情勢分析 - 一般財団法人日本エネルギー経済研究所 中東研究センター

-情勢分析20011221-
(財)中東経済研究所
― 中東・エネルギー情報 ―
2001 年 12 月 21 日
Vol. 3, No. 17
情勢分析
目次
国 連 に よ る経済制裁停止後のリビアの現状
る経済制裁停止後のリビ アの現状 ................................................... 2
I 国連による対リビア制裁の経緯 .................................................................................................. 2
II 国連制裁による影響 ...................................................................................................................... 3
III 制裁停止後から今日に至るまでの主要国の動き ...................................................................... 5
IV 制裁停止後のリビアの動き .......................................................................................................... 7
V 結び .................................................................................................................................................. 9
1 2 月 2 8 日 にカイロで
に カイロで O P E C 臨時総会を開催 ............................................... 1 0
( 紹 介 ) イ ラ ン の 天 然 ガ ス 資 源 利 用 の 将 来 像 .............................................. 1 1
I 2030 年までの天然ガス消費量の予測 ....................................................................................... 11
II 天然ガス開発体制構築の必要性 ................................................................................................ 11
<トピックス> ...................................................................................................................................... 13
アラブ首長国連邦:ADNOC による ZADCO 権益獲得提案の提出期限が延期 ......................... 13
アラブ首長国連邦:アブダビ第 3 の IWPP (Shuweihat 1)で融資契約と発電設備契約を締結 .. 13
イラク:原油輸出が低調 ................................................................................................................... 14
イラン:トルコへのガス輸出が開始 ............................................................................................... 14
オマーン:オマーン・インド肥料プロジェクトで買取り協定に調印 ....................................... 15
サウジアラビア:米国向けの 1 月積み原油価格を大幅値上げ .................................................... 16
メキシコ:2002 年予算の前提原油価格、輸出量を見直し ........................................................... 17
上流部門投資:2002 年上流部門投資は北米が減少、その他は増加 ........................................... 17
<石油データ> ....................................................................................................................................... 19
I 価格動向(12 月 5 - 18 日)............................................................................................................... 19
II 需要、供給、在庫 ............................................................................................................................ 22
1. 需要動向(12 月 7 日更新).............................................................................................................. 22
2. 生産動向(12 月 7 日更新).............................................................................................................. 23
3. 在庫動向(12 月 21 日更新)............................................................................................................ 24
III 需給実績と短期需給見通し ........................................................................................................... 27
1. IEA, Oil Market Report, 2001 年 12 月号(12 月 21 日更新)......................................................... 27
2. 米エネルギー省 , Short-Term Energy Outlook, 2001 年 12 月号(12 月 21 日更新)................... 28
3. その他 (12 月 7 日更新)................................................................................................................. 29
4. 原油価格見通し(12 月 21 日更新)................................................................................................ 30
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国連による経済制裁停止後のリビアの現状
I 国連による対リビア制裁の経緯
北アフリカの石油大国で OPEC メンバーでもあるリビアは、1978 年 5 月から始まる米
国の武器輸出禁止措置を皮切りとする 20 年以上に及ぶ米国及び国連の経済制裁措置に
よって国内の経済が破綻し、同時にテロ支援国家という烙印を押されることで国際的孤
立を深めていった。しかし 1999 年 4 月、リビア側が国連に対してロッカビー事件の容疑
犯を引き渡した時点で、ついに国連の経済制裁は一時停止されたのである。しかし、あ
くまで一時停止の状態であって解除ではない(いわば“釈放”ではなく“執行猶予”の
状態)ため、リビアとしては一刻も早く“無罪放免”になりたいというのが本音であろ
う。
周知の通り、米国による単独制裁はいまだに継続中である。リビアのカダフィ大佐は、
9 月 11 日の同時多発テロ発生後直ちに声明を発表した。そこでは同時多発テロ行為を厳
しく批判し、米国には報復する権利のあることを明言し、米国への援助を呼びかけてい
る。リビアとしては完全な国際社会復帰実現のためには、米国の単独制裁を一刻も早く
取り除く必要があることは痛感しており、上記のように「反テロリズム戦争」の枠組み
において、米国に対してたえず秋波を送り続けている。しかし、そうしたリビアの思惑
にもかかわらず、米国がさほど評価してくれないため、いらだちや失望感を暗に表明す
る場面がしばしば見受けられる。そうはいっても、とりあえずは国際社会への復帰の道
が開かれたことで、かつての石油大国は再び世界の注目を浴びようとしている。イギリ
スの Robertson Research International 社は 2001 年初め、リビアは石油探鉱において世界で
最も魅力ある国のひとつであるとのアンケート結果を発表した(Weekly Petroleum Argus,
2001.11.26)。リビアの経済、産業の現状については別の機会に報告したいが、以下では
国連制裁一時停止後の対外関係を経済開発政策の現状にポイントを絞ってまとめてみた。
まず、国連がリビアに対して経済制裁を科してから一時停止するまでの経緯を整理す
れば以下のとおりである。
1988 年 12 月:イギリスのロッカビー上空でパンナム機が爆破される事件
(ロッカビー事
件)が発生。
1992 年 1 月 :国連安保理事会が、リビア政府に対して同事件の捜査協力などを要求。
(安保理決議 731)
3 月 :リビア政府が協力を拒否したことによって安保理は国際航空路閉鎖、
リビ
ア航空機の国外運航規制、外交関係縮小などを採択。
(安保理決議 748)
1993 年 11 月:航空規制の強化、石油ターミナル・製油所関連機器の禁輸、リビア政府機
関の在外資産凍結を採択。
(安保理決議 883)
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1997 年 7 月 :国連安保理の対リビア制裁見直し会議でエジプト、
ケニアなどが制裁解除
を求める議案を提出するが、米英仏の反対で否決される。
9 月 :アラブ連盟外相会議、
連盟加盟国が国連制裁で禁止されているリビア機の
発着を一部認めるとした議案を可決。
1998 年 2 月 :ICJ(国際司法裁判所)はパンナム事件の容疑者の裁判管轄権はICJにある
と判断。
3 月 :安保理は対リビア国連制裁について公開討論会を開催。
8 月 :米英両国は、ロッカビー事件のリビア人容疑者に対する裁判をオランダの
ハーグで開くようリビアに要求。
これに対してリビアは基本的に受け入れ
ることを表明。
8 月 :安保理は上記リビア人容疑者がハーグの裁判所に出頭した時点で対リビア
制裁を停止することを採択。
(安保理決議 1192)
1999 年 4 月 :リビアはロッカビー事件のリビア人容疑者2名をトリポリ空港で国連側に
引き渡した。ここに国連は 1992 年以来の対リビア国連制裁を安保理決議
1192 に従って一時停止すると発表した。
II 国連制裁による影響
国連制裁によってリビアの国内経済は大きな打撃を受けた。なかでも生活必需品であ
る小麦粉、米、パンなどは価格統制品として制裁前と同じ価格が維持されたが、いわゆ
る“贅沢品”とされる国産の羊肉、魚、鶏卵等は制裁前に比べて 1.5 倍から 2 倍程度値上
がりした。食品、工業製品などの輸入品に至っては平均して 5倍位の値上がりとなった。
その反面、国民の給料は制裁前と変わらず、国民の生活は非常に苦しいものとなった。国
連制裁の影響による経済の歪みが顕著に表れた例として、現地通貨のリビア・ディー
ナール(LD)と米ドルの間の交換レートの差(公式レートと闇レートの差)を挙げること
ができる。公式レートは US$1:LD 0.3 であったのに対して闇レートは $1:LD 3 であった
(注)。
(注)出所:新居哲「リビアの社会復帰が始まった」『季刊アラブ』1999 年夏号、日本アラブ協会、及び
Country Profile 2000, EIU)
国連の経済制裁停止に伴い、輸入品が入手しやすくなったこと等により、公式レート と闇レートの間の
レート差は以前と比較して大幅に狭まってきている(現在公式レート $1:LD0.65 に対し、闇レート $1:
LD1.55 となっている) 。リビア政府は近い将来公式レートと闇レートを一本化して、$1 : LD1.30 にしよう
としている。
また制裁によって国家収入にも大きな打撃が加えられた。国家収入の大半を占める石
油収入は、石油関連機器の禁輸によって大きな影響を受けた。1970 年代に 330 万 b/d で
あった生産量は 1990 年代初頭に 150 万 b/d に激減し、その後は現在に至るまで 140 万 b/
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図表1:リビア原油生産量の推移(1960 - 2000年)
(1,000b/d)
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
