広聴広報特別委員会 (PDFファイル)

平成 24 年度北上市議会広聴広報特別委員会行政視察概要報告書
1 視察期間
平成24年11月1日(木)~2日(金)
2 視察先
(1) 東京都八王子市
(2) 東京都小金井市
3 視察事項
(1) 市議会のインターネット中継について
(2) 議会だよりのタブロイド版について
4 視察の概要
【東京都八王子市】
・面積
186.31k㎡ /
人口
564,790 人
市議会のインターネット中継について
(1) 経 緯
・平成21年10月
議長から諮問を受け「議会中継あり方検討会」を設置。
・平成22年5月 議会中継あり方検討会において、
「インターネット手法による議会中継を
実施すべし」とする答申を提出。
・平成23年5月 インターネット中継を開始。
(2) 「議会中継あり方検討会」での調査及び検討内容
・委員会の中継について
委員会室に放送設備を整備すると 1,000 万円以上かかるため、本会議のみの中継とした。
(今後の検討課題としている)
・議会中継を行っているCATVについて
24万世帯のうち、加入者は10万世帯(4割程度)であるため、CATVが有効な手段か
どうかの検討を行った。また、CATVのエリア拡張についても検討。
・他市のインターネット中継の状況について
多くが本会議のみの中継となっている。設備投資も、数百万円から 1,000 万円以上と様々。
会議録とデータとの整合性、データの2次利用や、発言取り消しをどうするかも課題とな
っている。事務局職員の負担や、著作権などについても課題が多い。
(3) 費 用
放送機材は、既存の中継設備やカメラを改修し利用したため、初期経費は安く抑えられ
ている(独自で庁内向けの議会中継を行っていたため、その機材を利用)。中継にかかる
経費は入札方法による単年度の委託契約で、落札金額は平成 23 年度が 239 万円、平成 24
年度が 176 万円となっている。
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(4) 内 容
中継の対象は本会議のみとし、生中継と録画中継を行っている。録画中継は、会議終了
後1週間程度で見られるようになっており、「議員別」、「会派別」、「議会別」、「キーワー
ド別(発言通告一覧表等の文字を検索)」に検索できるようになっている。
(5) 議会中継の基準比較(特に異なる項目)
項目
放映の対象
CATV
インターネット中継
本会議のうち、施政方針・当 全ての本会議
初予算等説明・当初予算等会
派代表質疑・予算等審査特別
委員会の総括質疑・一般質問
カメラ設置場所
本会議場(中央 1 台、傍聴席 本会議場(4隅へ各1台)
1 台)、
委員会室(東西各1台)
電源
CATV中継車の自家発電
庁舎内電源
発言取り消しの取り扱い
生中継だけなのでそのまま
録画についてのみ対象個所を
削除
(6) その他
・議員個人のホームページからのリンクは制限していないが、議員個人での映像の2次利用
は認めていない。例えば、録画を個人の市政報告会で放映するなどは認めていない。
→他市では、DVDにして議員に渡しているところもあるようだ。
・公式記録ではないというテロップを入れて、会議録と異なる場合の対処としている。
→他市では、会議録を中継に合わせるところもあるようだ。また、音声を削除して放映し
ているところもある(東京都三鷹市など)
・アクセス件数は、平成23年度合計で、約 6,000 件。
平成 24 年度は、9月までで、約 5,000 件となっている。(生中継、録画中継合わせて)
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→生放送は、庁舎内からのアクセスが多い。
・費用対効果という観点で、この件数では効果が薄いという意見も多いが、インターネット
でいつでも見られるというのは、現代においては必要であるという意見が多い。
・インターネット中継を始める時に、CATVも継続して中継するように申し入れた。
・入札制にした理由は、中継を行うことが出来る会社が数社あるためである。平成 24 年度
の場合は3社が入札に参加。CATVにも声をかけたが、入札に応じなかった。
・市民からの声としては、「生放送では見られないので、インターネット中継が開始されて
良かった」など、比較的好意的な意見が多い。ただし、ネット中継で見ると議員の居眠り
など、様子が見える事によるクレームは増えた。
・傍聴者の人数は、600 人程度(50 万人都市平均並み)だったが、インターネット中継を開
始してからは 700 人を超え、2~3割増えた。ただし、インターネット中継の効果ではな
く、改選により新人議員が 16 人になったために傍聴者が増えたことも理由として考えら
れる。
議会だよりについて
(1)経 緯
・昭和35年2月 「八王子市議会報」としてB5版
で創刊。
・昭和40年12月
編集責任を明確にするために議会
運営委員会の所管事項とした。
・昭和40年
全戸配布。
・昭和52年
新聞折込。その後、経費増と編集
上の理由から、同年タブロイド版
に変更。
・平成9年
読みやすさを考慮し、文字を大き
くして全面カラー印刷とした。
・平成14年
財政上の理由から2色刷とした。
(2) 現状と検討課題
・事業仕分け的な外部評価を実施しており、その外部
評価委員会から、保存する利便性を考慮してA4版
フルカラーにしてはどうかという指摘があった。こ
