2011 YOSAKOI ソーラン祭り参加者フォーラム in 札幌 全体会議 議事録 テーマ 『共(友)に創る北海道の夢舞台』 本年の参加者フォーラムでは、全体会議において、出席者全員(討論参加者222名。フォーラムス タッフは除く。)が参加のブレインストーミング形式で以下の3点について議論を行った。 ① マナー向上について ② 本祭参加費について ③ 地方車の在り方について また、議論を円滑に進めるため、4名がパネリストとして参加した。 ≪パネリスト≫ 高山 ひとみ 氏 山本 進 氏 (JCB・夢翔舞) (YOSAKOI ソーラン上川中央支部) 黒田 勝史 氏 (Excla!matioN) 大谷 友介 氏 (粋~IKI~北海学園大学) ≪進行≫ YOSAKOI ソーラン祭り組織委員会 道央支部 池端 英昭 支部長 ≪議事≫ 議題1:マナー向上について 進 行:YOSAKOI ソーラン祭りに限らず、一般社会の中で、マナーはとても重要である。YOSAKOI ソーラン祭りにおいて、どういったマナーが求められるのか、今は個々で判断している。しか し、一般の方からは、YOSAKOI ソーラン祭りのマナーについての意見や苦情がこれまでに多 くあった。これを限りなくゼロに近づけていくためにはどうすればよいか、皆さんの意見をお 聞きしたい。 (会場に挙手を求める) ◆ 参加チームに対しマナーを厳格にすべきだと思う人 ⇒ 挙手 3名 ◆ 現状のままでよいと思う人 ⇒ 挙手 0名 (大多数はどちらにも挙げず) 山本氏:以前から比べると、参加者のマナーはよくなっている。昔はひどかったと思うが。改善されて いるにせよ、それぞれのチームや市町村の看板を背負っているのだから、謙虚な、周囲に受け 入れてもらえるような姿勢が必要ではないか。 VOGUE038 前中氏: ルールははっきりしている方がよい。マナー・ルールを守るということが参加する前提。守ら ない人に対しては、審査の減点などではなく、 「守らない人は参加できなくなる」という認識を 持つべきである。祭り全体のマナーは良くなってきていると思うが、良くなっている人もいれ ば、そうでない人や、 「祭りなんだから何をしてもいい」と思っている人もいる。全国から多く の人が集まる YOSAKOI ソーラン祭りだからこそ、きちんと取り組んでいるという姿勢をもつ べきである。 神空北広連 尾形氏: ルールがあっての YOSAKOI ソーラン祭り。組織委員会と支部がもっと連携したり、支部内で ももっと意識を共有する場所をつくるべき。新しく入ってきた人に情報を提供する場や、話し 合いをする場が必要。祭り全体のマナーが良くなっているとは感じない。もっと気をつけなけ ればならないと思う。 進 行:では、ルールの問題について、具体的なルール違反の行為、 “これはやってはいけない”という ことがあれば教えていただきたい。 高山氏:以前に、自チームで実際にあった話を一つしたい。YOSAKOI ソーラン祭りのチームというの は、大勢で衣装を着ていること自体が、日常からかけ離れている。以前、チームメンバーが衣 装のまま喫煙所で喫煙していたところ、 (チームスポンサーである)JCB にクレームの電話が入 った。なにかルールを破っているわけではないが、自分たちが思っている以上に周りからは見 られているということに、気をつけるべき。 黒田氏:祭り会場などで、チームのスタッフに檄を飛ばす姿も、周りの人から見ると、あまり快くない 場合もある。また、踊り子がいなくなった後にゴミが散らかっているという光景も。 大谷氏:学生のチームなので、盛り上がると騒がしくなってしまうことがある。そのことについては、 チームでも気をつけようと話し合いをしている。 進 行:本祭中のメンバーの飲酒・喫煙を禁止しているチームはどのくらいいるのか? ◆ 禁止しているチーム (出席者の)約三分の一程度が挙手 進 行:では、特に制限していないというチームの考え方は。 北海道大学“縁” 鳥居氏: 自分たちのチームが、周囲や地域からどう思われたいか、どう見られるかを意識し、マナーを 守るのは当たり前。飲酒・喫煙については制限していないが、周りからどう思われるかを考え たときに、自然と自粛するようにはしたい。 