宗像市立河東中学校 夢追人~職員版~ 第18号 小さなボートは素晴らしい贈物を届けてくれました 「難民医学生巣立ちの春」との見出しで朝日新聞 に、トラン・ゴク・ランさんが紹介されていまし た。ランさんは、ベトナム生まれ、南北戦争の 真っ只中、中学3年生の時にベトナム中部ダナン 近郊から12m余りの小舟に38人乗船するとい う状態でボート・ピープルとして脱出します。ラ ンさんは脱出してから1ヶ月後に香港に漂着し難 民キャンプ生活を送られます。漂流中は警察の高 速艇に追われる恐怖感、海賊による難民船の襲撃 で起こる想像を絶する悲惨な出来事、東シナ海の 荒波の中での漂流体験、病気、食料の欠乏の恐 怖・・・ 「死ぬか生きるか全く予想できませんでしたが、 それでも私は生きていたい。絶え間ない祈りと生 への強い願望が私を支えたと思います」 「日本に着いたときは、日本語は全く出来ません でしたが、時間と機会さえ与えれればやり遂げる つもりでいました」と流暢な日本語で答えられる そうです。どんな困難も自分の成長につながると 積極的に受け入れて乗り越えていこうとする強い 意志を感じたそうです。 本人の継続した努力で日本の中学、高校を卒 業されました。 しかし、その過程において「あいうえお」から 始めた日本語、教科書の読めない日本語を見な がら何度涙を流したかわかりませんと語られま す。「せっかく日本に来て勉強するチャンスを もらったのですから、このチャンスは絶対に何 が何でも失いたくなかった」。やがてランさん は医者を目指します。 「夢の実現のためには、その高さに応じて時 間をかけて勉強するしかなかった」と、まさに 「普通のことをしていては普通の結果しか出な い。普通のこと以上の事をやって、初めて普通 のこと以上の結果が出る」という言葉が重なり ます。 現在、ランさんはアメリカで医者として活躍 中です。「何々があったら、何々が出来るまで とか考えないで、今、何ができるかを考えて一 生懸命生きる事が大切だ」と結ばれています。 燻し銀 燻し銀を広辞苑で引くと「しぶくて味わいのある たとえ」とありました。人間のしぶさと味わいと はどのような姿なのでしょうか。 私はこう思うのです。 「決して不平不満を口に出さずに、黙々と働く 姿」、 「決して言い訳することなく、ねばり強く最後ま でやり抜く姿」、誰かの歌ではないけれど「あれ これ仕事もあるくせに、自分の事はあとにす る・・」。河東中学校の職員室の中にも燻し銀が 間違いなくいます。燻し銀を探し、燻し銀の背中 から何か一つ学び、自分の教師道の中に取りいれ てほしいと願います・・
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