飛躍を目指して新たなチャレンジ 創・新潟宣言Ⅱ ∼新潟の戦略から日本が変わる∼ 2012年10月 ひろひこ いずみだ裕彦 夢おこし戦略プランの展開 ∼新潟の戦略から日本が変わる∼ 総 論 これまで2期8年の県政運営に当たり、選挙公約を反映した「夢おこし」政策プランを 策定し、重点的に取り組む政策目標を明示するとともに、その実現のための政策・施策の 方向を示し、また、着実に取り組みを進めてきました。 この間、財政面については資産の流動化等による新たな財源の確保を図り、予算編成過 程の透明化に努めてきました。震災や水害等度重なる災害への対応を行いつつも、県政史 上初めて実質的に公債残高が減少し、公債費も来年度にはピークアウトします。また、財 源対策的基金については、中越沖地震への一時的な対応が必要な時期を除いて着実に確保 してきました。加えて、永年の懸案である病院事業会計や佐渡汽船も黒字に転換しました。 県債残高は減少すれば良いというものではありません。今後、これまで積み重ねてきた 成果を踏まえ、バランスシートを考慮のうえ、将来の税収、人口、就業機会の増加や子育 てや教育環境の改善等に向けた県による出資の強化など投資を積極的に行っていきたいと 思います。国全体を覆う閉塞感を本県から打破するために、新たなチャレンジを行ってい きます。 本県は、食料、エネルギー分野や、北東アジアとの表玄関としての地理的優位性などに おいて大きな強みがあります。私は、そうした本県の強みを活かし、将来、県民所得の向 上や人口の増加、雇用の拡大をもたらす取り組みを進めていきます。 「一歩前に踏み出す ことによって明日を拓く」という思いを県民の皆様が持ち、とりわけ若い人が希望を抱き 未来を描くことのできる地域社会、努力すれば報われる地域社会づくりを目指して県政運 営を推進し、明日の新潟県の飛躍に向け、引き続き全力を挙げて取り組みます。 「夢おこし」政策プランについて昨年行った県民意識調査では、プラン策定時の平成18 年と比較して、県民の皆様からの評価は、概ね全ての項目で改善しています。しかしなが ら、評価の水準は様々ですので、今後も課題を深掘りしながら、 「夢おこし」政策プラン についてPDCAサイクルを回し継続的に改善を図り、県民の皆様から評価していただけ る施策を展開していきたいと思います。 そのためには、現場に目を向け、行政サービスを提供する側としての見方ではなく、行 政サービスを受ける側から見た場合にどうなのかということを、常に意識することが重要 です。縦割り組織の弊害を無くし、組織の壁を超えた柔軟な取り組みを更に進めます。 今後、国全体の中で地域主権、地方分権改革をどのように進めていくかが大きなテーマ になります。大都市制度問題の議論が更に進み、そして実践が進んでいくものと思います。 本県においても、二重行政を排し県民の皆様から見て行政組織の壁を超えていく、そうし た取り組みが期待されていると考えています。道州制への対応も視野に、新潟県全体の拠 点性の向上や、国からの権限移譲の受け皿づくりへの対応を進めていきます。このため、 様々な政策課題を市町村と調整する場の設定をいたします。 1 引き続き、 「将来への展望を切り開く地域経済の自立」 、「安心・安全で、一人ひとりが 大切にされる社会の実現」及び「地域主権・財政構造改革の推進」の3つの柱を基本とし ます。 2 1.将来への展望を切り開く地域経済の自立(産業夢おこしプラン) 産業は、福祉の糧と言われます。そして、新潟県の未来の夢をはぐくむ力の源泉です。 その考え方の下、産業の高付加価値化を推進してきましたが、リーマンショック以降、厳 しい経済環境が続く中、政策プラン評価委員会で「やや遅れている」との中間評価を受け た政策もあるところです。その一方で、成長分野の産業育成、 「強み」のさらなる強化な どに取り組む中で、有力企業の誘致のほか、特色ある様々なビジネスの芽も産まれてきて います。 今後さらに、新エネルギー、健康や食に加え、航空機やパワードスーツ、電気自動車な ど新たな成長が見込める分野などを念頭に、民間がチャレンジできる環境を整えながら、 高い利益を生み出す「金の卵を産むニワトリ」を育てることにより雇用の創出を図り、明 日の新潟の飛躍につなげていきます。