1960 1962 1964 1966 1968 1970 1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000
出所: Oil & Gas Journal各号。
d 前後で推移してきている。参考までに現在の OPEC 割当量は 124 万 b/d である。
リビアは世界第 9 位の原油確認埋蔵量を保有しているにもかかわらず、生産量は 14 15位に低迷している。その理由として大きいのは、制裁によって石油関連機器のスペア・
パーツなどが輸入禁止されたことである。
図表 2:確認埋蔵量トップ10 (2000年末 )
(単位:百万バーレル)
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
国名
サウジアラビア
イラク
UAE
クウェート
イラン
ベネズエラ
ロシア
米国
リビア
メキシコ
確認埋蔵量
261.7
112.5
97.8
96.5
89.7
76.9
48.6
29.7
29.5
28.3
出所:BP統計 2001
また国際航空路が閉ざされ、航空機の保全部品なども禁輸されたために、運航できる
航空機が限定され、その結果主要国内路線が数多く削減され、また便数も激減した。
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III 制裁停止後から今日に至るまでの主要国の動き
2001 年 3 月、リビア政府は制裁による被害総額を 240 億ドルと発表したという。しか
し制裁期間中においても、ヨーロッパ諸国とリビアは距離的に近く歴史的にも深い関係
にあるため、関係は維持されていた。そうした下地があったために、以下に記述するよ
うにヨーロッパ諸国との関係回復は制裁停止後早期に実現したのである。
1. イタリア
旧宗主国であるイタリアは欧州の中でもリビアと特に結びつきが強い。輸出・輸入と
もに最大のパートナーである。経済制裁停止直後の 1999 年 4 月にディーニ外相が西側首
脳では制裁停止後初めてリビアを訪問した。7月には政治、経済、文化に関する相互協力
協定の覚書を締結。12 月にはダレーマ首相がリビアを訪問してカダフィ大佐と会談を
行った。また制裁停止後の6月にイタリア本土からトリポリへの航空便を再開させた。両
国は特にエネルギー部門での結びつきが強い。一例を挙げれば Agip がリビア西部陸上
NC-169 鉱区 Wafa フィールドと NC-41 鉱区(海洋)から生産する天然ガスを Mellitah 市
のガス処理プラントに輸送し、そこからシチリア島を経由してイタリア本土に繋げるガ
ス・パイプライン・プロジェクト(西リビア・ガス・パイプライン・プロジェクト)を
積極的に進めている。
2. イギリス
制裁停止直後の1999年5月にローマで両国外務省高官が接触した。同年11月には大使
を派遣している。また制裁停止直後にロンドン・トリポリ間の航空便を再開した。最近
の報道によるとイギリスの独立系石油会社のSOCO Internationalがリビア企業Oilinvestを
パートナーにしてリビア他の北アフリカ、中央及び西アフリカで石油の開発、生産、販
売を目指そうとしている。
3. フランス
1999 年 7 月に UTA 航空機爆破事件の遺族に対して見舞金 3100 万ドルを支払ったこと
で、両国の関係は改善に向かった。フランスは、通信や航空産業の分野で積極的にリビ
アに対してアプローチしている。
4. オーストリア
石油・天然ガスの分野でOMV社がリビアで探鉱活動を行っている。最近リビアが発表
した探鉱パッケージ・ディールにおいて、スペインの Repsol-YPF と組んで第 1 パッケー
ジを積極的に落札しようとしている。またウィーン・トリポリ間に定期航空便を就航さ
せている。
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5. ドイツ
経済制裁停止直後にルフトハンザ航空を就航させた。
2000 年におけるリビアの主要貿易相手国は以下の通りである。
図表 3:リビアの主要貿易相手国
輸出先
割合
イタリア
42%
ドイツ
19%
スペイン
13%
トルコ
6%
フランス
4%
輸出総額($ mil) 12,688
輸入先
割合
イタリア
25%
ドイツ
10%
イギリス
8%
チュニジア
7%
フランス
7%
輸入総額($ mil) 4,095
出所:Direction of Trade Statistics Yearbook, 2001, IMF
6. 日本
国連制裁停止から 8 カ月後の 12 月、大使館を再開して特命全権大使を派遣し、リビア
との関係を回復すべく努力している。また制裁停止後初めての国際見本市が 2000 年 5 月
にトリポリで開催され(第 29 回目)
、日本・リビア友好協会及び JETRO の音頭により日
本企業 5 社が参加した。2001 年も日本企業数社が参加しており、2002 年も参加予定であ
る。また 2001 年 7 月には ICEP(石油開発情報センター)が企画した石油ミッションの総
勢 14 名が 9 日間の日程でリビアを訪問し、石油・天然ガス開発の現状や今後の動向に関
する情報収集を行った。
7. 米国
かつて米国とリビアは経済の面で深く関わっていた。米国による制裁が開始された
1978年において、リビア石油の最大顧客は米国であった。しかし米国は1978年リビアに
対して武器輸出を禁じ、以降様々な形で制裁を継続して今日に至っている。
2001年8月には、イラン・リビア制裁法(ILSA)の5年間延長が可決され、8月3日にブッ
シュ大統領が署名をした。今回はリビアにとってより厳しい内容であった。今までは投
資限度額が 4000 万ドルであったが、今回の延長決議でイランと同額の 2000 万ドルに引
き下げられたために、リビアにとってはより厳しい内容となったのである。
米国はロッカビー事件の遺族に対する賠償問題が解決しない限り、制裁を解除するこ
とはあり得ないとの立場を採っており、リビアの責任認識を強く求めている。現在も賠
償に関する話し合いが両国関係者の間で進められている。
ただ米国内には、欧州や日本など国連制裁が一時停止された後に積極的にリビアにア
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プローチする国が増えている中で、制裁緩和を唱える意見もあり、対リビア強硬派との
間に立つブッシュ政権の今後の対応が注目されている。
今回のILSAの5年間延長については、ブッシュ政権はとりあえず2年間の延長をして、
その後は事態の推移を見守りながら制裁の停止あるいは廃止を検討する腹づもりであっ
たようであるが、結局議会に押し切られる形となった。
IV 制裁停止後のリビアの動き
国連制裁の完全解除を目指し、国際社会に復帰することを目指してリビアは様々な課
題をクリアーにすると共に、石油だけに頼らない国家を目指すべく様々な産業を軌道に
乗せようと模索している。以下にいくつかのプロジェクトを簡単に紹介したい。
1. 資源エネルギー
外資を導入して新たな探鉱事業を推進していくとともに、老朽化した既存油田のリハ
ビリ・プロジェクト、豊富に賦存する天然ガス開発プロジェクトなどを積極的に推進し
ていこうとしている。制裁停止後、リビア国営石油会社(NOC)は多くの鉱区を外国企業
に開放した。また外国企業が投資を行いやすくするための新石油法を2001年末までに立
法化するべく準備を進めている(当初の予定では2000 年末までといわれていたが、計画
は大幅に遅れている)。NOC が 2000 年後半に発表した計画によれば、現在の生産能力で
ある 150 万 b/d を近々 200 万 b/d に上げるべく国際石油会社の協力を仰ぐ予定である。原
油に関しては既存の油田の生産量を増やす試みを継続する(NC41-B鉱区のBouri油田等)
とともに、天然ガスについてはイタリアの Eni - Agip との間で西リビア・ガス・プロジェ
クトを強力に押し進めており、2004 年にプロジェクトの完成を目指している。また、地
中海沿岸を走るガス・パイプライン・プロジェクト(Northern Gas Pipeline Project)によっ
て、国内の発電所や産業ガス・プラントなどへのガス供給能力を高めようとしている。そ
れに伴い外国企業への投資説明会なども頻繁に行われている。2000年の5月と11月には
リビアで石油事業説明会が行われた。2001 年 7 月にはロンドンでも同様の説明会が開催
された。豊富にある太陽光を利用した太陽光発電計画も将来的に実現化すべく検討され
ている。
2. 水資源
農業振興策のもとで農業を押し進めていこうという号令の下で、南部砂漠地帯の地下
水を有効利用し、地中海沿岸にも供給しようというプロジェクト(GMR: Great Man-made
River Project)が押し進められている。同プロジェクトは第4フェーズで完了するが、現在
第 3 フェーズが進行中である。
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図表 4:Great Man-made River Project
出所:Country Profile 2000, EIU
3. 観光
イタリア、イギリス、オランダ、ドイツなどの航空会社がトリポリに国際定期便を就
航させており、リビア政府も観光収入を得るべく、ホテルの建設、トリポリ近郊のサブ
ラタ遺跡、レプティスマグナ遺跡、ベンガジ近郊のキレナイカ遺跡などにある古代ロー
マ遺跡の整備、などに力を入れている。関係者からの情報によれば、今後 5 年間で 20 億
ドルの投資を予定しており、ベッド数も現在の 5,000 から 6 万に増やす計画である。また
チュニジアの東部地方とエジプトのカイロを結ぶ鉄道建設計画も検討中である。避寒目
的のバカンス観光客を対象としたゴルフ場付きリゾート地の建設計画も検討されている。
4. 漁業
シルテ湾は地中海マグロの他、様々な魚の宝庫である。しかし、リビア自身での漁業
資源開発は遅れており、今まではイタリア、マルタ、チュニジア等によって行われてい
た。近年リビア政府による食糧自給政策の下で水産資源が見直されてきており、海洋牧
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場計画、近代的操業技術の導入、冷凍・水産加工設備の整備などに力を入れるようになっ
てきている。
そのほか発電設備の建設、通信施設の充実化、自動車組み立て工場建設なども着実に
進んでいる。
またリビアは、カダフィ大佐の“アフリカ合衆国構想”の下、アフリカ諸国と積極的
な外交を押し進めている。さらに同国はヨーロッパとアフリカ諸国の中継地を目指して
おり、Free Trade Zone 構想など国際関係を積極的に構築していこうという姿勢を見せて
いる。
V 結び
国連制裁の解除及び米国による単独制裁解除を一日も早く実現し、国際社会へ復帰す
るために、リビアは以上述べてきたような種々の分野で努力をしている。カダフィ大佐
自身もかつてのような“独裁者”
“異端児”などというイメージを払拭して、国際社会と
協調していく姿勢を全面的に打ち出す努力をしている様子が、ニュースなどでしばしば
報じられている。
一方、そのために解決すべき課題も多い。制裁解除のためには、米国との間で最大の
ネックとなっているロッカビー事件の遺族に対する賠償問題をどのように解決するかが
最大のポイントとなってくる。制裁が完全に解除され晴れて国際社会に復帰すれば、
様々な資源に恵まれ、ヨーロッパ及びアフリカに地理的に非常に近いリビアは、将来的
に資源、食料の両地域への供給基地になる可能性が非常に高い。それを実現することが
できるかどうかは、前述したような種々の経済政策を今後リビアが国際社会と協力し
あっていかに進めていくかという点に大きくかかっているといえよう。
(長岡 裕司)
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12 月 28 日にカイロで OPEC 臨時総会を開催
OPECは 12月18日、今月28 日にカイロで臨時総会を開催することを明らかにした。世
界的景気後退で原油需要が伸び悩む中、OPEC は油価下落に歯止めをかけるために、す
でに 11 月の総会で非 OPEC 産油国(非 OPEC)が合計 50 万 b/d の減産を実施することを
条件に、2002 年 1 月から 150 万 b/d の追加減産を実施することで合意している。しかし、
この時期になっても非OPECが公約した削減幅は50万b/dに達していないため、OPECは
自身の 150 万 b/d の減産についての最終判断を年末の臨時総会まで引き延ばす選択をし
た。
12 月に入って非 OPEC は、サウジアラビアに次ぐ世界第 2 位の原油輸出国ロシアが 5
日に 15 万 b/d の輸出削減を表明したほか、アンゴラも 14 日に 2.25 万 b/d の生産削減を表
明し、さらに動向が注目されていたノルウェーも、17 日にロシアと同量の 15 万 b/d の生
産削減(2002 年 1 - 6 月まで)を発表した。しかし、すでに減産を表明していたメキシコ
(10 万 b/d)
、オマーン (2.5 万 b/d)* の削減量を合計しても、非 OPEC 合計の減産幅は 44.75
万 b/d と、OPEC が条件としている 50 万 b/d には達しておらず、OPEC は年末の臨時総会
まで非 OPEC 側にさらなる減産幅拡大を求めていくこととなった。
しかし、仮に非 OPEC の合計減産幅が 50 万 b/d に達したとしても、この公約をいつま
で継続できるかという問題が残る。OPEC 側は、特に不需要期の 2002 年第 II 四半期の油
価暴落を懸念しており、非 OPEC に対しては少なくとも 6 カ月間の減産継続を要望して
いる。特にロシアは現時点で来年第I四半期までの輸出削減しか表明しておらず、通常で
も冬のあいだは国内需要の増加で石油輸出が 25 万 b/d も減少するといわれていることを
考慮すれば、削減効果はないに等しいといえる。
さらに、非 OPEC が公約を守れるかという問題もある。ロシア政府は 15 万 b/d の輸出
