2015年度年度学校評価(慶應義塾湘南藤沢中・高等部) 1.教科における自己評価 教科 目標と具体案 結果 中等部では正しい日本語の表記や基礎的な思考の学習、生徒各自の 発言力・表現力の体得、文章表現の持つ豊かさを実感させることに 重きを置いている。 中等部では基礎学力の欠如している 生徒に対し適宜指導を行うことで、 一定の成果が見られた。 高等部では批評的にテキストを読解するための手法を学習する。生 徒が自分で問題を発見し解決する力を養うこと、日本の伝統文化に 関する知識と教養を得ることにも主眼を置いている。 高等部は副教材を採用することで、 論理的な読解力と柔軟な思考力の向 上に一定の成果が見られた。 国語 次年度への課題と対策案 異なる文化的背景を持つ生徒の日本 語や国文学史に対する知識と理解の 隔たりを同一授業の中で方向づけす る。 中期的な課題 2019年度以降(横浜初等部生受 け入れ)を見据え、小中高における 一貫したカリキュラムの構築を検討 する。 ゆとりの授業や学年行事等、補助的 な学習機会の活用について再考す る。 中等部生の読解力を向上させるため の副教材の導入を検討する。 中等部では地・歴・公民の三分野にわたりバランスよく基礎学力を 習得することで、多角的かつ幅広く社会をとらえる視点を持つこと を目標とする。 高等部では学部選択を見据えて各科目高度な専門的知識を習得する ばかりでなく、習得した知識を用いてアウトプットできるようにプ レゼンテーションや論述の機会を多く設ける。 昨年度課題として掲げた「帰国生と一般生の知識量の差」について は、ゆとりの講座を設置するなどして対応している。 中等部では帰国生を中心に知識の定 着がなされていない感触がある。 高等部ではアウトプットをできる生 徒を育てることができている感触を 持つ。しかし一方で基礎知識の薄さ は否めない。 中等部では帰国生の知識の定着に加 え、中学受験勉強からの脱却…つま り則問即答ではない頭の使い方を学 ばせ、高等部から大学進学に向け て、筋道を立てられる思考力の育成 が求められる。プレゼンやレポー ト・論述問題により、その課題を解 消したい。 高等部では引き続き大学における 「研究活動」をターゲットとし、6年 「論文実習」の履修前に客観的論述 の訓練をすることが必要になる。 社会 中等部ではしっかりとした計算力を身につけるさせるとともに,数 学的な美しさを発見し論理的思考力を身につける。高等部4,5年で は、基礎的な計算力と知識を身につけさせる。6年I類では経済学な どを学ぶための必要な知識を修得させ,6年II類では高度な微積分と 統計学を学ぶ。また高等部では,情報機器を用いて,全員 が大量の データを扱う感覚を早くから身につけさせる。 中学生で基礎的な計算力に乏しい生 徒に対しては,適宜補習を実施した。 その結果、基礎的な計算力について はどの学年もほぼ,左記の水準に達し た。 また,高校2年生の記述統計の授業に おいて,電子黒板とipadを用いたこと で生徒の理解が深まった。 様々な形態で入学する生徒が混在し ている高校1年段階での学力の差を埋 める。そのために、高校1年生を少人 数(20名程度)で展開していく。 海外の学校ではIT機器を用いて,生徒 の能力に応じた問題に取り組ませる ことを実戦しているところがある。 本校でも、情報端末等を駆使して、 生徒の能力に応じたよりきめ細やか な教育を展開していく。 さらに、とかく受け身になりがちな 授業形態を少人数にすることによ り、よりインタラクティブな授業を 実践する。そのために必要な備品、 用品(発表用のホワイトボード等) を拡充していく。 中等部は理科室での実験及び観察、野外での観察を通して本物に触 れることを重視し、それらの実験や観察から自然現象の事象や現象 についての理解を深め、法則性を見いだすことを目標とする。 中等部では実験や観察を多く取り入 れる授業を展開し、生徒の理解を深 めることができた。 中学段階で理科を学んでこなかった 生徒に対しての配慮をもう少し手厚 くできたらよい。 高等部ではリベラルアーツとしてのサイエンスの基礎と位置づけ、 物理、化学、生物、地学の全分野の領域を必修とし、生徒の興味や 進路希望に柔軟に応えられるよう選択科目を設置している。これら の授業では実験や観察を通して基礎理論の理解を深め、さらに最新 のトピックにも触れ、大学や卒業生との連携し高度な実験にも取り 組むことを目標としている。 高等部では基礎的理論を理解した上 で、カミオカンデの見学やPCRの 実施など高度な内容を実践できた。 