加えて、農業、建設業という地域の基幹産業を振興 します。 新潟が中国をはじめとするアジアの成長セクターに近接する日本海側の中核となるよう 取り組みを進めます。また、産業振興を行うとともに、「観光立県」を目指し、ふるさと 新潟を創生します。 ○地場産業育成に取り組みます 機械や金属加工、生活関連産業など、本県の得意とする分野において、地場産業をはじ め優良なビジネスの種を育んでいる中小・零細企業が数多く存在します。地場製品につい て、需要創出や受注確保のための取り組みを支援するとともに、県庁による調達をさらに 拡大することにより、地場企業の夢を実現するお手伝いを最優先で実施します。 ○中小企業の経営安定を支援します 県内経済は、異常な円高水準やデフレが解消されるという見通しが立たないことに加え、 海外経済の不透明感から、下請け中小企業を中心に、先行きへの不安が強まっています。 金融面でのセーフティネットに万全を期しながら、需要創出や受注確保への支援、収益確 保できる取引ルールの確立、公共調達の拡大等により、地域の雇用と経済の担い手である 中小企業の振興を図ります。 ○産業の高付加価値化を進めます 健康、福祉、医療、食品などの成長が期待される分野における国内外での市場を創出す るため、知的財産の活用・標準化の推進、新規創業・第2創業の支援、設備投資の促進、 販路開拓支援を進め、産業の高付加価値化を図ります。 ○新潟版グリーンニューディール政策の取り組みを加速させます 災害時に強みを発揮する分散型の再生可能エネルギーを増加させていくべきであり、次 代のエネルギー・産業施策の選択の幅を拡大させ、将来にわたって持続可能な循環型社会 の形成を目指して、新潟版グリーンニューディール政策の取り組みを加速させていきます。 加えて、我が国のエネルギー安全保障の観点からも、幅広い産出国から石油・LNG等 3 の受入れに向けた取り組みを積極的に推進します。また、メタンハイドレートの開発促進 等新たな資源開発に向けて取り組んでいきます。 ○農林水産業を支援します 農林水産業は、本県産業の中で最も付加価値を大きく伸ばす可能性があります。農業従 事者の高齢化等の進展や農林水産物価格の低迷などの状況下においては、経営基盤の強化 を進めながら、企画・販売力やブランド力の向上等により「経営体の所得確保」を重点的 に推進していく必要があります。 そのため、6次産業化の取り組み支援や本県農業をリードする先導的経営体の育成、所 得保障制度の実証のほか、区分集荷・販売による新潟米ブランド力の向上、米粉の需要拡 大、越後姫や新潟茶豆の生産体制の強化、越後杉の需要拡大、水産業における資源管理等 を加速させる取り組みを進めます。 また、若者の営農を重視し、専業農家及び山村小規模農家を大切にします。中山間地域 振興対策としての農業施策を充実するとともに水産業及び林業の振興を行います。 さらに、地域の食資源を活かした都市と農山漁村の交流促進の取り組みも進めていき ます。 ○新潟のブランド化と広報の一元化を進めます 「健康・環境」や「安全・安心」に対するニーズに対応した製品・サービスや農林水産 物、新潟らしい食・文化・資源など、国際市場で勝てる新潟ブランドを構築・拡大し、消 費者との間にゆるぎない信頼を築き上げることにより付加価値向上につなげていきます。 このため、企業誘致広報、農産品紹介、観光イベント紹介など個別に行われていた広報 機能を一元化します。 ○新潟が日本海側における交通網の結節点となるようインフラ整備を推進します 北東アジアとの経済交流などの玄関口として、また、国内における交流・交易の結節点 として拠点性を高めていくため、新幹線乗り入れも視野に入れた新潟空港へのアクセスの 改善や、新潟駅連続立体交差事業と連携した羽越本線高速化の取り組みを推進します。ま た、上越新幹線、北陸新幹線への直通運転化を目指すなど、新たな鉄道網の構築を進める とともに、並行在来線の継続的な経営と利便性の高いサービスの提供が可能となるよう支 援していきます。 「命をつなぐ高速道路」の役割を果たす日本海沿岸東北自動車道をはじめとした、規格 の高い道路ネットワークの整備を推進します。