PDF(572KB) - 日本ロボット工業会

平成27年度
事
業
報
告
書
自
平成27年 4月
1日
至
平成28年 3月31日
平成28年 5月25日
一般社団法人 日本ロボット工業会
1.平成27年の業界概況
平成 27 年を振り返ると、世界経済、欧州、特にユーロ圏では債務や移民といった問
題をはらみつつ景気は緩やかに回復しており、米国でも金融政策正常化や原油価格の
下落の影響といった懸念材料はあるものの引き続き緩やかな回復が続いている。また、
アジア地域では、中国での景気減速が続くとともに、アジア新興国では減速と持ち直
しのまだら模様がみられた。
その一方、我が国経済では、企業収益や雇用情勢の改善が進む中、消費者物価も緩
やかに上昇しており、一部に弱さはみられるものの緩やかな回復基調が続いている。
このようななか、平成 27 年のロボット業界は、世界市場においてロボット需要の高
まりがみられたことや、円安効果などもあり受注が伸長した。国内市場も「ロボット
新戦略」に根ざす新たなロボット需要拡大気運や税制等の政策効果もあり、ロボット
需要は前年を大きく上回った。平成 27 年(会員+非会員)の生産額は 6,806 億円と 4 年
ぶりの 6,000 億円台回復となった。
今年 28 年(会員+非会員)の生産額は、引き続き海外需要の拡大と国内での需要期待
効果等により、7,500 億円を期待。
以下は、会員ベースでの平成 27 年 1~12 月の年間受注・生産・出荷についての実績
である。
1)受注
受注台数は、対前年比で、+6.5%の 138,319 台となり過去最高実績となった。また、
受注額では、同+10.4%の 5,446 億円と各々3年連続のプラス成長となった。
2)生産
生産台数は、対前年比で+8.7%の 138,434 台となり、過去最高実績となった。生産
額では、同+8.0%の 5,321 億円となり、各々2年連続でプラス成長となった。
平成 27 年(会員+非会員)の年間生産額(出荷額)は、輸出は円安を背景に海外需要
が拡大し、国内は生産性向上設備投資促進税制などの政策により設備投資が増加した。
また、平成 28 年(会員+非会員)の年間生産額(出荷額)は、引き続き国内での需要
増に加え、米国での更なる景気拡大と製造業回帰による堅調な伸び、中国での減速経
済の中にあっても高い自動化投資意欲、さらに欧米におけるインダストリー4.0 など
IoT を通じた産業用ロボットへの関心の高まりなど、今年も海外需要の拡大が期待さ
れる。
3)出荷
国内は主要ユーザである自動車産業向けと電気機械産業向けが年間を通じて好調
であった。
海外市場で見ると、中国向けは年前半こそ好調であったが、景気減速の影響から
徐々に需要は減速したものの、米国向けは堅調に推移し、欧州向けは前年の好調をさ
らに上回る実績となった。
総出荷台数は、対前年比+9.3%の 139,363 台と過去最高実績となった。総出荷額で
は、同+8.9%の 5,284 億円となり、各々2 年連続のプラス成長となった。
国内出荷台数は、同+13.5%の 32,483 台、国内出荷額は、同+20.9%の 1,518 億円
となり、各々2 年連続のプラス成長となった。
輸出台数は、同+8.1%の 106,880 台と、3 年連続でプラス成長になるとともに過去
- 1 -
最高実績となった。輸出額は、同+4.7%の 3,766 億円となり、2 年連続でプラス成長
となった。
3.1)国内出荷内訳
自動車産業向けは、対前年比で、+6.9%の 10,731 台となり、2 年連続でプラス成
長となった。出荷額は、同+15.0%の 477 億円となり、3 年連続でプラス成長となっ
た。
電子・電気機械産業向けは、対前年比で+32.1%の 10,315 台と、2 年連続でプラス
成長となった。出荷額は、同+22.6%の 501 億円となり、4 年ぶりにプラスに転じた。
ほぼ全用途が好調であった。
3.2)輸出内訳
溶接用は、対前年比で▲0.5%の 35,008 台となり、2 年連続でマイナス成長となっ
たものの、出荷額では、同+4.8%の 925 億円と 2 年連続のプラス成長となった。欧州
は非常に好調であったものの、米国、中国向けは前年並みとなった。
電子部品実装用は、同▲6.7%の 8,097 台、出荷額は同▲0.4%の 1,321 億円となり、
各々、2 年ぶりにマイナスに転じた。電機向けの主要用途である電子部品実装用は、
欧米向けでは好調であったが、マーケットの中心となる中国向けで年後半から需要が
失速した。
輸出は、欧米向けの需要好調であったのに対し、中国向けは景気減速の影響を受け、
ロボット需要は低迷したが、自動化投資への意欲は依然高いことから今後の需要回復
が期待される。
表1.会員の四半期統計(受注・生産・出荷)推移
(金額単位:百万円)
2014 年
2015 年
Ⅰ期
Ⅱ期
Ⅲ期
Ⅳ期
計
Ⅰ期
Ⅱ期
Ⅲ期
Ⅳ期
計
受注額
116,258
133,223
123,857
120,042
493,379
138,802
146,729
128,441
130,667
544,639
+10.4%
生産額
120,657
121,842
135,200
114,998
492,697
135,222
138,646
133,643
124,621
532,132
+8.0%
出荷額
116,443
119,229
133,453
115,988
485,113
130,179
134,903
134,497
128,861
528,439
+8.9%
図1.会員・四半期統計からみた主要業種の出荷額推移
一般機械器具
自動車
その他
百万円
160,000
電子・電気機械
プラスチック製品
輸出
140,000
120,000
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
0
Ⅰ期
Ⅱ期
2013年
Ⅲ期
Ⅳ期
Ⅰ期
Ⅱ期
2014年
- 2 -
Ⅲ期
Ⅳ期
Ⅰ期
2015年
Ⅱ期
Ⅲ期
Ⅳ期
2.平成27年度事業活動の概況
平成 27 年度は、ロボットおよびそのシステム製品に関する研究開発の推進、利用技
術の普及促進等を行うことでロボット製造業の振興を図るとともに、広く産業の高度
化と社会福祉の向上に資し、もって国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与す
ることを目的とし事業活動を行った。
平成 27 年度においては、通常総会のほか、理事会、常設の本委員会をはじめとして、
各部会、専門委員会等において以下の通り積極的に事業を展開し、遂行した。
[1] 通常総会
平成 27 年度通常総会は、平成 27 年 5 月 20 日(水)15 時 30 分より東京プリンスホテ