横浜初等部からの受け入れにあた り、初等部へ出張授業を行い、積極 的に中学へ向けての学習意欲を高め ていく。 また、実験授業などをTTで実施す ることで、よりきめ細やかな教育を 展開していく。 中等部は基本的な力を養うことを重点に、歌唱(合唱を含む)への 取り組み、リコーダーの基礎とアンサンブルの楽しさを味わう、同 時に演奏に必要な楽典の学習をする。また、名曲親しみ音楽鑑賞を 楽しむことを目的にした。 中等部では一定の成果が見られた が、リコーダー奏法と楽典に関して 小学校で何も指導を受けていない生 徒が苦労している。 中等部では後期の合唱コンクールに まだ時間をかけすぎている。もう少 し調整して基本的な学習時間を確保 することが反省材料。 高等部では、専門性を高め、リコーダーアンサンブル、イタリア歌 高等部では個々の能力に応じて個人 曲やドイツ歌曲などの独唱、ギター演習、西洋音楽史(4年)や近代 差はあるが一定の成果を残してい 音楽史(5年)など、音楽鑑賞を含めながら、音楽の本質に触れるこ る。 とを目的とした。 高等部は、授業で使用できる場所が 限られているので、実技に関してグ ループで練習できる環境をもっと確 保し、十分な練習時間を確保した い。 音楽室ABの椅子の破損が目立ち、計 画的入替を始めた。さらに、よりよ い環境で授業を行えるよう教材の充 実を図る。また、横浜初等部との連 結の時期を見据えて、新しい音楽室 環境の整備を考えていく。 身近な物や風景をモチーフとし、絵画や塑像の基本的な制作技術、 またそれに伴う観察力の成長を促す。また与えられたテーマから自 由に発想し、そのイメージを作品として成立させる能力を養う。 中等部段階では経験のある素材を使用し、基礎力の向上と表現の幅 を広げる。 使用する用具、素材への基礎的な知 識の定着を向上させるため、課題ご との狙いを明確に伝える。また既成 概念に縛られない自由に発想が出来 るように参考資料を用意しイメージ の幅を広げる。 数学 理科 音楽 美術 帰国生を中心とする知識の少なさに 対し、どう対策を打つべきかの検討 が不可欠。 また、18歳選挙権を有効に機能させ るための意識づけが必要となってく る。 高等部では専門的な素材を使用し美術の知識を深めながら作品の成 立を目指す。年代に応じて技術や素材を発展させ幅広い経験を得な がら、豊かなイメージ力と再現能力を養う。 基礎的な能力の向上は見られた。し かし指示された事項のみを実行し、 自発的に思考し展開する能力は乏し く、新たな発見を促すまでは至って いない。 横浜初等部生の受け入れを視野に入 れ、施設の使用方法を含めたカリ キュラムの再構成を考える。 教科 体育 目標と具体案 授業の安全な実施を前提に、体を動かす喜びを体験し、生涯にわ たって明るく豊かな生活を営む為の基礎作りを目指す。ケガをしな い体作りを目的とした、基礎体力の強化に加え、体のバランスや調 整力を養う運動も取り入れる。同時に安全に関する知識と配慮につ いても学ぶ機会を設ける。道徳教育的側面も意識しながら集団の中 での態度、姿勢についても指導し、バランスのとれた教養人育成に 教科として貢献する。 結果 中等部・高等部共に体力テストにお いて顕著な向上はみられなかった。 中等部では、体を動かす楽しさや、 集団での協調性・責任感の重要性を 伝える事が出来た。 高等部では、授業を主体的に捉え安 全且つ集団としての活動を意識しな がら行うという理解が深まってい る。 次年度への課題と対策案 中期的な課題 中高共通で、体力向上と事故防止を 重点課題とする。この課題について 体育や保健の授業で取り扱い、自ら 安全に配慮し、行動出来る生徒を育 成する。中等部では、楽しみながら 体力向上はかる授業内容を、高等部 では、単にゲームを楽しむだけで無 く、チームマネージメントによって 結果がどう変わるかを理解させた い。 引き続き人的、施設的制約があり、 検討中であるが、高学年に於いて能 力や興味によって選択出来る仕組み を実現したい。 実践的・体験的な学習を通じ、実際に必要な知識と技術を習得さ せ、生活する能力と実践的な態度を育てる。一年生で、情報に関す るもの。二年生で材料と加工の製図・木材加工。三年生で、エネル ギー変換の電気・加工に関する金属などを扱っていく。 基本的な能力を身につけることはで きた。個人の能力の高い子どもは多 い。 生物育成に関する分野の導入を検討 する。 横浜初等部受け入れにより、人的な 手配の検討などが必要。 