出生前診断―無侵襲的出生前遺伝学的検査NIPTと

京府医大誌
123
(8),565~574,2014. 生命倫理・医療倫理の最前線
<特集「生命倫理・医療倫理の最前線」
>
出 生 前 診 断
―無侵襲的出生前遺伝学的検査 NI
PTと着床前診断 PGDについて―
藤
原
葉 一 郎*
地方独立行政法人京都市立病院機構産婦人科
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抄
録
近年開発された非確定的かつ非侵襲性出生前診断検査である NI
PTは,母体血中の胎児由来 c
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DNAを次世代シークエンサーにて網羅的に解読・定量することによって胎児染色体数的異常を診断す
るもので,その診断精度において(特に陰性的中率)
,従来の同種の検査である母体血清マーカーを遥
かに凌駕する.しかしあくまで非確定的検査であることから,たとえ陽性の診断がついた場合でも,侵
襲的検査である羊水染色体検査の施行が必要である.一方選択的人工妊娠中絶術を回避する目的で開
発されたPGDは,着床前受精卵の段階で遺伝学的診断を行うもので,高度な生殖補助医療技術が必要と
され,また倫理的な面で多くの問題を抱えている.その施行においては厳格な審査が必要で,着床前ス
クリーニングとしての PGDはわが国では認められていない.これら NI
PT,PGDを含めた出生前診断
検査に対する倫理指針も含めた法体制と,検査前後に十分な遺伝相談,遺伝カウンセリングを提供でき
る体制とを整えることが,必要とされている.
キーワード:出生前診断,NI
PT,PGD.
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平成26年 6月24日受付
*連絡先
藤原葉一郎 〒604
‐8845京都市中京区壬生東高田町1
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PT,PGD.
緒
言
近年の次世代シークエンサーやマイクロアレ
イなどの飛躍的な技術革新の恩恵を受けて今ま
では不可能と考えられていた詳細なヒトの遺伝
子解析が可能となった.いわゆるゲノム医療
は,医学すべての分野に横断的に影響を及ぼ
し,周産期の分野でも例外ではない.2013年 4
月から開始された無侵襲的出生前遺伝学的検査
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(NI
PT)が
新聞紙上を賑わし,国民の関心を呼んでいる.
従来非確定的かつ無侵襲性である出生前検査
は,超音波画像検査以外に母体血清マーカー検
査が臨床の場で用いられていたが,NI
PTはそ
の精度においてこれを大きく上回り,胎児染色
体の数的異常に関するスクリーニング検査とし
て大きな可能性を有する.一方で妊娠初期に胎
児の異常や予後を知ることによって,結果的に
人工妊娠中絶術を選択する事実があり,これを
防ぐために妊娠前である着床前の受精卵の段階
で遺伝学的診断を行う着床前診断あるいは着床
前遺伝子診断 pr
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(PGD)の概念が確立された.生殖補助医療の
新たな技術としての面と倫理的な面からの議論
がなされ,本邦でも実施されるに至った.今
回,複数の出生前診断検査の中で,主に NI
PT
と PGDについて概説してみる.
出生前診断検査
表 1に,現在施行されている出生前診断検査
を示す.現時点では非侵襲的に確定診断が可能
な検査方法は確立されておらず,出生前診断の
手順としては,最初から穿刺等の侵襲的手技が
必要な確定的検査を受ける場合と,まず非確定
的検査を施行して,その結果に基づき次の段階
として確定検査を受ける場合の,2種類がある.
その施行にあたっては日本産科婦人科学会の
「出生前に行われる遺伝学的検査および診断に
「妊娠の管理の目標は,妊娠
関する見解」1) で,
が安全に経過し,分娩に至ることであるが,同
時に児の健康の向上や,適切な養育環境を提供
することでもある.基本的な理念として出生前
に行われる検査および診断はこのような目的を
もって実施される」と述べられている.さらに
表1 出生前診断検査
非確定的検査
など)
1
.画像検査(超音波検査,MRI
2
.母体血清マーカー検査
3
.母体血中胎児DNA検査 no
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PT)
確定的検査
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(PGD)
2
.絨毛採取 c
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3
.羊水穿刺 a
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4
.臍帯穿刺c
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生命倫理・医療倫理の最前線
日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診
断に関するガイドライン」2)では「出生前診断
には,広義には羊水,絨毛,その他の胎児試料
などを用いた細胞遺伝学的,遺伝生化学的,細
胞・病理学的方法,着床前診断,および超音波
検査などを用いた画像診断的方法などがある.
