「発信型国際技術者育成の ための工学英語教育

3 シンポジウム「発信型国際技術者育成の
ための工学英語教育について」報告
(1)パネリスト発表要旨(発表順)
Ⅰ 平成17年度群馬大学工学部現代 GP 採択課題報告
「産学連携による理系専門英語の実践型教育」に関して
群馬大学工学部教授 篠塚和夫
◎本取り組みに至る動機・背景
群馬大学工学部では、平成14年度工学教育検討特別委員会による、卒業生に対する授業
評価アンケートを実施した。その結果、大学における語学科目が国際コミュニケーション能
力を身につける授業として役に立っていないという回答が過半数を占め、従来型の論文読解
を主体とした学部における専門英語教育体制を早急に見直しする必要性が認識された。
◎本取り組みの概要・基本目標
上記のような状況を受け、「自ら発言することを出発点とする、英語によるプレゼンテー
ションを基軸とした正規授業」、並びに「Listening、Speaking、Writing の反復による英語活
用力涵養を目指した課外オープントレーニングコース」
を、工学部における新たな専門英語教育システムとし
て平成17年度より取り入れることとした。また、こ
れらの手法は現実に一部企業において実施されている
手法であり、それを企業の協力の下で本学部教育シス
テムの一環として導入するだけでなく、正規授業にお
いては企業における英語活用経験者を非常勤講師とし
て招き、工学部専任教員と協力の下で授業指導、成績
評価、カリキュラム立案等に当たることとし
た。
これらの取り組みの基本目標は「自己の思
考内容を、英語を用いて的確に相手に伝える
ことのできる人材を育成する」ことであり、
さらに、本取り組みによって英語のみならず、
日本語における討議能力、プレゼン能力の向
上ももたらされると期待される。
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Ⅱ 平成17年度名古屋工業大学工学部現代 GP 採択課題報告
「発信型国際技術者育成のための工学英語教育」
—工学英語教育の推進
名古屋工業大学大学院教授・副学長 喜岡渉
1.なぜ工学英語教育なのか
・ 卒業時に英語で仕事ができる者は全体平均で 0.25%程度。そうすると本学では卒業
生約 1000 名に対し 3 ~ 5 名程度。
・ 実質的な世界の公用語である英語を実践的に使いこなし、対等に海外諸国と渡り合
える人材不足は明らか。
・ 21 世紀大学経営協会の大学評価委員会が実施した、4 年生国公私立大学卒業生に対
する母校の教育力についてのアンケートの結果、大学時代にもっと学んでおけばよ
かったことは「語学など国際化への対応能力」が 55.2%で断然トップ。
・ この 10 年間、国境の垣根はますます低くなり、ひと・もの・情報の国際移動が拡大
し続け、英語の重要性も飛躍的に高くなった。工学においても例外ではなく、世界
の技術と交流し、競争し、世界に向けて情報(技術革新)を発信していかなければ、
国際的に通用する技術者になれない。
・ 社会への出口に位置する大学おいて、どのような英語教育が最も実践的かつ効果的
なのか、に対する答えとして工学英語教育を導入した。
2.工学英語教育のねらい
・国際通用性の主題のもと、英語教育指導方法の質の向上と、
「仕事で英語が使える日本
人の育成」を目的に、本学の特徴を最大限に活かす取組みとして本プログラムを導
入した。
・
「仕事」は工学の各専門職業を指し、
「使える」は単なる英会話能力ではなく、
交渉能力(コ
ミュニケーション能力)も含まれるものとした。
・英語をコミュニケーションのための「道具」
、とりわけメガ・コンペティションのなか
で知識や技術を吸収し発信するための「道具」として捉え、工学系に特化した英語
の基礎力(EGST)を工学部学生全員に習得させ、さらに各学科に分化した、より専
門性と実用性の高い英語運用能力を習得させる。卒業後、各専門職種の業務におい
て英語が使える人材を育成する。
・卒業後も数十年間、陳腐化しない基本的知識とスキルの養成を重視する立場から、工
学英語教育に力を注ぐ。
3.EGST から専門英語へ
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・より実践的・効果的な EGST 教育の実施。担当教員による対応の格差を最小限とするた
めに統一教科書(オリジナルテキスト)を作成し、統一試験を実施して、習熟度別
クラス編成を行っている。
・ 自 ら の ス タ イ ル に 合 っ た 英 語 学 習 を 支 え る た め、CALL 教 室 等 の 活 用 の ほ か、
e-Learning、携帯電話語彙学習システムを導入する。
・専門とリンクした英語力の習得を目指し、各専門学科の協力により、専門実験・演習
科目または専門少人数ゼミナール(プレ卒研)を英語で実施する。
・各専門学科で開講されている「工学表現技術」科目において英語によるプレゼンテーショ
ン能力を身に付けさせる。
・国際通用性を確固なものとするには、英語を実践的に運用する能力に加え、実際に異文
化を体験する必要がある。語学研修、
海外インターンシップ、
大学院ダブルディグリー
などのプログラムを全学で戦略的に推進する。
4. 教員の英語力強化
・サバティカル制度の導入、大学教育国際化推進プログラム(海外先進教育実践支援、海
外先進研究実践支援)の活用
・FD 研修、評価の活用、外国人教員の積極的な任用(国際公募)
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Ⅲ 『科学技術英語』教科書執筆の観点から
「Textbook Design for Scientific English」
名古屋工業大学・情報メディア教育センター助教授
カレン・ブライアン
Today’s talk is intended to be practical, for above anything else, textbook design is a
