千葉大学工学同窓会々報 40

平成25年11月15日発行 第40号
千葉大学工学同窓会々報 40
2013
総合研究棟(工学系)
完成予想パース 建築中
(詳しくはP30をご参照ください)
建築学科
都市環境システム学科
デザイン学科
機械工学科
メディカルシステム工学科
電気電子工学科
ナノサイエンス学科
共生応用化学科
画像科学科
情報画像学科
【目 次】
1
工学同窓会会長挨拶
2
3∼4
工学部長挨拶
建築学科(Ⅱ部会:木材・建築・デザイン工学科建築系)
5∼6
都市環境システム学科(Ⅹ部会:都市環境システム)
7∼8
デザイン学科(Ⅰ部会:図案・彫刻・造形・意匠・デザイン工学科意匠系)
9∼10
機械工学科(Ⅲ部会:金属・精機・機械・機械第二・電子機械工学科機械系)
11∼12
メディカルシステム工学科(Ⅺ部会:メディカルシステム)
13∼14
電気電子工学科(Ⅳ部会:電気・電子・電気電子・電子機械工学科電気電子系)
15∼16
ナノサイエンス学科(Ⅻ部会:ナノサイエンス)
17∼19
共生応用化学科(Ⅴ・Ⅸ部会:工業化学・合成化学・応用化学・機能材料工学・物質工学)
20∼22
画像科学科(Ⅵ・Ⅶ部会:写真・印刷・画像・画像応用・情報画像工学科画像系)
23∼24
25
26∼29
30
東高芸の会
平成24年度工学同窓会事業報告
寄付者一覧
会員便り
情報画像学科(Ⅷ部会:情報・情報画像工学科情報系)
千葉大学工学同窓会
ホームページ http://chiba-kougaku-dosokai.jp/
会長挨拶
工学同窓会会長 塩 田 孝 夫 TAKAO SHIOTA
生年月日/昭和25年2月16日
出 生 地/東京都
卒業年度/昭和47年千葉大学工学部工業化学科卒業
は異例の小型競争艇では学連 1 部校として、また、大型の航洋艇
では社会人に混じって活躍して来ました。この、
ヨット部も部員不足、
予算難で存亡の危機にあります。大洋にも東京湾にも面した千葉県
にある大学としては特色のあるヨット部の活動が停滞していることは
残念です。学術の面でも、大学が牽引する文化の面でも千葉大学
の特徴を出してゆくことが必要だと思います。差別化の基となるの
は厚みを持った技術要素の集合体の特色です。技術力は蓄積が必
要であり、質の高い先行技術を持つこと、異なる技術分野から発想
を得ることは差別化の重要な要素です。千葉大学工学部には古くか
らの集められた技術的資料、測定器、工業製品、サンプルなどが
整理されないままに集積されています。苦労して集められたこれら
を技術アーカイブとして整備公開することは重要な課題です。先達
の仕事の道筋が見えるように整理されていれば在学生にも有用であ
り、また、学業の動機付けにもなると考えられます。工学同窓会は
経済的な支援と共に同窓の先輩が強く関心を持つことでこれらの活
動を大いに支援してゆきたいと考えております。
技術系の学生の科学的理解力は優れていると思いますが、目的、
背景も含め一般社会、海外の人に理解される共通の論理で説明す
る能力に欠けることがあります。学術的な成果は主張し、また有用
性を説明してはじめて社会で受け入れられます。また、海外の技術
者は母国語、国際語である英語、その他に顧客の言語と 3 から 4 ヶ
国語を操りコミュニケーションに勤めます。私達の不満足なできの
英語によるコミュニケーションでは、意思の疎通、重要なメッセージ
の把握に大きな問題があります。海外の学生は言語習得への動機
付けが確りしています。若いときから、或いは、親からの影響によ
り国際社会で生きるために外国語の習得が必須であることを理解し
ています。さて、工学同窓会ではその活動の一環として学生活動へ
の支援を行っています。ソーラー ・ デカスロン ・ ヨーロッパへの参
加する学生の支援等、学生の海外での活動、国内における自主的
な学術的活動の援助を行っております。これらの活動は、学生さん
が社会との接点を持つ上で、また、国際社会及び他のステークホル
ダーとのコミュニケーションの必要性を肌で習得する重要な活動で
す。また、これらの活動は学生生活の中で目標を具体的に考えるこ
とにも繋がり有意義なことです。卒業生としてもこれらの在学生の活
躍は見ていて清々しく自身の活動の励みにもなります。
工学同窓会による各種支援はここ数年来拡大してきております。
工学同窓会は会員相互の共益が主たる目的であり予算もその範囲
内で編成しております。将来会員となる在校生の活動支援、技術アー
カイブの整備には卒業生の皆様の格別の寄与が必要とされていま
す。そのためには今千葉大学工学部で起こっていることを理解頂く
必要があります。ホームページの充実により工学同窓会の近況、交
友の活動、学生の活動の周知を行っておりますが、直接語り合う総
会、また、会報は工学同窓会を実体として感じる重要な機会であり
ます。会員の皆様におかれましては一年に一度の会報を手にとって、
また、来年 5 月 30 日開催予定の総会に気軽に足を運んで頂き卒
業生の輪を広げ、同窓会に基盤を強固にしてゆきたいと考えており
ます。
■経歴
昭和47年 3 月 千葉大学工学部工業化学科卒業
昭和48年 3 月 藤倉電線株式会社(現フジクラ)入社
平成 3 年 4 月 Fujikura Technology America Corp.社長
平成 9 年 7 月 株式会社 フジクラ 開発企画部長
平成19年 6 月 株式会社 フジクラ 常務取締役
平成21年 6 月 株式会社 フジクラ 常勤監査役 現在に至る
本年 5 月に開催された工学同窓会総会にてご承認を頂き、2 年
間会長を勤めることになりました。社会環境が変化するなかでも、
同窓会の活動目的は同窓の交流と将来の同窓である学生に対する
支援であり大きく変わることはありません。しかし、環境の変化によ
り同窓会の活動の内容、予算は徐々に影響を受けています。千葉
大学工学部も、これまで日本企業の発展に大きく貢献してきました
が、今後も環境変化を踏まえて社会から要求される人材を教育し育
成することが使命です。環境に恵まれ、充実した施設を有し、優れ
た教職員に恵まれた千葉大学が広い地域からの優秀な学生を集め
て今後も発展を続けることは卒業生としての望みであります。非力
ではありますが、変化する環境の中で工学同窓会の活動が卒業生、
在学生の活動の一助になればと考えて努めさせて頂きます。
さて、日本企業はグローバルな競争環境の中でこれに適応して成
長することを模索しています。日本全体の競争力は企業の競争力の
源泉です。今その、競争力が相対的に低下してきています。World
Economic Forum の分析では日本の競争力は近年 6 位、9 位、10
位と低下してきています。方向の定まらない政治、縦割り行政、金
融市場の未成熟等が足かせになっている一方で、技術革新に関し
ては 5 位、その内訳の技術革新能力 1 位、技術者の有効性でも
2 位と科学技術が日本の競争力の源泉になっていることは明らかで
す。さて、科学技術の成果指標は論文です。残念なことに文部省の
調査では論文の質、量共に各分野で相対的な順位が低下していま
す。日本では論文の七割は大学で生産されています。その、日本
の大学の相対的評価も年々低下しています。これは、香港、韓国、
新嘉坡を始めとするアジアの大学が教育システムの欠陥を修正し能
力を上げているからに他なりません。企業他の外部機関との連携、
海外人材を含む若手の人材の多様化、及び、国際連携研究が研究
成果拡大の鍵であると言われています。大学の内部努力だけでは
解決しない企業の連携研究に対する姿勢、海外人材の日本におけ
る法的地位、企業における人事処遇他の課題もあります。これらの
点では同窓生各位が大学の要請に応える機会が多々あると考えてお
ります。
今後日本企業がグローバルな競争に勝ち抜くためには、ビジネス
モデル、或いは、商品による差別化が必要です。大学の間でも差
別化は必要です。かつて千葉大学工学部は学問の領域として差別
化できる工業意匠、印刷工学、写真工学と言った特徴ある学科が
ありました。私事になりますが大学時代はヨット部に属し学業は程々
に部活動に精力をつぎ込んでいました。ヨット部は国立大学として
1
ご 挨 拶
千葉大学工学部長 北 村 彰 英 AKIHIDE KITAMURA
生年月日/昭和24年9月23日
出 生 地/東京都目黒区
卒業年度/昭和49年東北大学理学部化学科卒業
昭和55年筑波大学大学院博士課程化学専攻修了
理学博士(筑波大学)
同窓生の皆様方にはご健勝で、またご活躍されている
数は多く、400名を超えています。この人数は他大学と
ことと思います。
比べても非常に多いものです。外国大学との交流に関し
さて、日本が将来にわたって技術立国の地位を維持し、
ては、工学部・工学研究科が主体の大学間交流協定を
また発展するためには、優れた人材による先端的な研究
50大学と、部局間交流協定は51校と締結し、研究・教
開発が必要です。したがって、それらに対応する人材育
育の交流を図っています。これら協定校との間で学生交
成と研究を行う工学部は、千葉大学の中でも重要な位置
流、すなわち留学ができます。留学期間は短いものでは
にあると考えています。世界を先導する研究を行ってい
1週間、長いものでは1年と、いろいろなプログラムを
る教員のもとに優秀な学生が集まり、世界的教育拠点が
用意しています。工学部のグローバル化への対応は着実
形成される、との認識を持って千葉大学工学部の発展を
に整ってきています。
図っています。
西千葉キャンパスでは建物の新営や改修が一段落しま
工学部では、教育の基盤となる3方針、学生受け入
した。昨年の図書館のリニューアルに続き、今年の3月
れの方針、教育課程編成・実施の方針、学位授与の方
には千葉大学生協が中心になる食堂、書籍部、購買部
針を策定しています。今後ともこれらの方針に沿って人
などが一新され、また学生支援関連の事務窓口が入っ
材を育成し、世の中に輩出します。とくに優れた資質を
た厚生施設もできました。さらにこの4月には大学本部棟
持つ学生を世の中に輩出するための教育課程の編成と
の耐震改修も終わりました。一方、工学部では12号棟と
その実施は重要です。工学部の教育は俗にいう積み上
19号棟を取り壊し、9階建ての建物ができます。平成
げ方式です。積み上げ方式の長所は一つの流れの中で
26年度半ばに竣工予定です。研究室や実験室だけでな
高度な専門知識が身につくことですが、一度その流れか
く、大規模教室もできる予定ですので、完成が待たれます。
らはずれると、すなわち一度わからなくなると取り残され
このように教育改善や教育研究環境の整備を積極的
てしまう危険があります。そのようなことがないよう、丁
に行ってきたことにより、優れた学生を世の中に送り出
寧な指導を心がけています。また、昨年できたアカデミッ
すことができています。後輩の活躍を期待していただき
クリンクセンターでは、大学院生による個別学習指導を
たいと思います。
行い、サポートしています。
世の中は千葉大学工学部にさらなる期待をしていま
世の中ではグローバル化の推進が強く言われるように
す。国は「大学改革実行プラン」を踏まえ、「ミッション
なりました。工学部の卒業生は将来世界で活躍すること
の再定義」を始点とした機能の強化を国立大学に求め
になります。そのためにもグローバル化は当然という意
ています。特にイノベーションを支える主要な担い手と
識を持ってもらい、また語学力も十分に身につけてもら
なる理工系人材の戦略的育成は最重要課題となってい
いたいと考えています。
ます。今後、「理工系人材育成戦略」を策定し、教育研
留学するにはTOEFLの点数が、社会に出たらTOEICの
究組織の再編成や整備を進めると明言しています。その
点数が重要になります。工学部ではTOEICの自己学習シ
中では、各々の大学を世界水準の教育研究拠点とする
ステムを導入し、また学習アドバイザーにも常駐しても
のか、全国的な教育研究拠点にするのか、あるいは地
らっています。自己努力でTOEIC の点数を上げてもらい
域活性化の中核拠点とするのか、という見方によっては
たいと考えています。また英語しか使えないイングリッ
大学の差別化を図るような施策も含まれています。なか
シュハウスも厚生施設の中にできました。積極的に活用
なか難しい状況ではありますが、千葉大学工学部では教
し、英語に親しんでもらいたいと思っております。ちなみ
員が誇りを持って世界水準の教育研究を行える環境を整
に大学院入試では英語の学力はTOEIC の点数で判定し
備し、今後も優れた学生を育成して社会に輩出したいと
ています。
考えております。
現在、千葉大学では1,000名を超える留学生を受け入
同窓生の方々におかれましては、今後もご支援のほど、
れています。そのなかでも工学部・工学研究科の受入
よろしくお願いいたします。
2
建
築
学
科
きたものですが、卒業設計はそれらと180度異なりま
■ 定年退職の先生から
す。
「課題そのものを自ら考えること」が主眼となる設
遷宮年に退職して
計であり、
同時に
「建築に対する自らの固有のビジョン」
栗生 明
伊勢神宮の第61回遷宮を翌年に
が求められるものでもあるからです。
控えた1992年の暮れ、私は千葉大
この記念すべきイベントを記憶に残るものとするた
学に奉職しました。それから20年
め「弥生賞・奨励賞」を創設し、優秀作に授与するこ
が経ちました。本年秋、第62回目
とにしました。設計の道を志す学生たちはこの賞の獲
の式年遷宮が行われます。1,300
得をめざして、設計の思考を深め、技量を磨きます。
年以上絶えることなく続けられて
実際の建築は多くの人々の協力を得て完成するもの
きた「式年遷宮」の周期と私の千
で、けしてひとりだけで実現できるものではありませ
葉大での生活は奇しくも重なっていたわけです。この
ん。そうしたことを学ぶためにも、後輩たちに作品の
ことに気付いたのは、縁あって昨年私は、伊勢神宮の