びしゃせん 佐々木氏 飲酒や喫煙については、チームでルールをはっきり決めているので、喫煙所で喫煙する・携帯 灰皿をもつなど、それを守れば、楽しんでよい、というのが自チームの楽しみ方である。 進 行:あまり知られていないかもしれないが、祭り会場になっている札幌の中心部などでは、喫煙自 体が禁止の区域も多い。近頃の雰囲気を考慮すると、飲酒や喫煙についてはより気を配るべき だろう。法を犯さなければ、強制できることではないが。 高山氏:飲酒・喫煙の話に終始するのもいかがと思うので違う話題にしたい。まず、衣装を着て団体で 歩いているということそのものが、受け入れられにくいことを理解すべきである。祭りに関係 のない人の目線を考え、受け入れられるような努力をしなくてはならない。 黒田氏:各チームの代表者がもっと意識をし、本祭だけでなく、普段の練習から気をつけて、メンバー 一人一人に伝えていくべき。 山本氏:マナーについての話し合いをすると、どうしても“いかにマイナスを少なくするか”という話 になってしまう。それとは逆に、地域へ貢献し、プラスをつくることも考えても良いのではな いか。例えば、チームで関わりのある佐世保の祭りでは、祭りの参加チームが会場となる商店 街のゴミ拾いを定期的におこなっている。そういった活動で、地域に受け入れられていくこと も大切。 大谷氏:配布された意見・苦情についてのシートを見ると、苦情の内容は、YOSAKOI ソーラン祭りに 関わらず、社会人として守るべきことであると思う。こういった行為をしてしまうのは、普段 の生活態度がでてしまっているのだと思うので、日頃の生活から気をつけていくべき。 進 行:普段の生活態度が出ているというのは重要な視点である。ここで出された意見を各チームに持 ち帰り、チームの風土に活かしてほしい。 議題2:本祭参加費について 進 行:本祭の参加費をめぐっては様々な意見がある。一般チーム 15 万円という金額は決して安い金額 ではない。手元に配布している資料に、本祭開催にかかる経費(おおよそ1億円)について、 収入の割合を示している。そのうち、チームからの参加費は 25%ほど。参加費は祭り開催のた めにはなくてはならないものである。これについて、どのように考えるか。 また、1チーム 15 万円という参加費について、 「格差」があるという意見もある。150 人であ れば一人 1000 円、20 人なら一人 7500 円の負担になる。これについても、どう思うか。 高山氏:祭りに参加するということは、祭り全体に参加するものであって、人数で判断することではな いと考える。祭り会場で踊る権利としての参加費と考えると、現状の金額でいくのも妥当では ないかと考える。 黒田氏:昔とは違い、チームあたりの人数が少ない。今の 15 万円と言う金額は、第 10 回のころに決ま った金額のはず。それまでは、固定の参加費プラス踊り子一人あたり○○円の運営協力金を集 めていた。10 回のころに、ある程度の人数での参加を前提として、15 万円という金額になった。 これにより、より人数が多い方が個人の負担が少なくなるので、各チーム努力をした。今は、 昔と環境も違うので、もう一度昔のやり方に戻すのも一案かと思う。人数の多いチームは総額 が上がるが、個人で考えるとそんなに大きな負担ではない。 進 行:一人当たり 1000 円と 7500 円という差は大きすぎる、と考える人はどのくらいいるか。 ◆ 約半数~6割程度が挙手 進 行:マラソン大会などでは、エントリー費が 9000 円程度かかるという話もある。そこで、参加者の 皆さんは、YOSAKOI ソーラン祭りを楽しむために、いくらまでなら払ってもよいと思うか。 0人 ◆ ~7000 円まで 挙手 ◆ ~5000 円まで 約 20 人 挙手 ◆ ~3000 円まで 約 50 人 挙手 ◆ ~1000 円まで 約 10 人 挙手 tokachi紅 志賀氏: この題については、 「参加費がいくらだから参加できる」ということではなく、衣装、交通、宿 泊を含め、年間の活動費がいくらかかるのか、で踊り子は参加できるかどうか考えているので はないか。参加費そのものについて述べると、チーム単位で踊る場所を得るというより、 YOSAKOI ソーラン祭りに参加する全ての人が等しく同じ金額を払って参加する方が分かりや すくて良いのではないか。 