practical discipline. We could discuss ESP(English for Specific Purposes), needs analysis,
and vocabulary lists indefinitely. These areas inform us and shape our beliefs, but in the end,
as teachers we want to carry something into the classroom that we know will work with our
students¬–something that will help them learn.
We call this thing a textbook. No textbook is perfect. I have yet to use a textbook, even
one of my own, which fits perfectly with all my beliefs about language teaching. In every
single class, as teachers, we must make decisions about what will work and what will not
work. We look at a textbook activity. We look at our students. Then we use the textbook
activity as written, adapt it, or throw it out and do something entirely different. All of these
are good options at one time or another. The good teacher recognizes that the textbook is
a good resource, but only a resource. Ultimately, the learner must learn, for it is only the
learner that can learn. The teacher is merely playing the role of a guide.
The textbook can assist the teacher in being a good guide. It can lay out learning steps.
It can offer learning activities that will achieve the course goals. Today’s talk shows where
the learning steps and the learning activities in my own textbooks emerge from. I have laid
this out in the form of questions. The questions address some of the issues that came up
while I was writing the books. They are not intended to be comprehensive. It is possible that
you will not agree with all of my answers, but that is not really the point. Indeed, I do not
now agree with some of the answers that I gave when I wrote the textbooks. However, when
we think about questions like this, we are examining our own beliefs and like students who
are willing to engage with a text, we shall learn.
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Ⅳ 日本における英語教育の観点から
「ESP(English for Specific Purposes)の分類基準および
日本の英語教育での留意点について」
名古屋大学大学院国際開発研究科教授 木下徹
1. ESP の分類の基準の1つとしては、その考え方への支持の程度という軸がある。一方
の極には、最も限定的な、ESP とは EGP +専門語彙であるとするものがある。反対の極
としては、英語の授業やコースなどは、全て、なんらかの 「特定目的」 を有すべきであり、
その意味で全ては ESP であるべきであるとする立場がある。
2. 関連する別な基準としては、ESP がカバーすべき範囲という視点がある。範囲を狭く
とると、ESP のコースは、専門用語の提示とその定着で十分であるとされる。その対極
には、ESP を総合的で、各 ESP の「目的」自体の明確化と、その目的のための Needs
Analysis (NA) から始めて、カリキュラム、シラバスデザイン、教材開発、教授法、評
価(法)等を全て守備範囲とする考え方がある。
3. 第 3 の基準としては、教育言語の問題、つまり、概念自体は母語(日本語)で教授す
るのか、それとも、内容自体も目標言語(英語)で行うのが望ましいとするのかという
視点が考えられる。この点は海外との対比で日本における ESP を考察する際に、特に重
要と思われる。
4. 筆者は、ESP への支持、および、そのカバーするべき範囲については、
「目的」間で、
ある程度の重複があるのは当然とした上で、ESP の考え自体は比較的強く支持し、かつ、
ESP は、総合的であるべきとする立場を取るが、内容教授のための言語については、共
通基底能力仮説 (cf. e.g. Cummins 1996) 、および、理工系共同体の universality という