ル「高砂」において開催した。定款の定めにより津田純嗣(一社)日本ロボット工業会
会長が議長となり、事務局より会員数、出席者数を報告後、議事録署名人選任を行い、
以下の事項について審議、決定した。
1.議決事項
(1) 平成 26 年事業報告(案)承認に関する件
(2) 平成 26 年決算報告(案)承認に関する件
(3) 平成 27 年事業計画(案)決定に関する件
(4) 平成 27 年収支予算(案)決定に関する件
(5) 理事及び監事辞任に伴う選任の件
(6) 会員代表者変更に伴う理事選任に関する件
2.報告事項
(1) 副会長に関する件
(2) 平成 27 年度運営組織に関する件
総会後の懇親会における会長挨拶
懇親会場での懇談場面
[3] 理事会
平成 27 年度においては、第 12 回から第 14 回の通常理事会と平成 28 年 3 月の書面
審議による理事会とを合わせ 4 回の理事会を開催した。また、理事会とともに 2 回の
運営委員会については合同開催を行い、下記議案について審議および報告を行った。
- 3 -
●第 12 回理事会 (平成 27 年 5 月 8 日(金))
1.議決事項
(1)平成 26 年度事業報告(案)に関する件
(2)平成 26 年度決算報告(案)に関する件
(3)平成 27 年度事業計画(案)に関する件
(4)平成 27 年度収支予算(案)に関する件
(5)理事及び監事候補者の選定に関する件
(6)入会承認に関する件
2.討議事項
(1)最近の事業環境について
3.報告事項
(1) 平成 27 年度/28 年度の年間行事予定について
●第 13 回理事会/第 1 回運営委員会(平成 27 年 9 月 18 日(金))
1. 議決事項<理事会>
(1)入会承認に関する件
(2)借り入れに関する件
(3)(公財)JKA への平成 28 年度補助事業要望に関する件
(4)平成 28 年度税制改正要望に関する件
2.承認事項<理事会>
(1)平成 27 年度委員会委員長及び委員会委嘱に関する件
3.討議事項<理事会/運営委員会>
(1) 2015 年生産・出荷見込み、2016 年生産見通しに関する件
(2) 年末懇親会に関する件
4.報告事項<理事会/運営委員会>
(1) 事業報告に関する件
●第 14 回理事会/第 2 回運営委員会(平成 27 年 12 月 18 日(金))
1.議決事項 <理事会>
(1) 入会承認に関する件
(2) 銀行借入に関する件
(3)「正会員従業員功労表彰」対象者の選考に関する件
(4) 個人番号及び特定個人情報取扱規程に関する件
(5) 事務局長任定に関する件
2.討議事項 <理事会/運営委員会>
(1) 2015 年生産・出荷見込み、2016 年生産見通しに関する件
3.報告事項 <理事会/運営委員会>
(1) 事業報告に関する件
●書面審議(平成 28 年 3 月 30 日(水))
1.議決事項
(1) 平成 28 年度事業計画(案)に関する件
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(2)ロボットビジネス推進協議会の解散に伴う一部事業の継承について
(3)平成 28 年度収支見通し(案)に関する件
[4]賀詞交歓会
平成 28 年 1 月 12 日に賀詞交歓会を開催した。
●平成 28 年ロボット関連 3 団体新年賀詞交歓会
開催日:平成 28 年 1 月 12 日(火)
場 所:東京プリンスホテル「プロビデンスホール」
一般財団法人製造科学技術センター、一般財団法人マイクロマシンセンター及び
当工業会による「平成 28 年ロボット関連 3 団体新年賀詞交歓会」を開催し 470 名
近い出席者のもと盛会裡に閉会した。
[5] 常設委員会関係
(1) 運営(政策)関係
理事会に付議する案件の事前審議をはじめ、ロボット業界発展のための基本政策・
基本計画などとともに、金融税制上の助成等の施策立案と政府等への要望、正会員従
業員功労表彰及び国際交流等の取り組みを行った。
1) 企画
① 補助金、受託費の交付要望
各委員会の提案に基づき、以下の平成 28 年度補助金及び受託費の交付要望を行
った。
A.補助事業
・産学連携による課題解決型 RT イノベーション支援補助事業 (2/3 年度)
・平成 28 年度「ロボット導入実証事業」
B.受託事業
・ロボット介護機器開発・導入促進事業(基準策定・評価事業)(4/5 年度)
・次世代ロボット中核技術開発/次世代ロボット素材など要素技術の
調査研究 (1/2 年度)
・サービスロボットに関する試験方法の国際標準化(3/3 年度)
・生活支援ロボットの非接触センシング技術に関する国際標準化(2/3 年度)
・次世代ロボット中核技術開発/IoT 時代に対応した ORiN3 の戦略
及び仕様作成
② 平成 28 年度税制改正に関するロボット業界の要望
平成 28 年度税制改正にあたり、当業界の要望をまとめるとともに、平成 27 年
11 月 18 日開催の自由民主党「商工・中小企業関係団体委員会」の『予算・税制
等に関する政策懇談会』において、以下の 5 項目からなる税制要望を行った。
A.法人税等実効税率の引き下げ
B.生産性向上設備投資促進税制の延長・充実
C.新たな機械装置等の投資に係わる固定資産税の見直し
D.車体課税の抜本的見直し
E.地球温暖化対策税の見直し
- 5 -
③「一般社団法人日本ロボット工業会正会員従業員功労表彰」の実施
平成 27 年度通常総会終了後、同パーティ会場において平成 27 年度「正会員従
業員功労表彰式」(第 3 回)を執り行った。27 年度では、功労対象者 8 名に対し
その功績を讃え、会長より賞状が手渡された。
津田会長(中央)と受賞者
2)国際交流事業
国際ロボット連盟(International Federation of Robotics :IFR)を通じた国際交
流や海外での展示会等を通じたビジネス及び情報交流、海外動向調査等の活動を行
った。
① 海外との技術・情報交流の促進
A. 国際ロボット連盟(IFR)の活動を通じた国際交流
国際ロボット連盟(IFR)の理事会及び IFR 関係行事が、中国・上海市及び日本・
東京で開催された。これに併せ、これら会議への参加を通じて各国工業会・協会
との交流を行った。
●IFR理事会・総会等
a)中国・上海市での開催
<理事会>
開催日:2015 年 7 月 8 日(木)
場 所:中国・上海市 Holiday Inn Shanghai Hongqiao
IFR のマーケティング戦略、IFR サプライヤー会員会費の値上げ、ロボッ
ト統計年鑑「World Robotics」の価格値上げ、今後の ISR(International
Symposium on Robotics)などについて議論された。日本の理事 3 名のうち、
