6年 道徳実践事例 1.主 題 名 2.指導時期 3.目 標 誠実な心 (資料名『手品師』1-(4) ) 4~7月、9~12月、1~3月 ○男の子との約束を守った手品師の思いを理解することを通して、誠実 に生きることの素晴らしさに気付く。 4.指導にあたって 高学年の段階においては、自分に対する誠実さが一層求められる。しかし、どうするべき か心の中ではわかっていても、周囲の目や状況に引きずられて自分の心とは反対の行動を とってしまうことも少なくない。また、自分に対して誠実に生きようとしても、他者のこと も考慮しなければ、独りよがりな行動になってしまいかねない。そこで、他者や集団の幸福 を考慮しつつ、表面上の利害得失に左右されることなく、自分に対しても他の人に対しても 良心に従って行動することが大切であることに気付かせたい。 資料「手品師」は、腕はよいが売れない手品師が、偶然に出会った一人の貧しく寂しい境 遇にある男の子に手品を見せ、喜ばせる。翌日にも会うことを約束するが、その夜、友人か ら大劇場出演の誘いを受け、 「大劇場出演」という自分の夢の実現と「男の子との約束」の間 で苦悩する。そして迷った末に友人の誘いを断るという話である。 指導にあたっては、まず手品師の仕事がどういうもので、どんな夢をもっているのかをしっ かりとらえさせておく。つぎに「大劇場出演」と「男の子との約束」とのどちらを選ぶか選 択させ、その理由をワークシートに書かせる。その後、さまざまな考えを出させて手品師の 心の葛藤の深さを感じ取らせたい。そのうえで、この手品師が男の子との約束を選択するこ とで何を大切にしようとしたのかを考えさせ、ねらいに迫る。最後に手品師に手紙を書くこ とで、自分の生き方を振り返り、これからの生き方に生かせるようにしたい。 こ の単元での基本重要語彙 誠実 正直 約束 ○ 主人公の心情を想像して、書いたり発表したりする。 ○ 多様な考え方やものの見方を交流し合い、道徳的価値につ この単元で重視した言語活動 いての考えを深めたり、見つめ直したりする。 ○ 自分の生き方について考えたことを書いたり、発表したり する。 5.本時の展開 学習活動(活動のねらい等) 1.手品師の仕事につい て知る。 指導上の留意点(児童の意識の流れ) ・手品を見たことがありますか。手品師は、 どんな夢をもって手品をしていると思い ますか。 ・テレビで見たことがあります。 ・たくさんの人に見てほしいと思っている と思います。 2.資料「手品師」を読 ○資料は、場面ごとに区切って提示する。 み、主人公の気持ち や考えについて話し 合う。 男の子と約束した ときの手品師の気 ①男の子と約束をした とき ○男の子を見過ごすことができなかった手品師の気 持ちを想像する。 持ちを考えさせ、手品師の人柄をとらえさせる。ま 一人の発表を受け た男の子の喜ぶ様子にも着目させる。 て、同じ思い、異 ・手品師は、どんな思いで男の子と約束し たのでしょう。 なる思いを発表し 合う。 「~さんと同じ ②友人から大劇場出演 の誘いを受けたとき 【ワークシート①】 「手品師〔1〕 」 ・自分の手品をこんなに喜んでくれたと いう気持ちからだと思います。 で、ぼくも~と思 ・明日も元気付けてあげたいと思ったか らです。 どうですか。 」 ・どうせ暇なのだし、また見せてあげよ うと思ったのだと思います。 て、わたしは~と ○判断理由に焦点を当てて、手品師の心の葛藤につ いて深く考えられるようにする。 ・手品師は、どちらを選ぶと思いますか。 また、それはどんなことを考えたからで しょう。 います。~さんは 「~さんと違っ 思いました。 」 手品師のとる行動 を予測させる。 その際、黒板に児 童の名前札を貼る などして、だれが、 どちらの立場に 【大劇場へ行く】 立っているか、 ・ずっと夢だったから。 個々の判断が明確 ・大勢の人を喜ばせたい。 にわかるようにし ・お金をもらえる。 ておく。 【男の子のところへ行く】 その後ワークシー ・男の子との約束が先だった。 ・男の子をほっておけない。 ・チャンスは、またやってくるさ。 トに、なぜその立 場に立ったのか、 理由を書かせて、 話し合い活動に生 かす。 ③友人の誘いをきっぱ ○手品師が男の子を喜ばせることだけでなく、自分 りと断ったとき 授業の山場となる 自身の心のあり方(生き方)を大切にしようとした 話し合い活動であ ことに気付かせる。 る。 友達の発言との共 ・手品師が、男の子との約束を守ることで 大切にしようとしたものは何でしょう。 通点、相違点を意 識しながら聞くよ うにする。 ・自分の信じた生き方をしようとすること は、人間として大切なことだから。 友達の多様な考え 方やものの見方を ④男の子の前で手品を ○自分に誠実に行動した手品師の充実感に迫るよう 披露しているとき にする。 交流し合うこと で、価値について ・手品師はどんな気持ちでしょう。 