点にも鑑み、慎重に対処するべきと考える。
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(2)パネリスト発表メモ
a. 群馬大学工学部教授 篠塚和夫
1.群馬大学の概要:
□ 学科編成 :
工学部(7学科 1 講座)学部生 2500 名、
医学部、教育学部、社会情報学部
□ 英語の教育体制 : 1 年生 教養課程における語学
2 年生~ 3 年生前期
専門外国語、技術英語
↑
今回採択されたGPはこの部分を充実させるためである。
2.取り組みまでの経緯
□ 在学生アンケート結果:全学部にわたって、英語教育の評価が低く、半数以上が否
定的であった。
英語活用能力に役にたっていないと感じる学生が多い。
□ 三菱重工業の技術者に対するアンケート結果:
大学の語学研修が実務に役立っていなかったという回答が 90%。
大学の語学授業では、社会における英語の必要性が実感しなかった。
3.実施内容
□ 特徴
・平成 14 年度から、SFM(Speaking First Method)
・企業における英語訓練手法の導入
・工学部専任教員と企業における英語活用技術者との協力で授業構築
・英語による討議とプレゼンテーション(正規授業)
・リスニング、スピーキング、ライティングの反復による英語活用能力の強化(課外
授業)
□ 具体的授業の特徴
・専門的内容の課題 ( テキスト ) を使う
・グループ化による授業の進行
(例) 課題:酸と塩基
使用テキスト:Chemistry in the Community
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内容:酸と塩基の定義、構造と酸塩基の強弱など6課題を与え、1 グループ 7 名から 8
名の 6 グループを作り、最終的にパワーポイントを用いた 1 グループあたり 10 - 12
分の発表をさせる。発表英文はすべて暗記。
□ 企業からの非常勤講師の役割:
・授業内容の検討、カリキュラムの策定
・英文プレゼン原稿の作成アドバイス など
・非常勤講師 1 名に対し学生 2 グループをあてる
4.授業評価:
□ 英作文演習、プレゼンテーションの手法など、大いに役立つ、役立つなどが 70 パー
セント以上で授業評価はおおむね肯定的な意見に変化
□ 授業数としては現状どおりがよい
5.課外オープントレーニング講座
□ 基礎コースについて
・中学2,3年生程度のダイアログからなる基礎的英文のリスニング、ライティング、ス
ピーキングの強化を狙う
・ディクテーション → アイシャドウイング → 英作文 → ロールプレーイングを 3 セッ
ション
□アドバンスコースについて
・4 年生、大学院生を中心とする希望者、専門的内容を盛り込んだ英語活用
6.学生への動機付けのために
1.企業人・OBによる特別講義:企業における英語活用能力の重要性について講演
2.英語の具体的活用現場の体験 ( 2年生 ):国際エキスポなどへのフィールドワークの
実施 ( 英語で、出展者とのやりとりをすること、デザインフェスタへの参加 )
7.今後の課題
□ 教養英語教育との連携・接続
□ 文学作品の購読主体の授業スタイルから、英語活用力を高める授業スタイルへの
改変
□ 英語授業担当者によるFD活動の実施
□ 学生の自己学習支援システムの整備
□ e-Learning の発想を取り入れた効果的自学自習システムの構築
□ オリジナルの教材の作成
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b. 名古屋工業大学大学院教授・副学長 喜岡渉
1. EGST 教育導入の動機
・TOEIC 等から割り出すと40万人中1千人しか仕事で英語を使いこなせる大学卒業生
がおらず、本学では3-5人程度の計算になる。ものづくりのメッカである東海で将
来海外展開や技術移転を担わなければならない本学の多くの卒業生にとり、重大な問
題である。
・4年制国公私立大学卒業生に対するアンケートでは語学など国際化対応能力について
在学中の習得レベルに不足があったとする意見が群を抜いていた。グローバル化の進
む今日、英語で交流・競争・情報発信(技術革新)できる工学技術者にならなければ
ならず、それが工学英語教育(EGST)導入の動機である。
2. EGST 教育のねらい
・
(卒業後に)仕事で英語が使える学生の育成及び英語教授法の質的向上を目指して「発
信型国際技術者育成のための工学英語教育」プログラムを立案、採択された。英語を
それぞれの専門分野におけるコミュニケーションの道具として近いこなせる人材の育
成をねらいとしており、単なる英会話の達人を育てようとしているものではない。
3. EGST 教育の特色
・教育の実施方法としては統一教科書の独自作成・統一試験・習熟度別クラス編成
・学生の学習支援としては CALL 教室、e-Learning、携帯電話による学習システム専門科
目とリンクした英語力の育成のために、英語による実験(すでに実績として3件)
・演
習(すでに実績として11件)・プレ卒研(専門少人数ゼミナール、すでに実績として
4件)の実施
・4年次の「工学表現技術」科目における英語によるプレゼンテーション
・最終ステップとしての異文化体験(海外語学研修・海外インターンシップ・大学院ダ
ブルディグリープログラム)
4. EGST 教育を支える教員の英語力強化
・一般的なサバティカル制度導入(検討中)
、大学教育国際化推進プログラム(海外先進
教育実践支援、海外先進研究実践支援)の活用やFD研修、評価の活用、外国人教員
の積極的任用を通じて英語教育力の強化をはかっていきたい。
5.(統一教科書使用に関する木下教授の疑問に対して)
・名工大の場合、英語科目(科学技術英語)は全学支援体制の下で工学専門の教員も担
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当しており、共通の拠り所がないと逆に困難が生じる。
