第 7 回アジアアクションラーニングフォーラム 質問

第 7 回アジアアクションラーニングフォーラム
質問によるリーダーシップ
~多様な社会でより成果をあげるために~
■第 7 回アジアアクションラーニングフォーラム
質問によるリーダーシップ
~多様な社会でより成果をあげるために~
日時:平成 24 年 11 月 9 日(金)10:00~11:15
場所:立教大学池袋キャンパス
主催:日本アクションラーニング協会
共催: 立教大学経営学部リーダーシップ研究所
後援:株式会社ラーニングデザインセンター
(00:4:40)
■基調講演
Dr.マイケル・J・マーコード氏
ジョージワシントン大学大学院
教授
〇マーコード:おはようございます。
本日この場に私、来られましたこと、大変喜ばしく思っております。基調講演で日本で
お話しさせていただくのはこれで 7 回目かと思います。
皆さま、アクションラーニングにおいて、質問が大変な役割を担っていることはご存じ
かと思います。それはアクションラーニングの基本的なルールとして、
「意見は必ず質問へ
の答えとしてしか述べることができない」ことになっておりましたよね。
質問は非常にアクションラーニングにおいてパワフルなツールとなっておりまして、そ
して質問が、人々を優れたリーダーにするということを、今日はお話ししていきたいと思
います。
この 1 時間ほど私がお話しさせていただきますのは、なぜ質問がアクションラーニング
においてパワフルであるか、そして皆さまの人生においてパワフルなものであるかという
ことをお話ししたいと思います。そして質問を行うメリット、そして質問による効果につ
いて触れていきたいと思います。
いままではかつてのリーダーは、その持てる知識や経験においてリーダーと呼ばれてい
ましたが、これからの優れたリーダーは「質問力」が問われます。
コッター(John P. Kotter)、彼はハーバード大学でリーダーシップについて研究されて
いる方ですが、リーダーとマネージャーの違いについてこのように述べています。
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「リーダーというのは正しい質問をできる。そしてマネージャーというのは質問に対し
て答えることができる」という違いです。それは、
「正しいことをすること」のほうが、
「間
違えたことをちゃんとできること」よりも優れている、必要であるということです。
そして、クリエーティブなリーダーシップというのは、そのリーダーの周りの人たちが
質問を通じて学ぶことに責任を取るということです。
質問は、今日の環境においてはより大切になってきています。
優れたリーダーと、そうでないリーダーの違いは、優れていないリーダーのほうは教え
ますが、優れているリーダーは質問するという点です。
リーダーの周りに起きていることを全て把握することは不可能です。なぜなら、この世
の中はより複雑で、そして素早く変化しており、たくさんの技術があります。ですので全
てを知るということは不可能です。しかしながら、リーダーというのは正しい質問をもっ
て何が周りに起きているのかということを知る、それが必要になってきます。
ですので、自分の組織の中で、よりよいリーダーを育てていくのにこれから最も大事に
なってくる鍵というのは、正しく質問できる人を探していくということになります。
アクションラーニングの経験から言って、質問というのが問題をより理解し、そしてク
リエーティブな形でその問題を解決するということは皆さまご存じだと思います。そして
問題解決においては、リーダーの責任としては、良い質問をもって問題解決を行っていく
というところに責任があります。
おそらく、アインシュタイン、この方はより優れた形で問題を解決してきた方だといえ
ましょう。
あらゆる発明、そしてクリエーティブなこと、発明などは、質問から生まれてきました。
問題が解決されたり、何かが発展していったのは、誰も今まで聞いてくれなかったような
質問があったから初めてできた、ということが多いです。
アインシュタインは、もし 1 時間という時間があったら、59 分はその問題を解決するた
めの質問を考えるのに充てたといわれています。アインシュタインは優れた物理学者でし
たが、彼はバイオリンも子どもに教えたりしていました。
アインシュタインの仲間はこのように聞いたのです。
「あなたは何で子どもにバイオリン
なんか教えているんですか。そんな時間があったらラボで他の学者といろいろやってなく
ちゃいけないことがあるんじゃないですか」。
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するとアインシュタインはこう言ったのです。
「いや、バイオリンを教えることは全然時
間の無駄ではないんですよ。なぜなら子どもたちは、最高の質問をしてくれるからです」。
アインシュタインは、自分と他の物理学者や発明者との違いをこのように言っています。
「私は、まるで子どものように質問することができること、それが他の人との違いなんだ」
と。
アインシュタインの特殊相対性理論の式、E=mc の 2 乗、これはエネルギーは質量掛け
る光速度の 2 乗という方式ですが、この方式が生まれたのには、こういった質問が背景に
ありました。
「もし自分が光の一番最初のところにいて、その高速に動いている光の一番最初のとこ
ろにいたら一体どうなるんだろうか」という子どもがするような質問をしたから、この方
式が生まれたといわれています。
私たちは、生まれたときから、優れた質問をするように生まれついているわけです。そ
のスキルがあるからこそ、早い段階で、話したり、それから歩いたりすることができるわ
けです。子どもの、素晴らしい質問をする才能、これによって私たちは歩いたり、話した
りすることができるようになるのです。2、3 歳のお子さんや、それからそういったお年ご
ろの甥や姪がいる方はご存じだと思いますが、質問するの大好きですよね、この子たち。
ところが、われわれの住んでいる世界では、この 2、3 歳の子どもを持つ親は、子どもに
対して、「質問しちゃ駄目」と教えます。なぜなら、
「私たちにはそんな時間がないの」と
か、「質問たくさんしすぎてるの」とか、「おじいちゃんやおじさんの前で恥ずかしいじゃ
ないの」といった理由をつけるわけです。
そこで何が起きるかというと、私たちは生まれ持った素晴らしいスキル、つまり、素晴
らしい質問をするというスキルをそのまま発展し続けることができなくなってしまうので