手伝いをさせることも奨励しました。また合同講評会
外宮・勾玉池の畔に「せんぐう館」を設計し、竣工さ
や卒業設計講評会は全学年出席可能とし、学年間の交
せる機会を得たからです。この建築は「式年遷宮」の
流も促しました。更には千葉大学建築学科の卒業生と
意味や役割を後世に伝え、日本の伝統文化や技術を保
現役学生との繋がりを強化するため、建築学科独自の
存するための資料館です。神宮では「常若」という言
同窓会組織「アーキバウ」を設立していただくことも
葉が使われます。神は遷宮とともに生まれ変わるよう
できました。
に、
「常に若くある」という意味ですが、命ある身とし
私は30以上の大学で非常勤講師をしたり、講演をし
てもあやかりたいものです。
たり、ゲストに招かれたりしてきましたが、千葉大学
ほど良い大学はないと感じています。キャンパスに緑
が溢れて美しいのは誰でもが理解できますが、私はこ
のキャンパスに集う教員や学生が美しいと感じていま
す。それは姿かたちが美しいということではありませ
ん。計算高く、自分のことしか考えない教員や学生が
少ないという意味です。
建築はその建築に関わる多くの人々に「歓び」を与
える器でなければならないと私は考えています。この
美しいキャンパスに身を置いていた20年間は私にとっ
て至福の時間でした。
せんぐう館 全景
さて、私の千葉大学での20年について振り返ってみ
■ 新任教員自己紹介
ます。大学での設計教育とこの時期の設計活動は、切
伊藤 潤一 助教
っても切れない関係にありました。私にとって大学で
2013年6月付で建築学コース助
設計を教えることは、取りも直さずその時点で携わっ
教に着任致しました。工学院大学、
ている自分自身の設計内容を深く検証する機会になっ
東京藝術大学大学院で学んだ後、
ており、またそれを授業にフィードバックすることで
建築家シーザー・ペリの日本事務
授業の質を上げていくことができました。この20年間
所に入所しました。日本橋三井タ
で私が設計した多くの建築は、
「もし千葉大学で教えて
ワーの担当建築家として米国事務
いなかったなら実現していなかったかもしれない。
「
」あ
所に出向し、日米両国で実務経験
るいは実現しても多くの賞を戴くような成果があげら
を得ました。帰国後、独立して設計活動を行ってきま
れなかったかもしれない。
」つまりよく言われることで
した。2005年から東京大学大学院博士課程で、アジア
すが「教えることは学ぶこと」を実感した20年でした。
地域における近代建築のフィールドワークを通して都
建築設計教育の一番の「華」は卒業設計です。卒業
市史や遺産保存の為のデザイン手法などの研究を行っ
設計は4年間学んできたことの「集大成」であると同
てまいりました。また、子供のための建築都市教育プ
時に、卒業後に建築社会に巣立っていく時の「マニフ
ログラムの構築などのワークショップなども実践して
ェスト」とも言えます。それまでの学部の設計は、課
きました。専門である建築設計・デザインをベースに
題が与えられ、それに答える形での提案が求められて
しつつも、分野を横断的に漂いながら、社会に還元す
3
ることを強く意識した研究と実践を行うことを目指し
■ 教員・学生の活躍
最近は教員や学生の活発な活動が続いておりますの
ています。何卒よろしくお願い致します。
で、一部をご紹介します。
■ 卒業設計展での健闘
・
「Smart City:The next generation展」への選出
2012年度の卒業設計履修者が、学外の卒業設計展に
2013年6/7 ∼ 7/4にベルリンで開催されたSmart
自身の作品を応募し、優秀な成績を収めました。
City:The next generation展 に、岡部明子教授と研
・竹中祐人(中山研)
究室学生によるジャカルタプロジェクト Alternative
卒業設計日本一決定戦 ファイナリスト
Helicopter が選出されました。これは学生3人が、
全国合同卒業設計展 8選
ジャカルタのスラムに住んで、地元の職人さんや子
学生設計優秀作品展選出(5月)
どもたちと小さな建物を作るもので、インドネシア
・今井沙耶(中山研)
大学及び地球研との共同プロジェクトの一環です。
千葉県建築学生賞 優秀賞
・建築作品の受賞
[ JIA全国学生卒業設計コンクール 選出(6月)
]
6月に着任された伊藤潤一助教の設計された建築
・吉原 環(岡田研)
作品「コダチノイエ」が、日本建築士事務所協会連
千葉県建築学生賞 市民賞
合会2013年 日事連建築賞(奨励賞)を受賞されま
・吉崎龍平(岡田研)
した。
卒業設計日本一決定戦 100選
・小林尭礼(岡田研)
卒業設計日本一決定戦 100選
■ ソーラー・デカスロン活動報告
2012年9月に行われた「ソーラー・デカスロン・ヨ
ーロッパ2012 世界大学対抗ソーラー住宅大会」では
参加した20校中15位という成績ではありましたが、現
写真上:ジャカルタプロジェクト
Alternative Helicopter
地では好評を博しました。この経験を生かして2014年
に行われるソーラー・デカスロン フランス大会では、
写真右:
「コダチノイエ」
リアス式海岸の特徴的な地形から海辺に人口が密集
し、東日本大震災をはじめとした多くの自然災害と対
・書籍の出版
峙してきた東北地方を想定し、生まれ育った場所で再
2013年6月に頴原澄子准教授が 弦書房より『身近
び暮らしたいと思う人々のために、近代的な循環型コ
なところからはじめる建築保存』を上梓しました。
ミュニティを提案する「海と山に囲まれた自然環境と
建築保存の制度から、近現代の建築家の作品、団地、
共存する復興都市RenaiHouse(ルネ・ハウス)
」でチ
廃墟、鉄道などの保存と再生についてわかりやすく
ャレンジしていこうと考えています。引き続き応援頂
書かれていますので、お手に取ってみて下さい。
きますよう、よろしくお願い致します。
・大学院生がコンクリート工学年次論文奨励賞を受賞
(鈴木 弘樹)
博士前期課程2年の佐藤綾子さんが、コンクリー
ト工学年次大会2013において、
「制振補強による超
高層RC造建築物の地震時室内被害の低減効果」の論
文で年次論文奨励賞を受賞しました。
・修了生が関東支部研究発表会・若手優秀研究報告賞を受賞
2013年3月に大学院博士前期課程を修了した北野
雄貴君が、2012年度日本建築学会関東支部研究発表
会において、
「火災時における床スラブの膜作用効果」
の論文で若手優秀研究報告賞を受賞しました。
この他にも随時、情報を更新して参ります。建築学
科のHP(http://www.archi.ta.chiba-u.jp/)もご覧下さい。
(島田 侑子)
4
都市環境システム学科
討を行わなければなりませんが、新しい都市環境シス
■ 都市環境システム学科だより
テム学科のチャレンジとして、同窓生の皆様には来年
学科長(教授)村木 美貴
平成10年に発足した都市環境
にはご報告できるのではないかと思います。 システム学科は今年16年目を迎
今年度から大学院入試、および編入試験では、従来
えました。昨年度、3人の先生
からの英語試験に代わり、TOEICのスコアを用いるこ
が退官される一方で(北原教授、
とになりました。社会的にも英語が求められる現在、
丸山講師、山本助教)、新たに
在学生たちにも積極的にTOEICの受験機会を提供、受
和嶋准教授をお迎えし、現在、
験を求めていく一方、工学部では希望者に対して積極
26人の教員で教育・研究活動を
的に英語教育を進めています。当学科の学生たちがよ
行っています。
また私自身も4月から教授になる一方、
り一層英語を学んでくれることを期待しています。
学科長の役割を担っています。この1年学科の運営に
それ以外の学科のニュースをご報告いたしますと、
かかわることになり、都市環境という総合学科の色を
4月27日(土)に大学院説明会と編入学希望者のた
より鮮明にしていくためにも頑張って行きたいと思っ
めの学科説明会を開催しました。今年度から3年次編
ています。
入をして現在在籍している学生と社会人学生を説明者
ここで、同窓生の皆様に学科のトピックスをお知ら
に加え、実際の生活、授業の取り方などの質問を受験
せします。
生から受けています。多くの質問が在学中の学生に対
昨年から3年生の研究室配属のための研究室紹介期
してなされ、受験生には好評であったように見受けら
間を長くしています。配属決定時期は従来通りの12
れます。続いて行われた編入学試験の推薦選抜と学力
月となりますが、3年生が研究室を訪れる機会を増や
選抜では、昨年同様に多くの出願があり、多くの優秀
すことで、各研究室でどのような研究を行っているの
な学生に来ていただけることになりました。
昨年から、
か、どこの研究室に入るのかを考える期間を2か月間
学力選抜の枠を、一般枠概ね30名、社会人枠概ね15
設けています。対応する教員側は大変ですが、学生が
名の計45名という募集枠の変更をしています。今年
多くの研究室を訪れることができ、4年生の1年間と、
度も7月の第1回募集に引き続き11月に第2回募集を
大学院での研究活動を知る機会にもなっています。今
行う予定です。社会人の受験者数は例年同様に少ない
年も同様に10月1日に配属のための説明会が開催され
ため、学科の同窓生の皆様も、学部3年次編入に社会
ます。
人枠が設けられていることを、職場や地域で、ぜひ、
加えて、今年度はカリキュラムについての議論も行
広く知らせていただければ幸いです。都市環境システ
うことになっています。都市環境システムとは何か?、
ム学科では、引き続き、社会の変化に対応した新しい
都市を総合的に研究する、学際領域の学生をいかに育
学問を教育、
研究しています。社会人にとっても業務、
てるか、という観点から教員の間で議論をしながら新
今後のキャリアに役立つものと思いますので、どうぞ
たな教育プログラムを演習を中心に検討していきま
よろしくお願いいたします。
す。他の学科ではできない取り組みのため、多くの検
(むらき みき)
これまでの研究では、環境・資源・リサイクルに関
■ 新任の先生ご紹介
する問題に化学工学、資源工学、環境化学、材料化学
和嶋 隆昌 准教授
平成25年4月1日付で建築・都
など様々な分野の知識や手法を用いたアプローチを
市科学専攻都市環境システムコー
行ってきました。本コースには多様な専門分野があり
ス准教授に着任いたしました。平
様々な都市の抱える問題に多角的なアプローチが行わ
成16年3月に京都大学大学院人間・
れています。このような環境の中で、これまでにない
環境学研究科文化・地域・環境学
新たな幅広い知識、教養を身に付けて、これまでより
専攻を修了後、平成16年4月から
一歩二歩進んだ研究・教育を行っていきたいと考えて
佐賀大学海洋エネルギー研究セン
おります。
至らぬ点も多いとは思いますが、
何卒ご指導、
ターの非常勤研究員として3年、平成19年4月から秋田
ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
大学大学院工学資源学研究科環境応用化学専攻の助教
(わじま たかあき)
として6年在籍し、現職に就きました。
5
■ 定年退職の先生方
研究を担当してきました。工学系の都市計画が担うの
現場で考え、地域と連携する
は物的環境の計画・デザインですが、そこには常に人
北原 理雄
1990年に工学部に赴任し、建築
びとの生活があり、物的環境はそれと不可分なもので
学科に8年、都市環境システム学
す。そこで教育にあたっては、現場で考え、地域と連
科(コース)に15年お世話になり
携し、
「人間の場所」をつくる力を育てたいと考えまし
ました。この間、都市環境システ
た。学部では、市民・行政の協力を得ながら、まちづ
ム学科の創設に参加したことは、
くり提案を作成し、地元で発表する演習を行ってきま
ひときわ思い出深い経験でした。
した。それらのなかには千葉駅前大通り、千葉市穴川、
都市環境システム学科は、現代
市川市行徳など、地域と連携して10年以上にわたる継
の都市環境の課題に応える人材育成の目的で、Bコー
続的活動に展開した例もあります。
スを集約し、都市環境をハードとソフトの両面から捉
大学院では、メキシコ、ブラジル、中国、韓国など
える実践的・体系的な教育を目指して設立された学科
の大学と連携して、まちづくりを国際的視野のなかで
です。現在の学科は都市空間計画、都市基盤工学、都
実践的に捉え直すワークショップを行ってきました。
市環境工学、都市情報工学の4領域で構成されていま
グローバル人材の育成が強く求められていますが、グ
すが、当初は都市環境を総合的にカバーする態勢が整
ローバルに考えるためには原点になる根っこが必要で
わず、一歩ずつ試行錯誤しながら学科を組み立ててき
す。地域に根ざして考え行動し、
それを踏まえてグロー
ました。
それでも、
まだ十分とは言えないのが実情です。
バルに展開することが不可欠と考えています。
また、Bコースはもともと勤労学生を対象にしたコー
都市環境システム学科(コース)は、新しい課題に
スでしたが、社会的ニーズの変化に応じてAコースに
挑戦する実験的な教育・研究組織の性格を持っていま
一本化し、3年次編入の社会人コースを設ける改組を
す。今後も社会的ニーズに応じて柔軟に自己再編をつ
行いました。しかし、これも昨今の社会・経済情勢の
づけていきます。しかし、それは一学科の力だけでで
変化によって志願者が減少し、さらなる再編を迫られ
きることではありません。工学研究科・工学部、そし
ています。
て同窓会の皆さまの、これまでに増してのお力添えを
私は都市環境システム学科で都市計画分野の教育・
お願いします。
(きたはら としお)
素直に楽しむ
しずつ変化しつつも昔からずっと奈良のはずです。奈
良の良さを実感できる、そういう自分があることに
丸山 純
こんにちは!みなさん元気にし
帰ってから気づきました。
ていらっしゃいますか?私は定