削減を表明したが、実際に輸出削減を行う石油企業は削減に前向きでないことに加え、
原油輸出削減の代わりに製品輸出を増加させることを懸念する専門家もいる。また、ノ
ルウェーやメキシコなども、OPECおよび他の非OPECが公約を守ることを前提にした減
産表明であり、仮に一国でも公約を破った場合は、各国が一気に増産に走る可能性もあ
る。
よって今後は、特にロシアの減産をいかに効果的に実行させるかということが一つの
焦点になるとみられ、国営アルジェリア通信は 12 月 17 日、OPEC のハリール議長が年末
にロシアを訪問する予定であると伝えている。
(島末 健作)
* オマーンの al-Rumhy 石油相は 12 月 20 日、オマーンは減産幅を 2.5 万 b/d から 4 万 b/d に引き上げると発
表した。この結果、12 月 20 日現在の非 OPEC 減産幅は合計 46.25 万 b/d となった。
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(紹介)イランの天然ガス資源利用の将来像
イランはロシアに次ぐ世界第2位の天然ガス埋蔵量(確認埋蔵量23兆m3:BP統計2001)
を誇る天然ガス資源大国である。イランではこれまで石油の開発・利用が天然ガスより
優先されてきたが、イラン国内を含めた世界的な天然ガス需要の高まり、天然ガス輸出
による原油以外の外貨獲得資源の創出、老朽油田への圧入による産油能力の増大などの
ために、現在では積極的に天然ガスの開発・利用が進められている。
11月10 - 11日にテヘランで行われたセミナーMiddle East Gas Resources and Opportunities
でのNarsi Ghorban博士 (Narkangan GTL International Co.のManaging Director兼International
Institute for Caspian Studies の Director)の講演内容は、イランの天然ガス資源利用・開発
の将来像を考える上で有益と考えられるため、ここに紹介する(詳細は M E E S ,
2001.11.26)。同博士は 2030 年までのイランの天然ガス利用量を目的別に予測した上で、
天然ガス開発を促進する方策について論じている。
I 2030 年までの天然ガス消費量の予測
イランにおける天然ガスの国内消費は、現在の年間約 600 億 m3 から 2010 年に 1360 億
m3、2020 年に 2440 億 m3、2030 年に 3600 億 m3 の水準に高まる。この試算による 2030
年までの天然ガス国内消費量は約 6 兆m3 となる。天然ガスの国内消費増大は原油・石油
製品の輸出余力を生むことになる。一方、産油量を増大させるためには老朽化した油田
へのガス圧入も効果的である。現在年間 300 億m3 のガスを油田に圧入しており、この量
は 2010 年には 750 億 m3 に高まり、以後このレベルを維持すると 2030 年までの油田圧入
量は約 2 兆 m3 となる。
また、新たな外貨獲得資源としてパイプライン、LNG、GTL (Gas To Liquids)などによ
る輸出が計画されている。パイプラインによる輸出先はトルコ、インドなどが想定され
ており、2030 年までのパイプライン輸出のための必要量は約 1 兆 m3 となる。一方、LNG
についてはLNG船や液化技術などイランの関与できる部分は限定的であるが、外貨獲得
方法としてイランはこれに取り組む必要があり、2030年までに0.31兆m3が必要となる。
GTL はイランにとり有望なオプションであり 0.3 兆 m3 が必要である。このほか、ガス関
連産業としてメタノールや DME(ジメチルエーテル)の生産に 0.6 兆 m3 が必要となる。
以上から、2030 年までに必要とされる天然ガス資源は約 10 兆 m3 であり、これは現在
確認されている埋蔵量の半分以下で済む。
II 天然ガス開発体制構築の必要性
以上の天然ガス利用促進のためには、開発を推進する体制作りが必要となる。そのた
めに重要であるのはガス関連法、ガス会社、民間参入、資金調達、教育などの整備であ
る。ガス関連の法制は現在の石油中心のものからガスに焦点をあて整備し直し、ガス会
11
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社としては開発から販売まで担当する一貫操業型で国際競争力のある(Gaz de Franceのよ
うな)会社として整備する必要がある。またガス産業が資本集約的であることから、政
府予算の制約を避けるために民間部門の参入を促進し、さらに国内外を含めた資金調達
を柔軟に行う必要性もあるだろう。教育については法務や資金調達、エンジニアリング
の専門家を養成するコースを大学に設置することを提案している。
最後に、同博士はこれまでのイランの戦略は「湾岸の石油」に焦点があてられてきた
が、21 世紀は「湾岸とカスピ海の石油とガス」に焦点をあてることになるとしている。
石油輸出増大も天然ガスの国内消費や油田圧入促進から創出されることから、
「石油生産
に依存した(随伴)ガスの時代」から、
「(非随伴)ガス生産に依存した石油の時代」の
到来を予測している。
(徳原 透)
12
-情勢分析20011221-
<トピックス>
ジャーを参加させないことについて疑問が
出され、同意が得られなかった、といわれ
ている。
ADNOC はその後 Shell、ExxonMobil、
Jodcoにも産油能力拡張提案の提出を求め、
2001 年第 IV 四半期に権益獲得企業が決定
されることになっていた。
現在、Upper Zakum 油田は ADNOC との
契約のもと Jodco が操業している。今回の
権益売却によってメジャーが ZADCO に参
加した場合、これまでの Jodco の操業権が
委譲されることになるのかは不明である
(PIW, 2000.10.23)。(斎藤崇)
アラブ首長国連邦:ADNOCによるZADCO
権益獲得提案の提出期限が延期
アブダビ Upper Zakum 海上油田(生産能
力 50 万 b/d)の生産能力を高める新技術導
入を目指している国営 ADNOC は、2001 年
第 I V 四半期に予定されていた Z a k u m
Development Company (ZADCO)権益獲得の
ための産油能力拡張提案の提出締切を2002
年3月まで延期した。また、この権益獲得
競争に ChevronTexaco が参加する見通しで
ある(PIW, 2001.11.26; MEES, 2001.12.03)。
ADNOC は 2000 年に、同社が所有する
ZADCO の権益 88% のうち 28% を手放し、 アラブ首長国連邦:アブダビ第 3 の IWPP
BP が 14.67%、TotalFinaElf が 13.33% を獲 (Shuweihat 1)で融資契約と発電設備契約を
得、アブダビのもう一つの海上油田開発会 締結
社 A D M A - O P C O と同じ権益比率配分
(ADNOC 60%、BP 14.67%、TotalFinaElf 12 月 1 日、アブダビ 3 番目の IWPP(独立
13.33%、ジャパン石油開発<Jodco>12%)に 淡 水 化 / 発 電 所 プ ロ ジ ェ ク ト ) で あ る
なると考えられていた。
Shuweihat 1への12.85億ドルの融資契約が、
この権益交渉は Shaikh Khalifah アブダビ 11月にこのプロジェクトのために設立され
皇太子(最高石油評議会 < S P C > 議長、 た Shuweihat CMS International Power Co.
ADNOC 会長)、Yousef Omair SPC 事務局長 ( ア ブ ダ ビ 水 道 電 気 庁 6 0 % 、 米 C M S
(ADNOC最高経営責任者)の同意のもとで Energy20%、英 International Power20%)と
進められていたが、同年10月に開催された Barclays Capital、CitiBank, N. A. のアレンジ
SPC にて首長家の他の SPC メンバーから、 による銀行団との間で結ばれた。この融資
ア ブ ダ ビ の 石 油 上 流 部 門 開 発 に 他 の メ 12.85 億ドルのうち 2.5 億ドルはアブダビ・
図表:UAEの主要IWPP
発電容量
淡水化容量
事業費用
(万kW)
(万ガロン/d)
(億ドル)
事業主体
パートナー企業
Al-Taweelah A-2
71
5,000
6-7
ADWEA
CMS Energy
運転中
Al-Taweelah A-1
135
8,400
15
ADWEA
TotalFinaElf, Tractebel
2003.Q2
Shuweihat 1
150
10,000
16
ADWEA
CMS Energy, International Corp.
2004.Q3
Umm Al-Nar
Fujairah
175
66
15,000
10,000
-
ADWEA
UAE Offsets Group
選定中
選定中
2006
-
出所:Middle East Energy, November 2001, Plattsなど
注:Al-Taweelah A-1、Umm Al-Narは既存施設の拡張
13
-情勢分析20011221-
イスラーム銀行を幹事行としてドバイ・イ
スラーム銀行、クウェート・ファイナンス・
ハウスが参加し、イスラーム式融資によっ
て行われる。
また同日、独 Siemens がこのプロジェク
トの 150 万 kW コンバインド・サイクル発
電設備、長期メンテナンス、新しいプラン
ト向けの高電圧開閉器などを約 10 億ユー
ロで契約を締結した。今回の契約は
Siemens にとって UAE で 5 番目の発電設備
の契約である。1 億ガロン /d(1.66 億 m3/y)
の淡水化施設はイタリアFisia Italimpiantiに
よって建設される。
このプロジェクトは、アブダビの西
250km の Shuweihat において、500 万 kW の
発電施設と 3 億ガロン /d の淡水化をおこな
う計画の第 1 期にあたる。第 1 期の完成は
2004 年 8 月の予定である。
UAE には発電設備が 1,000 万 kW 近くあ
るが、年間8 - 10%で需要が伸びており、発
電設備の拡張が求められている(Gulf News,
2001.10.09)。また、水の需要は現在約4.8億
ガロン /d であるが、2005 年までに 6 億ガロ
ン /d に達する、とみられている(Khaleej
Times, 2001.11.07)。(斎藤崇)
ることを恐れてトレーダーは 12 月期の原
油取引を未だに確定していない。過去の例
からいえばフル・スケジュールであったこ
の時期と比較して、現在までわずかのタン
カーしか 12 月分用船契約が締結されてい
ない。
イラク原油の 12 月 1 日から同月 7 日まで
の輸出量は 85 万 7000b/d であった。これは
第 10 次オイル・フォー・フード計画の終
わった最終週(11月24日から同月30日)の
267万b/dに比べて大幅な減少となった。国
連制裁委員会が米国・欧州向けに販売する
イラク原油の価格に関して遡及方式を採用
することを決めたため、トレーダーは損失
を被るのを恐れて 11 月初旬に相次いで船
積み計画をキャンセルしたり変更したりし
た。
トレーダーがイラク原油の取引を躊躇す
る別の理由としては、最近頻発している
Mina al-Bakr 港からのイラク原油密輸事件
に伴って、国連が支払い状況に関する書類
の流れのチェックも含めて監視体制をより
厳しく強化したことがあげられる。国連は
Mina al-Bakr 港からの合計 50 万バーレルの
密輸に関係していると思われる 10 社の調
査を国連安保理理事国 6 カ国に依頼した。
(長岡)
イラク:原油輸出が低調
12 月 1 日から始まった第 11 次オイル・
フォー・フード計画の下で、原油輸出を継
続していこうとするイラクの意気込みに反
して、イラクの原油輸出量は12月期は減少
しそうである。イラクは現在、引き取り手
を確保するのに苦慮している。イラク原油
価格フォーミュラは未だ解決しておらず、
後日遡及して精算するシステム(Retroactive
Pricing System)を採用するために、
損失が出
14
イラン:トルコへのガス輸出が開始
トルコの Cakan エネルギー相は、パイプ
ラインによるイランからトルコへの天然ガ
ス輸入が、12 月 10 日の午後 8 時 30 分(ト
ルコ現地時間)に開始したことを発表し
た。イランは世界第 2 位の天然ガス資源を
有するが、本格的な天然ガス輸出は1979年
のイスラーム革命以来中断されており、新
-情勢分析20011221-
たな外貨獲得資源として天然ガスの積極的 れているオマーン・インド肥料プロジェク
な開発と輸出計画が進められている。
トを進める Omifco (Oman India Fertilizer
1996 年にイラン・トルコ両国は、1999 年 Company)は12月5日、インド政府と尿素買
末から 22 年間に及ぶ天然ガス供給契約を 取り予備協定(preliminary off-take agreement)
締結したが、1999年末にはトルコ側のパイ を、また Iffco (Indian Farmers Fertilizer
プラインが未完成であったため供給開始は Cooperative Ltd.)とアンモニア買取り協定を
延期され、2001 年 7 月末から行うことに 締結した。そして同時に Omifco は、以前か
なっていた。しかし、7 月の時点でトルコ ら合意していた通り、オマーン政府から当
が国境付近バザルガン(イラン領内)の プロジェクト向けにガスを購入することで
メーター・ステーションの不備を指摘した 協定に調印した。調印式には Maqbool 商工
ため、供給開始が延期されてきた。現在で 相、Rumhy 石油・ガス相、Dhindsa インド
は契約は 25 年間に延長され、契約総額は 化学・肥料相、駐オマーン・インド大使、
200 億 - 300 億ドルに変更されている。
