株価と価値 企業価値が高まると

2015.9.30
さわかみファンド 月次レポート
株価と価値 代表取締役社長 澤上 龍
一本調子で上げてきた日本の株式相場は 8 月の中国の
ファンドでは、潤った喉が渇き始める先の水需要の高まり
悪材料をきっかけに乱高下が続いております。上昇相場の
を読んだとしても 80 円以下で水を買い占めることはない
中では「いつまで続く?」と繰り返しご質問をいただいた
かもしれません。むしろ水売り業者に投資をし、必要な時
のが、最近は「どこまで下がる?」「今後どうなる?」に
に必要な量の水を供給できる経営体制を応援するかもし
変わってきました。どのような相場であれ、ご質問の根底
れませんね。
には「不安」が見え隠れします。
投資の短期化、または値動きのみに投資をする投資家
私たちは株式相場に投資をしているわけではありませ
が多いため、昨今は軸となる企業価値が軽視されている
ん。個別企業群に投資をしているのです。無論、相場を
可能性があります。
しかし軸が企業価値にあると分かれば、
見ながら投資タイミングをはかりますが、常に大切にして
将来の企業価値を見定め、株価が安い時ほど自信を持っ
いるのは企業の未来です。10 年先も世の中の需要に応え
て投資をすることができるはずです。株価など評価者が変
業績を向上し続けられるか? そもそも世の中はどうなっ
わる毎に、または評価軸(バリュエーション)が変化する
ているのだろうか? 需給バランス、会計関連(損出し・
たびに動いてしまうものです。株価は企業の通信簿とも言
益出し等)の機会が投資チャンスとなるケースもあります
いますが、評価する先生に一貫性がなければ必ずしも正
が、原則的には企業価値の持続的な成長を基に株価が割
しい通信簿とは言えません。つまり投機目標でなければ、
安だと思われる時に投資をします。
足元の株価の動きなどあまり意識しても仕方がないので
弊社最高投資責任者の草刈が月中の「長期投資だより」
す。
などで執筆するとは思いますが、あえて申せば、現状の株
■企業価値が高まると
式相場はもう少し下がってもおかしくないと見ております。
まだまだ不安材料があり、株価は企業価値以上に評価さ
れている点を否定できないからです。但し、長い目で見れ
ば個別企業の中でも世界経済を相手に十分に成長してい
けるところはたくさんあります。そのような企業を次の相
場下落時にしっかり買っておきたいものです。相場など下
がればいつかは上がるのですから。
株価ではなく企業価値を見て投資をする。これが長期
投資家です。では、企業価値が高まると何が起こるのでしょ
う?
企業価値が高まるとは、長期で見れば企業の製品・サー
ビスの利用者が増え、業績が向上することを意味します。
つまり世の中に価値のある製品・サービスが増えること
にもなります。そのような製品・サービスを利用するのは
■株価と価値
消費者です。そしてそのような豊かな世の中に生きている
株価形成メカニズムについて、かつて本レポートで説明
のも我々消費者です。企業への応援投資の先には豊かな
申し上げました。ここでは詳しく説明いたしませんが、基
世の中という目的があり、それすなわち全ての消費者が
本的に株価は企業価値を軸に下がったり上がったりと振子
享受できるベネフィットなのです。その上で、そのような
のような運動をします。この運動を引き起こしている一つ
世の中づくりに参加した投資家が未来から貰える(戻って
に需給があり、そしてその動き自体を相場と呼ぶことがあ
くる)のがリターンです。
ります。
相場の話に戻りますが、少し前の株価が高い時期、さ
砂漠で
熱の太陽に照らされ続けたら誰しも喉が渇き
わかみファンドのファンド仲間の方々から「資産ができた
水を求めます。その時、一本のペットボトル入りの水が売っ
ので夢を叶えました!」というご連絡をいただきました。
ていたら、150 円、200 円、300 円と皆、水欲しさに
それぞれ夢は違うけれど、皆様、とても嬉しそうにされ
値段を度外視するでしょう。その直後、水売り業者が飲み
ていたことが弊社スタッフにとっても励みとなりました。
きれないほどの水を持って来たら? 既に十分喉を潤して
本格的な長期運用で一般生活者の財産形成のお手伝いを
いますので、80 円でも水を買わないかもしれません。こ
させていただく…まさにその理念を果たした瞬間です。今
のように相場とは「買いたい/売りたい」のバランスで
後、相場がどうあろうとも、私たちは軸を忘れずに邁進し
成り立っています。しかし常に価格帯の真ん中には「水は
ていきます。
120 円前後」という世の中の想定する価値があるのです。
【2015 年 9 月 25 日記】
この想定価値もまた相場と呼びます。ちなみにさわかみ
※さわかみファンドにおけるリスク・手数料については、最終ページに記載の「ご留意事項」をご覧ください。
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