中等部では生活に関わる基本的な知識・技術の習得をめざす。栄養 や衣服の材料、管理のしかた、子供の成長と発達、住環境の整え方 などについて学び、調理実習や衣服制作など実践的な実習を行って いる。 おおむねまじめに学習し、基本的な ことは学習、実習できたと思われ る。一方で興味、関心に個人差が大 きく、レベルの低い生徒もいる。 実習については精選されているが、 授業内容については、より興味関心 のある内容を取り上げるように工夫 する余地があり、検討していきた い。 実習の授業がより充実して行えるよ う、施設、設備面の整備が望まれ る。もともと十分な機能を持ってい ないうえに、老朽化も進んでおり、 事故が起こる危険性もある。 概ね学年に応じたスキル知識が身に ついていると感じている。総合的な 時間や他教科と連携した授業も展開 することができた。 実習と座学とで取り組みに差を感じ た。 4年次から入学した生徒と、中等部か ら在籍している生徒の基本的なコン ピュータの使い方(タイピング、文 書作成、表計算、プレゼンテーショ ン)、物事の表現力等のスキルに差 が生じているため、その差を埋める 対策が必要だと感じている。また、 情報技術の変化に応じて取り組む内 容を柔軟に変えていく必要があると 感じている。 2年次の課題で1つのテーマから2つの 表現方法でまとめさせる新たな取り 組みを行ったが、違いを理解させる のに時間がかかったと感じるため、 次年度はもう少し工夫して取り組ま せたい。 中等部は、横浜初等部の取り組みに 沿ったカリキュラムの再構築、高等 部は、発展し続けている情報技術に 合わせて内容を変えていく必要があ る。 一般生徒とは言え、英語学習歴は多 岐にわたっている。海外の日本字学 校出身者がいたり、また小学校でか なり学習を進めていたりする生徒も いる。授業時間が全体的により効果 を上げるためには、さらにクラスを 細分化する必要があると思われる。 (現時点では帰国と一般クラスの2ク ラス合同3分割) 家庭学習時間が不足している生徒へ の課題の出し方、予習復習の仕方 self-study habit をつけさせる工夫 が必要と思われる。 技術 家庭 高等部ではさらに資源やエネルギーの効率的な利用について考え、 持続可能性を意識した生活ができることをめざす。また、子供や高 齢者など様々な世代の人々についての理解を深めることをめざし、 妊婦体験実習や高齢者体験実習などを行っている。 中等部では、基本的なコンピュータの使い方(タイピング、文書作 成、表計算、プレゼンテーションの資料作成)と、プレゼンテー ションやポスターセッションを通して、発表のスキルを身に着けさ せる。また、マインドストームを利用したプログラミングを通し て、センサーの仕組みや身の回りにあるプログラムによって制御さ れているものに興味をもたせる。 情報 高等部では、DTV、DTPを通して、物事を表現する手法の幅を広げる ととともに、物事を発信する力、人に伝わるものの作成方法を身に つけさせる。また、知的財産、著作権、個人情報、ビッグデータな どをキーワードとしながら、情報化が社会に及ぼす影響について理 解を深める。 また、中等部・高等部ともに、クラウドを積極的に利用していく。 中等部、高等部共に英語を Communication の道具として捉え、常に 中等部では概ね基礎的な英語力が 相手の英語を理解し、そして自分の意見を表現していくことを念頭 しっかり身についていると感じる。1 において授業を行っている。 月には3年生がオーストラリアから の交換留学生の前で「日本文化紹 中等部では、小学校での英語学習習熟を考慮せずに、アルファベッ 介」のプレゼンテーションを行い、 トから教え始め、3年間で文科省が定める文法事項と、それらを発展 学習した英語を実際に道具として使 的に用いた様々な実用的表現、基本的な語彙を身につけることを目 う体験をすることができた。準備し 標とする。3年次にはPPT(パワーポイント)を利用した英語だけに た原稿を読み上げるのではなく、自 然な態度で魅力的なプレゼンテー よるPresentation ができるようにする。 ションができた。 高等部では4年でSpeech, 5年でDebate/ Discussion 6年で Discussion/ Drama を実施し、Academic reading, Story Writing, 高等部では日常会話レベルの英語力 Essay Writing ができるように目標を立てている。