Iffco 及び KRIBHCO (Krishak Bharati
同エネルギー相は、メーター・ステー Cooperative)のトップレベルらが出席した。
ションにはまだ若干の不備があるものの、 協定によると、インド政府がOmifcoから
天然ガス供給を行うことはできるとしてい 予め合意した価格で15年間、尿素全量を買
る。ガスの流量は 910 万 m3/d(年換算 33 億 取り、同様にIffcoがOmifcoから同10年間、
m3/y)で、2001 年末までに 1.65 億 m3 を輸 アンモニア全量を買取る。これらの生産に
出する。その後の流量は初年度に 30 億 m3/ 必要な原料としての天然ガスは、オマーン
y、1 年後に 40 億 m3/y、2007 年には 100 億 政府が Omifco に 20 年間(最初の 10 年間は
m3/yに高まる予定である。2003年にはイラ 固定価格)供給する。詳細は公表されてい
ンの天然ガスがトルコの 57 都市に供給さ ないが、インド化学・肥料相によると、イ
れる。
ンド政府は165万t/yの尿素を購入すること
イランに経済制裁を科している米国は、 になるとしている。
トルコがイランからガス購入することに反 Omifco (OOC(オマーン)50%、KRIBHCO
対してきたが、トルコは天然ガス需要が今 (印)25%、Iffco(印)25% の JV)プロジェ
後急増することが予想され、またロシアへ クトは1993年に初めて提唱されたが、尿素
の供給依存を低める狙いから、イランから 価格が国際市場で値下がりしたことなどを
のガス購入に踏み切った。イランとトルコ 背景に、両国間での交渉が難航していた。
の年間貿易額は現在10億ドル程度だが、天 しかし2001年2月にインド内閣がプロジェ
然ガス輸出の開始で約 20 億ドルに倍増す クトを承認したことから再び実現性が高
る見通しである。
(徳原)
まってきた。プラントの生産能力は尿素
165万 t/y、アンモニア25 万t/y で、プロジェ
クトコストは 9.69 億ドル(うち 3.2 億ドル
オマーン:オマーン・インド肥料プロジェ が資本、6.49 億ドルが借り入れ)と見積も
クトで買取り協定に調印
られている。Omifco によると、プロジェク
ト資金の借入先として ANZ Investment
オマーンの北東に位置する Sur に計画さ Bank、Arab Banking Corp.、BNP Paribas が
15
-情勢分析20011221-
商用融資で6.67億ドルを提供することが決
定している。またプラントの建設は
Snamprogetti、Technip が行うことになって
おり、2005 年第 I 四半期の商用運転を予定
している。
(山本)
月据置となり、中間留分など製品市況の低
迷を反映しているが、アジアの買手の中に
は「需要が弱いのに全体として値上げされ
たことは解せない」との声が出ている。
今回の値上げ(特に重質の)は 1 月から
予定されている OPEC の減産(合計 150 万
b/d、サウジ分は約 50 万 b/d)が背景にある
サウジアラビア:米国向けの 1 月積み原油 もようだ。減産になれば、価格がイラクな
価格を大幅値上げ
どに比べ割高なことを理由に輸出量が少々
減っても構わないし、また減産時には安い
Saudi Aramco は 12 月 5 日、1 月積みの原 重質タイプの生産を落とす方が全体の収入
油価格フォーミュラを発表したが、市況低 を極大化させる。米国向けの値上げが大幅
迷にもかかわらず、米国向けが大幅値上げ だった点については、2000年の増産局面で
となったことで買手側を驚かせている。
ベネズエラ、メキシコなど近隣産油国と対
ウエスト・テキサス・インターミディエ 抗し輸出増を図るため *、大きく値下げし
イト(WTI)原油のスポット価格を基準とす ていた価格フォーミュラを平常ベースに戻
るサウジ原油の米国向けフォーミュラは、 すものであり、供給面の事情が変われば価
アラブ・ライト(AL)で 12 月の WTI マイナ 格方針も変わることを示している。
ス $4.75/b から 1 月は同 $4.05/b へと $0.70/b ALの米国向け1月価格は、この間で最も
も値上げされた。重質原油の上げ幅はさら 安かった 2001 年 4 - 6 月に比べて $2.65/b も
に大きく、アラブ・ミディアム( A M ) は 上がったことになり、一方アジア向けは逆
$0.90/b、アラブ・ヘビー(AH)は$1.0/bとなっ に高かった同年 7、8 月より $0.25/b 下がっ
た。買手側はこのレベルでは、競合するイ たため、両地域のフォーミュラの格差は
ラクのバスラ・ライト原油に対し到底競争 $2.9/b 縮小した。WTI とドバイの価格差も
力はなく、1 月のサウジ原油の引取は相当 その頃の$3/b程度から$2/b程度に狭まった
減るだろうと見ている。
ことを考慮に入れても、$4/b 近くあった両
ブレント原油を基準とする欧州向け及び 地域のALの価格差(「アジア・プレミアム」
ドバイ・オマーン平均が基準のアジア向け と言われている)は $2/b 弱縮小し、現在の
については、概ね11月のスポット市況動向 格差は $2/b 程度となっている。
に沿って決まり AL で各々 $0.10/b、$0.05/b
の値上げだったが、重質タイプの上げ幅は * ベネズエラのティアファナ・ライト原油やメキシ
米国同様大きめとなった(欧州:AM $0.35/ コのイスムス、オルメカ原油のスポット販売価格は
同タイプの中東原油に比べて $1 - 2/b 安く、サウジ
b, AH $0.50/b、アジア:AM $0.10/b, AH
にとっては運賃のハンディもあるため(米国へ遠い
$0.15/b)。一方軽質のアラブ・エクストラ・ ためフレートは $0.5 - 1/b 高くなる)、FOB 価格を安
ライト(AXL)は、需要期にもかかわらず欧 くしないと競争できない。
州向けは$0.25/bの値下げ、アジア向けも前
(長)
16
-情勢分析20011221-
メキシコ:2002年予算の前提原油価格、輸
出量を見直し
上流部門投資:2002年上流部門投資は北米
が減少、その他は増加
メキシコは 12 月 10 日、2002 年予算で前 Lehman Brothersの調査報告(Platts Oilgram
提原油価格を当初設定の $17/b から $15.5/b News, 2001.12.14)によると、世界 357 社の
へ変更し、併せて予算の見直しを行ったこ 2002年石油・ガス部門の上流投資は1224億
とを発表した。原油輸出量についても当初 ドルが見込まれている。これは 2001 年の
の 182.5 万 b/d から 10 万 b/d 削減し、172.5 1240.5 億ドルに対して僅かに 1.4% の減少
万 b/d に修正した。
である。
同国財務省は今回の見直しについて、11 メジャー各社は 2002 年も積極的に上流
月に政府が予算を決定した際に 2002 年の 投 資 を 推 進 す る こ と と し て お り 、
輸出原油価格とした約 $17/b を達成するこ ExxonMobil は本年比約 10% 増の 90 億ドル
とが最近の情勢からは困難であると判断し の投資を予定している。また、Royal Dutch/
たこと、加えて、同国が 1 月から実施する Shell、BP各社は、本年とほぼ同水準となる
としている 10 万 b/d の原油輸出削減に相応 60億ドル、85億ドルの投資をそれぞれ計画
した縮小であるとしている。
している。Marathonも本年比20%増の12億
メキシコの 2001 年予算では原油価格を ドルを投資することとしており、Phillipsは
$18/bで設定している。それに対して、11月 本年比約 15% 増の 22 億 - 26 億ドルの投資
末までの輸出価格は平均約 $19/b であった を目論んでいる。このように2002年は投資
が、至近週では$12/bまで下落している。議 を 増 や す メ ジ ャ ー が 多 い が 、
会では、2002年予算で当初設定された原油 ChevronTexaco は本年の 66 億ドルよりも若
輸出価格 $17/b に対し、実際の価格が下落 干 少 な い 投 資 を 行 う 見 込 み ( P I W ,
した際に財政赤字が拡大することを懸念す 2001.12.03)である。
る議員が反対していた。1998年には原油価 一方で、米国独立系及びメジャーの2002
格が急落し、予算での前提原油価格$15.5/b 年米国内投資は 17.9% の落込みが予想さ
に対して、原油輸出価格が平均 $10.17/b と れ、本年の 361 億ドルから 296 億ドルへ減
なった結果、予算を約30億ドル下方修正し 少するとされている。そのうち、独立系
なければならない状況となった。
(256 社)の投資額は、本年の 215 億ドルに
メキシコは国家歳入の 3 分の 1 以上を石 対し23.7%減の164億ドルとなっており、メ
油に依存しているが、同省によれば今回の ジャー(12社)は本年の146億ドルから9.4%
見直しに伴い、2002年の国家歳入が約20億 減となる 132 億ドルを投資することとして
ドル減少するものと見ている。
いる。また、77 社によるカナダへの投資額
2002 年予算は 12 月 31 日までに議会で承 は、本年の 149 億ドルから 19.6% 減の総額
認される必要があることから、12月15日の 120 億ドルとなっている。こうした北米に
通常国会閉会後、臨時国会へと移行する見 おける投資削減の動きはガス価格の急落が
込みである。
(高橋)
原因となっており、価格低迷とサービスコ
ストの高騰のために、既に2001年後半の掘
17
-情勢分析20011221-
削活動を削減している独立系企業もある。 さ ら に 、 ア ジ ア 大 洋 州 企 業 で は 中 国
しかし、北米での2002年投資予測が急激 CNOOCが対前年比54%、豪BHPが同90%、
な落込みを見せているにもかかわらず、 Wintershall が同 75% の増額を予定してい
112社による北米以外での2002年投資額は る。
2001 年の 730 億ドルから 807 億ドルへと増 なお、各社の 2002 年上流投資は WTI 価
加しており、本年と比較して 10.5% 増と 格で平均 $21.09/b に基づいて設定されてい
なっている。このように国際的な投資計画 るが、調査企業の 67% は平均価格が $18 が増えている背景には、非米国企業の上流 20/bであれば投資計画に影響はないとして
部門投資が増加していることが挙げられ いる。また、米国での上流投資は平均ガス
る。例えば、ラテン・アメリカ企業ではメ 価格 $2.83/Mcf で設定されており、価格が
キシコ Pemex が対前年比 37%、ブラジル $1.75 - 2/Mcf へ下落すれば調査企業の 68%
Petrobras が同 34% の増額を予定しており、 に影響が生じるとし、その半数以上が 25%
欧州企業では Royal Dutch/Shell が対前年比 以上の投資削減を強いられることになる
19%、Statoil が同 13%、Enterprise が同 23%、 (Platts Oilgram News, 2001.12.14)としている。
Lukoil が同 25%、Gazprom が同 99%、OMV (高橋)
が同 38% の増額をそれぞれ計画している。
18
-情勢分析20011221-
<石油データ>(今号担当:斎藤貴子)
I 価格動向(12 月 5 - 18 日)
(1) WTI は 18 - 19 ドルで推移
12 月に入って、イスラエルによるガザ攻撃を受けて 3 週間ぶりに 20 ドル台を回復したウエ
スト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油スポット価格は、5 日にロシアが 15 万 b/
dの輸出削減を決定したものの、一部の非OPEC 諸国が未だ協調減産に協力を発表していない
ことを理由に、OPEC が 150 万 b/d 削減の最終合意を見送ったことなどから、18 ドル台前半ま
で下落した。14 日には、アンゴラが 2.25 万 b/d の減産をするとの報道を受けて 1 ドル以上上昇
し、その後も 19 ドル台前半で推移している。
(2) OPEC バスケット価格は 16 - 17 ドルで推移
OPEC バスケット価格は、12 月第 1 週には 18 ドル前後で推移し、週平均価格は $17.93/b で
あったが、翌週には 16 ドル半ばまで下落し、第 2 週の平均価格は前週より $1.09/b 下落して、
$16.84/b となった。第 3 週に入ってからは 17 ドル台前半で推移している。
(3) WTI 先物価格はコンタンゴ
12 月の NYMEX・WTI 先物市場は、コンタンゴ(期近物が期先物より安い状態)となって
いる。価格差は 2 カ月先物で $0.35/b、3 カ月先物で $0.57/b となっている(18 日までの平均)
。
($/b)
30.00
最近の原油スポット価格の推移
Brent
WTI
Dubai
OPEC Basket
28.00
26.00
24.00
22.00
20.00
18.00
16.00
14.00
9/13
9/19
9/25
10/1
10/5 10/11 10/17 10/23
出所:Wall Street Journal. 日本経済新聞, OPEC通信。
10/29
19
11/2
11/8
11/14
11/20
11/26
11/30
12/6
12/12
12/18
-情勢分析20011221-
($/b)
原油スポット価格の推移(1年)
32.00
Brent
WTI
Dubai
OPEC Basket
30.00
28.00
26.00
24.00
22.00
20.00
18.00
2000年
2001年
16.00
12/15
1/12
2/9
3/9
4/6
出所:Platts Oilgram Price Report, OPEC通信。
($/b)
5/4
6/1
6/29
7/27
8/24
9/21
10/19
11/16
12/14