都市環境システム学科に来る前、建築学科の「建築
年退職後も相変わらず千葉大学に
史野外演習」を毎年、引率指導して奈良にいたときに
通っています。グランドフェロー
は、とにかく建築。見るもの、伝えるものは建築。精
という身分で留学生のお世話をメ
神的なことを学生に考えさせていましたが、それも建
インに、留学生に限らず学生の相
築に帰結する問題として、でした。
談を受けたり、都市環境システム
今回の旅では、4人の旅の、他の3人が「文系」と
演習の総合講評会に出たりしています。グランドフェ
いうこともあって、寺に入るとまず、仏像に手を合わ
ローというと、耳ざわりがいいのですが、もちろんそ
せます。
それからじっくりと仏像のたたずまいや姿勢、
れを意識して命名したのでしょうけれど、交通費が実
各部分の構成、持ち物、光背や台座へと目を移し、静
費支給されるだけのボランティアです。でも、かえっ
かに丁寧に拝願します。
て仕事自体に対する責任を感じることがしばしばあり
建築という呪縛といっては言い過ぎですが、枠組み
ます。仕事って、お金ではないというあたりまえのこ
から開放されて奈良を素直に楽しむ。これはとても大
と、大学に来る前に文化財関係の施工会社の現場でき
切なこと。それによってかえって建築も都市も楽しく
つい仕事をしていたときから、それは心得ていたつも
なります。
りですが、やはり給料をもらわなくなってはっきりと
意図して行ったわけではありませんが、奈良旅行を
気づかされています。
契機に、いま自分に新しい世界が開けています。奈良
でも、せっかく退職したのだから、と今年の連休の
関係の方々とのご縁も広がりました。もっともっと勉
前のタイミングをねらって、お休みをいただいて、4
強しなくてはいけません。一から、いやゼロから出直
日間の奈良旅行をしてきました。やはり奈良はいい。
しです。 (まるやま あつし)
改めて奈良の良さを実感する旅でした。でも奈良は少
6
デ ザ イ ン 学 科
同士で英語で雑談する姿をしばしば見かけることもありま
1. 学科長から挨拶と今年度の傾向
平成25年度も半ばを過ぎ、学生達も一息ついて夏期
す。異なる文化に触れる機会が多くなったことは、在学
休業を迎えているようで、授業の合間に教室間を移動す
生に対しても大変よい刺激になっているのではないかと
る学生の姿は見られず、キャンパス内も静かな雰囲気と
思います。
なっています。一方で卒業、修了を迎える4年生、大学
学科に関連する近況としましては、千葉大学が秋入学
院生は、制作、研究に明け暮れており、普段と変わらず
を実施するにあたり、工学研究科では先進化学プログラ
夜遅くまで研究室の灯りが消えることはありません。まさ
ムから導入が検討されております。デザイン学科も早期
に夏期は、授業の無い期間であるため、教員、学生共々
から専門科目のカリキュラムの見直し、検討を行っており
寸暇を惜しんでそれぞれの研究活動に勤しむ時期である
ましたので、対応に向けて準備を進めているところです。
といえます。
また、本年度から、生産システム、情報コミュニケーショ
また近年、夏は大学の世界展開力強化事業 大陸間デ
ン、環境ヒューマノミクス各研究領域の中の情報コミュニ
ザイン教育プログラム(CODEプログラム)によって、海
ケーション教育研究領域に新たにコマーシャル研究室が
外へ留学をする学生達が旅立つ時期でもあります。これ
新設されたことによって、デザイン学科を構成する研究室
は、日本、米国、欧州の3つの異なるデザイン教育プロ
は12となり、研究室相互の連携を取りながらも、より専
グラムを有する大学が協働し、優秀な学生の学部3.5年
門性の高い教育、研究を行う体制が整備されましたこと
の早期卒業と1年間の留学、帰国後1.5年の修士課程の
をご報告申し上げます。
留学プログラムをサポートするもので、世界に通用する
先日、工学部恒例のオープンキャンパスが開催され、
グローバルなデザイナーとして、我が国の将来の産業を
デザイン学科においては一日5回開催される学科説明会
創成することが可能な人材を育成する目的で行われてお
に、毎回定員75名を上回る参加者があり、高校生や保
ります。毎年4名程度の学生が選出され、異なる文化の
護者の方々の熱心に説明を聞き入る姿から、工学部にお
もとで、切磋琢磨して業績を上げてきております。留学
いて歴史のあるデザイン学科への関心が高いことを強く
中も定期的にレポートが義務づけられており、留学中、
感じました。これもひとえに社会における諸先輩方のご
帰国後の彼らの様子を見ると、知識や経験のみならず、
活躍の賜であると感じ、これからもその名に恥じない学科
人間的にも大きく成長していることが感じられます。同時
として努力する所存でございますので、一層のご鞭撻と
にこのプログラムでは、海外からの留学生受け入れや、
ともに、従前通りご厚誼並びにご支援賜りますよう何卒宜
交流協定校とのワークショップも相互国間で開催されるた
しくお願い申し上げます。
め、デザイン学科の研究室やキャンパスで留学生を見か
(平成25年度デザイン学科長/デザイン科学専攻長 佐藤公信)
けることが以前と比較して多くなり、休憩時間には、学生
2. 新任の教員の挨拶
て迎えていただけたことを大変ありがたく思っております。
2013年4月1日 付 でデ ザイン
専門は、高齢者の園芸活動を支援するデザイン、お
学科に助教として着任いたしまし
よび空間グラフィックのデザインです。着任してからは、
た湯山博子と申します。千葉県
宮城県の東日本大震災被災地域にて、仮設住宅のコミュ
出 身で、2003年に千 葉 大 学 工
ニティ活性化を目指して、小型植物工場を用いたデザイ
学部デザイン工学科意匠系に入
ンの実践・研究を中心に行っております。
学し、その後9年間、デザインに
優秀なデザイナーの卵を育てるべく、実務で得た経験
ついて学びながら、実践・研究
を活かして学生の指導にあたりながら、実践と研究をバ
を行ってまいりました。博士後期
ランスよく行い、千葉大学だからこそ生み出すことので
課程卒業後は1年間、商業、展示空間のデザインを行っ
きるデザインとはなにかを追求し続け、社会に貢献して
ている株式会社乃村工藝社で働かせていただき、博物
まいりたいと思います。まだ経験も浅く勉強すべきこと
館の案内サインや企業ショールームの説明パネル等の
はたくさんありますが、精一杯努力してまいりますので、
デザインの実務経験を積むことができました。現在、ずっ
どうぞよろしくお願いいたします。
とお世話になってきた環境デザイン研究室に、教員とし
(環境デザイン研究室 助教 湯山博子)
3. 近年の特徴的取組
す。この取り組みは、2010年度より園芸学研究科と工学
昨年度の会報でもご紹介しました植物工場のデザイン
研究科デザイン科学専攻が、5カ年の期間に植物工場を
の取り組みを、今年度も継続的に発展させて進めていま
中心とする植物栽培の技術を人々の生活環境を豊かにす
7
ることに応用することを目指しています。本年度はその4
たちが、民間の賃貸住宅に住むのが民賃仮設住宅(民
年目となり、取り組みの幅と実現性も高めています。
間賃貸仮設住宅=みなし仮設)です。今年になってこの
取り組みの対象地は宮城県名取市と、千葉県柏の葉エ
ための集会所が整備され始めました。私たちは、
ここでも、
リアです。名取市は復興計画において現地再建か高台集
地域に点在している民賃仮設住宅に住む方々が、集会所
団移転かの市民合意が得られず、最も計画が遅れている
に集まり、主体的な気持ちになれるような取り組みを、
地域の一つです。私たちは、昨年度、名取市に7カ所あ
植物工場のデザインをテーマに実践を進めています。
る応急仮設住宅団地のうち、2カ所にご協力をいただき、
一方の、柏の葉エリアは、千葉大学環境健康フィール
集会所併設の共同菜園型植物工場「みらい畑」を設置し、
ド科学センターを中心に産官学が一体となってスマート
活用プログラムと、具現化のための環境デザインを進め
シティーを目指した街づくりが進められています。私たち
てきました。この設置の意図は、被災して支援を受ける
は、こうした新しい街づくりにおいても、市民が主体的に
という受け身の姿勢から、ほんの少しでも自分たちが口
自らの食材としての野菜を生活の中で栽培することに意
にする生野菜を生活者自身が楽しみながら育て、いっしょ
義があると考えて、家庭用植物工場のデザイン開発を進
に食べて、喜びを共有することで、生活に対する主体性
めています。市民の中でも、特に、子育て世代に焦点を
が増すことを目指しています。この地域の人々は、農的
当て、子どもにとっては知的好奇心を刺激する栽培キット、
な生活の意識が高いこともあって、漸進的にこの意図は
母親にとってはよりよい野菜を安心して子どもに提供する
実現化してきています。2カ所の「みらい畑」は仮設住
ためのキッチン植物工場を、利用者の意見を聞きながら
宅団地の利用者の特質にあわせ、継続的によりよい状況
デザインを検討しています。
を目指して様々な試みを積み重ねてきています。その試
そのほかにも、パナソニックとの共同デザイン開発や、
みは、新しい共同菜園のあり方として一般化することも視
コンラッドホテルのレストランにディスプレイとして設置す
野に入れています。私たちのデザイン活動は、名取市で
るなどの実績も増えてきています。
評価され、今年度はさらに2カ所の民賃仮設住宅のため
あと1年間で、この取り組みは終わりますが、引き続き
の集会所を対象に活動を始めました。被災者の中で、様々
この動きが持続する基盤を構築して参りたいと思います。
な事情により、応急仮設住宅団地に入居できなかった人
(環境デザイン研究室 准教授 原 寛道)
名取市での植物工場ワークショップの様子
コンラッドホテルに設置された植物工場のデザイン
4. 受賞報告
東京デザイナーズウィークの学生作品展に、毎年、デ
ザイン学科3年生有志が中心となって参加を続けてきて
います。工学同窓会からも活動支援をいただき、教員も
エネルギーを注いでよい作品づくりの指導をしております。
昨年度は、スポンサー賞であるCHINTAI特別賞を大学
として受賞しました。東京デザイナーズウィークは、展示
会の性質から、美大のアートの傾向が強いデザインが評
価されがちですが、デザインの本道としての千葉大学の
取り組みが評価され、存在感を示せたことは、これまで
継続的に参加してきたことが報われる思いでした。今後と
も引き続き参加をして参りますので、ご期待ください。
(環境デザイン研究室 准教授 原 寛道)
会場千葉大ブースの展示の様子
8
機
械
工
学
科
■ 機械工学科の輝かしい未来に向けて
今後は益々、当学科から世界を理想郷に導ける人材を輩出
震災後の厳しい環境の中、大学の
最後に、大変悲しいお知らせですが、元教授の河合栄一
役割、存在意義が強く問われ、存続
郎先生が平成25年9月4日
(水)
にご逝去されました。慎んで
が容易でない時代になって参りまし
御冥福をお祈り申し上げます。
できますよう、共に努力して参りましょう。
学科長 浅沼 博
た。幸い当学科は、前学科長から紹
介のあった幾つかの際立ったプロ
■ 教員/学生の受賞(2012.8 2013.9)
ジェクト等により、工学研究科・工
【教員】
・ 太 田 匡 則 助 教 が2012年9月7日、ISL(Institut franco-
学部をリードする立場になり、学内
allemand de recherches de Saint-Louis)メダルを受賞。
外で大変期待されております。現状
のような限られたマンパワーでそれらを維持できておりま
・ 並 木 明 夫 准 教 授 ら の グ ル ー プ が2012 IEEE/RSJ Int.
すのは、機械工学科というコミュニティー構成員の日頃の
Conf. on Intelligent Robots and SystemsにてBest Jubilee
Video Awardを受賞。
大変な御努力、忍耐力と信頼関係の賜物です。
・武居昌宏教授が11月17日、日本機械学会 流体工学部門
今年は学科長として工学同窓会に参加させて頂き、多く
貢献賞を受賞。
の活力ある同窓の皆様と交流でき、千葉大学工学部、機械
工学科の永年の蓄積、素晴らしさを改めて強く認識致しま
・窪山達也特任助教が2013年4月19日、日本機械学会 奨
した。この高いポテンシャルを、輝かしい未来の創造に有
励賞(研究)を受賞。
効に生かすため、日頃の活動をより強化できればと考え、
・並木明夫准教授が5月23日、日本機械学会 ロボティク
代表幹事の小山秀夫先生御指導の下、微力ながら実行して
ス・メカトロニクス部門 ROBOMEC表彰を受賞。
参りたく存じます。 つねに、より高きものをめざして 活
・小林謙一准教授が5月24日、日本高圧力技術協会 創立
躍する千葉大学をリードして参りましょう。
50周年記念特別功労賞を受賞。
また、我々への期待が高まる中、機械工学は、競争より
・田中博人特任助教が7月6日、Annual Meeting of the Society
共に発展する基盤として重責を果すことを示すため、以下
for Experimental Biology にて General Bio - mechanics Best
の提案もさせて頂いております。
Poster 3rd Prizeを受賞。
地球上のディザスターフロントとでもいうべき日本列島
・坪田健一准教授が7月14日、千葉大学先進科学賞を受賞。
で、私達は大災害に屈することなく、むしろそれをばねに
・浅沼 博教授が9月9日、日本機械学会 機械材料・材料加
「知」を集積し、
「人」を磨き、
特徴的な「物」作りを推進する、
工部門 部門賞(国際賞)を受賞。
そのための新たな総合工学「減災・サステナブル工学」
、
すなわち、従来の防災・減災工学に加え、通常も有用な機
【学生】
能を発現し、社会の持続的発展を可能とするワンランク上
・江田健君(M1:武居研)が2012年8月2日、20th Int.
