四国の公共交通の救世主

表紙2−3
千思万考
四国経済連合会
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編
集
後
記
今年の夏は「猛暑」
「酷暑」という言葉が毎日のように報
じられ、四国各地においても、熱帯夜となった日数が過去最
会報9月号
四国の公共交通の救世主
「交通基本法」への期待
多となるなど、「最も暑い夏」となりました。
季節は秋へと移りますが、まだまだ熱いのが四国の観光で
す。クライマックスを迎えつつある『龍馬伝』
、島々を舞台
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四国経済連合会参与(四国運輸局長)
宮村
弘明
とした『瀬戸内国際芸術祭』
、2年目の放映が始まる『坂の
上の雲』などの効果で、四国の観光地は賑わっています。
高知では、来年3月から一年間、
『龍馬ふるさと博』の開
催が決まり、
『龍馬伝』の効果を一過性に終わらせることな
ます。また、人口減少は全国共通の問題ですし、
く、持続的な観光振興に繋げる取り組みも始まっており、大
共交通が抱える根本的な問題を大まかに理解す
現にここ10年余りの間日本各地で地方鉄道やバ
いに期待できそうです。
るのにそれほど時間を必要としませんでした。
スの路線廃止が急速に進んでいます。民間の運
便利な自家用車の普及に伴って鉄道やバスに乗
輸事業者の殆どが健全に経営可能であることを
る人が減り、採算が悪化し、路線数や便数も減
前提に、個別路線の問題について赤字補填で対
り、益々不便になって利用者が減るという悪循
処するという従来の運輸行政の考え方や政策手
松山市で開催した「産業構造ビジョン201
0」説明会を中心に
環が長期間続いてきたのです。その結果が人流
法が限界に達してきたように感じられます。
編集しています。
さて、今月号は、高知市で開催した資源・環境委員会と、
に占める自家用車利用率が92%に達する現状に
さらに、我が国の公共交通の問題を考える際
繋がっており、多くの路線が公的資金の支援を
に忘れてはならない観点として高齢化の問題が
受けて漸く維持されているのです。このため、
あります。この点についても四国は全国一進ん
公共交通機関の各企業の経営体力もまた非常に
でいる訳ですが、全国で高齢者が当事者となる
脆弱で、利便性を向上させるための新規投資も
交通死亡事故の割合が過去10年間に約2倍に増
庭先のイチジクの実がふっくら色付きはじめました。ほど
ままなりません。さらに、四国は全国で最も早
加していること、高齢者の半数以上が買い物な
よい甘みとさっぱりとした風味で、そのまま生でも、またジ
く人口減少が進んでおり、今後も、公共交通の
どで毎日外出する必要がある一方で自家用車を
ャムにしても美味。
利用者数が大幅に減少することが予想されるこ
持たない方は外出機会が3分の1程度に限定さ
とから、路線廃止や便数の削減が進むのではな
れていることなどを考え合わせれば、今後も増
いかと危惧されます。
え続ける高齢者(20年後には我が国の総人口の
ならざる課題であることを認識させられた訳で
代わりに利用できる公共交通の維持・整備が
すが、その後、世界同時不況、高速道路料金の
益々必要とされることは明らかです。
大幅割引、新型インフルエンザの流行と各社の
現在、国土交通省では、これらの公共交通を
売り上げ減少に繋がる事態が次々と起き、元々
取り巻く諸問題に正面から取り組むための交通
収支に余裕のない四国の公共交通機関はフェリ
基本法(案)を来年の通常国会に提出すべく準
ー、鉄道、バス等全てのモードで一斉に苦境に
備作業を進めています。この法律の成立と十分
立たされました。
な予算措置があれば、近未来の日本の縮図のよ
四国では今回問題が一気に噴き出した訳です
うな四国の公共交通にとって救世主となるので
が、元々内在していた根本的な問題が(別の理
はないかと期待していますので、経済界の皆さ
由で)前倒しで顕在化したと考えることもでき
んも応援して頂きます様お願い申し上げます。
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果も掲載しております。
ぶどうや梨、栗など今が旬の食材を食卓に添えて、おいし
い秋をいただきましょう。
会報9月号
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0%以上が75歳を超えると予測)が自家用車の
●イチジク
(わたなべ)
「明日をひらく
四経連」
No.
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発 行■平成2
2年9月
発行所■四国経済連合会
〒7
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3 高松市丸の内2番5号
(ヨンデンビル本館4階)
TEL(0
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FAX
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http : //yonkeiren.
jp/
印 刷■牟!印刷株式会社
この会報は、環境保全のためSOYINKと再生紙を使用しています。
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四国経済連合会
着任早々から、四国の公共交通の改善は容易
また、3カ月毎に実施している「四経連景気動向調査」結
表紙2−3
2年前四国運輸局に着任した際に、四国の公