冨士原専務理事(JARA)及び榊原伸介執行役員(ファナック)の 2 名が出
席した。
<IFR Robot Suppliers Committee 会議>
開催日:2015 年 7 月 8 日(木)
場 所:中国・上海市 Holiday Inn Shanghai Hongqiao
2014 年世界ロボット市場統計結果、予測などについてディスカッション
を行った。日本側からは、冨士原専務理事(JARA)及び榊原伸介執行役員
(ファナック)を含む 5 名(海外現地法人からの出席を含む)が出席した。
<IFR Marcom 会議>
開催日:2015 年 7 月 8 日(木)
場 所:中国・上海市 Holiday Inn Shanghai Hongqiao
- 6 -
2015 年 7 月 8 日(水)をもって Marcom 委員会が発足した。マーケティン
グ・コミュニケーション戦略を拡大させることを目的としている。Marcom
の構成、メディア・パートナー、マーケティング戦略などについて議論が
行われた。日本からは、冨士原専務理事(JARA)及び榊原伸介執行役員(フ
ァナック)を含め 3 名(海外現地法人からの出席を含む)が出席した。
b)日本・東京での開催
<理事会>
開催日:2015 年 12 月 3 日(木)
場 所:東京・東京ビッグサイト 東 5 ホール商談室
IFR のマーケティング戦略、IFR サプライヤー委員会報告、2015 年収支・
2016 年予算、今後の ISR(International Symposium on Robotics)などに
ついて議論された。日本の理事 3 名のうち、冨士原専務理事(JARA)、榊原
伸介執行役員(ファナック)及び田中理事(川崎重工)の 3 名が出席した。
IFR のマーケティング戦略、IFR サプライヤー委員会報告、2015 年収支・
2016 年予算、今後の ISR(International Symposium on Robotics)などに
ついて議論された。
<IFR Robot Suppliers Committee 会議>
開催日:2015 年 12 月 3 日(木)
場 所:東京・東京ビッグサイト 東 5 ホール商談室
IFR のマーケティング戦略、2015 年世界ロボット市場統計などについて
議論された。日本からは、冨士原専務理事(JARA)、田中理事(川崎重工)
を含む 6 名が出席した。
<IFR Marcom 会議>
開催日:2015 年 12 月 3 日(木)
場 所:東京・東京ビッグサイト 東 5 ホール商談室
2016 年活動計画、Marcom の構成、メディア・パートナーなどについて
議論が行われた。日本からは冨士原専務理事(JARA)を含め 2 名が出席し
た。
<IFR Service Robot Group 会議>
開催日:2015 年 12 月 4 日(金) 東 5 ホール商談室
場 所:東京・東京ビッグサイト
サービスロボットの分類、標準化活動などについて議論された。日本
からは冨士原専務理事(JARA)を含む 2 名が出席した。
B. 海外のロボット展及び国際会議への参加
中国・CiROS 2015 及びフランス・innorobo 2015 への参加とともに、iREX2015
の PR を行った。また、国際会議等での招待講演等も行っている。
<CiROS 2015>
開催日:2015 年 7 月 8 日(水)~11 日(土)
場 所:中国・上海市
展示会・CiROS 2015(7 月 8 日(水)~11 日(土))が中国・上海市で開
催 さ れ 、 同 展 の 視 察 を 行 っ た 。 展 示 会 初 日 に 開 催 さ れ た 「 China
International Summit of Robot Industry: Session 2 - International
Experience Exchanging」プログラムにおいて、榊原伸介執行役員(ファ
ナック)が当会 IFR 対応 WG 主査として講演を行った。また、展示会場に
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おいて交換ブース(iREX との)を通じ、iREX2015 の PR を行った。
<innorobo 2015 への参加及び研究機関等の視察>
開催日:2015 年 7 月 1 日(水)~3 日(金)
場 所:フランス・リヨン市
フランス・リヨン市で開催された展示会・innorobo 2015 に参加すると
ともに、パリ市にある研究機関 Institute of Intelligent Systems and
Robotics (ISIR)、Commissariat a l’energie atomique (CEA) 及び Office
National d’ Etudes et Recherches Aerospatiales(ONERA)を視察した。
展示会 2 日目に開催されたワークショップ:Fostering Robotics - World
Tour of robotics initiatives において、冨士原専務理事(JARA)がプ
レゼンテーションを行った。また、展示会場において交換ブース(iREX
との)を通じ、iREX2015 の PR を行った。
<World Robot Conference 2015>
開催日:2015 年 11 月 23 日(月)~25 日(水)
場 所:中国・上海市
中国・北京市で開催された国際会議・World Robot Conference 201527
年 11 月 23 日~25 日)に参加し、冨士原専務理事(JARA)が Forum 7:
Industrial Robot and Intelligent Manufacturing において基調講演を
行った。また、World Robot Conference 2015 の一つとして開催された第
7 回日中韓研究者交流ワークショップにも参加した。
C. 海外ミッションへの対応
●中国・広東省佛山市ミッション
訪 問 日:平成 27 年 8 月 7 日(金)
メンバー:7 名
日本のロボットメーカに対する企業誘致を目的とした訪問で、佛山市
より同市の紹介、政府の支援策の説明を受けるとともに、日本のロボッ
ト産業の現状について事務局より説明を行った。
●中国・広東省佛山市ミッション
訪 問 日:平成 27 年 11 月 13 日(金)
メンバー:30 名
中国広東省佛山市南海区政府、 深圳・精華大学研究院主催の製造企業
海外研修プログラムの一環として当会を訪問した。日本のロボット産業
の現状などについて事務局より説明を行った。
3) 広報
ロボット及び応用システムについての広報に関する活動を行った。
① 機関誌「ロボット」の編集発行