す。
私は、私自身祖父であり、そして 7 人の孫がおります。私の最も大切な役割は、私の子
どもが私の孫に対して与えてしまったダメージをほどいていってあげる、それが私の大切
な役割の一つです。なぜなら、私知ってるんです。私の子どもたちは、私の孫に当たる子
たちに「質問をしちゃいけない」と教えているのを知っているんです。ですので、孫を見
かけると、
「おじいちゃんはね、
質問大好きだからね、
何か聞きたいことあったらおじいちゃ
んのところにおいで」というふうに言います。
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子どもたちがする質問というのは非常にいい質問です。なぜなら、それは勇気を持った
質問であり、そして全体的なシステムを捉えた質問であることです。例えば、孫たちはこ
ういった質問をするのは怖くないんです。「おじいちゃん、なんであごひげが白いの?」。
あとは空を見上げて、
「ねえ、何で雲って落っこちてこないの?」。
ということで、私は自分の孫がよりよいリーダー、そして人生で成功してほしいと思う
ので、彼らが質問することを促進しているわけです。それは彼らのスキルを伸ばし、そし
て仕事や学校や、社会で成功することにつながるからです。
私たちは、素晴らしい質問が素晴らしい発明や、人生における素晴らしい決断の大本に
なっているということを知っております。
私たちは、恐らく私たちの今まで生きてきた中において、素晴らしい質問というのを例
えば親やお友達、それから非常に優れた精神的なリーダーから受けたことがあると思いま
す。それはどういう質問かと言うと、人生における大きな変化を起こすレベルの質問であ
り、そして素晴らしい質問というのは人生において非常にパワフルであり、そして組織と
か人生も変えてしまう、そういった質問です。
では皆さんに質問です。皆さんが素晴らしい質問をしたことによって、どのぐらいの数
の組織、そして何人の人生、そしてどのぐらいのグループを大きく変えたことがあります
か。あなたが誰かにした素晴らしい質問というのを思い出せますか、あるいは誰かがあな
たにしてくれた素晴らしい質問を思い出すことができますか。ここでシェアしたいような、
自分が聞いたことのある質問、または行ったことのある質問はありますでしょうか。
私がしてもらった素晴らしい質問は、
「本書いたらいいじゃない、書かないの?」という
質問です。私はかつて、10 年から 15 年ほど、企業のグローバル化ですとか、リーダーシッ
プ開発、組織の変革などにずっと携わってきました。そこであるときある人が、
「本を書か
ないのですか」という質問をしてくれました。それについて私、非常に熟考しました。と
ても大変なことではありましたが、いまや 24 冊も本を出しています。
あとは、私の教授仲間の一人が、
「ロンドンでレッジ・レバンスという人が『アクション
ラーニング』っていう講座をやるみたいだけど、聞きに来ない?」と言ってくれたことも
あります。もしその質問をしてもらえなければ、私はレッジ・レバンスにも会わなかった
ですし、アクションラーニングも知らなかったです。
、そして本も書かなかったと思います。
ここにいくつかありますのは、素晴らしい質問の例です。
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この、エドウィン・ランドというのは写真のビジネスにずっとかかわってきたのですが、
ある日ビーチで娘の写真を撮っていました。すると、娘がこういうふうに言いました。
「今
撮ってもらった写真を何で今すぐもらえないの、
何で一週間も待たなくちゃいけないの?」
30 年から 40 年ぐらい前の写真の技術をご存じの方ならご存じだと思いますが、このポ
ラロイドカメラというのは本当に 1 分くらいで写真が出てきまして、7 日とか 10 日とか待
たなくても写真をすぐ手にすることができました。
それから生理学ですとか、DNA の二重らせん構造によく知っていた方たちはこのよう
に考えたんですね。「DNA を 3D で見たらどのように見えるんだろうか」
以前、毒をタブレットに入れてしまった事件というのがあって、この質問が出てきたそ
うですが、ジョンソン・アンド・ジョンソンの CEO が思いついた質問は、
「われわれが取
りうる最も倫理的な行動は何か」という質問でした。経営者であれば、どうやったらより
少ない投資で経営できるかなどといったことを考えるものですが、彼は倫理的なところに
関して質問をしたわけです。この質問がきっかけとなり、ジョンソン・アンド・ジョンソ
ンはその時出していた製品を全てリコールしました。そして新しいシステムを作り、そし
てやがて、ジョンソン・アンド・ジョンソンはネガティブではなくて、ポジティブなイメー
ジを与えることができる企業となったわけです。
「なぜあのリンゴは私の頭上に落ちたのだろう?」という質問、これはアイザック・
ニュートンが思いついた質問ですが、考えてみればリンゴというのは人間の頭に何百年も
の間、普通に落ちていたわけですけれども、彼は、
「なぜ私の頭の上に落ちてくるのだろう
か」というふうに考えたわけです。これが彼をニュートン物理学者として育てたわけです。
先ほどこれはお話ししましたが、アインシュタイン、
「自分が光線上の一番最初のところ
にいたら一体何が起きるのだろう」、これが特殊相対性理論を導いたきっかけとなりました。
そしてマクドナルドの創業者は「どうやったら道でおいしいハンバーグを手にすること
ができるのだろうか」と考えました。
これらは、非常にパワフルな質問で、そして周りの人を変えただけでなく、業界全体も
変えてしまったような質問でした。
では私たち自分自身に問うてみましょう。私たちはアクションラーニングにコミットし
ているということもありますので、ぜひこの質問をしてみましょう。まず、
「なぜ質問はこ
んなに効力があるのか」。そして、
「質問は意見にはできない一体何ができるのであろうか」。
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今言った質問は、実は私自身が 15 年前、自分に対して行った質問でした。
「なぜ質問はそ
んなにパワフルなのか」、そして
「どのようなリーダーたちが質問をうまく使っていたのか」
、
そして「彼らが使った質問は一体どんなものだったのか」。
そして次に、
「一体いつ、どこで、一体どんな言葉を使って質問するのか」ということも
