は じ め に 東京都教育委員会は、心身の発育・発達期にある児童・生徒に対する学校における性教育の 重要性に鑑み、これまで性教育推進委員会の設置や性教育推進校の指定をはじめ、性教育の手 引の作成、児童・生徒用エイズ理解予防に関するパンフレットの作成・配布など、適正な性教 育の実施に向けて諸事業を展開してまいりました。 しかしながら、児童・生徒の状況をみると、心身の発育・発達の早期化に加えて、性情報の 氾濫や規範意識の低下、性意識の多様化などをはじめ、未成年者の性感染症や人工妊娠中絶の 増加などが社会問題ともなっています。 いうまでもなく、学校における性教育は、人格の完成を目指す「人間教育」の一環であり、 学習指導要領や児童・生徒の発達段階に即して系統的・段階的に進めることが重要です。 このように学校における性教育の重要性が言われる一方で、一部の学校で学習指導要領や児 童・生徒の発達段階等を踏まえない性教育が行われている実態が明らかになりました。 東京都教育委員会は、区市町村教育委員会教育長や都立学校長あて適正な性教育の実施につ いて通知するとともに、昨年5月には「性教育に関する指導資料」を新たに作成・配布し、加 えて実態調査を行うなど改善に努めてまいりました。 学校における性教育は、教育課程に位置付け、組織的・計画的に進めることが重要であると ともに、公教育として一部の偏った考え方が押し付けられるようなことがあってはならないこ とです。 このような経緯及び平成14年度から全面実施された新しい学習指導要領の改訂の趣旨を踏ま え、東京都教育委員会では、平成6年度以降に発行した各校種別「性教育の手引」を改訂する ことといたしました。今年度は、小学校編と中学校編の改訂を行いました。各学校におかれま しては、この手引に示されている性教育についての考え方や実践例を十分理解し、教職員の共 通理解のもと、家庭・地域とも連携を図りながら、適正な性教育の実践に向けて有効に活用さ れるようよろしくお願いします。 最後に、本手引の改訂に際し、ご協力いただいた方々に、心から敬意を表するとともに感謝 申し上げます。 平成16年3月 東京都教育庁指導部長 近 藤 精 一 目 は じ め 次 (小学校編) に ( 基 礎 編 ) Ⅰ「性教育の手引」の改訂に当たって 1 改訂方針について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 2 改訂の重点について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 Ⅱ 学校における性教育の基本的な考え方 1 性教育の意義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 2 人格の形成と性教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 3 学校における性教育の具体的な目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 4 学校における性教育の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 5 指導計画の作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 6 性教育における指導の在り方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 7 学校における性教育の指導体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 8 性教育に関する課題への対応についての考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・27 9 性教育の今日的な課題 Ⅲ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 学習指導要領に関する資料 1 学習指導要領における性教育の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 2 各教科に関連した内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 3 学習指導要領の一部改正について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 ( Ⅰ 小 学 校 編 ) 小学校における性教育の進め方 1 小学校の性教育における課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 2 指導のねらい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 3 実施に向けた手順・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41 4 発達の特徴に応じた指導内容の精査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 5 教育課程への位置付け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 6 指導計画作成のための留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 7 指導体制の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 8 家庭・地域社会との連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 Ⅱ 性教育の指導事例 1 「たいせつなからだ」 (第1学年・学 級 活 動)・・・・48 2 「大きくなるわたし」 (第2学年・生 3 「こんなときどうする」 (第3学年・学 級 活 動)・・・・52 4 「生きているってどんなこと」 (第3学年・道 5 「育ちゆく体とわたし」 (第4学年・体 育 : 保 健)・・・・56 活)・・・・50 徳)・・・・54 (1)「体の変化について調べよう」 (2)「体の発育・発達に必要なもの」 (3)「男女の体の変化」 (4)「初経・精通」 6 「心の健康」 (第5学年・体 育 : 保 健)・・・・62 (1)「心の発達」 (2)「心と体のつながり」 (3)「不安や悩みをかかえたとき」 7 「男女間の協力」 (第5学年・学 級 活 動)・・・・66 8 「友達っていいよね」 (第6学年・道 9 「エイズという病気」(病気の予防) (第6学年・体 育 : 保 健)・・・・70 10 「自分だったらどうする?」 (第6学年・学 級 活 動)・・・・72 徳)・・・・68 (資 料 編) Ⅰ Q&A ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77 基 礎 編 基 礎 Ⅰ 「性教育の手引」の改訂に当たって 1 改訂方針について 編 平 成 10年 に 学 習 指 導 要 領 が 告 示 さ れ 、 さ ら に 平 成 15年 12月 に 一 部 改 正 が 行 わ れ た 。 このことを踏まえて、東京都教育委員会は、平成6年度から平成8年度にかけて発 行した校種別の「性教育の手引」を改訂することにした。改訂に当たっては、基礎・ 基本の確実な定着と自ら学び自ら考える力、豊かな人間性、たくましく生きるための 健康と体力などの「生きる力」の育成を柱とする学習指導要領の趣旨を踏まえたもの とした。具体的には、学習内容の一部削除や合併・整理あるいは移行・統合された項 目に基づいて、指導内容等の見直しを図るとともに、その指導内容に即した年間指導 計画例や学習指導案を示し、各学校において適正な性教育を一層充実していくための 資料とした。 本編の改訂においては、改訂前の手引と同様に基礎編と実践編の2部構成で作成し た。 基礎編では、性教育にかかわる様々な課題を整理するとともに、各校種別に指導の ねらい及び発達段階に即した指導の在り方についての考え方を示した。また、実践編 においては、児童・生徒の学び方を重視した指導計画例を示すとともに、各校種や各 学 年 の 発 達 段 階 に 即 し た 指 導 内 容 を 例 示 し た 。 さ ら に 、 平 成 15年 12月 に 示 さ れ た 学 習 指導要領の一部改正をも踏まえて、改訂を行った。 2 改訂の重点について 次の点を本手引の改訂の重点とした。 (1) 平 成 10年 に 改 訂 さ れ た 学 習 指 導 要 領 の 内 容 に 基 づ い て 、 性 教 育 に 関 す る 内 容 を 整 理 し、全 体 指 導 計 画 の 中 で 取 扱 う 内 容 や 改 善 点 等 を 明 示 し た 。 (2) 各 校 種 に お け る 児 童 ・ 生 徒 の 発 達 段 階 の 考 え 方 を 示 す と と も に 、 そ の 発 達 段 階 に 基づいた学習指導案を例示した。 (3) 学 習 指 導 要 領 の 趣 旨 の 柱 で あ る 「 生 き る 力 」 を 育 成 す る た め に 、 調 べ 学 習 や グ ル ー プ 活 動 な ど 、児 童・生 徒 が 主 体 的 に 学 ぶ 場 を 数 多 く 設 定 し た 学 習 指 導 案 を 例 示 し た。 (4) 性 教 育 の 推 進 に 向 け て 課 題 と な っ て い る 性 情 報 へ の 対 処 や 性 被 害 防 止 に 向 け た 指 導の在り方等について、指導のポイントを含めた指導事例を示した。 (5) 平 成 15年 12月 に 告 示 さ れ た 学 習 指 導 要 領 の 一 部 改 正 に 基 づ く 、 各 教 科 等 の 取 扱 い に関する改正点を示すとともに、その趣旨に基づく考え方を整理した。 (6) 体 育 、 保 健 体 育 の 保 健 学 習 に お け る 指 導 の ね ら い を 観 点 別 学 習 状 況 の 評 価 に あ る 各観点ごとに示した。 ‑3‑ Ⅱ 学校における性教育の基本的な考え方 1 性教育の意義 学校教育における性教育は、児童・生徒の人格の完成を日指す「人間教育」の一環 であり、豊かな人間形成を目的に、「生命の尊重」「人格の尊重」「人権の尊重」な どの根底を貫く精神である人間尊重の精神に基づいて行われるものである。 このため、性教育は、人間の性を人格の基本的な部分として『生理的側面』『心理 的側面』『社会的側面』などから総合的にとらえて指導することが大切である。 <性教育が目指すもの > 学校は 基礎的知識・生命の大切さの理解 を通して 「人間尊重」「男女平等の精神」に基づく正しい異性観 を身に付けさせ 人格の完成・豊かな人間形成 を図る 学校は、すべての児童・生徒に対して、「人間尊重」「男女平等の精神の徹底」を 図り、性に関する基礎・基本的な内容を児童・生徒の発達段階に即して、正しく理解 させるとともに、同性や異性との人間関係や今後の生活において直面する性に関する 諸課題に対して、適切な意志決定や行動選択ができるよう性教育を充実していく必要 がある。 2 人格の形成と性教育 児童・生徒は、発達段階に即して人間の性を正しく理解し、自己の性に対する認識 を確かにさせるとともに、人間としての生き方や家庭・地域社会における男女の在り 方 な ど に つ い て 学 ぶ 必 要 が あ る 。そ の た め に は 、次 の こ と に 留 意 し て お く 必 要 が あ る 。 (1) 人 間 は 、 自 分 の 一 生 を ど の よ う に 生 き る か を 考 え る こ と や 日 常 生 活 の 場 面 で 様 々 なことを感じ、考え判断し、行動していく中で他の人と様々な人間関係を築きなが ら生きていくことを知らせる。 (2) 自 分 が 男 で あ る か 女 で あ る か と い う 事 実 や 自 分 が 性 を ど の よ う に 受 け と め 、 認 識 し て い る か に よ っ て 判 断 や 行 動 に 差 異 や 特 徴 が 生 じ て い く こ と か ら 、人 間 の 性 は 人 格 から切り離すことはできないことを理解させる。 ‑4‑ (3) 人 問 の 性 は 、 男 女 の 生 き 方 や 在 り 方 に 深 く か か わ っ て い る こ と を 理 解 さ せ る 。 (4) 今 日 の 核 家 族 化 や 少 子 化 の 進 行 、地 域 社 会 に お け る 自 然 発 生 的 な 子 ど も の 集 団 活 動 の 減 少 、進 学 競 争 の 激 化 、マ ス メ デ ィ ア の 発 達 な ど の 様 々 な 要 因 に よ っ て 児 童・生 徒 は 自 己概念の形成が遅れていることがないかを把握し対処する。 (5) 自 尊 感 情 ( セ ル フ エ ス テ ィ ー ム ) が 得 ら れ ず 、 主 体 性 や 自 律 性 に 欠 け 、 人 間 関 係 が 希薄化していないかを把握し対処する。 3 学校における性教育の具体的な目標 (1) 男 性 ま た は 女 性 と し て の 自 己 の 認 識 を 確 か に す る 。 人間の生物学的性や心理的、社会的、文化的性について理解を深め、自己の性に 対する認識をより確かにする。 (2) 「 人 間 尊 重 」 「 男 女 平 等 の 精 神 」 に 基 づ く 豊 か な 男 女 の 人 間 関 係 を 築 く こ と ができるようにする。 小学校低学年の段階から発達段階に即して、「人間尊重」「男女平等の精神」の 徹底を図り、児童・生徒が豊かな男女の人間関係を築くことができるようにする。 (3) 家 庭 や 様 々 な 社 会 集 団 の 一 員 と し て 直 面 す る 性 の 諸 問 題 を 適 切 に 判 断 し 、 対 処する能力や資質を育てる。 家族や社会の一員として必要な性に関する基礎・基本的事項を習得させ、直面す る性の諸問題に対して適切な意志決定や行動選択ができる資質や能力を育てる。 4 学校における性教育の内容 (1) 自 己 の 性 を 確 か に す る た め に 必 要 な 内 容 発 達 段 階 に 即 し て 次 の よ う な 内 容 を 取 り 上 げ 、自 己 の 性 に 対 す る 認 識 を 確 か に し 、 異性に対する理解を深めることができるようにする。 ① 性について学ぶ基本的な内容について ア 新しい生命は両親によって生まれること イ 新しい生命を生む体に成長してもまだ親になれないこと ウ 生殖の仕組みに関すること エ 人間は 、 新 し い 生 命 を 生 む 生 ま な い の 選 択 が で き る こ と オ 性感染症予防など性と健康に関すること カ 人 間 は 他 の 動 物 と 違 っ て 単 に 生 命 を 維 持 し 、 種 族 を 残 す と い う だ け で な く、 人間としての生活の中でどう生きるかという意味で生命の尊さが問われること ‑5‑ ② 身体的、生理的側面から自己を認識する内容 ア 男女の外性器の違いから生ずる興味・関心や素朴な疑問に対応すること イ 思春期には、内分泌の働きによって生殖にかかわる機能が成熟すること また、こうした変化に対応した適切な行動が必要となること ウ 自己の性を肯定的に受容できるようにすること エ 人間は生まれながらに多様であるが、すべての人間が人間として尊重されな ければならないという基本を理解すること ③ 思春期における不安や悩みに関する内容 ア 身体的、精神的な発達や変化によって、不安や悩みが生じること イ 性ホルモンの分泌が活発になり、身体の内部環境が変化するため、情緒が不 安定になること ウ 異性に対する関心が高まり、性衝動が発現すること エ 羞恥心や未知の経験に対する不安や戸惑いから、様々な不安や悩みが生じる こと オ 性の心理的発達やそれによる不安や悩みについて理解し、個人的適応を図る 必要があること カ ④ 他人を思いやる心情を育てること 男女の生き方等に関する内容 ア 人 間 は 生 ま れ た と き の 特 徴 に よ っ て 、男 女 の い ず れ か と し て 扱 わ れ 、そ の 後 、 心理的、社会的、文化的な側面から人としての接し方やしつけがなされている こと イ 固定的な性役割観によって生ずる性差別に気付くなど、男女が人間として平 等の立場でお互いの人格を尊重し合って生きていくこと (2) 男 女 の 人 間 関 係 の 育 成 に 必 要 な 内 容 男女が幸福に豊かな生活を送る上で、異性とのかかわりを円滑にし、望ましい方 向に発展させていくことは大切である。特に思春期は、異性への関心が高まり、異 性愛も芽生え、男女の人間関係にも変化が生じ、特定の異性との交際を望んだり、 交際する生徒が現れてくる。 また、一部には、恋愛に発展したり、性的接触を経験する場合もあり、男女の人 間関係や特定の異性との交際などに関する個別指導が必要である。このようなこと から、具体的な指導を行う際に、次の内容を発達段階に応じて適切に指導すること が大切である。 ① 男女の相互理解についての内容 ア 人間は誰もが人間としての生活を送る権利や幸福になる権利をもっているこ と イ 人間は様々な欲求や主張をもっており、互いに相手を認め合い尊重し合うた めには、自分の欲求や主張を他人とのかかわりにおいて調整しなければならな いこと ‑6‑ ウ 相手に対する理解や思いやりが必要になること エ 男女の身体的、生理的な差異や心理的特徴などについて理解を深めること オ 異性の人格を尊重する態度や行動の仕方について理解すること ② 人間関係の基礎的内容 ア 人間関係を築くためには相互理解を深めることとともに、積極性や言語、態 度による自己表現の能力、相手に対する受容的な態度、相手との違いに対する 耐忍性や調整力などが必要であること イ ③ 上記のような人間関係の技術・能力(スキル)を高めさせること 男女の人間関係に関する内容 ア 男女の人間関係は、学校や地域における異性の友人、親しい異性の友人、尊 敬している異性、あこがれや好意を寄せる異性、性愛の対象としての異性など 多様であること イ 思春期には、特定の異性と親しくしたいという欲求が高まるが、特定の異性 と親しくなる前に、多くの異性と友人関係をもち、異性に対する理解を深め、 異性の人格を尊重した態度や行動を身に付ける必要があること ウ 人間関係のマナーやエチケットとして時と場、年齢に応じて、相手や周囲の 人に不安感や不快感を与えない行動様式を身に付けること ④ 特定の異性との交際に関する内容 異性との交際に関しては、適切な行動選択や意志決定の能力が必要であること (3) 家 庭 や 社 会 の 一 員 と し て 必 要 な 性 に 関 す る 内 容 児童・生徒が家族や社会の一員として生きていく上で必要とされる性教育の内容 には、次のような事項を発達段階に応じて指導する必要がある。 ① 性役割 ・児童・生徒の発達段階に即して、家庭や学校、社会での性役割、固定的な性役 割観の発生要因とそれによる性差別などの学習を通して、男女共同参画社会の 実現を目指すように指導する。 ② 性情報 ・情報化社会における性情報の意義や価値について考えさせ、性情報を適切に取捨 選択し、自己の成長発達に役立てる能力を身に付けることの大切さを理解させる。 <取り扱う際の留意点> 情報化社会における性情報の中には、人間の性を興味本位に内容を誇張したり、 性の快楽性を強調したりすることにより、性差別的な表現が見受けられるものもあ る。 ‑7‑ そのため、性に対して無用な不安や悩みを抱いたり、性を快楽的、消費的なイメ ージとしてとらえている児童・生徒が少なくない。この点を踏まえ、児童・生徒の 発達段階に即して指導することが大切である。 ☆ 小・中学校の指導においては、児童・生徒の健全育成上問題のある不健全図書を 教材として使用しない。 ③ 性の被害・加害 ・児童・生徒の発達段階に応じて、様々な性被害について人間尊重、男女平等の 観点から理解させ、日常生活における性被害、加害の発生状況やその防止につい て考えさせる。 ・学 校 や 地 域 の 実 態 な ど に 応 じ て 児 童・生 徒 等 に 対 し 、被 害 防 止 の 観 点 か ら 、児 童 ・ 生徒等が受けやすい性被害の発生状況や発生要因などを知らせ、被害を受けた場 合などの対処の仕方等を具体的に理解させる。 ・加 害 に つ い て は 、な ぜ 加 害 者 に な る か を 考 え さ せ 、性 加 害 は 、人 間 尊 重 、男 女 平 等 の 精 神 か ら 絶 対 許 さ れ な い こ と で あ る こ と 、自 己 中 心 的 な 欲 求 に よ る 自 制 心 の な い 行 動 は 、相 手 の 心 身 を 傷 つ け る だ け で な く 、自 ら も 大 き な 罪 を 負 う こ と に な る こ とを理解させる。 <取り扱う際の留意点> 性被害の防止については、生活指導の内容と連携を図ることが大切であるが、性 教育の目的は、「人格の完成」を目指した人間教育の一環であることから、性被害 の防止を第一義の目的として性教育を行うことは、性教育が本来もっている目的と 異なるものである。 特に、小学校低・中学年における指導については、児童の日常生活における安全 指導・安全管理が重要であり、外出時間や外出先、経路、人数などの安全行動や安 全意識を高めることが重要である。 ‑8‑ ④ エイズ・性感染症 ・児童・生徒の発達段階に応じて、エイズについての正しい知識を身に付けさせ その予防方法を理解させるとともに、エイズによる偏見・差別の払拭に向けた 指導を行う。 ・エイズの特性は、感染症として取扱うだけでなく、経済的、人道的、国際的な 側面を有していることから、指導を行う際には、エイズの問題を幅広い観点か らとらえた内容構成にする。また、エイズと併せて、主な性感染症とその予防に ついても、指導を行う。 <取り扱う際の留意点> 中学校では、 保健体育 の保健分野 第3学年 「健康な生活と疾病の予防」の 中 の 感 染 症 の 予 防 に お い て 、次 の 内 容 を 扱 う よ う に 学 習 指 導 要 領 に 示 さ れ て い る 。 ◇ エイズ及び性感染症の増加傾向とその低年齢化が社会問題となっていること か ら 、そ の 疾 病 の 概 念 、感 染 経 路 、予 防 方 法 を 身 に 付 け る 必 要 が あ る こ と を 理 解 で きるようにする。 例 え ば エ イ ズ の 病 原 体 は ヒ ト 免 疫 不 全 ウ イ ル ス (HIV)で あ り 、 そ の 主 な 感 染 経 路は性的接触であることから、感染を予防するには性的接触をしないこと、コン ドームを使うことが有効であることにも触れるようにする。 ☆ エイズにかかわる問題には、社会の普遍的なテーマである人権尊重や男女平等、 性 に 関 す る 問 題 や 社 会 環 境 な ど を そ の 背 景 と し て い る 。し た が っ て 、適 切 な 教 育 が 学校や家庭地域によって行われることが求められている。 ‑9‑ 5 指導計画の作成 (1)全体計画 全体計画は、性教育の目標、目指す児童・生徒像、各教科、道徳、特別活動、総 合 的 な 学 習 の 時 間 な ど に お い て 、性 に 関 す る 内 容 や そ の 他 の 時 間 に お け る 指 導 内 容 、 生活指導等として行われる内容など、性に関する指導が果たすべき役割を明確にし た性教育の総合計画である。 学校の教育目標・基本方針 ☆学習指導要領 ◇児童・生徒の実態 ◇保護者・地域・社 ☆東京都人権施策推進 会の期待・要望 指針 性 ☆東京都教育委員会 教育目標 教 育 の 目 標 等 目指す児童・生徒像 年 間 指 導 計 画 □ 年 問 指 導 計 画 は 、学 校 に お け る 性 教 育 の 全 体 計 画 に 基 づ い て 各 教 科 、道 徳 、特 別 活動等において指導するねらい・内容・方法などを具体的に示したものである。 各 学 年 の 基 本 方 針 各 教 科 、道 徳 、特 別 活 動 等 に お け る 指 導 の ね ら い □ 各 教 科 、道 徳 、特 別 活 動 等 に お いて 、性 教 育 と 関 連 す る 内 容 の ね ら い や 特 質 に 即 し て 、 性教育のねらいを加えて実施する。 教職員の研修 具体的な指導内容 ・方法 保 護 者 と の 連 携・地 域 社会との連携 (2) 年 間 指 導 計 画 作 成 上 の 留 意 点 年間指導計画は、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間など、性教育に か か わ る す べ て の 教 育 活 動 に お い て 意 図 的 ・ 計 画 的 に 行う 教 育 活 動 の 基 盤 と な る も のである。 ① 学 年 の 基 本 方 針 や 指 導 の ね ら い に 基 づ い て 、指 導 内 容 ・ 方 法 を 工 夫 ・ 改 善 す る 。 ② 学習指導要領の改訂事項を踏まえ、指導内容を修正する。 ③ 各教科等と相互の関連を図り、効果的な指導ができるように指導内容や方法を 構造化する。 ‑10‑ ④ 総 合 的な 学 習 の 時間 は 、「 自 ら 課 題 を 見付 け 、 自 ら考 え 、 主 体的 に 判 断 し、 よ り よ く 問題を解決する資質や能力を育て、自己の生き方を考える」ことがねらいのひとつであ る。児童・生徒の実態や発達を十分に踏まえ、一律的な内容を一方的に指導することの ないように留意する。 児 童・生 徒 が 発 達 に 即 し た 課 題 を 設 定 し 、主 体 的 に 課 題 の 解 決 を 図 る 学 習 活 動 が 展開できるための工夫が必要である。 ⑤ 性教育について教職員が共通理解を図るとともに、保護者の理解・協力を求め ることが大切である。そのためには、必要に応じて事前に指導計画や指導内容を 十分に説明するなどして、保護者との連携を図ることが重要である。 また、同様に学校の指導方針に基づいて地域の外部機関等とも連携を図ること 化大 す 切である。 る。 が ‑11‑ 6 性教育における指導の在り方 (1) 小 学 校 に お け る 性 教 育 の 目 標 と 指 導 内 容 小 学 校 に お い て 性 教 育 の 指 導 計 画 を 作 成 す る 上 で 、そ の 基 と な る 目 標 と 、 指 導 内 容は次のとおりである。 小 ① 学 校 生命の誕生及び心身の発育・発達における男女差や個人差に関する基礎的事項を理解するとと もに、自己の性を受容し、自分を大切にしようとする心情や態度を育てる。 ② 男女には体の特徴や発達段階などに違いがあるが、互いに相手の人格を尊重し合うことが大切 であることを知り、相手を思いやる心情や態度を育てる。 ③ 家庭における役割は、男女の別なく分担し、互いに助け合うことが大切であることを知り、家 庭や社会の一員として適切な判断や意志決定ができる能力や態度の基礎を育てる。 体の発育・発達から 心理的な発達から 男女の人間関係から 社会的な面から 特 ・身 体的 な発 達 速度 は ・自分 につい て や赤 ちゃ ・自 己中 心的 行 動が 多 ・ 精 神 的 に は 、 未 熟 安 定 す る が 、 生 理 的 な ん の 誕 生 に 疑 問 を も っ い が 、性 役 割 意 識 が 少 で 、 保 護 者 や 教 師 へ 徴 機 能 の 発 達 は 未 熟 な たり、性や性差にも関心 しずつ芽生える時期 時期 の依存度が高く、影 響を受ける時期 をもったりする時期 低 ・男 女の 体の 違 いに 気 ・動物 飼育や 植 物栽 培を ・男 女が 互い に 仲良 く ・ 生 活 の 場 が 広 が り 学 年 指 付 か せ 自 分 や 相 手 を 通 し て 生 命 の 大 切 さ を し 、助け 合い 、自他 を 行 動 範 囲 も 拡 大 す る 導 大 切 に し よ う と す る 知らせ、両親の愛情と保 大 切 に し よ う と す る こ と か ら 犯 罪 被 害 の 内 心情や態度を育てる。 護 に よ っ て 育 て ら れ て 態度を育てる。 容 いることに気付かせる。 防止について指導す る。 特 ・体の発育・発達によ ・自己中心的な考え方か ・体の発育・発達に男 ・ 自 分 の 家 庭 を 他 と っ て 、 初 経 、 精 通 が 起 ら 、 客 観 的 に 物 事 を 考 え 女 差 が 生 じ 始 め 、性 意 比 較 し た り 、 自 分 を 徴 こり始める時期 ることができる時期 識 や 異 性 に 対 す る 関 取り巻く社会環境に 心が芽生える時期 ついて認識し始める 中 時期 学 ・様々な家庭の形や ・初 経、精通 の 仕組 み ・自分 や他人 の よさ や他 ・男 女が 相互 に 理解 し 年 指 を 理 解 さ せ 、 個 人 に よ 人 へ の 思 い や り の 気 持 合 い 、好 ま し い 異 性 観 導 っ て 違 い が あ る こ と ちや自他の生命を大切に や 性 意 識 を 形 成 さ せ 内 を 知 ら せ 不 安 を 解 消 する態度を育てる。 る。 容 させる。 役割の違いがあるこ と を 理 解 さ せ 、家 族 で の役割を果たす態度 を身に付けさせる。 特 ・ 体 つき の 変 化や 初 経・・ 体 つ き の 変 化 や 心 の 発 ・ 思 春 期 の 心 身 の 変 化 ・ 大 人 よ り 友 達 と の 精通などを迎え、その達 に と も な い 不 安 や 悩 に伴い異性への関心がか か わ り を 大 切 に 徴 個 人 差 な ど に 不 安 やみが生じる時期 高まり、自己の性へのし 、性差や男 女の 性 悩 み をもつ時期 認識が確かになる時期役 割を意識し 始め る 時期 高 学 年 ・自 分の 体の 変 化や 個 ・心も 体と同 様 に発 達す ・異 性に 関心 を もっ た ・ 男 女 の 性 差 は あ る 指 人 に よ る 発 育 の 違 い る こ と 、 心 と 体 は 密 接 な り 、親 し く し た い と い が 、 役 割 は 固 定 的 で 導 に つ い て 理 解 さ せ 、そ 関 係 が あ る こ と を 理 解 う 気 持 ち が 生 ま れ た は な い こ と を 理 解 さ 内 れ を 肯 定 的 に 受 け と させる。 り す る こ と を 知 ら せ る 。せ 、 協 力 し て 生 活 す 容 めさせる。 る態度を身に付けさ せる。 ‑12‑ (2) 中 学 校 に お け る 性 教 育 の 目 標 と 指 導 内 容 中 学 校 に お い て 性 教 育 の 指 導 計 画 を 作 成 す る 上 で 、そ の 基 と な る 目 標 と 、 指 導 内 容は次のとおりである。 中 ① 学 校 心 身 の 発 育 ・ 発 達 や 変 化 な ど 人 間 の 性 の 成 熟 に つ い て 理 解 す る と と も に 、 発 達 途上 に あ る 自 己 の性を受容し、自他を大切にしようとする心情や態度を育てる。 ② 男女の心身の特質を基に男女が互いに相手を理解し、人格を尊重する心情や態度を育てる。 また、望ましい人間関係を築いていくため、より適切な意志決定に基づく行動選択ができる能力 や態度を育てる。 ③ 男女の生き方は多様であることを理解し、家庭や社会における期待される役割や自己の将来の 生き方について考えるとともに、社会における性的な事象を見つめて、家庭や社会の一員として 適切な判断や意志決定、行動選択ができる態度や能力を培い、実践力を育てる。 体の発育・発達から 心理的な発達から 男女の人間関係から 社会的な面から ・ 身 体 の 発 達 が 著 し く 、・自 我 意 識 が 高 ま り 、性 ・ 性 や 異 性 に 対 す る 関 ・ 社 会 の 一 員 と し て 適 特 生殖機能が成熟する時 に関する不安や葛藤が 心、異性への接近欲が 切な社会性をはぐくむ 期である。 徴 生まれる等の不 安定な 高まる。 上で、自己を取り巻く 心理状態となる。 社会環境、性の情報・ 環境・仲間の性に関す る態度のとらえ方が重 要となる。 指 導 内 容 ☆思春期の身体の変化 ☆ 思 春期 の心理 的特徴 ☆多様な男女関係につ ☆性役割について いて ・社会における自分の について ・ 男 女 の 体 の 発 育 ・ 発 ・ 保 護 者 や 教 師 へ の 反 ・男 女 の 人 間 関 係 は 、友 役 割 、 将 来 の 生 き 方 に 達 は 男 女 や 個 人 に よ っ 抗 、 承 認 欲 求 、 自 己 顕 人 、 恋 人 、 仲 間 、 同 僚 、つ い て 考 え 、 生 涯 に わ て違いがあることを理 示欲、自信と不安、理 地域の人々など様々あ たってよりよく生きる 解させ不安や悩みを克 想と現実、仲間との強 るが、人間尊重、男女 基礎を築くように指導 服させる。 い 連 帯 感 、 自 己 の 容 姿 、平 等 を 基 盤 と し た 関 係 す る 。 ☆月経・射精について 異 性 への 関心な ど感情 が重 要であるこ とに気 ☆性の情報環境 ・自己の性と異性につ の 起 伏が激しくなるこ 付かせる。 ・マスコミの性情報に い て そ の 生 殖 機 能 と 発 とを理解させる。 ☆特定の異性とのかか は営利目的で興味本位 達の仕組みについて理 ☆性にかかわる不安や の内容が含まれている わりについて 解させる。 ・ 男 女 の 人 間 関 係 に は こ と を 理 解 し 、情 報 に 対 葛藤について ・性に関する不安や悩 過程があり、人の愛情 する賢明な選択能力と みへの対処や克服につ 表現や感じ方は多様で 行動力を身に付け、正 あり、エチケットやマ し い 認 識 を 深 め さ せ いて考えさせる。 ナー が必要であ ること る。 ☆性衝動と性行動 ☆性的な問題行動につ ・性に対する健 康で肯 を理解させる。 いて 定的な概念形成 や社会 ☆性行動 的 に 適 応 す る 適 切 な 性 ・ 性 行 動 は 多 様 で あ り 、・ 多 様 な 性 情 報 に 刺 激 行動等について理解さ 心の働きが深くかかわ され性加害者となるこ って いることを 理解さ ともある。 せる。 ・性被害、性加害の防 せる。 ☆エイズ及び性感染症 止、 人間として の倫 理 ・感染経路は性的接触 観や規範意識の形成が である。感染を予防す 必要であることを理解 るに は性的接触 をしな させる。 い、コンドームを使う ことが有効であること に触れる。 ‑13‑ (3) 保 健 学 習 と 保 健 指 導 の 考 え 方 保健学習は、学習指導要領で指導内容・指導学年・指導時間を特定している教科 の指導である。一方保健指導は、身近な健康課題への対処を指導し、日常的な健康 に留意する行動等を身に付ける特別活動を中心とした指導である。それぞれ、指導 の場面の特性を踏まえ、指導対象に応じて指導のねらいを明確にした指導計画に基 づいて指導を行う必要がある。 次の表は、保健学習と保健指導の特性を概括的に示したものである。 領域 保健学習 目標・内容 指導の場面・機会 ・基礎的・基本的な内容 ○体育 と実践力の育 成 ( 将 来 を ・小学校第3学年から第6学年まで 見 通 し た 健 康 課 題、生涯 ○ 保 健 体 育 を 通 じ た健 康 の 保 持 増 進 ・ 中 学 校 第 1 学 年 か ら 第 3 学 年 ま で を 図 る 。) ※学 習 内 容 は、学 習 指 導 要 領 に 示 されている。 保健指導 ・ 具 体 的 な 問 題 に 対 処 で ・ 特 別 活 動 (学 級 活 動 、 生 徒 会 活 動 、 学 校 行 事 き る 実 践 力 と 対 処 能 力 [健 康 安 全 ・ 体 育 的 行 事 ]) (当 面 す る 健 康 課 題 ) ※設 定 する主 題 や内 容 は学 校 の ・ 保 健 室 、 学 級 (担 任 等 )に お け る 個 別 指 導 実 態 や児 童 ・生 徒 の発 達 段 階 ( 健 康 相 談 。ヘ ル ス カ ウ ン セ リ ン グ ) 及 び特 性 等 を考 慮 し、各 学 校 が ・ 日 常 の 学 校 生 活 に お け る 指 導 創意工夫する。 ・ 「 総 合 的 な 学 習 の 時 間 」 に お け る 健 康 教 育 の 展 開 (特 色 あ る 教 育 課 程 ) 『生徒自らが主体的に設定する健康課題への追究・探究活動の展開と教師の支援』 ※ 関連した内容の教科等における指導 ・家庭、理科、社会 (4) 発 達 段 階 に 即 し た 指 導 の 在 り 方 学 習 指 導 要 領 に は 、各 教 科 等 の 目 標 や 単 元 ご と の 指 導 の ね ら い・内 容 が示 さ れ て い る。 この目標やねらいを踏まえて、学習指導要領に示されている内容を基に指導計画 を作成し、授業を行うことが前提である。 学習指導要領に示されている各教科等の目標や単元ごとの指導のねらいや内容は、 児童・生徒の発達段階に即して設定されていることから、この目標や指導のねらい・ 内容を踏まえて指導を行うことが、児童・生徒の発達段階に即した指導と捉えるこ とができる。 ‑14‑ 小・中学校において性教育を実施する際には、性教育に関連する各教科等の目標 や指導のねらい・内容を踏まえた上で、指導計画を作成し、実施することが重要で ある。 ① 各観点ごとの指導のねらいの明確化 性 教 育 を児 童 ・ 生徒 の 発 達段 階に即し て行うた めには、 各教科等 の単元の ねらい や指導計画に基づき、「関心・意欲・態度」「思考・判断」「知識・理解」「技 能・表現」等の観点ごとの指導のねらいを明確にすることが必要である。 指導と評価の一体化を図ることからも、児童・生徒の発達段階に即した指導内 容として適切であったかどうかを教師自身が評価する上において、観点ごとに指 導のねらいを明確にすることが重要である。 ② 性教育に関連する小学校の教科等における指導のねらい ア 生活 <第1・2学年「自分の成長」> 2 学習指導要領の内容 ( 1 ) 多 く の 人 の 支 え に よ り 自 分 が 大 き く な っ た こ と 、自 分 で で き る よ う に な っ た こ と、役割が増えたことなどが分かり、これまでの生活や成長を支えてくれた人々 に感謝の気持ちをもつとともに、これからの成長への願いをもって、意欲的に生 活することができるようにする。 3 各観点ごとの指導のねらい 【生活への関心・意欲・態度】 ○できるようになったことなどに関心をもち、進んで調べようとすることができ る。 ○これまでの生活や成長の様子を知るための手掛かりを探そうとすることができ る。 ○ 自 分 の よ さ や 得 意 な こ と に 自 信 を も ち 、具 体 的 な 願 い や 夢 を も っ て 生 活 し よ う と することができる。 【活動や体験についての思考・表現】 ○具体物や話などを手掛かりとしながら、自分の成長を知ることができる。 ○様々な手掛かりをもとにして、過去の自分と現在の自分を比較することができ る。 ○成長の喜びや感謝の気持ち、これからの成長への願いなどを表現することがで きる。 【身近な環境や自分についての気付き】 ○ 自 分が 大 き く な っ た こ と 、自 分 で で き る よ う に な っ た こ と 、役 割 が 増 え た こ と な どを実感することができる。 ○ 自 分 の 成 長 に つ い て 、喜 ん だ り 励 ま し た り し て く れ た 多 く の 人 々 が い る こ と に 気 付くことができる。 ○これからも成長できることや成長への願いや夢があることに気付くことができ る。 ‑15‑ イ 体育 <第3学年「毎日の生活と健康」> 1 学年目標 ( 1 ) 健 康 な 生 活 に つ い て 理 解 で き る よ う に し 、身 近 な 生 活 に お い て 健 康 で 安 全 な 生 活を営む資質や能力を育てる。 2 学習指導要領の内容 ( 1 ) 毎 日 を 健 康 に 過 ご す た め に は 、食 事 、運 動 、休 養 及 び 睡 眠 の 調 和 の と れ た 生 活 を続ける必要があること。 ( 2 ) 毎 日 を 健 康 に 過 ご す た め に は 、体 の 清 潔 を 保 つ こ と や 明 る さ 、換 気 な ど の 生 活 環境を整えることなどが必要であること。 3 各観点ごとの指導のねらい 【健康・安全への関心・意欲・態度】 ○ 健 康 に 関 す る 資 料 を 見 た り、自 分 の 生 活 を 振 り 返 っ た り し て 、 課 題 を 見 つ け よ う とすることができる。 ○ 教 師 や 友 達 と 共 に 、教 科 書 な ど の 資 料 や 実 験 、フ ィ ー ル ド ワ ー ク で 課 題 を 調 べ よ うとすることができる。 ○健康な生活の仕方について、自分の考えや意見を言おうとすることができる。 【健康・安全についての思考・判断】 ○ 毎 日 の 健 康 な 生 活 に つ い て 、自 分 の 生 活 を 振 り 返 り 、よ い 点 や 問 題 点 を 見 つ け る ことができる。 ○ 毎 日 の 健 康 な 生 活 と 保 健 活 動 と の か か わ り に つ い て 、教 科 書 や 実 験 結 果 な ど の 資 料を元に予想したり、関係を見つけたりすることができる。 ○ 毎 日 の 健 康 な 生 活 に つ い て 、学 習 し た こ と を自 分 の 生 活 に 当 て は め る こ と が で き る。 【健康・安全についての知識・理解】 ○ 毎 日 を 健 康 に 過 ご す た め に 、食 事 、運 動 、休 養 及 び 睡 眠 の 調 和 の と れ た 生 活 を 続 けることを理解できる。 ○ 毎 日 を 健 康 に 過 ご す た め の 体 を 清 潔 に 保 つ 方 法 、換 気 や 部 屋 の 明 る さ の 調 節 の 仕 方を理解できる。 ○ 毎 日 を 健 康 に 過 ご す た め に 、学 校 で は 保 健 室 の 活 動 を 初 め 様 々 な 保 健 活 動 が 行 わ れていることを理解できる。 <第4学年「育ちゆく体とわたし」> 1 学年目標 (1) 体 の 発 育 ・ 発 達 に つ い て 理 解 で き る よ う に し 、 身 近 な 生 活 に お い て 健 康 で 安 全な生活を営む資質や能力を育てる。 2 学習指導要領の内容 ( 1 ) 体 は 、 年 齢 に 伴 っ て 変 化 する こ と 。 また 、体 を よ り よ く 発 育 ・ 発 達 さ せ る た め には、調和のとれた食事、適切な運動、休養及び睡眠が必要であること。 ‑16‑ ( 2 ) 体 は 、 思 春 期 に な る と 次 第 に 大 人 に 近 づ き 、 体 つ き が 変 わ っ た り 、初 経 、 精通 などが起こったりすること。また、異性への関心が芽生えること。 3 各観点ごとの指導のねらい 【健康・安全への関心・意欲・態度】 ○体の発育・発達について、今までの自分の成長を見つめながら、課題を見つけよ うとすることができる。 ○教科書などの資料を読んだりして、課題について調べようとすることができる。 ○体の発育・発達について、友達の意見を聞いたり、自分の考えや意見を言ったり しようとすることができる。 【健康・安全についての思考・判断】 ○ 体 の 発 育・発 達 に つ い て 、自 分 の 成 長 や 資 料 な ど を 元 に 問 題 点 を 見 つ け る こ と が できる。 ○体の発育・発達の仕方や食事、運動、休養及び運動について、教科書などの資料 を元に予想したり、関係を見つけることができる。 ○体の発育・発達や思春期の体の変化などについて、自分のことに当てはめること ができる。 【健康・安全についての知識・理解】 ○体の発育・発達の一般的な現象や思春期の体の変化について理解できる。 ○体の発育・発達、思春期の体の変化には、個人差があることを理解できる。 ○体をよりよく発育・発達させるための生活の仕方について理解できる。 <第5学年「心の健康」> 1 学年目標 (1) 心 の健康について理解できるようにし、健康で安全な生活を営む資質や能力 を育てる。 2 学習指導要領の内容 (1) 心は、いろいろな経験を通して、年齢とともに発達すること。 (2) 心と体は密接な関係にあり、互いに影響し合うこと。 (3) 不 安や悩みへの対処には、大人や友達に相談する、仲間と遊ぶ、運動をする などいろいろな方法があること。 3 各観点ごとの指導のねらい 【健康・安全への関心・意欲・態度】 ○心の発達、心と体とのかかわり、不安や悩みへの対処の仕方について、自分の 生活を振り返って課題を見つけようとすることができる。 ○心の発達、心と体とのかかわり、不安や悩みへの対処の仕方について、感じた ことや考えたことを発表しようとすることができる。 ○心の発達、心と体とのかかわり、不安や悩みへの対処の仕方について、自分の 考えや意見を言おうとすることができる。 【健康・安全についての思考・判断】 ○心の発達、心と体とのかかわり、不安や悩みへの対処の仕方について、自分を 振り返りながら、問題点を見つけることができる。 ○心の発達、心と体とのかかわり、不安や悩みへの対処の仕方について、資料や 友達の話を元に予想したり、比べたりできる。 ‑17‑ ○心の発達、心と体とのかかわり、不安や悩みへの対処の仕方について、学習し たことを自分の生活に当てはめることができる。 【健康・安全についての知識・理解】 ○ 心 は 、い ろ い ろ な 生 活 経 験 を 通 し て 、年 齢 と と も に 発 達 す る こ と を 理 解 で き る 。 ○心の状態が体に影響し、体の状態が心に影響を及ぼすことを理解できる。 ○不安や悩みは誰でも経験することであり、その対処の仕方にはいろいろな方法 がある こ と を 理 解 で き る 。 <第6学年「病気の予防」> 1 学年目標 (1) 病気 の 予防 につ い て理 解で き るよ うに し 、健 康で 安 全な 生活 を 営む 資質 や 能 力を育てる。 2 学習指導要領の内容 ( 1 ) 病 気 は 、病 原 体 、体 の 抵 抗 力 、生 活 行 動 、環 境 が か か わ り あ っ て 起 こ る こ と 。 (2) 病原 体 が主 な要 因 とな って 起 こる 病気 の 予防 には 、病原 体を 体 に入 れな い こ とや病原体に対する体の抵抗力を高めることが必要であること。 (3) 生活 習 慣病 など 生 活行 動が 主 な要 因と な って 起こ る 病気 の予 防 には 、栄 養 の 偏りのない食事や口腔の衛生など、望ましい生活習慣を身に付けることが必要 であること。 また、喫煙、 飲酒、薬物乱用などの行為は、健康を損なう原因と なること。 3 各観点ごとの指導のねらい 【健康・安全への関心・意欲・態度】 ○病気の起こり方や予防の方法について、自分や身近な人の経験した病気の例な どを元に課題を見つけようとすることができる。 ○病気の起こり方や予防の方法について、人に聞いたり、教科書などの資料を元 にしたりして調べようとすることができる。 ○ 病 気 の 起 こ り 方 や 予 防 の 方 法 に つ い て 、調 べ た こ と や 考 え た こ と を 発 表 し た り 、 友達の意見を聞いたりしようとすることができる。 【健康・安全についての思考・判断】 ○ 病 気 の 起 こ り 方 や 予 防 の 方 法 に つ い て 、自 分 の 経 験 や 友 達 、家 族 な ど 身 近 な 人 々 の生活などを振り返り、問題点を見つけることができる。 ○ 病 気 の 起 こ り 方 や 予 防 の 方 法 に つ い て 、人 に 聞 い た り 、資 料 を 元 に 予 想 し た り 、 関係を見つけたりすることができる。 ○病気の起こり方や予防の方法について学習したことを、自分の生活に当てはめ ることができる。 【健康・安全についての知識・理解】 ○病気は、病原体、体の抵抗力、生活行動、環境がかかわり合って起こることを 知っている。 ○病原体が主な要因となって起こる病気とその予防の仕方について理解できる。 ○生活習慣が主な要因となって起こる病気や、その予防の仕方、喫煙、飲酒、薬 物 乱 用 の健康への影響について理解できる。 ‑18‑ ウ 特別活動 <「日常の生活や学習への適応及び健康や安全に関すること」> 1 目標 望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図るととも に 、集 団 の 一 員 と し て の 自 覚 を 深 め 、協 力 し て よ り よ い 生 活 を 築 こ う と す る 自 主 的 、 実践的な態度を育てる。 2 学習指導要領の内容 学 級 活 動 に お い て は 、学 級 を 単 位 と し て 、学 級 や 学 校 の 生 活 の 充 実 と 向 上 を 図 り 、 健全な生活態度の育成に資する活動を行うこと。 (1) 略 (2) 日 常 の 生 活 や 学 習 へ の 適 応 及 び 健 康 や 安 全 に 関 す る こ と 希望や目標をもって生きる態度の形成、基本的な生活習慣の形成、望ましい人間 関 係 の 育 成 、学 校 図 書 館 の 利 用 、心 身 と も に 健 康 で 安 全 な 生 活 態 度 の 形 成 、学 校 給 食と望ましい食習慣の形成など 3 (ア ) 希望や目標をもって生きる態度の形成 (イ ) 基本的な生活習慣の形成 (ウ ) 望ましい人間関係の育成 各観点ごとの指導のねらい 【関心・意欲・態度】 ○生活や学習への適応及び健全な生活態度を身に付けるために、自己のよりよい生 活を目指そうとすることができる。 【思考・判断】 ○生活や学習への適応及び健全な生活を目指して、自己の課題を見出し、よりよい 改善の方法を考え、判断している。 【技能・表現】 ○生活や学習への適応及び健全な生活を目指して、自己の立てた目標等に基づき、 よりよい方法で実践することができる。 【健康・安全についての知識・理解】 ○ 生活や学習への適応及び健全な生活を送ることの大切さや実践方法などを理解でき る。 ③ 性教育に関連する中学校の主な教科における指導のねらい ア 1 保健体育 保健分野の目標 個 人 生 活 に お け る 健 康・安 全 に 関 す る 理 解 を 通 し て 、生 涯 を 通 じ て 自 ら の 健 康 を 適切に管理し、改善していく資質や能力を育てる。 <第1学年「心身の機能の発達と心の健康」> 2 学習指導要領の内容 (1) 身 体 の 機 能 は 年 齢 と と も に 発 達 す る こ と 。 ‑19‑ ( 2 ) 思 春 期 に は 、内 分 泌 の 働 き に よ っ て 生 殖 に か か わ る 機 能 が 成 熟 す る こ と 。ま た 、 こうした変化に対応した適切な行動が必要となること。 ( 3 ) 知 的 機 能 、情 意 機 能 、社 会 性 な ど の 精 神 機 能 は 、生 活 体 験 な ど の 影 響 を 受 け て 発 達 す る こ と 。ま た 、思 春 期 に お い て は 、自 己 の 認 識 が 深ま り 、自己 形 成 が な さ れ ること。 ( 4 ) 心 の 健 康 を 保 つ に は 、欲 求 や ス ト レ ス に 適 切 に 対 処 す る と と も に 、心 身 の 調 和 を保つことが大切であること。また、欲求やストレスヘの対処の仕方に応じて、 精神的、身体的に様々な影響が生じることがあること。 3 各観点ごとの指導のねらい 【健康・安全への関心・意欲・態度】 ○心身の機能の発達や、心の健康などについて、自分の経験や資料などをもとに、 課題を見つけようとすることができる。 ○心身の機能の発達や心の健康などについて、教科書などの資料から課題を解決す るための情報を集めたり、課題について調べようとすることができる。 ○心身の機能の発達や心の健康などについて、仲間の考えや意見を聞いたり、集め た資料を活用したりして、自分の意見を発表しようとすることができる。 【健康・安全についての思考・判断】 ○心身の機能の発達や心の健康などについて、自分の知識や経験等をもとに、問題 点を見つけることができる。 ○心身の機能の発達や心の健康などについて、資料などを元に予想したり、整理し たりすることができる。 ○ 心 身 の 機 能 の 発 達 や 心 の 健 康 な ど に つ い て 、学 習 し た こ と を 日 常 生 活 に 当 て は め ることができる。 【健康・安全についての知識・理解】 ○ 年 齢 に 伴 う 身 体 の 各 器 官 の 発 達 の 傾 向 や 性 差 、個 人 差 な ど が あ る こ と を 知 っ て い る。 ○思春期に起こる心身の変化や思春期が生殖機能の成熟や自己の認識が深まる重 要な時期であることを理解できる。 ○ 心 の 健 康 を 保 つ た め 、心 身 の 調 和 を 保 つ こ と の 大 切 さ や 欲 求 や ス ト レ ス に 適 切 に 対処する方法を理解できる。 <第3学年「健康な生活と疾病の予防」> 1 学習指導要領の内容 ( 1 ) 健 康 は 、主 体 と 環 境 の 相 互 作 用 の 下 に 成 り 立 っ て い る こ と 。さ ら に 、疾 病 は 主 体の要因と環境の要因がかかわりあって発生すること。 ( 2 ) 健 康 の 保 持 増 進 に は 、年 齢 、生 活 環 境 等 に 応 じ た 食 事 、運 動 、休 養 及 び 睡 眠 の 調和のとれた生活が必要なこと。また、食事の量や質の偏り、運動不足、休養や 睡眠の不足などの生活習慣の乱れは、健康を損なう原因となること。 ( 3 ) 喫 煙 、飲 酒 、薬 物 乱 用 な どの 行 為 は 、心 身 に 様 々な 影 響 を 与 え 、健 康 を 損 な う原 因となること。また、そのような行為には、個人の心理状態や人間関係、社会環 境が影響することから、それらに適切に対処する必要があること。 ( 4 ) 感 染 症 は 、病 原 体 が 主 な 要 因 と な っ て 発 生 す る こ と 。ま た 、感 染 症 の 多 く は 、発 生源をなくすこと、感染経路を遮断すること、主体の抵抗力を高めることによっ ‑20‑ て予防できること。 (5) 個 人 の 健 康 と 集 団 の 健 康 と は 密 接 な 関 係 が あ り 、 相 互 に 影 響 し 合 う こ と 。 ま た 、健 康を保持増進するためには、保健・医療機関を有効に利用することが 大切であること。 2 各観点ごとの指導のねらい 【健康・安全への関心・意欲・態度】 ○健康の保持増進のために必要な生活行動や疾病の予防について、資料を見た り、自分の日常生活を振り返りながら課題を発見しようとすることができる。 ○教師や仲間と共に活動したり、教科書などの資料を読んだりして、課題につ いて調べようとすることができる。 ○教科書などの資料を元に自分の考えや意見をまとめようとすることができ る。 【健康・安全についての思考・判断】 ○健康な生活の仕方や疾病の予防について、自分の知識や日常生活等を振り返 り、問題点を見つけることができる。 ○健康な生活の仕方や疾病の予防の方法について、資料を元に、予想したり、 整理したりすることができる。 ○健康な生活や疾病予防について学習したことを日常生活に当てはめることが できる。 【健康・安全についての知識・理解】 ○健康は主体と環境から成り立ち、疾病はそれらの要因がかかわりあって起こ ることを知っている。 ○健康の保持増進には、生活習慣が深くかかわっていること、それが主な要因 となって起こる疾病やその予防の仕方について知っている。 ○喫煙、飲酒、薬物乱用の健康への影響と乱用してはいけないことを理解し、 知識を身に付けている。 ○感染症の要因とその予防の方法について理解できる。 ○個人の健康と集団の健康は密接な関係があること、健康を保持増進するため には、保健・医療機関の有効な利用が必要であることを理解できる。 ‑21‑ 7 学校における性教育の指導体制 性教育における指導内容を十分に検討し、指導計画を作成した後、その具体的な実践 を 効 果 的 に 、円 滑 に 実 施 す る た め に 、校 内 に お い て 適 切 な 指 導 体 制 を 整 え る 必 要 が あ る 。 学 学 習 校 指 導 の 教 要 育 目 教職員の共通理解・認識 性教育に関する 校内研修の実施 標 教育課程への位置付け 性教育の目標 指 領 導 各教科、道徳、特別活動、 総合的な学習の時間 等 体 制 の 確 立 教材・資料の収集 学校・家庭・地域 の連携 (1) 教 職 員 の 共 通 理 解 に お け る 基 本 的 な 事 項 学校における性教育は、全教職員の共通理解の下に、組織的、計画的に行う教育 活動である。したがって、学校においては、性教育を実施する上での全体構想や指 導計画・内容を明らかにしておくとともに、その意義や必要性、実施の根拠等を教 職員一人一人が認識しておく必要がある。また、性教育は、発達段階に応じて継続 的に行うことが重要であるので、常に共通理解を図る場を設定しておくことも大切 である。 〈教職員が共通理解を図る事項〉 ① 人間の性及び性教育の今日的意義や目的 ② 現 代 社 会 に お け る 性 に 関 す る 環 境 や と ら え 方 及 び 児 童・生 徒 の 性 に か か わ る 意 識 や行動などの実態並びにそれらに対応した性教育の課題 ③ 学校教育の目標及び目標との関連事項 ④ 学校としての性教育の指導の重点と各学年における重点 ⑤ 学校としての性教育の全体計画と各学年における指導計画の内容や関連 ⑥ 各 教 科 、道 徳 、特 別 活 動 、総 合 的 な 学 習 の 時 間 に お け る 性 に 関 す る 内 容 の 取 扱 い に関して、各教科等の目標と性教育のねらいとの関連 ⑦ 生活指導での性に関する指導の在り方と指導の場や機会、指導する内容・方法 ‑22‑ ⑧ 指導組織と各教職員の役割 ⑨ 家庭、地域(開係機関等)との連携の在り方、進め方 ⑩ その他学校として特に必要な事項 各学校においては、児童・生徒及び家庭・地域の実態等によって次のことも共通理 解を図ることが考えられる。 共通理解を深めるための具体例 児童・生徒の性に関する知識や意識、行動などについて調査・観察等 を行い、そ ① の実態を把握する。 ② 家庭や地域関係機関などからの意見や情報などを把握・収集し、学校で行う性教 育に対する家庭や地域の要望を把握する。 ③ 性教育の指導に必要な教材・教具等を検討し、教職員に情報提供する。 ④ 教職員の共通理解を深めるために、性教育に関する研修会・研究会等に参加する などして、他校の研究実践等の必要な情報を収集し、その内容を校内の教職員に伝 える。 ⑤ 児童・生徒の性に関する実態や、学校における性教育の在り方・進め方などにつ いて研究協議するための場や機会を設定する。 (2) 指 導 体 制 の 確 立 に 向 け た 組 織 づ く り 性 教 育 を 学 校 の 教 育 活 動 全 体 を 通 し て 実 施 す る た め に は 、性 教 育 を 推 進 す る た め の 校 内 組 織 を 確 立 す る こ と が 必 要 で あ る 。ま た 、組 織 を 効 果 的 に 機 能 さ せ る た め に は 、 校務分掌に位置付け、明確な役割分担を行うことも重要である。 ① 組織の役割 性 教 育 を 適 切 に 行 い 、一 層 の 教 育 的 効 果 を 生 む た め の 組 織 の 具 体 的 な 役 割 に は 、 次のような役割が必要であると考えられる。 ア 性教育の計画作成と進行状況の管理 <具体例> ・ 性 教 育 の 全 体 計 画 、年 間 指 導 計 画 を 作 成 す る た め に 児 童 ・ 生 徒 の 発 育 ・ 発 達 及び性に関する意識や行動の実態を把握するための調査等の実施 ・家庭、地域の実態、保護者の期待や要望などの集約 ・指導計画の作成と教育課程への位置付け ・性教育の実施後の評価及び指導計画の修正・改善 イ 教職員の研究や研修のための計画立案と実施 <具体例> ・人間の性に対する理解を深めることを目的とする研究や研修の立案と実施 ・効果的な指導方法を追究することを目的とする研究や研修の立案と実施 ・教職員の共通理解を深めることを目的とする研修の立案と実施 ‑23‑ ・ 児 童 ・ 生 徒 や 教 職 員 、保 護 者 等 の 課 題 、期 待 や 要 望 に 応 じ た 系 統 的 な 計 画 立 案と実施 ・ 校 内 研 修 と し て 性 教 育 の 内 容 を 加 え 、専 門 講 師 を 招 聘 す る な ど の 校 内 研 修 会 の立案と実施 ウ 指導のための環境・条件の整備 <具体例> ・性教育に必要な資料、教材・教具などの収集・整備 ・教職員の理解や指導に役立つ実践事例の収集 ・児童・生徒及び保護者等に役立つ資料等の収集・整備 エ 家庭・地域・関係機関との連携 <具体例> ・学校で把握した児童・生徒等の性に関する意識や状況等の情報提供を行う。 ・ 学 校 の 性 教 育 の 目 的 や 目 標 、指 導 に 当 た っ て の 方 針 や 内 容 等 の 理 解 と 協 力 を 得る。 ・家庭や保護者からの意見や要望などを受け止め、検討する。 ・ PTA活 動 な ど が 主 催 す る 性 教 育 に 関 す る 研 修 等 へ 支 援 す る 。 ・各種の性情報や地域の性にかかわる環境の問題に対する話し合い等を設定す る。 ・ 地 域 の 自 治 組 織 や 青 少 年 の 健 全 育 成 等 に か か わ る 各 種 機 関 の 団 体 、保 健 医 療 機関、社会教育施設などと連携を図る。 オ 相談活動の運営と協力 性に関する相談体制は、関係教職員との連携を密にして教育相談室や保健室 の機能を有効に活用するとともに、全教職員が相談活動を適切に行うことがで きるよう、研修や資料提供などを行うとともに、児童・生徒が相談しやすい雰 囲気づくりを進めることが大切である。 <相談内容の例> ・性に関する知識や情報 ・男女の性役割観やそれにかかわる進路選択 ・男女の人間関係 ・性に関する問題行動、逸脱行動 ・性にかかわる加害、被害 ・性に関する不安や悩み、葛藤 カ 関係校務分掌組織との連絡・調整 性教育が効果的かつ円滑に行われるよう、校長や教頭、主幹は、関係校務分 掌組織との連絡・調整を図るようにする。特に、教務、生活指導、保健・安全 などの関係組織や性教育に直接かかわりの深い教科などとの連携をもつことが 大切である。 キ 資料等の作成と情報提供 ‑24‑ 児童・生徒の実態把握のために役立つ調査や分析の方法、性教育の適切な実 施に即した資料や情報などについて、必要に応じていつでも提供できるように する。 ク 教材・教具の開発、保管等 指導に用いる教材・教具については、学習指導要領に即し、児童・生徒の発 達段階を踏まえ、効果的な学習に役立つものを準備する。 また、全教職員が使用しやすいように、保管場所を整備し、整理しておくよ うにする。その際、教職員の指導用図書等は、児童・生徒が使用することのな いよう、十分に配慮して適切に保管する。 ケ 性教育の組織の形成 性教育のための組織は、学校の規模や性に関する課題などに応じて、単独で 設置したり、関連する機能を併せもつ分掌組織とすることなどが考えられる。 効果的な組織運営が図られるようにするためには、校長、教頭、主幹及び教 育相談などの担当者並びに関係教科や各学年の代表者等、幅広い教職員を構成 員とすることが大切である。 学校、家庭、地域が連携した性教育の推進や性に関する問題の発生防止・解 決のためには、地域関係機関等の支援や協力の下に、校外組織との円滑な連携 を図ることも大切である。 (3) 各 教 職 員 の 役 割 学校において、性教育を適切かつ円滑に進めるためには、全教職員による役割の 分担や相互の連携・協力が不可欠である。各学校においては、その規模や実態など に応じて適切な役割分担を行うとともに、役割ごとの内容を次のようにとらえて、 性教育の推進を図ることが必要である。 ① 校長・教頭(副校長) ア 校長・教頭は、自校の性教育の意義や課題などについて十分理解し、把握す るとともに、学校としての性教育の基本方針を明確にし、全校体制での推進を 図る。 イ 性教育の全体計画の全容を把握し、その内容を確認するとともに、計画に基 づいて日常的に行われる性教育の指導内容を週ごとの指導計画から把握し、教 職員に対して必要な指導・助言を行う。 ウ 性教育の指導に効果的な教材・教具等を十分に把握し、適正な性教育の推進 に努める。 エ 家庭、地域及び関係機関等との連携を図るための環境や条件等の整備を図る などして、校内体制を整える。 ② 主幹 ア 主幹は、性教育の推進に向けて、指導計画の立案や他の教育活動との調整を 図るとともに、性教育の具体的な指導の内容・方法について、指導・助言をす るなどし、実践的な推進役を努める。 ‑25‑ イ 校内の関係分掌との連絡調整を図り、性教育の指導に必要な時間の確保や校 内で必要な研修を企画・実施するなどして、教職員の全校的な指導力の向上を 図る。 ③ 生活指導・教育相談担当者 ア 生活指導・教育相談担当者は、性に関する児童・生徒の意識や行動などの状 況の把握に努める。 イ 性教育を推進する上で、集団を対象とした指導や個別の指導、相談活動など を通して、児童・生徒の望ましい意識や態度の育成に努める。 ウ 性にかかわる問題行動などについては、教職員の連携による指導・支援など が適切に行われるように努める。 ④ 保健担当者 ア 保健担当者は、学校保健計画を作成し、学校保健活動を推進する中で児童・ 生徒の性に関する健康的な発達が促されるように努める。 イ 学校保健委員会等を通じて家庭や地域関係機関などと連携を図り、性に関す る情報等を教職員や児童・生徒、家庭、地域に提供する。 ⑤ 養護教諭 ア 養護教論は、性教育の全体計画立案や教職員の研修内容等に、専門性を生か して積極的にかかわり、校内における性教育の推進を支える。 イ 保健室での機能を通じて、得られた児童・生徒の性に関する様々な情報等を 整理し、必要な情報は他の教職員と共有し、個別の指導に生かすことができる ようにする。 養護教諭が行う健康相談活動(ヘル スカウンセリング)において、児童・生徒 の様々な性に関する意識や問題等を観察し、その背景を分析するとともに、問 題 の 解 決 の た め の 支 援 や 関 係 者 ( 担 任 ・ 保 護 者 等 )と の 連 携 な ど に 努 め る 。 ⑥ 研究主任 研究主任は、校内研修の年間計画に性教育に関する内容を位置付けたり、研修方 法の工夫・改善などを図り、研修の効果的な運営に努める。 ⑦ 学年主任 ア 学年主任は、担当する学年において、指導計画に基づき、児童・生徒の発達 段階を踏まえた指導内容及び適切な教材・教具等で性教育が適切且つ効果的に 行われるように担任教諭や担当教諭との連絡・調整を図る。 イ 学年通信や学年保護者会などを通じて、学校と家庭、保護者との相互理解に よる連携・協力が適切に進むようにする。 ⑧ 教科担任・学級担任 ア 教科担任や学級担任は、担当する教科や学級において、指導計画に基づき、 児童・生徒の発達段階に即した指導内容及び教材・教具等で指導する。 イ 学校における性教育の方針やねらいに基づいて、効果的な指導を展開するよ うに創意工夫を重ねる。 ‑26‑ ⑨ その他 学校における性教育の指導において、医師や保健師、助産師等の外部講師を招 聘して授業等を実施することは、学校の指導のねらいを踏まえて行うことによっ て、より効果が高まる。 し た が っ て 、外 部 講 師 等 の 協 力 を 依 頼 す る 場 合 は 、学 校 の 指 導 の ね ら い や 児 童 ・ 生徒の実態等に基づき、依頼する内容について、事前に十分な打合せを行うが必 要がある。 