機関誌「ロボット」(224~229 号)の編集発行を行った。
なお、各号の特集は以下の通りである。
・224 号:農作業の自動化、ロボット化
・225 号:国・地方自治体のロボット政策の取り組み
・226 号:ピッキングロボット
・227 号:2015 年度版実装技術ロードマップの概要/最新の実装技術動向
・228 号:建設ロボット
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・229 号:2015 国際ロボット展
② 実装ニュース」の編集発行
電子部品実装ロボット 関連のニュースレターである「実装ニュース」(季刊)
(Vol.16 No.1~4)の編集発行を行った。
③ ホームページの運用
会員内外に対して幅広くロボット関係の情報をホームページに掲示し、効率的
なサービスの提供とその運用を行った。
④ メールマガジンの配信
会員向け情報サービスとして、メールマガジン(週刊)を配信した。主な配信
内容は、最新ニュース(各種イベント、プレスリリース、新刊・公募情報等)、
お知らせ(HP の主な変更点、事務局便り等)
、イベント情報(展示会の出展募集
及び開催案内、セミナー/シンポジウム/フォーラムの参加募集等)等である。
(2)業務関係 事業
ロボット及びロボットシステムに関する各種事業や統計調査、市場調査、および利
用促進を図るための各種利用促進制度の運用、用途別ロボットの諸問題等について検
討を行った。
1) 事業
① JARA テクノフォーラムの開催
平成 27 年度は、工場見学と講演をあわせたフォーラムの開催を 3 回(第 46~
48 回)実施し、各回とも盛会裡に終了した。
本フォーラムは当会会員をその対象とし、ユーザニーズに対応した今後のロボ
ット技術のあり方について幅広い角度から検討を行なうことを目的に、工場見学
と講演を併せて実施している。
・第 46 回:平成 27 年 7 月 15 日 (水)-東邦薬品㈱ 埼玉物流センター
医薬品物流の自動化を実現した高度ロボットシステムの見学とともに
「TBC 埼玉の自動化への取り組み」について講演及び質疑応答を行った。
(参加者 31 名)
・第 47 回:平成 27 年 11 月 27 日 (金)-本田技研工業㈱ 寄居完成車工場
ロボットを導入した自動車の製造工程(溶接・組立)の見学と質疑応答を
行った。
(参加者 47 名)
・第 48 回:平成 28 年 3 月 8 日 (火)-沢井製薬㈱ 関東工場
ロボットを導入した医薬品の製造工程等の見学と「固形製剤工場の自動
化及び省エネの取り組み」について講演及び質疑応答を行った。
(参加者 30 名)
② JISSO PROTEC 2015 の開催、および JISSO PROTEC 2016 の開催準備
JISSO PROTEC 2015 を以下の日程で、「JPCA Show 2015/ラージエレクトロニク
スショー2015/WIRE Japan Show 2015/2015 マイクロエレクトロニクスショー」
と同時開催した。出展規模は上記 5 展示会合計で 700 社(676 社)1,412 小間(1,402
小間)、実登録者数 38,870(37,048 名)、JISSO PROTEC 2015 単独で 59 社(59 社)
318 小間(313 小間)、実登録者数は 4,345 名(4,258 名)であった。
(注)( )内は前年(2014 年(平成 26 年)の展示規模データ。
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名 称:JISSO PROTEC 2015 第 17 回実装プロセステクノロジー展
会 期:2015 年(平成 27 年)6 月 3 日(水)~5 日(金)
会 場:東京ビッグサイト 東 2~6 ホール
主 催:(一社)日本ロボット工業会(JARA)
運 営:(一社)日本電子回路工業会(JPCA)/(株)ICS コンベンションデザイン
また、同時開催事業を以下の通り開催した。
A. PROTEC セミナー2015(特別講演・出展者セミナー)
本年から出展者セミナーに加え電子部品実装関連のテーマについて、特別講
演として実施した。出展者セミナーは、JISSO PROTEC 2015 出展者による製品
技術セミナーで、実装プロセス技術に関する最新の動向が発表された。
B. 生産データ・コンベンション (Market Data Convention)
実装プロセス設備に関する世界統計で、この統計に関する総会を 2015 年(平
成 27 年)6 月 2 日(火)に開催した。
さらに、JISSO PROTEC 2016 を 2016 年(平成 28 年)6 月 1 日(水)~3 日(金)
に開催するにあたり、MDC 総会を 5 月 31 日(火)に開催することでその開催準備
を行った。
③ 2015 国際ロボット展の開催
2015 国際ロボット展を平成 27 年 12 月 2 日(水)~5 日(土)の 4 日間、東京ビッ
グサイトで開催した。21 回目の開催となる本展では、開催テーマを「RT ロボッ
トと共に創る未来」をテーマとし、産業用ロボットからサービスロボット、およ
びその周辺機器、部品と幅広い出展対象のもと開催した。
今回の出展規模は、総計 446 社・団体の 1,882 小間と前回 2013 年(334 社・
団体の 1,266 小間)を大幅に上回る過去最大の開催規模となった。
また、会期中の来場者数は、4 日間で 121,422 人と前回 2015 年の 103,804 人
を大幅に上回り、過去 5 回連続の 10 万人越えとなった(来場者には出展関係者、
VIP 来場者、西ホールからの来場者及び中学生以下は含まれていない)。また、
海外からの来場者数は、6,925 名となり、前回の 4,075 名を大幅に超えた。
主催:(一社)日本ロボット工業会、日刊工業新聞社
会期:平成 27 年 12 月 2 日(水)~5 日 (土)
会場:東京ビッグサイト・東 1、2、3、5、6 ホール(2 館増設)
規模:446 社・団体 1882 小間
今回の展示会では前回同様、産業用ロボット(IR)ゾーンで「ロボットシミュ
レーション&ビジョンシステムゾーン」、そして「サービスロボットゾーン」で
は、経済産業省、農林水産省をはじめ(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機
構(NEDO)、
(国研)日本医療研究開発機構(AMED)でのロボット関連プロジェクト
等に係わる展示、神奈川県の「かながわロボットイノベーション/モノづくりパ
ビリオン」、そして特別企画として大学などから研究開発中のロボットを展示す
る「RT 交流プラザ」や自治体・団体等から多彩な展示が行われたほか、各種の併