・専門課程進学時の分野振り分けに成績を使うことはなく、したがって成績評価の公平
化という観点のみで統一教科書を使っているわけではない。
・工学部単科大学ということもあってか、工学から離れた英語を学びたいという学生の
希望はあまり顕在化していない(入試時から理系英語を課していることもある)
。
・マンネリ解消のためには教科書の改訂も考えられる。
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c. 名古屋工業大学・情報メディア教育センター助教授
カレン・ブライアン
This presentation introduced many of
the important considerations which must
be taken into account when designing a
modern textbook for English for Science and
Technology. The presentation was intended
to be practical, for above anything else,
textbook design is a practical discipline. It is
possible to profitably discuss the distinction
between ESP (English for Specific Purposes)
and General English indefinitely without
coming to any final conclusions. Similarly, although needs analysis, corpus linguistics,
educational research and countless other specializations inform us and shape our beliefs, in
the end, teachers need to carry a textbook into the classroom that will help students learn.
Textbook design is the inexact science of transforming beliefs about education into a useful
tool.
During the presentation, the presenter introduced two of his recent textbooks: Humanity
and Technology and SciTech Discovery. He explained how the books recognize that the term
EGST (English for General Science and Technology) is more suitable for Japanese university
students than the traditional term ESP.
Humanity and Technology recognizes that first year students do not yet have a good
understanding of their own technical specialization. Instead, it uses topics such as food
technology, climate, robotics, and the history of technology to gradually introduce students
to the language structures and vocabulary of scientific English. Students' general English is
improved rapidly through a wide range of listening, speaking, reading and writing activities.
In addition, presentation activities can be carried out up to six times in each semester.
SciTech Discovery continues this movement from general English to more specific topics
that students are likely to meet in their specializations such as chemical usage, building
design, and electronics. The vocabulary load is increased using a selection of frequently
used words from science and vocabulary from the well-researched Academic Word List.
Simultaneously, students learn to use the important rhetorical structures of scientific English
including: classification, definition, cause and effect. The textbook also recognizes the
need for students to attain a high level of English for scientific journals and international
presentation, so each unit incorporates opportunities for practice.