英語でのプレゼ を超えて、Academic な英語運用能力 ンテーションの機会も豊富に与え、自分の意見を英語で発信してい が身についていると感じる。3年で は原書を使ったReadingの授業によ く力を育むことを目標とする。 英語 り、語彙力を強化することができ (一般・β) た。またAcademic writing の授業を 通じて、プレゼンテーション能力 や、形式に沿った 5 paragraph essay を書く能力を高めることがで きた。 Writing and grammar: Students will become proficient at writing a range of academic essays culminating in 1500-2000 word research papers in the sixth year. Reading and vocabulary: Students will improve vocabulary knowledge and reading level by studying a variety of books typically used in schools in English speaking countries with the same age group. Sixth year students will study Shakespeare. 英語 (帰国・α) Speaking and listening: Students will become confident with spoken English and be able to make professional presentations in English and debate on increasingly complex subjects. Sixth year students will participate in the Model United Nations. The majority of Alpha students reach the desired level of English by the time they graduate. This is confirmed by the results of external exams such as TOEFL and contests such as the Keio Academic Writing Contest and national speech contests. 横浜初等部受け入れに伴い、本校で の6年間の英語カリキュラムを再構 築していくことが求められている。 2) 文科省の検定教科書New Crown を中心に授業を進めている。文法項 目など、本校の生徒には優しすぎる 部分があるので、どこまで内容を膨 らませていくかが課題となってい る。 3) 高等部では既習の語彙、文法事項 を使いこなして、Speech, Debate, Discussion, Presentation, Academic writing などを通じで、 自分の意見を発信していく能力をさ らに高めていけるよう、カリキュラ ムを見直していくことが、今後の課 題である。 The returnee English course overview documents together with course plans and feedback suggest all teachers are teaching to the curriculum. The arrival of Keio Elementary School students in 2019 intake will pose a number of challenges and opportunities for the English department. Major decisions will include whether or not to divide junior high English into three levels and how to maintain the level of high school returnee courses with little or no returnee intake in the fourth year.
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