しかしながら,出生前診断には,医学的にも社
会的にも倫理的にも留意すべき多くの課題があ
ることから,検査,診断を行う場合は日本産科
婦人科学会等の見解を遵守し,適宜遺伝カウン
セリングを行った上で実施する」と記されてい
る.具体的な個々の出生前診断については,日
本産科婦人科学会,日本人類遺伝学会等,遺伝
医学関連 10学会による「遺伝学的検査に関する
ガイドライン」5「
.出生前検査と出生前診断」3)
に記されており,実際の施行に当たっては,これ
ら見解,ガイドラインを遵守する必要がある.
非確定的検査
1.画像検査(超音波検査,MRIなど)
産科領域ではルーチン検査である胎児及びそ
の付属物に対する超音波検査は,その機能の飛
躍的な進歩から,詳細な形態異常の描写に加え
て血流測定等から一部の機能異常の診断が可能
となった.胎児後頸部浮腫 nuc
ha
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)
(NT)に代表される超音波ソフトマーカー 4(胎
児染色体異常との関連が報告されている種々の
形態異常の総称)は,日々の臨床の場で意図せ
ずに偶然に見つかることも多々あり,その告
知,カウンセリングには注意を要する.
2.母体血清マーカー検査
母体血清中の胎児あるいは胎盤由来のホルモ
ン,タンパク質を測定して,21
トリソミー,18
トリソミー,神経管閉鎖障害に罹患している確
率を算出する検査である.妊娠三半期前期(11
週から 13週の間)に,NT測定,妊娠関連血漿
タンパク質 A(PAPPA)
,ヒト絨毛性ゴナドト
ロピン(hCG)の 3種類を測定するものと,妊
娠三半期中期(15週から 17週の間)に,AFP,
hCG,非結合型 E3
,インヒビンAの 4種類を測
定するものがあり,本邦では後者として日本人
55
,747例での検査結果に基づくデータから算
567
出された確率を用いてクアトロテスト TM5)が
施行されている.
3.母体血中胎児 DNA検査(NI
PT)
後述
確 定 的 検 査
1.着床前遺伝子診断(PGD)
後述
2.絨毛採取 c
hor
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ampl
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n(
gCVS)
採取にて経腹法と経腟法があり,絨毛膜有毛
部の付着部位により,いずれかの手技を選ぶ.
妊娠11週から妊娠14週までが標準実施期間で,
妊娠 10週以前での施行は最大 1~ 2%程に重篤
な四肢奇形が生じる危険性が報告されており行
うべきではないとされている6).妊娠早期に検
査結果が得られる利点があるが,1~ 2%に染色
体モザイクが認められ,そのほとんどが胎盤限
定モザイクであることから羊水検査で確認する
必要がある.
3.羊水穿刺 amni
oc
ent
es
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経腹的に妊娠 16週以降に羊水を穿刺吸引し
て,羊水および羊水に含まれる胎児由来細胞を
分析する.これ以前の時期での穿刺は,自然流
産,羊水漏出,胎児内反足の頻度が高くなると
され施行されない.
4.臍帯穿刺 c
or
doc
ent
es
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s
経腹的に妊娠 20週以降に胎児の臍帯静脈を
穿刺して胎児血を採取する.血液を使用して直
接的に染色体検査,DNA分析,遺伝子診断が可
能であり,絨毛採取や羊水穿刺に比較して結果
が早く出ることが利点である.
N I P T
1997年 Loら7)によって,
母体血漿中に胎児由来
DNA
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lDNA,c
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fDNA)
が存在することが初めて報告された.この c
c
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DNAは妊娠週数が進むにつれて母体血中濃度
が上昇し,さらに分娩後は約 16分の半減期で母
c
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体血中から消失するとされている8).この c
DNAを用いて多くの研究者が胎児診断の臨床
応用を試み,2008年,次世代シークエンサーを
使用して,網羅的にシークエンスした c
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藤
568
原
DNAをヒトゲノム情報と照合して,21番染色
体由来の DNA断片の量的な変化を定量するこ
とで染色体の数的異常を診断する ma
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(MPS)法が開発された 9).