催事業も多数行われた。
特に、開催初日には、恒例となった「ロボットサミット」を会議棟 7 階の国際
会議場を開催、まず、星野剛士経済産業大臣政務官より「ロボット革命の実現を
目指して」のテーマで基調講演が行われた。引き続きパネルディスカッションで
- 10 -
は、「ものづくりの未来を拓く」のサブテーマのもと、国内 4 社、海外 2 社のロ
ボット主要メーカとロボットの二大ユーザである電気・電子と自動車業界の 2 社
を交えて、2020 年に向けたビジョン、戦略及びロボットの用途拡大向けた取り
組み等のプレゼンやパネルルディスカッションを行った。
ロボットサミットの会場
④産学連携による課題解決型 RT イノベーション支援事業
(補助事業-(公財)JKA)
現在、大学等では次世代ロボットの研究が活発に行われているとともに、中小
のベンチャー企業においても RT 企業としての起業化の試みが、そして各自治体で
はロボット関連産業創出に向けた取り組みが積極的に行われており、次世代 RT
産業も確実に萌芽しつつある。
このようななか、RT ベンチャー企業、大学、投資家等を対象とした「RT(ロボ
ットテクノロジー)マッチングプラザ支援補助」事業を開催し、大学等の RT シー
ズの技術移転、共同開発促進などを促進するマッチング支援を行うことで、ベン
チャー企業の創業、新規事業の創出を企図した。
1) 事業の内容
本事業は平成27年12月2日(水)~5日(土)の4日間、東京ビッグサイトで開催
された「2015国際ロボット展」の特別企画として、大学及び公設研究機関等か
らのRTシーズの公開および実演を行うとともに、技術移転、共同開発に繋げる
ためのマッチングの場を提供した。
2) 実施方法及び場所
(一社)日本ロボット工業会内に、学識経験者、ロボットメーカ等からなる
専門委員会を設け、本展への出展に際し幅広く公募(当会のHPや登録研究機関、
日本ロボット学会及び日本機械学会や計測自動制御学会のロボット部門等)を
行い、各研究機関から応募のあった出展申込について、委員会委員において審
査のうえ採択を行った。
そして、12月2日(水)~5日(金)の4日間、採択された32大学・研究室 43小間
で本事業を実施した。
3) 出展者アンケート
展示会の終了後、出展32機関に対しアンケート調査を実施し、27機関より回
答を得た。その結果、
「大変有意義」であったとの回答が18機関(67%)、
「有意義」
は7機関(26%)、「普通」は2機関(7%)となり、「物足りない」、「不満足」への回
答はゼロであった。
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また、本事業への出展効果・成果として、①研究機関としての技術PR(23機
関)、⑥他機関・企業との情報交流ができた(同22)、④企業とのパートナー探
し(共同研究、技術移転等)に役立った(同16)等が上位の回答となった。
2015国際ロボット展会場での本事業の状況
⑤ 産学連携の促進に向けた活動
(一社)日本ロボット学会との共同委員会のもとで、既述の「産学連携による課
題解決型 RT イノベーション支援補助事業」での活動に加え、当会 HP にある「研究
室紹介」のロボット関係研究機関について、本年度はそのデータベースの見直しと
ともに、上記「産学連携による課題解決 RT イノベーション支援補助事業」で収集
した産学連携部門の収集結果(42 大学・研究所)を公表した。
2) 調査・統計
ロボットおよびロボットシステムの受注・生産・出荷に関する統計調査、利用技
術調査等の活動を行った。
①受注・生産・出荷統計調査
正会員および賛助(法人)会員のロボットメーカ(輸入企業含む)に対し、月別の
受注、生産、出荷実績(台数および金額)について調査を行い、集計後その結果報
告を会員に対し行った。
また、調査・統計部会では、中期的な見通しを立てるためにユーザ業況を背景と
した今後のロボット動向について、情報交換を行うとともに月別統計データをベー
スに 4 半期毎の概況報告をとりまとめてプレス発表を行った。
②ロボット産業需給動向調査
本調査は、産業用ロボット及びサービスロボットについて会員外のロボットメ-
カ、ロボット輸入企業等をも含めた調査で、今年度より初めてサービスロボットの
調査を実施したものの補足率が低く、今後の課題となった。
1)産業用ロボット
a)資本金およびマニピュレータ、ロボット関連従業員数
b)マニピュレータ、ロボットの研究開発体制(研究部門の設置状況、国内外
メーカとの共同開発や大学・研究機関との共同研究の有無等)
c)生産・販売状況
d)提携(販売・技術)及び合弁事業状況
e)受注・生産・出荷統計
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2)サービスロボット
a)資本金およびロボット関連従業員数
b)開発・生産・販売状況
c)生産・販売統計
について調査を行い、報告書として 2015 年版をまとめた。
3) 利用促進
ロボットの利用促進に関わる政策的な優遇制度(税制、融資等)についての運用、
PR に努めた。
① 生産性向上設備投資促進税制による利用促進
我が国国内において、質の高い設備の投資を促進することで事業者の生産性向
上を図り、もって我が国経済の発展を図ることを狙いとする「生産性向上設備投
資促進税制(中小企業投資促進税制の上乗せ措置を含む)が平成 26 年 1 月 20 日よ
り適用となった。
当工業会は、「先端設備(A 類型)」における「ロボット及び電子部品実装設
備」の証明書発行団体であり、製造業者からの申請に基づいて当該証明書を発行
する業務を行い、本制度を通じたロボット及び電子部品実装設備の普及を行った。
発行数は、平成 28 年 3 月末現在、5,533 通(平成 27 年 4 月~平成 28 年 3 月)
累計で 10,231 通(平成 26 年 1 月~平成 28 年 3 月)であった。
② 中小企業投資促進税制による利用促進
「産業競争力強化法」の成立に伴い、中小企業投資促進税制の 3 年間延長に加
え、上乗せ措置が平成 26 年 1 月 20 日から適用出来るとともに、その適用期間は
平成 29 年 3 月 31 日までとなった。
本税制の上乗せ措置としては、上記①の税制同様に生産性の向上に資する設備
を対象に①現行の 30%の特別償却は即時償却が可能に、②現行の 7%の税額控除
が 10%に(資本金 3 千万円以下の法人)、そして①の現行で特別償却のみの適用で
あった資本金 3 千万円超で 1 億円以下の法人は、7%の税額控除となるなど適用範
囲が拡大した。
③ 平成 26 年度補正「最新モデル省エネルギー機器等導入支援事業(地域工場・
中小企業等の省エネルギー設備導入補助金)」及び「環境・エネルギー対策資金」
