『世界の諸宗教Ⅰ』 第8章 古代近東 概観 メソポタミア:シュメール文明、バビロニア王国、アッシリア帝国、 ヒッタイトなど(印=欧語族) エジプト :古代エジプト文明 カナン :フェニキア、カルタゴなどのフェニキア植民市 イスラエル:カナン・メソポタミア・エジプトの中間 →ユダヤ教、キリスト教、イスラーム メソポタミアの宗教 ☆ 神々の肖像 アンを頂点とするパンテオンの神々、儀式・讃歌や神話 ・ アン : 最初の神 ・ エンリル : 「風の神」、ニップールの神(シュメールの宗教の中心地)、 慈悲深い父親、 雨の恵み、人間の運命を定めた粘土板 の持ち主、 「風の女神」ニンリルの伴侶 ・ マルデュク : 主神に昇格、バビロンで信仰(バビロニア王国) ・ エンキ(アッカド語のエア) : 知恵者、地下水の神、豊穣の紳、独 創的、器用で悪戯者 ・ イナンナ〈イシュタール(アッカド語) 、アシュタールテ(アッシリア語) 〉 降雨と雷雲に結びつく豊穣の女神、戦争の女神、冥界下り ☆ 祭祀と神殿 段階式ピラミッド型の神殿、ジッグラトにおける儀礼のプロセス 大祭の折りに神話に基づく華麗な演劇 王が関わる儀礼 神との聖婚の祭典により神になる 文学的な創作としての神話 『ギルガメッシュ叙事詩』 不死の探求物語、死の本質を自覚 古代エジプト 『死者の書』=『日の下に出現する書』 エジプト人の死生観→オシリスの生と死と復活の神話 オシリス : 「太陽神」 、豊穣神、都市と結びついたラーに次ぎ最重要の神 死を超越した存在、死についての主宰神、冥界で死者に審判を与える →霊魂(バーとアク)、神聖王位の概念、太陽祭祀の施設としてのピラミッ ド カナン人の宗教 ・ ・ ・ ・ ・ シリア沿岸のラス・シャムラの古代都市ウガリットで発見された楔形文字 エルすなわち「神」が諸神を率いる 最有力の神はバアルすなわち「主人」、天候や雨と結びつき豊穣をもたらす エルの伴侶 子孫の神々を庇うため嫉妬深い女神アティラート バアルの妹、伴侶 愛と戦争の女神アナト バアルの敵の三柱の神 海の怪獣、『聖書』 バアルについての因果的連鎖、死と復活(オシリスの神話と類似) カナンの宗教の一大主題を示唆 カナンの儀礼 季節ごとの豊穣儀礼が主、 ウガリッドの住民が公の場で罪を償う行事 フェニキアの変奏 フェニキアの宗教 ・ バアルはフェニキアの船乗りたちの導き手として重視される ・ 主要な女神はアシュタルテ(戦いの女神、豊穣の女神) 「令夫人」 ・ さまざまな、死んで蘇る神々(ビュブロスの町、アドニス=「主」 ) 農耕文化に起源+個人的・人格的意味を持つ、酒神祭の儀礼 主題 存 :死ぬ神と復活する神、豊穣の女神の観念と生殖の祭儀→農耕文化に依 イスラエル人の宗教 発端 イスラエル人の歴史 大半の物語の資料は『聖書』 最初期 族長時代、パレスチナの古都ソドムとゴモラ モーセの革命とカナンへの脱出 西紀前1300年頃 指導者モーセによる出エジプト ヤハウェへの忠誠、一神教を形成、「十戒」を授かる 神殿 12部族→王権の出現(サウル、ダビデ、ソロモン) 「第一神殿」中央神殿としてソロモン(前10c)がエルサレムに建設 政治的・宗教的効果、 「契約の箱」を安置、586年に破壊される 以後「第二神殿」まで神殿の再建、破壊がくりかえされる 供儀の祭壇 :贖罪の性格、倫理の「神」 預言者の伝統 預言者 公的宗教に対して批判を行う 幻視、召命、倫理的諸価値の混合 イスラエル人の宗教の諸次元 1. 行事と儀礼の次元 「神殿」における祭儀の中心化、偶像崇拝の禁止、シナゴーグ(会衆)礼拝 の観念 2. 経験的・感情的な次元 預言者の召命と祭司の伝統の保守主義との対 3. 物語ないし神話的次元 出エジプト、砂漠における故郷喪失、カナン征服→「神」との契約 4. 教義的・哲学的次元 「神」 至高のもの 唯一神 5. 倫理的・法的次元 「十戒」に要約された法令 6. 社会的・制度的次元 王制の復活を待望 7. 有形的な次元 「神殿」「契約の箱」→聖典、イスラエルの地
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