WTI先物価格価格差(期先物価格-期近物価格)
2.00
コンタンゴ
1.00
0.00
Jan.93
Jan.94
Jan.95
Jan.96
Jan.97
Jan.98
Jan.99
Jan.00
Jan.01
-1.00
-2.00
-3.00
2nd month
-4.00
3rd month
4th month
バックワーデーション
-5.00
出所:PMIおよびOMI, 2001年11月以降についてはNYMEXより算出。
(¢/gal)
NYMEX:製品先物価格の推移(期近物)
120.0
暖房油
110.0
ガソリン
100.0
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
12/12
1/12
2/13
3/15
4/16
5/15
6/14
出所:NYMEX
20
7/16
8/14
9/18
10/17
11/15
12/18
-情勢分析20011221-
表I - 1 原油価格動向(ロッテルダム・米国湾岸)
(単位: $/b)
2001年
アラビアン・ライト34°
ネットバック
スポット
アラビアン・ヘビー27°
ネットバック
スポット
イラニアン・ライト34°
ネットバック
スポット
クウェート31°
ネットバック
スポット
イラク・キルクーク37°
ネットバック
12月
1月
22.52
21.45
20.70
22.45
22.79
25.68
21.56
23.73
23.10
25.13
25.05
25.53
23.30
25.60
19.54
23.53
22.19
25.35
22.52
25.73
18.82
19.80
18.40
18.74
19.60
16.99
20.95
19.70
24.18
18.60
22.53
19.66
24.08
21.58
24.33
20.23
24.30
18.37
21.93
19.63
24.25
19.87
24.63
16.42
19.05
17.55
22.27
21.35
20.54
22.35
22.52
25.58
21.34
23.63
22.91
25.03
24.85
25.43
23.00
25.55
20.78
23.48
21.82
25.30
22.19
25.68
18.49
19.75
18.35
20.26
18.48
20.95
19.78
21.05
22.96
21.43
19.43
20.64
20.89
17.34
20.40
21.65
24.78
23.03
24.48
24.78
24.65
22.53
24.60
24.98
19.15
23.17
21.02
23.28
21.60
23.27
24.76
22.88
20.76
21.93
22.74
18.65
スポット
n.a.
ドバイ・ファテ32°
ネットバック
22.57
スポット
20.90
ナイジェリア・ボニー・ライト37°
ネットバック
26.32
スポット
23.05
OPECバスケット
(7油種平均)*
24.13
イギリス・ブレント38°
ネットバック
26.54
スポット
23.20
n.a.
2月
3月
n.a.
n.a.
4月
n.a.
5月
n.a.
6月
n.a.
7月
n.a.
8月
n.a.
9月
n.a.
10月
n.a.
11月
17.70
n.a.
20.75
22.80
22.73
25.25
21.53
23.50
23.06
24.80
24.89
24.95
23.14
25.20
19.42
22.85
22.02
25.30
22.38
25.40
18.70
19.55
18.25
24.42
25.25
26.22
27.80
24.49
24.20
26.78
26.45
28.36
28.70
25.94
27.05
21.46
23.60
24.31
25.55
25.36
27.10
21.02
20.40
19.35
24.06
25.41
23.70
24.38
26.25
26.10
23.73
24.46
24.29
19.64
24.62
25.25
25.74
27.75
24.71
24.30
26.36
26.35
27.78
28.30
25.21
26.90
21.00
23.40
23.58
25.60
24.72
26.90
20.30
20.35
19.20
25.17
24.00
27.22
26.40
28.83
28.60
25.73
25.95
23.18
23.30
23.97
25.60
25.06
26.80
20.47
20.15
19.05
25.20
22.34
29.25
23.43
29.04
24.78
25.16
23.63
23.44
21.62
26.16
24.02
25.85
24.96
19.81
18.67
17.26
28.41
27.25
33.86
28.10
32.69
28.80
27.52
27.25
25.26
25.60
28.21
27.75
27.68
27.95
21.52
21.95
20.40
ノルウェー・エコフスク43°
ネットバック
26.56
25.06
26.31
スポット
22.90
25.30
27.95
メキシコ・イスムス34°**
ネットバック
25.56
28.93
27.53
スポット
23.41
25.34
24.74
ウエスト・テキサス・インターミディエイト40°**
ネットバック
29.71
33.20
30.53
スポット
27.80
30.05
30.05
出所:ネットバックはOil Market Intelligence, スポットはPlatt's Oilgram Price Report月央値, OPECバスケット価格はOPEC通信。
注:*OPECバスケットはサウジ産Arab Light, UAE産Dubai, ナイジェリア産Bonny Light, アルジェリア産Saharan Blend,
ベネズエラ産T.J. Light, インドネシア産Minas, メキシコ産Isthmusの7油種平均。
**米国湾岸市場、他はロッテルダム市場の価格。
表I - 2 製品価格動向(スポット、シンガポール市場)
(単位:$/b, 重油のみ$/Metric Ton)
2000年
2001年
11月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
ガソリン(プレミアム) 32.88
29.54
29.90
31.33
29.99
32.63
32.88
26.89
24.36
26.70
29.62
22.23
ジェット燃料
39.81
32.54
29.72
30.48
28.86
30.22
30.75
30.84
28.93
29.37
31.10
25.92
軽油
34.90
29.22
28.29
27.57
26.78
29.77
30.82
30.00
28.54
28.71
29.42
25.53
重油(硫黄3.5%)
168.27 134.88 126.54 137.58 138.68 141.13 152.21 140.00 131.52 143.07 150.20 128.07
出所:Oil Market Intelligence, EIG.
注:いずれもf.o.b.価格。
21
-情勢分析20011221-
II 需要、供給、在庫
1. 需要動向(12 月 7 日更新)
(1) 10 月の米国の石油需要 1994.6 万 b/d
DOE, Monthly Energy Review, 2001 年 11 月号によると、2001 年 10 月の米国の石油需要は前
年同月比 0.7% 増の 1994.6 万 b/d となった。
製品別ではガソリンが 3.2%、中間留分が 2.9% の増加、重油が 22.7% の減少となった。
(2) 9 月の日本の石油需要 399.0 万 b/d
石油連盟『石油資料月報』2001 年 11 月号によると、2001 年 9 月の日本の石油需要は前年同
月比 9.4% 減の 399.0 万 b/d となった。
製品別では、ガソリンが 3.0%、中間留分が 4.4%、重油が 16.4% の減少となった。
表II- 1
主要7カ国の石油需要動向
(単位:1,000b/d, %)
2001年
5月
米国
ガソリン
8,718
中間留分
3,727
重油
958
その他
6,088
合計
19,491
日本
ガソリン
981
中間留分
922
重油
873
その他
1,057
合計
3,833
ドイツ
ガソリン
680
中間留分
1,230
重油
180
その他
640
合計
2,730
フランス
ガソリン
310
中間留分
980
重油
100
その他
510
合計
1,900
イギリス
ガソリン
470
中間留分
800
重油
90
その他
330
合計
1,690
イタリア
ガソリン
400
中間留分
570
重油
420
その他
420
合計
1,810
カナダ
ガソリン
680
中間留分
590
重油
140
その他
600
合計
2,010
主要7カ国計
ガソリン
12,239
中間留分
8,819
重油
2,761
その他
9,645
合計
33,464
6月
7月
8月
10月
(0.7) 8,722
(1.2) 3,615
(33.2) 1,001
(-7.0) 6,270
(-0.6) 19,608
(-1.2) 8,974
(1.9) 3,580
(5.9) 1,057
(-6.9) 6,273
(-2.2) 19,884
(-1.1)
(-3.8)
(0.1)
(0.6)
(-1.1)
992
940
907
1,037
3,874
(0.7)
(-0.3)
(-7.2)
(-9.1)
(-4.2)
1,102
953
1,051
1,087
4,193
(3.1)
(0.8)
(5.8)
(-13.5)
(-1.7)
1,141
918
965
1,211
4,235
(-0.8)
(-4.1)
(-8.6)
(-7.3)
(-5.3)
1,007
(-3.0)
1,004
(-4.4)
900 (-16.4)
1,080 (-13.0)
3,990
(-9.4)
(-5.6)
(1.7)
(12.5)
(6.7)
(1.5)
680
1,380
180
620
2,860
(0.0)
(7.8)
(20.0)
(1.6)
(5.1)
670
1,550
170
600
2,990
(-1.5)
(21.1)
(-5.6)
(-3.2)
(8.3)
670
1,570
180
600
3,020
(-1.5)
(-0.6)
(5.9)
(-6.3)
(-1.6)
650
1,490
160
590
2,890
(-5.8)
(-2.6)
(-5.9)
(-3.3)
(-3.7)
(-6.1)
(3.2)
(-9.1)
(8.5)
(2.2)
330
1,040
100
500
1,970
(-10.8)
(5.1)
(-9.1)
(2.0)
(0.5)
340
1,110
90
510
2,050
(-2.9)
(8.8)
(-18.2)
(6.3)
(4.6)
350
(0.0)
1,070
(0.9)
90 (-10.0)
480
(4.3)
1,990
(1.0)
310
1,180
110
490
2,090
(3.3)
(31.1)
(0.0)
(0.0)
(16.1)
(-2.1)
(2.6)
(12.5)
(6.5)
(2.4)
460
790
150
290
1,690
(-4.2)
(-3.7)
(87.5)
(-6.5)
(0.0)
470
790
70
350
1,680
(-6.0)
(2.6)
(-12.5)
(25.0)
(3.1)
460
830
90
330
1,710
(-8.0)
(1.2)
(12.5)
(-5.7)
(-2.3)
490
(0.0)
850
(-1.2)
80
(0.0)
320 (-11.1)
1,740
(-2.8)
(0.0)
(-3.4)
(10.5)
(10.5)
(3.4)
410
650
360
360
1,780
(-2.4)
(3.2)
(-26.5)
(-2.7)
(-6.8)
410
660
460
400
1,930
(2.5)
(4.8)
(4.5)
(17.6)
(6.6)
410
580
440
410
1,840
(-2.4)
(5.5)
(-8.3)
(10.8)
(1.1)
410
740
490
400
2,040
(0.0)
(-3.3)
(40.0)
(-21.1)
(-6.5)
700
550
160
640
2,050
(1.4)
(-3.5)
(14.3)
(-11.1)
(-3.3)
710
550
130
610
2,000
(1.4)
(0.0)
(18.2)
(-14.1)
(-3.4)
730
600
130
760
2,220
(1.4)
(-3.2)
(30.0)
(7.0)
(3.3)
670
(1.5)
600
(-6.3)
100 (-37.5)
640 (-11.1)
2,010
(-7.8)
(-0.2) 12,294
(0.5) 8,965
(14.0) 2,858
(-4.6) 9,717
(-0.3) 33,832
(-1.2) 12,676
(2.1) 9,193
(-1.2) 3,028
(-6.4) 9,830
(-1.9) 34,727
(3.8) 8,938
(6.3) 3,754
(-3.1)
974
(-4.9) 6,419
(1.0) 20,085
9月
(2.7) 12,699
(7.3) 9,322
(0.8) 2,869
(-4.4) 10,210
(1.6) 35,100
(0.2) 8,564
(0.5) 8,690
(3.2)
(0.8) 3,629
(4.1) 3,820
(2.9)
(3.5)
823
(-8.0)
858 (-22.7)
(-7.1) 6,066 (-13.3) 6,578
(0.3)
(-2.0) 19,082
(-4.1) 19,946
(0.7)
(2.5)
(12.1)
(2.1)
(2.6)
(5.7)
(-0.3) 12,101
(0.0)
(0.1) 9,493
(4.0)
(-2.0) 2,663 (-10.4)
(-5.0) 9,586 (-11.3)
(-1.8) 33,842
(-3.3)
出所:米国:Monthly Energy Review, DOE.