の知的総合工学を創成します。それを基盤とし、強靭かつ
Conf. on Nuclear Engineeringにてベストプレゼンテー
ション賞を受賞。
優美な国家を再構築する、さらには、日本のローカルな減
・三田村尚哉君(M1:小山研)が8月8日、軽金属学会
災から、世界の国々に「減災産業立国」として、安全・安
関東支部第3回若手研究者ポスター発表会にて優秀ポス
心、減災を学問、技術、製品としてお届けします。これが、
ター賞を受賞。
我国の今後の使命であり活路でもあります。
・江田健君(M1:武居研)が8月11日、日本混相流学会
その実現のため、当学科・コース、工学研究科から立ち
にて学生優秀講演賞を受賞。
上げた「減災・サステナブル工学研究会」を中心に、日本
・廣瀬裕介君(B3)が12月8日、日本学生支援機構 平成
機械学会始め、世界の有力機関に協力を仰ぎつつ、皆様方
24年度優秀学生表彰にて大賞(学術分野)を受賞。
と大いに発展させましょう。
最近の学科の動きにつきまして御紹介申し上げます。
以下、
・後藤俊介君(D2:森吉研)、秋山陽祐君(M1:森吉研)
先ずは、加藤秀雄先生、樋口静一先生が御揃いで御停年
が2013年3月9日、それぞれ自動車技術会 関東支部学術
を御迎えになられましたことを御報告申し上げます。3月
研究講演会にてベストプレゼンテーション賞を受賞。
末の送別会には多くの卒業生が集い、先生方の学科への多
・杉山丈夫君(B4:小山研)が3月15日、日本機械学会
大なる御貢献と素晴らしい御人柄がとても良く反映された
学生員卒業研究発表講演会にてBest Presentation Award
心に残る会となりました。
を受賞。
また、研究等に関連しましては、既に多くの方々が御存
・松下真君(M2:森田研)が3月15日、精密工学会春季大
知の野波健蔵先生によるミニサーベイヤーコンソーシアム
会学術講演会にてベストプレゼンテーション賞を受賞。
の設立、森吉泰生教授による工学研究科附属次世代モビリ
・沼口良太君(M2:森田研)が4月16日、日本機械学会
ティパワーソース研究センターの設置を始め、共同研究講
関東支部第19期総会講演会にて若手優秀講演賞を受賞。
座開設、数多くの受賞等々ございました。
・後藤俊介君(D3:森吉研)が5月23日、自動車技術会
このような活況の中、機械工学科は受験生も多く、就職
秋季大会にて優秀講演発表賞を受賞。
も順調でして、同窓の皆様方に改めて感謝申し上げます。
9
■ 加藤秀雄先生・樋口静一先生ご退職
■ 昭和49年卒・クラス会開催
(システム・制御・生体工学)
教育研究領域 大川一也
クラス会幹事代表 西沢 拓
平成25年3月末をもちまして、第III部会から加藤秀
私ども昭和49年機械工学科卒業生は去る6月29日に
雄教授と樋口静一准教授が定年退職されました。これ
千葉大でクラス会を開きました。懇親会には30名もの
に先立ち、平成25年3月23日(土曜)に、千葉大学け
参加があり大盛会でした。卒業後2回目に実施した会
やき会館1階のコルザにて送別会が開催されました。
でしたので、中には40年ぶりに会うメンバーもおり、
この送別会には、機械工学科の教職員の他、加藤先生
懐かしい限りです。我々殆どが62歳、
63歳ですからちょ
や樋口先生のご指導を受けて卒業・修了された研究室
うど半数が仕事を辞め、悠々自適。半数がもう少し社
のOB/OGが遠方から駆けつけて下さり、総勢74名が参
会に貢献しようか…というような状況です。在学中、
加されました。
毎日のように世話になった北京亭で懐かしの肉そばを
送別会では、機械工学科・学科長である胡先生から
食べ、三々五々機械工学科の教室に集合しました。
お言葉をいただいた後、立食パーティー形式でしばら
大学事務局のご好意で大学院 人工システム科学専攻
くご歓談いただきました。加藤先生と樋口先生の周り
の森田昇教授から千葉大の現況を丁寧にご講義頂きま
には常に多くのOB/OGが集まり、現状報告や当時を懐
した。一方で法人化され厳しい生き残り競争に晒され
かしむ話で盛り上がったり、記念写真を撮ったりして
る中、
「理数大好き学生選抜」や日本で最初に「飛び入
いました。
学」を取り入れた柔軟性、そして世界に伍し最先端技
送別会の後半には、加藤先生や樋口先生のご指導を
術を研究し評価されている先進性に卒業生として誇ら
受けて卒業したOBによるお言葉をいただき、研究室で
しく、嬉しく感じました。
学んだことが社会人になった今でも役立っていること
続いて比田井准教授、松坂助教の方々と共に森田教
など、両先生への感謝の言葉が述べられました。
授にキャンパス内を案内頂きました。私どもが通って
送別会の最後に、加藤先生と樋口先生からそれぞれ
いたころの殺風景な西千葉団地は大きく変わり、木々
お言葉をいただきました。大学教員になられた経緯、
が鬱蒼と茂る緑の学び舎といった趣です。確かに40年
怪我をされた時のこと、
「老兵は死なず、ただ消え去る
たてば、苗木も大木になる訳で、まさに隔世の感有り
のみ」という言葉の本当の意味などについて話され、
です。またグッドデザイン賞を受賞したアカデミック
いずれも興味深い話で参加者は熱心に耳を傾けていま
リンクという図書館は昨年竣工したばかり。中まで見
した。その後、けやき会館の前で記念撮影をし、加藤
せて頂きましたが土曜日というのに沢山の学生が読書
先生・樋口先生の送別会を終了しました。
や調べものに訪れており、彼らの学ぶ姿に頼もしさを
千葉大学での教員生活、お疲れ様でした。そして、
感じたのは私だけではなかったと思います。最後にま
長きにわたるご指導、ありがとうございました。
わった機械実習工場ではボール盤や旋盤が昔の儘に置
かれていて、切削油の匂いとともに懐かしさもひとし
おでした。
懇親会は西千葉南口の居酒屋で行いました。思い思
いの仲間とテーブルを囲み、思い出に、近況に花を咲
かせました。仲間と話すうちにいつか気持ちは時を越
え、
完全に40年前に戻っていました。キャンパスツアー
でけやき会館の中のコルザという素敵なレストランを
紹介頂きました。コストパフォーマンスも良さそうな
ので、次回はここでやろうかと皆で話しております。
樋口先生(左)と 加藤先生(右)
工学部 管理棟前にて
10
メディカルシステム工学科
■ メディカルシステム工学科の現況
■ 新任教官自己紹介
した。今年3月にはメディカルシステム工学科1期生
2013年3月 に メ デ ィ カ ル シ ス
の木内尚子さんが学部4年間と博士課程5年間の修学
テムコースの博士後期課程を修了
期間を全うし、学位論文を提出して博士(工学)の学
し、6月より同コースの助教に着
位を取得しました。学科・コースとして完成した今、
任致しました大西峻です。X線透
もはや新参学科ではなく、他の学科と同じように、あ
視像やCT、MRIなどの医用画像を
るいはそれ以上に、しっかりした運営と実績が求めら
統合利用した、診断・治療支援技
れており、教職員は一丸となってこれに応えて参りま
術の研究開発を行っております。
す。
特に画像レジストレーションを専門とし、膝関節の3
ご存知のとおり、本学科とフロンティアメディカル
次元動態を測定・評価するための手法の開発を行って
工学研究開発センターはこれまで緊密な協力関係を
きました。現在ではこの技術を基盤に、血管内治療や
もって教育と研究にあたってきましたが、今年の10
放射線治療などへ研究領域を広げているところです。
月には完全な一体運営がスタートすることになりまし
在学中に共同研究を行ってきた経緯から、現在でも千
た。具体的にはメディカルシステムの専任教員が全員
葉大学医学部附属病院放射線部と密に連携を図り、研
フロンティアの専任となると同時に、大所帯となった
究を進めています。本コースの修了生として、その経
フロンティアの教員が全員で本学科・コースの教育・
験を後輩達に還元していけるよう、教育や研究に精励
研究も担当することになります。学生からみたメディ
する所存でございます。皆様には、今後ともご指導ご
カルシステム工学科やコース自体には変更はありませ
鞭撻を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
メディカルシステム工学科は発足以来9年が経ちま
大西 俊 助教
ん。むしろ、より一層、教育・研究が手厚くなること
を期待してください。なお、10月からフロンティア
は
「フロンティア医工学センター」
に名称変更されます。
■ 学生の受賞
学生さんの活躍をいくつか報告します。
設備の充実も進んでいます。これまでにもCT装置
など大型装置が導入されてきましたが、今年はさらに
1. Baoping Yuanさん(博士3年)、関根雅さん(博
MRI装置が入る予定です。また、五十嵐先生が中心
士1年)が The second international conference of
となって進める研究プロジェクトWaFLES(略称:水
rehabilitation Medical EngineeringにおいてFinalist
中手術)
にも文部科学省から5年間の大型予算がつき、
for best student paper awardを受賞しました。
プロジェクトに必要な各種設備の他、研究員や補助員
2. 杉野貴明さん(修士1年)が第21回日本コンピュー
など人的にも充実しつつあります。メディカルシステ
タ外科学会大会での発表で講演論文賞を受賞しま
ムの教育・研究にも様々な波及効果が期待されます。
した。(2013/3/29)
就職については堅実な状況が続いています。学部、
3. 佐藤諒介さん(修士1年)
、寺沼政幸さん(修士1
大学院とも内定率は100%です。しかしながら本学科・
年)
、Rodiyan Gibran Sentanuさん(修士1年)が、
コースに対する企業の認知度が未だ不十分と感じてい
NIKKEIの理工教育支援プロジェクト テクノルネサ
ます。大学から企業に対する広報などもしっかりと
ンス・ジャパン2012『企業に研究開発してほしい
やっていきますが、同時に卒業生が各界で活躍され、
未来の夢』コンテストで最優秀賞を受賞しました。
(2012/12/26)
それにともなって認知度も上がっていくことも期待し
4. 板 倉 洋 さ ん( 修 士2年 ) が、2012 International
ています。ぜひ、同窓生、教職員が一丸となって、メ
ディカルシステムの存在感を高めていきたいと思いま
Symposium on Antennas and Propagation において、
す。博士前期・後期課程への進学に関しては、例年、
"Best Paper Award"を受賞しました。(2012/11/1)
このほかにもたくさんの受賞があります。
非常に倍率が高く2倍以上になっています。このため
(大沼一彦 記)
コースとしては、定員の増加を各方面にお願いしてい
るところです。
(学科長 羽石秀昭)
11
■ グアニン結晶の磁気応答の解明に成功
■ 増田信之先生からのご挨拶
魚類のウロコのキラキラ
を退職し、現在、新潟県長岡市
光反射の原因である
にあります長岡技術科学大学の
平 成25年1月31日 に 千 葉 大 学
「GPGPU実 践 教 育 に よ る ハ ー ド
グアニン結晶の磁気応答の解明に成功!
ウェア指向型IT人材育成」プロ
−磁場で遠隔制御できる極微小な鏡の開発に期待−
ジェクト担当の特任准教授とし
魚の体表がキラキラしているのは日常的に見かける光
て、勤務しております。千葉大学
景ですが、実はこのキラキラの原因となる物質はグアニ
工学部メディカルシステム工学科には、開設の平成16
ン・マイクロミラーと呼ばれる非常に微細な鏡でできて
年4月から助手として着任し、その後、助教となり約9
います。グアニンはDNAを構成する核酸塩基のひとつで
年間勤務をしました。新学科の立ち上げという大変な
すが、このグアニン結晶のキラキラ光反射が永久磁石
仕事を体験することができ、非常に有用な経験を得る
程度の磁場で自在に操れることを、大学院博士前期2
ことができました。どうもありがとうございました。
年の水川友里さんと岩坂准教授が発見しました。水川さ
特に学科の一期生の学生の皆さんには、共に新しい学
んはこの発見で電気学会 平成24年優秀論文発表賞(基
科を作り上げていく過程のなかで、私の力不足からい
礎・材料・共通部門表彰)を受賞しました。
ろいろと協力をしてもらったことに感謝いたします。
魚類のウロコ(皮膚)の細胞が生成するグアニン結
最後になりますが、メディカルシステム工学科は今
晶を遠隔操作するため、磁場下でグアニン結晶板の光
年度で学科開設から10年目になると思いますが、これ
反射を観察する新規手法を編み出し、魚類グアニン結
からのますますのご発展を祈念します。
晶の構造と光学特性をナノスケールで捉えるのみにとど
まらず、グアニン結晶がマイクロミラーとして磁気に応答
■ 医療現場体験:コミュニケーション実習
メディカルシステム工学科1年生を対象とした集中
し光反射方向を変えることを明らかにしました。この研
究は、ナノスケールからミリメートルスケールでの魚類
講義「医療現場体験」として2013年7月20日に附属病
グアニン結晶のふるまいを解析したもので、非常に薄く
院クリニカル・スキルズ・センターにてコミュニケー
屈折率の異方性の高いグアニン結晶は、反磁性である
ション実習を実施しました。本実習では医学部医学教
のにもかかわらず永久磁石程度の磁場で回転制御可能
育研究室の朝比奈 真由美先生を講師に、前半はコミュ
となりました。
ニケーションの基礎から医工学研究者として求められ
深海魚の場合、眼球の裏にこのグアニン結晶が敷き
る現場知識まで詳しく解説していただきました。後半
詰められていて、暗い深海で発せられたわずかな蛍光
はクリニカル・スキルズ・センター所属の模擬患者6
を集めることが知られています。今後、グアニン結晶
名の協力によりコミュニケーション実習が行われまし
配列の精密な磁気制御法を実現することで、臨床での
た。学生が白衣を着て病院内を行動している際、患者
DNA検査の高速化に貢献することができそうです。
とどのように接するべきか、ということについて実践
形式で学びました。朝比奈先生の講義ならびに模擬患
(岩坂正和 記)
者との会話を通じて、学生各人は患者と接することの
重要性だけでなく医工学を学ぶ意義を改めて認識する
ことができました。集中講義「医療現場体験」では今
後9月に附属病院見学、解剖実習、医療機器メーカー
見学を予定しています。 (一年次担当 中口俊哉)
12
電気電子工学科
■ 電気電子工学科便り
■ 森田健先生の着任のご挨拶
工学部改組に伴って新しい電気
平成25年4月1日付で大学院工
電子工学科が発足して今年で6年
学研究科人工システム科学専攻電
目を迎え、学部4年に加えて大学
気電子系コース光エレクトロニク
院博士前期(修士)課程2年まで、
ス教育研究分野に着任いたしま
新しい学科の学生が占めるまでに
した。平成14年に慶応義塾大学
なりました。まだ旧電子機械工学
大学院を修了(博士(工学)
)し
科出身の学生も若干残っておりますが、卒論や修論の
た後、東北大学電気通信研究所で科学技術振興機構
研究で研究室に配属される学生は、ほぼ新学科出身者
(JST-ERATO)研究員として、また平成18年からは徳
となったところです。
島大学大学院フロンティア研究センターで寄附講座教
さて、
本年度も本学科の教職員に異動がありました。
員として勤めていました。
まず、平成25年3月末日付でシステム数理教育研究分
専門は半導体ナノ構造中の光物性で、特に半導体中
野の鈴木哲夫技官が定年退職されました。鈴木先生は