また、首都直下地震等に対応するため、災 害時における拠点機能の充実を図ります。 日本海側拠点港である新潟港・直江津港など港湾及び関連背後地を整備・機能強化する とともに、新潟港については荷主や船社に選ばれる競争力のあるコンテナターミナルとな るよう民営化の取り組みを進めます。 島民の重要な生活交通を担うとともに観光振興にもつながる離島の航路・航空路の充実 を図ります。 4 公共事業は、災害から県民の暮らしと命を守ることに加え、災害時に日本の経済活動を 維持するといった重要な機能を担っています。また、地域の経済・雇用を支え、都市と地 方の格差を是正する所得再配分機能として重要な役割を有しています。 このため、県による地元調達を一層推進し、地域の基幹産業である建設産業の経営基盤 強化と収益力向上を図り、各地域のニーズや課題等を踏まえ、地域バランスに配慮しなが ら、着実に公共事業を推進します。 また、人々に健康的で文化的な場を提供し、災害時に避難場所等としての役割を果たす、 公園・緑地等の公共施設の緑化を推進します。 ○北東アジア交流圏の表玄関化及び LCC(低価格航空会社)の誘致を進めます 日本海側拠点港となった強味を生かし、日本海横断航路など対岸諸国との航路の積極的 な開設・活性化や中国主要都市等への定期便(航空路)の就航に取り組むとともに、中国、 台湾、韓国、ロシアなどからの観光客誘致を促進します。また、首都圏等を後背地に持つ 特徴を活用した低価格航空路線の誘致を進めるとともに、交流の円滑化を図るため空港な どの手続きの利便性向上を図ります。 加えて、空港周辺の騒音等の環境問題を抜本的に解決し、運用時間の延長にも寄与する、 空港の沖合展開を国に働きかけます。 ○若年雇用対策に取り組みます 県営産業団地等の企業誘致や、新たな雇用の場を自ら創出する新規創業等への支援に取 り組むとともに、中小企業の経営安定、産業育成を通して、若年雇用対策を強力に推進し ます。 ○就労の機会を増加させるよう企業誘致を進めます 働く場と収入を確保し、税源の涵養を行って新潟県を自立させるため、トップセールス を行い、企業の多様なニーズに対応した誘致戦略により全力で企業誘致に取り組みます。 また、度重なる被災経験により培った本県の危機管理体制を活かし、防災のために本社機 能の一部を地方に持っていく企業の誘致に取り組みます。 ○スポーツ、文化、観光、コンベンション等を通じて交流人口の拡大を図ります 更なるスポーツの振興を図り、高齢者の健康づくりや子どもたちがスポーツに親しむ環 境づくりに取り組みます。あわせて、世界で活躍できるスポーツ選手の育成やスポーツ人 材の交流・定着に取り組むとともに、大規模スポーツイベントの誘致開催等により、交流 人口の拡大を目指します。そうした環境整備に向けて、鳥屋野潟南部スポーツ公園等の施 設の充実に加え、鳥屋野潟の改修等に取り組みます。 また、佐渡の世界遺産登録への取り組みや県民が芸術文化に親しむ機会の充実など、文 化的な魅力を高めます。 加えて、北陸新幹線開業を見据えた誘客の取り組みや、情報発信・インバウンド対策の 強化を実施するとともに、コンベンション施設の新たな設置を検討し、交流人口の増大や 地域経済の活性化に寄与するコンベンションや国際会議を積極的に誘致します。 これらを総合的に振興することにより、 「交流産業」を振興し、 「観光立県」を目指します。 5 2.安心・安全で、一人ひとりが大切にされる社会の実現 (くらし夢おこしプラン) 少子化・高齢化がこれ以上進めば、地域の活力は失われてしまいます。人は地域の活力 の原動力であり、産業を興すのも、生活を豊かにするのも人次第です。これまでの様々な 取り組みの成果により、人口の社会減は改善傾向にありますが、今後、更に減少幅を圧縮 する取り組みを強化します。 地球温暖化をはじめとした様々な環境問題に対応し、次の世代に安全で快適な環境を引 き継いでいくことが、現在を生きる私たちに求められています。環境に優しい社会、 持続 可能な循環型社会の形成を進めていきます。 