その後の臨床研究を経て,米国 Se
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m分子
医学センターを含めた数社によって,2011年
10月から 21トリソミー(Do
wn症)の検査が,
2012年 3月から 18トリソミーと 13トリソミー
の検査が,米国で開始された.本邦では 2013
年4月から臨床研究として国内10施設で開始さ
れ,2014年 5月29日現在,施行登録施設は 37
に増加している.
採取された妊娠10週以降およそ妊娠 15週ま
での妊婦血液は,米国 Se
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m社に委託して
Ma
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TTM PLUS10)で解析される.対象妊婦を
以下に示す1).
1.胎児超音波検査で,胎児が染色体数的異常
を有する可能性が示唆された者.
2.母体血清マーカー検査で,胎児が染色体数
的異常を有する可能性が示唆された者.
3.染色体数的異常を有する児を妊娠した既
往のある者.
葉一郎
4.高齢妊娠の者.
5.両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座
を有していて,胎児が 13トリソミーまたは 21
トリソミーとなる可能性が示唆される者.
これらの項目は,米国産科婦人科学会 The
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(ACOG)の掲げる c
c
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fDNA検査の適
応 11)とほぼ同じものである.
NI
PTにおけるMPS法の原理 9)を以下に記す.
母体血漿中には様々の長さの母体由来と胎児由
来の c
e
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eDNAが混在しており,これらを回
収し次世代シークエンサーによってその塩基配
列を解読,どの染色体由来であるのかを分類す
る.胎児が 21トリソミーであった場合,c
e
l
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e
eDNAのうち胎児由来の 21番染色体由来の
DNA断片は,正常核型の 1.
5倍に増加している
ことから,母体血漿中の 21番染色体由来の
DNA断片の割合は,すべての DNA断片に対し
て通常は 1.
3%であるところ(各染色体に由来
する DNA断片の濃度は各染色体の大きさに依
存する)
,胎児が 21トリソミーである場合は
1.
42%に増加する
(図 1
)
.このわずかな DNA断
⢝ఽ↱᧪
᧪DNAᢿ Უ૕↱᧪
᧪DNAᢿ 1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11
1 12 13 14 15 16 17
7 18 19 20 21 22 X Y
図 1 胎児由来と母体由来の各染色体 DNA断片の割合(MPS法12))
生命倫理・医療倫理の最前線
片数の違いを解析して,胎児の数的染色体異常
を統計学的に予測するものである.
NI
PTが出現するまで非確定的検査の代表で
あった母体血清マーカー検査では,本邦におけ
る代表的な妊娠三半期中期検査であるクアトロ
テストTMにおいて,21トリソミーおよび18ト
リソミーでの感度 s
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ns
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(罹患者のなかで
検査陽性となる割合,陽性一致率)は 81
~86%
と 77%,特異度 s
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(非罹患者のなかで
検査陰性となる割合)は 91
~95%と 99%であ
り,陽性的中率 po
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(結果
陽性のなかで実際の罹患者の占める割合)は 2%
PTでは,米国を
と 12%であった 5)12).一方 NI
含めた世界 27施設での計 1988例を対象とした
コホート研究の結果,21トリソミー,18トリソ
ミーおよび 13トリソミーの感度と特異度は,そ
れぞれ 99.
1%と 99.
9%,100%と 99.
6%,91.
7%
13)
と 99.
7%であった .一部マスコミによる「妊
婦血液でダウン症診断,精度 99%」14)の報道は,
この 21トリソミーの感度,特異度を指していた
ものである.