の電子スピンの超高速ダイナミクスや半導体中で起こ
同年4月1日より、非常勤職員として引き続き本学科
る非線形光学現象に関する基礎的な研究を中心に行っ
の運営に携わっております。また、新しい教職員とし
てきました。本学に着任してからは、半導体中の「電
て、同年4月1日付で、光エレクトロニクス研究室の
子スピン」と外部からの「テラヘルツ光」の相互作用
准教授として徳島大学より森田健先生が、同年6月1
に着目し、新しい原理で動作する光デバイスの研究開
先生
発に取り組みたいと考えています。本学の理念である
が着任されました。今後、お二人の本学科における益々
「つねに、より高きものをめざして」を大切にし、研
のご活躍を期待しております。本稿では、新任の森田
究教育に関わります。ご指導ご鞭撻のほどどうぞよろ
先生と馬先生に自己紹介をお願いしております。
しくお願い申し上げます。
日付で、同研究室の助教として三重大学より馬
最近も、本学科の教職員、学生が、様々な賞を受賞
しております。平成25年4月に下馬場朋禄准教授が平
■馬
成25年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「若手科
平成25年6月1日付で、三重大
学者賞」および「第12回船井学術賞」を、角江 崇助
学大学院学術研究員を経て、大学
教が「第12回船井研究奨励賞」を受賞しました。同
院工学研究科人工システム科学専
年3月には博士前期1年の遠藤優さん、松戸悠亮さん、
攻電気電子系コース光エレクトロ
高橋慶さんが「第16回LSIデザインコンテスト」で優
ニクス教育研究分野に着任いたし
勝し、
「SIS賞」を受賞しました。その他にも、多くの
ました。
学生が様々な賞を受賞しております。
研究分野はワイドギャップ半導体を初めとする半導
本学科の教育研究環境も、大きく変化しつつありま
体の光物性および結晶成長です。なかでも窒化物半導
す。本学科の多くの研究室が入居していた工学部12
体とその混晶のバンドギャップは深紫外から赤外まで
号棟(旧E棟)と階段教室(19号棟)を取り壊し、平
の波長域をカバーしており、
パワーエレクトロニクス、
成26年秋までに9階建の新棟を建設して、学科事務室
紫外光源、
太陽電池などへの応用が期待されています。
と会議室、学生実験室、すべての研究室、すなわち本
現在、光・電子デバイスの効率向上を目指し、発光や
学科全体が、新棟の4階から9階に移動する計画になっ
電荷輸送の根源的物理現象の解明から新たなデバイス
ております。すでに12号棟の東側部分と19号棟は7
の提案に取り込んでいます。教員として第一歩を踏み
月頃までに取り壊され、空き地に新棟の建設が始まっ
出したところでありますが、教育・研究はもとより、
ております。計画通りに工事が進めば、来年度の本会
国際交流や女性支援にも尽力する所存でございます。
報が皆様のお手元に届く頃には、本学科はすべて新棟
今後とも温かいご支援、ご指導ご鞭撻のほど、どうぞ
に移動しているはずです。新棟が完成しましたら、一
よろしくお願いたします。
度、お立ち寄りください。 (小圷成一)
13
先生の着任のご挨拶
■ 吉川明彦名誉教授のご退職祝賀会
かい有機ELディスプレイ、特に有機材料の持つ特徴
昨年度、平成24年3月31日に定年退職した吉川明
を生かした液晶や電子ペーパーについて、やさしく解
彦名誉教授のご退職祝賀会が、同年7月24日にホテル
説いただきました。また、実用化に向けた最新の研究
ニューオータニ幕張 翔の間にて開催されました。吉川
動向の紹介や、簡単な実演も行いました。つぎに伊藤
研究室出身の卒業生を中心に約120人の参加者を集め
智義教授より、
「ホログラフィ技術による3次元テレ
て、盛会のうちに終了いたしました。吉川先生は現在
ビ」の演題で、目に負担をかけることなく、自然な立
も「千葉大学スマートグリーンイノベーション研究拠
体映像を実現でき、将来の3次元テレビの本命として
点」の特任教授として引き続きご活躍されております。
研究が進められているホログラフィ技術について、そ
の概要と研究の最前線を、やさしく解説いただきまし
た。さらに、研究室見学を実施いたしました。
本会報が皆様のお手元に届く頃には、本年度の公開
講座はすでに終了しておりますが、工学部では、今後
も公開講座を11月初旬の大学祭の時期に合わせて実
施することになっております。ご興味のある方は、工
学部のホームページで詳細をご確認のうえ、是非とも
ご参加いただければと存じます。
■ 高専教員OB会
本学の卒業生で高専教員になった方々のOB会が、
吉川先生のご退職祝賀会
平成25年8月29日に松韻会館で開催されました。電
■ 活躍している卒業生による講演会
気の卒業生を中心に、機械、建築も含めて13名が出
電気電子工学の学問領域に対する学生の興味や勉学
席し、最年長の元岐阜高専の越川純男先生(S24電気
の意識を高めるために、本学の卒業生で現在、実社会
卒)の乾杯の音頭で始まり、本学での思い出話や高専
で活躍している若手の卒業生を学科に招き、平成25
の話題で大いに盛り上がり、大変楽しい会合となりま
年4月5日に講演会を実施いたしました。講演は、赤
した。幹事の木更津高専の上原正啓先生(S56電気卒、
坂大介氏(マスワークス合同会社、H16電機卒)
、市
S58院電気了)には、大変お世話になりました。ここ
橋保之氏(情報通信研究機構、H17電機卒)のお二人
に感謝申し上げます。
に依頼し、現在の実社会での活動状況、社会人の目か
本学科の卒業生の皆様も、個々にOB会を開催して
ら見た学生時代の勉学に対する心構え、あるべき姿勢
いることと思いますが、本会報のOB便りに話題をお
など、ご講演いただきました。学部2年生を中心に、
寄せいただければと存じます。
他の学年の学生も含めて多数が参加し、熱心に聴講し
ておりました。本学科では、今後もこのような講演会
を、定期的に開催していく予定です。なお、本講演会
開催のために、工学同窓会第4部会からご援助いただ
いたことを申し添え、ここに深く感謝いたします。
■ 工学部公開講座の実施
例年、工学部では11月初旬の大学祭の時期に合わ
せて、一般向けの公開講座を、学科の持ち回りで実施
しております。本年度は本学科の担当で、平成25年
11月3日に実施いたしました。まず、工藤一浩教授よ
高専教員OB会
り、
「柔らかいエレクトロニクス:有機EL・太陽電池」
の演題で、最近注目されている紙のように薄くて柔ら
14
ナノサイエンス学科
まいりました。
■ ナノサイエンス学科の紹介
学科長 石井久夫
専門はナノ物性の電子構造です。物性がナノメートル
一年また一年と年がたち、ナノサイエンス学科も6年目を
まで小さくなると電子の状態が変化し、新たに電子的や
迎え、この3月には、2期生が無事に卒業しました。卒業し
光学的な性質をもち、将来のエレクトロニックスのディ
た34名のうち、22名がナノサイエンス学科の教員が所属し
バイスに使える可能性があります。物性の電子構造を理
ている融合科学研究科ナノサイエンス専攻ナノ物性コースに
解するため、理論のモデルを作ってコンピューター計算
進学しました。また、3名が東大などの他大学の院に進学し、
をします。特にエックス線と光電子スペクトルに興味が
7名が民間企業へ、1名が地方自治体に就職しました。4月
あり、スペクトルの計算方法を作って多体効果の説明が
には、一般入試で36名、マレーシア政府派遣留学生1名が
できました。
6期生として入学しました。4月1、2日には恒例の新入生合
最近の科学研究はグローバル化してきているので、私
宿として、教員4名、上級生6名が新人36名をつれて、つく
の国際的な経験を学生に伝え、学生の役に立てればと思っ
ば市の高エネルギー加速器研究機構と物質・材料研究機構
ています。どうぞよろしくお願いいたします。
の見学に行ってきました。今年の新入生も元気いっぱいの
学生が多く、これからが楽しみです。
■ 新任教員の自己紹介
今年は教員の方も新しい先生方を迎えることが出来まし
中山泰生 助教
た。Ferdi Aryasetiawan先生の後任として、3月16日付けで
本年4月より助教として着任いた
Peter Krüger先生がナノ基礎物性理論分野の教授として着任
しました中山泰生と申します。昨年
され、4月1日付けで中山泰生先生がナノ分子物性工学分野
度まで6年にわたって本学の先進科
の助教として着任されました。その他、融合科学研究科情
学センターに所属しておりましたの
報科学専攻画像マテリアルコースの尾松孝茂教授が、画像
で、「新任」という初々しい実感に
科学科からナノサイエンス学科へ兼担学科を移り、ナノサイ
は我ながら欠けているきらいがあり
エンス学科の教育・研究活動をお手伝い頂けることになりま
ますが、学生時代からこれまで理学
した。これらの新しい先生方と共に、教員一同、教育・研
寄りの環境で過ごしてきた私にとりましては、「工学」そ
究に励んで参りますので、ご支援のほどよろしくお願いいた
のものがいわば未知の領域で、そういう意味では文字通
します。
り新人です。以後、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願
い致します。
特に興味を持って研究しておりますのは、
「有機半導体」
と呼ばれる分子材料の電子構造です。いわゆる「有機エ
レクトロニクス」に用いられているこれらの材料群は、
有機分子ですから分子軌道が電子構造の基本になります
が、一方で電子バンドをもつ文字通りの「半導体」物質
もあり、工学的にも理学的にも興味深い研究対象です。
私は、分子結晶の示す価電子バンド構造の実測を通して
有機半導体内部の電荷移動のメカニズムとその「限界」
を探る研究、および、「量子井戸」と有機分子軌道との相
新入生合宿のスナップ(高エネルギー加速器研究機構の放射光実験施
設Photon Factoryの雨宮教授から実験装置の説明を受けている様子)
互作用の探索を通して「ナノ」と「有機」との融合を目
指す研究を進めています。
■ 新任教員の自己紹介
P. Krüger 教授
2013年3月付でナノサイエンス
■ 落合勇一教授の最終講義
学科に着任いたしました。1994年
青木伸之
ドイツのカールスルーエ大学とフ
ナノサイエンス学科の開設からご尽力いただいた落合
ランスのグルノーブル大学でMSc、
勇一教授が平成24年度で定年退職されるにあたりまして、
1998年フランスのストラスブール
平成24年3月2日に、本学にての最終講義をしていただ
大学でPh.D.を取得いたしました。そ
きました。会場となりました自然科学系総合研究棟2号
の後、東京大学物性研究所に1年間、
館のマルチメディア講義室には、学内の関連の教職員お
ヨーロッパのシンクロトロン放射光施設(ESRF)に4年間、
よび学生たちなど多くの皆様にご参集いただき、ユーモ
2003年以降はフランスのディジョン大学准教授と勤めて
アを交えた講義をしていただきました。筑波大学時代の
15
研究のお話から、千葉大学に赴任されてからの先進科学
育の抜本的改革の切り札としての「飛び入学」の立案・導
プログラム(飛び級制度)の立ち上げやベンチャービジ
入に多くの時間を費やした。大学院改革に関連して、H
ネスラボラトリーの運営および融合科学研究科の立ち上
13年に「トップダウン」で、多様性科学専攻に移動した。
げ等、ご苦労なさった経験をお話しいただきました。研
多くの改組に関与し、教員の自分のためのこじつけ議論
究面においては、筑波時代のイオン打ち込みと電子スピ
に辟易したが、何が本学の病魔であるかよく分かった。
ン共鳴のお話から、半導体量子細線や量子ドットにおけ
非常に多忙であったが研究も随分行った実感がある。
る量子輸送現象に関する長年の研究についてお話しいた
特に「皆が敬遠する」研究を行い、多くの装置類を自作し
だきました。また落合先生はフラーレンやカーボンナノ
て膨大な経験を積むことができた。
チューブ、グラフェンといったナノカーボン材料に関し
大学の威信をかけた21COEへの第1回申請(H14-18年
てもその発見当初から研究に力を入れてこられ、それら
度)が全滅した後、第2回21COE(H15-19年度:物理学分野)
の電気伝導特性評価に関してもお話しいただきました。
の申請担当を依頼された。先進科学センターの建て直し
その夕刻に行われた懇親会では、苦楽を共にされてこら
も依頼されており、両方を行うことは困難と思ったが、
「大
れたナノサイエンス学科および物理系の先生方にお集ま
学のため」の一言で説得されてしまった。「ヒアリングに
りいただき、落合先生を囲んで和やかな雰囲気のもと、
だけは残ってほしい」と言われていた。誰もが採択され
思い出話に花を咲かせていらっしゃいました。
るとは思っていなかったのである。有機半導体の電子論
に関連する独自の研究を柱にして幸運にも採択され、夢
の様であった。
後継のグローバルCOE(G-COE:H20-24年度)の申請は、
21COE報告書とG-COE申請書の作成時期が重なること、
先進科学センターの予算を確保せよとの学長指令のため
超多忙であり、加えてCOE運営の難しさを考え、G-COEへ
の申請担当を辞退したが宮崎理事に説得された。G-COE
申請時期に2度「三途の川」の岸辺まで行ったが渡らずに
すんだ。幸にも特に優秀な計画として採択された。下の
写真は採択直後のもので、微笑んでいる数少ない写真の1
落合先生の最終講義の一コマ(花束贈呈)。
枚である。翌春、徳久理事のお世話になって心臓の治療
を受け家内のほっとした顔を見た。
■ 定年退職
上野信雄
S52年9月に印刷・写真工学科が合併した画像工学科に
公募第1号の助手として着任した。3号棟の3階で新しい
生活を始め、まず驚いたのは印刷・写真の両学科の区別
が完全に残っていたことである。印刷のリソグラフィに
関連する高分子の研究を行う必要があった。印刷関連の
講義の聴講、印刷の実習など、2年間は印刷の勉強に集中
しながら高分子の光・放射線反応、プラズマエッチング
の実験を始めた。この経験が後年、研究の幅を広げる糧
になった。この画像工学科は間もなく画像応用工学科(印
平成20年夏G-COE採択直後。珍しくも微笑んでいる希な写真。
刷)と画像工学科(写真)に分裂した。この時代にフン
定年まで7.5 ヶ月であるが猛暑しかもエアコンの故障の
ボルト財団の選抜に合格しDESY-HASYLABに行く機会を
中でG-COEの報告書をまとめている。期せずして2kgの減
得、多くの欧米の友人を得た。
量になっている。
暫くして物性をめざす機能材料工学科の新設が計画さ
この間、特に故丸山学長、磯野学長、古在学長、齋藤学長、
れた。西千葉で石を投げると化学者に当たると言われる
宮崎理事、山本理事、徳久理事、野波理事、大川工学部長、
ほど物性物理の教員が少なく様々な準備に埋没した。H元
大日方・島倉自然科学研究科長、故齋藤制海教授、原田
年、新設の機能材料工学科に所属した。大学改革が進行
義也教授、大高一雄教授、金子克己教授、吉川明彦教授
するにつれてH6年教養部の廃止、H10年大学科制の物質
には通常では得られない教えを受けた。原田教授から教
工学科への改組、H16年再改組による電子機械工学科へ
授とはどうあるべきかを学んだ。吉川教授、金子教授の
の所属、そして21世紀Center-of-Excellence(21COE)計
両先輩とは若い時代に後年の糧となる有意義な議論がで
画とも関連してH20年ナノサイエンス学科の新設を経験
きたように思う。沢山の秘書の方々、先進科学センター、
した。学科名は適切とは思わなかったがこの名前が採用
学科、研究室の皆さんにもお世話になったが紙面の都合、
