,7時間45分を1日と換算するので,半年以上にわたる介護に なっても,介護休暇は承認される。 <正> 介護休暇は90日(特に必要と認める場合は180日)を越えない範囲となっている。時 間を単位としてとる場合は, 8 時 間 を1日と換算するので,半年以上にわたる介護に なっても,介護休暇は承認される。 - 13 - (5) 147ページ <誤> 問6 長期の療養休暇を取得している教員や休職中の職員への対応はどのようにしたらよい か。 <正> 問6 神経精神疾患により長期の療養休暇を取得している教職員や休職中の教職員への対応 はどのようにしたらよいか。 (6) 197ページ <誤> 下段の「ア 校長の職務上の責任」をまとめた表 主 た る 内 容 学 校 教 育 に か か わ る 責 任 <正> 法 根 拠 学校教育目標の設定 憲法・教基法・学校法 教育課程の編成 学校法規則 50, 51, 52, 72, 73, 74, 138, 140 管理規則 日課表の作成 学校法規則 60 教科書以外の教材の選定 地方教育行政法 33 ② 保健安全計画の樹立 学校保健安全法5 消防計画の作成と責任分担の決定 など 管理規則 主 た る 内 容 学 校 教 育 に か か わ る 責 任 的 学習指導要領 管理規則 法 的 根 拠 学校教育目標の設定 憲法・教基法・学校法 教育課程の編成 学校法規則 50, 51, 52, 72, 73, 74, 138, 140 日課表の作成 学校法規則 60 教科書以外の教材の選定 地方教育行政法 33 ② 学校保健計画,学校安全計画の樹立 学校保健安全法5,27 消防計画の作成と責任分担の決定 など 管理規則 - 14 - 学習指導要領 管理規則 管理規則 平成22年度における規則等の改正 (1) 市町村立学校県費負担非常勤講師取扱要項等の一部改正について(通知) (市町村教育委員会教育長,教育事務所長)義教第 111 号(H22.4.1) 派遣等の条件のうち,学級編成の弾力化のため必要とする場合を小学校第4学年まで拡大し, 中学校第1学年を加えたほか,新学習指導要領の実施に伴う授業時数の増に伴い必要とする場 合,学力向上支援のため必要とする場合を削った。また,職員の勤務時間の短縮に併せ,週 30 時間勤務の者を週 29 時間勤務に改めるなど,勤務条件を改めた。 (2) 職員の勤務時間に関する規則等の一部改正について 職員の勤務時間に関する条例の一部改正により,時間外勤務代休時間(1か月当たりの時間 外勤務時間数が 60 時間を超える職員に対して支給される時間外勤務手当の支給対象職員に対 し,時間外勤務手当の一部の支給に代わる措置の対象となるべき時間)が設けられた。また, 子の看護休暇について,養育する子が2人以上の場合の承認期間の上限が「6日」から「10 日」に変更された。 (3) 職員の育児休業等に関する条例等の一部改正について(通知) (市町村教育委員会教育長,県立学校長,教育事務所長ほか)教総第 349 号(H22.6.29) 育児休業等について,次のような改正が行われた。 ・ 配偶者が常態として子の養育をすることができる場合でも育児休業等を取得することがで きる要件を緩和 ・ 産後8週間以内の期間に育児休業をした男性職員は特別な事情がなくても再度の育児休業 ができるよう特例を設ける ・ 育児休業等計画書を提出し,最初の育児休業後3月以上経過した場合,再度の育児休業が 取得できるよう変更 ・3歳未満の子のある職員に関する時間外勤務の制限(免除)制度の新設 ・子の看護休暇の取得要件に疾病の予防を図るために必要な子の世話を追加 ・特別休暇に短期介護休暇を追加 (4) 旅費制度改正に伴う旅行命令及び旅費の取扱いについて(通知) (県立学校長,教育事務所長ほか)教総第 1067 号(H23.3.22) 旅費条例の改正により,実際に利用した経路による旅客運賃や通常の経路により計算した自 家用車に係る経費を旅費として支給することとされたことに伴い,旅行の経路について時間的 なコスト等も含めて総合的に判断すること,高速道路料金や入場料等についても旅費(旅行雑 費)で支給することができるようになったことにも留意して旅行命令することとされた。