実際の臨床の場で,検査結果の解釈の際に重
要とされるものは陽性的中率と陰性的中率(検
査結果陰性のなかで実際の非罹患者の占める割
合)であると考えられる.MPS法による NI
PT
では,年齢という母集団の変化があった場合で
も陰性的中率はほぼ 100%に近い値であり,こ
の検査で陰性を示した場合は,ほぼ 21
,18
,13
トリソミーはないものと判断され,高齢等のハ
イリスクであるがゆえに,今までは羊水穿刺等
の侵襲的検査が施行されていたものが,この陰
性結果をもって回避されるという大きなメリッ
トが生まれる.一方で陽性的中率は母集団の罹患
率が大きく影響することが知られている.具体的に
は,21
トリソミーに限ると,罹患率 1/
100
(年
齢 38~39歳の妊娠初期に相当)の場合は陽性
的中率が 90%以上となるが,罹患率 1/
300
(年
齢 34~ 35歳に妊娠初期に相当)の場合は約
75%に,罹患率 1/
1000
(妊婦年齢 20歳台)の
場合は約 50%に低下する.この点が一部マス
コミ報道での「精度 99%」と大きく乖離すると
ころである.ゆえに結果が陽性であった場合で
569
も,その後の侵襲的検査での確定診断が必要と
なる.
検査施行時のその他の留意点としては以下の
項目があげられる.
1.現在施行されている NI
PTで判定できるの
は13番,18番,21番常染色体の数的異常のみ
で,確定的検査(羊水・絨毛検査など)によっ
て判明する染色体異常のおよそ 60%にすぎ
ない(ただし対象疾患は今後変化する可能性
あり)
.
2.20歳台等のローリスク妊婦や多胎妊娠に
対しては,その妥当性の評価がまだ十分では
ないために提供されるべきではない.
3.陰性的中率は 100%ではなく,少ないが偽
陰性があり得る.
4.検査結果の判定保留 no
ti
nf
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eが全体
の 0.
9%にみられる.
現在,米国では先の Se
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m社に加えて,
Ve
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a社の計 4社が NI
PTを確立してサービスを提
供している.Se
q
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no
m社 Ma
t
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ni
TTM PLUSは
13
,18
,21番染色体に加えて,2013年 2月から
性染色体に対する検査を,2013年 10月から16
番染色体,22番染色体のトリソミーおよび微小
欠失(22q
11
,5p
,15p
,1p
)に対するサービス
TM
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h社 Ve
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Te
s
t
を開始している10).Ve
は,MPS法を用いて,13
,18
,21番染色体お
よび性染色体に対する検査 15)を 2012年 3月から
TM
開始している.Ar
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PT16)を,2012年 5月から開始している.
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からサービス提供を開始している.
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ヒトにおける PGDの歴史は,1990年 Ha
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570
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婦に対して,体外受精によって得られた胚の Y
染色体上の特異的反復配列である DYZ1の有無
を調べることによって男児となる可能性が高い
胚のみを選別した 18)ことに始まる.その意義
は,初期胚の遺伝学的情報を診断し,異常と診
断された受精卵を廃棄することによって疾患の
伝播を防ぐことにあり,その結果人工妊娠中絶
術を回避出来ることが開発の原点となった.こ
れら技術の背景には,それまでの畜産学の基礎
研究が大きく貢献しており,特にウシの繁殖に
おける産み分けの技術がほぼ完成された後に,
ヒトへの臨床応用へと発展していった.本邦で
は 1998年 10月に日本産科婦人科学会が「着床
前診断に関する見解」を発表し,2004年に Duc
he
nne型筋ジストロフィーに対して初めて施行
され,妊娠,分娩に至った.
現在,本邦における PGDは,日本産科婦人科
学会会告(改定)
「着床前診断」に関する見解 19)
が公開され,これに準拠して実施されている.
葉一郎
見解では PGDは臨床研究として行われ,対象
疾患は,成人に至るまでに強い生活制限をうけ
る重篤な遺伝性疾患に限られている.しかし,
近年,生殖補助医療技術の進歩,流産の反復に
よる身体的・精神的苦痛の回避を強く望む社会
的な要請の出現に伴い,慎重な議論の末,2006
年には,それまでの単一遺伝子病に加えて染色
体転座に起因する習慣流産が審査の対象となっ
た.以下に現在本邦で PGDが承認されている
疾患を記す.