された。一方、H6年以降、大学院改革に不可欠な学部教
氏名を省略する無礼を御容赦いただきたい。
16
共生応用化学科
■ 共生応用化学科だより
摯に対応し、
異論には必死になって反論していました。
合成化学科、工業化学科、応用化学科、機能材料工
一方、BanquetやExcursionでの一般会話になったと
学科、物質工学科、共生応用化学科の卒業生の皆様、
たんに急変です。「日本はこれから原子力発電所をど
日頃より第V部会および同窓会をご支援いただき、誠
うするのか、君の考えは何か」
「福島の除染はどうす
にありがとうございます。
るのか」といった問いが必ずあるわけです。日本はど
本学科では15%程度が学士で卒業、85%が修士課程
う対応し、どこに進もうとしているのか、科学の学生
を修了して巣立っていきます。どのような経済状況に
であればエネルギー問題に関して当然何らかの意見が
おいても、ほぼ全員が希望の企業・公共機関等に就職
あるだろうと期待したのでしょう。学生たちは、大震
できるのは、卒業生の皆様の実績および多大なご支援
災後のエネルギー問題に関して漠然とは考えているも
によるものであり、感謝申し上げます。大学の存在意
のも、
正確な現状認識や自身の考えがなく、
大変戸惑っ
義の一つに優れた人材の育成がありますが、卒業生の
たようです(英語の問題ではない)
。
皆様の活躍があって初めて評価されるわけです。企業
科学的な研究討論ばかりでなく商談でも、最終的な
の活動の場がますます全世界に広がっているという現
判断基準は相手が信頼できる人間かどうかというとこ
状において、グローバルな人材の育成が強調されてい
ろにあるのではないでしょうか。
事実を正確に認識し、
ます。単に英語ができればよいという問題ではなく、
自分の考えをもつ人間は、信頼を高めます。バックグ
グローバルな人材とは何かから始まり、東大の4学期
ラウンドが異なる人間同士が交流した際に、信頼関係
制の導入など各大学で様々な取り組みが始まっていま
を構築できる能力を育むことがグローバルな人材育成
す。
だと思います。多くの情報が簡単に入手でき、いろい
話は変わりますが、多くの学生が海外での国際会議
ろな考え方に接することができる情報化社会では、
で発表し、発表に関する賞を受賞することも珍しくあ
偏った情報のみを信じ、自分で考えることを放棄しや
りません。昨年、私の研究室においても二つの国際会
すい環境にあります。研究室では、学生と研究のこと
議(イギリスとスウェーデン)に4人の修士課程の学
を話し合うことが中心ですが、いろいろな社会問題や
生を帯同させ、ポスター発表をしてもらいました。英
歴史問題などに関して話題をふりながら、学生が様々
語がおぼつかないのは仕方がありませんが、研究内容
なことを主体的に考えるきっかけをつくれるよう心が
をなんとか理解してもらおうと一生懸命練習し、ポス
けています。
ター作成のセンスも見事なものです。また質問にも真
(学科長 藤浪眞紀)
質が似ている)の研究を行いました。その後、東京大
■ 新任教員自己紹介
学でも研究補佐員としてプリオンの研究を行った後に
河合(野間)繁子(かわい(のま)しげこ) 助教
(バイオマテリアル研究室)
同大学で博士を取得し、ポスドクを経た後、昨年秋か
小学校教員を目指すべく東京学
ら千葉大工学部に着任いたしました。学部の研究から
芸大学に入学しましたが、研究室
一貫して、生命現象を『観る』ことによって理解する
配属で細胞生物学の研究室に入っ
ことをモットーとしています。
「百聞は一見にしかず」
たことがきっかけで今の研究の道
といいますが、ミクロの生命現象も同じで、観ること
に進みました。学部、修士では、
ができれば解明につながります。独自に作成した顕微
パンやビールの製造には欠かせな
鏡でミクロの世界を覗いたレーウェンフックの時代か
い出芽酵母のカルシウムを取り込
ら300年、時代の進歩によって顕微鏡技術はめまぐる
むチャネルタンパク質の研究を行いました。修了後、
しく発展していますが、それを活用して新しい生命現
東工大に研究補佐員として就職し、出芽酵母における
象を解明していくのが今後の目標です。
プリオンタンパク質(狂牛病の原因物質プリオンと性
17
■ 新入生オリエンテーション合宿の紹介
の書き方を学びます。午後は、砂浜に出て、4グルー
共生応用化学科では、2008年度から、入学式の前
プに分かれて玉入れと綱引きで競います。今年はあい
に、新入生ほぼ全員、先輩学生5∼8名、そして教職
にくの雨で、民宿の講堂で玉入れをしました。夕方、
員4名で1泊2日の合宿に出かけています。貸切バス2
大学へ帰る頃になって天候が回復し、海浜から東京湾
台で千葉県南房総市の岩井海岸の民宿2軒に昼に到着
の向こう側に、
『雲の布団をかぶった美しい富士山』が
後、おいしいカレーライスを食べます。先輩学生から
見えました。それを背景にして集合写真を撮りました。
卒業研究のプレゼンを聴きます。続いて、
「留年はダメ
こうして新入生には友達ができ、不安がなくなります。
だよ!」
「理系英語は大切だよ!」
「大学生活を充実さ
大学生活への心の準備ができることを期待し、毎年実
せよう!」といった内容で先生からの講演があります。
施しています。留年率は確実に減りました。
夜は先輩学生がクイズ大会を開いて盛り上げます。2
(斎藤恭一 記)
日目の午前には、プレゼン・コンペの後、葉書や手紙
■ 学生の受賞(平成24年8月以降)(敬称略)
菅原丈博、両角優香、門田隆輔、横畑 敦、森屋静香、守能佑季、藤田 亮、香取崇広:テクノルネサンス・ジャ
パン第5回企業に研究開発してほしい未来の夢アイデア・コンテスト 最優秀賞及び優秀賞 / 小暮健人:日本油化
学会フレッシュマンサミットOSAKA 日本油化学会学生奨励賞 / 海野 理、平山雄祥:第28回日本イオン交換研究
発表会 ポスター賞 / 小林綾華:日本化学会CSJ化学フェスタ2012 優秀ポスター発表賞 / 岡村 薫:第17回高分子
ミクロスフェア討論会 学生優秀発表賞 / 小暮健人:第56回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会 ベスト
プレゼンテーション賞 / 水野雅啓:The International Symposium on Microchemistry and Microsystems 2012
CHEMINAS Poster Award /岩瀬優輝:The International Symposium on Microchemistry and Microsystems Best
Student Paper Award /岩瀬優輝:化学工学会第44回秋季大会 バイオ部会ポスターセッション 優秀ポスター賞 /
新出 挙、天海 亘:化学工学会第44回秋季大会分離プロセス部会ポスターセッション 優秀賞 / 惠 健:日本
化学会第93春季年会 学生講演賞 / 新出 挙:日本膜学会第35年会 学生賞 / 染谷孝明:日本海水学会若手会第4回
学生研究発表会 優秀賞 / 岩瀬優輝:第27回化学とマイクロ・ナノシステム研究会 優秀ポスター賞 / 河野通堯:日
本海水学会第64年会 黒潮賞 / 北川陽一:化学工学会盛岡大会 学生賞(銀賞) / 山腰健太、北川陽一:第2回バイオ
アセンブラ若手シンポジウム 優秀発表賞 / 矢嶋祐也:第2回バイオアセンブラ若手シンポジウム 領域代表特別賞
(矢貝史樹 集計)
■ 倉持忠雄先生ご逝去
平成24年9月7日に倉持忠雄先生が享年68歳で、
永眠されました。千葉大学を退官されて、
3年程経過し、
これから第2の人生を思う存分に楽しもうという時期だったことを考えると、倉持先生自身大変悔やんで
いることと思います。
我々も倉持先生の突然の死去に大変な驚きとともに心痛な気持ちで悲報に接した次第です。
なお倉持家の菩提寺は次の通りです。
葬儀は実妹の高澤弘子さんのもと親族のみで執り行われたそうです。
真言宗「宝蓮寺」
:東京都葛飾区新宿2-11-22
謹んで倉持先生のご冥福をお祈り致します。 (袖澤利昭 記)
■ 持永純一先生ご逝去
本学元教授持永純一先生におかれましては、病気療養中のところ平成25年3月14日
にご逝去されました(享年85歳)
。九州男児でおられた先生は、フランス語にご堪能で
ヨーロッパの研究者との親交を深めておられました。ご退官後も永らく溶融塩化学関
連の行事に参加され、後進の指導にあたっておられたことが懐かしく思い出されます。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。合掌。 (岩舘泰彦 記)
18
■ 小嶋邦晴先生ご逝去
小嶋邦晴先生が、去る4月3日にお亡くなりになりました。先生は、平成2年に定年退官されるまで21年
間に亘り、旧工業化学科・合成化学科、応用化学科において高分子化学の教育・研究に情熱を注がれました。
先生のご指導は、どの学生に対しても柔和なお話し方で接せられ、決してお怒りにならず、学生の意欲を
引き出すものでした。平成16年の叙勲の際には、多くの卒業生が参集しお祝いしたことを大変お喜びでし
た。通夜、告別式には多くの卒業生が出席しご逝去を惜しみました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
(中平隆幸 記)
■ 飯田弘忠先生ご逝去
元合成化学科教授の飯田弘忠先生は本年5月14日に逝去されました。先生は東京文理大学化学科卒業後、
東京工業試験場主任研究員を経て、昭和42年より教授として20年間本学に奉職されました。この間、染料
の合成を中心に教育・研究にあたられ、多くの有能な人材を輩出されました。また千葉大学評議員として
もご活躍されました。先生はこれら教育・研究へのご功績により平成9年秋の叙勲で勲三等瑞宝章を受け
られました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 (幸本重男 記)
■ 共生応用化学科・専攻就職状況報告
認知いただくとともに学生自身の素養によって望む企
平成24年度は、日本経団連からの申し入れにより採
業への就職の道が開けているようにも思います。残り
用活動が2カ月遅くなり、4月からの採用試験開始と
の2名は留学生の方ですが、帰国後の就職を目指すな
なった最初の年でした。そのため出足は遅かったもの
ど対応されています。就職率は96%となり、学部学生
の、多くの学生が無事進路を決定することができまし
が懸念していたと思われる心配は無用であることを伺
た。学部卒業生は111名おり、そのうち当専攻への進
わせます。博士後期課程(博士)修了者が12名おり(そ
学者が73名、他大学院への進学者が11名となりました。
のうち社会人の方が6名)
、教育関係へ3名、民間企業
また、1名は留学、1名は母国での進学予定となってい
へ3名が就職しています。
ます。当専攻への進学率は66%、他大学院への進学率
平成25年度の就職状況ですが、昨年度を受けての各
は12%となり、全体で78%の学生が大学院へ進学した
対応や、政権変遷による先行き感が変化したためか、
ことになります。一方、就職した学生は22名おり、そ
比較的順調に進んでいます。平成24年度は、現段階(8
のうち4名が公務員として市役所にて採用いただいて
月下旬)においても修士修了予定者の24%(公務員希
います。民間企業の就職先は、化学系、製薬系、自動
望含む)が内々定取得に至らず就職活動を続けていま
車関連、エネルギー関連、商社と多岐にわたっていま
した。平成25年度は、就職希望で内々定取得に至って
した。就職率は卒業生全体の20%であり、平成23年度
いない学生は14%(公務員希望含む)となっています。
の12%と比べると増加しています。当時の先の見えな
しかし、就職担当としてお話を伺うと、従前として他
い政治的・経済的情勢から就職を希望する学生がいた
大学での内定辞退の話も聞かれ、採用活動の長期化の
ものと思われます。
悪因にも思われます。当専攻は推薦に対して厳格に対
博士前期課程(修士)修了生は76名おり、1名は本
応しており、学生・企業の皆様にも有効に御活用いた
専攻博士後期課程へ進学しています。就職した学生は
だければと思う次第です。学部卒業予定者の87%が進
73名おり、そのうち7名は公務員や独立行政法人およ
学を希望していますが、大学院試験の結果を受けて今
び財団法人、66名が民間企業への就職でした。民間企
後の進路変更も予想されます。
業の職種は化学系が圧倒的に多く、ほとんどが化学材
本原稿執筆時も就職活動を続けている学生がおりま
料や触媒、製品開発などの専門性が要求される分野と
す。
教員一同一層の学生支援に努めるとともに、
卒業生・
なっています。企業は多岐に渡りますが知名度の高い
修了生の皆様からのご協力を賜れますよう宜しくお願
大企業とその関連会社が主となっています。同一会社
い申し上げます。
から複数名採用いただく場合もあり、当専攻の良さを
(松本祥治 記)
19
画
像
科
学
科
情 報 画 像 学 科
■ 画像科学科の近況
■ 情報画像学科の近況
学科長 久下謙一
【学科近況】
学科長 眞鍋佳嗣
この3月に情報画像学科になって2年目の卒業生を送
画像科学科が発足して6年目を迎えました。第一期の
り出しました。卒業者数86名のうち、59名が融合科学研
入学生で大学院に進学した人が修士課程を修了します。
究科情報科学専攻等への進学、23名が就職しました。こ
画像が好きで、画像の深い知識を持った人々が世の中へ
こ数年、不景気、大震災等にともなう就職難で学生が就
出て行きます。これからの活躍に期待したいと思います。
職活動で大変苦労しております。ご指導頂いている教職
同窓生の皆さんの身近に現れるかもしれませんが、その
員およびご支援頂いている同窓会の皆様に深く感謝いた
ときは暖かく迎えてあげてください。
します。今年は、2020年のオリンピックが東京で開催さ
画像科学科の発足当初より新設学科と誤解され、学科
れる事が決まり、これからオリンピック開催に向け景気
の知名度がまだ世の中に浸透していません。サマース
が上向く事が期待されます。このような明るい話題が少
クールなどの学科独自の取り組みを含め宣伝に努めてい
しずつ増える事で、就職状況が改善される事を切に願っ
るところですが、日々の業務の増大に押されて不十分な
ております。
ところもあります。画像を扱うユニークな学科として、
次に教員の近況ですが、2006年に千葉大学に赴任され
これからも「千葉大に画像科学科あり」と言われるよう、
6年半に渡って本学科の教育・研究にご尽力された富永
がんばっていきます。
昌治先生が定年退職されました。これまでの大学・学科
【学科教職員の動向】
への貢献に感謝いたします。4月1日には、情報システム
今年3月に40年以上の永きにわたり画像科学科を支え
基盤分野の須鎗弘樹先生と色彩画像工学分野の堀内隆彦
ていただいた北村教授が定年退職されました。来年3月
先生が教授に、これまでも教育にご協力頂いておりまし
には小関健一教授も定年退職されます。また今年3月に
た環境リモートセンシング研究センターのヨサファット・
は元技術専門職員の田中豊英氏が、定年後の継続雇用を
テトォコ・スリ・スマンティヨ先生が教授にそれぞれ昇
終えて退職されました。
任されました。また、長期の海外研修に出かけられてい
一方、田中氏の後任として、東京工業大学の修士課程
た、津村徳道准教授(平成24年5月から平成25年3月ま
を修了された丸尾美奈子技術職員が4月から着任されま
で米国コロンビア大学)
、小室信喜助教(平成24年5月か
した。学生実験のサポートなど、その若さで張り切って