また, 赴任旅費の支給対象が住居を移転した場合に限ることとされ,辞令交付のための旅行は通常の 出張とされた。 ※ 市町村立学校へは教育事務所から周知 平成23年度における規則等の改正 (1) 職員の休日及び休暇に関する規則等の一部改正について(通知) (市町村教育委員会教育長,県立学校長,教育事務所長ほか)教総第 48 号(H23.4.1) 特別休暇に不妊治療休暇,天災地変による水・食料等の確保困難時の休暇が追加された。 (2) 自家用車の公務利用に関する取扱要項の一部改正について(通知) (市町村教育委員会教育長)義教第 781 号(H23.4.1) 自家用車による公務出張を行った場合の旅費の計算について,一部改正条例による改正後の 旅費条例の規定による計算方法に合わせ,「最も経済的かつ合理的な通常の経路及び方法によ り旅行した」場合の旅費により計算するように改められた。 (3) 公立小中学校事務の共同実施について(通知) (市町村教育委員会教育長)義教第 1255 号(H23.10.19) 小中学校における事務処理体制の充実を図るため,「茨城県公立小中学校事務の共同実施に かかる指針」を策定した。 - 15 - 平成23年度 学校長会長 砂川 洋一 東小川昌夫 綿引 和義 須田 順子 副 会 長 萩原 光男 永長 潔 横瀬 晴夫 法制委員長 圷 哲男 櫻井 明彦 副 委 員 長 石津 藤好 大髙 美子 幹 事 羽石 喜昇 中村 光良 鈴木 利昭 小 委 員 濱村 幹雄 樫村 康司 潮田 洋一 菊池 泰三 長山 正宏 石毛 常己 檜山 美則 萩谷 隆司 野内 恵子 井上 定男 花園 浩 落合 武 櫻井 和実 泉 恵之 大竹 薫 古宇田正人 委 員 加藤 升 古山 哲 白田 甚一 福田 正雄 関川 敏明 石井 英世 島田 和夫 平塚 昌利 海老原治夫 岩見 穣 佐野 宣幸 額賀 均 舩橋 敏行 佐川 康二 編集者一覧 (水戸市立五軒小学校) (水戸市立第一中学校) (常陸太田市立太田小学校) (神栖市立神栖第一中学校) (鉾田市立旭中学校) (稲敷市立江戸崎小学校) (下妻市立下妻中学校) (水戸市立河和田小学校) (行方市立武田小学校) (龍ケ崎市立北文間小学校) (水戸市立飯富中学校) (笠間市立箱田小学校) (那珂市立菅谷西小学校) (日立市立河原子中学校) (鹿嶋市立豊郷小学校) (石岡市立高浜小学校) (古河市立水海小学校) (ひたちなか市立平磯小学校) (常陸大宮市立山方南小学校) (小美玉市立竹原小学校) (城里町立常北中学校) (東海村立中丸小学校) (大子町立袋田小学校) (常陸太田市立世矢中学校) (高萩市立秋山小学校) (北茨城市立常北中学校) (土浦市立上大津東小学校) (取手市立戸頭西小学校) (牛久市立中根小学校) (つくば市立小田小学校) (守谷市立御所ケ丘中学校) (稲敷市立あずま北小学校) (かすみがうら市立安飾小学校) (つくばみらい市立三島小学校) (河内町立長竿小学校) (利根町立文間小学校) (結城市立上山川小学校) (下妻市立大形小学校) (常総市立菅生小学校) (筑西市立関城東小学校) (坂東市立飯島小学校) (桜川市立羽黒小学校) (八千代町立西豊田小学校) (五霞町立五霞中学校) 平成23年度 茨城県小中学校教頭会 「法制研修会記録」 1 部分休業の取扱いについて 17 2 非常災害時における対応について 19 3 自主的避難の際の出欠の取扱いについて 20 4 「職専免研修」の参加費の負担,手続き及び途上の事故について 21 5 講話要旨 23 Ⅰ【 部分休業の取扱いについて 】 部分休業について次の件の取扱いはどのようになるか。 ① 期間付任用職員は部分休業を取得できるか。 ② 配偶者が育児休業をとっている場合,部分休業の取得は可能か。 ③ 夫婦がともに職員である場合,同一時間帯に部分休業を取得することは可能か。 ④ 勤務開始から2時間の部分休業を承認されている職員が,午前中4時間の休暇を請 求してきた場合,部分休業を取り消して年次有給休暇とすることは可能か。同様に, 勤務終了までの2時間の部分休業を承認されている職員が,午後4時間の休暇を請求 してきた場合,部分休業を取り消して年次有給休暇とすることは可能か。 〈中央ブロック〉 <質問事項への考え方> (根拠となる関連法令等) ・地方公務員の育児休業等に関する法律(平成3年 法律第110号)第19条 ・職員の育児休業等に関する条例第25条(平成22年6月30日改正) ・職員の育児休業等に関する規則(平成22年6月30日改正) ○ 質問①について 地方公務員の育児休業等に関する法律第19条第1項及び職員の育児休業等に関する条例 第25条において部分休業をすることができない職員として定められているのは,非常勤職 員及び育児短時間勤務職員等であるため,期間付任用職員であっても常勤の職員については 取得できる。 〈補足〉 育児休業については,同法第2条第1項において,臨時的に任用される職員を対象から除 外している。 ○ 質問②について 地方公務員の育児休業等に関する法律の改正及びそれに伴う職員の育児休業等に関する条 例の改正(平成22年6月30日施行)により,配偶者が育児休業をしている場合及び部分 休業をする時間において当該職員以外の子の親が養育できる状況にある場合は,部分休業す ることができないとされていた規定が削除されたことから,部分休業の取得は可能である。 〈補足〉 法律及び条例の改正により,配偶者が,育児休業,育児短時間勤務又は部分休業を取得し ているかどうかや,就業をしているかどうかにかかわらず,職員は育児休業,育児短時間勤 務若しくは部分休業をすることができることとされた。 ○ ○ 質問③について 質問②と同様の理由により可能である。 質問④について 部分休業は,勤務を前提としての制度であるため年次有給休暇等の取得により勤務を伴わ ない場合,部分休業は取り消される。 - 17 - 〈補足〉 育児に伴う勤務形態は,育児時間休暇(特別休暇:満1年6月まで),育児短時間勤務(小 学校就学始期まで),部分休業(小学校就学始期まで)がある。 育児短時間勤務については,補充職員として任期付短時間勤務職員を任用するものとする。 また,育児短時間勤務は,給与が勤務時間に応じた額になるとともに,勤勉手当について育 児短時間勤務をすることにより短縮された勤務時間の短縮分に相当する期間を勤務期間から 除算し,期末手当については育児短時間勤務をすることにより短縮された勤務時間の短縮分 に相当する期間の1/2の期間を在職期間から除算する。 部分休業は,部分休業の時間について給与を減額して支給するとともに,勤勉手当につい て部分休業を取った日が90日を超える場合,全期間(8時間をもって1日と換算)を除算 する。 これらのことを該当職員に伝え,条件面を十分に考慮して選択できるようにすることが望 ましい。 講師指導 ○ 期間付任用職員は,育児休業の対象からは除外されている。しかし,部分休業については, 常勤の職員を除外する理由はないとの判断から制度の利用を認めている。 ○ 部分休業は,勤務をすることを前提としている制度である。したがって,部分休業の時間 の直後に年休等により勤務を伴わない場合,部分休業は原則として取り消される。 <参考> ① 8:10 9:10 部分休業 年 10:10 16:40 休 ② 部 分 休 業 ③ 部 分 休 業 勤 勤 務 年 休 務 年 休 ①の場合,部分休業は取り消され,2時間の年休を取得する。 ②の場合,部分休業は取り消され,1日の年休を取得する。 ③の場合,部分休業,年休がそれぞれ認められる。 ※ ○ 育児時間休暇についての取扱も同様である。 部分休業と育児時間休暇をあわせて1日2時間まで可能であり,実際の取扱いとしては, 子が1歳6月未満の場合には育児時間休暇を取得し,それ以降,子が小学校就学の始期に達 するまでは部分休業制度を利用することになる。 なお,夫婦が同じ日に部分休業と育児時間休暇を取得する場合,それぞれ1日2時間,夫 婦合計で1日4時間まで利用が可能である。 【例1】(妻)育児時間休暇2時間 【例2】(夫)育児時間休暇2時間 (夫)部分休業2時間 (妻)部分休業2時間 ただし,同じ日の同一時間帯に,妻が部分休業を,夫が育児時間休暇を取得することは できない。 - 18 - Ⅱ【非常災害時における対応について】 非常災害時,学校が地域の避難所になる場合,法的根拠やその運営はどのように なるのか。また,避難所になった場合,時間外の勤務命令はできるのか。その際, 通勤も含め事故等の際は公務災害になるのか。 〈県北・県東ブロック〉 <質問への考え方> 学校施設の目的外使用については,下記のように規定されている。 ・非常災害の場合の学校施設の使用,地域防災計画における避難所の指定など 「消防法第29条,災害対策基本法第62条」 ・学校施設の利用 「社会教育法 第44条」 ・学校施設の公共のための利用,学校教育上支障のない限り… 「学校教育法 第85条」 ・防災上重要な施設の管理者…応急処置に協力しなければならない 「災害対策基本法 第62条の2」 ・市町村の地域防災計画 ○ 学校は本来教育施設であり,災害時における学校の果たす最も重要な役割は,児童 生 徒 の 安 全 を 確 保 す る こ と に あ る 。し か し , 大 規 模 災 害 が 発 生 し た 場 合 に は , 避 難 所 に指定されている学校はもちろんのこと,指定されていない学校にあっても,災害の 規 模 や 被 害 の 状 況 , 地 域 の 実 情 等 に よ り 緊 急 の 避 難 所 と な る こ と が 予 想 さ れ る 。こ の ため各学校は,避難所となった場合を想定して,災害時における教職員の組織づくり や対応手順の確認を行い,円滑な避難所運営が図られるよう,市町村防災担当部局や 地 域 の 自 主 防 災 組 織 の リ ー ダ ー 等 を 交 え て ,定 期 的 に 協 議 し て お く こ と が 大 切 で あ る 。 また,危機管理マニュアルの中に下記のような避難所となった場合の手順等を示して おく必要がある。 ・地域の自主防災組織や市町村防災担当部局の職員等との協力体制の確立 ・学校医・地域の医師会との連携 ・開放できる区域と立ち入り禁止区域の明示 ・事前に決めておいた優先順位にしたがって施設等を開放 ○ 平成7年11月27日文部科学省「学校等の防災体制の充実について 第一次報告」の3, (2),⑤災害時における教職員の役割,人的支援体制の整備,【留意すべき事項】イ,教職 員が救護業務に従事した場合の服務上の取扱い(ア)に「学校が避難所となる場合,学校とし て,当該市町村の災害応急対策に協力しているものと位置付けることが可能であり,避難所 となっている学校の教職員が災害時に避難者の救護業務に従事することは,当該学校の管理 業務の一環を担っているものと考えられ,服務上,職務として取り扱って差し支えなく,通 常,公務災害補償等の対象となるものと考えられる。」とある。 したがって,校長からの命令であれば,救護業務は職務であり公務災害補償等の対象とな る。また,時間外の勤務命令については,市町村の判断で行われることとなる。 - 19 - 講師指導 ○ 学校の施設は,学校教育のために使うという大原則があるものの,非常災害時は市町村の 防災計画により災害対策本部から教育委員会が要請されて学校が避難所となることが多い。 