1.Duc
he
nne型筋ジストロフィー
2.筋強直性ジストロフィー
3.副腎白質ジストロフィー
4.福山型先天性筋ジストロフィー
5.ピルビン酸脱水素酵素欠損症
6.オルニチン・トランスカルバミラーゼ欠損
症
7.ミトコンドリア遺伝子病の Le
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h脳症
8.均衡型染色体構造異常に起因する習慣流
オーク住吉産婦人科院長多田佳宏博士のご厚意による
図 2 顕微授精と胚生検 ①顕微授精 ② 8細胞期胚 ③胚盤胞 ④胚生検
生命倫理・医療倫理の最前線
産・反復流産
実施に際しては,同じ疾患名でも罹患者ごと
に症状の重症度が異なることから,家系内の罹
患者の病態に基づいて事例ごとに審査すること
になっている.審査は 2段階からなり,各実施
施設における倫理委員会で審議され,承認され
た事例を日本産科婦人科学会に倫理審査申請を
行い,その事例についての施設承認を経て実施
される.
一方,海外における PGDでは,染色体異常時
の妊娠や流産を防ぎ,体外受精の妊娠成績を向
上させ得る点から意義があるとの考え方から,
統計的にもその多くが染色体スクリーニング目
的で施行されている 20).これは本邦で遺伝子疾
患の保因者に対して行われている狭義の PGD
に対して,初期胚に多く発生している染色体の
数的異常に対してスクリーニング検査を行う目
的で実施される着床前スクリーニング pr
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別されている.わが国では(改定)
「着床前診
断」に関する見解 19)の文言「診断する遺伝情報
は,疾患の発症に関わる遺伝子・染色体の遺伝
学的情報に限られ,スクリーニングを目的としな
い」にもあるように,PGSは認められていない.
PGDの実際の過程は,排卵誘発,顕微授精を
含む対外受精,初期胚からの生検,生検胚から
の遺伝子・染色体診断,胚移植からなる(図 2
)
.
妊娠成立に至るまでは,良好な成熟卵子に対し
て顕微授精を施行し,受精成立後に良好な胚発
育が得られ,そのわずかな単一細胞を取り出し
遺伝情報を解析することが必要となってくるこ
とから,高度な技術と高い精度が要求される.
生検細胞としては,受精 2日目の 4細胞期胚や3日
目の 8細胞期胚が主に採取される 21).またそれ
以外に,極体 20)や,近年では受精 5日目の胚盤
胞の栄養外胚葉 22)からより多くの胚細胞を生検
することも行われている.生検単一細胞から遺
伝子情報を取り出す基本診断技術として,遺伝
子病に対しては 2回の PCRを実施する ne
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PCRによる遺伝子増幅を行い,染色体異常に対
しては,細胞周期を分裂中期に合わせることが
困難なことから間期細胞に対して FI
SH法を用
571
いてきた.FI
SH法は細胞固定が不安定であり,
シグナル検出が不確実なことが問題であった
が,近年遺伝子増幅法の開発により単一細胞か
ら安定的に全ゲノム増幅が可能となり,新たな
技術として a
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CGH)による解析が可能となった 23).
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CGH法は全染色体の構造異常を含めた網羅的
解析を可能とし,さらに検査を自動化できる利点
がある.しかし結果として検査対象である構造
異常以外の染色体情報を得ることも可能とな
り,情報の開示には十分留意することが必要と
される.
PGDの利点を以下にまとめると,
1. 妊娠成立の時点で,胎児は両親の罹患もし
くは保因する遺伝的疾患がないことが確定し
ているので,両親は不安なく妊娠を継続でき
る.
2. 習慣流産の染色体均衡型構造異常保因者
の場合,妊娠成立後の流産率の低下が期待で
きる.
3. 罹患胎児あるいは染色体不均衡型胎児の
妊娠中絶の選択や繰り返す流産による身体
的,精神的苦痛を避けられる.
が挙げられる.一方で,施行に際しての留意
点,問題点として以下の項目が挙げられる.
1.受精卵から侵襲的な方法で割球を採取する
ことによる胚や児への影響が否定できないこと
から,出生後も児の成育についてフォローが必
要.
