『行雲流水』 ~始業式~ 平成27年4月号 校長 森 一夫 今年度当初人事異動で、本校に着任いたしました校長の森です。どうぞよろ しくお願い申し上げます。 さ て 、 北 宋 の 文 豪 蘇 軾 は 、「 文 を 作 る は 行 雲 流 水 の 如 く 、 初 め よ り 定 質 無 し 。 但 常 に 当 に 行 く べ き 所 に 行 き 、止 ま ら ざ る べ か ら ざ る 所 に 止 ま る 。」と 書 い て お ります。文章を作るときは、空を行く雲や流れる水のように、初めから決まっ た形があるのではない、という意味のようですが、校長室で考えたことや日々 の生活の中で感じたことを、校長だよりとして「行雲流水」というタイトルで 文章にしてみたいと思います。 第1回目は、4月8日に行われました始業式でお話ししたことを取り上げま す。私の前任校は、さいたま市立大宮西高等学校です。本校と西高の接点は何 もないだろうと思っていましたが、着任してまず気が付いたのが、本校の校長 室に掲示されている大変立派な見たことのあるような額でした。校歌の歌詞が 書かれていますが、実は前任校にも同じような額が応接室に掲示してありまし た 。よ く 見 る と 、両 校 と も に 額 の 中 の 大 変 達 筆 な 書 は 校 歌 の 作 詞 者『 宮 澤 章 二 』 氏直筆の校歌の歌詞です。校歌の作詞者が一緒なのです。始業式では、着任の 挨拶に引き続き、宮澤氏の詩を紹介いたしました。 (以下、始業式の要旨) 本校は、昨年の夏に聖学院大学の学生諸君と合同で東日本大震災の被災地、 特に甚大な津波被害を受けた岩手県釜石市などを訪問して復興支援ボランティ アに取り組みましたね。とても大事なことです。 ところで、皆さんは、4年前の東日本大震災のあとに放映されたテレビのコ マーシャル(意見広告だと思いますが)を覚えていますか。 「こころ」は だれにも見 えないけれど 「こころづかい」は見 える 「思 い」は 見 えないけれど 「思 いやり」は だれにでも見 える このメッセージとともに、街で妊婦の方やお年寄りと接する男子高校生を映し 出したあのテレビコマーシャルです。このメッセージは、本校の校歌の作詞者 である宮澤章二氏の詩集『行為の意味 です。 青春前期の君たちに』の中からの引用 『 行 為 の 意 味 』 の 詩 の 中 に は 次 の 言 葉 が 続 き ま す 。「 あ た た か い 心 が あ たたかい行 為 になり やさしい思 いが やさしい行 為 になるとき 「心 」も「思 い」もはじめて 美 しく生 きる -それは人 が人 として生 きることだ」 と 。 な お 、 こ の 詩 は 宮 澤 氏 が 中 学 生に向けて送り続けたメッセージをまとめた作品だと聞いておりますが、詩の 中の短い言葉は多くの生徒たちの心に響き、また、私たち大人にとってもとき にその言葉に気持ちが救われ、そして勇気づけられます。 本 校 の 校 歌 に「 ・・・ 常 盤 の 夢 の 若 み ど り こころ豊かに し ら ゆ り の ・・・ 」 とありますが、本校の生徒にはぜひ豊かな心を持ってもらいたい。校長として 豊かな心、心の教育をしっかりとやっていきたい。 本 校 着 任 し て 最 初 の 始 業 式 で は 、「 心 と 思 い 」 に つ い て お 話 し し ま し た 。
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