特別広報企画 日経情報ストラテジー主催 ビジネスアナリシスセミナー Review 『 「米国の称賛される会社」の 優れた手法 /風土に学ぶ』 日経情報ストラテジーは 5 月 28 日、 都内で「業績良く働きやすい『米国の称賛される会社』の手法 / 風土に学ぶ」 と題した経営セミナーを開いた。コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニー・ジャパンの森光威文パー トナーは、同社の独自調査を引きながら「顧客ロイヤルティの高い企業は、顧客と長期的に良好な関係を結び、 業績向上も実現する」と分析。同社などが開発した顧客ロイヤルティの測定指標「NPS(ネット・プロモーター ・ スコア) 」の原理や業績との相関、その活用方法について講演した。 CSを経営における重要なKPI(業績 にNPSを導入する企業が増えており、日 評価指標)と位置づける企業は多いが、 本でも徐々に普及してきている。 現実にはCSが業績と直結するとは限ら 価値を感じるポイントを分析する ない。かつて米国の通信業者が、自社と ただしNPSの値を算出することが目 の契約を打ち切った顧客について、過去 の顧客満足度(CS )を調査した。すると 的ではない。背景にある顧客の期待を その 8 割が、半年前には同社のサービス 読み取り、それを超える価値を様々な接 に「満足して」いたという事実が明らか 点で提供してこそ、顧客との関係を強化 になったという。 し、長期的な成長を実現できる。 CSが「ある時点で、顧客の期待を満 当社では 2006 年と 2012 年に日本の ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン パートナー 森光 威文氏 主要企業のNPSを調査した。この間に 顧客との長期に渡る関係の強さを示す 顕著にNPSが改善したのがコンビニエ のが「顧客ロイヤルティ」という概念だ。 る割合を算出。そこから、下位 7ランク ンスストア業界だったが、推奨度を評価 米ボストンに本社を置く当社は、30 年 の「デトラクター (批判者) 」の割合を引 する上で重要な項目は大きく変わってい 近くにわたり顧客ロイヤルティについて いた値がNPSとなる(下の図参照) 。 た。2006 年に重要項目として最も多 調査を重ねてきた。様々な測定手法や 推奨者である顧客は、商品やサービス く挙げられたのは「品 指標を検討した結果、最も業績と相関 を長期に渡って利用し、友人や知人に推 2012 年には「商品の質」になった。 たしているか」を表す概念だとすれば、 え」だったが、 が強いと判断したKPIがNPS(ネット・ 奨してくれる。当社の調査・分析の結果、 顧客のニーズの変化に対応するうえ プロモーター・スコア)だ。 NPSでトップ 25%に入る企業群の年間 では、競合他社のNPSと比較し、戦略的 NPSの測定に当たっては、 「当社を友 平均成長率は、それ以外の企業の 2 倍以 課題の特定や戦略上の優先順位付けを 人や知人に薦める可能性はどのくらいあ 上だった。プロモーションやチャネル奨 行うトップダウンのアプローチと、現場 りますか」という質問を顧客に投げかけ、 励金等の新規顧客獲得に必要なコスト にNPSのスコアと顧客の生の声をフィ 可能性の高さを11 段階で評価してもら が少なくて済むので、コストポジション ードバックして改善の打ち手を考え、そ う。上位 2ランクの顧客を「プロモータ でも競合より優位に立てる。 の成果を再びスコアで検証するボトムア ー (推奨者) 」と定義し、その全体に占め こうしたメリットが理解され、世界的 ップの組織学習の双方が欠かせない。 全社的な意思決定をするための共通言 語としてもNPSは有効に機能する。 究極 の質問 こうしたネット・プロモーター 「システ 「この企業(あるいは製品、サービス、 ブランド) を友人や同僚に 薦める可能性はどのくらいありますか?」 可能性が 可能性が 非常に高い 非常に低い 0 1 2 3 デトラクター 4 5 6 7 8 パッシブ (中立者) 9 10 プロモーター (批判者) (推奨者) NPS=(プロモーターの割合) − (デトラクターの割合) ム」を確立することこそが、今後企業が 真に取り組むべき課題といえよう。 お問い合わせ ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・ インコーポレイテッド TEL:03-6267-4880(マーケティング直通) URL:http://www.bain.co.jp
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