進 行:参加費だけでなく、YOSAKOI ソーランに参加するトータルの費用が高すぎると思う人はどの くらいいるのか。 ◆ 25 名程度が挙手 進 行:チームの参加費に加え、衣装代、地方車代、曲代など、様々なお金がかかるのが事実。そんな なかで、どういったやりくりをして本祭に参加しているのか、話を聞かせていただきたいが。 北鼓童なよろ 高泉氏 衣装などだけでなく、各地のイベントに参加するにも交通費がかかる。そういうものも含めて 運営費と考えなくてはならない。衣装にいくらかかる、地方車をつくりたい、などと考えると、 いくらイベント等で謝礼をいただいても追いつけない状況に年々なってきていると感じる。 北海道大学“縁” 古川氏 チームで年間を通していろいろな祭りに参加しているため、その交通費や滞在費でかなりの金 額がかかる。その費用が負担となりチームを辞める人もいる。対策として、アルバイトをする 期間を設けたり、不本意だが遠征を減らしたりしている。本祭に向けては、地域で協賛金を集 めたり、人をたくさん集めようと努力している。チームからの参加費は祭り開催にかかせない ものと思うので、そのあたりも考えなくてはならないと思う。 進 行:人数を増やせば一人あたりの負担は減るが、どのチームも人集めに苦労しているのではないか。 年間の活動費も大変である。 ここで聞いてみたいが、参加費について、 「チーム単位での参加費」 「人数ごとの参加費」 「固定 の参加費プラス人数分の参加費」という方式のいずれがよいと思うか。 進 ◆ 人数ごとの参加費 約 25 名 挙手 ◆ チーム単位での参加費 約 40 名 挙手 ◆ 固定の参加費プラス人数分の参加費 約 10 名 挙手 行:では、皆さんの意見としては、金額はともかくとして、チーム単位で参加費を集めるべきとい う意見が多かったということになる。今後、参加費を見直していく上で非常に重要な意見であ る。ここまでの中ででてきたチーム運営にかかる経費の問題について、どのように考えるか。 大谷氏:祭りに参加するにあたって、個人の負担はかなり大きい。自チームでは、メンバーに活動費の 説明をする際、最初にきっぱりと“このくらいの金額がかかる”ということを伝える。高い金 額でも、それに見合った楽しさがあることを理解し、納得できる。最初に金額をぼやかすと、 人は増えない。また、趣味というのはお金がかかるものであり、自分の好きなことにいくらお 金をかけるかは、それぞれの価値観である。 黒田氏:自チームの活動費は、すべて込みで年間 6 万円。12 か月で割ると、月 5000 円程度。その他に 地域でやっているようなダンス教室などでは月 1 万円かかったりする。そういったことを考え ると、決して高くはないと思うし、何にお金が必要なのかをきちんとメンバーに伝えれば、納 得してもらえることである。 山本氏:このフォーラムに先駆け、事前に上川中央支部のチーム内でこのことについて話し合いをした。 参加費は安いにこしたことはないが、例えば 10 人のチームだったら参加費が 3 万円でよいかと いうと、そうではないという意見が出た。祭りの運営は費用がかかるものであるので、どちら かというと現状の追認に近い意見が多かった。全国各地の YOSAKOI 系の祭りでも、参加費の かたちはそれぞれ異なる。どれが正しいということはなく、祭りごとの考え方がある。組織委 員会には、祭りの経費は当然削減してほしいが、その上で必要な経費は皆で分担して負担する ことを考えなくてはならない。 高山氏:支部内で話し合った内容も、山本氏の意見と同じ。現在、ジュニアチームは参加費が無料であ るが、以前は参加費が有料だったこともあり、ジュニアチームも、参加費を払わなくて良いと は考えていない。祭りの継続・開催のために割り当てられている参加費というものを払う意識 は、どこのチームも持っているものである。この夏に、原宿の祭りに参加した際は、参加費 7 万円プラス人数分の費用という金額だった。これを考えても、YOSAKOI ソーラン祭りの規模 感で 1 チーム 15 万円の参加費は決して高いものではないと思う。そういったことも含めて、祭 りが開催できる金額を決定してもらうのがよい。 黒田氏:踊り子一人一人が参加していることを意識するためにも、チーム参加費プラス個人の運営協力 費をいう考え方もよいのでは。 