世界史研究室主催 古代ローマ食事会

2016 年 6 月 17 日
世界史研究室主催 古代ローマ食事会
◎古代ローマとは
⇒おおよそ共和政ローマ(紀元前 5 世紀)~西ローマ帝国の滅亡(476 年)まで。
(ローマ帝国の最大領域は、左図にある通り。
)
◎『アピーキウス・古代ローマの料理書』
⇒俗ラテン語で書かれた 1 世紀ごろの料理書(邦訳にミュラ=ヨコタ・宣子『古代ローマ
の料理書』三省堂、1987 年)。
※ローマ時代の料理は、ギリシャ時代の料理の伝統を引き継いだもの。
*再現した古代ローマの食卓*
前菜:エンドウ豆の煮込み料理
肉料理:鶏肉の赤ワイン煮
主食:パーニス(古代ローマの平たいパン)
デザート:果実と木の実
飲み物:ブドウジュース
(※写真は、ポンペイから発掘されたパン。
)
*古代ローマで食されていたもの*(下線部は、今回の食事会で使用したもの)
・調味料(ガルム(魚醤)
、蜂蜜、オリーブオイル)
・ハーブ・スパイス(胡椒、クミン、ミント、ディル、ローリエ、コリアンダー)
・豆(ひよこ豆、レンズ豆、エンドウ豆、そら豆)
・果実・木の実(ブドウ、ザクロ、イチジク、デーツ、アーモンド、クルミ、松の実)
・肉(鳥、豚、羊、牛、鳩、ガチョウ、臓物、卵)
・魚介(ウナギ、タコ、イカ、牡蠣)
・穀物(大麦、スペルト小麦)
・野菜(玉ねぎ、にんにく、アスパラガス)
・ワイン、ビール、蜂蜜酒、ミルク(ヤギ、ヒツジ)、ポスカ(酢を水で薄めたもの)
*フルーツ・ナッツの解説*
デーツ:ヤシ科の植物。ギリシャ語でフェニックス。北ア
フリカ・中東原産で、ナツメヤシ、棕櫚ともいう。旧約聖
書の中では「生命の樹」のモデルであり、「エデンの園の
果実」とされる。ビタミンやミネラルが豊富で健康に良い
食べ物。日本では輸入食品店やインターネットでしか販売
されていないが、実は加工されてお好み焼きソースに使わ
れている。
イチジク:肥沃と健康の象徴。甘味源として重要な役割を担っており、古代ローマでは、
「体
力を回復させる力がある」とされた。
アーモンド:バラ科の植物。ヨーロッパの地中海沿岸地域
で栽培される。古代ローマでは、グリーナッツ(ギリシャ
の実)と呼ばれた。アーモンドを糖衣でくるんだお菓子ド
ラジェは、古代ローマの料理家ユリウス・ドラガトゥス(ジ
ュリアス・ドラジェ)がアーモンドを誤って蜂蜜の中に落
としたのが始まりとされている。婚礼や跡継ぎの誕生など、
祝いの場で供される幸せのシンボルでもあった。
ローリエ:クスノキ科の木。月桂樹。古代ローマでは、
「アポロンの聖樹」として神聖視さ
れた。
*コラム*
イタリア(ローマ)というと、パスタやトマトベースの料理を思い浮かぶ人も多いだろ
う。しかし、2000 年前の古代ローマには、それらのものは存在していなかった。パスタの
原型は、ひき割麦を煮込んだプルスと呼ばれる粥であり、その粥を板状にしたラザニアの
ような生地を焼くか揚げて食していた。新大陸産のトマトがイタリア半島へ到来したのは、
16 世紀以降である。また、塩(salt)がサラリー(salary)の語源となっているように、塩
は非常に貴重なものだった。その代用品として、ガルム(魚醤)が使用されていた。
参考文献
・P・ファース(目羅公和訳)
『古代ローマの食卓』東洋書林、2007 年(原著 1994 年)。
・千石玲子編『古代ローマの調理ノート』小学館、1997 年。
画像出典
・http://image.search.yahoo.co.jp/