ブックガイド

1210あかりんアワー
教員が研究の楽しさを語る
第33回(4/23) 上村清雄先生推薦 ブックガイド
※掲載されている本はN棟3階ブックツリーのテーマ展示コーナーに配架されます。
I.西洋美術史全体に関するもの
1)E.H.ゴンブリッチ、『美術の物語』、天野衛他訳、ファイドン、2007年
・ひとりの美術史家が先史古代から20世紀の美術まで読解、定評ある古典。
2)『世界美術大全集西洋編』(全28巻)、小学館、1993~2001年
・大型図版の複製の質、記述のあたらしさでは現時点で最新の成果のひとつ。
3)P.バーク、『時代の目撃者-資料としての視覚イメージを利用した人文研究』、諸川春
樹訳、中央公論美術出版、2007年
・優れた歴史家が、歴史資料としての視覚イメージの取り扱いについて論じる。
4)ダニエル・アラス、『モナリザの秘密』、吉田典子訳、白水社、2007年
・フランスの美術史研究者がラジオで美術史を個々の作品をとりあげて解説。
5)J.シアマン、『オンリー・コネクト・・・―イタリア・ルネサンスにおける美術と観者』、足達
薫他訳、ありな書房、2008年
・美術作品とそれを享受する鑑賞者との関係を壁画や肖像画を題材に分析。
II. 辞典、事典
6)J.ホール、『西洋美術解読事典』高階秀爾監訳、河出書房新社、2004年
・美術愛好家が自らの疑問に答えるべく編んだ作品読解事典、一般向け。
7)『世界美術大事典』(全六巻)、小学館、1988~90年
・原書はイタリアで刊行。芸術家、都市、技法など収録事項が豊富。
8)『岩波 西洋美術用語辞典』、岩波書店、2005年
・日本人研究者が西洋美術史に関心をもつ愛好家を対象に編んだ小辞典。
9)木村三郎、『名画を読み解くアトリビュート』、淡交社、2002年
・聖人等につけられる持物(アトリビュート)を解説、親切な文献案内がつく。
III. 西洋美術史の方法論について(図像解釈学[イコノロジー]を中心として)
10)若桑みどり、『イメージを読む』、ちくま学芸文庫、2005年
・千葉大学で教鞭をとった著者が図像解釈学の基本を具体的な作例で解説。
11)若桑みどり、『イメージの歴史』、放送大学教育振興会、2000年
・10)の著作の中級、上級編、野外の女性裸体像など身近なテーマを鋭く分析
12)E.パノフスキー、『イコノロジー研究』(全二冊)、浅野徹他訳、ちくま学芸文庫、2002年
・図像解釈学の古典。序論でその方法論を解説している。
IV.西洋美術史の歴史
13)ヴァーノン・ハイド・マイナー、『美術史の歴史』、北原恵他訳、ブリュッケ、星雲社(発
売)、2003年
・西洋美術史の歴史を、時代順とテーマ別に簡潔に解説。
14)C.ギンズブルグ、『神話・寓意・徴候』、竹山博英訳、せりか書房、1988年
・美術史研究の先覚者モレッリの同時代文化との関連を紐解く一章を収める。15)H.ヴェ
ルフリン、『美術史の基礎概念 近世美術における様式発展の問題』、海津忠雄訳、慶應
義塾大学出版会、2000年
・パノフスキーより前の世代を代表する、様式と形式による美術史研究方法。
16)高階秀爾、『ルネサンスの闇と光』、中公文庫、1987年
・パノフスキーをはじめとする新しい西洋美術史の研究方法論の要を得た解説。
17)F・ゼーリ、『イメージの裏側―絵画の修復・鑑定・解釈』、八坂書房、2000年
・目利きとして国際的に知られたイタリア人美術史研究者の大学での講演記録。
V. 個別のテーマ(装飾、聖人、芸術家、風景画、裸体画、遠近法、墓碑、子供とカップ
ル)
18)A・シャステル、『グロテスクの系譜』、永澤峻訳、ちくま学芸文庫、2004年
・古代起源の、人間=動物=植物が合体するグロテスク模様の変遷をたどる。
19)岡田温司、『マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女』、中公新書、2005年
・キリストのそば近くに使えた、娼婦=聖女がどのように表象されたかを解説
20)E.クリス、O.クルツ、『芸術家伝説』、大西広他訳、ぺりかん社、1989年
・古今東西の芸術家にちなむ伝説を分類して検討、日本語訳では東洋編を増補。
21)ケネス・クラーク、『風景画論』、佐々木英也訳、ちくま学芸文庫、2007年
・風景表現の歴史から、風景画として確立してからの展開をあとづける。
22)ケネス・クラーク、『ザ・ヌード―理想的形態の研究』、高階秀爾、佐々木英也訳、ちく
ま学芸文庫、2004年
・西洋美術の裸体表現の歴史を解説。1953年の講演にもとづくことに留意。
23)E.パノフスキー、『〈象徴形式(シンボル)〉としての遠近法』、木田元監訳、ちくま学芸文
庫、2009年
・ 遠近法が時代時代の世界観に支えられた視覚表現であることを教える。
24)E.パノフスキー、『墓の彫刻―死に立ち向かった精神の様態』、若桑みどり他訳、哲学
書房、2000年
・古代から17世紀までヨーロッパの人びとが墓碑にこめた寓意象徴を解読。
25)森洋子、『子供とカップルの美術史―中世から18世紀へ』、NHKブックス、2002年
・西洋美術史は子供とカップルをどのように表現したか、豊富な作例であとづける。