質問してみました。
こういった質問 を基にしたリ サーチに基 づいて 私が書いた本が、『 Leading with
Questions』という本です。この本は、世界中でたくさん販売されることになりました。
そして日本語や中国語などにも訳された本です。
世界中の優れたリーダー100 人に質問をし、そして「どんな質問をしたのか、そしてど
うして質問したのか」ということを聞き、そしてその質問の中から 7 つの重要な目的とい
うのを見つけることができました。彼らが問題を使いこなした理由の一つは、問題を解決
したかったからです。もちろんですよね。ですので、私が彼らに「一体どうして質問なさ
れたんですか」と質問したところ、
「それは問題を解決できるからだよ」という答えが返っ
てきました。
そして、リーダーたちはいろんなタイプの質問をしないといけないということに気が付
いてきました。問題を解決するためには、きちんと意志決定(Decision-making)をしな
ければなりません。ということは、問題を正しく理解することも必要ですし、その周りに
あることもきちんと理解しなくてはならないのです。
問題を知るには、問題そのものについての質問だけでなく、その周りにある環境ですと
か背景、そして問題の文化ついても触れる必要があります。
そして問題に取り組む時には、正しい問題に取り組んでいることを確認する必要があり
ます。先述のコッターが言っていたのが、
「優れたリーダーというのは、正しい問題にアク
セスし、対応している。問題の根本のところにアクセスしていて、問題の兆候に対応して
いるのではない」というふうに述べています。
優れたリーダーというのは、システムというのを認識しようとします。それは質問を通
してやるわけです。例えば、見て取れる出来事だけではなくて、その状況をつくり上げて
いる背景ですとか、それから、影響を与える可能性についても質問をしていくわけです。
そしてリーダーたちはこれも分かっていました。いろんな質問をしなくてはいけないんで
すが、その「いろいろな」という意味は、問題解決の、一体どのステージにあるかによっ
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てその質問の内容を変えていかなくてはならないということです。
そして問題をリフレームしようとしているとき、再構築しているときですが、そして問
題の完全な像を得ようとしているとき、そういったときにはオープンエンドの質問、自由
回答式の質問をすることが多いです。そのほうが、よりクリエーティブでより直感的な質
問を得られるからです。
そして、何か決断を下さなくてはならない時、何かを選ばなくてはならないような時は、
だんだん選択肢を絞るような、つまりクローズド・クエスチョン、選択回答式質問という
のを行っていき、そして何かが選択されるように導いていきます。
そして問題解決において、最初のほうの質問というのは、より広がるような質問をして、
そして最後のほうに何か決断をしなくてはいけないような場合には、よりクローズド、よ
りまとまっていくような質問をしていくということになります。
二つ目の理由、
「なぜ質問が価値があるものか」についてリーダーが思っていたのは、そ
れは質問によって「チームが構築されていくから」です。リーダーの周りには、チームが
築かれていくことが非常に大事になります。それは、プロジェクトでもそれから自分に直
結する問題でも、何でもいいんですけれども。なぜなら、チームというものが組織の中で
起きている問題をきちんと解決できるからです。そしてリーダーが問題解決をするために
チームに質問をし始めると、それはよい関係をつくっていくことになります。協力関係で
すとか、そして質問をすることによって興味を示し、そして敬意を払っているということ
を示すことになるからです。
質問というのは非常に面白い生理的なインパクトを人に与えます。質問をして、そして
相手を助けてあげるような機会を設けた場合、また質問をして相手に敬意を払うような機
会を与えた場合、相手の方はあなたのことを好きになるんです。友人関係というのは、質
問をしたり、そして質問をさせてくれるといった関係ですね。そこから友人になっていき
ます。質問をすること、させてもらうことを一切許可されない間柄では決して友人になる
ことはありません。なぜなら、友好関係というのは、
「私がその人を助けてあげる」という
機会、そして「あなたが助けを求める機会をつくる」といったところから始まってくるか
らです。
グループで何か決断をしなくてはならないとき、そして何か合意ですとか、何かの一致
状態にいかなくてはならないときに、お互いに質問しあうということが、より簡単な形で
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合意を得たり、それからアクションを行うような方向に向かわせるといった結果を招きや
すいです。
そして、リーダーはこのようなことに配慮するべきです。
「若年層のメンバーが、安心し
て質問をできるようになること」、そして「より高いレベルにあるメンバーがより若いレベ
ルのメンバーに対して質問を促してあげたり、逆に若い層の方たちが少し上の層の方たち
に質問をすることを促してあげる」といったことに配慮する必要があります。
質問が、グループをチームにするような、
「糊」のような役目をするというふうに考えま
すと、リーダーはそのチームの中で質問がより飛び交うような状況をつくることに配慮す
る必要があります。そのことによって、チームがより効率的に、より効果的に動くからで
す。
リーダーは、質問において「モデル」という存在であるべきです。つまり質問に対して
オープンである、受け入れる態勢を見せるということ、そして若年層とそれから少し高い
レベルのメンバーがお互いに質問をしあうようなこと、そしてリーダー自身に質問をして
もいいというモデルになるということです。
三つ目の質問の利点というのは、リーダーが優れたアイデアや戦略、そして組織に対し
て優れた革新、イノベーションをもたらす結果になるということです。
リーダーというのは、システムというものを見れるようにならなくてはなりません。ど
ういうことかというと、問題を解決して組織を変えていくには、全体像を見る必要があり
ます。そしてさらに、リーダーの周りの人間もシステムを見れるようにならなければいけ
ません。なぜなら、変化にはシステムを見れるようになる必要があるからです。