ら平成25年3月まで米国ラトガース大学)
、難波一輝助教
活躍されています。代替わりが少しずつ進んでいます。
(平成24年10月から平成25年8月まで米国ノースイース
【画像科学科の取り組み】
タン大学)が無事戻ってこられました。一方で、今年は
千葉大学はグローバルな舞台に積極的に挑戦し活躍で
須鎗弘樹教授が平成25年4月から平成26年3月まで千葉
きる「人財」の育成を図ることを目的とした、グローバ
大学のサバティカル研修制度を利用して海外研修に行か
ル人材育成推進事業の対象校に採択されました。これに
れています。4月から9月までがベルギーのアントワープ
対応して画像科学科でも工学国際英語ⅠA ∼ⅡDの6科目
大学、その後10月から平成26年3月までがイタリアのト
を、英語のe−ラーニングを取り入れて単位化するなど
リノ工科大学での研修です。これらの先生方に、千葉大
の取り組みをはじめ、それに対応して必修科目を含めた
学の教育・研究において今後益々貢献していただけるも
履修課程の改訂を行いました。
のと期待しております。
大学全体で国際化に向けて海外との交流を深めるよう
以上、この1年の学科状況のご報告をいたしますとと
努めていますが、画像科学科でも高原准教授を中心に、
もに、同窓生の皆様には引き続きご支援を賜りたく、お
2013アジア国際学生ワークショップを進めています。タ
願い申し上げます。なお、ここではご報告できなかっ
た教員ならびに学生の受賞や活動につきましては下記
の学科ホームページに記載しておりますので、ご覧い
ただければと存じます。 http://www.tj.chiba-u.jp
イのチェラロンコン大学、キングモンクット大学トンブ
リ工科大学、マレーシアのマラヤ大学など多くの大学と
の相互交流が実施されています。行っただけ、来ただけ
の交流でなく、お互いに行って来るというプロセスなの
で実のある交流になっています。どちらの学生も広い視
野を持った国際人に育ってほしいと願っています。
学科の取り組みや最新情報などは下記の学科ホーム
ページに記載されておりますので、お時間がありました
ら是非ご覧いただきたく、お願いいたします。
(画像科
学科URL:http://www.tp.chiba-u.jp/)
20
■ 富永昌治教授最終講義
先生の原著にたどり着くと言われており、先生の研究へ
大学院融合科学研究科教授であり、本学科の教授を兼
の取り組み方に対する非常に興味深い講義を拝聴するこ
任された富永昌治先生が、本年3月に停年退職となりま
とができ、特に若手研究者に対する強いメッセージを感
した。ご退職されるにあたり、3月18日に「ディジタル
じ取ることができました。最終講義の後、けやき会館コ
カラーイメージングの研究」と題して、千葉大学自然科
ルザに場所を移して懇親会が開催され、多くの方々にご
学系総合研究棟1大会議室において90分の最終講義が行
出席いただきました。
われました。先生のご意向で、限られた方々のみにお声
富永先生はご退職後、大学院融合科学研究科の特任研
がけしたにも関わらず、学内外から80名を超える方々の
究員になられました。本学に着任されてから、数々の役
ご出席がありました。
職を歴任され、研究の時間を犠牲にして大学の運営に携
富永先生は、1975年に大阪大学大学院基礎工学研究科
わってこられたこともあり、現在は生涯研究者として、
の博士課程を修了され、1976年∼ 2006年までの30年に
これまで以上に国内外でのびのびと研究活動に邁進され
わたって、大阪電気通信大学において教育、研究に携わっ
ています。これからも現役研究者として、
先生の益々
て来られ、2003年∼ 2005年には大学の理事を務められ
のご活躍とご健勝をお祈りいたします。
(堀内 隆彦 記)
ました。また、1987年∼ 1988年には、米国スタンフォー
ド大学心理学科の客員教授を併任され、最終講義では、
このときのご経験が以後の研究生活に対して、多大な影
響を与えたとのお話がありました。2006年10月に本学
に着任され、以来6年半にわたって、本学の教育、研究
に多大なるご貢献をいただきました。特に、最後の2年
間は、大学院融合科学研究科長を務められ、大学院教育
の円滑な運営にご尽力いただきました。
最終講義では、長きにわたるご自身の研究成果に関し
て、丁寧にご説明いただきました。先生は、分光画像の
重要性と有用性にいち早く着目され、この分野の先駆者
として、常に世界をリードして来られました。この分野
で着目される研究課題の基礎研究をたどると、必ず富永
■ 北村孝司教授最終講義のご報告
者にとって非常に勉強になりました。
画像科学科教授の北村孝司先生が2013年3月で定年
最終講義の後は、同会館の3Fレセプションホールにて
退職されました。北村先生の最終講義は、3月1日(金)
懇親会が執り行われました。出席者のインスタント写真
に千葉大学けやき会館1F大ホールで『電子写真と電子
を撮らせて頂き、そこに一言コメントを付しアルバムに
ペーパー』と言う題で行われ、160余名ものOB、OG、
して先生にお渡しすると言うOB・OGからのサプライズ
学外関係者、また学内スタッフの聴講で賑わいました。
プレゼントもあり、主賓の北村先生には喜んで頂けたと
北村先生は、1972年4月に千葉大学工学部印刷工学科
思います。また、出席者も大いに楽しんだ懇親会で、北
の助手として着任して以来、実に40年もの長きに亘って
村先生のお人柄故と思います。
千葉大学工学部で教鞭を執られ、教育・研究活動にご尽
北村先生はご定年後、2013年4月より、千葉大学産学
力下さり、数多くの卒業生を巣立たせております。また
連携・知的財産機構でフェローとしてご活躍です。これ
2005年からは、千葉大学知的財産本部(現千葉大学産学
まで先生が培ってきた共同研究等のご経験を活かし、千
連携・知的財産機構)の副本部長∼副理事を歴任され、
葉大学にご貢献されています。
千葉大学と企業との橋渡しにご尽力されました。学協会
北村先生の今後の益々のご活躍とご健勝をお祈り致し
においても、理事や委員等を歴任され画像の発展に尽く
ます。 (星野 勝義・宮川 信一記)
されており、日本画像学会の会長を務められていたこと
は皆様の記憶にも新しいと思います。
最終講義では、ZnOの電子写真感光体から始まり、有
機電子写真感光体(OPC)
、レーザー熱転写記録、トナー
マーキング、またトナー等を利用した最新の電子ペー
パーのご研究まで、長きに亘る一連のご研究を判りやす
くお話し下さいました。いずれも当時は最先端の研究で
すので、評価装置等はなく、
「無ければ作る・改造する」
と言うお話しを始め、モノ作りだけでなく、広い視点か
ら見た『創造』と言うお話しが印象的でした。こうした
先生の信念とも言うべき徹底した姿勢は、我々後に残る
21
■ 第5回情報画像産学技術交流会ご報告
気鋭の若手スタッフ8名による研究紹介を行い、好評を
平成25年3月8日(金)に、千葉大学大学院自然科学
博しました。
棟の1階大会議室において、第5回情報画像産学技術交
第2部では、主催2学科に加え環境リモセンを合わせ
流会が開催されました。
た全30研究室の研究紹介と知財機構の紹介ポスターを前
画像科学科・情報画像学科(主催)が、画像工学同窓
に 産 と 学 の活発な意見交換が行われました。参加
会と千葉大学産学連携・知的財産機構(以下知財機構)
者は百名を超え、盛会の内に幕を閉じました。
第5回情報画像産学技術交流会実行委員長 小林裕幸
の共催で、大学院情報科学専攻と情報工学同窓会の協賛
を得て、学科等の教育研究活動を社会に公開することと
同時に産業界からの社会的要望等に関する意見交換を行
う場として「産学の交流を図る」ことを主テーマに行わ
れました。
2部構成の内、第1部では、主催両学科の紹介に続い
て、知財機構より千葉大TLOの最近の活動状況を産学官
連携コーディネーターである小柏猛様よりご報告があ
り、続いて情報画像学科の黒岩眞吾教授より『その問題、
今すぐ「あるテク」で解決しましょう!̶大学の新しい
活用法̶』と言う演題で実際の共同研究の経験に基づく
大学と企業の関わりに関して講演がありました。2年に
1度の開催の本交流会も5度目を数える事もあり、最後
に企画講演として、画像科学科・情報画像学科・環境リ
モートセンシング研究センター(環境リモセン)の新進
■ サバティカル研修:家族でニューヨーク
生活について簡単に報告させていただきます。ニュー
津村徳道
ヨークには多くの企業からの駐在の方が住んでおられま
私は、CG、画像を主とする超高次元情報解析・記録・
す。それらの方の、パワフルな仕事ぶりを知ることも大
再現とその応用に関して、多くの原著論文を発表してき
変勉強になりました。また、駐在の方の家庭の子供たち
ました。しかし、各論文のインパクトファクターという
は、平日は英語の現地校、土日は、日本語での補習校に
点では、国際的にみて、十分な成果を出しているとは言
通うといった、将来の帰国子女の大変な苦労を見ること
い難い状況でした。研修先とするニューヨーク、コロン
ができたのは、日本人の国際化を知る観点から大変学ぶ
ビア大学のShree K. Nayar教授は、私に近い研究分野で、
ところが多かったと感じています。私の長男も現地校の
常にインパクトの高い成果を継続的に発表しておられま
小学校5年生として、在学いたしました。アメリカでは
す。従って、Nayar教授のご指導の下で、インパクトの
賃貸価格などが高いところほど、教育環境は良いといっ
高い成果を出すことを研修の主目的として、2012年4月
た傾向にあります。私の住んでいたところの賃貸価格は、
1日から2013年3月24日までサバティカル研修を行って
月2,500ドルの3LDKでした。マンハッタン島だとこの金
まいりました。研修期間中、多くの業務を免除いただき、
額の倍はいたします。電車で2時間の通学を要する距離
また授業は非常勤講師として、都立高専の山本昇志先生、
で、この値段になります。日本でいえば、都内通勤で市
歴博の宮田公佳先生に代講いただき、皆様に大変感謝し
川ぐらいに住んでいることになると言われていました。
ております。
それでも、日本と比べても大変な金額で、サバティカル
サバティカル期間中に、コロンビア大学と関係あるな
研修は、自己資金で対応せねばならず、たくさんの貯蓄
しに関わらず行った教育研究で、現在、7本の学術論文
を失いましたが、それ以上に得るものが多かったと感じ
を投稿中になります。学術論文の内容は現在投稿中のた
ています。話が横道にそれましたが、長男は現地校、土
め詳細を記述することはできませんが、サバティカル期
曜日の日本語補習校と大変がんばりました。帰国後も、
間中に英気を養い、充電したことで成し得たものと考え
スカイプによる英会話で1日25分は、英会話を続けてお
ています。サバティカル研修前はまったくわかりません
ります。フィリピン人の容赦ない英語に対応して、きち
でしたが、
コロンビア大学のShree K. Nayar教授のラボは、
んと答えていけているのは、1年間のアメリカの小学校
少数精鋭で、大学院生5名しかいませんでした。しかし、
の現地校滞在のたまものかと思います。子供が小さい時
各学生が大変優秀で年間2本インパクトファクターの高
に、家族で海外赴任というような経験ができたことは、
い国際会議などに投稿しています。ラボのメンバーに入
研究の進捗以外で、大変な財産になったと感じておりま
れるかどうかについても、大変な高い競争率があるよう
す。繰り返しになりますが、留守中いろいろ留守の面倒
です。このシステムをそのまま千葉大で実行することは
をみていただいた皆様に心より感謝いたします。卒業生
不可能ですが、一流の大学の一流のラボの流儀を、身を
の方も、海外赴任などでなにかご質問があれば、遠慮な
もって知ることができたことは大変有意義でありました。
くお問い合わせいただければと思います。
また、研究とは別件ですが、サバティカル中に家族の
22
東 高 芸 の 会
54年前の「今年の話題は」
東京高等工芸学校写真科の同窓会だった「工芸写真会」は、機関誌「フォトテクネ」を1955年(昭和30年)3月の創
刊以来毎年2回発行してきた。1966年(昭和41年)1月に「工芸写真会」が「千葉大学工芸写真会」に改組された後も
年1回発行は続けられ、最終号は1991年(平成3年)12月28日発行の34号と記憶している。B5判で30乃至50ぺージ建、
鎌田彌壽治先生のご著作「我が邦写真教育の回顧」が創刊号から5回連載されたのをはじめ、教官と学生の論文・解説、
会員の随筆や写真作品がアート紙に印刷され、海外の写真研究機関からも購読の申込みや資料交換の希望があった。
昭和34年(1959年)5月20日発行の11.12合併号は、全48ぺージの1/3を割き、16ぺージにわたる座談会記事「今
年の話題は」を掲載している。当時、写真・映画業界の指導的立場におられた5人の先輩方が、1959年の話題、問題点、
それに伴う後輩への注文など談論風発。その一部を記事小見出し毎に再録してみた。
座談会出席者(敬称略)
斉藤宗武(1918年3月卒 映画を芸術として理解できる唯一の文部技官として、東京国立近代美術館フィルム
センター設立の原動力だった)
山岡恒雄(1920年3月卒 日本映画技術協会会員、教育映画配給社でテレビ用映画の製作に尽力)
岩淵喜一(1922年3月卒 東宝株式会社の技師長として多くの同社特撮映画の成功を支えた。東京高等工芸
学校と東京工業専門学校で映画技術論講師)
大木栄一(1922年3月卒 朝日新聞東京本社写真部長)
小坂信教(1925年3月卒 ㈱五洋および長瀬産業コダック製品部)
(1953年に日本テレビ放送網、55年にTBSテレビ、59年にフジテレビが開局した。話題は先ずテレビから)
〈テレビ映画屋の悩み〉
山岡 アメリカでは完全に映画とテレビは敵となったが日本では映画界の大所のところは、一応手を握って、共存共栄
をはかろうじゃないかというやり方をしているわけです。いまのテレビ映画製作の技術は、まるで30年逆行して
いるようで、昔の無声映画、あの時代の撮り方ですな。
〈テレビ映画の楽屋裏〉
岩淵 我々工芸写真会の会員としてやらなきゃならないことは、制作時間を短縮したりたとえば同時撮影が非常に短
い時間に完全にできるとか、編集も楽にできるということになっていけば、かなり安く、しかもいいものができ
てくるので、この辺に我々のやるべき分野がありますね。
〈映画のテレビ対抗策〉
岩淵 アメリカのテレビと映画との関係を、日本で再び演じたくないと懸命に努力しているのが現在で、アメリカと日本
との開きは、いろんな面で、だいたい三年ないし四年あると思います。そうすると、アメリカでの三年ないし、
四年前のことをお手本として我々はやりつつあるので、お手本といったって失敗したところと成功したところがあ
ると思うんです。
〈日本映画の海外進出〉
大木 映画のことは知らないけれど、アメリカあたりには、二世や一世が日本物を見たがっているのでよく輸出されて
いるようだけれども、日本映画のいいというのは、アメリカ的な撮影技術とか手法をずいぶん使っている。日本
人の好みは、
フランスのいい映画にちょっと似た感じで、
むしろ欧州の方に伸びるのではないかという感じもする。
〈撮影技術では負けぬ〉
岩淵 この前キャメラマンと一緒にハリウッドヘ行って、街を歩いたんだが、
「ここのところ、これはあの写真に出てたよ」
と話したら、彼は「なんだここか。おれだったら、あれよりもっとうまく撮るんだがね」というようなところばかり
ですよ。アメリカ映画といったって大したことない、問題は腕だという、そういう印象をひじょうに強く持ちました。