(省エネルギー促進融資)による利用促進
本事業は、地域の工場やオフィス、店舗等において、エネルギー削減効果が確
認できる最新モデルの省エネルギー機器等を導入する際に、導入機器等の費用の
一部を補助する制度である。
当工業会では、最新モデル省エネルギー機器等導入支援事業(A 類型)で定め
られた補助対象カテゴリーのうち、電気使用設備としてのロボット関連機器(産
業用ロボット、電子部品実装ロボットの内、電子部品装着機、電子部品挿入機及
び関連装置)等についのみ、その要件を満たしているかの審査を行うとともに、
要件を満たしている機器に対し性能証明書を 312 通発行した。本事業は平成 27
年 4 月 23 日(木)をもって終了し、平成 27 年 4 月 24 日(金)以降は、
「環境・
エネルギー対策資金」(省エネルギー促進融資)に上記の性能証明書が使用でき
ることになった。
また、上記制度の後継として、日本政策金融公庫が実施する「環境・エネルギ
- 13 -
ー対策資金」
(省エネルギー促進融資)が利用できることとなった。この制度は、
利益率が低下している方が、証明書発行団体から証明を受けた最新モデルの省エ
ネルギー機器等を導入して省エネルギーを推進する場合等に、金利を 0.65%引き
下げて貸付を受けられる融資制度で、性能証明書を 120 通発行した。
「省エネルギー促進融資」制度は、平成 28 年 3 月 31 日までが取扱期限(融資
実行期限)となっており、取扱期限内に融資が実行される必要がある。
④ 平成 26 年度補正「ロボット導入実証事業」による利用促進
(補助事業-経済産業省)
経済産業省では、平成 26 年度補正による「ロボット導入実証事業」を実施す
るにあたり、補助金交付執行団体の公募を行い、当工業会がその執行団体として
採択された。
本事業は、
「ロボット導入実証事業」と「ロボット導入 FS 事業」の2つの内容
の事業を通じ、ロボットの未活用領域へのロボット導入を促進するとともに、サ
ービス事業者(システムインテグレータ)の担い手の活用と育成を図ることを目
的としたものである。
両事業についての提案公募を行うとともに、提案案件について審査し、採択案
件のなかで、最終的に交付申請のあった事業者対し、交付決定を行った。
A.「ロボット導入実証補助事業」
ものづくり分野やサービス分野等の事業者に対し、先端的なロボット活用に
より、単純作業や過酷環境下作業からの解放(自動化)や生産ラインの柔軟性
向上等により、労働環境の改善や生産性の向上に資するような設備において、
a.ロボット等の設備導入
b.ライン構築に係わるシステムインテグレート
等に要する費用の一部を補助した。
なお、導入実証事業での補助金の上限は1億円で、補助率は大企業で 1/2、
中小企業が 2/3 であった。
B.「ロボット導入FS補助事業」
ものづくり分野やサービス分野等、ロボットの活用が進んでいない分野の事
業者に対して、ロボット活用のノウハウやメリットを理解してもらうため、
a.業務分析の実施
b.ロボットの導入の費用対効果の算出等
に要する費用の一部を補助した。
なお、ロボット導入 FS 補助事業の補助金上限額は 500 万円であるほか、補
助率は A.事業同様、大企業が 1/2、中小企業は 2/3 であった。
C.公募の採択結果について
A.ロボット導入実証補助事業:140 件の応募提案に対し、76 件を採択
B.ロボット導入 FS 補助事業 : 47 件の応募提案に対し、40 件を採択
⑤ロボット革命イニシアティブ協議会「ロボット利活用推進WG」を通じた利用促進
ロボット新戦略の実現に向けた組織として平成 27 昨年 5 月、
「ロボット革命イ
ニシアティブ協議会」が設立され、当会は同組織内の WG である世界一のロボット
利活用社会を目指すための「ロボット利活用推進 WG」事務局を担当し、その運営
にあたった。
A.各分野で、ロボットの活用を期待する事業者等の要望をサプライヤーにつな
ぐ仕組みの具体化・実現
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a.データベースの構築、b.マッチング人材育成、c.マッチングの仕組みにつ
いての課題・意見抽出実施した。また、SIer に関するデータベースをまずは
一般公開するためのフォーマットづくりを実施。
B.都道府県レベルでのロボット事業支援機関の創設
ロボット事業支援機関の実態調査とともに、課題・意見抽出を実施した。
これをベースに今後ロボット事業支援機関の創設を呼びかける
C.ロボット活用の裾野拡大
中小企業へのロボット拡大策、教材としての中古ロボットの確保手段や課
題等の意見抽出を行った。
D.ロボットの普及を促す環境整備(ロボットバリアフリー社会の実現)
内閣府共通意見等登録システムに登録する規制改革要望案として、電波法、
航空法をはじめとする 8 分野からの要望を抽出・検討した。
E.情報の非対称性の解消/認識の共有化
潜在ユーザを始め、ロボットメーカや SIer 等にとっての有益な情報は何か
についての意見抽出とともに、経済産業省の「ロボット導入実証」をはじめ
としたベストプラクティス事例の収集に努めることとした。
4) 市場振興対策
ロボットおよびロボットシステムの市場振興に係わる諸問題について、以下の各
分科会においてそれぞれの活動を行った。
① 組立ロボット
組立ロボットの構造別統計(期別)を実施した。
② 電子部品実装ロボット
MDC/BBS(Market Data Convention/(Booking Backlog Statistics)は、
実装プロセス設備に関する世界統計として、世界の関連メーカを対象にインタ
ーネットを通じて出荷台数/金額(四半期)及び受注額並びに受注残高(毎月)
の調査を行った。
③ 入出荷ロボット
最新の物流システムの見学として、平成 28 年 3 月 18 日 (金)にオルビス㈱東
日本流通センターを見学、意見交換を行った。
④ サービスロボット
A.日 韓 サ ー ビ ス ロ ボ ッ ト ワ ー ク シ ョ ッ プ
韓国のサービスロボットの団体である韓国ロボット産業協会(KAR:Korean
Association of Robot Industry)との覚書に基づく「日韓サービスロボットワ
ークショップ」の開催については、平成 27 年度として、我が国でロボット展
が開催されたことで、日本側での開催となった。
とりわけ、これまではワークショップを一般公開としていたが、今回は一般公
開とはせず、2015 国際ロボット展会期中の平成 12 月 4 日(金)に会場内の会議
室で日韓双方から、ロボット政策及び企業のサービスロボットの取り組み等に
ついてそれぞれ発表が行われ、参加者による懇親会も行うなど交流を図った。