れを受けて、平成25年度からA4版にするように検
討し、予算要求している。A4版にすると経費が上がることになる。また、もっと議員の
発言の経過を乗せるべき、という意見もあった。
・編集は、市議会最終日におおまかな掲載事項や取扱いについての事務局案について協議し、
その後事務局が原稿作成したものを議会運営委員会で校正している。
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【東京都小金井市】
・面積 11.33k㎡ /
人口 116,120 人
インターネット中継について
(1) 経 緯
・平成22年11月
一市民からユーストリーム配信により生中継したいとの申し入れがあり、
議会運営委員会で協議し、委員会の中継を許可した。
・平成23年6月 インターネット中継を求める陳情が出され、全会一致で可決。
・平成23年8月 先進地である千葉県流山市を視察。9月の議会運営委員会で議論・決定。
・平成23年12月
一市民による中継から議会主体への中継へと切り替え、12月定例会本会議
初日より試験的に運用を開始。
基本的な考え方は、とりあえずやってみることを第一に進めている。最初から1 0 0%のも
のを行うために時間をかけて検討するより、80%程度で始めて試行錯誤を繰り返して
1 0 0%に近づこうという考えであり、そのため、運用にあたっての細部の要綱などはまだ
作成していない。
(2) 内 容
・本会議だけでなく、常任委員会、議会運営委員会、全員協議会も中継。
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(3) 費 用
・初期経費
44,677 円(税込)
webカメラ2台、三脚、LAN配線、電源リール、音声入力用コード
・維持経費 19,740 円/月(税込)
ノートPC(リース)2台、インターネット回線費
(4) 課 題
・画質や音声があまり良くない。
・事務局体制が難しい。中継のために1人を配置しなければならない。
・ユーストリームの特徴として、生中継をした画像がそのまま保存され、修正がきかないた
め発言の削除などは出来ない。そのため、議会の公式記録ではない旨をホームページに記
載している。
・カメラは固定されて定点撮影のため、見やすい画面ではない。さらに、ズームや発言者を
アップしたりは出来ない。
・音声は、議場や委員会室のマイクから入力しているが、それでも途切れることがあり、中
継の安定性に欠ける。
・保存期間についてはまだ決めていない。
(5) その他
・インターネット中継について、市民、議員、管理職向けのアンケートを実施。
・ユーストリーム中継を実施している議会は、東京都内では小金井市だけ。岩手はなし。秋
田は秋田県。
・ユーストリーム中継は、コスト的には安価に抑えられるが、事務局職員を中継のために1
人配置するため、事務局の負担が増えている。
・以前は、インターネット中継を業者に委託して実施していた。年に1日だけなので、何を
中継するかはその都度決めていた。
・ユーストリーム中継はアクセス件数が分かる。ライブ中継時には視聴人数が出る。録画中
継も見た人数がわかる。9月議会のライブ中継は4 0 6件、1 6 6時間。6月議会では、1,099
件、2 8 1時間視聴された。
・市民の反応は良いが、音声が聞きにくい等の苦情が多い。
・CATVでは平成12年度に一度議会中継を行った。試験的な実施で無料であったが、本格
実施の場合は年間約 2,000 万円といわれたためやめた。
・集計していないため実数を把握していないが、傍聴者数はインターネット中継を開始して
から少し減ったように思われる(市民からの直接請求で職員の給与引き下げ請求があった
が、その議案についての臨時議会にも傍聴者は少なかった)
。
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議会だよりについて
(1) 経 緯
・以前はB4縦版で発行
しており、今年度から
タブロイド版へ変更し
た。これは、同じコス
トで文字数が増やせる
ためである。
(2) 現 状
・配布はシルバー人材セ
ンターに委託して全戸
配布。市の広報も同様。
・編集作業は構成を事務
局で行い、原稿は議員
が書き、事務局が入力
している。2回目の校
正で議員がチェック。
・議会だよりは議長の諮
問機関「議会報編集委
員会」の所管として発
行。
(3) 課 題
・一般質問を20名前後の
議員が行うため、紙面
の都合から一人当たり
の文字数は少ない。
5 所 感
【八王子市】
(1) インターネット中継について
・八王子市では以前から立派な庁内放映システムがあったため、あまり初期費用をかけずに
開始できている。しかし、CATVと並行して放映しているのは少しムダなのかもしれな
い。当市においては、CATVをそのままインターネット中継につなげられると経費的に
も安くできるのかもしれない。
・本会議のみの中継であるが、傍聴者が増えていることもあり、市民の関心は高くなってい
ることがわかった。画像も鮮明で、録画中継においてはデータの編集も可能であり、検索
可能ということもあわせて、インターネットを使用している市民へのサービスにつながっ
ていると考える。当市においては、北上ケーブルテレビが生放送・録画放送をしており、
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北上ケーブルテレビがインターネット事業に取り組むことができればさらに多くの市民
