ベトナムの歴史北前210年～前111年 ◆ 紀元前3世紀、はじめて中国を統一した秦によって現在のベトナム北部が征服された。前210年に始皇帝が病死すると、広東地方の地方長官趙氏により、南の「越（春秋戦国時代の最南国）」を意味する南越国が建国された。北中国支配下(前漢～唐) 前111年～939年南越国 ◆ 前111年に前漢の武帝により「南越」は滅ぼされ、ベトナム中部と北部は中国の領土の一部となる。中国はその約１０００年の支配期間中、ベトナムを政治的にも文化的にも中国に統合しようと試みる。中国の統治手法・宗教・文字・建築様式・思想・服装など、ベトナム文化に多大な影響を与える。7世紀後半に唐が安南都護府を設置すると、「安南」がベトナムに対する呼称として定着した。 ◆ 唐王朝に当時つかえていた阿倍仲麻呂が安南都護としてベトナムに赴任している。阿倍仲麻呂 2世紀～17世紀中部チャンパ（林邑） ◆ インドネシア系の海洋民族チャム族は、2世紀にはインドの文化や宗教を受容し、後漢の支配をぬけてチャンパ王国を建国した。その後数百年間、王国を征服しようとする中国と抗争をくりかえした。 ◆ 2世紀末～8世紀半ばまでの王都は、ダナン西方のチャキュウ（政治の中心）にあった。王都の東方、トゥーボン川河口のホイアンは、経済及び貿易港の中心として栄え、また聖地「ミーソン」は宗教上の聖地として長く栄えた。 ◆ 10世紀末から、前レ(黎)朝ベトナムの圧力をうけ、首都はクイニョンに近いビジャヤ(現アンノン)へとうつった。12～13世紀にカンボジアのアンコール朝からの侵攻、さらに、13世紀後半にはモンゴル軍の侵略をうけ、その後も陳(チャン)朝ベトナムなどとはげしい抗争をつづけていたが、ついに、1470年ごろ黎(レ)朝ベトナムによって首都を征服された。残存勢力があったが、17世紀までにほろぼされ、ファンラン地域の一地方勢力と化した。ファンラン近くの「ポー・ロメ遺跡」はチャム族最後の遺跡である。 1世紀～7世紀南扶南(ふなん) ◆ メコン川デルタ地帯(現在のベトナム南部からカンボジア東部)を支配した古代王国の中国名。その外港だったと考えられるオケオの遺跡からは、2世紀のローマの金貨やインドの仏像などが発見されている。真臘（現在のカンボジア）に滅ぼされる。北呉朝・丁朝・前黎朝 ◆ 呉朝（939年～968年) 呉権(ゴ・クエン）が、唐の混乱に乗じて駐屯軍を破り、独立国家を建国した ◆ 後丁朝(968年～980年) 丁先皇(ディンティエンホアン)はホアルー(ハノイ南部100Km)を首都とする ◆ 前黎朝(980年～1009年) 黎大行（レーダイハイン）がホアルーをより美しい都市とした。北大越国：李(リ)朝 1009年～1225年 ◆ 1009年に昇龍（タンロン(現在のハノイ)）を都と定めた李朝が興り、国名を「大越」とした。中国の政治・社会制度はそのまま存続させた。文廟や一柱寺が造られたのもこの時代。末期には農民圧政のため反乱が起こり滅んだ。北陳(チャン)朝 1225年～1400年 ◆ 1225年に陳氏が政権を獲得し昇龍（ハノイ）に都を定め、文学が栄えた時期。13世紀後半に元のフビライハーンが３度にわたって襲来を受けてそれを防ぐも、国力が弱まる。中国支配下(明) 北 1414年～1427年 1428年～1789年黎(レ)朝 ◆ 1428年にレ・ロイ(黎利)に指導されたベトナムの蜂起軍が明軍に決定的な打撃をあたえ、ベトナムの独立を回復した。16 世紀初めに権臣のマク氏(莫氏)に帝位をうばわれた後、実権は王朝再興に功績のあったチン氏(鄭氏)とグエン氏(阮氏) によって掌握された。チン氏が優勢になると、グエン氏は中部に領土を与えられ、その後ベトナムは南北に二分される。 ◆ 1717年西山（タイソン）が圧政に蜂起し、1777年に阮氏、1786年に鄭氏を滅ぼし昇龍に入場して南北を統一したが、阮映の巻き返しにより滅んだ。南北阮(グエン)朝 ◆ タイソンのグエン氏のグエン・フエ(阮恵)が即位後まもなく死去すると、数年後には中部のグエン氏の子孫であったグエン・フック・アイン(阮福映)が、フランス義勇軍に援助されてタイソンのグエン氏の軍隊を撃破し、1802年にザ・ロン帝(嘉隆帝)としてグエン朝(阮朝)を創始した。 ◆ 後継の皇帝たちはフランスの影響力に危機感を抱き、1858年ミンマン帝（明命）はキリスト教を排除する。ナポレオン３世はそれを口実にスペインと連合艦隊をベトナムに派遣し、ダナン・サイゴンを攻撃する。1862年にはコーチシナ(ベトナム南部)を割譲させられる。南北の分断 1884年～1945年南北仏領インドシナ ◆ グエン朝は数次の敗北の後、1884年にベトナムの残りの地域に対するフランスの保護権を受け入れ、実質的には植民地となった。 ◆ 1940年には日本がインドシナに進駐し、軍事占領した。南方軍総司令部は1942年までサイゴンに置かれる。 1946年-1975年南北独立への道 ◆ 1945年9月ベトミンを率いるホー・チ・ミンはベトナム民主共和国の建国を宣言。フランスは独立を認めず1946年12月には第一次インドシナ戦争が勃発する。フランスは南ベトナムにベトナム国を建て対抗する。1954年にディエンビエンフーの敗北を受け、ジュネーブ協定が結ばれフランスは手を引くが、南北の分断状態は残った。アメリカがその後南ベトナムを支援したため、２０年にわたる民族解放の戦いが行われる。（ベトナム戦争） ◆ 1975年4月30日に北ベトナムはサイゴンを解放し、南北を統一したベトナム社会主義共和国が成立した。