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The presenter recognized that no textbook is perfect and that even his own textbooks do
not fit perfectly with all his beliefs about language teaching. In every single class, teachers
must make decisions about what will work and what will not work. Each textbook activity
can be used as written, adapted, or thrown out. All of these are good options at one time
or another. The good teacher recognizes that the textbook is a good resource, but only a
resource. Each teacher is different and as modern research has shown, each student has a
unique learning style. In response to this, the presenter has included a variety of learning
materials in each unit. The teacher and the student can work through this material in the
most profitable way to achieve the goals set out in the course syllabus.
Today’s talk shows where the learning steps and the learning activities in the presenter's
own textbooks emerge from. These have been laid out below in the form of questions. The
questions address some of the issues that came up in the writing of the books. They are not
intended to be comprehensive. There is no definitive answer to any of the questions. Indeed,
the presenter does not now agree with some of the answers that he gave when he wrote the
textbooks. However, thinking about questions like this helps us to examine self-beliefs.
The question and answer session in the panel discussion brought up many of these issues
in a fruitful manner and it is the hope of the presenter that the questions given below (which
were also distributed to participants in the seminar) can promote further discussion and
improvement in the textbooks required for teaching English for Science and Technology in
today's rapidly changing world.
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d. 名古屋大学大学院国際開発研究科教授 木下徹
1.はじめに
文系の英語教員(まさにアイルランドから St. パトリックによって追放された蛇の心境)
として反論のしようがないが、自分の役割として、いくつか疑問を提出する。
(1)群馬大学(発表:篠塚先生)の取り組みに対して
・取り組みの契機となったのが実際の卒業生アンケート調査の分析に基づいたも
のであるが、学生ははたして本当に実際の社会における英語の必要性について、
どこまで実感して答えているか。本音と建前の部分があるのではないか。国際
コミュニケーション能力が身についていないという反応がアンケートを通して
得られたというが、一般教養時のものか、専門時のものか、区別した調査があ
れば望ましい。
・名大の看護学部生の調査例:看護の現場で英語は必要かという質問に対しては
そう思うという答えが多い。また本当に使う機会があったかという質問に対し
ては、無かったという答えが圧倒的であった。
・プレゼンテーションの授業については感服した。
(2)名工大(発表:喜岡先生)の取り組みに対して
・統一教科書、統一テストについて、名大と状況が違うと感じた。
・名大の例:7~8年前に統一教科書を導入し、4年間(1クール)実施して中止。
その理由は①学習者のニーズがさまざまで、誰のニーズも満たさないことが判
明。例えば、工学部と一口に言ってもいろいろあるし、逆に教養時代ぐらいは
工学部と離れたものをやって欲しいという意見もあった。②教員側の志気の低
下(各人の専門や特徴を生かせない、
など)
。その結果、
教員はなるべくバラエティ
に富む教育をし、学生が選択するという現在のやりかたに落ち着いた。前年使
用した教科書や同僚が使用した教科書は使わないことを徹底。学生は第1希望
から第6希望まで出して選択できる。
(3)カレン先生に対して
・従来型の教科書と違う点は何か。どのような理論・原理に基づいて編成されてい
るか。例えば、カレン先生のテキストではトピック別編集になっているが、従
来、言語構造に基づくものとか、場面設定によるものとかから、あるいは発想別、
などいろいろなやりかたがある。シラバス編成の原理にもいろいろあるが、そ
の点はどうか。
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(4)コーヒーブレイクを挟み、三人の発表者からの解答・説明の後
・群馬大学の取り組みはスピーキングに限ったものでなく、バランスをもったも
のであること。
・名工大の統一教科書・統一テストは、全学体制での教養教育実施に対応してい
ること。また、教科書については、分野別コーパスの中から共通のものを取り
出して、言語材料としては共通性を重んじ、題材としては身近な科学を用いた
教科書作りを考えているし、授業も、共通教材は教育のコアの部分で、プラス
の部分は教員や学生の関心による裁量が大きいこと。
・Humanity & Technology の教科書では、特に、つねにタスクベースの構成になっ
ていて、4技能の実践が日本の学生にうまく適応したかたちでたくさんくみこ
まれていること。
・以上の諸点から、木下が当初抱いていた疑問は完全に氷解した。
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