日本食品科学工学会第 56 回大会 卵白タンパク質の加熱変性に及ぼすpHの影響 キユーピー(株)研究所 半田明弘 【目的】卵白の加熱ゲル形成機能は畜肉加工品や魚肉すり身加工品など幅広く食品に応 用されている。様々な pH 下での卵白タンパク質の加熱による凝集様式の解明を目的と して、卵白タンパク質分子レベルでの変性機構を検討した。 【方法】卵白に等重量の水を加え不溶物を遠心分離にて除去し、pH3.0、5.0、7.0、9.0、 11.0 の 20mM クエン酸-リン酸緩衝液中、0.1%タンパク質溶液を調製した。試料を試 験管に分注し 25℃から 95℃まで 1.5℃/分の速度で昇温加熱し、所定の温度に到達し た時点で試験管を氷水につけ室温に戻し、濁度、表面および総SH基の測定および SDS-PAGE 分析を行った。さらに、昇温加熱させながら円偏光二色性分散(CD)を測 定した。 【結果】濁度は pH5.0 と 7.0 にて昇温と共に増加したが、これは卵白主要タンパク質の オボアルブミンとオボトランスフェリンの等電点がそれぞれ 4.5 および 6.1 であること に起因すると推察された。pH3.0 では、pH9.0、11.0 と比較して、表面SH基の増加、 すなわち三次構造の変化が昇温の早い段階から認められたが、この傾向はCD分析結果、 すなわち昇温による二次構造の変化傾向と一致した。総SH基は、pH9.0 までは、pH が 高いほど昇温による減少が大きく、多くのSS結合の生成が示唆されたが、pH11.0 で はSS結合解裂のためか昇温により増加した。以上より、pH により卵白タンパク質の 凝集機構が異なることが推察された。
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