日本:石油連盟『石油資料月報』。
ドイツ, イギリス, フランス, イタリア, カナダ:Oil Market Report, IEA.
注:( )内は前年同月比。
日本はキロリットルからバーレルに換算している。中間留分は軽油と灯油の和とする。
ドイツ, イギリス, フランス, イタリア, カナダの中間留分はJet/Kerosene, Diesel, Other Gasoilの和とする。
22
-情勢分析20011221-
2. 生産動向(12 月 7 日更新)
(1) 9 月の OPEC 原油生産量は 2698.7 万 b/d
EIG, Oil Market Intelligence, 2001 年 11 月号によると、2001 年 10 月の OPEC 原油生産量は、
サウジアラビアで前月より 20 万 b/d 減少したものの、イラクで 37.3 万 b/d の増加となり、全体
では前月比 4.9 万 b/d 増の 2698.7 万 b/d となった。
(2) 非 OPEC 生産は 4105.7 万 b/d
同誌によると 2001 年 10 月の非 OPEC 原油生産量は、イギリスで前月より 26.1 万 b/d、ノル
ウェーで 20.2 万 b/d の増加となり、全体では 45.6 万 b/d 増の、4105.7 万 b/d となった。
表II - 2 原油生産動向
(単位:1,000b/d)
2001年
01年7月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月 合意*
サウジアラビア
8,000 8,000 8,230 7,785 7,720 7,874 7,928 7,750 7,470 7,270 7,541
イラン
3,750 3,709 3,800 3,650 3,640 3,562 3,673 3,710 3,645 3,600 3,406
イラク
1,666 2,105 2,780 2,891 3,049 1,021 2,154 2,757 2,533 2,906
クウェート
1,840 1,750 1,725 1,690 1,675 1,700 1,703 1,695 1,650 1,625 1,861
UAE
2,350 2,225 2,366 2,275 2,125 2,225 2,142 2,147 2,060 2,060 2,025
カタル
730
690
690
680
680
670
695
693
651
636
601
中立地帯
680
676
668
630
638
614
640
640
640
640
ナイジェリア
2,150 2,143 2,217 2,095 2,100 2,200 2,100 2,142 2,250 2,250 1,911
リビア
1,400 1,400 1,400 1,375 1,360 1,335 1,387 1,383 1,350 1,310 1,242
アルジェリア
820
805
800
805
810
820
833
832
825
825
741
ベネズエラ
3,000 2,975 3,000 2,836 2,895 2,850 2,853 2,850 2,670 2,670 2,670
インドネシア
1,240 1,215 1,215 1,200 1,200 1,175 1,170 1,210 1,194 1,195 1,203
OPEC 10計
25,960 25,588 26,111 25,021 24,843 25,025 25,124 25,052 24,405 24,081 23,201
OPEC計
27,626 27,693 28,891 27,912 27,892 26,046 27,278 27,809 26,938 26,987
米国
5,619 5,743 5,783 5,735 5,685 5,581 5,587 5,605 5,619 5,618
うちアラスカ
980
977 1,009
986
957
935
927
963
625
906
メキシコ
3,087 3,136 3,150 3,008 3,031 3,140 3,185 3,174 3,177 3,143
イギリス(北海のみ)
2,268 2,168 2,224 2,228 2,173 2,051 2,332 2,172 2,170 2,431
ノルウェー(北海のみ) 3,400 3,224 3,303 3,334 3,087 3,092 3,439 3,024 3,290 3,492
中国
3,183 3,328 3,376 3,302 3,310 3,312 3,304 3,309 3,308 3,311
旧ソ連
7,720 7,804 7,848 7,931 7,993 8,146 8,222 8,234 8,308 8,351
その他
14,683 14,600 14,576 14,351 14,356 14,251 14,481 14,678 14,729 14,711
非OPEC計
39,960 40,003 40,260 39,889 39,635 39,573 40,550 40,196 40,601 41,057
世界計
67,586 67,696 69,151 67,801 67,527 65,619 67,828 68,005 67,539 68,044
出所:Oil Market Intelligence, EIG.
アラスカのみMonthly Energy Review, DOE.
注: NGLとコンデンセートは含まない。
*2001年9月1日からの合意産油量。
23
-情勢分析20011221-
3. 在庫動向(12 月 21 日更新)
(1) OECD 諸国の在庫動向
IEA, Oil Market Report, 2001 年 12 月号によると、2001 年 10 月の OECD 諸国の民間原油在庫
は、9 億 2400 万バーレルとなり、前月の 9 億 1400 万バーレルより 1000 万バーレル増加した。
製品別ではガソリンが 3 億 7800 万バーレル、中間留分が 5 億 2100 万バーレル、重油が 1 億
5200 万バーレルとなった。
(2) 米国の在庫動向
API (米国石油協会), Weekly Statistical Bulletin 最新号によると、2001 年 12 月第 2 週(12/10 14)の米国の民間原油在庫は、3 億 1410.7 万バーレルとなり、前週の 3 億 1153.9 万バーレルよ
り 256.8 万バーレル増加した。
製品別ではガソリンが 2 億 1014.8 万バーレル、軽油が 1 億 3737.8 万バーレルとなった。
表II - 3 OECD諸国の民間在庫
(単位:100万バーレル) 在庫変動(対前月比)
1998年 1999年 2000年 2001年
10月
10月
10月
北米
原油
426
407
382
ガソリン
232
233
217
中間留分
重油
230
51
218
51
190
45
製品計*
6月
7月
8月
9月
10月
8月
9月 10月
406
416
414
418
422
-2
4
250
238
225
236
238
-13
11
2
190
53
202
48
198
44
205
47
205
48
-4
-4
7
3
0
1
672
673
656
680
671
-17
24
-9
1,227 1,238
1,223
1,255
1,252
-15
32
-3
4
706
666
624
1,301
1,230
1,160
原油
ガソリン
335
132
320
123
296
127
315
121
307
122
310
117
322
117
319
114
3
-5
12
0
-3
-3
中間留分
重油
284
91
254
83
227
84
225
82
228
79
232
81
219
77
221
78
4
2
-13
-4
2
1
製品計*
598
552
540
539
543
549
531
530
6
-18
-1
欧州計
994
932
905
914
911
921
919
916
10
-2
-3
原油
ガソリン
187
23
183
26
171
27
183
26
176
26
178
26
174
26
182
26
2
0
-4
0
8
0
中間留分
93
89
92
73
78
83
87
94
5
4
7
重油
製品計*
25
209
23
211
25
219
24
194
24
201
25
209
25
211
25
217
1
8
0
2
0
6
太平洋計
482
474
470
457
457
467
473
486
10
6
13
原油
ガソリン
948
387
910
381
849
371
904
397
899
385
902
368
914
379
924
378
3
-17
12
11
10
-1
中間留分
488
北米計
欧州
太平洋
OECD**
607
561
509
508
513
511
521
5
-2
10
重油
製品計*
167
1,513
157
1,429
154
1,383
159
150
1,405 1,416
149
1,413
148
1,421
152
1,418
-1
-3
-1
8
4
-3
OECD合計
2,776
2,635
2,536
2,598 2,606
2,611
2,647
2,654
5
36
7
出所: Oil Market Report, IEA.
*製品計はガソリン、中間留分、重油その他の石油製品の合計を示す。
**OECDには全加盟国(29カ国)を含む。
注:いずれも月末値。
24
-情勢分析20011221-
OECD諸国の民間原油在庫(1997 - 2001年)
(100万バーレル)
1,000
980
960
940
1997
1998
1999
2000
2001
920
900
880
860
840
Jan
Feb
(100万バーレル)
Mar
Apr
May
Jun
Jul
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
OECD諸国の民間ガソリン在庫(1997 - 2001年)
450
430
1997
1998
1999
2000
410
390
2001
370
350
Jan
Feb
Mar
Apr
May
Jun
Jul
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
OECD諸国の民間中間留分在庫(1997 - 2001年)
(100万バーレル)
650
600
1997
1998
1999
2000
2001
550
500
450
400
Jan
Feb
Mar
Apr
May
Jun
Jul
出所:Oil Market Report, IEA.
25
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
-情勢分析20011221-
(100万バーレル)
米国の原油在庫(1997∼2001年)
360
350
340
330
1997
1998
1999
2000
2001
320
310
300
290
280
270
J
F
M
A
(100万バーレル)
M
J
J
A
S
O
N
D
米国のガソリン在庫(1997∼2001年)
235
230
225
220
1997
1998
1999
2000
2001
215
210
205
200
195
190
185
J
F
M
A
M
J
J
A
S
O
N
D
米国の中間留分在庫(1997∼2001年)
(100万バーレル)
160
150
140
130
1997
1998
1999
2000
2001
120
110
100
90
J
F
M
A
M
J
J
A
出所:API, Weekly Statistical Bulletin.