私たちに革新をもたらしたり、そしてシステム全体を理解するのに障害となっているも
のがいくつかあります。それは、私たちが前提として頭に抱えてしまっている前提、そし
てバイアス、偏見、そして何かに対する期待ですね、こういったものは現実をそのまま見
て捉えることを妨げてしまいます。そして全体像を見ることも妨げてしまいます。
誰かが成功したり、そしてグループ、そして組織が成功するには、革新、イノベーショ
ンが必要です。そして、質問を通して個人やグループや組織が、よりクリエーティブにな
り、より革新的、イノベーティブになっていくわけです。
そして私がリーダーに質問した中で分かっていったのは、質問というのは人を元気づけ
る、そしてリーダーの周りの人を元気づけて、わくわくさせてモチベーションを上げてい
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くということが分かりました。誰かを元気づけて、輝かせるためには、誰かが自分のこと
を輝いて話すような質問をするといいのです。つまり、その人が「何か価値があることを
話せる」という状態に質問を持っていくということです。
例えば、
「どう考えますか、どう思いますか、あなたのどんな経験がここで役に立つでしょ
うか、どのように私のこと、あるいはこのグループのことを助けていただけますか」といっ
た質問は人を元気にし、その人が「敬意を払ってもらっている」
、そして「あなたと一緒に
いることを楽しく感じる」といった効果があります。
お互いに、お互いに対して質問するという状態、そして何かをシェアできるという状態
はアイデアを生んだり、そしてお互いへの興味を生みます。それは心地の良い関係を生み
出すことになります。例えば仕事の場でよくあるのですが、意見を言ってしまうとどうな
るか。それはディベートを生んでしまったり、モラルの低下やお互いの対立などを生みや
すくなってしまいます。リーダーは気が付いています。質問というのは人々をつないでい
くものです。しかし意見というのは人を離してしまう、分けてしまうといった結果に終わ
ることが多いです。
そして五つ目のメリットは、質問は、リーダー、そしてリーダーが質問した相手、この
双方が学習する効果があるということです。なぜなら、私たちは知っていると思うんです
が、人生において改善をしたり、それからより良く行動するためには学習しないとできな
いわけです。個人やグループや組織、どのレベルでも構わないのですが、行動を改善して
いくためには学習が必要です。しかし個人やグループや組織、こういった存在は「振り返
り」がないと学ぶことができないのです。
「振り返り」を通じてのみ、私たちは学習するこ
とができるのです。そして私たちは、質問がない限り、決して「振り返り」をすることが
できません。それは自分が質問することでも、質問されることでもいいのですが。
質問というのは全ての学びにおいて本質的に大事なものです。つまり、より質問が素晴
らしければ、そこから得る学びも大きいですし、そこから生まれるアクションというのも
より素晴らしいものになるのです。
そして私たちの脳というのは、意見を聞いたときと、質問を受けたときとは違った動き
をするわけです。特に意見を受けたとき、もらったとき、特に「こういうことしなくちゃ
いけない」というような意見をもらったときには、脳は閉じてしまいます。しかし、脳が
ポジティブでそしてオープンで、サポートを得られるような質問をもらった場合というの
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は、シナプスが開いて脳も開くわけです。
より質問が良ければ、私たちはより学ぶことができます。それは質問をした人もそうで
すし、その質問を受けた相手、それが個人でありグループであり、時には国レベルのこと
もあります。
私の同僚がこんなことを言っていました。
「私たち自身が、自分がした質問そのものであ
る」。つまり、あなたが行っている質問は、あなたがどういう人かということを決定付けて
いっているわけです。
素晴らしいリーダーというのは素晴らしい質問をするのですが、しかしもっと言えるこ
とは、素晴らしい質問が素晴らしいリーダーをつくり上げていくということです。なぜな
らば、素晴らしい質問をリーダーにしたとします。そうすると、あなた自身がより良い傾
聴者であり、コミュニケーションがより上手な人として見られるわけです。あなた自身が
素晴らしいリーダーとして見られるようになるわけです。もちろん、質問をリーダーがし
たことによって、その周りの方たちがビジョンをつくり上げていくということがあります
が、実は質問がビジョンそのものをつくり上げていくという側面もあります。
ちょっと考えてみてください。
「素晴らしい質問によって示されたことのないリーダシッ
プスキル」というものはありますでしょうか。もし、あなたがよく耳を傾ける、よく聞く
人だということを示したければ、良い質問をすればいいでしょう。そして人を元気づけた
ければ、またよい質問をすればいいでしょう。そしてより良い判断をしたければ、良い質
問をすればあなたが素晴らしい意思決定者であることを示すことになるでしょう。素晴ら
しい質問というのは、お互いに起きてしまっている争いを乗り越え、そして人にモチベー
ションを与え、そして謙虚さを示し、自信をも与えます。
そして 7 番目のポイントです。もし他の人により良い行動を取ってもらいたければ、何
かをしろ、というふうに命令口調で言うのではなく、質問するといいということです。な
ぜなら、質問というのは、その質問をされた人の内側から湧き出すような興味やコミット
メントなどを生み出すのですが、誰かに何かをしろと命令した場合は、外からの強制力と
なってしまい、やがてその人はやる気を失ってしまうわけです。
さっき質問しましたよね。どんな素晴らしい質問を聞かれたことがありましたか、と。
そして素晴らしい質問をたぶん皆さん思い浮かべているのではないかと思います。
そして、
あなたがその質問をされたとき、あなたの人生を大きく変えたに違いありません。または
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あなたが人生を見る角度が変わったかもしれません。そしてあなたが行った行動が変わっ
たのかもしれないですね。
先ほどの質問に戻ります。どなたか、自分が受けたことのある、または聞いたことのあ
る素晴らしい質問というのを思い出した方いらっしゃいますでしょうか。親から、友人か