中越大震災、中越沖地震や豪雪災害に加えて、東日本大震災、新潟・福島豪雨災害等、 様々な災害から得た経験・教訓を活かして、防災体制・危機管理体制の強化や防災意識・ 地域防災力の向上に取り組み、防災立県として全国をリードできる災害に強い社会システ ムを構築し、誰もが安心して暮らせる地域社会づくりを進めます。また、情報開示が不完 全で、事故原因の究明途上にある福島第一原子力発電所事故の徹底的な検証を行うととも に関係者に必要な対応を求めていきます。このため、柏崎刈羽原子力発電所については、 見切り発車的な運転再開議論は行いません。 安心・安全な社会の実現は、極めて重要な課題であり、 「弱い人に力と光を」与えるこ となしに安定した社会を構築することは困難です。行政運営にあたっては、県と市町村に とどまらず、県民の皆様や民間企業、NPO等とも、それぞれの役割分担を認識しながら、 共に手を携え、より良い、魅力ある地域社会づくりに取り組みます。加えて、女性の社会 参画の促進を支援し、女性が働きやすい環境整備に努めます。 これらの課題は、私一人で対応することは困難です。多くの皆さんや専門家を含む多く の方の意見を踏まえて、実施していきます。単なるコストカットでない、選択と集中によ る行政事務の効率化、県民参加型県政として引き続きこれらの行政を進めていきます。 ○拉致問題の全面解決に全力を尽くします 拉致はあってはならない国家犯罪であり、何としても拉致被害者を救い出し、日本の地 に戻さなければなりません。県民の生命・財産の保護は、知事が行わなければならない最 大の使命と考えます。拉致問題を決して風化させることなく、各都道府県や市町村、支援 団体との連携を一層強めながら、全面解決に向けて精一杯取り組みます。 ○危機管理体制の整備を更に進めます 昨年発生した東日本大震災やそれに伴う原子力災害、新潟・福島豪雨災害などを踏まえ た地域防災計画や防災施策の見直しを進めます。また、危機の発生に当たり迅速・的確に 対応できるよう、危機管理センターを拠点とした24時間緊急管理体制を確保し、市町村や 関係機関とも連携しながら、実効性のある防災体制の構築に取り組みます。 ○防犯対策及び災害に強いふるさとづくりを進めます 昨年の新潟・長野県境地震や新潟・福島豪雨をはじめ各地の災害の復旧復興に全力を尽 くします。また、県民の命と財産を守り、災害に強い安心な新潟県をつくるためには、 6 ハードとソフトの両面からの対策が必要です。災害を未然に防ぐ治山・治水・海岸保全等 の着実な整備と、災害や雪に強い道路ネットワークの形成を進めます。これら施設の維持 管理、維持補修を確実に行うとともに、施設・建物の耐震強化を進めます。地域の基幹産 業であり、除雪や災害対応に重要な役割を果たしている建設業と連携し、災害に強いふる さとづくりを進めます。また、ソフト対策として、的確な情報提供体制の整備や、家庭、 地域コミュニティ、企業等の防災力の向上を支援し、地域の防災力や防犯力の向上を図り ます。 ○オンリーワンの夢を叶える教育環境の整備を進めます 夢を叶えるための学力や技術の育成など、一人ひとりの個性や能力を伸ばし、将来の夢 につなげていく魅力ある教育環境づくりを推進します。 「米百俵」の精神に学び、県内私 立教育関係者と連携を強化し、教育立県を目指します。郷土を愛する心と将来の夢と希望 を育むキャリア教育や特色ある高校づくりに取り組みます。県内大学における地域社会で 求められる人材の育成や県立大学の充実など、個を伸ばす人づくり環境の創出に取り組み、 若者が希望を持って集う魅力的な教育の場の整備を進めます。加えて、進学率日本一の専 門学校群の更なる充実を促進し、次世代の人材育成を積極的に進めます。また、留学生の 積極的な受け入れを推進します。 文化活動、自主的なスポーツ活動や生涯にわたって学べる環境整備の支援や、世界で活 躍できるスポーツ選手の育成に取り組みます。加えて、子どもの自殺防止、いじめ見逃し ゼロ、不登校対策、障害のある児童生徒への相談支援など、諸課題に対応できるゆきとど いた教育環境を整備します。 県立武道館について、検討有識者会議により整備の必要性が認められたことから、諸課 題について調整を行いながら整備に向けた手続きに着手します。 ○安心して子育てをする環境を構築します 安心して子育てできる環境の整備を進めるためには、子育てに対する経済的支援と時間 のゆとり対策を充実させることが必要です。