B.日仏産業協力に係わる活動
平成 26 年 7 月 8 日にサービスロボットに関する覚書をフランスのロボット
産業団体・SYROBO(French Federation of Professional and Personal Service Robotics, Bruno Bonnel 会長)とで締結している。
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これに伴い、フランス・リヨン市で 2015 年 7 月 1 日~3 日に開催された展示
会・innorobo 2015 に参加するとともに、パリ市内にある研究機関の視察を行
った。また、展示会場において交換ブース(iREX との)を通じ、iREX2015 の P
R を行った。
(3) 技術振興事業
ロボットやロボットシステムの技術向上のための調査・研究開発、及び標準化推進、
並びにロボットシステム導入のためのエンジニアリング振興などの事業を行い、ロボ
ット技術の向上・振興を図った。
1) 技術調査
ロボットの技術動向調査、研究開発調査等の技術調査を行った。
① ロボットの技術的問題に関する調査研究
ロボットに係る技術的諸問題について調査研究を行う。具体的には、ロボット
技術検討部会において業界として横断的に取り組むべき技術課題等について調
査、検討を行った。
特に新素材の検討に関しては、技術検討部会での議論に基づき NEDO 事業に
提案し採択された。
②ロボット介護機器開発・導入促進事業(基準策定・評価事業)に関する委託業
務(3/5)
(受託事業-(国研)日本医療研究開発機構)
移乗支援(装着型)、見守り支援(施設、在宅)分野の標準化推進として、コ
ンソーシアムメンバー*、事業者、テクノエイド協会や有識者などと連携しなが
ら移乗支援(装着型)、見守り支援のロボット介護機器の標準化基本戦略方針を策
定した。装着型ロボットについては、ISO/TC184/SC2/WG7 におけるサービスロボ
ットの安全に関する標準化の審議状況を調査するとともに、ISO13482 の個別パー
トとするための内容について検討を行い、JIS 提案を行った。
広報活動としては、これまでに構築したウェブサイト(介護ロボットポータル
サイト)を介して、本事業の遂行支援と事業への理解を広げるための情報を発信
した。
また、2015 国際ロボット展において、経済産業省と日本医療研究開発機構の
主催で実施したロボット介護機器展示と併せて、ロボット介護機器発表ステー
ジを開催し、出展者企業による研究開発紹介の発表ステージとして来場者にとっ
て大変有意義な情報提供の場となった。
*(国研)産業技術総合研究所、(一財)日本自動車研究所、(独)労働安全衛生総合研究所、名
古屋大学、(一社)日本福祉用具評価センター、(一財)日本品質保証機構、(株)アプライド
ビジョンシステムズ、日本福祉用具・生活支援用具協会、(一社)日本ロボット工業会
2) 標準化
ロボットの ISO 国内審議団体業務、内外の標準化調査、JIS 原案作成など標準化
推進のための事業を行った。
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① RT ミドルウェアの国際標準化に関するフォローアップ
国際標準化活動の一環として、RT ミドルウェア開発の動向を見極め、海外(米
国等)で開催される標準化会議に参加し、普及啓蒙を行うとともに、将来のサー
ビスロボット市場の健全な発展に向けて標準化を進めることを目的に、コンソシ
アム標準である OMG (Object Management Group)技術会議の報告会を JARA、SICE
((公社)計測自動制御学会)、NRF(ネットワークロボットフォーラム)と連携し
て開催して、技術会議の活動報告を行った。
② サービスロボットに関する試験方法の国際標準化(2/3)
(受託事業-㈱三菱総合研究所)
日本が NEDO の生活支援ロボット実用化プロジェクトの成果に基づき提案した
サービスロボットの試験方法について、着実に国際標準化を進めると共に、英国
が提案した ISO13482 のガイダンスの規格化の際に、日本に不利な内容にならない
よう、日本コメントを積極的に提出、主張した。また、サービスロボットの安全
性に密接に関係する用語、性能及びモジュラリティ、医療ロボット安全性、産業
用ロボット安全性等の国際標準化活動についても、積極的に参加、提案を行い、
ISO 規格の内容が日本のロボット産業育成のために不利にならないように対応し
た。
③ 日本の生活支援ロボット普及のための認証基盤構築(2/2)
(補助事業-経済産業省)
本事業では、パナソニックで開発された病院内自律移動型搬送ロボットである
「HOSPI」を対象に、NEDO プロジェクト成果に基づき日本から ISO/TC184/SC2 に
TR 提案している試験方法に適合する試験実証を行い、その実証データの蓄積を行
った。実証に関して、ASEAN の認証機関と連携し、試験方法の普及を図るととも
に、相手認証機関のノウハウを取り込み、日本にフィードバックを行った。さら
に、実証データは、TR 提案している試験方法のバックデータとして技術文書にま
とめ、JIS 等の規格とすると共に国際提案活動も進めた。
④ 生活支援ロボットの非接触センシング技術に関する国際標準化(1/3)
(受託事業-経済産業省)
現在、ISO/TC184/SC2/WG7 で ISO13482 のそれぞれの安全要求事項に対応した試
験方法を TR(ロボットとロボティックデバイス―生活支援ロボットのための安全
関連の試験方法)としてを日本主導でまとめつつある。この中に、生活支援ロボ
ットでも特に移動するものにおいて、安全構築上非常に重要である、対人運動検
知性能試験方法及び屋外使用のための路面検出性能試験方法を我が国主導で追加
提案していくために、実証試験を行った。
⑤ ロボット座標系 JIS 改正原案作成
(受託事業-(一財)日本規格協会)
JIS B 8437:1999(産業用マニピュレーティングロボット-座標系及び運動の記
号)の原国際規格である ISO 9787 が、2013 年にサービスロボットを含む形に改
訂されたのを受けて、JIS B 8437 の改正原案を作成した。
3) エンジニアリングの振興
ロボットシステム導入支援のために、エンジニアリングの諸問題の検討を行う。
また、工業会会員へのエンジニアリング企業の更なる取り込みに向け、具体的検
討を行った。
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① システムエンジニアリング部会
工業会会員へのエンジニアリング企業の更なる取り込みに向けて、
「ロボットエ
