分野 人事労務 賞与は支給日在籍者のみに支給してよいか Q 賞 与 の 支 給 日 に 会 社 に 在 籍 し て い な い 社 員 に つ い て は 、賞 与 を 支 払 わ な く て もよいのでしょうか。 A 賞 与 は 月 例 給 与 と は 異 な り 、法 律 に よ り 支 払 義 務 を 課 し て い る も の で は あ り ま せ ん 。支 給 さ れ る か ど う か 、ま た 支 給 さ れ る と し て も 、具 体 的 な 金 額 に つ い てあらかじめ決まっているわけではありません。 一 般 的 に 賞 与 は 夏 と 冬 の 2 回 支 給 さ れ ま す 。支 給 の 際 に は 、算 定 の 対 象 と な る 期 間( 例 え ば 6 月 支 給 分 は 1 1 月 1 日 か ら 4 月 3 0 日 、1 2 月 支 給 分 は 5 月 1 日 か ら 1 0 月 3 1 日 )を 定 め て 、そ の 期 間 に お け る 会 社 の 業 績 や 社 員 個 々 人 の勤務成績等を考慮して額が決められます。 賞 与 の 支 給 に つ い て 問 題 が 生 じ る の は 、算 定 期 間 中 ま た は 期 間 後 支 給 日 ま で の間に従業員が退職した場合、賞与が支給されるのかどうかということです。 裁 判 例 で は 、以 前 は 賃 金 の 後 払 い 的 性 格 を 考 慮 し て 支 給 し な い こ と を 無 効 と し て い ま し た が( 日 本 ル セ ル 事 件 昭 和 49.8.27 東 京 高 裁 判 決 )、最 近 は 支 給 日 に 在 籍 し て い る 従 業 員 の み に 支 払 う と い う 取 扱 い が 有 効 と さ れ て い ま す( 大 和 銀 行 事 件 昭 和 57.10.7 最 高 裁 判 決 )。し た が っ て 、会 社 が 就 業 規 則 で 賞 与 支 給 日 に 在 籍 す る こ と を 支 給 要 件 と し て 定 め て い れ ば 、支 給 日 前 に 退 職 し た 人 に は 支給されないことになります。 こ の 判 例 に 対 し 有 力 な 学 説 は 、退 職 日 を 自 ら 選 択 で き る 自 発 的 退 職 の 場 合 は 不 支 給 を 有 効 と す る も の の 、会 社 都 合 の 整 理 解 雇 や 定 年 な ど 非 自 発 的 な 退 職 の 場 合 は 公 序 良 俗 違 反 に よ り 無 効 で あ り 、勤 務 期 間 に 対 応 し た 賞 与 請 求 権 が あ る としています。 な お 、支 給 日 の 前 に 退 職 し た 従 業 員 に は 、出 勤 し た 日 数 に 応 じ て 支 給 す る と 定めている企業も相当数あります。 賞与の在籍者支給についての就業規則規定例を紹介します。 第 ○ 条 会 社 は 、原 則 と し て 毎 年 2 回 、夏 季 と 冬 季 に 会 社 の 業 績 、本 人 の 勤務成績を考慮して賞与を支給する。 ② 賞与の算定期間は、上半期は11月1日から4月30日、下半期は 5月1日から10月31日とする。 ③ 賞与は支給日に在籍している従業員に対して支払うものとする。 な お 、賞 与 の 支 給 額 に つ い て 労 使 間 で 交 渉 が ま と ま ら ず に 、支 給 日 が 例 年 に 比 べ て 大 幅 に 遅 れ た と い っ た ケ ー ス で は 、例 年 の 支 給 日 か ら そ の 年 の 実 際 の 支 給 日 ま で に 退 職 し た 社 員 に つ い て は 、支 給 日 在 籍 要 件 を 適 用 し な い で 、賞 与 を 支給すべきとされています。
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