小坂 われわれ日本人が、日本の映画を見るから思うのかもしれないが、日本の映画のほうが、アメリカ映画よりも神
経通っていますね。初めから終わりまで…。
23
〈力メラは今や万年筆〉
大木 ぼくは新聞社にいるが、カメラマンというのは、ぼくらの入社した前後は、東高芸だとか写専だとか、日大の芸
術科の写真部というところを出た連中が、各社に大勢いますよ。ところが最近の傾向として、必ずしも写真を専
門とする学校を出た連中を必要としなくなってきた。
小坂 このあいだある座談会で聞きましたが、大木さんのお仕事の場合では、カメラ技術というものは万年筆だという
んですよ。その万年筆を使って何を書くかということが問題なので、万年筆の使い方は特別に教える必要はな
いというわけ。少し説明を聞けばわかる。
大木 将来、千葉大学の写真印刷科か、ここの連中が新聞関係を希望するとすれば、いままでと違った考え方を持た
なくては。新聞関係では、ナマの写真を見るのではなくて、印刷された新聞を見るのだから。途中のことは問
題じゃないのだ。今後はね、センスの問題だから。
岩淵 そういう点では、最近の科学の大変な進歩は、いろんなものを変えましたね。
〈新聞とテレビは両立〉
岩淵 テレビが普及してくると、新聞は、なんか一応見るという程度に…。
大木 いやいやそんなもんじゃない。テレビには選択性がない、保存ができない。
小坂 ラジオとテレビでニュース、時の動きのヒントを得て、それを詳しく見るのは新聞、だから配達が待たれる。そ
ういう印象を受けますね。
〈大学教育に疑問あり〉
斉藤 これからは普通写真ばかりでなく、映画でも、やはりセンスが先で技術があとだという時代じゃないのですかね。
小坂 センスを生かすものが技術なんですよ。どう生かすかっていうものがね。だから技術とセンスは表裏一体じゃな
いですか。
斉藤 やはりぼくは、学校でもっと人間的な勉強というか、いろんな芸術とか社会学とか、そういうものを写真科あた
りで取り入れて欲しい気がするのです。
山岡 学校を出てくる人が、純粋に技術の面でいくのだったらそれはいいけれども、技術を基礎として芸術感覚をもっ
てメシを食っていくというのならば、問題は変わってくるわけです。われわれの習った点は、純粋の技術そのも
のよりも、それをいかに使いこなすかということが.....いわゆる工芸だった。
大木 今後のあり方としては、理科系の人間はなおさらそういった芸術感覚というものを失わないように、あるいは伸
ばしていくような、なんかがなくてはいけないんじゃないかな。
斉藤 そういう行き方はそれでいいと思いますが、映画も全部含めて、広い意味での写真作家というものが、千葉か
らは今後出ないという、そういう教育方針じゃないかと心配するんだけれど…。
〈不要にしたい現像液〉
小坂 オシログラフ関係の印画紙で、画像を出すためには一応従来のは現像しましたが現像しないで、オシログラフ
にかけて動かすとすぐにそのまま線が見えてくるという印画紙がある。これはもう日本に輸入されて需要が相当
伸びそうですね。このように改造され進歩する製品はずいぶんあるのでは。
大木 水を使わないで現像なり定着ができる、というようなことができたら、ありがたいね。今の銀乳剤では、そうい
うことはできないかもしれない。ほんとうに革命的な感光材料ができて、現像液を使わないでね。
山岡 ビデオテープの再生機器がもっと簡単になってくるんじゃないかね。いまは三千万円だとか。
岩淵 二千四、五百万円ですね。
〈将来への大きな夢は〉
大木 いまカメラマンがスピグラ持ってね、現場へ行くけれども、いまのテレビのカメラマンのように、現場に行って被
写体に機械を向けていれば、その状況が本社へ映って、適当ないいところが写真になっていく、というようなこ
とね。
小坂 しかもその持って行くカメラがもっと簡単なもので、ポケットに入るくらいな大きさでね。
ハロゲン銀が捕らえた潜像を、現像・定着・水洗という化学処理により画像として固定したウエット方式が、電子の力に
よるデジタル画像形成というドライ方式に変わる可能性は、具体的な話題とはならなかった。
因みに報道機関用のアナログ電子カメラの登場は1981年、
デジタルカメラは1991年で、
その後間もなく、新聞社から「写
真暗室」
が消えた。 (東高芸の会 広報担当 江越壽雄)
24
平成24年度工学同窓会事業報告
平成24年4月1日から平成25年3月31日までの活
平成24年度
動を報告します。
千葉大学工学同窓会 決算
1)会員サービス
■収入の部
a)
工学同窓会会報の編集・発行
費 目
第39号(30ペ ー ジ、 約25,000部 ) を12月 初
旬に発行しました。
前年度繰越金
b)
総会・懇親会の開催
(単位:円)
予 算①
決 算②
①−②
639,529
639,529
0
入会金
6,620,000
6,690,000
△ 70,000
平成24年5月25日(金)浦安ブライトンホテ
会費
3,000,000
2,012,000
988,000
ルで開催しました。出席は114名と盛会でした。
寄付金
3,000,000
2,244,000
756,000
犬養会長の議長のもと、平成23年度事業報告、
総会参加費
140,000
120,000
20,000
決算報告、会計監査報告、平成24年度事業計画、
利息・雑収入
5,000
13,983
△ 8,983
予算などが承認されました。引き続き懇親会が
特別会計より
0
800,000
△ 800,000
開催され、シンガーソングライターの松尾貴臣
合 計
13,404,529
12,519,512
885,017
さん(卒業生)の歌が披露されるなど、和やか
なうちに閉会しました。
■支出の部
c)
卒業生への卒業記念品の贈呈
費 目
男性卒業生580名にはネクタイピン、女性卒業
生145名にリングを贈呈しました。
d)
平成25年度新入生への記念品贈呈
新入生に入学記念品(多色ペン)を贈呈しま
予 算①
決 算②
①−②
会報編集発行
4,000,000
3,977,704
22,296
入学・卒業記念品費
1,000,000
1,242,989
△ 242,989
総会経費
1,100,000
966,640
133,360
210,000
210,000
0
名簿管理費
した。
(単位:円)
e)
工学同窓会ホームページ
HP費
100,000
50,400
49,600
内容の充実を行いました。
部会・支部活動補助費
900,000
873,000
27,000
f)
アーカイブの運営
工学部賛助金
600,000
600,000
0
会員からの貴重な資料の収集と整理
校友会費
150,000
150,000
0
学生援助費
700,000
800,000
△ 100,000
非常勤講師援助費
500,000
450,000
50,000
a)
東高芸の会への協力
会議費
100,000
144,369
△ 44,369
b)
千葉大学校友会に対する協力
渉外費
200,000
145,777
54,223
0
0
0
172,000
0
172,000
2)交流および協力など
平成24年10月27日けやき会館にて総会が開催
名簿関係費
された。
学内懇親会費
慶弔費
3)工学部および学生活動への支援と設備の充実
80,000
20,840
59,160
450,000
349,836
100,164
交通費
70,000
67,780
2,220
運営費
200,000
200,000
0
事務員費
1,200,000
1,162,500
37,500
消耗品費
80,000
39,328
40,672
データ管理費
60,000
56,800
3,200
事務室備品費
350,000
168,700
181,300
50,000
38,344
11,656
郵送通信費
a)
学生活動への支援を行いました。
フォーミュラ、ロボコン、東京デザイナーズ
ウィーク、都市環境展、建築展、パルスジェット、
ソーラーデカスロン
b)
同窓会事務室のPC更新
4)幹事会および委員会の開催
雑費
a)
幹事会を2回開催しました。
特別会計繰入金
0
0
0
会報編集委員会、名簿委員会、アーカイブ委
予備費
1,132,529
0
1,132,529
員会を開催しました。
繰越金
0
804,505
△ 804,505
13,404,529
12,519,512
885,017
b)
委員会の開催
合 計
以上
25
会 員 便 り
■ 工学部新棟について
工学部では、12号棟と19号棟(階段教室)を取り壊し、9階建の新
棟の建築を計画しております。
すでに平成25年7月頃までに12号棟東側部分と19号棟は取り壊され、
空き地に新棟の建設が始まっております。8月末の時点では、杭打ちが
終わり、基礎部分の工事が行われております。
新棟は9階建、延べ床面積8,163平米で、1階は機械工学科の実習室、
2、3階はナノサイエンス学科の会議室と研究室、4 ∼ 9階は電気電子工
学科の事務室、会議室、学生実験室、研究室が入居する予定です。
新棟は平成26年秋に竣工の予定で、その後、12号棟西側の残存部分
が取り壊され、いずれ13号棟も取り壊されて、跡地には広場が整備さ
れる予定です。
12号棟、13号棟、19号棟の周辺の状況は、新棟建設を機に一変するものと思われます。平成26年秋に新
棟が完成しましたら、一度、お立ち寄りいただければ、と思います。 (第4部会 小圷成一)
■ 東京工専松芸寮の想い出 その3:仮装行列
山際延夫(昭和24年3月木材卒 大阪府池田市在住)
いまでも東京工専松芸寮に入寮していた頃を思い出すと、なつかしさが胸にこみあげてまいります。第2次
世界大戦で戦災を受けた東京工専は、昭和20年10月に千葉県松戸市にあった陸軍工兵学校跡に移転しました。
その折、工兵学校の旧兵舎は寄宿舎となり、松芸寮と命名されました。私は昭和21年4月に東京工専に入学し、
卒業時の昭和24年3月まで松芸寮に入寮していましたので、その3年間の想い出は強烈に心の中にしみわたっ
ております。その最たるものは寮祭です。今回は寮祭の中の1つの行事、仮装行列について話をいたしましょ
う。私達の仮装行列は寮の各部屋ごとに、または気のあったもの同志でその当時の世相を反映したテーマを
考えて行ったものですが、内容は千差万別だったように記憶しております。このたび話をするのは昭和22年
秋の寮祭のものです。前半は校門を出発してからダラダラ坂をくだり、国鉄常磐線松戸駅に向かうコースで、
駅前広場では当時の寮長による街頭演説が行われました。後半は松戸市街を練り歩くコースでした。松戸に移
転して2年目でしたが、市民には好評で、市民と学生との間には和気藹藹とした雰囲気がただよっていたよう
に 思 い ま す。 子 供
達 も 大 喜 び で、 一
緒になって行進す
る微笑ましい雰囲
気がみられました。
とにかく車の往来
は 少 な く、 の ん び
りと見物の人々と
話のやりとりをし
ながら行進するた
1. 校門での出発風景(左上は松芸寮)
2. ダラダラ坂を行進中
のしい催しの記憶
が私の想い出の中
に残っております。
最後になりまし
た が、 こ の 文 を 記
す る に あ た り、 適
切な助言を頂いた
池 村 重 生 先 輩( 昭
和23年3月電通卒)
に深謝します。
3. 松戸駅前広場での寮長街頭演説
4. 市街行進中(後方は松戸駅)
30
総会・懇親会のご案内
浦安ブライトンホテルにて
開催されます。
平成26年度の総会・懇親会を下記の通り開催致し
ます。皆様、お誘いあわせの上、是非ご参加下さい
ますよう、ご案内申し上げます。
■JR京葉線・武蔵野線
「新浦安駅」
直結
■東京方面からのアクセス
①首都高速湾岸線を浦安で降り200m先の立体交差点を上り 鉄鋼団地 方面に右折、京葉線高架手前
を左折して1.4km
■千葉方面からのアクセス
②首都高速湾岸線を浦安で降り1ツ目の信号を
鉄鋼団地 方面に左折、京葉線高架手前を左折して1.4km
■湾岸市川方面からのアクセス
③国道357号より 入船 方面に左折、浦安市街からの道に合流して、すぐの 美浜 交差点を右折し1ツ目
の信号を左折、更に1ツ目の信号を左折
●東西線浦安駅からのバスのご案内
東京ベイシティ交通バスの2系統
(舞浜駅行き)
で6ツ目の
「新浦安駅北口」
下車
3系統
(マリナイースト21行き)
で6ツ目の
「新浦安駅」
下車が便利です。
記
日時:平成26年5月30日(金)
受 付 午後5:00より
総 会 5:30∼6:00
懇親会 6:00∼8:00
会場:浦安ブライトンホテル
1階フィーストの間
千葉県浦安市美浜1の9
電話 047-355-7777
会費:3,000円(当日受付にて申し受けます)
●出席のお申し込みは、同封のはがきで、5月7日
(水)
までに必着するようにお願い致します。
電車で:
JR京葉線・武蔵野線
「新浦安駅」
直結
JR「東京駅」
より快速で約17分
JR京葉線
「海浜幕張駅」
より快速で約12分
JR武蔵野線・総武線
「西船橋駅」
より快速で約9分
地下鉄日比谷線「八丁堀駅」よりJR線乗り換え快速で約15分
地下鉄有楽町線「新木場駅」よりJR線乗り換え各駅停車で約9分
●当ホテルは、
JR「新浦安駅」から歩いて1分。
ペデストリアンデッキで直結して
いますので、ステーションプロム
ナードからホテル・アトリウムま
で、そのままお越しになれます。
会費納入とご寄付のお願い
●年会費納入のお願い
平成5年度の総会で会則が改正され、平成6年度より、特別会員(同校、同学部現旧教官、ただし正会員を除く)
以外の正会員ならびに会友の皆様に、年会費1,
000円を納入していただくことになっております。諸般の事情をご
理解下さり、会費をご納入下さいます様、何卒、お願い申し上げます。
年会費は 1,000円です。
●ご寄付のお願い
工学同窓会の運営が安定的に行えますよう、会費に併せまして、皆様からのご寄付をいただければ幸いです。ホーム
ページの充実、工学部資料室設置への協力など、毎年の運営費以外の事業費に充てられればと思います。
●年会費およびご寄付のご送金は
両方とも、同封いたしました郵便振替用紙にてお願いいたします。
なお毎年この振込用紙が同封されますが、すでに本年度分の年会費を前納されている方は必要ありません。
事務局からのお願い ── おたより募集と住所等変更連絡のお願い
●会員の皆様からのおたよりを募集しています。
同窓生の皆様のための会報とするため、編集委員会では、会員の皆様からのおたよりを随時募集しております。
同期会の報告や、皆様の近況、お仕事ぶりなどのお便りを、是非、事務局までお寄せ下さい。誌面の許す限り、
掲載させていただきたいと思います。
●住所、勤務先、電話番号などが変わられた方はお知らせ下さい。
これらに変更がありました際には、お手数ですが、同封のはがき、ホームページ上またはFAXで、同窓会事務局ま
でご一報下さい。
●当同窓会では、会員名簿の管理、発行は㈱サラトに委託しております。最近、㈱サラト以外の業者からも、名簿刊
行の案内がありますが、これは当会とは一切関係ありませんので、ご注意下さい。
会報編集委員:
掛川一幸(委員長)
、原 寛道、島田侑子、小林謙一、小圷成一、宮川信一、檜垣泰彦、大沼一彦、解良 聡
発行 千葉大学工学同窓会 〒263-8522 千葉市稲毛区弥生町1-33 千葉大学工学部松韻会館内
事務担当 甘利 節子 電話/ FAX 043-254-6358(月火木金10時∼16時)
E-mail:[email protected]
印刷 株式会社サラト 〒670-0948 兵庫県姫路市北条宮の町172番地 電話079-284-1380 FAX079-224-7746