注:月ラベルは2001年各月第1週の位置に表記。
2001年は12月14日までの数値(週末値)。
26
S
O
N
D
-情勢分析20011221-
III 需給実績と短期需給見通し
1. IEA, Oil Market Report, 2001 年 12 月号(12 月 21 日更新)
・OPEC は、主要非 OPEC 諸国による 50 万 b/d の減産を条件に、1 月 1 日から 150 万 b/d の減産
をすると発表して、市場を驚かせた。ロシア、ノルウェー、メキシコなどは減産を発表して
いるが、量はまだ決まっておらず、市場は実際に減産される量を注視している状態だ。
・OPEC・非 OPEC の動向に左右され、また引き続く景気と石油需要の低迷によって、11 月の
平均原油・製品価格は下落し、精製マージンもさらに低下した。
・11 月の世界産油量は前月より 29 万 b/d 増加した。OPEC10 の産油量は 29万 b/d 減少して 2370
万 b/dとなり、生産枠を50 万 b/d 超過した。またイラクによる供給は5万b/d 減少した。OPEC
の生産減は、非 OPEC 生産量が 63 万 b/d 増加したため相殺された。
・2001 年の需要の伸びは 14 万 b/d と予測される。10 月の販売増加分は、9 月分の下方修正に
より相殺された。2002 年の予測も前号と同様である(60 万 b/d)。
・10 月末の OECD 民間石油在庫は、9 月より 700 万バーレル(22 万 b/d)増加して 26 億 5400
万バーレルとなり、一次在庫として十分な量である。一次在庫における冬季燃料は十分な量
を維持する。
表III - 1 石油需給見通し(IEA, 12月12日予測)
(単位:100万b/d, %)
1998年 1999年 2000年
<需要>
北米
欧州
太平洋
OECD計*
旧ソ連
中国
欧州
中南米
アジア
中東
アフリカ
非OECD計
需要合計
<供給>
OECD諸国*
旧ソ連
中国
その他非OPEC
プロセスゲイン**
2001年
2002年
平均
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
23.1
23.8
23.7
23.8
24.5
24.4
24.1
24.2
23.7
24.0
24.2
24.1
24.0
23.7
24.3
24.9
24.2
15.3
15.2
15.2
14.6
15.2
15.4
15.1
15.2
14.8
15.4
15.1
15.1
15.0
14.6
15.3
15.4
15.1
8.4
8.7
9.4
8.1
8.3
8.8
8.7
9.4
8.0
8.1
8.6
8.5
9.2
7.9
8.0
8.7
8.4
46.8
47.7
48.2
46.6
48.0
48.6
47.8
48.8
46.5
47.5
47.9
47.7
48.2
46.2
47.7
49.0
47.8
(0.2)
(1.9)
(-1.2)
(1.7)
(1.9)
(-0.8)
(0.2)
(1.2)
(-0.2)
(-1.0)
(-1.4)
(-0.2)
(-1.2)
(-0.6)
(0.4)
(2.3)
(0.2)
3.7
3.7
3.6
3.5
3.6
3.8
3.6
3.8
3.6
3.6
3.8
3.7
3.8
3.7
3.6
3.9
3.7
4.2
4.5
4.7
4.6
5.1
4.8
4.8
4.7
5.2
4.7
5.0
4.9
4.9
5.1
4.9
5.3
5.0
0.8
0.7
0.8
0.7
0.7
0.7
0.7
0.8
0.7
0.7
0.7
0.7
0.8
0.7
0.7
0.7
0.7
4.8
4.8
4.7
4.9
5.0
4.9
4.9
4.7
4.8
4.9
4.8
4.8
4.7
4.8
4.9
4.9
4.8
6.8
7.2
7.2
7.4
7.4
7.3
7.3
7.3
7.4
7.2
7.3
7.3
7.3
7.5
7.3
7.3
7.4
4.2
4.3
4.3
4.4
4.5
4.3
4.4
4.4
4.6
4.7
4.5
4.5
4.5
4.7
4.8
4.6
4.6
2.3
2.4
2.4
2.3
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.5
2.4
26.8
27.6
27.8
27.8
28.5
28.2
28.1
28.1
28.7
28.1
28.5
28.3
28.5
28.8
28.7
29.2
28.8
(1.1)
(3.0)
(3.0)
(2.2)
(5.2)
(2.5)
(1.8)
(1.1)
(3.2)
(-1.4)
(1.1)
(0.7)
(1.4)
(0.3)
(2.1)
(2.5)
(1.8)
73.6
75.2
75.9
74.4
76.4
76.8
75.9
76.9
75.2
75.6
76.4
76.0
76.7
75.1
76.4
78.2
76.6
(0.7)
(2.2)
(0.0)
(1.9)
(3.1)
(0.4)
(0.9)
(1.3)
(1.1)
(-1.0)
(-0.5)
(0.1)
(-0.3)
(-0.1)
(1.1)
(2.4)
(0.8)
21.9
21.4
22.3
21.8
21.7
21.8
21.9
21.8
21.5
21.7
22.3
21.8
22.6
22.1
21.9
22.1
22.2
7.3
7.5
7.7
7.8
8.0
8.2
7.9
8.3
8.5
8.7
8.8
8.6
8.9
9.0
9.1
9.3
9.1
3.2
3.2
3.3
3.2
3.2
3.2
3.2
3.3
3.3
3.3
3.3
3.3
3.3
3.3
3.3
3.4
3.3
10.7
11.0
11.0
11.0
11.1
11.3
11.1
11.3
11.0
11.3
11.3
11.2
11.2
11.2
11.1
11.2
11.1
1.6
1.7
1.7
1.7
1.7
1.7
1.7
1.8
1.7
1.7
1.8
1.8
1.8
1.8
1.8
1.8
1.8
非OPEC計
44.8
(0.7)
44.8
(0.0)
46.0
(3.1)
45.6
(3.6)
45.8
(2.7)
46.3
(1.8)
45.9
(2.5)
46.4
(0.9)
46.1
(1.1)
46.6
(1.7)
47.3
(2.2)
46.6
(1.5)
47.8
(3.0)
47.4
(2.8)
47.3
(1.5)
47.7
(0.8)
47.5
(1.9)
OPEC 原油
OPEC・NGL
27.7
26.6
26.5
27.8
28.4
29.0
27.9
28.3
27.0
27.3
26.1
26.5
25.8
24.5
25.9
27.3
25.9
2.8
2.8
2.8
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
3.0
2.9
3.1
3.2
3.2
3.2
3.2
OPEC合計
30.4
29.4
29.3
30.7
31.3
31.9
30.8
31.3
29.9
30.3
29.1
29.4
28.9
27.7
29.1
30.5
29.1
(1.7)
(-3.3)
(-4.2)
(5.5)
(7.6)
(10.0)
(4.8)
(6.8)
(-2.6)
(-3.2)
(-8.8)
(-4.5)
(-7.7)
(-7.4)
(-4.0)
(4.8)
(-1.0)
75.2
74.2
75.3
76.2
77.1
78.2
76.7
77.7
76.0
76.9
76.4
76.0
76.7
75.1
76.4
78.2
76.6
(1.1)
(-1.3)
(0.0)
(4.2)
(4.8)
(5.0)
(3.4)
(3.2)
(-0.3)
(-0.3)
(-2.3)
(-0.9)
(-1.3)
(-1.2)
(-0.7)
(2.4)
(0.8)
-
-
-
供給合計
在庫変動
1.6
-1.1
-0.7
1.9
0.7
1.4
0.8
0.7
0.8
1.3
出所:Oil Market Report 2001年12月号, IEA.
注:( )内は対前年伸び率。
2001年第IV 四半期以降(囲み部分)は当研究所にて在庫変動0で試算。
*OECDには全加盟国(29カ国)を含む。
**プロセスゲインは精製過程(ただし旧ソ連、中国、非OECDヨーロッパは含まない)、海上輸送損失におけるネット量。
27
-情勢分析20011221-
2. 米エネルギー省(DOE/EIA), Short-Term Energy Outlook, 2001 年 12 月号(12 月 21 日更新)
・過剰な供給により在庫が通常レベルまで積み上がったため、11 月の世界石油価格は下落し
続けた。OPECと主要非OPEC産油国が一致して石油供給を削減するならば、石油価格は2002
年には安定すると予測される。
・OPEC と非 OPEC 間では、OPEC が満足するような何らかの合意が達成されるが、現状では
非OPECは実質的な減産をするかどうかは未解決の問題である。その結果、2002年の非OPEC
諸国の供給の伸びを、前号予測よりわずかに少ない100万b/dと予測した。この伸びは、2002
年に予測される需要の伸びよりも大きく、2002年にOPECに対して減産圧力を増加させるも
のである。
・2002 年の米国経済予測は前号よりわずかに下方修正された。しかし、2002 年の世界石油需
要伸びの予測は 80 万 b/d で、前号とほぼ同じである。世界のジェット燃料需要は 2001 年第
IV四半期に約10%減少、米国は前年同期比11%減少すると予測した。2002年の世界のジェッ
ト燃料需要は、9 月 11 日以前に予測していたよりも、5-7% 減少すると思われる。
・10 月末の OECD の民間在庫は、昨年より 8000 万バーレル高かった。減産に関する OPEC と
主要非 OPEC 産油国の行き詰まりは、暖冬と同様に通常第 IV 四半期に見られる在庫減少を
鈍らせるだろう。OPEC と非 OPEC が生産削減に合意しても、OECD の民間在庫レベルは、
2002 年を通じて通常レベルで推移するだろう。
表III - 2 石油需給見通し(DOE, 12月6日予測) (単位:100万b/d, %)
2000年
IQ
IIQ
<需要>
北米
欧州
日本
その他OECD
OECD計
旧ソ連
欧州
中国
その他アジア
その他非OECD
非OECD計
需要合計
<供給>*
OECD諸国
旧ソ連
中国
その他
非OPEC計
OPEC
供給合計
IIIQ
IVQ
平均
2001年
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
2002年
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
21.7
21.8
22.4
22.6
22.1
22.3
22.0
22.1
22.2
22.2
22.3
22.0
22.6
22.7
22.4
15.2
14.7
15.2
15.4
15.1
15.2
14.8
15.3
15.4
15.2
15.5
14.6
15.1
15.8
15.2
6.0
5.0
5.4
5.6
5.5
6.1
5.0
5.4
5.6
5.5
6.2
5.0
5.3
5.7
5.5
5.4
5.1
5.0
5.2
5.1
5.3
4.9
5.0
5.2
5.1
5.1
5.0
5.3
5.3
5.2
48.3
46.6
48.0
48.7
47.9
48.9
46.6
47.9
48.5
48.0
49.0
46.6
48.3
49.5
48.4
(-)
(-)
(-)
(-)
(-)
(1.2)
(0.0)
(-0.2)
(-0.4)
(0.2)
(0.2)
(0.0)
(0.8)
(2.1)
(0.8)
3.7
3.6
3.6
3.6
3.6
3.7
3.5
3.5
3.5
3.6
3.7
3.5
3.5
3.5
3.6
0.7
0.7
0.7
0.7
0.7
0.7
0.7
0.7
0.7
0.7
0.8
0.8
0.8
0.8
0.8
4.6
4.6
4.6
4.6
4.6
4.6
4.6
4.5
4.6
4.6
4.8
4.7
4.7
4.7
4.7
6.9
6.9
6.7
7.0
6.9
7.0
7.0
6.7
7.0
6.9
7.0
7.0
6.8
7.1
7.0
11.6
11.9
11.9
11.8
11.8
11.8
12.0
12.1
11.9
12.0
11.9
12.1
12.2
12.1
12.0
27.6
27.7
27.5
27.7
27.6
27.8
27.9
27.6
27.8
27.7
28.1
28.2
27.9
28.2
28.1
(-)
(-)
(-)
(-)
(-)
(0.7)
(0.7)
(0.4)
(0.4)
(0.4)
(1.1)
(1.1)
(1.1)
(1.4)
(1.4)
75.9
74.3
75.5
76.4
75.5
76.7
74.5
75.5
76.2
75.7
77.2
74.8
76.2
77.7
76.5
(0.3)
(1.6)
(1.9)
(0.1)
(0.9)
(1.1)
(0.3)
(0.0)
(-0.3)
(0.3)
(0.7)
(0.4)
(0.9)
(2.0)
(1.1)
23.7
23.3
23.3
23.3
23.4
23.3
23.0
23.3
24.0
23.4
23.9
23.6
23.7
24.0
23.8
7.9
8.0
8.2
8.5
8.1
8.6
8.7
8.9
8.9
8.8
8.9
9.0
9.2
9.2
9.1
3.3
3.3
3.2
3.2
3.2
3.3
3.3
3.3
3.3
3.3
3.3
3.4
3.4
3.4
3.4
11.0
11.1
11.2
11.4
11.2
11.3
11.1
11.3
11.2
11.2
11.3
11.4
11.6
11.7
11.5
45.9
45.6
46.0
46.5
45.9
46.5
46.2
46.8
47.5
46.7
47.3
47.3
48.0
48.5
47.8
(3.1)
(3.6)
(3.1)
(2.2)
(2.9)
(1.3)
(1.3)
(1.7)
(2.2)
(1.7)
(1.7)
(2.4)
(2.6)
(2.1)
(2.4)
29.3
30.8
31.6
31.7
30.9
31.1
30.0
30.2
29.5
30.2
28.3
28.3
28.8
28.6
28.5
(-3.6)
(6.6)
(8.2)
(10.5)
(5.5)
(6.1)
(-2.6)
(-4.4)
(-6.9)
(-2.3)
(-9.0)
(-5.7)
(-4.6)
(-3.1)
(-5.6)
75.2
76.4
77.6
78.2
76.8
77.6
76.2
77.0
77.0
76.9
75.6
75.6
76.8
77.1
76.3
(0.4)
(4.8)
(5.1)
(5.4)
(3.9)
(3.2)
(-0.3)
(-0.8)
(-1.5)
(0.1)
(-2.6)
(-0.8)
(-0.3)
(0.1)
(-0.8)
1.5
0.8
1.2
-1.5
0.8
0.5
-0.7
-0.2
-0.6
2.1
2.1
1.7
1.3
0.9
1.7
在庫変動
出所:Short-Term Energy Outlook, 2001年12月号, DOE/EIA.