子ども医療費や不妊治療費への助成などの経 済的支援とともに、病児・病後児保育など子育て・保育の充実や、仕事と家庭の調和のと れた生活づくりに取り組みます。また、小児救急・周産期医療の体制整備や児童・生徒の 安全対策、いじめの見逃しによる深刻化を防止する対策を含めた教育環境の整備を進め ます。 ○共同参画社会の実現のため、女性の社会参画の促進や地域住民との協働を推進します 企業等での女性管理職増への誘導策を講じるとともに、NPO活動やボランティア活動 など、社会参加のための自主的活動を支援します。また、これまでも県の審議会等への女 性登用を確実に進めてきたところですが、さらなる女性の活躍が図られるよう、女性登用 率の向上を図ります。 ○食の安全と安心を確保します 県民の毎日の生活の基盤となる食の安全・安心を確保していくために、放射性物質検査 を含めた検査体制の整備と的確な情報提供をはじめ、安全な食品づくり、監視・検査及び 7 危機事案発生時の即応体制の整備を推進します。また、食育を通じて食の安全・安心に関 する知識を養う取り組みを進めます。 ○情報インフラを整備し地域格差を解消します 全戸高速ネットワークに接続できる環境が整備されたことにより、今後は、ブロードバ ンドの利活用の促進を図ります。また、次世代通信基盤の活用や、災害時の情報伝達など、 地域情報化を推進します。 ○地域医療を支える体制を拡充します 救命救急、がん医療、小児医療など安心・充実した医療システムづくりを行い、健康で 安心な生活を支えます。地域医療の確保に不可欠な医師及び看護師の不足と地域偏在の解 消に向けた総合的な施策を進めます。 (仮称)魚沼基幹病院の平成27年6月の開院に向け 着実に準備を進めるとともに、(仮称)県央基幹病院についても早期実現を図るため最大 限の努力をします。ドクターヘリの運航と併せ、日本海沿岸東北自動車道の整備を推進し、 救急医療体制の充実を図ります。 ○地域福祉を充実し、健康長寿社会を構築します 地域ぐるみで高齢者介護に取り組み、高齢者を見守り支え合う仕組みづくりを行います。 高齢者の自立と社会参加を支える環境を整備します。難病関連施策を充実します。障害福 祉施設へのアウトソーシングの推進や障害者の雇用促進の取り組みを通じて自立支援を進 めます。県民の平均寿命の延伸に加え、生活習慣の改善や介護予防の推進など健康寿命の 延伸を目指した取り組みを進め、健康長寿県日本一を目指します。 ○地球環境保全対策を強力に進めます 今年は、36年振りに自然界で新たなトキのヒナが誕生しました。この素晴らしい環境を 次の世代に伝えるため、環境と調和した持続可能な地域社会づくりに取り組みます。 全国で初めて導入された県版カーボン・オフセット制度の活用や電気自動車の普及推進 などにより、地球温暖化対策を総合的に推進します。中山間地域の森林や農地が地球環境 保全に果たす役割にも配慮しつつ、環境保全型の付加価値の高い農業の取り組みを進めま す。また、地域の特性を活かした再生可能エネルギーの導入拡大に向け、新潟版グリーン ニューディール政策の取り組みを加速します。 8 3.地域主権・財政構造改革の推進(地方自立夢おこし実行プラン) 私は、国、県、市町村の役割は、国は国家としての存立に関わる事務など本来国が果た すべきものに役割を限定し、主人公である住民に身近な行政は基礎自治体である市町村が できる限り幅広く担い、県は市町村ができない広域的・専門的な行政課題への対応や、市 町村の行政サービスが効果的に行われるようサポートやコーディネイトを行うべきと考え ています。 こうした役割分担の下、県は広域自治体として、国や市町村と積極的な連携を図ってい きたいと考えています。県内市町村の理解を得ながら、競争力ある新潟県づくり、国から の権限移譲の柔軟な受け皿づくりを目指す新潟州構想の合意形成に努めます。 今後、国の大都市制度の見直しや道州制に向けた動き等も睨みながら、本県が将来に向 けて競争力ある地域へと発展していくため、各地域が自らふさわしい制度を選択できるよ う、国に積極的に働きかけていきます。 現在の新潟県財政は、国の制度から様々な制約を受けておりその実力を十分に生かし切 れていません。