へのサービスにつながると考える。また、それが可能であれば、八王子市の放映に関する
ルールも参考になると考える。
・費用対効果がどうこうよりも、
『政策として、市民がいつでもどこでも見ることのできる
環境を整えること』が重要なのであると、再認識した。目に見える効果として、傍聴者が
2~3割増というのは大いに評価すべき点。
(2) 議会だよりのタブロイド版について
・配布方法を新聞折り込みにするためにタブロイド版とした経緯があり、配布方法をどのよ
うにするかが大きさの検討理由となることがわかった。当市では、配布方法を変更するわ
けではないことから、現在の大きさのままがベストであると考える。
・全戸配布より新聞折り込みの方が経費を抑えられる。新聞折り込みの場合、タブロイド版
が一般的であり、タブロイド版を採用した理由はコスト面が大きいと思われる。
・議会だよりが多くの市民の目に触れ、より関心を持って読んでもらうことを考えると、全
戸配布が効果的と考えられる。その場合、市の広報と同じサイズが配布しやすくて手に取
りやすいと改めて感じた。また、経費削減より市民に愛される内容つくりにこそ力を入れ
るべきであるので、現在のA4版のままでよいと考える。
【小金井市】
(1)インターネット中継
・ユーストリーム中継によるインターネット配信の場合、経費的には安価に抑えられる。し
かし見やすい・聞きやすい画面化という点からは少し残念に感じた。また、編集不可能、
保存期間不明な点からも、どれだけ市民に満足感を与えられるのだろうかと思った。ただ、
インターネットを活用する世代にとっては、気楽に視聴でき、経費も抑えられる点では評
価できる。
・インターネット中継をユーストリームで配信するのは、初期費用が安い点が一番のメリッ
トだとは思うが、カメラも定点撮影であり、さらに画質や音質が悪いとどうしても視聴者
が少なく、今後の展開が課題であると考えられる。
・ユーストリーム配信で最も注目すべき点は、八王子市とは対照的で経費的には安く運営し
ている点で、当市でも実施可能という印象を受けた。事務局職員の負担が増えること等が
問題となるが、『とりあえず、やってみる!とりあえず動かなければ!』という前向きな
姿勢に深く共感を覚え、当市はそれを見習うべきと感じた。
(2) 議会だよりのタブロイド版について
・議会だよりをB3縦サイズからタブロイド版に変更したばかりで、B3縦サイズよりも文字数
が入るという点での変更であった。経費の面では大きな変更はない。議会だよりは、当局側の
広報誌と同じサイズの方が市民も読みやすいのではないかと思う。そのような意味でも、当市
においてもA4サイズのままで継続した方が良いと思う。
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【八王子市・小金井市共通】
(1) インターネット中継について
・インターネット中継は、それぞれの市の事情に合った形態での放映だったが、当市では北
上ケーブルテレビとの兼ね合いから調査検討を進めていくべきであると思う。まずは、放
映の目的とケーブルテレビ中継との棲み分けや、どこまでの放映が望ましいかなど議会の
合意形成を図る必要がある。
・八王子市・小金井市両市共通の問題点として、「事務局職員の負担増」、「音声が聞き取り
にくい」等の問題点を抱えている。当市で導入するにあたっては、初期投資や維持経費な
どを検討する必要があるためもう少し調査・研究が必要ではないかと感じた。しかし、イ
ンターネット配信に対する市民の反応は良好で、続けてほしいとの声が多いとのことであ
る。
(2) 議会だよりのタブロイド版について
・北上市議会では、数年前の広報委員会時代から議会広報については、タブロイド版の調査・研
究を行ってきた。A4版からタブロイド版へ変更し、数年後にまたA4版に戻す都市部の
議会があったことなどから、当面は様子をみながら調査・研究を継続して行くことにした
経緯がある。今回の八王子市、小金井市も配布方法や編集形態が当市とは大きく違うこと
から一概に比較はできないが、いかに市民に読んでもらうか、議会と市民をつなぐ重要な
ツールとしていくかを目標に苦悩しながらの発行作業であることがうかがえた。結果は、
タブロイド版は、新聞としての意味合いが強いこと。つまりは、読み捨ての可能性が強い
が紙面構成がしやすい。A4版は、冊子としての意味合いが強く、保存が可能であるが紙
面構成の制限があることなど何を重視するのかということになる。今後は、岩手県議会の
「いわて県議会だより」のようにカラーで見やすいタイプのタブロイド版についても調査
が必要であると感じた。
・タブロイド版は、経費が安くなることや紙面が大きいので字数に余裕があることから、多
くの記事を掲載できるメリットはあるが、紙質が劣るためカラー刷りが難しく、さらに版
が大きい分保存がたいへんであるなどのデメリットもある。
・八王子市・小金井市は、議会だよりに対する市民(読者)の関心・注目度をあまり気にして
いないような印象を受けた。
6 視察参加者
委 員 長 三
宅
靖
副委員長 小
原 享
子
委
員 藤
本 金
樹
委
員 武
田
勝
委
員 梅
木
忍
委
員 星
敦
子
委
員 八重樫 七
郎
委
員 佐
藤 ケイ子
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