開放感あふれるリビングには、室内は無垢のパイン材や珪藻土など自然素材を使用。凛とした空気が漂っています。なんと壁は完成一週間前までコツコツとＳさまご夫妻が自ら塗って仕上げたものです（上）ショールームで一目惚れしたというこだわりのキッチン。クリスタルガラスで出来ているクランカー（シャンデリア）は、キッチンを華やかに演出　（下）食器棚は全面が鏡に。これ、実はクローゼットなのだとか。奥さま自身がＩＫＥＡ（神戸）に出向き調達されたとのこと四角い箱を２つ組み合わせたようなシンプルかつモダンなスタイル。外観は黒と白のガルバリウム、南壁面とガレージ内部が黒焼き杉板。黒焼き杉板のやわらかい黒色が一味違うモノトーンに。内部は外光をしっかり取り込み、開放的で明るい空間が広がります株式会社掛谷建設暮らしを楽しむガレージと天空リビングこれからも進化していく家黒のガルバリウム外壁がそびえ立つ存在感ある佇まい。広々と開け放たれたインナーガレージには黄色いオープンカーがひときわ輝いていました。今回訪れたＳさまご夫妻の住まいです。車をこよなく愛すＳさまの夢は、サーキットピットのようガレージを持つこと。そんなＳさまご夫妻の目に留まったのが１枚のモデルハウス広告でした。掛谷建設さんが手掛けたピットインタイプの大きなガレージのある家。「見学に行くと、想像以上に面白い仕掛けや工夫が凝らしてあり、そのアイデアや斬新さに驚きました」とご主人。その後、設計をした大原さんと出会い、意気投合。Ｓさまのライフスタイルを現すかのような、オリジナリティあふれる家づくりがスタートしたのです。念願のガレージはＴ字型をした家の中心に位置し、シックな黒壁にご主人愛用のツールボックス（Snap On）と色を合わせて塗った赤色の窓枠がアクセント。オープンカーの黄色、ディスプレイされたスーツやヘルメットの鮮やかな色が映え、見ているだけで楽しい気分になります。また、すぐ隣には趣味を楽しむアトリエがあり、そこからガラス越しに眺めるガレージの美しいこと。夜はライトアップされ、また違った雰囲気が楽しめるのだそうです。目を輝かせて話すＳさまは、まるで少年のようでした。ほかにも、暮らしを“より楽しもう”と細部までこだわりぬいた空間、遊び心満載の仕掛けがたっぷり。例えば“天空リビング”と名付けられた屋上バルコニー。普通、家づくりでは日差しの強い夕陽（西日）は悪者として対策がとられますが、西日対策をした上で、あえて夕陽を楽しもうと屋上バルコニーの構想が生まれたのだとか。というのも、実はオレンジ色に染まった児島湖の夕陽を見て今の土地の購入を決断。天空リビングは、そのプロセスを聞いた大原さんがこの地の魅力を最大限に活かそうと編み出した空間なのです。どの家の屋根よりも高い位置で眺めるロケーションは格別。「夕陽を見ながらみんなでバーべキューを楽しんだり、花火を見たり、毎年参加する高知のよさこい踊りの練習も思い存分にできます」と満足そうなお二人。また、リビングに設けた６つの小窓、「ピクチャーウィンドゥ」から見える夕陽も絵画のようで素晴らしいそうです。「この家は色合いも構造も、至ってシンプルに作っています」と大原さん。和風でもなく、洋風でもなく、住む人が自由に色付けしていってもらえるようにと。「完成するまでも楽しかったけれど、これからも進化していく住まいって面白いですよね」。奥さまの茶目っ気溢れるセリフに、こちらまでワクワク。新しい家の暮らし方、価値観を見ることができました。（右）ヘルメットやスーツなどかっこよくディスプレイされたこだわりのインナーガレージ。時間を忘れて思いっきり愛車をメンテナンス。ガレージライフが満喫できます　（上）趣味のプラモデル作りを楽しむご主人のアトリエ。ガラスケースの中にはプラモデルが整然とディスプレイされています階段を上がってすぐ目に入る２階の珪藻土の壁。躍動感あふれる塗りが味わい深く、思わず立ち止まって見入ってしまいます。これは奥さまが手掛けた渾身の作笑いの絶えないＳさまご夫妻と家族の一員の犬のメイちゃん。明るいお二人の家には多くの友人が集い、にぎやかなひとときが繰り広げられることでしょう最上階の PENT HOUSE（ペントハウス）から出た屋上バルコニーの景色。児島湖や山など 360℃の大パノラマが広がります取材協力株式会社掛谷建設玉野市八浜町八浜 160-4 TEL.0863-51-3112 http://www.kaketani.co.jp ●文／松井祥子　写真／広島花男 32 33