ら、仲間からしてもらった質問でもいいですし、どこかで見かけた質問でも構いません。
それから、質問の持つ力ですけれども、パワフルな質問というのは、答えがすぐ思い浮
かばないような質問なんですね。そういった質問はあなたの潜在意識にずっと残り、そし
て残り続けて質問に対する答えというのをずっと探し続けるわけです。特にその質問が何
か価値があるかなとか、何かメリットがあるような質問だった場合は特にその効果が高い
です。ですので、ぜひ先ほど私がした質問、
「あなたに対して行われた素晴らしい質問は何
でしたか」ということをもし覚えてらっしゃるようでしたら、今か、近いうちに書き留め
ていただきたいと思います。自分がした質問でもいいですし、された質問でも、どこかで
聞いたような質問でも構いません。
そして、もう一つ書いていただきたいことがあります。自分が他の方にどういった質問
ができるかということを、今までお話ししましたような 7 つの目的、質問のポイントがあっ
たと思います、これらに沿った形でどんな質問ができるかということをぜひ書いていただ
きたいと思います。素晴らしいものでなくても、いい質問かなということであればぜひ書
いていただきたいんですね。
私たちは、質問にパワーがあり、力があり、そして価値があるということはよく分かり
ましたね。そして私たちは自然に、素晴らしい質問というのをする力を持っています。こ
んな素晴らしい力を、
する能力を持っていながら、
ではなぜ私たちは質問をしないのでしょ
うか。
そこにはわれわれ大人が質問をしない大きな理由、特に仕事でなんですけれども、三つ
あります。
まず最初は、今まで心理的な経験としてネガティブな思い出が伴ってしまっているから
です。それはかつて学校や、自分の家の近所だったり、家族の間で、何か質問をしたこと
によって恥ずかしい思いをしたからなんですね。質問しちゃ駄目と言われたり、笑われた
りなどして、心の中に恐れが残っていて、ばかな質問をすることができなくってしまって
います。もう、私たちは安全に質問をすることができないと思っているんですね。
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そして二つ目の理由は、質問をするスキルがないということです、なくなってしまった
ということです。実は、私たちは生まれ持って優れた質問をする能力を持っていたのです
が、それを 2 歳とか 3 歳でやめてしまうことになったわけです。ですので、それ以降その
スキルがなくなってしまった状態なんです。そして、質問する練習をしたりとか、トレー
ニングを受けたり、誰かからフィードバックをもらったり、誰かにモデルケースになって
もらうということがあればいいのですが、決して職場でそういったことがあるということ
は非常にないわけですね。
私たち、今までのこの段階で、リーダーにとって大切なスキルは質問することだという
ことを学びました。ではビジネススクールで、より良い質問をするトレーニングを受ける
のだろうかというふうにお思いでしょうか。
しかし、私が知っている唯一の学校は、こちら日本の立教大学でしか、この素晴らしい
質問のことについて教えていないのです。こちらでは生徒さんに対して、質問をよりたく
さん使うことを促進していますし、そのフィードバックを与えたりですとか、問題解決に
質問を使うことを促進していますね。
そしてもう一つの、最後の三つ目の理由は職場の文化として、リーダーが答えを持って
いなくてはいけないというカルチャーがあるからです。つまり、質問をするというカル
チャーがないということです。答えを知らないリーダーは、その威力がなくなってしまう
というコンセプトがあり、そして下にいる者を上にいる人間に対して、そんな失礼な質問
などをするということは全く推奨されていないからです。
では、人々が質問するのを怖かったり、質問をしないような組織では一体どんなことが
起きてしまうのでしょうか。
タイタニックのこと、ご存じですね。ここにありますように、チャレンジャーのケース、
タイタニック、マイクロソフトのビスタのケース、ピッグス湾事件など、本当に何百個も
ケースがあるわけです。そしてこういったことは、毎日、世界中のどこかで起きています。
質問をしないことによって、いろんなロスが起きているわけです。特に、リーダーが質問
をしなくてはいけないのに、質問をしていないというケースが多いわけです。
タイタニック号を造った技術者の人たちは、お互いに質問をしあうということをしませ
んでした。それが結果として 1400 人の命を奪うことになってしまいました。
そして毎日、日々組織で起きているのは、人々が質問をお互いにし合わないが故に、ま
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あ人が亡くなるというはそんなにないのかもしれませんが、でも自分の人生に価値がない
というふうに思っている人が多いのではないでしょうか。
質問が組織の中で取り交わされないが故に、そこでの人生というのは、非常につまらな
くて、そして仕事の質も良くなく、収益も下がり、そして時間が無駄にされ、そしてモラ
ルも低下し学習も少ないといった状況になります。
素晴らしい質問というのは、素晴らしい結果を生みます。ここの図にありますように、
素晴らしい根っこがあれば、素晴らしい木が生まれ育つことになります。素晴らしい質問
というのは、人々がより伸びる、広がっていくこと、そしてより深く掘り下げていくこと
を助けます。そして質問が素晴らしいほど、その組織の成功はより素晴らしいものになる
でしょう。
私たちは人生の中で、大体二つのタイプの質問というのを聞いているんですね。
私たちの多くは、力をそぐ質問というのをしてしまいがちです。これは他の人を怖がら
せてしまったり、嫌な感じを抱かせてしまったり、
侮辱したりする結果になってしまって、
とにかく力をそいでしまうんですね。
ところが、力を与える質問というのは、その人々をパワフルにさせ、そして素晴らしい
人にし、そして素晴らしいことをさせ、その人に強さを与えエネルギーも与え、そして能
力も上げるといった結果を与えます。
私はこれから、力をそぐ質問というのと、それから力を与える質問というのをちょっと
ご説明していきたいと思います。本当は時間があったら、こういうワークをしていきたい
んですが、皆さんに宿題としてお願いしたいとおもいます。
力をそぐ質問の例ですね。
「なぜ予定より遅れてしまっているの?