2.異常(変異遺伝子を継承)と診断された受
精卵が廃棄され,この行為が中絶と類似した
行為であるとする考えがあること.
3.PGD予定者の家系内に罹患者が存在する
ことが一般的だが,遺伝子解析をする際に
は,その罹患者の遺伝情報の開示の協力を仰
ぐ必要が生じてくること.
4.単一細胞から抽出した DNAを無作為に全
ゲノム増幅した結果,クライエントの有する
構造異常の部分以外の染色体情報も得ること
になり,これら情報の開示には留意が必要と
なる.
5.患者に過排卵処置や生殖補助治療による心
藤
572
原
身の負担や経済的負担を課すこと.
これら留意点に加えて,現在わが国で行われ
ている PGDでは,均衡型染色体構造異常の保
因者と予め診断されている場合でも,流産経験
がない事例は対象外としている.流産頻度が高
くなることはわかっているにもかかわらず,実
質的には PGDは施行できない.このような例
も含めて,日本産科婦人科学会が定める適応審
査に不承認となった例,あるいは不承認になる
であろうと思われる例が,PGDを断念できず,
その可能性を海外に求めることも少なくないと
される.PGDの適応も含めて,これらクライエ
ントをサポート出来るような法的(あるいは倫
理指針)整備も今後の急務であろう.
お わ り に
母体血中に胎児由来細胞が存在することは以前
から指摘されていたが,NI
PTはこれら胎児由来
文
1)日本産科婦人科学会.出生前に行われる遺伝学的
検査および診断に関する見解.日産婦誌 2014;66:
4651
.
2) 日本医学会.医療における遺伝学的検査・診断に
葉一郎
細胞のなかで c
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よって染色体異常を診断する方法で,精度は高
いがあくまで非確定的検査である.これに対し
て,母 体 血 中 の 胎 児 由 来 有 核 赤 血 は who
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子情報を臨床応用しようとする試みが始まって
いる.近い将来非侵襲性で,かつ確定的な出生前
診断検査が確立される可能性がある.また
PGD施行後の妊娠率は 20~25%であるが,生
殖補助医療・遺伝子解析技術の開発によって,
更なる妊娠率の向上が期待されている.PGD
も含めた出生前診断は,今後もわが国で急速に
普及していくであろうが,検査に対する倫理指
針も含めた体制の整備と,検査前後の遺伝相
談,遺伝カウンセリングの必要性はますます増
大していくであろう.
開示すべき潜在的利益相反状態はない.
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3)遺伝医学関連 10学会.遺伝学的検査に関する
ガイドライン 2003年 8月 www.c
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5)ラボコープ・ジャパン合同会社.母体血清マー
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追跡調査.2011
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生命倫理・医療倫理の最前線
573
監訳福嶋義光メディカル・サイエンス・インターナ
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14
)妊婦血液でダウン症診断国内 5施設精度 99%,来
月から.読売新聞.朝刊 2012.8.29
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)末岡浩,吉村 典.出生前診断の方法と意義着床
前診断. 臨産婦 2012;66;11261133
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藤
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原
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著者プロフィール
藤原葉一郎 Y
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所属・職:地方独立行政法人京都市立病院機構・産婦人科部長
略
歴:1984年 3月 京都府立医科大学卒業
1984年 4月 京都府立医科大学産婦人科学教室研修医
1988年 4月 京都府立医科大学産婦人科学教室修練医
1992年 4月 国立舞鶴病院産婦人科医長
1994年 4月 京都府立医科大学産婦人科学教室助手
1997年 4月 京都府立与謝の海病院産婦人科医長
2000年 4月 京都第一赤十字病院産婦人科医長
2006年 4月~現職
2008年 5月~京都府立医科大学臨床教授
専門分野:産婦人科感染症、産婦人科遺伝学
81:
435440.
主な業績: 1.藤原葉一郎.クラミジア感染症の診断と治療.産と婦.2014;
2.藤原葉一郎.女性性器におけるマイコプラズマ感染症の臨床的診断意義の検討 日性感染症誌
2013;24:110115.
3.藤原葉一郎.性器ヘルペス.岩破一博編.女性性器感染症.大阪:医薬ジャーナル社,2012;128143