資産を有効活用すること等により、財政構造改革を進めるため、地域主権 の推進、既存制度の改正を引き続き国に求めるとともに促進していきます。 ○市町村への権限移譲、行政の効率化を強力に推進します 住民に身近な行政サービスは、基礎自治体である市町村ができる限り幅広く担うべきで あり、市町村への権限移譲に積極的に取り組み、県・市町村を通じた行政全体の効率化を 推進します。 また、実績や努力が今まで以上に報われる給与体系を導入し、民間人材や過去の慣習に とらわれない能力重視の人事配置を進めます。 加えて、行政経営改革を進め、県庁の総合力を発揮できるようマネジメントに努め、 「県 民に愛される新潟県庁」を目指します。 ○県有資産の流動化等により、政策に必要な資金の調達を実施します 県有資産の流動化等、様々な方法により政策を実現するために必要な資金を確保します。 ○情報公開を更に積極的に進めます 全国市民オンブズマンの情報公開度ランキングで全国第1位の水準にある新潟県の情報 公開について、引き続き全国トップの水準を維持するよう積極的に取り組みます。 9 まとめ 「産業は福祉の糧」といいます。私は、これまで手がけてきた県勢発展に向けた数々の 取り組みが徐々に芽を出し形を成しつつある今、関係団体等の意見を伺いながら、これを 更にたくましく、大きく育てていきます。こうした取り組みを進めるに当たっては、市町 村とも十分に意思の疎通を図り、明日の新潟県を県民の皆さんと共に築きあげていきたい と考えています。 新潟から地方分権・地域主権改革の波を広げ制度間競争に勝ち抜く体制を作り上げてい く中で、本県の更なる飛躍と県民の安全安心な暮らしの実現に向けて最大限の努力をした いと思います。 10 政策指標一覧 目標値を達成するため、実質的な公債残高の減少幅を緩め、将来の税収、人口、就業機 会の増加や子育て、教育環境の改善等に向け、投資を積極的に行います。なお、目標値は、 県民の皆様からいただいたご意見等を踏まえ、見直しを行います。 1 総論(少子化時代の地域づくり) 政 策 指 標 現 状 目 標 △2,986人 (平成23年中) 平成28年まで減少幅を 圧縮する 1.[1] 人口の流入促進・流出防止 社会動態 1.[2] 出産・子育て・元気・長生き 対策 健康で充実した人生 を送っていると感じ る県民の割合 63.6% (平成23年度) 増加させる 「現在住んでいる地域 にこれからも住み続 けたい」県民の割合 78.7% (平成23年度) 増加させる 指 標 現 状 目 標 8兆4,231億円 (平成21年度) 平成28年度までの経済 成長率(名目)年2.1% 程度の成長を促すこと により、県内総生産9 兆5千億円を目指す 9兆4,620億円 (平成21年度) 増加させる 1.[3] くらしやすさの発信 2 産業夢おこしプラン 政 策 2. 産業夢おこしプラン 県内総生産額 県民可処分所得 2.[1] 企業育成の推進 製造業付加価値額 (注1) 県庁調達の実績 2.[2] 魅力ある農林水産業の実現 2.[3] 新潟のブランド化 1兆6,587億円 (平成22年) 工事請負 93.1% 役務調達 79.4% 物品調達 78.2% (平成23年度) 平成25∼28年までの増 加額133億円程度 増加させる 農業1経営体当たり の売上額 2,263万円 (平成22年度) 3,000万円以上を目指す (平成28年度) 学童等体験活動参加 者数(グリーン・ツー リズム誘客数) 199,068人・日 (平成23年度) 24万人程度を目指す (平成28年度) 「県産品」の認知度 ブランド化を目指す 農産物の産出額 (注2) 11 清 酒 56.4% 金属製品 43.9% き も の 22.8% ニット製ウェア 1.9% (平成23年度) 向上させる 104億円 (平成22年) 増加させる 政 策 指 標 現 状 2.