また,指定されなくても緊急に避難施設として求められることがある。 ○ 文部科学省平成7年「学校等の防災体制の充実について 第一次報告」により,避難所と なっている学校の教職員が災害時に避難者の救護業務に従事することは,校長からの命令で あれば職務と考えてよい。 ○ 時間外の勤務命令については市町村の意向に沿った形となるが,負担が一部の教職員に集 中しないように配慮が必要である。時間外勤務の処理については,原則「振替え」で対応する。 ○ 避難所において児童生徒の保護や緊急の防災,若しくは復旧の業務に当たっている間に起 きた事故等が公務災害にあたるかどうかは,文部科学省平成7年「学校等の防災体制の充実 について 第一次報告」により,通常公務災害の対象となるが,地方公務員災害補償法の規 定により個別に判断することとなる。 Ⅲ【自主的避難の際の出欠の取扱いについて】 原子力発電所事故の影響で,事故現場から遠隔地であっても,局地的に放射線量の高い ホットスポットを理由に自主的に避難する家庭が出ている。この場合,避難が長期にわた る場合には,児童生徒の就学機会に配慮し区域外就学の措置をとることが望ましいと考え られる。場合によっては,1週間程度の短期間での自主避難の申し出も予想される。 こうした場合の児童生徒の出席の取扱いはどのようにすべきか。 〈県南ブロック〉 <質問事項への考え方> (根拠となる関係法令等) ・学校教育法施行令 第8条 ,第9条 ・学校教育法施行規則 第24条 ,第25条 ・「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震における被災地域の児童生徒等の就 学機会の確保等について(通知)」(平成23年3月14日付け文科初第1714号) ○ この場合の避難は,保護者の独自の判断による自主的避難である以上,受け入れが確定す るまで出欠の取扱いは事故欠となる。 〈補足〉 受け入れについては,「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震における被災地域 の児童生徒等の就学機会の確保等について(通知)」(平成23年3月14日付け文科初第1 714号)の「1.被災した児童生徒等の公立学校への受け入れについて」にあるとおり,被 災した児童生徒等が域内の公立学校への受け入れを希望してきた場合には,児童生徒の就学 の機会を確保する観点から,可能な限り弾力的に取り扱い,速やかに受け入れるものとする。 - 20 - なお,公立学校の受け入れに際しては,当該学校の在籍者として受け入れる転入学のほか, 学籍は元の学校そのまま,受入れ先の学校への就学など,多様な取扱いが想定されるので被 災地の状況や,各地方公共団体の実情等に応じて取扱うことが必要である。ただし,いずれ の場合においても,転出元の教育委員会等と連携を図りながら,児童生徒等の在籍を明確に した上で対応し,児童生徒等の不利益にならないような配慮が必要である。 講師指導 ○ 質問事項にある自主的避難については,保護者が独自に判断し別な場所に行くとあり,教 育委員会の受け入れが確定するまで事故欠扱いとなる。 ○ 平成23年3月14日付け文部科学省の通知文の趣旨は,受け入れに関して児童生徒の就 学の機会を確保することが第一にある。本来は,手続きが必要であるが,弾力的に取扱うと なっている。 ○ 災害時に限らず通常の時でも家庭の事情等により区域外就学等はあり得る。 被災地域の児童生徒等の受け入れに関しては,それぞれの市町村で弾力的に対応すること が求められている。文部科学省の「東北地方太平洋沖地震により被災した児童生徒等の公立 学校への弾力的な受入れ等に関する Q & A」を参照する。 Ⅳ【「職専免研修」の参加費の負担,手続き及び途上の事故について】 小学校勤務のA教諭が,都内の大学の附属小学校で開催される算数科指導の研究会の案 内を持って,「夏季休業日で学校運営に支障がないことを確認しているので,参加させて もらえないか。」