なんで成果を挙げることができないの?
な
んでもっとましなことが考えられないの?」
こういったような力をそいでしまう質問よりも、力を与える質問としては、最初の「な
ぜあなたは予定より遅れているのか」に対しては、
「今できている範囲で、あなたが一番満
足していることは何ですか」といった質問があります。
そして残り二つです。
「目的を達成するために必要な、大切なことは何ですか」、
「確実に
成功させるにはどんなサポートが必要ですか」
、こういった質問は力を与える質問です。
力を与える質問というのは、常にポジティブです。こういうのを AI―Appreciative
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Inquiry と言います。何がうまくいっていないかに集中するのではなくて、どうやったら
より良くいくのかに集中させる質問です。
これは非常にシンプルな法則なんですけれども、非常に力学的に物事を変えてしまうわ
けです。悪いことに集中するのではなくて、
「より良く」に集中するわけです。どうやった
らより良くできますかという質問をすることによって、まず答えを考えるほうとしては、
それを考えなくてはならないわけです。
三つありまして、まず、「今何がうまくいっていないのか」を分からなくてはならない。
そして 2 番目に、
「どうやったらより良くやれるか」ということを考えなくてはいけない。
そして 3 番目は、「今悪い部分を良くするためには」という部分に関して考えなくてはい
けないわけです。
先に述べましたようにリーダーたちというのは、オープン・クエスチョンとそれからク
ローズド・クエスチョンを、質問を使い分ける能力を持っています。時にはオープン・ク
エスチョンを聞くことがいいかもしれませんし、時にはクローズド・クエスチョンをする
ほうがより効率的かもしれないのです。いくつか、オープンエンディド・クエスチョン
(open-ended question)がありますが、頭を使うもの、ハートを使うもの、そして体全体
を使うものなど、いろいろあります。
そしてオープンエンドの質問のタイプ、ここに七つ挙げております。七つは一つずつ申
し上げますと、「明確にするタイプ」、メッセージや意見をより明確にする、より詳しい説
明を求める、具体的には「これをどのようにやってほしいのですか」。
「内省的」、基本的な前提に立ち向かう、
「どうして私たちはいつもこのやり方をするの?
今までに試みたことはありますか」。
「精査的」、詳細を詰める、掘り下げる、「なぜこれが起こっているか、詳しく説明でき
ますか」。
「関係付ける」、システム的見地を求める、「この行動を取った後はどうなるでしょう」。
「探索的」、未踏へとつながる新たな道や洞察力を招く、「こういう情報源は考えてみたこ
とはありますか」。
「分析的」、単なる深刻な問題の兆候だけでなく、原因と結果を検証する、「なぜこれが
起きたのか」
。
「感情的」、共有意識を強める、「この戦略をどう思いますか、どれぐらいわくわくして
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質問によるリーダーシップ
~多様な社会でより成果をあげるために~
いますか」
。
ここにはオープン・エンドの質問の例をいくつか挙げています。いくつかは「なぜ」と
か「どのように」とか「なんで」といった形で始まるような質問ですけれども、とにかく
言われている状況ですとか問題を傾聴し、そしてそのシステム的な全体像を理解すること
によって、そしてこういった例を駆使することによって素晴らしい質問をすることができ
るでしょう。
そして時に、クローズド・クエスチョンをするときがいい場合もあります。どういうこ
とかと言うと、もう話し合いをクローズして、そして何か決断をしなくてはならない場合、
そしてまた、特定の情報が欲しい場合、そして何かを選んでもらわなくてはならない場合
ですね。
そしてこのフォローアップの質問というのが非常に良い質問になっていくわけです。そ
の状況を聞いて理解し、そしていろんな質問をした上で状況を構築した後に、フォローアッ
プとして質問することが非常に素晴らしい質問となるわけです。これは今まで得た情報と
いうのを統合して、そしてシステムに作り上げていく効果があるからです。
よく傾聴することによって、素晴らしい質問というのを定期的に発することができるよ
うになります。
役に立たない質問というのがありますが、これは意見を単純に言葉として質問の形で
言っている場合です。どういったものかと言うと、誘導してしまいがちな質問ですとか、
それから選択を限定してしまって質問にしてしまっている場合、そして批判的な質問の場
合です。
質問が素晴らしいものなのか、それともそんなに素晴らしくないものなのかを見分ける
には、また別の観点がありまして、その質問が判断的なのか、それとも学習を促進するよ
うなものなのかを見ることです。ほとんどの場合、判断的な、決め付けがちな質問をして
いることが多いと思います。どういうことかと言うと、すでに自分が答えを持っているの
に質問を聞いたりですとか、誰かを責めてしまう、
「これかこれかどっちか」と言わせてし
まう、厳格な形で質問してしまう、とにかく何か機会を限定して、そして何か判断を下す
ような方向に持っていく質問のことです。
ところが、学習するような質問はどういうものなのか。相手を受け入れ、そしてそこに
はお互いに信頼があるわけです。信頼が存在しています。そして互いに成長を共にしてい
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きたいし、成功したいという気持ちがあるような質問です。