8 性教育に関する課題への対応についての考え方 性教育に関する課題の多くは、心の健康問題と深くかかわっており、その背景や 要因としては、「家庭の教育機能の低下」や「児童・生徒を取り巻く社会環境の変 化」等様々な要因が考えられる。 児 童・生 徒 の 性 に 関 す る 課 題 は 、児 童・生 徒 の 心 身 の 発 育・発 達 を 踏 ま え る と と も に、性に対する意識や性行動、性情報などの実態を把握した上で、その解決に取組 む必要がある。 児童・生徒は成長の過程で、自己の性を認識し、同性や異性と様々な人間関係を 築いていくが、成育環境の急激な変化により、身体的な発達に精神的な発達が伴わ な く な り 、性 の 逸 脱 行 動 が 生 じ る な ど し て 、未 成 年 者 の「 望 ま な い 妊 娠 」「 人 工 妊 娠 中絶」「性感染症」の増加などが指摘されてきている。 性教育は、適切な意志決定や行動選択ができる能力を培い、実践力を育てる指導 が大切である。課題の解決に向けて、性に関する児童・生徒の実態を把握するとと もに、実態に即した指導の改善・工夫を行うことが必要である。 また、性教育に関する課題は、児童・生徒の健康問題や心の問題と広くかかわっ ていることから、児童・生徒の発達段階に即して幅広い視野から適切な性教育を行 っていくことが重要である。 ‑27‑ 9 性教育の今日的な課題 (1) 性 の 倫 理 や モ ラ ル の 低 下 児童・生徒の心身の発育・発達の早期化と性に関する興味・関心の高まり、性的 接触の低年齢化の傾向や未成年における性感染症の広がりが懸念される。 このような状況において、児童・生徒に倫理観やモラルの低下が伺える。学校教 育において児童・生徒の性に関する価値観や意識の多様化に対応した性教育の実践 が必要である。 (2) 学 校 教 育 の 課 題 ① 児童・生徒の性意識・性行動の変化に対応する指導計画の作成 児童・生徒の性意識の変化や性行動の早期化の傾向とともに、児童・生徒の性 に関する様々な課題に学校の対応が遅れがちな状況にある。 性に関する児童・生徒の的確な実態把握とその実態を踏まえた性教育の指導計 画を作成していく必要がある。 ② 性教育に対する共通理解や教職員間の認識の徹底 性 教 育 を 実 施 す る 際 に は 、全 教 職 員 の 共 通 理 解 に 基 づ い て 、学 校 全 体 で 組 織 的 ・ 計画的に性教育を展開することが大切である。性教育の実践に当たって、指導内 容・方法について、指導する教員の考え方が異なることがないようにする必要が ある。 また、一部教員の思い込みによる指導などは、あってはならないことである。 ③ 性教育の適切な実施 東 京 都 教 育 委 員 会 は 、 平 成 14年 12月 18日 付 で 「 学 校 に お け る 性 教 育 の 指 導 に つ いて」の文書を区市町村教育委員会に通知した。 性教育の指導に関する内容は、次のとおりである。 1 性教育の指導について (1) 学 校 全 体 の 指 導 計 画 に 基 づ く 組 織 的 ・ 計 画 的 な 指 導 を 行 う 。 性教育は、学校の教育活動全体を通じて行う必要があることから、児童・生徒 及び地域の実態に即し、校長の責任において性教育の全体計画及び年間指導計画 を教育課程に位置付け、組織的・計画的に実施する。 (2)学 習 指 導 要 領 及 び 児 童 ・ 生 徒 の 発 達 段 階 に 即 し た 指 導 を 行 う 。 性教育は、学習指導要領の各教科等のねらいや内容に基づいて、全体計画や年 間指導計画を作成し、発達段階に即して行われるよう配慮することが重要であ る。 (3) 指 導 の 充 実 に 向 け て 保 護 者 と の 連 携 を 図 る 。 性教育の指導に当たっては、保護者の理解と協力が大切であるため、必要に応 じて事前に指導計画や指導内容等を十分に説明するなど、保護者との連携を図る ことが重要である。 ‑28‑ Ⅲ 学習指導要領に関する資料 1 学習指導要領における性教育の取扱い 学習指導要領には、「性教育」という定められた教科等があるのではなく各教科、 道徳、特別活動に示されている「性にかかわる内容」について各学校で指導計画を作 成し、教育課程に位置付けて適切に実施する。 2 各教科に関連した内容 (1) 小 学 校 【 各 教 科 】 ① 生活<第1・2学年> ○目 標 ( 1 ) 自 分 と 身 近 な 人 々 及 び 地 域 の 様 々 な 場 所 、公 共 物 な ど と の か か わ り に 関 心 を も ち、それらに愛着をもつことができるようにするとともに、集団や社会の一員と して自分の役割や行動の仕方について考え、適切に行動できるようにする。 ( 2 ) 自 分 と 身 近 な 動 物 や 植 物 な ど の 自 然 と の か か わ り に 関 心 を も ち 、自 然 を 大 切 に したり、自分たちの遊びや生活を工夫したりすることができるようにする。 ( 3 ) 身 近 な 人 々 、社 会 及 び 自 然 に 関 す る 活 動 の 楽 し さ を 味 わ う と と も に 、そ れ ら を 通 し て 気 付 い た こ と や 楽 し か っ た こ と な ど を 言 葉 、絵 、動 作 、劇 化 な ど に よ り 表 現できるようにする。 ○内 容 (7) 動 物 を 飼 っ た り 植 物 を 育 て た り し て 、そ れ ら の 育 つ 場 所 、変 化 や 成 長 の 様 子 に 関 心 を も ち 、ま た 、そ れ ら は 生 命 を も っ て い る こ と や 成 長 し て い る こ と に 気 付 き , 生き物への親しみをもち、大切にすることができるようにする。 ( 8 ) 多 く の 人 々 の 支 え に よ り 自 分 が 大 き く な っ た こ と 、自 分 で で き る よ う に な っ た こ と、役割が増えたことなどが分かり、これまでの生活や成長を支えてくれた人々 に感謝の気持ちをもつとともに、これからの成長への願いをもって、意欲的に生 活することができるようにする。 ◇取扱い ( 4 ) 第 2 の 内 容 の( 7 )に つ い て は 、2 学 年 に わ た っ て 取 り 扱 う も の と し 、動 物 や 植 物 へのかかわり方が次第に深まるようにすること。 ② ○目 体育<第3・4学年> 標 (3) 健 康 な 生 活 及 び 体 の 発 育 ・ 発 達 に つ い て 理 解 で き る よ う に し 、 身 近 な 生 活 において健康で安全な生活を営む資質や能力を育てる。 ○内 容 (1) 健康の大切さを認識するとともに、健康によい生活の仕方が理解できるよ う にする。 ア 毎 日 を 健 康 に 過 ご す た め に は 、食 事 、運 動 、休 養 及 び 睡 眠 の 調 和 の と れ た 生活を続ける必要があること。 イ 毎 日 を 健 康 に 過 ご す た め に は ,体 の 清 潔 を 保 つ こ と や 明 る さ ,換 気 な ど の 生活環境を整えることなどが必要であること。 ‑29‑ (2) 体 の 発 育 ・ 発 達 に つ い て 理 解 で き る よ う に す る 。 ア 体 は 、年 齢 に 伴 っ て 変 化 す る こ と 。ま た 、体 を よ り よ く 発 育・発 達 さ せ る ためには、調和のとれた食事、適切な運動、休養及び睡眠が必要であるこ と。 イ 体 は 、思 春 期 に な る と 次 第 に 大 人 の 体 に 近 づ き 、体 つ き が 変 わ っ た り 、初 経 ,精 通 な ど が 起 こ っ た り す る こ と 。ま た 、異 性 へ の 関 心 が 芽 生 え る こ と 。 ◇取扱い ( 5 ) 内 容 の 「 F 保 健 」 に つ い て は ,( 1)を 第 3 学 年 、 ( 2 )を 第 4 学 年 で 指 導 す る も のとする。 ( 6 ) 内 容 の「 F 保 健 」の( 1 )に つ い て は 、学 校 で も 、健 康 診 断 や 学 校 給 食 な ど 様 々 な活動が行われていることについて触れるものとする。 ( 7 ) 内 容 の 「 F 保 健 」 の( 2 )に つ い て は 、 自 分 と 他 の 人 で は 発 育 ・ 発 達 な ど に 違 い が あ る こ と に 気 付 き 、そ れ ら を 肯 定 的 に 受 け 止 め る こ と が 大 切 で あ る こ と に ついて触れるものとする。 体育<第5・6学年> ③ ○目 標 (3) け が の 防 止 、心 の 健 康 及 び 病 気 の 予 防 に つ い て 理 解 で き る よ う に し 、健 康 で 安 全な生活を営む資質や能力を育てる。 ○内 容 (2) 心 の 発 達 及 び 不 安 や 悩 み へ の 対 処 の 仕 方 に つ い て 理 解 で き る よ う に す る 。 ア 心は、いろいろな生活経験を通して、年齢とともに発達すること。 イ 心と体は密接な関係にあり、互いに影響し合うこと。 ウ 不安や悩みへの対処には、大人や友達に相談する、仲間と遊ぶ、運動をする などいろいろな方法があること。 (3) 病 気 の 予 防 に つ い て 理 解 で き る よ う に す る 。 ア 病 気 は 、病 原 体 、体 の 抵 抗 力 、生 活 行 動 、環 境 が か か わ り あ っ て 起 こ る こ と 。 イ 病原体が主な要因となって起こる病気の予防には、病原体を体に入れないこ とや病原体に対する体の抵抗力を高めることが必要であること。 ウ 生活習慣病など生活行動が主な要因となって起こる病気の予防には、栄養の 偏 り の な い 食 事 や 口 腔 の 衛 生 な ど 、望 ま し い 生 活 習 慣 を 身 に 付 け る こ と が 必 要 で あ る こ と 。ま た 、喫 煙 、飲 酒 、薬 物 乱 用 な ど の 行 為 は 、健 康 を 損 な う 原 因 と なること。 ◇取扱い ( 5 ) 内 容 の 「 G 保 健 」 に つ い て は 、 ( 1 )及 び ( 2 )を 第 5 学 年 , ( 3 )を 第 6 学 年 で 指 導 す るものとする。 ( 6 ) 内 容 の 「 A 体 つ く り 運 動 」 の ( 1 )の ア と 「 G 保 健 」 の ( 2 )の ウ に つ い て は 、 相 互 の関連を図って指導するものとする。 ( 7 ) 内 容 の「 G 保 健 」の ( 3 )の ウ の 薬 物 に つ い て は 、有 機 溶 剤 の 心 身 へ の 影 響 を 中 心 に取り扱うものとする。また、覚せい剤等についても触れるものとする。 ‑30‑ (2) 小 学 校 【 道 徳 】 ○目 標 道徳教育の目標は、第1章総則の第1の2に示すところにより、学校の教育活動 全 体 を 通 じ て 、道 徳 的 な 心 情 ,判 断 力 ,実 践 意 欲 と 態 度 な ど の 道 徳 性 を 養 う こ と と する。 道徳の時間においては、以上の道徳教育の目標に基づき、各教科、特別活動及び 総 合 的 な 学 習 の 時 間 に お け る 道 徳 教 育 と 密 接 な 関 連 を 図 り な が ら 、計 画 的 、発 展 的 な指導によってこれを補充、深化、統合し、道徳的価値の自覚を深め,道徳的実践 力を育成するものとする。 ○第1・2学年の内容 3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。 (1) 身 近 な 自 然 に 親 し み 、 動 植 物 に 優 し い 心 で 接 す る 。 (2) 生 き る こ と を 喜 び 、 生 命 を 大 切 に す る 心 を も つ 。 (3) 美 し い も の に 触 れ 、 す が す が し い 心 を も つ 。 ○第3・4学年の内容 3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。 (1) 自 然 の す ば ら し さ や 不 思 議 さ に 感 動 し 、 自 然 や 動 植 物 を 大 切 に す る 。 (2) 生 命 の 尊 さ を 感 じ 取 り 、 生 命 あ る も の を 大 切 に す る 。 (3) 美 し い も の や 気 高 い も の に 感 動 す る 心 を も つ 。 ○第5・6学年の内容 3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。 (1) 自 然 の 偉 大 さ を 知 り 、 自 然 環 境 を 大 切 に す る 。 (2) 生 命 が か け が え の な い も の で あ る こ と を 知 り 、 自 他 の 生 命 を 尊 重 す る 。 (3) 美 し い も の に 感 動 す る 心 や 人 間 の 力 を 超 え た も の に 対 す る 畏 敬 の 念 を も つ 。 ◇取扱い (2) 各 学 校 に お い て は 、 特 に 低 学 年 で は 基 本 的 な 生 活 習 慣 や 善 悪 の 判 断 、 社 会 生 活 上 の ル ー ル を 身 に 付 け る こ と 、中 学 年 で は 自 主 性 、協 力 し 助 け 合 う 態 度 を 育 て ること、高学年では自立心、国家・社会の一員としての自覚を育てることなど に配慮し、児童や学校の実態に応じた指導を行うよう工夫すること。また、高 学年においては、悩みや心の揺れ、葛藤等の課題を積極的に取り上げ、考えを 深められるよう指導を工夫すること。(抜粋) 2 第2の内容は、児童が自ら道徳性をはぐくむためのものであり、道徳の時間はも と よ り 、各 教 科 、特 別 活 動 及 び 総 合 的 な 学 習 の 時 間 に お い て も そ れ ぞ れ の 特 質 に 応 じた適切な指導を行うものとする。その際、児童自らが成長を実感でき、これか ら の課題や目標が見付けられるよう工夫する必要がある。 ‑31‑ (3) 小 学 校 【 特 別 活 動 】 ○目 標 望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図るととも に 、集 団 の 一 員 と し て の 自 覚 を 深 め 、協 力 し て よ り よ い 生 活 を 築 こ う と す る 自 主 的 、 実践的な態度を育てる。 ○内 容 A 学級活動 学 級 活 動 に お い て は 、学 級 を 単 位 と し て 、学 級 や 学 校 の 生 活 の 充 実 と 向 上 を 図 り、健全な生活態度の育成に資する活動を行うこと。 (1) 学 級 や 学 校 の 生 活 の 充 実 と 向 上 に 関 す る こ と 。 学 級 や 学 校 に お け る 生 活 上 の 諸 問 題 の 解 決 、学 級 内 の 組 織 づ く り や 仕 事 の 分 担 処理など。 (2) 日 常 の 生 活 や 学 習 へ の 適 応 及 び 健 康 や 安 全 に 関 す る こ と 。 希 望 や 目 標 を も っ て 生 き る 態 度 の 形 成 、基 本 的 な 生 活 習 慣 の 形 成 、望 ま し い 人 間 関 係 の 育 成 、学 校 図 書 館 の 利 用 、心 身 と も に 健 康 で 安 全 な 生 活 態 度 の 形 成 、学 校給食と望ましい食習慣の形成など。 ◇取扱い 1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。 (1) 学 校 の 創 意 工 夫 を 生 か す と と も に 、 学 校 の 実 態 や 児 童 の 発 達 段 階 な ど を 考 慮 し、児童による自主的、実践的な活動が助長されるようにすること。また、家庭 や地域の人々との連携、社会教育施設等の活用などを工夫すること。 ( 2 ) 学 級 活 動 な ど に お い て ,児 童 が 自 ら 現 在 及 び 将 来 の 生 き 方 を 考 え る こ と が で き るよう工夫すること。 2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。 ( 1 ) 学 級 活 動 、児 童 会 活 動 及 び ク ラ ブ 活 動 の 指 導 に つ い て は 、指 導 内 容 の 特 質 に 応 じ て、教師の適切な指導の下に、児童の自発的、自治的な活動が効果的に展開され るようにするとともに、内容相互の関連を図るよう工夫すること。 ( 2 ) 学 級 活 動 に つ い て は 、学 校 や 児 童 の 実 態 に 応 じ て 取 り 上 げ る 指 導 内 容 の 重 点 化 を図るようにすること。また、生徒指導との関連を図るようにすること。 (4) 中 学 校 【 教 科 】 ① 保健体育 ○目 標 個人生活における健康・安全に関する理解を通して、生涯を通じて自らの健康 を適切に管理し、改善していく資質や能力を育てる。 ○内 容 (1) 心 身 の 機 能 の 発 達 と 心 の 健 康 に つ い て 理 解 で き る よ う に す る 。 ア 身体の機能は年齢とともに発達すること。 イ 思春期には、内分泌の働きによって生殖にかかわる機能が成熟すること。ま た、こうした変化に対応した適切な行動が必要となること。 ‑32‑ ウ 知 的 機 能 、 情 意 機 能 、 社 会 性 な ど の 精 神 機 能 は 、生 活 経 験 な ど の 影 響 を 受 け て発達すること。また、思春期においては、自己の認識が深まり、自己形成が なされること。 エ 心 の 健 康 を 保 つ に は 、欲 求 や ス ト レ ス に 適 切 に 対 処 す る と と も に 、心 身 の 調 和 を 保 つ こ と が 大 切 で あ る こ と 。ま た 、欲 求 や ス ト レ ス へ の 対 処 の 仕 方 に 応 じ て、精神的、身体的に様々な影響が生じることがあること。 (4) 健 康 な 生 活 と 疾 病 の 予 防 に つ い て 理 解 を 深 め る こ と が で き る よ う に す る 。 ア 健康は、主体と環境の相互作用の下に成り立っていること。さらに、疾病は 主体の要因と環境の要因がかかわりあって発生すること。 イ 健康の保持増進には、年齢、生活環境等に応じた食事、運動、休養及び睡眠 の 調 和 の とれ た 生 活 が必 要 な こ と。ま た 、食 事 の 量 や 質の 偏 り 、運 動 不 足 、休 養や睡眠の不足などの生活習慣の乱れは、健康を損なう原因となること。 ウ 喫煙、飲酒、薬物乱用などの行為は、心身に様々な影響を与え、健康を損な う原因となること。また,そのような行為には、個人の心理状態や人間関係、 社会環境が影響することから、それらに適切に対処する必要があること。 エ 感 染 症 は 、病 原 体 が 主 な 要 因 と な っ て 発 生 す る こ と 。ま た 、感 染 症 の 多 く は 、 発生源をなくすこと、感染経路を遮断すること、主体の抵抗力を高めることに よって予防できること。 オ 個人の健康と集団の健康とは密接な関係があり、相互に影響し合うこと。ま た、健康を保持増進するためには、保健・医療機関を有効に利用することが大 切であること。 ◇取扱い (抜粋) ( 1 ) 内 容 の( 1 )は 第 1 学 年 、 内 容 の( 4 )は 第 3 学 年 で 取 り 扱 う も の と す る 。 ( 2 ) 内 容 の( 1 )の ア に つ い て は 、身 体 機 能 の 発 達 の 順 序 性 及 び 呼 吸 器 、循 環 器 を 中 心 に取り扱うものとする。 ( 3 ) 内 容 の( 1 )の イ に つ い て は 、妊 娠 や 出 産 が 可 能 と な る よ う な 成 熟 が 始 ま る と い う 観 点 か ら 、受 精・妊 娠 ま で を 取 り 扱 う も の と し 、妊 娠 の 経 過 は 取 り 扱 わ な い も の と す る 。ま た 、 生 殖 に か か わ る 機 能 の 成 熟 に 伴 い 、 性 衝 動 が 生 じ た り 、 異 性 へ の 関 心が高まること などから、異性の尊重、情報への適切な対処や行動の選択が必要 となることに ついて取り扱うものとする。 ( 4 ) 内 容 の( 1 )の エ に つ い て は 、 体 育 分 野 の 内 容 の 「 A 体 つ く り 運 動 」 の( 1 )の ア の 指導との関連を図って指導するものとする。 ( 8 ) 内 容 の( 4 )の ウ に つ い て は , 心 身 へ の 急 性 影 響 及 び 依 存 性 に つ い て 取 り 扱 う こ と。また、薬物は、覚せい剤や大麻等を取り扱うものとする。 ( 9 ) 内 容 の( 4 )の エ に つ い て は ,後 天 性 免 疫 不 全 症 候 群( エ イ ズ )及 び 性 感 染 症 に つ いても取り扱うものとする。 ‑33‑ (5) 中 学 校 【 道 徳 】 ○目 標 道徳教育の 目標は、 第1章総則の 第1の2に 示すところ により,学校の教育活 動全体を通 じて、 道徳 的な心情、判断力、 実 践意欲と態度などの道徳性を養うこ ととする。 道徳の時間 においては 、以上の道 徳教育の目 標に基づき 、 各教 科 、特 別活動及び 総合的な学 習の時間に おける道徳教育と密接な関連を図りながら 、計 画的、 発展 的な指導に よってこれ を補充、 深 化、 統合し 、道徳的価値及び人間と しての生き方についての自覚を深め、道徳的実践力を育成するものとする。 ○内 3 容 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。 (2) 生 命 の 尊 さ を 理 解 し 、 か け が え の な い 自 他 の 生 命 を 尊 重 す る 。 ( 3 ) 人 間 に は 弱 さ や 醜 さ を 克 服 す る 強 さ や 気 高 さ が あ る こ と を 信 じ て 、人 間 と し て 生きることに喜びを見いだすように努める。 ◇取扱い 第3 1 指導計画の作成と内容の取扱い 各 学校 に お い ては 、校 長 を は じ め 全 教師 が 協 力 して 道 徳 教 育を 展 開 す るた め 、次 に 示 す と こ ろ に よ り 、道 徳 教 育 の 全 体 計 画 と 道 徳 の 時 間 の 年 間 指 導 計 画 を 作 成 す る ものとする。 (3) 各 学 校 に お い て は 、特 に 、規 律 あ る 生 活 が で き 、自 分 の 将 来 を 考 え 、国 際 社 会 に 生 きる日本人としての自覚が身に付くようにすることなどに配慮し、生徒や学 校の実態に応じた指導を行うよう工夫すること。また、悩みや心の揺れ、葛藤等 の 課 題 を 積 極 的 に 取 り 上 げ 、人 間 と し て の 生 き 方 に つ い て 考 え を 深 め ら れ る よ う 配慮すること。 (6) 中 学 校 【 特 別 活 動 】 ○目 標 望 ま し い 集 団 活 動 を 通 し て 、心 身 の 調 和 の と れ た 発 達 と 個 性 の 伸 長 を 図 り 、集 団 や 社 会 の 一 員 と し て よ り よ い 生 活 を 築 こ う と す る 自 主 的 、実 践 的 な 態 度 を 育 て る と ともに、人間としての生き方についての自覚を深め、自己を生かす能力を養う。 ○内 容 A 学級活動 学級活動においては、学級を単位として、学級や学校の生活への適応を図ると ともに、その充実と向上、生徒が当面する諸課題への対応及び健全な生活態 度の 育成に資する活動を行うこと。 (2) 個 人 及 び 社 会 の 一 員 と し て の 在 り 方 、 健 康 や 安 全 に 関 す る こ と 。 ア 青年期の不安や悩みとその解決、自己及び他者の個性の理解と尊重、社会の 一員としての自覚と責任、男女相互の理解と協力、望ましい人間関係の確立、 ボランティア活動の意義の理解など イ 心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成、性的な発達への適応、学校 給食と望ましい食習慣の形成など ‑34‑ ◇取扱い 第3 1 指導計画の作成と内容の取扱い 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。 (1) 学校の創意工夫を生かすとともに、学校の実態や生徒の発達段階などを考慮 し、教師の適切な指導の下に,生徒による自主的、実践的な活動が助長されるよ うにすること。また、家庭や地域の人々との連携、社会教育施設等の活用などを 工夫すること。 (2) 生 徒 指 導の 機能 を 十分 に生 か すと とも に、教育相 談( 進路相 談 を含 む。)につ いても、生徒の家庭との連絡を密にし、適切に実施できるようにすること。 ( 3 ) 学 校 生 活 へ の 適 応 や 人 間 関 係 の 形 成 、選 択 教 科 や 進 路 の 選 択 な ど の 指 導 に 当 た っては、ガイダンスの機能を充実するよう学級活動等の指導を工夫すること。 2 第2の内容の取扱いについては、次の事項に配慮するものとする。 ( 1 ) 学 級 活 動 に つ い て は 、学 校 や 生 徒 の 実 態 に 応 じ て 取 り 上 げ る 指 導 内 容 の 重 点 化 を図るようにすること。また、個々の生徒についての理解を深め、信頼関係を基 礎 に 指 導 を 行 う と と も に 、指 導 内 容 の 特 質 に 応 じ て 、教 師 の 適 切 な 指 導 の 下 に 、生 徒の自発的、自治的な活動が助長されるようにすること。 3 学 習 指 導 要 領 の 一 部 改 正 に つ い て ( 平 成 15年12月26日 付 文部科学省) (1) 改 正 の 内 容 ( 小 学 校 の 例 ) ※ ア ン ダ ー ラ イ ン の 部 分 が 改 正 点 第1章 第2 1 総則 内容等の取扱いに関する共通的事項 第 2 章 以 下 に 示 す 各 教 科 、道 徳 及 び 特 別 活 動 の 内 容 に 関 す る 事 項 は 、特 に 示 す 場合を除き、いずれの学校においても取り扱わなければならない。 2 学校 に お い て特 に 必 要 があ る 場 合 には 、第 2 章 以 下 に 示 して い な い 内容 を 加 え て指導することができる。また、第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範 囲や程度等を示す事項は,すべての児童に対して指導するものとする内容の範囲 や程度等を示したものであり、学校において特に必要がある場合には,この事項 にかかわらず指導することができる。ただし、これらの場合には、第2章以下に 示す各教科,道徳,特別活動及び各学年の目標や内容の趣旨を逸脱したり、児童 の負担過重となったりすることのないようにしなければならない。 第3 2 総合的な学習の時間の取扱い 総 合 的 な 学 習 の 時 間 に お い て は ,次 の よ う な ね ら い を も っ て 指 導 を 行 う も の と す る。 (3) 各教科、道徳及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け、学 習や生活において生かし、それらが総合的に働くようにすること。 3 各学校においては、1及び2に示す趣旨及びねらいを踏まえ、総合的な学習の 時間の目標及び内容を定め、例えば国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横 断的・総合的な課題、児童の興味・関心に基づく課題、地域や学校の特色に応じ た課題などについて、学校の実態に応じた学習活動を行うものとする。 ‑35‑ 4 各学校においては、学校における全教育活動との関連の下に、目標及び内容、 育てようとする資質や能力及び態度、学習活動,指導方法や指導体制、学習の評 価の計画などを示す総合的な学習の時間の全体計画を作成するものとする。 5 (略) 6 総合 的 な 学 習の 時 間 の 学習 活 動 を 行う に 当 た って は 、次 の 事 項 に 配 慮す る も の とする。 ( 1 ) 目標及び内容に基づき、児童の学習状況に応じて教師が適切な指導を行うこ と。 ( 2 ) (略) ( 3 ) グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態、地域の人々の 協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制について、工 夫すること。 ( 4 ) 学校図書館の活用、他の学校との連携、公民館、図書館、博物館等の社会教 育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携、地域の教材や学習環境の積 極的な活用などについて工夫すること。 ( 5 ) (略) 第5 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項 1 (略) 2 以上のほか、次の事項に配慮するものとする。 ( 1 )〜 ( 4 ) ( 略 ) ( 5 ) 各教科等の指導に当たっては、児童が学習内容を確実に身に付けることがで きるよう、学校や児童の実態に応じ、個別指導やグループ別指導、繰り返し指 導、学習内容の習熟の程度に応じた指導、児童の興味・関心等に応じた課題学 習、補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導、教師の協 力 的 な 指 導 な ど 指 導 方 法 や 指 導 体 制 を 工 夫 改 善 し 、個 に 応 じ た 指 導 の 充 実 を 図 ること。 (2) 改 正 の 内 容 ( 中 学 校 の 例 ) ※ ア ン ダ ー ラ イ ン の 部 分 が 改 正 点 ) 第1章 第2 1 総則 必修教科、道徳及び特別活動の内容等の取扱い 第2章以下に示す各教科、道徳及び特別活動の内容に関する事項は、特に示す 場合を除き、いずれの学校においても取り扱わなければならない。 2 学校において特に必要がある場合には、第2章以下に示していない内容を加え て 指 導 す る こ と が で き る 。ま た 、第 2 章 以 下 に 示 す 内 容 の 取 扱 い の う ち 内 容 の 範 囲 や 程 度 等 を 示 す 事 項 は 、す べ て の 生 徒 に 対 し て 指 導 す る も の と す る 内 容 の 範 囲 や 程 度 等 を 示 し た も の で あ り 、学 校 に お い て 特 に 必 要 が あ る 場 合 に は 、こ の 事 項 に か か わ ら ず 指 導 す る こ と が で き る 。た だ し 、こ れ ら の 場 合 に は ,第 2 章 以 下 に 示 す 各 教 科 、道 徳 、特 別 活 動 及 び 各 学 年 、各 分 野 又 は 各 言 語 の 目 標 や 内 容 の 趣 旨 を 逸 脱 し た り 、生 徒 の 負 担 過 重 と な っ た り す る こ と の な い よ う に し な け れ ば な ら ない。 3 (略) 4 (略) ‑36‑ 第4 総合的な学習の時間の取扱い 1 (略) 2 総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものとす る。 ( 1 )・( 2 ) ( 略 ) (3) 各教科、道徳及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け、学 習や生活において生かし、それらが総合的に働くようにすること。 3 各学校においては、1及び2に示す趣旨及びねらいを踏まえ、総合的な学習の 時間の目標及び内容を定め、例えば国際理解、情報、環境、福祉・健康などの 横断的・総合的な課題、生徒の興味・関心に基づく課題、地域や学校の特色に 応じた課題などについて、学校の実態に応じた学習活動を行うものとする。 4 各学校においては、学校における全教育活動との関連の下に、目標及び内容、 育 て よ う と す る 資 質 や 能 力 及 び 態 度 、学 習 活 動 ,指 導 方 法 や 指 導 体 制 、学 習 の 評 価の計画などを示す総合的な学習の時間の全体計画を作成するものとする。 5 (略) 6 総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっては、次の事項に配慮するも のとする。 ( 1 ) 目 標 及 び 内 容 に 基 づ き 、生 徒 の 学 習 状 況 に 応 じ て 教 師 が 適 切 な 指 導 を 行 う こ と。 (2) (略) (3) グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態、地域の人々 の協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制について 工夫すること。 ( 4 ) 学 校 図 書 館 の 活 用 、他 の 学 校 と の 連 携 、公 民 館 、図 書 館 、博 物 館 等 の 社 会 教 育 施 設 や 社 会 教 育 関 係 団 体 等 の 各 種 団 体 と の 連 携 、地 域 の 教 材 や 学 習 環 境 の 積 極的な活などについて工夫すること。 第6 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項 1 (略) 2 以上のほか、次の事項に配慮するものとする。 ( 1 )〜( 5 ) ( 略 ) ( 6 ) 各 教 科 等 の 指 導 に 当 た っ て は 、生 徒 が 学 習 内 容 を 確 実 に 身 に 付 け る こ と が で き る よ う 、学 校 や 生 徒 の 実 態 に 応 じ 、個 別 指 導 や グ ル ー プ 別 指 導 、学 習 内 容 の 習 熟 の 程 度 に 応 じ た 指 導 、生 徒 の 興 味 ・ 関 心 等 に 応 じ た 課 題 学 習 、補 充 的 な 学 習 や 発 展 的 な 学 習 な ど の 学 習 活 動 を 取 り 入 れ た 指 導 、教 師 の 協 力 的 な 指 導 な ど 指導方法や指導体制を工夫改善し、個に応じた指導の充実を図ること。 ( 7 )〜( 1 2 ) ( 略 ) ‑37‑ (3) 改 正 に 伴 う 考 え 方 学 習 指 導 要 領 の 基 準 性 を 踏 ま え た 指 導 の 一 層 の 充 実 に 関 し て 、具 体 的 に は 、次 の 2 点が示された。 ① 学習指導要領に示しているすべての児童・生徒に指導する内容等を確実に指導 した上で、実態を踏まえ、学習指導要領に示していない内容を加えて指導するこ とができること。 ② 「内容の取扱い」のうち、内容の範囲や程度を明確にしたり、学習指導が網羅 的・羅列的にならないようにするための事項は、すべての児童・生徒に対して指 導する内容の範囲や程度を示したものであり、学校において、特に必要がある場 合等には、これらの事項にかかわらず指導することができること。 ◇上記の2点の場合、いずれも各教科等及び各学年の目標や内容の趣旨を逸脱した り、児童・生徒の負担過重となったりすることのないようにしなければならない ことが明記されている。 ◇今回の一部改正は、内容の取扱いについて、無制限に許容するものではない。 各 教 科 等 に 示 さ れ た 内 容 や そ の 取 扱 い に か か わ る 記 述 は 、こ れ ま で と 同 様 で あ る 。 性教育における指導内容や使用教材等については十分に検討し慎重に取扱うこと は、これまでと全く変わらない。 ‑38‑ Ⅰ 小学校における性教育の進め方 1 小学校の性教育における課題 小学校の性教育を進めるために、配慮しておかなければならない課題は、性教育が「男性 として、 女性として、また社会人としてどう生きるか」という人間の生き方の根本にかかわ る問題であるという認識をもつことである。また、小学校は6年間という長い期間であり、 生涯の中でも心身の発育・発達の変化の著しい時期であり、この時期の発育・発達の特性に 適切に対応する指導を実践することである。このことを踏まえ、小学校の性教育の課題を整 理すると次のように考えられる。 生命の誕生及び心身の発育・発達における男女差や個人差に関する基礎的事項を理解 するとともに、自己の性を受容し、自分を大切にしようとする心情や態度を育てる。 男女には体の特徴や発達段階などに違いがあるが、互いに相手の人格を尊重し合うこ とが大切であることを知り、相手を思いやる心情や態度を育てる。 家庭における役割は、男女の別なく分担し、互いに助け合うことが大切であることを 知り、家庭や社会の一員として適切な判断や行動ができる能力や態度を育てる。 2 指導のねらい 児童の発達段階に即して、低学年、中学年、高学年または各学年ごとに指導のねらいを設 定し、それに基づいて指導計画を立てることが重要である。 低・中・高学年、それぞれの指導のねらいは、次のように考えることができる。 低 学 年 中 学 年 高 学 年 男女の体の違いに気付くとともに、自分は父親・母親から生まれ、愛情と保護に よ っ て育てられたことを知り、自分を大切にしようとする気持ちを育てる。 男女の体には違いがあるが、人間として共に大切な存在であることを知り、男女の 別なく仲良くしようとする態度を育てる。 家族は互いに助け合って生活していることに気付き、家族の一員として協力してい こうとする態度を育てるとともに、犯罪被害が起きている現状を知り、被害を防ぐ方 法 を身に付ける。 体のつくりや働きを理解するとともに 、男女の体の違いや発育・発達の特徴を知り、 、 互いに尊重し合う態度を育てる。 男 女 が そ れ ぞ れの 違 い や よ さ に 気 付 き 、 互 い に 相 手 を 尊 重 し 、 男 女 仲 良 く 協 力 す る 態 度 を育てる。 家庭の機能について理解し、家庭における自分の役割を自覚して行動する態度を育 てる。また、性情報を正しく受けとめ、適切に行動しようとする態度を育てる。 心身の発育・発達には男女や個人によって違いがあることを知るとともに、生命の 連続性や人の誕生について理解し、自他の生命を尊重する態度を育てる。 異性に対する心は男女に違いがあることを知り、互いを尊重し、より良い男女の友 達関係を築こうとする態度を育てる。 家庭や社会における男女の役割について考え、固定的な性役割にとらわれず、男女 が協力することの大切さを 知 る と と も に 、 性 情 報 や 性 被 害 、 エ イ ズ に 関 す る こ と な ど に つ い て 認 識 を 深 め 、 健 康 で 安 全 な 生 活 を営む態度を育てる。 ‑40‑ 3 実施に向けた手順 小学校における性教育を具体化するためには、児童の実態、教員の課題意識や指導体制、 保護者の考え方など、それぞれの学校の実態を的確に把握し、それに応じた手順を考え、ね らいを明確にしていく必要がある。一般的な手順として次のように考えることができる。 学校の教育目標 性教育の目標 実態把握 ・児童の実態 (知識、欲求等) ・教師の意識 ・地域の実態(環境等) ・保護者の考え方 推進組織づくり ・社会的な背景 ・共通理解 ・指導体制の確立 ・協力体制の確立 学 校 に お け る 課 題 の 明 確 化 教 育 課 程 の 編 成 指導計画の作成と 個別指導・相談体制 の確立 教科等の年間指導計画の作成 ・ねらいの明確化 ・指導内容の厳選 ・教科・領域間の連携 ・役割分担の明確化 ・場の設定、時間の確保 指 導 計 画 の 実 践 ・ 1 時間ごとの評価と改善 ・教科・領域間の情報交換と連携 ・教育相談との情報交換 ・家庭への連絡と協力 指 導 実 践 の 総 括 的 評 価 ・指導計画、指導実践の妥当性 ・児童の変容と課題 ・組織上の課題 ‑41‑ 4 発達の特徴に応じた指導内容の精査 小学生の時期では、性に関する学習体験が将来の性意識や性行動に深く影響を及ぼすことが考 えられる。そこで各発達段階においては、性に関する発達の特徴や児童が当面する課題を明らか にし、その課題を解決するために指導内容や教材等を精査する必要がある。また、指導内容や教 材の精査に当たっては、学習指導要領に基づくとともに、次の視点を押さえておく必要がある。 特 徴 指 導 内 容 ○ 身 体 的 な 発 達 速 度 は 安 定 し た 時 期 ○男女の体の違いに気付かせ、それぞれ違いがあっ 低 で あ る が 、 生 理 的 な 機 能 の 発 達 は 未 熟 ても自分や相手を大切にしようとする心情や態度を 学 で あ る 。 自 分 の 体 や 性 器 へ の 関 心 か ら 育てることが大切である。 年 ス カ ー ト め く り や 性 的 言 葉 を 発 す る な ○ 人間 の 体に はい ろ いろ な 器官 が あ り、 それ ぞれ が ( ど の 行 動 が み ら れ る こ と が あ る 。 自 分 大 切な 働 きを もっ て いる こ と、 性 器 は大 切な 器官 で 第 と 異 な る 性 へ の 興 味 か ら 生 じ た 行 動 と あ り、 清 潔に する こ とが 大 切で あ る こと を理 解さ せ 1 考えられる。 ・ る。 ○知的発達が目覚ましく、好奇心旺 ○ 動物 の 飼育 や植 物 の栽 培 を通 し て 生命 の大 切さ を 2 盛な時期である。自分や赤ちゃんの誕 知 らせ る とと もに 、 自分 は 父親 ・ 母 親に よっ て生 ま 学 生に疑問をもったり、性や性差に対し れ 、愛 情 と保 護に よ って 育 てら れ て きた こと に気 付 年 て関心をもち幼児期と同様に「なぜ」 かせることが大切である。 ) という質問をすることがある。 ○ ま だ 自 己 中 心 的 行 動 が 多 い が 、 人 ○ 男女 が 互い に仲 良 くし 、 助け 合 い 、自 他を 大切 に 間 関 係 が 友 達 や 教 師 へ と 広 が り 、 性 役 し よう と する 態度 を 育て る こと が 重 要で ある 。こ の 割 意 識 が 少 し ず つ 芽 生 え る 時 期 で あ こ とは 、 将来 の男 女 の人 間 関係 の 基 礎を 培う 上で 大 る 。 互 い に 異 性 と し て の 意 識 は ま だ 弱 切である。 く、男女の別なく仲良く遊ぶ時期であ る。後期になると、性や性差に対する 関心がやや高まり、性的いたずらをす る児童もみられる。 ○ 精 神 的 に は ま だ 未 熟 で あ り 、 保 護 ○ 古い 時 代の 固定 的 な性 役 割に 偏 る こと なく 、家 庭 者 や 教 師 へ の 依 存 度 が 高 く 、 そ の 影 響 に は様 々 な役 割が あ り、 家 族が 助 け 合っ て生 活し て を 強 く 受 け る 時 期 で も あ る 。 ま た 、 家 い るこ と を理 解さ せ ると と もに 、 家 族の 中の 自分 の 庭 に お け る 保 護 者 や 家 族 の 様 子 か ら 、 役 割を 知 り、 自分 も 家族 の 一員 と し て役 割を 分担 し 性役割意識が育つ時期でもある。 ていこうとする態度を育てることが大切である。 ○生活の場が広がり行動範囲が拡大し、それに伴って 性被害に遭うことも想定される。このため、児童に誘 拐や犯罪被害があることを知らせ、それを避けるため の基本的な行動や態度を身に付けさせる必要がある。 ‑42‑ ○体の発育・発達によって体格や体 ○思春期の体つきの変化や精通、初経の仕組みなど 中 力に、男女の間に違いが生じ始める時 について、正しく理解させる。 学 期である。また、身体的に早熟な女子 ○体の発育・発達の仕方や体つきには男女や個人に 年 では体つきの変化や初経などがみられ よって違いがあることを知らせ、不安を解消する。 ( ることがある。このため、体への関心 また、女子に対して初経に対する心構えや月経の手 第 が高まり、体の変化や他人との違いに 当ての仕方を習得させるとともに、生活上の配慮に 3 不安を抱く児童もみられる。 ついて理解させる。 ・ ○自分の良さや他人の良さに気付かせ、他人へのい 4 ○ 自 己 中 心 的 な 考 え 方 か ら 、 客 観 的 たわりや思いやりの気持ちを育てるとともに、自他 学 に 物 事 を 考 え る こ と が で き る よ う に な の生命を大切にしようとする態度を育てることが重 年 る 時 期 で あ る 。 し か し 、 相 手 を 思 い や 要である。 ) る 気 持 ち に は ま だ 未 熟 な 場 合 が 多 い た ※性情報の氾濫や犯罪防止等を理由に学習指導要領 め 、 家 族 や 友 達 と の 関 係 を 通 し て 自 己 に示されていない内容を教科等で取り扱わないよう を 見 つ め 、 他 人 を 思 い や る 心 を 育 て る にする。 ことが大切である。 ○ 体 の 発 育 ・ 発 達 に 男 女 の 間 に 違 い ○ 男同 士 、女 同士 と いう 関 係は 性 的 同一 化を 図る 上 が 生 じ 始 め る 時 期 で あ り 、 性 意 識 が 明 で 大切 な こと であ り 、そ の こと を 踏 まえ た上 で、 男 確 と な る と と も に 、 異 性 に 対 す る 関 心 女 が相 互 に理 解し 合 い、 好 まし い 異 性観 や性 意識 を も 芽 生 え て く る 。 し か し 、 そ れ が 反 発 形 成し て いく こと が 大切 で ある 。 男 女に は体 や物 事 や 対 立 と い っ た 形 で 現 れ る こ と が あ に 対す る 感じ 方や 考 え方 に 違い が あ るが 、人 問と し り 、 男 女 が そ れ ぞ れ 同 性 の 集 団 で 行 動 て 同じ で ある こと を 理解 さ せ、 性 別 にこ だわ らず 、 することが多くみられる。 互 いに 理 解し 合い 仲 良く 協 力し て い こう とす る態 度 を育てることが重要である。 ○ 自 分 の 家 庭 と 友 達 の 家 庭 を 比 較 し ○ 様々 な 家庭 の形 や 家庭 に よっ て 異 なる 家族 の役 割 た り し て 、 自 分 を 取 り 巻 く 社 会 環 境 に を 理解 し 、自 分の 家 庭に お ける 家 族 や自 分の 役割 に つ い て 認 識 し 始 め る 時 期 で あ る 。 児 童 つ いて 考 え、 自分 も 家族 の 一員 と し ての 役割 を果 た は、保護者や家族をモデルとして男女 そ う と す る 態 度 を 身 に 付 け させ る こ と が 大 切 で あ の 在 り 方 を 学 習 す る が 、 最 近 は 家 庭 の る 。ま た 、こ の時 期 はマ ン ガを 読 ん だり 、テ レビ を 形 態 や 家 庭 内 の 役 割 は 多 様 化 し て お 見 たり す る時 間が 増 え、 有 害な 性 情 報や 暴力 、殺 人 り 、 こ の こ と が 性 を 自 認 す る こ と に も 等 の場 面 など に触 れ る機 会 も増 加 す る。 そこ で、 マ 影響を及ぼしている。 ン ガや テ レビ から 得 る性 情 報な ど の 場面 につ いて も 考 えさ せ 、こ れら に 対す る 批判 的 な 心や 態度 を育 て る必要がある。 ‑43‑ ○多くの児童は体つきが変わり、女 ○心身の発育・発達には男女や個人によって違いが 高 子は初経を迎えるなど、心身ともに大 あることを理解させ、心理的な安定を図ることも大 学 きな変化が現れる。それに伴い自分の 切である。特に、女子の場合は、初経への対応や月 年 体についての不安や悩みをもつように 経に関する不安の解消についてきめ細かく指導する ( なる。 必要がある。また、男子は精通を経験する児童もお 第 り、心理的に不安定になることもあるので、個別指 5 導が重要となる場合もある。 ・ ○体の成長や思春期における心の変化について理解 6 を深めさせ、不安や悩みを解消させる必要がある。 学 ○体の成長に伴い、性に関する不安 また、マスコミ等による性情報や思春期の体の変 年 や悩みが生じる。また、身体だけでは 化、人の発生の学習等をきっかけとして、生命誕生 ) なく心にも変化が現れる。周りの中の や生殖の仕組みについて関心や疑問をもつようにな 自分という存在を意識し、他者との比 る。 較や理想との格差に不安や悩みをもつ ようになる。 ○体の成長に伴い、異性への関心が ○ 思春 期 にな ると 異 性に 関 心を も っ たり 、親 しく し 高まり、自己の性への認識が確かにな た いと い う気 持ち が 生ま れ るこ と が ある こと を知 ら る時期である。異性に対する様々な感 せ ると と もに 、人 に は感 じ 方や 考 え 方に 違い があ る 情が現れ始めるが、まだ、反発する気 こ とを 理 解さ せ、 多 くの 友 達と の か かわ りの 中で 、 持ちも残っており、それが、男女間の 相 手の 立 場や 気持 ち を尊 重 しな が ら 、よ り良 い男 女 反発や性的いたずらとなって現れるこ の 友達 関 係を 築い て いく こ とが 大 切 なこ とを 理解 さ とがある。また、マスコミ等からの誇 せる必要がある。 張や刺激的な情報に接することが増 え、不安や悩みをもつようになる。中 には、特定の異性と親しくなりたいと いう気持ちを抱く児童も存在する。 ○ 大 人 よ り も 友 達 と の か か わ り を 大 ○ 男女 に は性 差が あ るが 、 男女 の 役 割は 固定 的な も 切 に し よ う と す る よ う に な り 、 ま た 、 の では な いこ とを 理 解さ せ ると と も に、 互い に男 女 性 差 や 男 女 の 性 役 割 を 意 識 し 始 め る 時 の 良さ を 認め 合い 、 互い が でき る 仕 事を 分担 し、 協 期でもある。 力 して 生 活し てい く 態度 を 身に 付 け させ るこ とが 大 切である。 最近 、 児童 の性 被 害が 大 きな 社 会 問題 とな って い る こと か ら、 性被 害 の実 態 を知 ら せ 、被 害を 避け る ‑44‑ た めの 態 度や 行動 を 身に 付 けさ せ る 必要 があ る。 な お 、児 童 の実 態に よ って は 、性 加 害 につ いて も扱 う 必 要が あ る。 何気 な い言 動 が相 手 を 傷つ ける こと を 知 らせ る とと もに 、 いじ め や性 差 別 に対 する 人権 感 覚の基礎を養うことが大切である。 ○ 高学 年 児童 の中 に は 、 い わ ゆ る ポ ル ノ 雑 誌 や ア ダ ルトビデオに関心を示し、中には保護者の持つ物を 盗 み見 る場 合な どが考 えら れる 。家庭 と協 力しな が ら、性の 商品 化や 人権に つい て、 適切に 指導 する 必 要がある。 特に人権に関しては、エイズに対する偏見や差別 が依然として存在し、社会問題となっていることか らエイズという病気のあらましを理解させエイズに つ い て 偏 見 や 差 別 を も つ こ と な く 、 正 し い 判 断 がで きる能力と態度を育てることが大切である。 5 教育課程への位置付け 性教育を確実に進めるためには、各教科等で個々に行なわれている性に関する学習を整 理・調整し、それぞればらばらに進めるのではなく、学校全体として統一の取れた形で推進 す る 必 要 が あ る 。 そ の た め に は 、 性 教 育 の 推 進 組 織 を 確 立 す る と と も に 、「 性 教 育 の 全 体 構 想」を作成し、教育課程に明確に位置付けることが大切である。 次に、全体構想図に基づき、具体的な指導計画が作成される必要がある。指導計画は、各 教科等の関連する内容をまとめ、それらが年間を通して相互に関連し合いながら、学習が進 められるように計画されなければならない。 また、各教科、道徳や特別活動における指導においては、学習指導案を作成することが大 切である。これらは推進組織等で相互に情報交換し、互いの連携を保って行われる必要がある。 さらに、教育相談や健康相談活動で行われる「個別指導」も組織的・計画的に行われなけ ればならない。養護教諭やスクールカウンセラー等との連携も大切である。 6 指導計画作成のための留意事項 全体構想図に基づいた年間指導計画を作成するに当たっては、次のような視点に留意する 必要がある。 ① 教育目標との関連を図り、ねらい、内容、方法を明確にする。 全体計画に基づき、教育目標と関連を図ってねらいを設定するとともに、学校の実態か ら導き出した課題に直接対応できる学習内容を精査し、指導方法を工夫する。 ② 学習指導要領に準拠する。 学習指導要領に示された内容について、各教科、領域ごとに指導の時期や方法等を考慮 しながら計画する。その際、内容相互の有機的な関連が図れるよう配慮する。 ‑45‑ ③ 発達段階に即した効果的な学習指導を行う。 児童の実態を踏まえ、発達段階に即して指導方法や教材を工夫する。特に、児童の学習 経験から理解が困難と思われる高度な心理学的内容や身体各部位の構造や名称などに深入 りしないように留意する必要がある。また、性交や性行為の具体的方法等については、児 童の理解が困難であり、学習指導要領に示されておらず取扱わない。 ④ 総合的な学習の時間での扱いを工夫する。 総合的な学習の時間で性教育の内容を取り上げる場合には、総合的な学習の時間のねら いを十分に踏まえなければならない。「自己の生き方を考える」という視点から、教科等 に お け る 指 導 と の 関 連 を 図るよう配慮する。また、個人の発達段階やレディネス等に応じ て個別指導等の工夫を行う。 ⑤ 補助教材を吟味する。 補助教材の取扱いについては、教育委員会の管理運営規則に示されている。児童の発達 段階と学校の性教育のねらいに即して適切であるかという視点から選択する。また、表現 や図案等が適切であるかについても吟味する必要がある。 ⑥ 保護者や地域社会の理解・協力を得る。 性教育に関しては、保護者や地域社会の受け止め方や、考え方は極めて多様であると推 察される。学校における性教育が人の生き方の根幹にかかわるものであるという配慮のも とに、指導内容や方法を十分説明し、理解・協力を得て指導計画を立案する。 7 指導体制の整備 学校における性教育は、全教職員の組織的な協力のもとに推進されることが重要である。 そのためには、教職員一人一人が学級担任や養護教諭など、それぞれの立場に応じた役割と 職務内容について明確に認識するとともに、それぞれの役割の中での協力体制を整えるなど 指導体制を整備することが大切である。 ① 各教科における取組の充実 体育、家庭、理科など関連の教科での連携を図り、各教科の指導内容や方法について関 連付けて指導に当たることが大切である。特に、順序性が重要になる指導内容については 教科間の連携が重要である。 ② 道徳・特別活動における取組の充実 道徳や特別活動では、各教科での学習をもとに、関連した発展的な内容や補充的な内容 を取り扱うことになる。 ( 例・エイズの学習 =保健 エイズと人権 = 学級活動 ) 従って、道徳や特別活動での指導では、各教科と連携した綿密な指導計画の立案が必要で ある。 ③ 総合的な学習の時間における取組の充実 総合的な学習の時間においては、そのねらいを踏まえて各個人の興味や関心に応じて人 間の性に関する課題を設定し、その学習過程で性教育のねらいである「男性あるいは女性 としての在り方・生き方」を考えられるようにすることが大切である。そのためには、学 年の指導体制はもとより、養護教諭や学校医等の支援のもと、一人一人に対するよりきめ ‑46‑ 細かな指導が重要である。 ④ 個別指導の充実 小学生の時期における性に関する知識・理解やレディネスは、個人差が大きく、一斉の 指導では十分でないことも多い。また、性に関する問題で悩んでいる児童も存在すること も考えられるため、個別指導の充実は不可欠である。個別指導は、学級担任はもとより養 護教諭や教育相談、地域の関係機関とも連携を深めて組織的に実践することが大切である。 8 家庭・地域社会との連携 学校における性教育は、家庭の理解と協力を得ながら、地域社会と連携して行われること により、より効果的になる。従って、家庭や地域社会に対して適宜、学校の考え方や取組の 状況を発信するとともに、家庭や地域社会の実情や願いを把握し、指導に生かしていくこと が大切である。 家庭や地域社会と情報交換し、連携を図る方法には次のようなことが考えられる。 <家庭との連携> ① 各種のたよりによる情報提供・啓発活動 ② 保護者の意識調査の実施 ③ 学芸会等の行事での取組 ④ 授業参観の実施 ⑤ 保護者会、学級懇談会等での性の問題の提示 ⑥ 保護者向け講演会の実施 ⑦ 学校保健委員会での取組の充実 <地域社会との連携> ① PTA等の主催による地域住民を対象とした家庭教育学級の開催 ② 地域のコミュニティーセンターと連携した関連事業への協力 ③ 青少年対策委員会等と連携した性に関する地域情報の収集 ④ 地域医療機関や保健所等との連携 ⑤ 学校運営連絡協議会での連携 ‑47‑ Ⅱ 性教育の指導事例 1 『たいせつなからだ』(第1学年 学級活動) ねらい ◎男女の体の違いに気付くとともに、自己の性を認識し、自他の体を大切にする。 学 習 活 動 導 入 絵を見ながら、体の部分の名前と働きを考えよう ◆評価 ○ 体の部分と働きについて、カードを用 意し、絵に貼りながら整理する。 1 絵を見て、体の部分と働きを発表する。 分 20 ○ 教師のかかわり あなたは男の子?女の子? 2 自分の性について、なぜそう思うのかを発表 頭=考える 目=見る する。 鼻=臭いをかぐ・息をする 口=食べる・話す・息をする 手=持つ・握る おしり=座る・うんちをする 足=歩く・走る 展 開 分 20 一人一人に違いはあるのだろうか 3 人にはそれぞれに違いがあることに気付き、 ◆ 自己の性を認識している(知) 発表する。 ○ 人には違いがあっても、それぞれにい いところや得意なことがあるという 自分のいいところを発表しよう こと、また体も含めて、自分のことも 友達のことも大切にすることを押さ える。 まとめ5分 ◆ 男女の違いに気付き、自分の体も、友 お互いを大切にしよう 達の体も大切にしていこうとしてい る。(関) ‑48‑ 男女の体の違いについて 性器の名称や働きについては、第4学年保健学習「育ちゆく体とわたし・思春期の体の変 化」で取扱う。 低学年では、次の点に留意して取扱う。 ○ 男女では性器の形が違うことから、排尿の仕方に違いがあること。 ○ 性器の働きについては、おしっこが出るところであること。 ○ 性器は大切な器官であるので清潔にすることやむやみに他人に見せたり、ぶったりけった りしてはいけないこと。 ○ 性器の名称は、日常会話の中では、他の部位の名称と同様に使用しないのが生活上のマ ナーやエチケットのひとつであること。 肯定的な自己像を育てる指導 「いいところはっけん」 自分のいいところ、得意なこと、家族や周囲の人からほめられたことなどを発表する。自 分のいいところを発表できない児童に対しては、他の児童が認めている姿を発表させたり、 教師が感じている長所を伝えたりする。発表された内容については、すべて肯定的に受け止 めることで、自尊感情を高めるとともに、友達のいいところを認めようとする感情を育てた い。 ワークシートを活用し、それを掲示するなどして意識を高めることもできる。 ワークシート例 いいところは なまえは です です とくいなことは さんの が です すてきです ‑49‑ 2 『大きくなるわたし』(第2学年 生活) ◎ これまでの自分を振り返ることで成長を実感し、これからの成長に思い ねらい や願いをもつことができる。 学 導 入 分 10 習 活 動 ○教師のかかわり 今までで一番うれしかったことは何だろう。 1 ◆評価 ○うれしかったこと、楽しかったことな ど、自由に発表できる雰囲気をつくる。 生まれてからや入学してからの思い出深い 出来事を話し合う。 ○成長の振り返りとなる手掛かりは家庭 ・家族のこと ・地域の行事のこと ・入学してからの学校行事のこと などから考える。 に限定せず、幼稚園や保育園、学校へ入 学してからのことや地域の行事などを思 い出して集めることを伝える。 ○振り返りの具体的資料が少ない子ども へは個別に対応するなど十分に配慮す 展 開 分 20 自分の成長を振り返ってみよう。 2 る。 振り返りの手掛かりをもち寄り、成長を実感 する。 ○自分の成長について全員が発表できる ・乳幼児期の写真 ・乳幼児期の衣服 ・これまでに書いた絵などの作品 ・家族からの手紙 などをもとに振り返る。 時間を十分に確保する。 ○発表の内容から、自分の体の成長とと もに、心も成長していることに気付くよ う助言する。 ◆自分の成長について、関心をもとうと まとめ 分 15 3年生になったら、どんなことをがんばりた いかな。 3 している。(関) 3年生になって、がんばってみようと考えて いることをワークシートに書き発表する。 ○全員のワークシートを後で掲示するこ とを伝える。作業の状況を確認し、数名 に発表させる。 ◆これからの自分の成長に思いや願いを もち始めている。(思) ‑50‑ 振り返りとなる手がかり 自分の成長をふり返るには、具体的な手立てが必要である。例えば ①家族や近所の人等からの話 ②幼稚園や保育園の先生などの話 ③入学してまもないころ書いた絵や名前 ④行事などのスナップ写真 ⑤生活の中でのエピソードなどが考えられる。 どの時点から自分の成長を振り返り実感するかは、児童によって異なる。よく覚えて いることから振り返る児童もいれば、現在の自分から振り返る児童もいる。大切なのは、 自分の成長を実感できることであって、一律に過去から順にたどることではない。 気付きが少ない子どもへの支援として、過去に経験した楽しいエピソードや出来事を 絵や文章でまとめるとよい。自分で思い出すことが難しい場合には、家族や地域の人へ のインタビューを中心に構成するなどして工夫し、自分が成長したことがわかるように する。 家族や近所の人の話、幼稚園や保育園の先生などの話などは事前にインタビューして メモにしておくと、当日の授業の際、振り返りがしやすい。また、身長や体重から振り 返りをする児童がいた場合、事前に健康カードなどを準備しておくとよい。 大きくなるわたし (ワークシート) 心のノートの活用 1・2年用 P8〜9 「あなたのことをおしえてね」のペ ージを自分の成長の振り返りや行 動のきっかけとして使用する。「心 のノートを、道徳の授業や性教育の 授業に活用する。 ※使用方法のポイント ① 書いた月日を必ず記入する。 ② 気持ちが変わった時にまた書 く。(その際、以前に書いたもの は消さないようにする)など。 ‑51‑ 3 『こんなときどうする』(第3学年 学級活動) ◎ 誘拐など(性被害を含む)の犯罪から身を守るための基礎的な能力や態度を身に付 ねらい けるとともに、危険を予知してそれを避けることができるようにする。 学習活動 導 入 分 10 ○教師のかかわり ◆評価 こんなときとき、あなたはどうしますか。 1 先生が知らない人の役になりロールプレイン ○色々な誘いの手口があるので、実態にあ わせて場面を設定する。 グをする。 (資料1) 【例1】本当に道を尋ねている人の場合 【例2】犯罪を考えて声をかけている人の場合 【例3】急に手をつかまれた場合 ○誘いの手口はとても巧みであるこ とを知らせる。 2 ロールプレイングを通して感じたことを発表す る。 ○誘拐などの犯罪に対する危険予知の 能力を高めさせる。 展 開 ○実際に直面すると、体が動かなかっ 3 変だな と感じたときは、どうしたらいいか考 分 25 える。 たり声が出なかったりして、考えた ようにうまく行動できないことが あることを理解させる。 ○危険回避能力を高めさせる。 ○身近にある危険な場所に気付かせ 4 どんなとき、どんな場所が危険か考える。 る。 (駐車場・エレベーター・寂しい公 園・人通りの少ない道・繁華街等) ○自分や他の人にも危険性があるこ とを知らせる。 (資料2) 5 もう一度ロールプレイングをして、上手な断り ○『小学生の痴漢被害の特徴』(警視 方や逃げ方を工夫してみる。 庁)の資料を参考に「親に話す」ことの 重要性を認識させる。 まとめ 分 10 (資料3・4) 6 怖い体験をしたときは、必ず家族や学校の先生 ◆誘拐などの犯罪(性被害を含む)か に話す必要があることを知り、被害にあわないた ら身を守るための基礎的な行動や めに、自分にできることは何かを振り返る。 態度が身に付いてきている。(思) (資料5) ‑52‑ 【こんな誘いに気を付けよう】 (資料1) 【警視庁資料より】 (資料3) ★ 犬をいっしょに探してくれる? 小学生の痴漢被害の特徴 ★ 新しいゲームがあるんだけど、一緒に 多発時間 午後2時から6時までの間 遊ぼう? (下校時〜夕食時) ★ おもちゃを買ってあげるから、あっちに 親に話さない 行こうよ。 被害にあったことを親に 言うと怒られるのではないかと恐れ、 ★ あなたのお母さんが交通事故にあって なかなか言わない。 今病院なんだよ。お母さんから、君を つれてくるように頼まれたから早く車 に乗って! 【保護者との連携のために活用できる資料】 ★ ○○君ちょうど君の家に行くところだ (資料4) から、車に乗せていってあげるよ! 【小学生を狙った犯罪例】 誘拐や性被害の防止については、保護者会な どで話題にし、下記の点について共通理解を図 (資料2) る。 ●いきなり刃物を持った人が近づいてきた。 ① 日頃から、子どもと約束しておくこと。 ●わいせつな話しをされた。体を触られた。 外出するときはお家の人に ●性器をわざと出して見せられた。 ●家に帰るためマンションのエレベーターに乗 ったところ、ドアが閉まる直前に人が乗り込 んできた。 ●自宅の玄関の鍵を開けたとたん、後ろから人 が押し入ってきた。 ●宅配便や集金を装った人に玄関のドアを開け させられた。 など。 伝えていく! □ どこにいくのか。 □ だれといっしょか。 □ 何をするのか。 □ 何時にもどるのか。 ※ 外出時、直接家族に伝えられない時は、 メモに書いて出かけるなど約束を決めて おく。 遊ぶときは! □ 1人では遊ばない。 等工夫する。 □ 危ない場所では遊ばない。 ② 被害にあったことを子どもが親に伝えや すいように、日頃から親子のコミュニケー ションを図っておく。 【犯罪被害(性被害を含む)防止のための約束 「楽しい生活安全チェック」(東京都発行)の活用】 (資料5) あぶないめにあわないために、できるかな?チェックしてみよう! 防犯の合い言葉 知らない人には絶対についていかない? 道を聞かれたら、その場で教える? 知らない人の車には乗らない・近付かない? 悪い誘いには、絶対にのらない? 人通りの少ない道は歩かない? 危ないめにあいそうになったら大声で助けが呼べる? いつでも駆け込める「子ども110番」(ステッカー)の家やお店の場所を知っている? ‑53‑ いか ない の らない お おごえをだす す ぐにげる し らせる 4 『生きているってどんなこと』 〔内容項目3−(2)〕(第3学年 道徳) ねらい ◎生命の尊さを感じ取り、生命あるものを大切にする。 学 習 活 動 ○教師のかかわり ◆評価 導 入 (「心のノート」P.52〜P.59より) 「大切ないのち」を守るために、自分はどのよ うなことをしていったらいいか考えよう。 分 15 1 「植物も動物もともに生きている」を読み、 ○「心のノート」を読み、自分と同じよう に動植物も「生きている」ことに気付か 「生きている」とは、どういうことかを話し合 せるようにしていく。 