ンジニアリング業界活性化検討会議」の今後の展開及びシステムインテグレータ
の組織化の問題点について検討すると共に、エンジニアリング企業の抱えている
問題、生産設備産業全体に必要な技術や情報などについても検討を行った。
また、エンジニアリング企業に有用な各種情報の展開のために、2015 国際ロボ
ット展において、部会主催の講演会を企画開催した。
(4) 建築鉄骨溶接ロボット型式認証
建築鉄骨製作分野において急速に普及し、多くの実績のある建築鉄骨溶接ロボット
により健全な溶接部を得ることを目的として、平成 27(2015)年度は昨年度に引き続き、
新規型式及び、更新型式(3 年毎)の認証を行った。
(5) ORiN 協議会
ORiN(Open Resource Interface for the Network/Open Robot Interface for the
Net-work)は、ネットワーク環境において異なるメーカや機種を超え、ロボットをはじ
めとする産業機械等への統一的なアクセス手段を提供するオープンなインタフェース
として、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトとして研究開発
が実施された。プロジェクト終了後、ORiN の普及啓蒙、維持・改善等を目的に、平成
14 年(2002)10 月に「ORiN 協議会」が設立された。
平成 27(2015)年度は以下の活動を行った。
*ORiN 協議会:ORiN 協議会の設立の趣旨に賛同し、その目的達成に協力する、法人会員(特別
会員、一般会員、準会員)、研究会員、協賛会員等で構成される協議会。
(ア)7 月に大阪及び東京で開催された産業オープンネット展において、ORiN の
普及啓蒙に向けた展示を行った。また、2016 年 2 月に金沢及び浜松で開催さ
れた産業オープンネットセミナーにおいて普及啓蒙のために講演を行った。
(イ)12 月にビッグサイトで開催された 2015 国際ロボット展において、ORiN の
普及啓蒙に向けた展示を行った。
(ウ)2016 年 3 月に利用技術の事例等を紹介する ORiN ミーティングを行った。
(東
京で開催し、参加者 95 名)
・ORiN Ver.3 の開発に向けた検討を行い、NEDO 事業に応募して採択された。
・12 月に名古屋で開催された計測自動制御学会システムインテグレーション部門
講演会(SI 2015)において発表を行った。
(6) 建設ロボット振興事業
建設ロボットの研究開発、普及促進、および国際協調に寄与するために、建設ロボ
ット研究連絡協議会*において、国際および国内建設ロボットシンポジウムの企画、国
際建設ロボットシンポジウムへの参加を行うとともに、建設ロボットに関する調査研
究を行う。
*建設ロボット研究連絡協議会:(公社)土木学会、(一社)日本建築学会、(一社)日本ロボット学
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会、(一財)先端建設技術センター、(一社)日本建設機械施工協会、および(一社)日本ロボット
工業会の 6 団体で構成される建設ロボットの研究・開発、普及の推進等を目的とした協議会。
① 第 32 回国際建設ロボットシンポジウム(ISARC 2014)への参加支援
平成 27 年 6 月 15 日 (月)~18 日 (木)の 4 日間、フィンランド・オウル市にお
いて開催される「第 32 回国際建設ロボットシンポジウム(ISARC 2015)」の論文
募集に協力するとともに、同シンポジウムへの関係者の派遣を行った。
② 第 15 回建設ロボットシンポジウム(SCR)の開催
わが国の建設産業における建設ロボット分野の技術革新と建設生産システムの
近代化を促進するために、
「建築・土木・ロボットの融合による建設産業の新たな
展開」をシンポジウムテーマとして、平成 27 年 9 月 7 日 (月)~9 日 (水)の 3 日
間、大阪大学において第 15 回建設ロボットシンポジウムを開催し、盛況裡に終了
した。
③ 第 16 回建設ロボットシンポジウム(SCR)の開催準備
わが国の建設産業における建設ロボット分野の技術革新と建設生産システムの
近代化を促進するために、
「実証から実用へ、建設ロボットの新たなステージ」を
シンポジウムテーマとして、平成 28 年 8 月 31 日 (水)~9 月 2 日 (金)の 3 日間、
中央大学において第 16 回建設ロボットシンポジウムを開催するための準備を行
った。
(7) エンタテイメントロボットフォーラム(ERF)
サービスロボットの普及を目指すため、エンタテイメントロボットに関係した技術
者による技術交流会を開催するとともに公開フォーラム等を企画した。
(8) ロボットサービスイニシアチブ(RSi)
ネットワークを介してパーソナルロボットが提供するロボットサービスを簡単、か
つ便利に利用できる社会を目指し、相互運用性のあるロボットサービスの創出に向け
た活動を行うため、通信/制御についてのプロトコル改善、整備とその普及、実証実
験の実施などを推進しロボットサービスの普及を図っている。
(9) ロボットビジネス推進協議会
ロボットビジネス推進協議会(以下、ビジ協)は、平成 18 年 12 月 13 日に設立され、
新たなサービスロボットの市場創世を促進するためにその環境基盤整備を中心に産学
官連携のもとで、これまで約 10 年にわたる活動を行ってきた。
ビジ協の平成 28 年度通常総会(3 月 9 日 (月))において、平成 28 年 7 月末をもって
の解散とともに、事業活動の一部を当工業会が事業継承することを前提に了承・決議
された。
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3.会員状況
平成28年 3月31日現在
1)正会員
入会 2社
㈱ゼネテック
退会 0 社
32社(26年度
30社)
CYBERDYNE㈱
2)賛助会員(法人) 100 社(26 年度
入会 24 社
アルファーデザイン㈱
イグス㈱
イリソ電子工業㈱
SGS ジャパン㈱
沖電線㈱
小倉クラッチ㈱
カワダロボティクス㈱
㈱木村洋行
クマリフト㈱
77 社)
㈱コスモ技研
三和ロボティクス㈱
山洋電気㈱
CKD㈱
新光電子㈱
テュフズードジャパン㈱
日本ケイデンス・デザイン・システムズ社
日本航空電子工業㈱
日本電産シンポ㈱
三井化学㈱
ミツイワ㈱
ライフロボティクス㈱
ゴアテックテクノロジージャパン㈱
㈱コーネット
㈱国際電気通信基礎技術研究所
退会 1 社
コニカミノルタ㈱
3)賛助会員(個人)
入会 3 名
退会 6 名
92 名(26 年度
95 名)
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