どういうものかと言うと、何かに興味を持ったり、その相手に興味を持ったりするよう
な質問、そしてたくさんの機会が与えられ、そして柔軟性の高く、また曖昧であることを
許すような質問です。私たちが質問するときには、判断的な質問か、学習する質問かとい
うことを選ぶことができるわけです。
例えば、判断的な質問の例。「何がまずいの?」
。でも、これを学習するような質問に変
えると、「この経験からどうやって学びますか」
。あるいは「どうしてミスをし続けるので
すか」に対して、
「このことからどんな可能性が広がるでしょう」
。
「なぜ正しく理解するこ
とができないのか」に対して、
「どうしたら順調にことを進めることができるのでしょうか」
。
そして最後に触れたいのが、効果的な質問をするリーダーの特徴についてです。
まず最初の特徴としては、他の人に対して興味を持っているということです。つまり、
相手を思いやる、これがないといけません。そして、自分だけでなく他の人が学習するこ
とに対する、それを助けることに対するコミットがあること。次が、勇気を持つこと。時
には相手またはそのグループに対して質問をするのが大変なときもありますが、あえてそ
の勇気を持つということ。
四つ目は謙虚さです。優れたリーダーというのは自分の中に答えがないから、故に他の
人から学びたいという姿勢を持っているものです。
そして五つ目のポイントは、そのスキルを常に常に向上させていくというポイントです。
質問をした相手からフィードバックをもらって、そして自分が行った質問が良い質問だっ
たかどうかということをフィードバックとしてもらうということです。
私たちは、もうすでに何回も申し上げましたとおり、優れた質問をする能力というのを
持っていたわけですが、それをなくしてしまったわけです。それは子どものころから質問
しなくなってしまったからです。ところが、自転車を例に取りますと、自転車が乗れるよ
うになりました。ところが 10 年間ぐらい自転車を乗らなくなってしまったとします。そ
うすると、最初は乗れないのですが 10 分から 15 分ぐらいまたやってみると、また思い出
してきて、素早いスピードでそのスキルをまた元に取り戻すことができるわけです。
故に、ここにいらっしゃる皆さまに対して、私は非常に自信を持っております。皆さま
は非常に優れた質問者になられるということに私は自信を持っております。
そしてここにある、六つのステップなんですけれども、あなたが 2 歳や 3 歳のときに持っ
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ていた質問力を取り戻すステップとしてここに掲げております。
まず最初が、今あなたがしようとしている質問と、他の人があなたに対してする質問を
もっと意識するところから始めましょう。
そして、
これは他の人に聞こえないからぜひやっ
ていただきたいんですけれど、自分の中で質問をたくさんするということです。もっと質
問することによって、たくさんのことを学ばれるでしょう。他の人に質問する前に、自分
でちょっと考えていてください。「この質問で私は何をしたいのでしょうか」、また「この
質問というのは学習を促進する質問なのか、それとも相手を元気づけるものなのか、相手
がクリエーティブになるのを助けるような質問なのか」などです。
他の人が自分に質問することを奨励してください。特にあなたが上の立場にいらっしゃ
るような方であれば、なかなか質問を受ける機会というのはないかもしれません。故に質
問をしてもらったら、その質問がパワーを与えるようなものなのか、それともそうでない
質問なのかなども含めて質問を受けること、してもらうことを推奨してください。仕事で
も、仕事でないところでもいいのですが、質問する機会をたくさん設けてください。
そして、自分にいつも質問を繰り返すようになられると思いますが、そういったときに、
時々静かに自分に振り返ってみてください。今、私あるいは私たちが行った質問の質とい
うのはどういうものだったのでしょうか。どうしたらより良い質問をすることができるの
でしょうか。あるいは、次に質問するときにはどうしたらより良くできるのでしょうか。
そして質問の練習を組み込みたいプロジェクトとか、いつもやっているルーチンの仕事
を選んで、
「質問に対してでない限り、意見を言わない」というアクションラーニングの原
則ですね、それをぜひやってみてください。わざわざセッションをしなくても、アクショ
ンラーニングをしている仲間の方と、その質問をすること、意見を言わないという原則を
ぜひやってみてください。
そして誰かに、質問をあなたがしているときの、あなたのその様子についてのフィード
バックをもらうようにしてください。例えば「あなたが行った質問の影響について」です
とか、「あなたがどんなタイプの質問をしたのか」などです。
そして最後に、素晴らしいリーダーは素晴らしい質問をする、そして素晴らしい質問が
素晴らしいリーダーを生む。そして意見を述べてしまうことはリードする機会の損失にな
るかもしれないということです。
ありがとうございました。
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〇司会:マーコード先生、ありがとうございました。
それでは、せっかくの機会ですので、皆さまからご質問を一つか二つお受けしたいと思
います。
〇マーコード:質問大好きです(と今先生おっしゃってました)
。
〇司会:では、いかがでございましょうか、皆さま、ご質問がおありの方は挙手をお願い
