2008/11/18 国土地理院 電子国土構築セミナーin熊本 電子国土構築セミナーin熊本 2008年11月18日(火) 於:熊本大学 GISを用いた空間情報分析の経験 GIS を用いた空間情報分析の経験 • 日本において台風災害[1991年台風19号]によって被災し た九州の人工林の復旧分析を1997~1999年に実施(『GIS- GISを援用した海外農村調査 GIS を援用した海外農村調査 理論と応用』 7(2),1999,pp.11-18および『地理学評論』 74A(5),2001,pp.287-304 ) 熊本大学文学部地理空間学研究室 横山 智 – 森林基本図(1:5,000)・森林簿・航空写真 – 当時最も安価だったTNTmipsを用いて解析(研究室に ArcInfoは備わっていたが、ERDASは低いバージョンしか なく、幾何補正が使い物にならなかった・・・たぶん、当時 300~400万円ぐらいした) – 基本的に、GUIではなくコマンド入力だった・・・ • すべて手作業(データ構築作業は地図のラインを手入力し、 災害地は27枚の空中写真からオルソフォトを自ら作成して判 読)で行なう。 GISを用いた空間情報分析の経験 GIS を用いた空間情報分析の経験 海外研究へのGIS 海外研究への GISの援用 の援用 研究対象を日本から海外へ移行した(東南アジアのラオスの農 山村での研究を1999年から開始)。しかし、大きな問題に遭遇 ↓ 地図がない (裏の手を使って、なんとかラオスの地図を入手したが、 その地図の縮尺は1:200,000で、しかも作成時期が1970 年代で、村の位置は単なる点であった。しかも、不正確…) 福岡県矢部村の災害状況(分析面積約200ha、約4000林班) 空間データの構築は、ものすごく大変。しかし、必要なデータが揃うという点で、 「日本は凄い」ということを、後に海外研究を実施することで実感する。 GPSで地図を作成 GPS で地図を作成 無いものは仕方ない、 私がつくろう!! 作成した地図でGIS 作成した地図で GIS分析 分析 ラオス・ヴァンヴィエン地区における観光関連施設の変化 (『GIS-理論と応用』 9(2),2001,pp.1-1および『地理学評論』 80(11),2001,pp.591-613 GPSを持って歩いて測位したデータを GISに取り込む(ポイントデータ) 地図データの構築(ライン・ポリゴン構築) ラオス・ヴァンヴィエン地区(2000年) 論文になってしまえば何てこと無い地図だが、この地図をつくるのに、GPS を持って怪しまれながら3日間村を歩き、また、川でおぼれかけた。 1 2008/11/18 国土地理院 電子国土構築セミナーin熊本 変わるデータ整備環境(2 変わるデータ整備環境( 2) 地球地図 変わるデータ整備環境(1 変わるデータ整備環境( 1) Google Earth ISCGM(地球地図国際運営委員会)では、地球上全陸域をカバー するデータの構築を試みており、標高・植生・土地被覆(緯度経度 30秒グリッド)のラスター・データーは既に公開済み。交通網・水 系・境界・人口集中地域などのベクター・データーは、下の53か国 で公開済み。国土地理院地球地図サイト: 苦労して作成した右の地図が簡単に、 高解像で、しかも無料で入手できる。 http://www1 gsi go jp/geowww/globalmap-gsi/globalmap-gsi http://www1.gsi.go.jp/geowww/globalmap gsi/globalmap gsi.html html ただし、これ ほどの高解 像度が得ら れる場所は、 ごくごく限ら れている。 方法は原始的だが、 精度は、ほとんど変 わらない。(結構使 えるGPS !!) マクロなレベルの分析や単に 地図を表示させたいだけなら十 分。しかし、ミクロなレベル(村 や集落)の調査では不十分。 結局、私は今でも海外調査は、GPSと高解像度衛星に頼っている。 調査例(ラオス山地民の有用植物利用) GPSを持って歩く 植物を見つけたら情報を記録 有用植物の採取空間 大区分 小区分 集落 集落および幹線道路 集落近傍の小道 集落跡地 農地 キャッサバ畑および脇 森林 水系 焼畑の脇 焼畑と森林の間 短期休閑(5年未満) 長期休閑(5年以上) 密な森林 竹林 河川内部 河川脇 計 調査例(ラオス-中国国境の土地利用変化) 採取数 13 11 5 6 1 3 36 27 18 4 1 調査村では、134点の有用植物 を確認した。そのうち67点が焼 畑と関係する土地(うち63点は 焼畑休閑地)から得られた。 また、食用、物質文化、儀礼用、 販売用など、植物資源が生活に 欠かすことのできないものになっ ていた。 10 134 今でも海外調査は、GPS 今でも海外調査は、 GPSで地図作り で地図作り タイ北部(チェンマイ県・チェンラーイ県・パヤーオ県)における山地 農業の調査(2008年10月26日~11月3日 → 3週間前です) 下はQuickBird衛星画像(この範囲だけで約20万円!!)です。このデータをもとに、 現地でGPSを使って測量し、実際に土地利用を調べていきます。 GISに入力する時は、どの土地に何が作付けされ、だれが所有している土地か、 データを入れていきます。 Google Earthでもモザイク状の画像しか得られず、地球地図で提供されるデータ でも村の位置データはない。地形図(1:50,000)を入手しても、対象とする村は見 あたらない。これが、東南アジア調査の現状・・・。結局、今でも海外調査は、GPS を用いた地図作りから始めます。 2 国土地理院 電子国土構築セミナーin熊本 日本と海外の地理的環境の違い 日本 海外(東南アジア) • 地図が購入可能 • 地図データがさまざまな形でデジタ ル化されている • 航空写真も購入可能(しかも安価) • 地図の購入が困難 • 地図データのデジタル化は一部地 域。村の位置すら無い • 航空写真は、購入不可能 ( (QuickBirdは高価) 高価) 恵まれた日本の環境 • 地図が買える。タイでは、国境を含む図幅は、軍事機密として、今でも販売 されてない。ベトナムでは、入手自体が不可能で、闇ルートで入手しなけれ ばならない。要するに、地図情報というのは、国家にとって機密事項である。 • GPSが自由に使える(中国では、使用すると逮捕される。実際に、日本人研 究者が2005年に逮捕された)。 • デジタル化された地図が安く入手可能。しかも、自分用にカスタマイズでき るフリーのソフトウェア(たとえば、カシミール3DやMANDARAなど)が豊富 で、個人的な加工に制限がない。 2008/11/18 地理学者からの希望 ~地図と親しむ~ • 情報を共有する → 多くの情報は空間的な位置情報を有して いる(Shop情報:おいしい店、○○を売っている店、etc…) ↓ ナビゲーション(カーナビ、携帯ナビ)やオンライン地図で行きた いところにすぐ行ける。そして、相手に知らせることができる。 • 個人的な記録を整理する → デジカメで撮影した画像と空間 的な位置情報 • 災害を防ぎ、また対処する → ハザードマップ 電子国土ポータルを「生活に活かす」・「研究に活かす」 • 1:25,000地形図がただで見放題。しかも、自分用にカスタマイ ズできて、印刷までできる → こんな国、日本以外に無い(ア メリカも地形図の閲覧は可能) 3
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