注:( )内は対前年伸び率。
2001年第II四半期までは実績値。
*供給にはNGL、コンデンセート等も含む。
28
-情勢分析20011221-
3. その他 (12 月 7 日更新)
Petroleum Argus 社 , Petroleum Argus Weekly Global Markets, 2001 年 11 月 26 日号
・2002 年の非 OPEC 生産量は 74 万 b/d 増加し、うち 3 分の 2 は旧ソ連諸国によるものである。
OPEC が 25 ドルまで価格を押し上げようとするならば、ロシア、メキシコ、ノルウェーなど
の協力が必要である。
・現在の Argus の予測では、2002 年上半期に 100 万 b/d の在庫が積み増し、米国の回復によっ
て世界経済が回復を始める第 IV 四半期にわずかに取り崩しがある。OPEC 産油量が現在と
変わらず 2690 万 b/d なら、2002 年第 II 四半期末の在庫水準は、貯蔵タンクの能力が限界と
なり価格下落を招いた 4 年前よりも、3 億バーレル低い水準となる。
・OPECの生産量が大きいことによって価格が下落すれば、景気後退は短期に収束し、需要が
増加する。一方で 1 月から 200 万 b/d の原油が市場から消えれば、短期的には価格は上昇し、
さらに需要は減少する。
・OPEC、非 OPEC どちらもが減産を行わなくても、価格が 10 ドルまで下落することはない。
世界在庫は積み上がっているが、1998年のピーク時よりもまだ4億5000万バーレル少ない。
この時の水準に達するには、2002 年を通じて供給が需要を 120 万 b/d 上回る必要があり、こ
れは OPEC の結束力が完全に崩壊し、かつ需要がさらに減少しない限りあり得ない。
表III - 3 石油需給見通し(Argus, 11月12日予測) (単位:100万b/d, %)
1998年 1999年
<需要>
OECD諸国
非OECD
需要合計
<供給>
OECD諸国*
その他非OPEC
非OPEC計**
OPEC原油+
OPEC NGLs
OPEC計
2000年
2001年
2002年
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
IQ
平均
47.6
48.6
45.7
46.9
49.0
47.7
48.2
46.6
48.0
48.7
47.8
49.0
46.7
47.7
47.8
47.8
48.4
48.0
27.4
27.3
27.2
27.6
28.0
27.7
28.2
28.1
28.5
28.8
28.5
28.1
28.6
28.6
29.0
28.6
28.5
28.8
75.0
(1.6)
75.9
(1.7)
72.9
(0.0)
74.5
(0.9)
77.0
(2.5)
75.4
(0.5)
76.4
(0.7)
74.7
(2.5)
76.5
(2.7)
77.5
(0.6)
76.3
(1.2)
77.1
(0.9)
75.3
(0.8)
76.3
(-0.3)
76.8
(-0.9)
76.4
(0.1)
76.9
(-0.3)
76.8
(0.5)
21.4
21.5
20.9
21.2
22.1
21.4
22.2
21.9
21.7
22.2
22.0
21.9
21.6
21.7
22.0
21.8
22.2
22.0
23.1
23.0
23.0
23.2
23.4
23.2
23.5
23.6
23.8
24.2
23.8
24.4
24.4
24.7
25.0
24.6
24.9
25.1
44.5
(0.2)
26.5
44.5
(-1.8)
27.6
43.9
(-1.8)
26.1
44.4
(0.9)
26.3
45.5
(2.0)
26.0
44.6
(0.2)
26.5
45.7
(2.7)
26.3
45.5
(3.6)
27.9
45.5
(2.5)
28.6
46.4
(2.0)
28.8
45.8
(2.7)
27.9
46.3
(1.3)
28.0
46.0
(1.1)
27.0
46.4
(2.0)
27.1
47.0
(1.3)
26.8
46.4
(1.3)
27.2
47.1
(1.7)
26.8
47.1
(1.5)
26.8
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
3.0
3.0
29.4
(-2.0)
73.9
(-0.7)
30.5
(-2.9)
75.0
(-2.2)
29.0
(-6.5)
72.9
(-3.7)
29.2
(-2.7)
73.6
(-0.5)
28.9
(-3.7)
74.4
(-0.3)
29.4
(0.0)
74.0
(0.1)
29.2
(-4.3)
74.9
(-0.1)
30.8
(6.2)
76.3
(4.7)
31.5
(7.9)
77.0
(4.6)
31.7
(9.7)
78.1
(5.0)
30.8
(4.8)
76.6
(3.5)
30.9
(5.8)
77.2
(3.1)
29.9
(-2.9)
75.9
(-0.5)
30.0
(-4.8)
76.4
(-0.8)
29.7
(-6.3)
76.7
(-1.8)
30.1
(-2.3)
76.5
(-0.1)
29.8
(-3.6)
76.9
(-0.4)
29.8
(-1.0)
76.9
(0.5)
-1.1
-1.0
-0.1
-1.0
供給-需要
大西洋市場(南北米、欧州、旧ソ、アフリカ)
-2.7
-1.5
-1.5
1.6
0.5
0.6
0.3
0.0
0.5
0.1
-0.1
0.1
-0.1
0.2
需要
供給
供給-需要***
アジア太平洋市場
需要
供給
供給-需要***
中東市場
需要
供給
供給-需要***
供給合計
50.5
44.0
-6.6
51.0
44.1
-6.8
49.0
43.3
-5.7
50.5
43.7
-6.8
52.0
44.8
-7.2
50.8
44.0
-6.8
50.5
44.9
-5.6
50.1
44.8
-5.3
51.2
45.0
-6.2
52.2
46.0
-6.2
51.0
45.2
-5.8
51.4
45.7
-5.8
50.4
45.3
-5.1
51.3
45.7
-5.6
51.5
46.0
-5.5
51.2
45.7
-5.5
50.9
46.1
-4.8
51.3
46.2
-5.1
20.1
8.1
-12.0
20.7
8.1
-12.6
19.5
8.0
-11.5
19.7
8.1
-11.6
20.8
8.1
-12.7
20.4
8.1
-12.3
21.6
8.3
-13.3
20.2
8.3
-11.8
20.8
8.3
-12.5
21.0
8.3
-12.7
20.9
8.3
-12.6
21.3
8.4
-12.9
20.4
8.2
-12.2
20.3
8.2
-12.1
20.9
8.2
-12.6
20.7
8.3
-12.5
21.5
8.2
-13.3
20.9
8.2
-12.7
4.3
21.8
17.6
4.2
22.7
18.5
4.3
21.5
17.1
4.4
21.8
17.4
4.2
21.4
17.3
4.3
21.8
17.5
4.3
21.7
17.4
4.4
23.1
18.7
4.5
23.7
19.2
4.3
23.8
19.4
4.4
23.1
18.7
4.4
23.0
18.6
4.5
22.4
17.8
4.7
22.5
17.8
4.5
22.4
17.9
4.5
22.6
18.0
4.5
22.4
17.9
4.6
22.4
17.8
出所:Petroleum Argus Weekly Global Markets, Petroleum Argus社。
注:( )内は対前年伸び率。
*OECD供給は米国SPR取り崩しを含む。
**非OPEC供給はプロセス・ゲインを含む。
***大西洋市場、アジア太平洋市場、中東市場の需給バランスは在庫変動0とする。
+今後、現在のOPEC生産量は変化しないと仮定する。
29
-情勢分析20011221-
4. 原油価格見通し(12月21日更新)
予測者(機関)
価格見通し
・ Brent
Previn & Gertz
Salomon Smith Barney
Deutsche Bank
UBS
RIE
Dresdner KB
Satandard Bank London
Credit Swiss First Boston
CGES
Societe Generale Equity Research
平均
2002.1Q
16.00
n. a.
17.00
18.00
16.30
18.00
18.00
n. a.
18.10
22.00
17.93
理由・根拠
・ ほとんどのアナリストが、世界経済
が回復し始めるために、2002年下半
期にはある程度価格が上昇すると見
ている。
2002
17.50
17.75
18.00
18.00
18.90
19.00
19.00
20.00
22.90
24.50
19.56
出所
Petroleum Argus
Global Market
2001.12.3
・ (SG Equity Research) ロシアの年内
5万b/d減産表明は、2002年1Qにさ
らに減産を行う用意があるという明
確な兆候である。
($/b)
・ (Deutsche Bank) ロシアは原油輸出
削減のかわりに、製油所稼働率を上
げ、製品輸出を増加させる可能性が
ある。
Canadian Energy
・ 2002年WTI
$14/b
Research Institute ・ 2002年Brent $13/b 以下
・ ロシアとその他非OPEC諸国が減産
に合意しても、過去の遵守実績を考
えれば価格戦争が起こるだろう。
EIA (Energy Information
・ 輸入原油価格
Administration)
2000
1Q 26.84
2Q 26.55
3Q 29.12
4Q 28.26
平均 27.72
2001
24.12
23.85
23.05
16.72
21.98
2002
17.00
18.67
19.00
20.00
18.69
・ OPECと主要非OPEC産油国が一致
して石油供給を削減するなら、2002
年には価格は安定する。
Short-Term
Energy Outlook
Dec. 2001
・ WTIスポット
2000
1Q 28.82
2Q 28.78
3Q 31.61
4Q 31.96
平均 30.29
2001
28.82
27.92
26.66
20.08
25.87
2002
20.24
21.78
22.07
23.06
21.79
・ OPECは80万から100万b/d以上の減
産はできない。
Dow Jones
2001.12.17
CGES (Centre for Global
・ 2002年上半期
Energy Studies)
Brent
$18.00/b
OPEC Basket $17.50/b
・ 世界の在庫は現在は十分であるが、
ヨーロッパの11月末の製品在庫レベ
ルはここ8年で最低である。
30