できますでしょうか。どんな質問でも大歓迎でございますが。
はい、ではよろしくお願いします。
〇会場 1:きょうは貴重なお話、ありがとうございました。質問ですけれど、質問の効果
というのはよく分かったんですけども、ビジネスの場においては時間が結構なくて相手に
質問をしているよりは、よくある問題としては相手の知識不足とか努力不足とかいうこと
があって、それを質問で気づかせるという時間があまりないことが多いんだと思うんです。
そういうときにはこの質問でやるっていったときにどのような姿勢でやるのかということ
を教えていただきたいんですけど。
〇マーコード:質問というのは、大切なことに触れるときに質問をします。そして、緊急
性を伴うときに意見というのは出てきます。そしてアクションというのは緊急性を伴うと
きに取っていくものです。しかし質問というのは学習することが大切なときに使われます。
私たちは、忙しいからと言って時間を取りません。そして忙しいから行動を逆にしてしま
います。しかし私たちが時間を取って質問をしたり、学んだりしないということは、つま
り私たちは学ばない。何が起きるかって言うと、行動が変わらない。そして質問しないと、
学ばないということなんです。
私たちは時間をより効率的に使うことを学ばなくてはなりません。そして何かを学んだ
ら、例えば今まで 2 時間かかっていたようなことが、例えば 20 分でできるようになるか
もしれないんです。それは、例えば何かを作ったり、直したり、誰かの相手をすることを
学んだからできることなんです。学習するということは、何を短く、今までかかっていた
時間が短くて済むようになるということでもあります。
そして私たちはアクションラーニングの中で必ず学習する時間というのを取っています
よね。なぜなら、グループというのは必ず、学習することを選択しているわけです。この
選択をしないと、つまり学習する時間を取らないと、ずっとアクションにばっかり集中し
てしまいますよね。
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〇司会:ご質問ありがとうございました。では恐れ入りますがもう一つだけご質問をお受
けしたいと思いますが。では恐れ入ります、お願いいたします。ではお時間の関係で最後
の質問とさせていただきます。
〇会場 2:素晴らしいプレゼンテーションありがとうございました。一つだけ質問があり
ます。スライドの 38 ページ目で、
「質問のスキルの練習」について触れていらっしゃいま
す。これは大体分かったんですけれども、どのように質問をよくしていったらいいのかに
ついて、例えば短期的な、長期的な、両方の面で具体的なことを教えていただければと思
います。
〇マーコード:具体的な例としては、きのうまでのデモンストレーションなどでご体験が
ある方もいらっしゃると思うんですけれども、アクションラーニングセッションをすると
きに、セッションの間に自分が練習したり、より良く使っていきたい、使いこなしていき
たいリーダーシップスキルというのを選んでいただきます。
そして四つの条件が伴うと、非常に短い時間の間でそのスキルというのをつくることが
できます。
まず一つ目は、どのスキルでもいいんですけれども、より優れた質問のスキルをつけた
いと思ったら、自分自身に「私はより良い質問者になるために大きくコミットしてます」
と自分自身に言い聞かせる必要があります。
二つ目のポイントは、もしスキルを身に付けたければ、数をこなすことです。やればや
るほど、早く見に付くようになるでしょう。質問というのは、非常にやりやすいものだと
思います。一日 24 時間、そして 1 週間の間 7 日間あります。いつでも質問する機会とい
うのは、お友達ですとか近所の方ですとかお子さんですとか仲間とか、相手がいると思い
ますので、やってみてください。
三つ目は、スキル向上のためには他人からフィードバックをもらうことが大事です。そ
の他人というのは、あなたがそのスキルを練習するのを一緒に見ていたり、一緒に経験し
てくれる相手のことです。例えば、あなたが行った質問に関してフィードバックを受けら
れるような機会や時間を設けることが必要です。例えば、
「今の質問どうだった? どう思
う?」とか、
「より良い質問をするのにはどうしたらいいでしょうか」、そして「私がした
質問はどのような影響をあなたに与えましたでしょうか」、こういったことを相手の方に尋
ねるような機会、フィードバックをもらう機会をぜひつくってください。なので、一つの
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例としては仕事の仲間、職場の仲間に頼んで、あなたがとあるミーティングの中で質問を
している様子を観察してもらって、そのフィードバックをもらうという機会をつくるとい
うのも一つの手です。
四つ目のポイントは、ずっと継続して「振り返り」をするということです。自分が行っ
た質問に対して、「あれはいい質問だったのかな」
、それともこれをより良い質問にするに
はどうしたらいいのか、そしてどんな影響を与えたのか、こういったことをずっとずっと、
自分自身の中でリフレクションし続けてみてください。そしてあなたの向上というのは、
リフレクションよってのみ行われます。自分自身に質問を問い続けてみてください。
〇司会:ご質問ありがとうございました。
それではマーコード先生に皆さまもう一度盛大な拍手をお願いいたします。
(以上/01:41:20)
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