と相談してきた。研究会開催地は勤務地から遠方にあり,旅費が不足気 味なので出張命令を出せる状況でないことを伝えると,本人から「職専免研修」での申請 があった。校長はこれを承認し,本人は参加した。 ところが,帰宅途中,歩道橋の階段を踏み外して全治3か月の大けがを負った。次の件 についての取扱いはどうなるか。 ① 勤務態様は,「研修」「職専免研修」「年休」のいずれが妥当か。 ② 旅費等の参加経費は,自己負担としてよいか。 ③ 承認の手続きには,どんなことが必要か。 ④ この事故は,公務災害の対象になるか。 〈県西ブロック〉 <質問事項への考え方> (根拠となる関係法令等) ・教育公務員特例法 第21条,第22条 ・教員の研修の服務上の分類(「学校運営必携」九訂版 P94より ① 職務命令による研修 ・・・・・・・・勤務場所で行う研修,勤務場所を離れて行う 研修(出張) ② 職務専念義務免除による研修 ・・・・放課後や長期休業期間等 ③ 自主的な研修・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・年休又は勤務時間外 - 21 - ○ ○ 質問①について 「研修」として認めることはできる。研修とするか,出張とするか,年休とするかは,その 内容,勤務への影響等を勘案して校長が判断することとなる。この問いの場合は,夏季休業 中であり,授業に支障もないことから職務専念義務を免除して研修を受けさせることはでき る。 質問②について 職務命令によらないものであるため費用は自己負担である。 〈補足〉 職務命令による研修の場合でも,任意の資料代等は個人負担としてよい。 ○ 質問③について 当該研修が,校長の承認による,職務専念義務免除による研修の場合は,当該研究会の案 内及び研修成果の還元方法等についての考えを添えて,研修承認願(様式6号)により校長 に申請して承認を受ける。終了後,研修報告をし,研修承認願整理簿(様式7号)に記載す る。出勤簿上は「研修」とする。(「学校運営必携」九訂版 P.68∼69参照) ただし,「学校運営必携」九訂版 P.79∼80の「教員免許更新講習」等,職務専念義務 免除願(様式第5号)による申請とされているものは,職務に専念する義務の特例に関する条 例に基づき職専免とするもので,この場合,出勤簿上は「職免」となる。 ○ 質問④について この場合は職務命令によらないため,公務とは認められない。よって,公務災害の対象に はならない。 講師指導 ○ 長期休業中の研修と勤務態様については,以下のとおり整理する。 ア 校長の命令により勤務箇所で行う研修 勤務態様は「出勤」 イ 校長の命令により勤務箇所を離れて行う研修 勤務態様は「出張」 ウ 校長の承認を受けて行う職専免による研修 勤務態様は「研修」 エ 年休を取って行う研修 勤務態様は「年休」 ○ 公務員は,職務に専念することが大前提である。職務専念義務免除は,勤務の免除だけで はない。その間,給与上,勤務したのと同じ扱いとなる。したがって,個人の自由な研修と 考えるべきでなく職務研修に準ずる研修であるととらえる。 ○ 職専免による研修は,校長の承認を受け,研修計画を立てて研修し,事後に校長に報告を する。研修内容については,職員研修の場などを利用して共有することが大切である。 ○ ④の根拠は,地方公務員災害補償法である。 - 22 - 【講話要旨】 講師 1 2 茨城県教育庁義務教育課管理主事 梅里 節子 先生 法制研修会の意義と各職場での知識の共有 ○ 日常的な疑問の解決に当たる組織としての役割 ・法令への理解を深めることの重要性 ・管理職だけでなく,全ての職員(講師等も含めて)が情報を共有する意義 次のようなケースについて,対応を考えてみよう (演習形式) (1) <例1> 精神疾患で休職中の職員への苦情対応 A 教諭は,精神性疾患で休職中である。