進 行:参加費は、祭りの運営において、大きなウェイトをしめている。我々の望む祭りの継続を見据 え、妥当な金額を見出さなくてはならない。 議題3:地方車について 進 行:ここでは、祭りの華である地方車をテーマとする。祭りの環境の様々な変移から、2 年前よりレ ンタル地方車制度が始まった。チームで制作しようとすると、最低でも 50 万円はする地方車が 10 万円で借りられるというのはとても良かった。1 年目は 10 万だったが、費用面で厳しく、2 年目は 18 万円になった。現在は、自チームで地方車をつくるチームと、レンタルするチームが 混在している。これについて、どう思うか。 ◆ 自チームで地方車をつくるチーム 約 60% 挙手 ◆ レンタルを利用しているチーム 約 40% 挙手 進 行:自チームで地方車をつくるチームのうち、毎年の本祭ごとに、そのための地方車をつくるとい うチームはどのくらいいるのか。すでに年間を通してトラックや PA などの資材を所有している チームもあると思うが。 ◆ 約半数が、毎年の本祭のために地方車を制作している 進 行:自チームで制作している方に、その理由を伺いたいが。 VOGUE038 小林氏 観客目線で考えると、パレードコースの観客は、チームを観る際、まず地方車が目に入り、観 ている時間が長い。観客の方に楽しんでいただくため、地方車もパレード作品の一部としてつ くっている。 テスク&祭人 自チームでも作品の一部と考えている。2010 年はレンタル地方車を使用したが、やはり自分た ちでつくりたいと思い、2011 年は自チームで制作した。また、チームでは地方車の装飾を手作 業で行っており、メンバー全員が作品づくりに関わることができる大切な場所となっている。 旭川北の大地 塩尻氏 地方車は、チームにとっての顔。チームを結成した当時のメンバーの“目”をモチーフにし、 ずっと使うことで、チームにこれまで関わってきた人の想いを大切にしている。 進 行:地方車に対する想いを語っていただいた。一方で、自チームで制作するのは経費の問題もある。 レンタル地方車を利用するメリットについて、ご意見を伺いたい。 雄武~you’ve~ 橋本氏 地方車は他のチームから借りている。経済的には厳しいが、パレード演舞はしたいので。観客 には、地方車よりも踊り子を見てほしいので、地方車にはお金をかけない。 むらむらむらあず 稲田氏 昔はチームで制作していたが、今はレンタルを利用している。金額面もあるが、制作作業にか かる時間・労力を大幅に減らすことができるので、その分演舞に集中することができる。 進 行:自前の地方車があるにこしたことはない、という想いは共通しているようだ。地方から参加す ることも考えると、安全面でもレンタルはよいのではないか。レンタルが導入された今、今後 のことを考えた時に、地方車をどのように考えるか。今は審査の得点にもならない。 山本氏:(代表を務める)「ひがしかぐら東神酔華の舞」はずっとチームで地方車を持っているので、地 域のイベントなどでも使うことができる。審査の点数に反映されなくても、地方車はチームの 顔として大切なもの。上川中央支部内では、結構貸し借りをして何とかしている。 黒田氏:レンタル制度・自チーム地方車のどちらも継続すべきだと思う。レンタル制度が始まったこと によって、パレードに参加できるようになったチームもある。チームで制作することを考える と、レンタルは安い。自チームでは地方車を制作しており、地方車をつくる人たちもチームの 一員と思っている。 大谷氏:今は自チームで制作しているが、資金の面を考えると、この先もずっと自分たちでつくること ができるとは限らない。レンタル制度は続けてほしい。 高山氏:レンタル制度の地方車は、もっとチームの個性を出せるように工夫するとよいのではないか。 全国各地の歴史ある祭りでも、山車というのは祭りの花形。北海道の YOSAKOI ソーラン祭り でも、踊りと同じくらい、地方車の個性を大切に考えてもよいのではないか。 進 行:もう少し地方車について掘り下げたいところではあるが、時間がなくなってしまった。全体で の議論はこれにて終了としたい。
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