う。 展 開 ○自分の経験の中から、一場面を取り上げ、 2 分 25 植物や動物、人間の「生と死」についての体 具体的な話 ができるよ うにしてい く。 そ 験を思い出し、そのときの気持ちを話し合う。 のときの、 気持ちや考 えを発表さ せる よ うにしていく。 ○日常生活の中でも、 「いのち」に関係した ことを考えたり接したりしていること に、気付かせるようにしていく。 3 「大切ないのち」を守るために、自分自身が 「守られなければならないこと」や「自分がで きること」を考え、ワークシートに書く。 事前に、家 族にインタ ビューして おい て もよい。 (資料1) ○「大切ないのち」を守るため に、自分 は、 これから 何をすればいいか、場面ご とに 考えるよ うにしてく。 (資料2) 終末5分 4 書いたことを発表し合う。 〈例〉学校生活で、遊ぶとき、等 5 担任からの話を聞く。 ○教師の体験を話したり、物語などを読ん だりして、「大切ないのち」の重みをお さえていくようにする。 ◆「生命の大切さ」を実感し、それをもと に自他共の「大切ないのち」を守ること の重要さに、気付いたか。(思) ‑54‑ 学級経営の担任としての願い 何かに夢中になったり、喜んだり、悲しんだりするのは生きているからこそである。生命 の重みを感じ取り、みんなで助け合い、支え合い、共に精一杯生きていくという姿勢が大事 である。 「生きているということは、どういうことか」 「命を大切にするとは」ということを 日常生活の中で、意識的に考えさせていくような場面を設定し、命を大切にする子どもを育 てていきたい。 【 ワークシート 】(資料1) 自分の経験したことや聞いたことを書こう! 名前( ) ○植物や動物が「生きているな」と感じるのは、どんな時ですか。 ○自分や友だち、家族が「生きているな」と感じるのは、どんな時ですか。 【 ワークシート】 (資料2) 日常的な取り組みに活用できるカード例 考えよう!「大切ないのち」 年 組 ぼくの花・わたしの花 「生きている」ことを感じたよ 名前 ○「いのち」を守るために、していかな ければいけないことは? 月 〔学校では〕 日 月 日 月 日 月 日 〔友だちと遊ぶときは〕 〔道を歩いているときは〕 ○「いのち」を守るために、自分ででき ることを、書きましょう。 名前 ※「生きて いる」こと を発見した ときに 書くカード。帰りの会等で発表する。 ‑55‑ 5「育ちゆく体とわたし」(第4学年 体育:保健 4時間扱い) 【単元のねらい】 ● 体の発育・発達について理解できるようにする。 (1) 体は、年齢に伴って変化すること。また、体をよりよく発育・発達させるためには、調和の とれた食事、適切な運動、休養及び睡眠が必要であること。 (2) 体は、思春期になると次第に大人に近づき、体つきが変わったり、初経、精通などが起こっ たりすること。また、異性への関心が芽生えること。 【単元指導計画】(関:関心・意欲・態度,思:思考・判断,知:知識・理解) 評価の観点 時 ね ら い 主 な 学 習 活 動 関 思 知 ○体は、年齢に伴って 変化していることや 変化には個人差があ 1 ることを理解する。 自分の体の変化について調べよう。 1年生から4年生までの身長の変化を調べよう。 ○ ○ ○体の発育・発達には 調和のとれた食事、 2 適 切な運動、休養と 睡眠が必要であるこ とを理解する。 ○思春期には体つきに 変化が起こり、男女 の 特 徴 が 表 れ るこ と を理解する。 3 ○これからの自分の成長に関心をもつ。 ○体は、年齢とともに成長していくことを知る。 体を発育させるには何が必要かを考えよう。 ○ ○ ○体をよりよく発育・発達させるためには何が必要か を考える。 ○調和のとれた食事、運動、休養と睡眠が必要である ことを理解する。 男女の体について、大人になるとどんな変化が 表れるかを考えよう。 ○ ○ ○思春期には初経、精 通が起こることを理 解する。 ○また、異性への関心 が芽生えることを理 解する。 4 ○大人になると表れる男女の体の違いについて考える。 ○思春期には体つきに変化が起こり、男女の特徴が表 れることについて理解する。 男女の体の変化について考えよう 。 ( 初経 、精通 ) ○ ○ ○初経、精通の現象について理解する。 ○思春期を迎え異性への関心が芽生えることを理解 する気持ちを考える。 学習のまとめをしよう。 ○ ○ ○今までの学習で分かったことをまとめる。 ○発育・発達には人によって違いがあることを受け止 めようとしている。 ‑56‑ (1)「体の変化について調べよう」(第1時) ねらい ◎ 体は、年齢に伴って変化することを理解する。 学 習 活 動 ○教師のかかわり 導 入 大きくなるにつれて、自分の体のどんな ところが変化していったのかを考えよう。 分 15 1 1年生から4年生までの体の変化を知る。 ・身長や体重などの体格の変化 ・靴や衣服のサイズの変化 などから考える。 展 開 2 ◆評価 ○児童の健康カード等を利用する。 ○事前に、一人一人の身長の伸びを表した 紙テープ(1〜2、2〜3、3〜4年ご とに線を入れる )、テープを貼るグラフ を用意しておく。 ○意見の中から、身長について考えること を示す。 ○自分の身長の伸びを見て、感想をもつ。 伸びのテープは学年ごと切り取り、グラ フに貼る。 グラフから気付いたことを発表し合う。 分 20 ○身長の伸び方や体重の増え方には早い、 遅いがあり、一人一人に違いがあること に気付かせ、個人差があることを理解さ せる。 ○思春期の説明をする。 3 これからの自分の成長について考える。 まとめ ○自分の成長に対して期待がもてるような 声かけをする。 「これからもっと成長していくんだよ」 「だんだんと大人に近づいていくよ」 ◆これからの自分の成長に期待をもつこと 4 分かったことや思ったことを学習カードに ができたか。(関) 記入する。 ○カードは学習したことがまとめられるよ 10 うに作成しておく。 分 ◆体は、年齢に伴って変化することが理解 できたか 。(知) ‑57‑ ( 2 )「体の発育・発達に必要なもの 」(第2時) ねらい ◎体の発育・発達には調和のとれた食事、適切な運動、休養と睡眠が必要であること を理解する。 学 習 活 動 ○教師のかかわり 導 入 体をよりよく発育・発達させるには何が 必要かを今までの経験から考えよう。 ○3日〜4日間くらいの生活表を記禄 させておく。 分 5 ◆評価 1 2 体をよりよく発育・発達させるには何が必要か ○3学年での既習内容を思い出すよう を今までの自分の経験から発表する。 に発問をする。 「みんなの体がよりよく成長していく ためには何が必要だろう」 「3年生で学習したことを思い出して 考えましょう」 グ ループごとに話し合い、意見をまとめる。 −食事− 展 開 −運動− ○一つの観点を具体的に発表できるよ うに助言をする。 【例 】「食事のこと」 ・たくさんの種類を食べる ・バランスよく食べる。 ・好き嫌いをしない 分 30 ○食事、運動、休養及び睡眠に関する 資料を用意する。 −休養・睡眠− まとめ 3 グループでまとめた意見を発表する。 4 教科書や資料を見て確認する。 ◆体をよりよく発育・発達させるため には何が必要か経験を元に自分の意 見を発表している 。(思) 分 ◆体をよりよく発育・発達させるため に、食事、運動、睡眠の大切さを理 10 5 分かったことやこれからのことを学習カードに 解している 。(知) 記入する。 ‑58‑ (3) 「男女の体の変化 」(第3時) ねらい ◎思春期には体つきに変化が起こり、男女の特徴が表れることを理解する。 学 導 入 分 5 習 活 動 ○教師のかかわり 男女の体の変化について考えよう。 ◆評価 ○子どもと大人の男女の裸の図(後ろ 向きと前向き)を用意する。 展 開 1 運動着を着た男女の子どもの後ろ向きのシルエ ○男女の子どもの後ろ向きの図を掲示 ットを比較し、違いを見付ける。 する。 ○後ろ姿では明確に認識できないこと を確認する。 2 男女の子どもの裸の図(前向き)を見て、男女 ○子どもでは男女の区別を性器の違い の違いを発表する。 で判断することを確認する。 3 大人になると男女の違いがどこに表れるか、男 ○大人の男女には体つきに違いがある 女の特徴についてグループで話し合う。 ことをおさえる。 分 30 ◆大人になると表れる男女の体の違い について意見を発表している。(関) ○児童の実態を踏まえた上で、恥ずか しさを感じている児童の気持ちを受 け止めつつ、正しく理解し、体の変 化について考えるよう助言する。 ○体の線のみの図を用意し、絵で描い たり、言葉を記入できるようにする。 まとめ ○表にして体の変化について説明する。 ・性器のまわりに毛がはえる。 ・女の人は胸がふくらんでくる。 ・わきの下に毛がはえる。 ・男の人は肩はばが広くなる。など 4 グループで出た意見を発表し、男女の違いを確 認する。 ○自分たちは成長途中であり、個人差 があることを押さえる。 5 分かったことや思ったことを学習カードに記入 ◆思春期には、体つきに変化が起こり する。 男女の特徴が表れることを理解して いる 。(知) 分 10 ‑59‑ (4)「初経・精通」(第4時) ねらい ◎思 春期には、初経、精通が起こることを理解する。 学 習 活 動 ○教師のかかわり 導 入 男女の体の変化について考えよう 。 ( 初経 、精通) ◆評価 ○思春期の体つきの変化について復習 し、初経や精通について学習するこ とを確認する。 1 思春期には、体つきに変化が起こり、男女の特 徴が表れることを思い出す。 2 男女の体の特徴の1つである女性の初経の現象 ○女性の内性器の図を掲示する。 について学習する。 ・初経について説明をする。 ○女性の内性器の図をもとに卵巣は何のためにあ るか考える。 ○図を使いながら初経のしくみについ て説明する。 分 5 展 開 3 男性の精通の現象について学習する。 ○男性の内性器の図をもとに男性の精巣は何のた ○とても大切な仕組みであり、からか めにあるか考える。 いの対象としないことを指導する。 分 30 ○男性の内性器の図を掲示する。 ・精通について説明をする。 ○個人差があることを押さえる。 ○初経、精通の現象については養護教 諭とのTTも考慮したり、資料を活 用したりする。 まとめ 分 10 ◆異性への関心が芽生えることや気持 ちを考えようとする 。(思) 4 保健の学習で分かったことや思ったことを学習 カードに記入する。 ○思春期を迎える気持ちや今までの学習で分かっ たことを書く。 ◆思春期には精通、初経が起こること と個人差があることを理解できてい るか 。(知) ‑60‑ 【資 料】 初経年齢グラフ 平成2年 平成14年 100 80.8 80 90.3 57.0 % 47.4 40 0 88.9 78.5 60 20 95.0 92.1 29.5 6.8 2.4 15.1 小4年 小5年 小6年 中1年 中2年 中3年 精通経験なしの年次比較 昭和59年 % 100 80 60 平成5年 平成14年 94.7 84.5 89.8 82.5 64.6 56.3 39.9 49.2 40 31.4 20 37.5 17.0 15.2 0 小5年 小6年 中1年 中2年 18.2 9.9 8.3 中3年 出典「児童・生徒の性」 東京都幼・小・中・高・心障学級・養護学校の性意識・性行動に関する調査報告(学校図書) 学習カード ( ) ○ 学習を終えて、考えていたことと違っ ていたことは? 児童が不安感や嫌悪感を抱かないよう カードの内容を読み取りながら、必要 に応じて個別指導などを行う。 ○ 不安になったり悩んだりしたことは? ○ これからの生活で気を付けたいと思う ことは? ‑61‑ 6 『心の健康』(第5学年 体育:保健 3時間扱い) 【単元のねらい】 ● 心の発達及び不安、悩みへの対処の仕方について理解できるようにする。 (1) 心は、いろいろな生活経験を通して、年齢とともに発達すること。 (2) 心と体は密接な関係にあり、互いに影響し合うこと。 (3) 不安や悩みへの対処には、大人や友達に相談する、仲間と遊ぶ、運動をするなどいろいろな方法が あること。 【単元指導計画】 評価の観点 時 ね ら 主な学習活動 い 関 1 ・心の発達(感情、社会性、 思考力)について知る。 ・活動を通して心の発達を実 感し、心豊かに発達するた めの生活の仕方を考える。 ・相手の気持ちを考えながら 、 自分の気持ちを伝える大切 ○ さを理解する。 思 知 心の発達について学習しよう。 心の発達とはどういうことだろう? ○ ○ ○ ○ ○ 2 ・心と体は互いに深く影響し 合っていることを知る。 心の変化について考える。 よりよく発達させる経験について話し合う。 人との適切なかかわり方について知る。 心と体のつながりについて考えよう。 ○ ○ 心と体のつながりについて考える。 ○ 心と体が密接な関係にあることを理解する。 ○ 3 ・不安や悩みへの対処の仕方 を知る。 不安やなやみへの対応を学ぼう。 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ‑62‑ 不安や悩みの体験からどのように対応する か考える。 不安や悩みの対処の方法について理解して いる。 これからの生活で自分が心がけていこうと することを発表し合う。 (1)「心の発達」(第1時) ねらい ◎心の発達(感情、社会性、思考力)について知る。 ◎活動を通して、心の発達を実感し、心を豊かに発達させるための生活の仕方を 考える。 ◎相手の気持ちを考えながら、自分の気持ちを伝える大切さを知る。 学 導 入 分 10 習 活 動 ○教師のかかわり ◆評価 心ってどこにあるのだろう? 1 心のはたらきがどこで行われているか考える。 ○「感情 」「社会性」「思考力」について、 ○心について思い浮かぶことを発表する。 児童に分かる言葉で説明をする。 ○心のはたらきは脳で行われていることを知る。 2 心のはたらきには「うれしい・楽しい・悲し いなど 」(感情)や 、「考える・覚える・分かる など 」(思考力)や「仲間と協力する・ルール を守るなど」 (社会性)があることを理解する。 ○「心」のつく漢字探しゲームを行う。 展 開 ○ 具体的なワークシートを通して理解でき るようにする。 心の変化について調べよう。 3 分 20 心はいろいろな経験を通して発達することを 理解する。 ○感情・社会性・思考力の3つの課題をグルー プごとに分かれて、活動や作業を通してそれ ぞれの発達について確かめる。 ○気が付いたことや考えたことを発表し合う。 自分の心の発達を振り返ろう。そして、心を豊 かに発達させるために、これからどんなことを したらよいか考えよう。 まとめ 分 15 4 自分の心の発達を確かめ、心を豊かに発達さ せるために、どんな生活を送っていけばよいか 考える。 ○簡単なロールプレイングを行う。 5 ○ 感情、社会性、思考力と関係する漢字 を取り上げ、心の働きを説明する。 自分の心の発達について発表する。 ‑63‑ ○「感情」について 幼稚園の時、私は欲しいおもちゃがある とだだをこねたり、泣きながら買ってと ねだりました。 しかし、今は… ○「社会性」について 保育園で友だちと遊び道具が重なってし まった場合。 ◆ 心はさまざまな経験を通して年齢ととも に発達することが理解できる 。(知) ○ 3つの視点から発達してきたことを振り 返ることができるよう助言する。 ○ 発達の仕方はそれぞれであり、違ってよ いことを確認する。 ○ 相手の気持ちを考えて、自分の感情をコ ントロールしながら、うまくかかわる大 切さを確認する。 ◆ 心を豊かにする生活について考え、実践 への意欲がもてる。(関) (2)「心と体のつながり」(第2時) ・心と体は互いに深く影響し合っていることを知る。 ねらい 学 導 入 分 5 習 活 動 ○教師のかかわり *本時の前に体育「体ほぐしの運動」を行う と効果的である。 伝承遊びやゲームをやってみよう。 1 2 ○ 楽しさだけではなく、緊張が高まるような ゲームも取り入れる。 みんなで伝承遊びやゲームを楽しむ。 ○静かな音楽を聴いてみよう ○伝承遊びやゲームを楽しもう。 伝承遊びやゲームの感想を発表する。 「心はどんな様子でしたか、体はどんな 感じ でしたか」 3「どんなとき 」 「どうなったか 」ゲームをする。 ○ゲームのやり方を知る。 ドキドキ・イライラ・モヤモヤ・ワクワク する気持ちに合う、そのときの状況を表現 する。 ○グループごとにゲームをする。 展 開 4 分 20 ◆評価 自分たちの経験を振り返って、心と体が影響 し合っている事例を探す。 ○心と体のそれぞれについて考えさせる。 (例) わたしは、 こわい夢を見た とき 「ドキドキ」して ー 目が覚めた ぼくは、 宿題が終わらなかった とき ー 「イライラ」して ー 頭が痛くなった ◆自分の経験と関連付けて考えている 。 (思) 今までの生活の中で、心と体がつながっている と感じた場面を探してみよう。 ○心と体が互いにかかわり合っている例を考え る。 ○事例を探す視点を示す。 ・心の状態が体の調子や具合を変えたとき ・体の調子が心の状態を変えたとき ・楽しいときやうれしいとき ・おこったときや悲しいとき ・思いっきり運動したとき ・頭やお腹が痛いとき ○考えた事例を発表する。 まとめ5分 5 ○不安や悩みが原因で体が病気になることも あることを説明する。 今日の学習を振り返って、感じたことや気付 いたことを発表する。 ‑64‑ ◆心と体はお互いに影響し合っていることを わかっている。(知) (3)「不安や悩みをかかえたとき」(第3時) ねらい ◎不安や悩みへの対処の仕方を知る。 ◎単元全体の学習をふり返り、自分の課題を発見、把握することができる。 学 導 入 活 ○教師のかかわり 動 1 「欲求」という言葉について知る。 2 ◆評価 ○欲求について児童に分かる言葉で説明する 欲求不満について理解する。 分 5 習 欲求が満たされないとき、心はどのよ ○ワークシートを配布し、欲求を5つ以上書 くようにする。 ○短冊に記入したものを板書しながら整理す る。 うになるだろうか。 3 不安や悩みへの対処法について考える。 ○「友だちへの欲求や体の成長」から生じる不安 や悩みをもとに対処法を考え、話し合う。 ○長く悩みが続くと体にも影響を及ぼすことを知 る。 展 開 資料を読んで、不安や悩みに対処する ためにはどうしたらいいだろう。 分 35 ○不安や悩みを抱いたときは、趣味や運動で気分 転換をすることなど自分で解決するための努力 をするとともに、家族や友だち、先生などに相 談することが大切なことを知る。 【Aさんの手紙】 国語の時間に文を読むときや音楽の時間に歌うときなど に声がひっくり返ってしまうので、みんなが笑う。特に ○児童の意見を共感的に受け止め、誰にでも 起こりうることであることを確かめる。 ◆不安や悩みの対処の方法について理解して いる。(知) ○「Aさん、Bさんの悩み」という資料を読 み、客観的な立場から考えさせる。 ◆友達と話し合いながら、不安や悩みへの対 処法を考える。(思) Aさんは声のことでからかったり「あいつはませている。 エッチなんだ」と言いふらしたりする。すごく恥ずかし いしいやな気分だ。ぼくだけどうしてこうなんだろう。 4 自己の生活を振り返り、課題を見付け、自己 の課題を解決するためには、どのような生活を すればよいかグループで情報交換する。 ○これまでの生活で不安や悩みを解決できな かったことを想起させ、これからどういう 方法で対処していくかの考えさせる。 ○4のつながりで考えさせる。 まとめ5分 ストレスをためない、楽しく、明るい生活をし ていくためにはどのようなことをしていけばよ いか考えよう。 5 6 グループの意見を発表する。 ◆自己の生活を改善していこうとする意欲が もてる。(関) 学習カードをまとめる。 ‑65‑ 7 『男女間の協力』(第5学年 学級活動) ねらい ◎男女の協力について考え、互いのよい点を見付けることにより相互の信頼感を高 め合う。 学 導 入 分 10 習 活 動 ○教師のかかわり 今ま での 生 活を 振り 返 り、 どん な とき に 男 女が 協力 し てい るか 考 え、 よい 点 や改 善 し ○事前調査で資料を作っておき、子どもの考 えを把握しておくようにする。 ていくことを話し合おう。 1 ◆評価 (資料1) アンケートをまとめた資料を見て、 思ったこ ○ブレインストーミングを行い、互いに考え ていることを、出し合う。 とを発表する。 (資料2) 展 開 2 25 男女で小グループをつくり、男女相互の協力 分 の様子について話し合い、よい面、改善してい ○何でも言い合える雰囲気をつくっておくよ うにする。 く面をカードにまとめる。 3 全グループのカードを黒板に貼り、全員で意 ○一人一人の不満や心配を取り除くように例 を挙げて話をする。特に、男女で活動して 見を出し合う。 いくときに、身体的なことについての発言 が合ったときには、取り上げ、 「それを言わ れたときの気持ち」を考えるようにしてい く。 まとめ 4 分 10 話し合 いをもとに グループご とに気持ち よ ○グループ内の席を工夫する。 く協力するためのめあてを考え、カードにまと よい面を書くカード、改善する面を書くカ める。(掲示する) ードに分類していく。 (資料3) 5 先生の話 ◆自分自身の生活を振り返り、友達のいるこ とのよさや、皆が協力して生活を送ること の大切さに気付いたか 。(思) ‑66‑ 男女の協力を学級経営に生かすために ○男女の意識といった場合、身体面に関することと、心情面に関することといった二面性が ある。これをきちんとおさえ違いを認識した上で、お互いを高め合うよう配慮する。 ○男女の協力については、小集団の活動を基盤として、仲良く助け合う学級集団を形成する よう工夫する。 ○人権尊重の立場から、互いの人格を認め合い尊重する姿勢を育てたい。 ○おもしろい、楽しいだけの人間関係から、励まし、支え合う人間関係へと深めるようにし ていくことが大切である。 【 実態調査用紙 】 (資料1) ○あなたは、学級の男女が協力していると思いますか。 〈協力している・協力していない〉 ○協力したくなるのは、どんなときですか。 ○協力したくないと思うのは、どんなときですか。 ○男(女)の子に言いたいことはありますか。 と」 「いやだなと思ったこと」などの意見を、 自由に出し合うようにする。(3〜5分) ○グループ内の席を工夫する。 ‑67‑ (資料3) ︹協力したくなるのは・・・︺ ○ ○ 男( 女) の 子に 「言 わ れて うれ し かっ た こ ︹協力したくないのは・・・︺ ○ ○ 【掲示用記入カード】 (資料2) ︹ 男 の 子 か ら ︑女 の 子 か ら ︑一 言 ︺ ○ ○ 【 ブレインストーミング 】 8 『友達っていいよね』(第6学年 道徳)〔内容項目 2−(3)〕 ◎男女が相互に信頼し、友情を深め、男女仲良く協力して助け合う態度を育てる。 (「心のノート」P. 44〜P. 47より) ねらい 学 習 活 ○教師のかかわり 動 ◆評価 導 入 ※今までの生活の中から、場面を想定し、 分 5 男子、女子が互いになかよく協力していくため 行動面ばかりでなく、心理面についても には、これからどのようなことを努力していけ 焦点をあて考えるようにしていく。ある ばいいかを考えよう。 特定の個人を傷つけることがないように 指導する。 1 「友達がいてよかった。」と思った経験を発表し 合う。 ○日常生活の中で、 「友達がいてよかった」 という場面を思い起こさせ、友達の大切 さを考えさせるようにしていく。 展 開 2 30 「心のノート」の「わたしにとって友だちとは?」 ○運動会・学習発表会等で、気持ちを合わ 分 に自分の考えを書き、発表する。 せて、大きな力を生み出す経験を思い起 こさせるようにする。 3 「心のノート」の「互いに意識しちゃうよね 」 を読み、学校生活の中で、「異性がいてよかった」 ○男子、女子が互いに理解し合うことの大 切さをつかませるようにしていく。 と思った経験を話し合う。 4 「異性がいて困った」と思った経験を発表し 、 その場合どうすればよかったかを話し合う。 ○身体的な事柄についての発言が出たと きには、皆で話し合うようにしていく。 ○男子、女子が互いのよさを生活に生か し、協力していくことが大切であること 終末 を考えさせるようにしていく。 (資料1) 5 分 10 「心のノート」の「男子と女子の友情につい て 思うこと考えること」に、自分の考えを書く。 ◆相手の立場や気持ちを尊重しながら、異 性のよさに気付き、男女仲良く協力して 助け合う心情を高める 。(関) ‑68‑ 【振り返りカード】 この時期の男女の特徴例 (資料1) 友達から学んだこと さんからは、 ○異性に対する意識が高まる。 ○自我意識が高まり、友達が大切になる。 (グ ループで行動するようになる。困ったこと や悩みを友達に相談することが多くなる。) さんからは、 ○考え方が抽象的、論理的になり、反面、独 断的な傾向が見られ、友達との意見の相違 が見られるようになる。 ○自分の考えを書きためていくよ うにする。 学級経営で活用できるカードや手紙例 チャンピオンカード ○○○○さんへ 友達の思いやりのある行 動、がんばっている姿な どで気付いたことを手紙 に書く。 ▽▽▽▽より ○カードや手紙は、書く相手を決めて、定期的 に(週1回程度)書く。 ○カードや手紙を書く相手の順番は、あらかじ め決めておき、皆がもらえるようにする。 ○年間を通して行うことが効果的である。 ○○さんへの手紙 ○○さんへ あなたのよいところは、( )です。 あなたは、( )で、がんばっていま すね。これからも、 ( )ください。 わたしは、( )のとき、協力してほ しいと思っています。 ▽▽より ▽▽さんへ お手紙、ありがとう。 わたしは、( )のことを、これからも 続けたいです。 これからは、( )のことを、気を付け たいと思います。 ○○より 授業後の子どもの感想 わたしは今まで男子に対して、授業中は、「自分と違うアイディアを出してくれるな」と 思っていたけれど、その他の時には、よい点があまり見付けられませんでした。 この授業を通して、よい点を見付けることができ、これからはもっとお互いのよいとこ ろを見付けていかなければいけないと思いました。そうすれば、相手の気持ちや立場をも っともっと考えられると思うからです。 ‑69‑ 9 『エイズという病気』(第6学年 体育:保健(病気の予防)) ◎ エイズという感染症について、正しく理解する。 ねらい ◎ エイズウイルス<HIV>は、空気・水・熱に弱く、普段の生活の中ではうつらな いことがわかる。 学 導 入 分 15 習 活 動 ○教師のかかわり 1 病原体がもとになる病気と、その予防の方法 について考える。 ◆評価 ○「病気の予防」で学習した内容を思い出させ、 児童の理解の程度を把握する。 ・日常生活で、自分自身が気を付けていかなけ ればならないことを話し合う。 ※「病気の予防」5時間のうち、病原体がもとにな って起こる病気(2時間)の中で1/2時間程度 で指導する。 展 開 分 20 エイズという病気 2 エイズについて教科書をもとにして調べ、わ かったことを発表する。 ・エイズとは、どんな病気か ・世界的に広がっている。日本でも感染者や患 者が年々増加している。 ○エイズウイルス〈HIV〉は、血液などの 中にいて、それ以外のところでは、生きて いけないことを知らせる。 ○白血球の働き(からだを守るしくみ)につい て触れる。 ・エイズウイルス〈HIV〉は、体を守る働 きを弱めてしまう。 ・いろいろな病気にかかり易くなる。 ◆エイズは、エイズウイルス〈HIV〉がもと になって起こる病気だということが分かる。 3 エイズウイルスは、普段の生活の中で、感 染しないことを確かめる。 ○次の点に留意する。 ・普段の生活の中では、うつらない ・けがをしたとき・血液がついたときの注意 ・ハンカチ・歯ブラシ等は自分のものを使う まとめ 分 10 4 日常生活で気を付けることについてまとめ る。 ◆エイズについて正しく理解し、不必要な不安 や偏見を取り除くことが大切であることが 分かる。(知) ‑70‑ 【発達段階に即したエイズの指導内容例】 エイズに関する指導内容は、学習指導要領に示された教科・道徳・特別活動等の内容との関連を 考慮しながら、児童の発達段階や性意識等の実態に即して、選択・編成することが必要である。発 達段階に応じたエイズの指導内容の参考例を以下に示す。 低学年 ○健康な生活を送るためには、体を清潔にすることが大切であること ○生命は大切なものであり、友達も自分と同じように大切であること 中学年 ○うつる病気には、それぞれの感染経路があり、衛生的な生活習慣を守ることによっ て、うつらないこと ○自分がされたらいやだと感じるようなことをしないこと、自分がされたらうれしい と感じるようなことをするように心がけることが大切であること 高学年 ○エイズという病気のあらましを知り、自分たちの日常生活においてはうつることはない こと ○エイズに対する誤った考え方を正し、常に相手の人格を尊重する態度や行動が大切であ ること (財)日本学校保健会 東京都教育委員会 知ろう・考えようエイズのこと みんなでいきるために―エイズ教育参考資料― より エイズ理解・予防に関する小学校高学年用パンフレット エイズはうつる病気のひとつです<うつる病気のしくみを知ろう> ○ 私たちの体には 病気から体を守るしくみがあります ○ エイズウイルスは ○ エイズは 体のていこう力を弱めます 普段の生活ではうつりません パンフレットは、要点を分かりやすい言葉で まとめてあるので、活用することができる。 健康な生活を心がけよう 運動、栄養、睡眠などのバランスのとれた生活をするとともに、入浴や手洗い・うがいなどの体の清潔 に気をつけながら、病気に負けない体づくりを心がけましょう。 けがの手当のしかたを知ろう けがをしたときは、自分で、きず口を水道の水できれいに洗い流し、消毒するよう心がけましょう。 友達がけがをしたときは、保健室に連れて行きましょう。そのときには、血液が手や体につかないよう にしましょう。もしも血液がついたら水道の水で洗い流しましょう。 ‑71‑ 10 『自分だったらどうする?』(第6学年 ねらい 学級活動 ) ◎ 導 入 学 習 活 動 1 情 報を得る時の方法を発表する。 (例)図書室の本、新聞、雑誌、ラジオ 、 インターネット、テレビ、広告 等 ○教師のかかわり ◆評価 ※ 分 特に児童から出なければ、いろいろな広 告や迷惑メールの例を示す。 15 2 インターネットを利用している時に目に ○インターネットなどを利用することに問題 する広告や携帯電話に入る迷惑メールで気 があるのではなく、情報の収集や利用方法 になる内容について発表する。 を気を付けるよう展開する。 (例 )・懸賞に応募して商品が当たるって。 ・出会い系サイトって何? ○何気ない気持ちで、利用してしまうことが あることに気付かせる。利用の仕方や内容 によっては、高額の利用料金の請求があっ 3 誤って利用してしまったら、どのよう な たり、警察に事情聴取されることがある等 ことになってしまうか考える。 の事例を知る。 ①利用しても問題ない。 ②利用したことで問題が発生する。 ○自分一人で判断できない時には誰かに相談 することが大切であると気付く。 展 開 ◆安易な気持ちで利用したり、応答してはい けないことを知る 。(知) 4 分 自分が受けた情報をどのように選択する ○ロールプレイングを通して疑似体験させる 。 か、ロールプレイングで体験する。 今の自分に本当に 〈必要な情報〉 20 ①利用する(教える) 〈 どちらでもない〉 ②利用しない(教えない) 等 選択する時に何を 〈 必要でない情報〉 基準に決めるか。 〈わからない〉 5 情報の中には性に関する場合もあるの ○情報を選択するときには総合的に考えて判 で、慎重に情報を選択することと、必要で 断する必要があること。 ない情報にはかかわりをもたないようにす ることに気付く。 まとめ 6 分 10 出会い系サイトなど、利用の状況によっ ○児童(18才未満)も罰則の対象となる法 ては、処罰されることを知る。 律があることを知らせる。 ・書き込みをするだけでもいけないんだ。 ・知らない人が相手なんだよね。大丈夫? ・会うだけでお金がもらえるって変だよ。 7 ◆情報を選択する時には、その内容を十分吟 味して生活に生かそうとしている 。(関) 学 習のまとめをする。 ‑72‑ 【ロールプレイング用ワークシート例】 荷物を届けに来たの ですが、注文されてい ないものがクラスの他 の人にも届いています。 連絡したいので○○ さんの電話番号を教え て下さい。 ①教える 自分だったら どうする? ②教えない おめでとうございます。 あなたは大変ラッキー な人です。友だちの名 前と電話番号を5人分 教えるだけで、商品券 を手に入れることがで きます。 ① 教える その理由 ②教えない その理由 ①利用する ②利用しない 特別な方への紹介で すが、この薬を飲むと やせることができます。 是非一度試して下さ い。もちろん法律には 違反してないですよ。 ①利用する どちらを選んだら いいかな? ②利用しない 今だけのキャンペーンで、 無料でお友だちを紹介して います。安心できる出会い 系サイトですから、お金も いっさいかかりません。ぜ ひアクセスして下さい。 【インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する為の規制等に関する法律について】 警視庁ホームページより ◎パソコンや携帯電話を使って児童( 18 歳以下)に対して、不正な誘引行為を行うことを禁止 しています 。 (平成15 年9月 13 日施行 ) 不正な誘引とは 児童に「性交渉」をもちかけること 児童に「金銭等を伴う異性交際」を もちかけること 人に児童との「金銭等を伴う異性交 際」をもちかけること 人に児童との「性交渉」をもちかけ ること ◎保護者や地方自治体に対して異性紹介事業の利用を防止する為に必要な措置を講ずることに努 めることが求められています。 ◎違反した場合は、児童・成人にかかわらず罰則の対象になります 。(百万円以下) 《保護者への啓発》 ・児童が(例えいたずらでも)不正な書き込みなどをすると刑事罰になることを知らせる 。 ・保護者として、児童が事業者を利用できる環境を与えていることを自覚し、注意を促す 。 ・携帯電話、インターネットアクセスのルールを決める。利用料金の把握、フィルターの使用等。 《児童への指導》 ・安易に携帯電話やパソコンの番号やアドレスを他人に教えない。 ・携帯電話でのやり取り(メールやネット)を絶対なものと信じない。 《学校の役割》 ・児童に異性紹介サイトの危険性を教え、学校ではパソコンにフィルタリング機能を設定する 。 ※この資料は教師用参考資料として使用する。 ‑73‑ 資 料 編 Ⅰ Q&A Q1 小学校低学年で性器の名称をペニス、ワギナと称して扱ってもよいのか? A1 小学校 1 〜 3 年生において、性器の名称をペニス、ワギナといった外来語で一律に 指導することは不適切であり、学習指導要領にも示されていない。また、ペニス、 ワギナといった用語の使用については、日常生活における会話でもエチケットや マナーとしてわきまえさせる必要がある。 Q2 低学年の学級活動で「男の子・女の子・大切な体」を扱う場合、性器の名称はどの ように教えるのがよいか? A2 児童の発言の中に、おちんちんの有無、形の違いや排尿の違いについてなどがで ることもある。だからといって、そこで特別に、ペニス、ワギナという名称を教 える必要はない。小学校第4学年の体育・保健領域「育ちゆく体とわたし」の内 容では、初経や精通について学習することになっており、教科書においても、そ の段階で性器の名称を表記する取扱いになっている。低学年の段階では、必要が あれば幼児語を用いて説明すればよい。 Q3 小学校生活科で、自分の成長を振り返る場合にはどのような点に配慮すればよい のか? A3 生活科の内容(8)では、多くの人々の支えにより自分が大きくなったこと、自分ででき るようになったこと、役割が増えたことなどが分かり、これまでの生活や成長を支えてく れた人々に感謝の気持ちをもつとともに、これからの成長への願いをもって、意欲的に生 活することができるようにすることを示している。 どの時点から自分の成長を振り返り実感するかは、児童によって異なり、よく覚えている ことから振り返る児童もいれば、現在の自分から振り返る児童もいる。一律に過去から順 にたどることではない。まして、出生の時の状況などに詳しく踏み込むことを求めている ものではない。 児童にとってその成長の過程や環境はそれぞれ異なっているので、この点を十分に配慮 し、保護者等との協力や教師の見通しをもった支援が大切である。 Q4 性被害の防止を低学年から教える際に性器の名称を教えることが必要ではない のか? A4 低 学 年 の 児 童 や 幼 児 の 性 被 害 を 防 止 す る に は 、 危 な い 場 所 や 誘 い に の ら な い よ う にすることを指導することが重要であり、性器の名称を教えることとは指導がつ ながらない。また、性器の名称を言うとしても低学年の児童や幼児に対しては 「おちんちん」などの幼児語や家庭で話されている言葉でよい。 ‑77‑ Q5 A5 性交については、どのように扱うのか? 小・中・高校いずれの学習指導要領にも「性交」は示されておらず、小学校にお いては「性交」を理解させることは困難である。小学校生活科で扱うとすれば、 多くの人に支えられて誕生し成長したことについて触れる程度にとどめることが 適 切 で あ る 。 中 学 校 第 3 学 年 に お い て は 、「 感 染 症 の 予 防 」 の と こ ろ で 性 的 接 触 と して触れている。指導の内容については、単元の本来のねらいや生徒の実態に応 じて、指導の内容を十分に検討することが必要であり、人間尊重の精神に基づく 男女相互の望ましい人間関係の在り方などと結びつけて指導していくことが大切 である。 Q6 中学校の保健の授業でコンドームの扱いはどのようにしたらよいか。コンドーム をつける説明、実習は行ってよいか。 A6 中学校の保健では、性感染症の予防のためには性的接触をしないこと、コンドー ムが有効であることにも触れるようにすることが学習指導要領に示されているが、 コンドームの装着の仕方を取り扱うようにはなっていない。また、中学生の性的 接触といったことやコンドームに対する知識や情動については個人差が大きく、 一律の実習や指導は適切とはいえない。 Q7 A7 副読本等の補助教材の扱いについてはどう定められているか。 補助教材とは、小学校、中学校、高等学校及びこれに準ずる学校において、児童・ 生徒が使用する教科書以外の図書、その他の教材をいい、学校における補助教材 の選定に当たっては、その内容が教育基本法、学校教育法、学習指導要領の趣旨 に従い、かつ児童・生徒の発達段階に即したものであることと定められている。 Q8 保護者や校長の理解が得られれば様々な教材、資料を使って性教育を実施してよ いか。 A8 学校は教材を使用する場合、学習指導要領及び教育委員会が定める基準により編 成した教育課程に準拠し、かつ①内容が正確中立である、②学習の進度に即応し ている、③表現が正確適切であるという要件を備えているものを選定しなければ ならない。また、校長は学年または学級全員もしくは特定の集団全員の教材とし て「教科書または準教科書とあわせて使用する副読本解説書その他の参考書」は 使用開始期日 14 日前までに委員会に届け出なければならない。 ‑78‑ Q9 学習指導要領は最低基準とされ発展的な学習が認められているが、性教育につい てはなぜ認められないのか? A9 学習指導要領の一部改正等によって、学習指導要領第1章総則第2必修教科、道 徳及び特別活動の内容等の取扱いに関する事項で 「学校において特に必要がある場 合第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる」 ようになった。 しかしこの場合第2章以下に示す各教科、道徳、特別活動における各学年の目標 や内容の趣旨を逸脱したり、児童・生徒の負担過重となったりすることのないよ うにしなければならない。今回の一部改正は、内容の取扱いについて、無制限に 許容するものではない。各教科等に示された内容やその取扱いにかかわる記述は、 これまでと同様である。性教育における指導内容や使用教材等については十分に 検討し慎重に取扱うことはこれまでと全く変わらない。 Q10 社会環境の変化や性に関する課題が山積みされているが、学習指導要領の範囲で 応えることが出来ると考えているか? A10 学習指導要領は法令に基づいて国が定めた教育課程の基準であり、各学校の教育 課程の編成実施に当たってはこれに従わなければならない。この場合、学習指導 要領に示す教科等の目標、内容等は中核的な事項にとどめてあり大綱的なものと なっているので、学校や教師の創意工夫を加えた学習内容が十分展開できるよう になっている。課題が山積みされていればそれを構造化し、その中核をとらえて 対処することができる。 ‑79‑ 参考資料一覧 東京都教育委員会発行の資料 1 性教育の手引(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲・ろう・養護学校) 平成7年3月から平成9年3月 2 エイズ理解・予防に関する指導資料 −総集編― 平成8年3月 3 平成 13 年度「東京の教育21」研究開発委員会指導資料 4 実践力をはぐくむ健康教育の推進を目指して(指導資料) 平成 14 年3月 5 平成 14 年度健康教育推進委員会報告書(指導資料) 平成 15 年2月 6 平成 14 年度「東京の教育21」研究開発委員会指導資料 7 人権教育プログラム(学校教育編) 平成 15 年3月 8 性教育に関する指導資料 平成 15 年5月 9 エイズ理解・予防に関する児童・生徒用パンフレット 平成 15 年 7 月 10 授業を変える子どもを生かす 平成 15 年 10 月 11 平成 15 年度教育研究員報告書「健康教育」 平成 16 年 1 月 12 平成 15 年度教育研究員報告書「中学校 平成 16 年 1 月 13 平成 15 年度「東京の教育21」研究開発委員会指導資料 小学校部会 平成 16 年 2 月 14 平成 15 年度「東京の教育21」研究開発委員会指導資料 中学校部会 平成 16 年 2 月 中学校部会 平成 14 年2月 中学校部会 平成 15 年2月 評価・評定Q&A 保健体育」 文部科学省・(財)日本学校保健会発行の資料 1 小学校・中学校・高等学校 学習指導要領及び解説 2 みんなで生きるために(改訂版) 文部省(当時) エイズ教育参考資料 平成 13 年3月 (財)日本学校保健会 3 学校における性教育の考え方、進め方 平成 11 年3月 文部省(当時) 4 実践力を育てる中学校保健学習のプラン 平成 13 年9月 (財)日本学校保健会 そ の 他 1 現代性教育研究月報 2 「若者の性」白書 (定期刊行物) ―第5回・青少年の性行動全国調査報告― (財)日本性教育協会 (財)日本性教育協会編 小学館 3 児童・生徒の性(2002年調査) 東京都幼稚園・小・中・高・心障性教育研究会 4 青少年をとりまくメディア環境調査 5 女性労働白書 働く女性の実情 報告書 平成 14 年版 平成 14 年8月 学校図書 平成 14 年3月 東京都生活文化局 平成 15 年5月 財団法人 21世紀職業財団 6 世界人口白書 2003 UNFPA ‑81‑ 性教育の手引(小学校編)作成委員 学識経験者 田能村祐麒 全国性教育研究団体連絡協議会理事長 委 員 長 舘 雅子 千代田区立千代田小学校校長 副委員長 豊田美代子 江東区立第四大島小学校教頭 委 細入 正江 目黒区立緑が丘小学校主幹 廣瀬 維謙 大田区立中富小学校教諭 河口 尚志 練馬区立南田中小学校主幹 渕脇 稔尚 東久留米市立第四小学校教諭 員 関 塚本 庁内委員 事務局 眞理子 佳子 世田谷区立旭小学校主幹 世田谷区立山野小学校養護教諭 松本ひろみ 荒川区立尾久小学校養護教諭 原口 静子 狛江市立和泉小学校養護教諭 赤堀 博行 東京都教育庁指導部義務教育心身障害教育指導課指導主事 宇田 剛 東京都教育庁指導部義務教育心身障害教育指導課指導主事 大野恵一郎 東京都教育庁指導部義務教育心身障害教育指導課指導主事 畠山 明美 東京都教育庁学務部学校健康推進課学校保健担当係長 巽 公一 東京都教育庁指導部指導企画課長 薄井 和久 東京都教育庁指導部主任指導主事 後藤 彰 東京都教育庁指導部指導企画課指導主 事 和田 利次 東京都教育庁指導部指導企画課指導主事 菊井 道子 東京都教育庁指導部指導企画課指導主事 鯨岡 廣隆 東京都教育庁指導部指導企画課指導主事 俵田 浩一 東京都教育庁指導部指導企画課指導主事 ‑82‑ 性教育の手引(小学校編)) 東京都教育委員会印刷物登録 平成15年度 第 639 号 平成16年3月 編集・発行 東京都教育庁指導部指導企画課 163‑8001 電 印刷会社名 話 東京都新宿区西新宿2−8−1 03−5320−6887 富士見印刷有限会社 古紙配合率100%再生紙を使用しています
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