主治医からは「気分転換を図ることが大切」との助 言があり,趣味であるスポーツ観戦に頻繁に出かけていた。休日ばかりでなく,平日にも出か けていることが保護者や生徒にも知られ,学校に苦情が寄せられた。どのように対応すべきか。 ● 病気休職は,心身故障のために長期の休養を要する場合に行う処分であり(地公法第 28 条第2項1),その間治療に専念すべきである。 ● 職員は休職中であっても職員としての身分を有するので,地公法に定められた服務義務を 負う。(第 30 条から 38 条) ● 校長は「所属職員を監督する」(学校法第 37 条第4項)立場から,主治医との連携により 治療方針を確認したり,公務員として適切な方法を考えるよう指導することが必要である。 ・主治医の指示の内容を詳しく聞いて,治療の進め方を確認する。 ・スポーツ観戦の在り方を検討する。(保護者等からの疑いが生じない方法を) ・その他の「気分転換」の方法について検討する。 など ○ 学校は,休職中の教職員の動向をある程度把握し,適切な対応をしていくことが必要であ る。(学校から離れていても職員として大切にすること。必要な情報は伝えること。) (2) <例2> 勤務する学校の教職員の個人情報や誹謗中傷を自分のホームページ上で掲載した場 合への対応 B 教諭は,勤務校の教職員の個人情報や誹謗中傷を自分のホームページやブログに仮名を用 いて掲載したが,あくまでも「内容は実話ではなく創作であり,言論の自由である。」と主張 する。これは守秘義務違反や信用失墜行為となるか。 地公法第 33 条「信用失墜行為」,第 34 条「守秘義務違反」に当たる。 個人のホームページ上に学校の情報を掲載することは避けるべきである。 ・同僚の個人情報は職場でしか知り得ないものであり,仮名を用いて創作であると主張して も,中傷された同僚が,明らかに自分のことであるとわかる内容であれば,相手の同意を 得ないまま掲載したことになり,人権を侵害する行為と考えられる。 ・B 教諭が主張する憲法第 21 条の「表現の自由」は,無制限の自由を保障しているわけで はなく,その濫用によって他者の人権を侵害してはならないものと解されている。 ・児童生徒に指導する立場にある教職員が自らモラルに反する行為をすることは,信用失墜 行為にあたる。 ※ その他,「個人情報保護条例」「インターネット利用のガイドライン」等 参照 ● ● 3 信頼される学校づくりと教頭の役割(危機管理の面を中心に) 学校の主体性の確立を目指す学校運営を実現するため,教頭はどのように校長を補佐すべきか。 (学校教育法第 28 条) ○「補佐する」ことを,校長の指示に従って事務的に教職員を監督するという狭いとらえでなく, 専門的力量を発揮し,校長に対する具申,助言,提言を行い,校長の意志決定に一定の役割を 果たすことととらえたい。 ○「校務の整理」とは,校長の意志と一致するように,教職員の個々の活動を相互に結びつけ, あるいは,人間関係を良好なものに調整しながら,学校の目標の実現に向けて道筋をつけてい く仕事と考える。 例えば,学校の大きなテーマである学力向上についても,教務主任や研究主任が自信をもっ て学校をリードできるよう助言したり,進めやすくするための条件整備をしたりするとともに, 自らも教育課程全体を見て課題解決への具体策を提示するなど,これまで培ってきた専門性を 発揮すべきである。 - 23 - (1) 危機管理の側面から日頃の自分の行動についてチェックしてみよう。 □ □ □ 教職員からの報告や相談に対して,聴く時間を必ずとるようにしているか。 教職員の変化をとらえるよう努めているか。 報告や相談の機会を利用して,意識的に質問をしたり,一緒に現場を見に行ったりしながら, 一人一人の教育活動や事務の進捗状況を把握しようとしているか。 □ 教職員に学校運営に関する自分の思いや考えを話しているか。 □ トラブルが発生したら,必ず管理職に報告させるようにしているか。 □ 問題点や間違いに気付いたら,タイミングよく指導するように努めているか。 □ トラブル発生時には,解決のために率先して行動しているか。 □ 教職員のミスや失敗に対して,フォローしたり助言したりしているか。 □ 他の学校等で発生した不祥事や事故等の情報を,自校の教職員に話しているか。 □ 教育活動や業務を実施する際に根拠となる法令等について,確認したり,教職員間で共有し たりして,注意を払っているか。 (2) 管理職のこんな行動が危機発生時には重要である。 ○ 危機を招いた教職員を,その場で叱らない。(叱ることで事実が話されなくなることも) →大切なのは「事実をつかむこと」「原因を究明すること」 ○ 事態に臨む基本方針と行動を明確に示すこと →精神的な動揺を抑え,個々の教職員が取り組むべきことを具体的に示す。 ○ 様々な対応策から,より効果的な方法を選択する。(組織を生かす視点を重視) ○ 対応は,迅速さと誠実さをもって。 ○ 結果については責任を負うという姿勢を示す。(校長) ○ 事態の進捗状況を教職員に説明(経過報告)する。 ○ 危機の終結時には,教職員にはっきりと伝える。 ・日常の組織運営に戻すため ・ストレスから解放するため ・次に発生するかもしれない危機に鋭敏になるため ○ 原因を解明し,日常の活動における再発防止策を立て,組織内外で共有する。 <参考> (3) 福岡県教育センター・九州大学「危機管理講座テキスト」 実際に起きている問題から対応の在り方を学んでいこう。 (例1)校舎内に侵入され,パソコンが盗難に遭ったとき ・侵入された経緯の確認 (未施錠か,鍵やドアを破ってか,何を使って壊したか) ・日常の保管状況の確認 (全員がパソコンを鍵のかかる場所に格納しているか) ・児童生徒等の情報管理 (日常的に安全に保管しているか) ・他機関との連携 (再発予防への改善の余地はないか) ・安全管理の徹底に向けた校内での対応 (教職員の意識と行動に働きかけているか) など (例2)体罰がおきたとき ・当該教職員の普段の指導の特徴把握 (適切な助言をしていたか) ・指導力の把握 (指導力の不足のために,力に頼る指導につながっていないか) ・個人的な悩み等の把握 (通常と異なる状況にあったか) ・該当児童生徒の実態把握(情報を学年担当者から聴いたり,自ら収集しているか) ・保護者への対応状況の確認(日頃の関係づくりができているか,誠実に謝罪したか) ・他の教職員への指導(同様の事故の未然防止,保護者・地域との信頼関係回復) など 4 教職員一人一人が意欲をもって学校運営に参画するために <校内で> ○ 個々の教職員の特性(優れている点,努力している点等)を理解した上で,成果に結びついて いる事実を取り上げ,賞賛し,自信をもたせる。 ○ 経験年数の多い教職員には,その豊富な経験を積極的に組織に生かそうとする意欲が高まるよ うな働きかけをする。 ○ 期待する教育成果が出ない場合の解決方法をともに考え,粘り強くかかわる。指導力に課題が ある場合は,今後の教職への影響を考え,適切な研修の機会を与える。 ○ 教職員の福利厚生等について,日頃から確かな情報を伝える。 ○ 勤務の状況を把握し,極端に負担となっている教職員がいないかどうか確認する。 ○ 教職員や児童生徒の状況について校長への情報提供を適切に行う。 <地域との連携・外部への対応> ○ 教育効果を高めるために,保護者や地域の協力を要請する際は,管理職が主体的に動き,教職 員の負担を軽減する。 ○ 地域に出て学校のよさや向上している点をアピールするなど,適切な情報発信に心がける。 ○ 外部からの苦情や質問等に対しては,教頭が主たる対応者となり,冷静なかかわりに努める。 - 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