[4] 若年者雇用・高齢者雇用対策 の強化 新規学校卒業者の県 内就職率 高等学校 91.8% 短大等 78.0% 大学 57.6% (平成23年度) 増加させる 高年齢者(55歳以上) の就職率 19.4% (平成23年度) 増加させる 障害者雇用率 本 県1.54% 全国平均1.65% (平成23年度) ・毎年、前年度の全国 順位を上回る ・全国平均を上回る (平成28年度) 障害者授産施設の作 業工賃 12,572円/月 (平成23年度) 21,000円/月 (平成28年度) 個々の事業所における 工賃向上計画を踏まえ 見直し 2.[5] 新潟空港の利用者数 北東アジア交流圏の表玄関化 (国際線) 目 標 183,782人 (平成23年度) 増加させる 新潟・直江津港にお けるコンテナ取扱量 (実入) 158,467TEU (平成23年) 増加させる 2.[6] 交通インフラの整備 交通インフラに関す る県内事業所の満足 度 42% (平成23年度) 増加させる 2.[7] 企業誘致の推進 重点対象分野の工場 立地件数(注3) 2.[8] 地域の魅力を高める文化・ス ポーツの振興 1年間に文化施設、 まつり・イベント等 を訪れる人の数 22,777千人 (平成22年度) 増加させる 大規模スポーツイベ ントの観戦者数 811千人 (平成23年度) 増加させる 佐渡の世界遺産登録 平成22年10月 世界遺産暫定 一覧表へ記載 2.[9] 観光立県の推進 35件 50件 (平成21∼23年) (平成25∼28年) 観光入込客数 66,925千人 (平成23年度) 外国人県内宿泊延べ 人数 58,485人 (平成23年度) 朱鷺メッセにおける 大規模コンベンショ ンの年間開催件数 343件 (平成23年度) 12 早期登録に向け取り組 む 73,000千人を目指す (平成28年) 増加させる 増加させる 3 くらし夢おこしプラン 政 策 指 標 現 状 災害・危機に関して 的確な対応が行われ ていたと感じる県民 の割合 46.3% (平成23年度) 増加させる 「自然災害や犯罪・交 3.[2] 災害に強いふるさとづくり・ 通事故が少なく安全・ 安心に暮らせる」と 防犯の推進 感じる県民の割合 47.3% (平成23年度) 増加させる 3.[1] 危機管理体制の整備 目 標 3.[3] 拉致問題の全面解決 ・すべての生存する拉致被害者の帰国 ・特定失踪者の全容解明 3.[4] 環境の保全と循環型の地域社 会づくり 県民の環境に関する 満足度 59.3% (平成23年度) 3.[5] 情報インフラの整備 情報通信環境が十分 に整備されていると 感じる県民の割合 49.7% (平成23年度) 増加させる 携帯電話不感地域 不感世帯125世帯 (平成23年度) 平成25年度までに解消 する 管理・監督的業務に従 事する者に占める女 性の割合 9.9% (平成23年度) 増加させる ボランティア実活動 者数 58,880人 (平成22年度) 増加させる 3.[7] 安心して子育てをする環境の 構築 子育ての環境が整備 されていると感じる 県民の割合 29.8% (平成23年度) 3.[8] 地域で支える福祉の推進 福祉の満足度(支え られる人と支える人 の満足) 27.4% (平成23年度) 3.[9] 健康長寿の推進と医療の確保 平均寿命の全国順位 男性23位 女性 9位 (平成17年度) 3.[10] 食の安全確保 食の安全確保の取り 組みが十分に行われ ていると感じる県内 外の住民の割合 県 内 55.1% 首都圏 48.3% (平成23年度) 増加させる 「教育の充実」につい て子どもたちの学力向 上や魅力ある学校づ くりなど「個」を伸ば す教育が行われてい ると感じる者の割合 14.6% (平成23年度) 増加させる 高等教育機関への進 学による県外への流 出超過 4,300人 (平成23年度) 平成28年度まで減少幅 を圧縮する 3.[6] 共同参画社会の実現 3.[11] 教育の充実 増加させる 増加させる 増加させる 男性10位以内 女性 5位以内 (平成28年度) 注 1 従業員4人以上の事務所 注 2 いちご、えだまめ、西洋なし、ユリ切り花、にいがた和牛 注 3 重点対象分野:医療・福祉機器関連分野、先端型加工組立・基幹部品関連分野、健康食品・ 医療バイオ関連分野 13
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