の考え方を深めた り、自分の生活を 見つめ直したりす ・ 「これが自分らしい生き方だ」という、 すがすがしい気持ちだったと思います。 る。 ・ 「自分の良心を裏切ることはできない」 授業を通して、 ・わかったこと 3.手品師に手紙を書く。 ○手品師に手紙を書くことで、自分の生き方を見つ める。 【ワークシート②】 ・今までの自分 ・自分の生活を振り返って、手品師から学 んだことを書きましょう。 「手品師〔2〕 」 ・考えたこと ・これからの自分 という観点で書 く。 板書例 ○ ・ 自 分 の 良 心 を 裏 切 ら な く て よ か っ た 。 ・ 「 こ れ が 自 分 ら し い 生 き 方 だ 」 と い う す が す が し い 気 持 ち 男 の 子 の 前 で 手 品 を 演 じ て い る と き ○ ・ 自 分 の 信 じ た 生 き 方 を し よ う と す る こ と 男 の 子 と の 約 束 を 守 る こ と で 大 切 に し よ う と し た こ と 拍手を受けることを想 像したイラスト ・ チ ャ ン ス は ま た や っ て く る 。 ・ 男 の 子 を 放 っ て お け な い 。 ・ 約 束 が 先 だ っ た か ら 。 男 の 子 の と こ ろ へ 行 く ・ お 金 を も ら え る 。 ・ 大 勢 の 人 を 喜 ば せ た い 。 名 前 札 ・ ず っ と 夢 だ っ た か ら 。 ○ ○ 大劇場で、手品をして 大 劇 場 へ 行 く 友 人 か ら 大 劇 場 出 演 の 誘 い を 受 け た と き ・ ど う せ 、 ひ ま だ か ら 明 日 も 会 っ て 、 元 気 づ け た い 。 ・ 自 分 の 手 品 を こ ん な に 喜 ん で く れ た 。 男 の 子 と 約 束 し た と き 手 品 師 の 気 持 ち や 考 え を 話 し 合 お う 。 大 劇 場 の ス テ ー ジ に 立 つ 夢 を も っ て う で を み が い て い る 。 う で は い い が 、 あ ま り 売 れ な い 手 品 師 手 登 品 手 場 師 品 人 師 物 小 さ な 男 の 子 ( 手 品 師 の ) 仲 の よ い 友 人 ワークシート活用のポイント 【道-6年 ワークシート①】 ◎ げきじょう 男の子のところへいく 大 劇 場 へ行く こんなチャンスは、2 度と来 ないかもしれない。 男の子には、手紙を書くこ ともできるし、有名になった を 考 え て 迷 っ て い た の で し ょ う 。 ら、劇場にしょうたいしてあ げることもできる。 友 人 か ら 、 大 げ 劇 きじ 場 ょう 出 演 の さ そ い を 受 け た 手 品 師 は 、 ど の よ う な こ と 6 年 「 手 品 師 」 〔1〕 組 名 前 ( 重視した言語活動 「主人公の心情を想像して、その 判断のもととなった思いや考え を書き、発表する」 「友達の多様な考え方やものの 見方を交流し合い、価値について の考えを深めたり、見つめ直した りする」 ) ○主人公が葛藤しているそのわけ を書き、話し合う。 【道-6年 ワークシート②】 手 品 師 さ ん へ ○ ○ ○ ○ よ り ○ 月 ○ 日 に 生 き た い な あ と 思 い ま し た 。 た 。 思 い や り が 深 く 、 人 と 人 と の 約 束 を 守 り 、 せ い じ つ わ た し も 、 手 品 師 さ ん み た い に な り た い と 思 い ま し す ね 。 ど ん な こ と が あ っ て も や ぶ る こ と が で き な か っ た の で 男 の 子 が 自 分 の 来 る の を 楽 し み に し て い る と 思 う と 、 と 来 な い か も し れ な い チ ャ ン ス だ か ら で す 。 で も 、 わ た し は 、 大 劇 場 の 方 に 行 く と 思 っ て い ま し た 。 二 度 ◎ 手 品 師 さ ん 、 あ な た は 、 す ご く や さ し い 人 で す ね 。 手 品 師 に 手 紙 を 書 い て 知 ら せ ま し ょ う 。 そ し て 、 こ れ か ら ど ん な こ と を 大 切 に し て 生 き て い き た い と 思 い ま す か 。 今 日 の 道 徳 の 学 習 「 手 品 師 」 か ら 、 ど ん な こ と を 学 び ま し た か 。 6 年 「 手 品 師 」 〔2〕 重視した言語活動 「自分の生き方について考えた ことを書く」 組 名 前 ( ) ○今までの自分、これからの自分 の生き方を考え、手品師に手紙 を書く。
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